説明

大腸癌又は胃癌マーカー

【課題】より特異性及び感受性が高い大腸癌又は胃癌の判定法や、そのためのキット、ならびに、大腸癌又は胃癌抑制剤のスクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】一人の大腸癌患者の癌原発巣及びリンパ節転移巣に由来する2種類の大腸癌細胞株の遺伝子発現パターンを、エクソンアレイを用いて網羅的に比較検討した。その結果、転移巣由来細胞株に特に高発現する遺伝子として、ARHGDIB遺伝子、GFRA3遺伝子、BX538254遺伝子の新規スプライシングバリアントを同定し、さらに、これらの新規スプライシングバリアントが、大腸癌細胞だけでなく、多くの胃癌細胞においても強く発現していることを見い出した。かかるスプライシングバリアントを用いると、大腸癌又は胃癌抑制物質をスクリーニングすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大腸癌又は胃癌の診断用マーカー遺伝子のスクリーニング方法や、大腸癌又は胃癌の判定法や、大腸癌又は胃癌抑制剤のスクリーニング方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
大腸癌は、かつては欧米人に多い癌であったが、生活の習慣の欧米化にともなって、近年は日本人にも多く発生するようになってきている。大腸癌の検査法としては直腸指診、便潜血検査、超音波検査、CT検査、大腸内視鏡検査、注腸造影検査などがある。大規模な集団検診で行われる代表的な検査法は大便の免疫学的潜血反応である。この段階で精密検査を受ける人をスクリーニングできるが、偽陰性、偽陽性判定も多い。精密検査で大腸癌の確定診断を行う方法には大腸内視鏡検査、注腸造影検査、画像診断などの方法があるが、便を全て排出しなければならない、場合によっては苦痛を伴うなど、患者の肉体的、精神的負担が大きく、事前のスクリーニング段階での偽陰性、偽陽性判定を減らすことが求められている。
【0003】
そこで、大腸癌をスクリーニング段階で検出するために、便潜血検査に加えて、特異的で感受性が高い血中腫瘍マーカー(tumor marker)を発見しそれを用いた検査を行うことが強く望まれている。血中マーカーのレベルを計測することにより、比較的安価でハイスループットな検査・診断が可能になると考えられる。これまでに、大腸癌のマーカーとしてCEA、CA19−9などが臨床応用されている。
【0004】
また、近年のゲノム解析またはプロテオーム解析の進歩に伴い、様々な新規の腫瘍マーカー候補が発見されており、例えば、Inorganic Pyrophosphatase(特許文献1)、RS15A(特許文献2)、CBP2(特許文献3)、ASC(特許文献4)などがある。また、組織においてはAnnexin IVなど13種(非特許文献1)、Mortalin(非特許文献2)、Cytochorome P450 enzymes(非特許文献3)、HSP70など5種(非特許文献4)、Adenosylhomocysteinaseなど23種(非特許文献5)等のマーカー候補が発見されている。
【0005】
さらに、大腸癌の診断において、リンパ節中の癌細胞を検出するリンパ節転移診断は、手術範囲の決定や術後の化学療法の決定に有益な情報となる。現在、リンパ節転移診断は病理医により、リンパ節組織の凍結切片またはパラフィン切片を用いた組織診(例えば、ヘマトキシリン−エオジン染色、免疫組織化学法など)が行われている。しかし、それら診断結果は、病理医の経験により診断結果が異なり、ときとして癌細胞を見落としてしまうことがある。このため、現在、LAMP(loop-mediated isothermal amplification method)法やPCR(polymerase chain reaction)法などを用いた癌の分子診断の研究が盛んに行われるようになっている。分子診断は、分子マーカー(例えば、癌細胞に特異的に発現するタンパク質、このタンパク質をコードする遺伝子、この遺伝子のmRNAなど)を検出することにより行うことができる。大腸癌のリンパ節転移を判定するための分子マーカーとしては、サイトケラチン20(CK20)やヒト胎児性抗原(CEA)が報告されている。しかし、大腸癌を特異的に、早期に発見できる腫瘍マーカーは現時点において存在せず、進行大腸癌であっても約半数が陽性を示すのみである。
【0006】
また、胃癌は日本と東南アジアでは消化管で最も多くみられる悪性腫瘍であり、癌死亡率では、胃癌が世界で第2位を占めている。胃癌の予後は、診断技術や胃癌の治療法の発達により改善しているが、進行癌の治癒的切除の後に起こる再発の主原因は腹膜播種である。胃漿膜にまで浸潤した胃癌の予後は、5年生存率が35%と低い。また、進行胃癌術後の腹膜播種再発においてはいまだに有効な治療法がなく、5年生存率は5%以下と報告されている。胃癌細胞のこのような悪性の特性のうちで、腹膜への転移は特に複雑な現象であり、多くのステップと多くの遺伝子が関与している。胃癌の腹膜播種には、接着分子、アポトーシス関連遺伝子および他の遺伝子が深く関与しているという報告があるが、胃癌の転移のメカニズム解明には、さらなる研究が必要であるとされている。
