説明

大腸癌予防剤及び該予防剤を含有する大腸癌予防剤含有食品

【課題】一般食品分野、健康食品分野において有用な大腸癌予防剤等を提供する。
【解決手段】本発明では、水溶性キシラン含有多糖類を有効成分として含有する、大腸癌予防剤であって、前記水溶性キシラン含有多糖類の含まれるキシロース成分の含量が、前記多糖類に対して、30質量%以上であり、前記水溶性キシラン含有多糖類は、重量平均分子量が10,000〜120,000の成分を40%以上含有する大腸癌予防剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般食品分野、健康食品分野において入手が容易で有用な水溶性キシラン含有多糖類を有効成分とする大腸癌予防剤に関する。
【背景技術】
【0002】
大腸癌は、アメリカ合衆国において3番目に多い癌であり、癌による死亡では2番目に多い。近年日本においても生活水準の向上に伴い食生活も変化し、欧米の水準に近付いてきた。厚生労働省の統計によると、1999年には大腸癌による死亡者数が35,000人を超えて30年前の約8倍に達し、日本人の癌として死亡率トップの肺がんを抜き、近い将来に大腸癌がトップになると予測されている。つまり、大腸癌は洋の東西を問わずに、現代人にとって気を付けるべき疾病の一つであるといえる。
【0003】
一方、食物繊維やオリゴ糖が、便秘の改善を中心とした生理活性機能をもつことから食品や飼料の機能を高める素材として注目を集めている。これらの食物繊維やオリゴ糖のような難消化性の物質は、消化管内で種々の挙動を示すため、生体に対して生理効果を発現する。
【0004】
水溶性の多糖類を有効成分とする大腸癌予防剤又は組成物としては、例えば、特許文献1において、アラビノキシランを主成分とする水溶性多糖類を有効成分とする大腸癌抑制剤が報告されている。しかし、該物質は原料の脱脂米糠からの収率が1%未満と非常に低く、大量に入手することが困難であるという大きな欠点がある。また、該文献では前癌病変については全く述べられていない。前癌病変とは癌が形成される前段階に発生するポリープや腸上皮化生、再生、炎症などの組織病変のことを言う。前癌病変は癌とは見なされないが、放置すると癌化する可能性が高い。また、癌化しなくとも血便や腹痛などの体調不良の原因となる場合がある。すなわち、前癌病変の発生を抑えることが、重要であるにも関わらず、該文献では全く触れられていない。
【0005】
また、特許文献2でもトウモロコシ外皮から得られたヘミセルロースの抗腫瘍活性について述べられている。しかし、該文献も癌細胞の増殖を抑制することを認めているが、癌細胞の発生そのものを抑制するかどうかについては全く確認されていない。細胞が癌化することと、その癌細胞が増殖することとは別の事象である。つまり、既に発生した癌の増殖を抑制することと、癌の発生原因である前癌病変を抑制することとでは全く違うものであるといえる。
【0006】
また、非特許文献1ではキシロオリゴ糖の大腸癌予防効果について報告されている。該発表では前癌病変の発生抑制について述べている。しかし、キシロオリゴ糖では前癌病変を約2割減らす程度であり、十分な効果は得られていない。
【0007】
【特許文献1】特許2787252号
【特許文献2】特開2002−338475号公報
【非特許文献1】サントリー(株)ニュースリリース No.8583
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、食品分野において有用でかつ入手が容易な、水溶性キシラン含有多糖類を有効成分とする大腸癌予防剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、キシロースを成分とする水溶性キシラン含有多糖類が経口摂取により大腸の前癌病変の発生を強く抑制し大腸癌を予防することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の第一の態様では、
1. 水溶性キシラン含有多糖類を有効成分として含有する、大腸癌予防剤、
2. 前記水溶性キシラン含有多糖類の含まれるキシロース成分の含量が、前記多糖類に対して、30質量%以上である、前項1に記載の大腸癌予防剤、
3. 前記水溶性キシラン含有多糖類は、重量平均分子量が10,000〜120,000の成分を40%以上含有する、前項1又は2に記載の大腸癌予防剤、
4. 前記水溶性キシラン含有多糖類が、植物性原料由来である、前項1ないし3のうち何れか一項に記載の大腸癌予防剤、
5. 前記大腸癌予防剤が、経口投与される、前項1ないし4のうち何れか一項に記載の大腸癌予防剤、
を提供する。
【0011】
また、本発明の第二の態様では、
6. 前項1ないし5のうち何れか一項に記載の大腸癌予防剤と、1種以上の機能成分と、を含有する、大腸癌予防剤含有食品、
を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一般食品分野、健康食品分野においてより容易に大量入手できる水溶性キシラン含有多糖類を有効成分とする大腸癌予防剤が提供され、かかる大腸癌予防剤から得られる健康食品等の分野に利用可能性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0014】
本発明に係る大腸癌予防剤は、キシロースを成分とする水溶性キシラン含有多糖類を有効成分として含有する。本発明で用いる用語「大腸癌予防剤」とは、大腸の前癌病変の発生を抑制し大腸癌を予防することをいう。また、本発明で用いる用語「水溶性キシラン含有多糖類」とは、構成糖としてキシロースを含有し、該キシロースがβ−グルコシド結合により、多糖類化したものを含有する多糖類であり、植物性原料に含まれる多糖類をキシラナーゼにより部分加水分解したものである。さらに、本発明で用いる用語「キシロース成分」とは、水溶性キシラン含有多糖類中の、キシロースそのもの、およびキシロース単位「C5105」を構成成分とする、オリゴ糖、多糖のことである。水溶性キシラン含有多糖類中のこれらの含有率は、多糖類中のキシロースを定量することにより表されるものである。
【0015】
本発明の水溶性キシラン含有多糖類の原料は、植物性原料を使用することが好ましい。ここでいう植物性原料とは、植物由来のものであり、植物を構成する成分を含むものである。原料に含まれる植物を構成する成分とは、例えば、セルロース、ヘミセルロース等の多糖類、又はキシロース、グルコース、アラビノース、マンノース、ガラクトース等のオリゴ糖類若しくは多糖類のことである。上記の植物性原料のなかでも、特に水溶性キシラン含有多糖類を高収率で得るためには、綿実、バガス又はトウモロコシを使用することが好ましい。ここでいう、綿実とは、アオイ属ワタ科に属する多年草の種子のことであり、本発明の目的を達成できれば、用いる原料には、綿、綿花、花弁、リンター、油分等を含んでもよい。綿実のなかでも綿実殻は、水溶性キシラン含有多糖類の原料となるヘミセルロース含量の高いため、原料として綿実殻含量の高いものを用いることが好ましい。また、本発明でいうバガスとは、さとうきび構成成分のなかで、砂糖以外の成分の総称であり、工業的には砂糖を採取したものの搾り粕のことである。本発明の目的を達成できれば、用いる原料には、外皮、ピス、砂糖等を含んでもよい。本発明でいうトウモロコシは、その品種、産地、部位などに特に制限はないが、ヘミセルロースの含量が高い穂軸(コーンコブ)や外皮を用いることが好ましい。特にコーンコブはキシロース成分含量が高いためより好ましい。
【0016】
本発明の水溶性キシラン含有多糖類のキシロース成分含量は、大腸癌の予防効果の観点から、30質量%以上であることが好ましい。水溶性キシラン含有多糖類のキシロース成分の含量は、水溶性キシラン含有多糖類20mgを、2Nのトリフルオロ酢酸中、95℃で2時間処理し媒体中に溶出したキシロースを高速液体クロマトグラフィー(カラム:島津製作所製 商品名Asahipak NH2P‐50、高速液体クロマトグラフィー:島津製作所製 商品名SCL‐10A型、カラム温度:40℃、移動層:アセトニトリル/水=75/25(容積比)循環量:1mL/min.試料液:10μL)で測定し表される。このキシロース成分の含量が多いほど、水溶性キシラン含有多糖類中のキシロース成分含量が高く、水溶性キシラン含有多糖類の乳化性、増粘性が優れるため好ましい。そのため、水溶性キシラン含有多糖類におけるキシロース成分含量は、より好ましくは35質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは、50質量%以上である。このキシロース成分含量は高い程、キシラン純度が高くなる為、その上限は特に設定しないが、簡便な操作で得られる範囲としては、99質量%以下である。
【0017】
水溶性キシラン含有多糖類中のキシロース成分以外に含まれる成分としては、特に制限はないが、グルコース、アラビノ−ス、マンノース、フルクトース、ガラクトース、アガロースなどの中性糖成分や、ウロン酸やアルドン酸などの酸性糖といった糖成分の他に、リグニンやタンニンなど糖以外の植物成分が含まれていても構わない。
【0018】
本発明の水溶性キシラン含有多糖類は、重量平均分子量が10,000〜120,000の成分を40%以上含有することが好ましい。より好ましくは20,000〜110,000、さらに好ましくは30,000〜70,000である。その理由として、分子量10,000以下の成分、すなわちオリゴ糖成分等では大腸癌予防効果が十分ではなく、120,000以上では水に対する溶解度が低いか、もしくは粘度の上昇が非常に大きいため食品などへの利用が困難となる。そのため、分子量は上記範囲が好ましい。本発明でいう分子量とは、得られた水溶性キシラン含有多糖類を水に溶解し、ゲルパーミレーションクロマトフラフィー(カラム:東ソー製 商品名G3000PWXL、高速液体クロマトグラフィー:島津製作所製 商品名SCL‐10A型、カラム温度:40℃、移動層:水、循環量:0.7mL/min.試料液:50μL(試料0.1wt%))で、ポリエチレングリコール換算で測定したものをいう。本発明の水溶性キシラン含有多糖類の重量平均分子量を遊離液や換算物質などの測定条件を変更して測定した場合、得られる重量平均分子量は異なる場合があるので注意を要する。そのような場合であっても、前記条件で測定した時の重量平均分子量が本発明の範囲に入るならば、それは本発明の水溶性キシラン含有多糖類である。また、ここでいう40%以上とは、該クロマトグラムに表される分子量が10,000〜120,000の範囲に、ピークトップを有するピークの面積が全ピーク面積の40%以上を有することである。上記の分子量範囲の成分を、40%以上含有すると、オリゴ糖成分や糖類以外の不純物が少なく、水溶性多糖類が多くなり、より優れた大腸癌予防効果が期待できる。この含有率は、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。この含有率は高い程、上記効果が向上するため好ましいが、簡便な操作で達成される含有率の範囲としては99%以下である。