【0007】
胃癌に関しては、既知のI型コラーゲンのC末端非3重鎖テロペプチド(ICTP)の変動をマーカーにする進行胃癌、特にスキルス胃癌の適切な診断マーカー(特許文献5参照)や、従来のRLGS法に比較して少量のDNAサンプルを用い簡便で、迅速、安価に癌患者の予後が良好か否かを診断することのできる技術を確立するものであって、癌部または非癌部組織検体より得られたDNA繰り返し配列中に存在する脱メチル化DNA数を測定し、その割合に基づいて胃癌をはじめ、種々の癌疾患の予後が良好か否かを判断する方法(特許文献6参照)や、転移性結腸直腸癌あるいは原発性および/または転移性の胃癌または食道癌をスクリーニング・診断するための試薬、キットおよび方法や、その患者を処置するためにインビボでイメージングするための化合物や組成物、その治療や予防のための薬物、遺伝子療法薬およびアンチセンス化合物を運搬するための組成物、ワクチンおよび方法(特許文献7参照)や、細胞の生体エネルギー的指数を作成するため、構造タンパク質およびミトコンドリアの呼吸(それぞれ例えば、hsp60やチトクロームオキシダーゼのサブユニットIおよびIV)に関して、ミトコンドリアの生体エネルギー的機能のタンパク質(H−ATP合成酵素のβ−触媒サブユニットなど)の発現についての研究を使用すること、そしてグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素およびピルビン酸キナーゼMなどの細胞の解糖経路のタンパク質の発現に関連する前記ミトコンドリア生体エネルギー指数(β−ATPase/hsp60比;β−ATPase/COXI比;β−ATPase/COXIV比)を使用することからなる、細胞の代謝性マーカーの研究に基づいて、癌の検出、進行の解析、および悪性腫瘍を予後診断するための方法(特許文献8参照)等が提案されている。
【0008】
さらに、胃癌腹膜播種又は腹腔内遊離癌細胞の検出のため、特異性の高い新規マーカーを同定する方法としては、被験者から生体試料を採取するステップと、アルデヒドデヒドロゲナーゼ又はドーパデカルボキシラーゼの少なくとも一方の存在を被検者の生体試料から検出するステップと、アルデヒドデヒドロゲナーゼ又はドーパデカルボキシラーゼの少なくとも一方が存在する場合には、胃癌由来の転移癌細胞が前記試料中に含まれている可能性が高いと判断するステップとを含む方法により、胃癌由来の転移癌細胞を検出し、これらを胃癌由来の転移癌細胞のマーカーとして使用することによって、胃癌患者の腹膜転移の有無を迅速かつ確実に検出することができ、腹腔内癌化学療法を適用すべきかの決定のための有力な材料を提供することができる方法(特許文献9参照)が開発されている。
【0009】
大腸癌及び胃癌は、比較的早期で発見された場合、治療により完治可能であるが、大きな腫瘍や転移のある場合の治療成績は劣るため、早期発見の重要性が認識されている。しかし、早期の大腸癌及び胃癌は自覚症状が少ないため発見が遅れることが多い。このため、より感度の高い大腸癌や癌胃癌のマーカーの開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開WO2005/124353
【特許文献2】国際公開WO2005/124355
【特許文献3】国際公開WO2005/124356
【特許文献4】国際公開WO2006/066917
【特許文献5】特開2001−33460号公報
【特許文献6】特開2002−112799号公報
【特許文献7】特表2003−532389号公報
【特許文献8】特表2005−526980号公報
【特許文献9】特開2004−321102号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Alfonso,P.ら、Proteomics、2005、第5巻、p.2602−2611
【非特許文献2】Dundas,S.R.ら、Journal of pathology、2005、第205巻、p.74−81
【非特許文献3】Lane,C.S.ら、European journal of cancer、2004、第40巻、p.2127−2134
【非特許文献4】Stulik,J.ら、Electrophoresis、1999、第20巻、p.3638−3646
【非特許文献5】Friedman,D.B.ら、Proteomics、2004、第4巻、p.793−811
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、より特異性及び感受性が高い大腸癌又は胃癌の判定法や、大腸癌又は胃癌の抑制剤のスクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