【0019】
本発明に係る大腸癌予防剤は、水溶性キシラン含有多糖類を含有し、必要に応じて、公知の薬学的に許容できる担体(例:賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、抗酸化剤等)や、一般に医薬品製剤の原料として用いられる成分を配合して、慣用される方法により製剤化できる。製剤化の剤形としては、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤等が挙げられる。
【0020】
また、本発明に係る大腸癌予防剤の投与形態は、特に限定されないが、経口的又は非経口的に投与することができるが、投与の簡便さから、経口投与であることが好ましい。本発明に係る大腸癌予防剤の投与量は、症状の程度、年齢、性別、体重、投与形態・塩の種類、疾患の具体的な種類等に応じて適宜選ぶことができる。投与量は、症状の程度、患者の年齢、性差、薬剤に対する感受性差等により異なるが、例えば、経口製剤の場合は、通常成人として1日あたり、1−50000mg、好ましくは10−10000mg、さらに好ましくは100−5000mgを1日1−数回に分けて投与する。
【0021】
次に、本発明に係る大腸癌予防剤含有食品について説明する。本発明に係る大腸癌予防剤含有食品は、本発明に係る大腸癌予防剤が、他の食品素材や飼料成分の1種以上に含有され、水溶液、乳化液、水分散体、ペースト、ゲル状の食品であることが好ましい。その他の様態としては、粉末、顆粒状、成型体状等の乾燥物であってもよい。また、大腸癌予防剤含有食品は、ヒトが経口で摂取する食品のみではなく、例えば牛、豚、鶏といった家畜類の飼料や家庭での犬や猫といったペットの餌も、本発明でいう大腸癌予防剤含有食品に含まれる。上記の大腸癌予防剤含有食品は、本発明に係る大腸癌予防剤の含有率が0.1〜99.9%であり、その他成分として、食品素材又は食品で使用される添加剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。この大腸癌予防剤含有食品は、溶解、混合、分散、造粒、溶融・固化、圧縮、乾燥等の公知の方法で加工できる。
【0022】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品は、本発明に係る大腸癌予防剤を含有することで、大腸癌予防効果が期待でき、本発明に係る大腸癌予防剤の有効成分である水溶性キシラン含有多糖類が、植物性原料から安全に抽出されたものであるので、食品や飼料として使用することができる。本発明に係る大腸癌予防剤含有食品は、本発明に係る大腸癌予防剤が、食品素材、飼料成分及び食品で使用される添加物からなる群から選択される1種以上の機能成分に含有されたものである。ここで、本発明でいう「機能成分」とは、食品素材、飼料成分、色素、香料、金属、セラミックス、触媒、又は賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤、溶剤、油脂、界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤等の添加剤のことであり、粉体状、結晶状、油状、液状、半固形状などいずれの形態でもよく、例えば「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に記載のものを用いることが可能である。また、カプセル状など通常の形態でない食品も本発明でいう大腸癌予防剤含有食品であり、それらは、種々の目的でコーティングを施したものであってもよい。これらの機能成分は単独で使用しても、複数を併用してもよい。機能成分の添加量としては、0.01%〜99.9%である。
【0023】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いられる賦形剤としては、アクリル酸デンプン、L‐アスパラギン酸、アミノエチルスルホン酸、アミノ酢酸、あめ(粉)、アラビアゴム、アラビアゴム末、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルファー化デンプン、イノシトール、エチルセルロース、エチレン・酢酸ビニルコポリマー、塩化ナトリウム、オリーブ油、カオリン、カカオ脂、カゼイン、果糖、軽石粒、カルメロース、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、乾燥酵母、乾燥水、酸化アルミニウムゲル、乾燥硫酸ナトリウム、乾燥硫酸マグネシウム、カンテン、カンテン末、キシリトール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グリセリン、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、L−グルタミン、クレー、クレー粒、クロスカルメロースナトリウム、クロスポリビニルピロリドン、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、軽質流動パラフィン、ケイヒ末、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、結晶セルロース(粒)、ゲンマイコウジ、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、ゴマ油、小麦粉、コムギデンプン、小麦胚芽粉、コメコ、コメデンプン、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸フタル酸セルロース、サフラワー油、サラシミツロウ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、β―シクロデキストリン、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、ジメチルポリシロキサン、酒石酸、酒石酸水素カリウム、焼セッコウ、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウム・ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化マグネシウム、スクラワン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、ステアリン酸マグネシウム、ステロテックスHM、精製ゼラチン、精製セラック、精製白糖、精製白糖球状顆粒、セトステアリルアルコール、セトポリエチレングリコール、ゼラチン、ソルビタン脂肪酸エステル、D−ソルビトール、第三リン酸カルシウム、ダイズ油、大豆不ケン化物、大豆レシチン、脱脂粉乳、タルク、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、中性無水硫酸ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストラン、デキストリン、天然ケイ酸アルミニウム、トウモロコシデンプン、トラガント末、二酸化ケイ素、乳酸カルシウム、乳糖、白色ワセリン、白糖、白糖・デンプン球状顆粒、ハダカムギ緑葉エキス末、裸麦芽葉青汁乾燥粉末、ハチミツ、パラフィン、バレイショデンプン、半消化体デンプン、人血清アルブミン、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フィチン酸、ブドウ糖、ブドウ糖水和物、部分アルファー化デンプン、プルラン、プロピレングリコール、粉末還元麦芽糖水飴、粉末セルロース、ペクチン、ベントナイト、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリエチレングリコール、マルチトール、マルトース、D−マンニトール、水アメ、ミリスチン酸イソプロピル、無水乳糖、無水リン酸水素カルシウム、無水リン酸カルシウム造粒物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルセルロース、綿実粉、綿実油、モクロウ、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、薬用炭、ラッカセイ油、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、粒状トウモトコシデンプン、流動パラフィン、dl−リンゴ酸、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム造粒物、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)、に賦形剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0024】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、クロスポリビニルピロリドン、クロスポリビニルピロリドンコポリマー等の合成高分子等の「医薬品添加物事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に崩壊剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0025】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる結合剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコナンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、結晶セルロース、