癌細胞には、旺盛な増殖能を有するだけでなく、血液あるいはリンパ液の流れにのって遠く離れた組織に転移する転移能を有するものが存在し、このような高転移性癌は、最終的には予後不良を引き起こす要因となる。本発明者らは、リンパ節転移した大腸癌細胞に、何らかの遺伝子の「スプライシングパターンの変化」が関与していると仮定した。大腸癌患者の原発巣及びリンパ節転移巣からそれぞれ樹立された2種類の大腸癌細胞株に対し、エクソンアレイを用いて遺伝子発現パターンを網羅的に比較解析した結果、転移巣由来細胞株に特に高発現する遺伝子として、転移抑制遺伝子の一つであるARHGDIB遺伝子の新規スプライシングバリアントを6種、GFRA3遺伝子の新規スプライシングバリアントを2種、BX538254遺伝子の新規スプライシングバリアントを6種同定した。また、培養大腸癌細胞を用いて検討した結果、これらの新規スプライシングバリアントが、転移性大腸癌細胞だけでなく、多くの原発性大腸癌細胞においても特異的に強く発現することを見い出した。さらに、培養胃癌細胞を用いて、上記新規スプライシングバリアントの発現を調べた結果、これらの新規スプライシングバリアントが、培養胃癌細胞において発現することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本発明は、(1)(a)大腸癌細胞株SW480及び大腸癌細胞株SW620における遺伝子発現パターンを、エクソンアレイを用いて網羅的に解析する工程;(b)上記大腸癌細胞株SW480及び大腸癌細胞株SW620において、異なるスプライシングパターンが認められる遺伝子を選択する工程;の工程(a)及び(b)を順次含む、大腸癌又は胃癌の診断用マーカー遺伝子のスクリーニング方法や、(2)(i)配列番号7〜12のいずれかに示されるDNA配列からなるARHGDIB遺伝子のスプライシングバリアント;(ii)配列番号22又は23に示されるDNA配列からなるGFRA3遺伝子のスプライシングバリアント;(iii)配列番号26〜31のいずれかに示されるDNA配列からなるBX538254遺伝子のスプライシングバリアント;の(i)〜(iii)のいずれかのスプライシングバリアントや、(3)被検者から採取した生体試料における、上記(2)記載のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現を検出することを特徴とする大腸癌又は胃癌の判定法に関する。
【0015】
また本発明は、(4)スプライシングバリアントのmRNAの発現を検出することを特徴とする上記(3)記載の判定法や、(5)上記(2)記載のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現を検出するためのプライマーセット若しくはプローブ、又はそれらの標識物を備えることを特徴とする大腸癌又は胃癌の判定用キットや、(6)(a)大腸癌細胞を、被検物質の存在下又は非存在下で培養し、該培養細胞における、上記(2)記載のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現量を測定する工程;(b)被検物質の存在下における上記スプライシングバリアントの発現量が、被検物質の非存在下における発現量と比較して低下した場合に、該被検物質を大腸癌の抑制物質と判定する工程;の工程(a)及び(b)を順次含む、大腸癌の抑制物質をスクリーニングする方法や、(7)(a)胃癌細胞を、被検物質の存在下又は非存在下で培養し、該培養細胞における、上記(2)記載のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現量を測定する工程;(b)被検物質の存在下における上記スプライシングバリアントの発現量が、被検物質の非存在下における発現量と比較して低下した場合に、該被検物質を胃癌の抑制物質と判定する工程;の工程(a)及び(b)を順次含む、胃癌の抑制物質をスクリーニングする方法や、(8)スプライシングバリアントのmRNAの発現量を検出することを特徴とする上記(6)又は(7)記載の方法に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により同定された、ARHGDIB遺伝子、GFRA3遺伝子、及びBX538254遺伝子の新規スプライシングバリアントは大腸癌、特に転移性大腸癌のマーカーや、胃癌のマーカーとなりうるものであり、これらのスプライシングバリアントの発現を検出することにより大腸癌又は胃癌の判定が可能である。さらに、大腸癌細胞又は胃癌細胞における上記スプライシングバリアントの発現量を指標として、大腸癌又は胃癌抑制剤のスクリーニングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の新規ARHGDIBスプライシングバリアント(ARHGDIBsv2g)と、既知ARHGDIBスプライシングバリアント(ARHGDIBsv1)とを比較した図である。図中、F1、F2、R1はRT−PCRに用いたプライマーの位置を、F3、F4、R2,R3はreal−timePCRに用いたプライマーの位置をそれぞれ示す。
【図2】本発明の新規ARHGDIBスプライシングバリアント(sv2g)、及び、既知のARHGDIBスプライシングバリアント(sv1)の各種大腸癌細胞における発現をRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した結果を示す図である。図中、「origin」は各癌細胞株の由来を示しており、PRは原発腫瘍を、SUは鎖骨上部を、MNは転移性結節を、ASは腹水を、PWは骨盤壁を、PEは腹膜をそれぞれ示す。
【図3】本発明の新規ARHGDIBスプライシングバリアント(sv2g)、及び、既知のARHGDIBスプライシングバリアント(sv1)の各種大腸癌細胞における発現量の比(sv1/sv2g)を示す図である。
【図4】本発明の新規ARHGDIBスプライシングバリアント(sv2g)、及び、既知のARHGDIBスプライシングバリアント(sv1)の各種胃癌細胞における発現をRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した結果を示す図である。
【図5】本発明の新規ARHGDIBスプライシングバリアント(sv2g)、及び、既知のARHGDIBスプライシングバリアント(sv1)の各種胃癌細胞における発現量の比(sv1/sv2g)を示す図である。
【図6】本発明の新規ARHGDIBスプライシングバリアント(sv2g)、及び、既知のARHGDIBスプライシングバリアント(sv1)の正常胃組織及び胃癌組織における発現を検討した結果を示す図である。
【図7】本発明の新規GFRA3スプライシングバリアント(GFRA3sv002及びGFRA3sv003)と、既知AGFRA3スプライシングバリアント(GFRA3sv001及びGFRA3sv201)とを比較した図である。図中、矢印はRT−PCRに用いたプライマーの位置を示す。
【図8】本発明の新規GFRA3スプライシングバリアントの各種大腸癌細胞における発現をRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した結果を示す図である。
【図9】本発明の新規GFRA3スプライシングバリアントの各種胃癌細胞における発現をRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した結果を示す図である。
【図10】本発明の新規BX538254スプライシングバリアント(BX538254sv001〜sv006)と、既知AGFRA3スプライシングバリアント(BX538254sv000)とを比較した図である。図中、矢印はRT−PCRに用いたプライマーの位置を示す。
【図11】本発明の新規BX538254スプライシングバリアントの各種大腸癌細胞における発現をRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した結果を示す図である。
【図12】本発明の新規BX538254スプライシングバリアントの各種胃癌細胞における発現をRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明において、スプライシングバリアントとは、ゲノムDNAの一次転写産物である不均質核内RNA(hnRNA)から、イントロンを切除し、エクソン配列を連結して最終的なmRNA分子を形成するスプライシング過程において、異なるパターンのスプライシングが起こることにより産生される、特定のDNA配列によりコードされる領域を含む異なるmRNA、その逆転写物である異なるcDNA、及びそれらの翻訳産物である異なるアミノ酸配列を有するタンパク質を意味し、スプライスバリアントとしての異なるmRNAは、異なるエクソン・イントロン配列構造、また、場合によっては、異なる転写開始位置をもつこともあり、そのため、異なるスプライシングバリアントmRNAからは、異なるcDNAが逆転写され、また、異なるアミノ酸配列を有するタンパク質が翻訳される。上記mRNAは、上記タンパク質の製造やmRNAのアンチセンス鎖からなるスプライシングバリアント検出用プローブの作製に有用であり、上記cDNAは上記タンパク質の製造やスプライシングバリアント検出用プライマーセットの作製に有用であり、上記タンパク質は、スプライシングバリアント検出用抗体作製用の抗原として有用である。
【0019】
本発明の大腸癌又は胃癌の診断用マーカー遺伝子のスクリーニング方法としては、(a)大腸癌細胞株SW480及び大腸癌細胞株SW620における遺伝子発現パターンを、エクソンアレイを用いて網羅的に解析する工程;(b)上記大腸癌細胞株SW480及び大腸癌細胞株SW620において、異なるスプライシングパターンが認められる遺伝子を選択する工程;の工程(a)及び(b)を順次含むものであれば特に制限されず、かかるスクリーニング方法により、以下に示すようなスプライシングバリアントをマーカー遺伝子として具体的に得ることができる。本発明は、このようにして得られたスプライシングバリアントにも関する。
【0020】