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に結合剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0026】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に流動化剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0027】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に滑沢剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0028】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントール等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に矯味剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0029】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる香料としては、オレンジ、レモン、グレープルルーツ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に着香剤、香料として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0030】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン、リボフラビン等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に着色剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0031】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に甘味剤として分類されるものを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0032】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる溶剤としては、食品若しくは飼料に使用されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えばエタノールなどの「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に溶剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0033】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる油脂としては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ショ糖エステル、流動パラフィン等のパラフィン類、カルナウバロウ,硬化ヒマシ油等の硬化油類、ヒマシ油、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に記載される油脂が挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0034】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる増粘剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、デンプン糊等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に記載される増粘剤が挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0035】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いる界面活性剤としては、例えば、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンサンモノラウレート、ポリソルベート、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリド、モノオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、モノオキシエチレンソルビタンモノステアレート、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)に界面活性剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0036】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品に用いるゲル化剤としては、例えば、ゼラチン等の動物性ゲル化剤、寒天、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、カードラン、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、微結晶セルロース、微結晶セルロース等植物性多糖類、ポリビニルピロリドン等の化学合成高分子等の「医薬品添加剤事典」(薬事日報社(株)発行)、「食品添加物公定書」(廣川書店発行)にゲル化剤として分類されるものが挙げられ、それを単独で使用しても、2種以上を併用することもできる。