本発明のスプライシングバリアントとしては、(i)配列番号7〜12のいずれかに示されるDNA配列からなるARHGDIB遺伝子のスプライシングバリアント;(ii)配列番号22又は23に示されるDNA配列からなるGFRA3遺伝子のスプライシングバリアント;(iii)配列番号26〜31のいずれかに示されるDNA配列からなるBX538254遺伝子のスプライシングバリアント;の(i)〜(iii)のいずれかのスプライシングバリアントであれば特に制限されず、また、本発明の大腸癌又は胃癌の判定法としては、被検者から採取した生体試料における、上記本発明のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現を検出することにより大腸癌又は胃癌と判定する方法であれば特に制限されないが、スプライシングバリアントのmRNAの発現を検出する方法であることが好ましく、具体的には、例えば、生体試料における、本発明の配列番号7〜12のいずれかに示されるDNA配列からなるARHGDIB(Rho GDP dissociation inhibitor (GDI) beta)遺伝子の新規スプライシングバリアントのmRNA発現量と、配列番号1〜6のいずれかに示されるDNA配列によりコードされる領域を含まない既知のARHGDIBのスプライシングバリアントのmRNA発現量を比較検討し、本発明の新規スプライシングバリアントの発現が、既知のARHGDIBのスプライシングバリアントの発現より多い場合に、上記生体試料に大腸癌細胞が含まれていると判定する方法や、生体試料における、配列番号22又は23に示されるDNA配列からなるGFRA3(GDNF family receptor-alpha 3)遺伝子の新規スプライシングバリアントのmRNA発現量と、配列番号20又は21に示されるDNA配列によりコードされるGFRA3の既知のスプライシングバリアントのmRNA発現量を比較検討し、本発明の新規スプライシングバリアントの発現が、既知のGFRA3のスプライシングバリアントの発現より多い場合に、上記生体試料に大腸癌細胞が含まれていると判定する方法や、生体試料における、本発明の配列番号26〜31のいずれかに示されるDNA配列からなるBX538254遺伝子の新規スプライシングバリアントのmRNA発現量と、既知のBX538254のスプライシングバリアントsv000のmRNA発現量を比較検討し、本発明の新規スプライシングバリアントの発現が、既知のBX538254のスプライシングバリアントの発現より多い場合に、上記生体試料に大腸癌細胞が含まれていると判定する方法等を好適に示すことができる。
【0021】
上記生体試料としては、被検者から採取した組織、細胞、血液、便などであっても、これらの試料から作製した培養細胞であってもよく、また、被検者から手術等により切除したリンパ節組織や、生検などによりリンパ節から採取された複数のリンパ節細胞を含有する試料を用いることにより、原発巣からこのリンパ節組織に癌細胞が転移しているか否かを判定することができる。また、上記スプライシングバリアントの発現を検討する方法としては、RNA−FISH法や、RT−PCR法や、ノーザンブロット法等のスプライシングバリアントのmRNA発現を検出する方法や、ELISA法や、免疫染色法や、ウエスタンブロット法等のスプライシングバリアントのタンパク発現を検出する方法を例として好適に挙げることができ、複数の検出方法を組み合わせて行うことがより好ましい。
【0022】
本発明の大腸癌又は胃癌の判定用キットとしては、本発明のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現を検出するためのプライマーセット若しくはプローブ、又はそれらの標識物を備えた大腸癌又は胃癌の判定用キットであれば特に制限されるものではなく、ARHGDIB遺伝子のスプライシングバリアントの発現を検出するためのプライマーセットとしては、具体的には、配列番号14及び15に示される塩基配列からなるプライマーセット(F2、R1)や、18及び19に示される塩基配列からなるプライマーセット(F4、R3)を、GFRA3遺伝子のスプライシングバリアントの発現を検出するためのプライマーセットとしては、具体的には、配列番号24及び25に示される塩基配列からなるプライマーセットを、BX538254遺伝子のスプライシングバリアントの発現を検出するためのプライマーセットとしては、具体的には、配列番号32及び33に示される塩基配列からなるプライマーセットを、それぞれ好適に例示することができる。また、上記プローブとしては、配列番号1〜6のいずれかに示される塩基配列に相当するRNAとハイブリダイズしうるアンチセンス鎖の全部又は一部からなるプローブであればとくに制限されるものではないが、プローブとして成立する程度の長さ(少なくとも20ベース以上)を有するものが好ましく、例えば、これらのプローブは、5’側又は3’側、又はその両方に、上記RNAと一部に相補的ではない配列を含んでも、これらとハイブリダイズできる限り、プローブとして用いることができ、また、検出しやすいように、任意の配列を付加したものを用いることもできる。
【0023】
上記標識物としては、ペルオキシダーゼ(例えば、horseradish peroxidase)、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコ−ス−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、アルコール脱水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ペニシリナーゼ、カタラーゼ、アポグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ルシフェラーゼ若しくはアセチルコリンエステラーゼ等の酵素、フルオレスセインイソチオシアネート、フィコビリタンパク、希土類金属キレート、ダンシルクロライド若しくはテトラメチルローダミンイソチオシアネート等の蛍光物質、H 、14C、125I若しくは131I等の放射性同位体、ビオチン、アビジン、又は化学発光物質を挙げることができる。
【0024】
本発明の大腸癌抑制物質のスクリーニング方法としては、(a)大腸癌細胞を、被検物質の存在下又は非存在下で培養し、該培養細胞における、上記本発明のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現量を測定する工程;(b)被検物質の存在下における上記スプライシングバリアントの発現量が、被検物質の非存在下における発現量と比較して低下した場合に、該被検物質を大腸癌の抑制物質と判断する工程;の工程(a)及び(b)を順次含む、大腸癌の抑制物質をスクリーニングする方法であれば特に制限されず、より具体的には、大腸癌細胞を、抗癌剤、抗癌候補物質、低分子化合物、天然有機高分子物質、天然の動植物の抽出物、ペプチドなどの被検物質の存在下で培養し、該培養細胞における、少なくとも1以上の本発明のスプライシングバリアントの発現量を測定し、スプライシングバリアントの発現量が、被検物質非存在下における場合と比べて有意に減少しているとき、被検物質は大腸癌抑制物質として有用である可能性があるといえる。また、上記大腸癌細胞としては、初代培養細胞であっても、株化培養細胞株であってもよいが、ヒト由来の株化大腸癌細胞であることが好ましく、具体的には、Lovo、DLD−1、Colo205、SW948、SK−CO−1、HCC−56、LS123、C170、colo741、SNU−C1、SW480、SW620等の株化細胞を好適に例示することができる。また、上記スプライシングバリアントの発現量を測定する方法としては、RT−PCR法や、リアルタイムPCR法や、ノーザンブロット法等のスプライシングバリアントのmRNA発現量を測定する方法であっても、ELISA法や、ウエスタンブロット法等のスプライシングバリアントのタンパク発現量を測定する方法であってもよいが、複数の測定方法を組み合わせて行うことがより好ましい。
【0025】
本発明の胃癌抑制物質のスクリーニング方法としては、(a)胃癌細胞を、被検物質の存在下又は非存在下で培養し、該培養細胞における、上記本発明のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現量を測定する工程;(b)被検物質の存在下における上記スプライシングバリアントの発現量が、被検物質の非存在下における発現量と比較して低下した場合に、該被検物質を胃癌の抑制物質と判断する工程;の工程(a)及び(b)を順次含む、胃癌の抑制物質をスクリーニングする方法であれば特に制限されず、より具体的には、胃癌細胞を、抗癌剤、抗癌候補物質、低分子化合物、天然有機高分子物質、天然の動植物の抽出物、ペプチドなどの被検物質の存在下で培養し、該培養細胞における、少なくとも1以上の本発明のスプライシングバリアントの発現量を測定し、スプライシングバリアントの発現量が、被検物質非存在下における場合と比べて有意に減少しているとき、被検物質は胃癌抑制物質として有用である可能性があるといえる。また、上記胃癌細胞としては、初代培養細胞であっても、株化培養細胞株であってもよいが、ヒト由来の株化胃癌細胞であることが好ましく、具体的には、HGC−27、NCL−N87、Hs746T、AG5、NCL−SNU−16、NCL−SNU−1、KATAIII、MKN74、MKN1、AZ521−P7a−1G3、AZ521−P7a−ASC、AZ521、MKN45P14GA、MKN45等の株化細胞を好適に例示することができる。また、上記スプライシングバリアントの発現量を測定する方法としては、RT−PCR法や、リアルタイムPCR法や、ノーザンブロット法等のスプライシングバリアントのmRNA発現量を測定する方法であっても、ELISA法や、ウエスタンブロット法等のスプライシングバリアントのタンパク発現量を測定する方法であってもよいが、複数の測定方法を組み合わせて行うことがより好ましい。
【0026】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0027】
[エクソンアレイによる解析]
同一大腸癌患者に由来する2種類の大腸癌細胞株SW480(転移能が無い;American Type Culture Collection)と、SW620(高転移能を有する;American Type Culture Collection)とを培養し、それぞれの細胞より全RNAを抽出した。Whole Transcript Sense Target Labeling and Control Reagents(Affymetrix社製)を用いてmRNAの精製、逆転写およびラベル化を行い、GeneChip Exon Array System for Human(Affymetrix社製)によるエクソンレベルでの網羅的遺伝子発現解析を行った。得られたアレイデータの解析はPartek Genomics Suite(Partek社製)を用いて行い、SW480及びSW620における遺伝子発現パターンの違いを比較検討した。