【0037】
また、生理活性のある食品素材としては、例えば、コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、セラミド、L−カルニチン、L−オルニチン、ギャバ、ビタミンCやビタミンEのような各種ビタミン、亜鉛や鉄などのミネラル、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、乳化オリゴ糖やガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖類、大豆イソフラボン、アスタキサンチン、α−リポ酸、β−グルカン、ナットウキナーゼ、リコピン、およびこれらの誘導体などが挙げられる。
【0038】
以下に本発明の大腸癌予防剤と、食品素材、飼料成分又はそれらで使用される添加物の中から選択される1種以上の機能成分を含む食品の製造方法について記述するが、本発明の効果は、以下の方法に制限されるものではない。
【0039】
各成分の添加方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、1)大腸癌予防剤と機能成分を同時に添加し、混合/分散/乳化しても、2)大腸癌予防剤と特定の機能成分を予め混合/分散/乳化した後に、別の機能成分を添加し、混合/分散/乳化しても、3)2種以上の機能成分を予め混合/分散/乳化した後、大腸癌予防剤を添加し、混合/分散/乳化しても、これらの添加方法を組み合わせた方法でもよい。添加する機能成分が溶液、懸濁液、乳化液の場合には、それらを大腸癌予防剤または他の添加剤に噴霧する方法を採用することで、最終製品中の成分濃度ばらつきが小さくなるので好ましい。ここで用いる装置としては、小型吸引輸送装置、空気輸送装置、バケットコンベヤ、圧送式輸送装置、バキュームコンベヤ、振動式定量フィーダー、スプレー、漏斗等を用いて連続的に添加しても、一括投入してもよい。また、各成分の混合方法は、通常行われている方法であれば特に制限はないが、V型、W型、ダブルコーン型、コンテナタック型混合機などの容器回転式混合機、あるいは高速撹拌型、万能撹拌型、リボン型、パグ型、ナウター型混合機などの撹拌式混合機、高速流動式混合機、ドラム式混合機、流動層式混合機を使用してもよい。またシェーカー等の容器振とう式混合機を使用することもできる。分散方法としては、通常行われる分散方法であれば特に制限はないが、ポータブルミキサー、立体ミキサー、側面ミキサーなどの1方向回転式、多軸回転式、往復反転式、上下移動式、回転+上下移動式、管路式等の撹拌翼を使用する撹拌混合方法、ラインミキサー等の噴流式撹拌混合方法、気体吹き込み式の撹拌混合方法、高剪断ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等を使用する混合方法でも、シェーカーを使用する容器振とう式混合方法等を用いてもよく、これらを組み合わせた方法でもよい。
【0040】
また、上述の混合、分散において、水又は水/有機溶剤に必要に応じて界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤を添加した水系媒体を添加する順序には特に制限はないが、1)大腸癌予防剤に、予め水系媒体を添加し、溶解/分散/乳化させた後に、他の機能成分を添加しても、2)機能成分に予め水系媒体を添加し、溶解/分散/乳化させた後に、大腸癌予防剤を添加しても、3)大腸癌予防剤と機能成分を予め混合/分散/乳化させた後に、水系媒体を添加してもよく、4)上記の方法で混合/分散/乳化させた組成物を一旦乾燥し、得られた乾燥物を媒体及び/又は機能成分に混合/分散/乳化させてもよく、これらを組み合わせた方法でもよい。ここで得られた水溶液分散体、ペースト、乳液、ゲル等の各液状、半固形状の食品は必要に応じて乾燥され、造粒、コーティング、成型等の加工が施される。
【0041】
本発明に係る大腸癌予防剤は、増粘性、成膜性、結合性に優れるため、他の機能成分を増粘させるために使用しても、保形剤として使用しても、ゲル化させるために使用しても、コーティング剤として使用しても、造粒の際の結合剤として使用してもよい。造粒・コーティング方法としては、公知の方法であれば特に制限はないが、攪拌式又は流動層式のいずれもよく、それらを組み合わせた方法でもよい。攪拌式造粒機としては、例えばポータブルミキサー、立体ミキサー、側面ミキサーなどの1方向回転式、多軸回転式、往復反転式、上下移動式、回転+上下移動式の攪拌機、流動層式としては上部噴霧式、中央噴霧式、下部噴霧式、攪拌併用式、中央缶噴流式、ワースター式等が挙げられる。また、ローラーコンパクタを使用した乾式造粒を施してもよい。