【実施例2】
【0028】
[ARHGDIB遺伝子スプライシングパターン解析]
実施例1の結果から、SW480及びSW620において異なるスプライシングパターンの存在が示唆された遺伝子に関して、RT−PCRを行い、シークエンスを確認した。その結果、SW620において強い発現が認められるARHGDIB遺伝子の新規な第1エクソン領域を同定した。図1に示すように、ARHGDIBの新規な第1エクソンには6種類のバリエーションが存在し、それぞれsv2a〜sv2fと命名した(sv2a〜sv2fを総称してsv2gとする)。新規エクソンの配列を配列番号1〜6に、新規ARHGDIB遺伝子スプライシングバリアントの配列を配列番号7〜12に示す。
【実施例3】
【0029】
[大腸癌細胞株におけるARHGDIBスプライシングバリアントの発現]
正常大腸組織及び12種類の株化大腸癌細胞における、既知のARHGDIBスプライシングバリアント(sv1)及び、新規ARHGDIBスプライシングバリアント(sv2g)の発現を、配列番号13〜19に示される塩基配列からなるプライマーセットをRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した。図2に結果を示すように、sv1は正常組織では高発現していたが、ほとんどの癌細胞株では低発現あるいは発現が確認できなかった。一方、sv2gの発現は正常組織では全く確認できなかったが、転移性及び原発性の多くの大腸癌細胞株で高発現していることが明らかとなった。また、定量化したsv1及びsv2の発現量の比(sv1/sv2g)を図3に示す。
【実施例4】
【0030】
[胃癌細胞株におけるARHGDIBスプライシングバリアントの発現]
正常胃組織及び14種類の株化胃癌細胞における、既知のARHGDIBスプライシングバリアント(sv1)、及び、新規ARHGDIBスプライシングバリアント(sv2g)の発現をRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した。図4に結果を示すように、sv1は正常組織では高発現していたが、sv2gの発現は正常組織では全く確認できなかった。また、sv2gは転移性及び原発性の多くの大腸癌細胞株で高発現していることが明らかとなった。定量化したsv1及びsv2の発現量の比(sv1/sv2g)を図5に示す。
【実施例5】
【0031】
[胃癌組織におけるARHGDIBスプライシングバリアントの発現]
文書でインフォームド・コンセントの得られた患者10例と、健常人1例を採取源として、胃癌組織と正常胃組織を内視鏡を用いて採取した。それぞれのサンプルにおける既知のARHGDIBスプライシングバリアント(sv1)、及び、新規ARHGDIBスプライシングバリアント(sv2g)の発現をRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した。コピー数解析の結果を図6に示す。正常胃組織における、ARHGDIBsv2gのコピー数は0であったのに対し、胃癌組織においてはARHGDIBsv2gのコピー数が増加していることが明らかとなった。
【実施例6】
【0032】
[GFRA3遺伝子スプライシングパターン解析]
実施例1の結果から、SW480及びSW620において異なるスプライシングパターンの存在が示唆された遺伝子に関して、RT−PCRを行い、シークエンスを確認した。その結果、GFRA3遺伝子の新規な第6エクソン領域を同定した。図7に示すように、GFRA3の新規な第6エクソンには2種類のバリエーションが存在し、それぞれsv002、sv003と命名した。既知のGFRA3sv001及びGFRA3sv201の塩基配列を配列番号20及び21に、新規のGFRA3sv002及びGFRA3sv003の配列を配列番号22及び23にそれぞれ示す。
【実施例7】
【0033】
[大腸癌細胞株におけるGFRA3スプライシングバリアントの発現]
正常大腸組織及び12種類の株化大腸癌細胞における、新規のGFRA3スプライシングバリアントsv002及びsv003の発現を、配列番号24及び25に示される塩基配列からなるプライマーセットを用いたRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した。図8に結果を示すように、GFRA3スプライシングバリアントsv002及びsv003は正常組織では発現していなかったが、いくつかの癌細胞株では高発現していることが明らかとなった。
【実施例8】
【0034】
[胃癌細胞株におけるGFRA3スプライシングバリアントの発現]
正常胃組織及び14種類の株化胃癌細胞における、新規のGFRA3スプライシングバリアントsv002及びsv003の発現を、配列番号24及び25に示される塩基配列からなるプライマーセットを用いたRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した。図9に結果を示すように、GFRA3スプライシングバリアントsv002及びsv003は正常組織では発現していなかったが、いくつかの癌細胞株では発現していることが明らかとなった。