【0042】
コーティングについては、予め造粒物を得、それに公知のコーティングを施してもよく、コーティングを施した後、さらに別のコーティングを施し多層状としてもよい。コーティング剤の噴霧方法としては、圧力ノズル、二流体ノズル、四流体ノズル、回転ディスク、超音波ノズル等を使用し活性成分溶液/分散液を噴霧する方法、管状ノズルから活性成分溶液/分散液を滴下する方法のいずれでもよい。活性成分溶液/分散液を添加する際には、水溶性キシラン含有多糖類の粒子表面に活性成分を積層させるようなレイヤリング、コーティングを施しても、水溶性キシラン含有多糖類の粒子内部に担持させてもよく、機能成分溶液/分散液を結合液として大腸癌予防剤の粒子または大腸癌予防剤と他の機能成分の混合物をマトリックス状に造粒させてもよい。レイヤリング、コーティングは湿式であっても、乾式であっても効果は同様である。
【0043】
本発明に係る大腸癌予防剤は、液状成分の保持性にも優れ、それを核粒子として使用した場合には、レイヤリング、コーティング持の粒子の凝集を抑制できる。また、活性成分が溶液、懸濁液、乳化液の場合には、大腸癌予防剤と他の添加剤の混合物を担体とし、ディッピングの如く、活性成分溶液、懸濁液、乳化液に浸漬させ、活性成分を保持させる方法がとれる。成分種、濃度等の条件によるが、かかるディッピング等の液浸漬方法でも、実用的に成分濃度の均一性が保たれ、また、上記噴霧に比べ、工程が簡略である点で優れている。さらに、活性成分が溶液、懸濁液、乳化液の場合には、大腸癌予防剤と他の添加剤の混合物を担体として、活性成分溶液、懸濁液、乳化液に浸漬させた後、その分散液を噴霧乾燥し、複合体とする方法をとってもよい。
【0044】
機能成分溶液/分散液を添加前後の大腸癌予防剤と他の添加剤の混合物は、それぞれの単位粒子が個々に分散した状態であっても、凝集した造粒物の形態をとっていてもよい。成型方法としては、通常行われている方法であれば特に制限はないが、型枠を用いてもよく、圧縮、溶融、射出、圧延等の公知の成型方法が適用でき、これらを組み合わせた方法でもよい。ここで用いられる成型機としては、圧縮成型機、溶融成型機、射出成型機、圧延成型機等が挙げられ、製菓用/化粧品/医薬品用成型機、米飯成型機、コンプレスド成型機、包あん機、蒲鉾製造装置、餃子・包子成型機、ファンデーション基材用圧縮成型機等の公知の成型機が使用できる。特に圧縮成型に関しては、型枠を使用し所望の形状に圧縮成形する方法、予めシート状に圧縮成形した後所望の形状に割断する方法でもよい。圧縮成形機としては、例えば、静圧プレス機、ブリケッティングローラー型プレス機、平滑ローラー型プレス機等のローラー式プレス機、シングルパンチ打錠機、ロータリー打錠機等の圧縮機を使用できる。上述の方法で得られた成型体は、公知の方法でコーティングを施してもよく、成型体が錠剤の場合には、糖をコーティングし、糖衣錠としてもよい。特に、本発明に係る大腸癌予防剤は、上述糖衣錠における糖衣層に配合してもよい。
【0045】
本発明に係る大腸癌予防剤含有食品の例としては、例えば、ゼリー、プリン、ヨーグルト等のゲル、マヨネーズ、ドレッシング、ソース類、たれ類、スープ、野菜加工品等の調味料、カレー、ハヤシ、ミートソース、シチュー、スープ等のレトルト食品、チルド食品、ハンバーグ、ベーコン、ソーセージ、サラミソーセージ、ハム類等の畜産加工品、蒲鉾、ちくわ、魚肉ハム・ソーセージ、揚げ蒲鉾等の水練製品、パン、生麺、乾麺、マカロニ、スパゲッティ、中華饅頭の皮、ケーキミックス、プレミックス、ホワイトソース、餃子・春巻等の皮類などの小麦加工食品、カレー、ソース、スープ、佃煮、ジャムなどの缶詰、瓶詰類、キャンデー、キャラメル、トローチ、錠菓、チョコレート、ビスケット、クッキー、ガム、米菓、和洋菓子、洋生菓子、スナック菓子、砂糖菓子、プリンなどの菓子類、フライ類、コロッケ、餃子、中華饅頭等の調理加工品、野菜ペースト、肉のミンチ、果実ペースト、魚介類のペースト等のペースト類である。また、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、ホイップクリーム、練乳、バター、ヨーグルト、チーズ、ホワイトソース等の乳製品、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング等の油脂加工品等がある。さらに、コーラ等の炭酸飲料、炭酸入り、アルコール入り、乳製品と混合した果実飲料、果汁又は、果実入り飲料、乳性飲料等の飲料、コーヒー、牛乳、豆乳、ココア牛乳、フルーツ牛乳、ヨーグルト等の乳酸/乳性飲料等、煎茶、ウーロン茶、抹茶、紅茶等の茶飲料等に使用してもよい。
【0046】
本発明で得られる大腸癌予防剤は、大腸癌予防効果が期待できるため上記の通常食品用途はもちろんのこと、機能性食品、健康食品、ダイエット食品等の用途で使用してもよい。また、水溶性キシラン含有多糖類は大腸癌予防効果だけではなく、水溶性食物繊維で認められる腸内環境の改善、血中糖濃度、血中インシュリン濃度の上昇抑制、血中コレステロールの低減、体脂肪率の低減、便通・便臭改善、抗う触性等の各種生理活性が期待できるため、これらも生理活性を期待して機能性食品、健康食品、ダイエット食品等へ使用しても構わない。