【実施例9】
【0035】
[BX538254遺伝子スプライシングパターン解析]
実施例1の結果から、SW480及びSW620において異なるスプライシングパターンの存在が示唆された遺伝子に関して、RT−PCRを行い、シークエンスを確認した。その結果、BX538254遺伝子の新規な第3〜5エクソン領域を同定した。図10に示すように、BX538254には6種類の新規のスプライシングバリアントが存在し、それぞれsv001〜sv006と命名した。6種の新規BX538254巣プライシングバリアントの塩基配列を配列番号26〜31に示す。
【実施例10】
【0036】
[大腸癌細胞株におけるBX538254スプライシングバリアントの発現]
正常大腸組織及び12種類の株化大腸癌細胞における、新規BX538254スプライシングバリアントの発現を、配列番号32及び33に示される塩基配列からなるプライマーセットを用いたRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した。図11に結果を示すように、正常組織におけるBX538254スプライシングバリアントの発現はわずかに認められたが、いくつかの癌細胞株では高発現していることが明らかとなった。
【実施例11】
【0037】
[胃癌細胞株におけるBX538254スプライシングバリアントの発現]
正常胃組織及び14種類の株化胃癌細胞における、新規BX538254スプライシングバリアントの発現を、配列番号32及び33に示される塩基配列からなるプライマーセットを用いたRT−PCR及びreal−timePCRにより検討した。図12に結果を示すように、新規BX538254スプライシングバリアントは正常組織ではわずかな発現しか認められなかったが、多くの癌細胞株では高発現していることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程(a)及び(b)を順次含む、大腸癌又は胃癌の診断用マーカー遺伝子のスクリーニング方法。
(a)大腸癌細胞株SW480及び大腸癌細胞株SW620における遺伝子発現パターンを、エクソンアレイを用いて網羅的に解析する工程;
(b)上記大腸癌細胞株SW480及び大腸癌細胞株SW620において、異なるスプライシングパターンが認められる遺伝子を選択する工程;
【請求項2】
以下の(i)〜(iii)のいずれかのスプライシングバリアント。
(i)配列番号7〜12のいずれかに示されるDNA配列からなるARHGDIB遺伝子のスプライシングバリアント;
(ii)配列番号22又は23に示されるDNA配列からなるGFRA3遺伝子のスプライシングバリアント;
(iii)配列番号26〜31のいずれかに示されるDNA配列からなるBX538254遺伝子のスプライシングバリアント;
【請求項3】
被検者から採取した生体試料における、請求項2記載のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現を検出することを特徴とする大腸癌又は胃癌の判定法。
【請求項4】
スプライシングバリアントのmRNAの発現を検出することを特徴とする請求項3記載の判定法。
【請求項5】
請求項2記載のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現を検出するためのプライマーセット若しくはプローブ、又はそれらの標識物を備えることを特徴とする大腸癌又は胃癌の判定用キット。
【請求項6】
以下の工程(a)及び(b)を順次含む、大腸癌の抑制物質をスクリーニングする方法。
(a)大腸癌細胞を、被検物質の存在下又は非存在下で培養し、該培養細胞における、請求項2記載のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現量を測定する工程;
(b)被検物質の存在下における上記スプライシングバリアントの発現量が、被検物質の非存在下における発現量と比較して低下した場合に、該被検物質を大腸癌の抑制物質と判定する工程;
【請求項7】
以下の工程(a)及び(b)を順次含む、胃癌の抑制物質をスクリーニングする方法。
(a)胃癌細胞を、被検物質の存在下又は非存在下で培養し、該培養細胞における、請求項2記載のスプライシングバリアントのうち、少なくとも1以上のスプライシングバリアントの発現量を測定する工程;
(b)被検物質の存在下における上記スプライシングバリアントの発現量が、被検物質の非存在下における発現量と比較して低下した場合に、該被検物質を胃癌の抑制物質と判定する工程;
【請求項8】
スプライシングバリアントのmRNAの発現量を検出することを特徴とする請求項6又は7記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−252787(P2010−252787A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70511(P2010−70511)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(590002389)静岡県 (173)
【Fターム(参考)】