【0047】
実施例
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
[製造例1] 水溶性キシラン含有多糖類の製造方法
綿実殻(商品名 ハルブラン、岡村製油株式会社)5kgを0.12mmのスクリーンミルで粉砕し、その粉砕物を20Lの1%NaOHに95℃、1時間浸漬した。固形分を濾別し、そこに35Lの5%NaOHを加え、60℃で2時間攪拌し、濾過した。濾過液を塩酸で中和し、析出物を濾過により集め、キシランのウエットケーク12kgを得た。このウエットケークにpH4.5の酢酸バッファー6kgおよびキシラナーゼ(商品名 スミチームX、新日本化学工業株式会社)を18g加え、55℃で1時間反応した。その後80℃で1時間処理して酵素を失活させた。上澄みを遠心分離により得たのち、濃縮、晶析、乾燥をして水溶性キシラン含有多糖類を395g(収率7.9%)得た。同様の操作を4回繰り返して水溶性キシラン含有多糖類を1350g得た。この水溶性キシラン含有多糖類はキシロース成分を46.6%、重量平均分子量10000〜120000の成分を52%含んでいた。
【0048】
[実施例1] 水溶性キシラン含有多糖類の大腸癌予防作用
製造例1で得られた水溶性キシラン含有多糖類の大腸ガン予防作用を調べるため、下記の動物実験を実施した。
【0049】
[動物実験]
5週齢のF344/DuCrj系雄ラットを標準MF飼料で7日間予備飼育した後、1群8匹ずつの2群に分け、1週毎に計3回、大腸発癌性物質であるアゾキシメタンを15mg/kgずつ全個体に腹腔内投与した。その後、1群に2%の水溶性キシラン含有多糖類溶液を、もう1群には脱イオン水を自由摂取させて14週間飼育した。試験終了後、盲腸基部から大腸までを切除し、Aberrant crypts検索の大腸固定法に従いホルマリン固定し、前癌病変数(ACF)を計測した。各群のACF発生数の平均値及び標準偏差を図1に示す。2群の平均値をt検定により有意差検定を行うと、危険率1%で脱イオン水摂取群と比較して、水溶性キシラン含有多糖類摂取群ではACFの発生数が有意に低下していた。平均値の減少率は55%にも達し、本発明の組成物が大腸癌の原因となる前癌病変の発生を効果的に抑制した。これは、大腸癌の予防につながるものであるといえる。以上より、本発明に係る大腸癌予防剤では、前癌病変を驚くべきことに5割以上も減らすことができ、これほどの効果はキシロオリゴ糖の大腸癌予防効果からは、たとえ当業者であっても容易に想像できるものではない。
【0050】
[実施例2]
大豆硬化油35重量部、脱脂粉乳8重量部、ガゼインナトリウム4重量部、水溶性キシラン含有多糖類0.5重量部、水52.5重量部を70℃、8000rpmで、ホモミキサーで混合し、さらにその液を、マントンゴーリンホモジナイザーを用いて一次圧9.8MPa、二次圧4.9MPaにて均質化した。その後、オートクレーブにて121℃、20分間殺菌し、コーヒーホワイトナーを得た。このコーヒーホワイト−は水溶性キシラン含有多糖類を含むため、大腸癌予防効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、一般食品分野、健康食品分野においてより容易に大量入手できる水溶性キシラン含有多糖類を有効成分とする大腸癌予防剤が提供され、かかる大腸癌予防剤から得られる健康食品等の分野に利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例1における各群のACF発生数の平均値及び標準偏差を図1に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性キシラン含有多糖類を有効成分として含有する、大腸癌予防剤。
【請求項2】
前記水溶性キシラン含有多糖類の含まれるキシロース成分の含量が、前記多糖類に対して、30質量%以上である、請求項1に記載の大腸癌予防剤。
【請求項3】
前記水溶性キシラン含有多糖類は、重量平均分子量が10,000〜120,000の成分を40%以上含有する、請求項1又は2に記載の大腸癌予防剤。
【請求項4】
前記水溶性キシラン含有多糖類が、植物性原料由来である、請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の大腸癌予防剤。
【請求項5】
前記大腸癌予防剤が、経口投与される、請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の大腸癌予防剤。
【請求項6】
請求項1ないし5のうち何れか一項に記載の大腸癌予防剤と、
1種以上の機能成分と、
を含有する、大腸癌予防剤含有食品。

【図1】
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【公開番号】特開2008−127370(P2008−127370A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317092(P2006−317092)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】