説明

大腿骨骨折の治療方法及び大腿骨骨折用デバイス

本発明は、大腿骨骨折を治療するための方法及びデバイスに関し、多軸性の交差部材を使用して大腿骨内での広範な角度及び前傾/後傾に対応し、様々な固定機構を使用してこうした多軸交差部材を所望の方向付けで定位置に保有し保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、大腿骨骨折を治療するための方法及びデバイスに関する。より詳細には、本発明は、大腿骨の骨折を治療するための新規な圧縮ヒップねじ(compression hip screw)及び多軸交差部材(polyaxial cross member)を有する髄内釘組立体(intramedullary nail assemblies)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものとする、2004年3月26日に出願した米国仮特許出願第60/577,027号、名称「Compression Hip Screw and Intramedullary Nail with Polyaxial Adjustable Neck Screw」の優先権を主張するものである。
【0003】
大腿骨骨折の治療に使用される様々なデバイスがある。大腿骨の頚部、骨頭、又は転子間(intertrochanter)の骨折は、様々な圧縮ヒップねじ及び髄内釘組立体でうまく治療されてきた。一般的な圧縮ヒップねじ(CHS)組立体は、通常、円筒部材(barrel member)、ラグスクリュー(lag screw)、及び圧縮ねじを有する側板を備える。側板は大腿骨の外側に固定され、円筒部材は大腿骨骨頭の方向に適切な角度で事前に穿孔された孔の中に挿入される。ねじ切端部及び平滑部分を有するラグスクリューが円筒部材を通して挿入され、破折線又は骨折線を横切って大腿骨骨頭内に延びるようになされている。ねじ切部分は大腿骨骨頭と係合する。圧縮ねじは、ラグスクリューを板に連結する。圧縮ねじの引張力を調整することによって、骨折部の能動的圧縮又は低減を調整することができる。ラグスクリューの平滑部分は円筒部材を通って自由に摺動して、能動的圧縮のために圧縮ねじを調整することができるようにする。更に、ラグスクリューは、患者の体重荷重の下で大腿骨骨頭の適切な角度を維持しながら、円筒部材の内部で摺動して、骨折部の骨折側面が受動的加圧によって互いに圧縮され、骨折を最適に治癒することができるようにする。CHS組立体の幾つかの実施例は、テネシー州、メンフィスの Smith & Nephew Inc.で製造される AmBi Classic 圧縮ヒップねじ組立体や、特許文献1〜6に記載されているものである。
【0004】
典型的な髄内釘組立体は、通常、髄内杆体(intramedullary rod)及び大腿骨骨頭に向けて方向付けられた交差部材を備える。髄内杆体は大腿骨の骨髄管内に挿入される。角度を付けた交差部材は、大腿骨及び髄内杆体の近位端を通って挿入される。髄内釘組立体の幾つかの実施例は、Russell-Taylor(RT)の再建用の釘組立体、及び、テネシー州、メンフィスの Smith & Nephew Inc.で製造されるIMHS(intramedullary hip screw)組立体である。IMHS組立体は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものとする、1991年7月16日に Durham他に発行された米国特許第5,032,125号に記載されている。前述の通常のCHS組立体と同様に、RT再建用釘及びIMHS組立体は、A)外科医が手術中に骨折を軽減するために行うことができる能動的摺動圧縮(active sliding compression)、及びB)患者の体重荷重による受動的摺動圧縮(passive sliding compression)を可能にする。IMHS組立体では、通常のCHS組立体の円筒部材と幾つかの点で同様の円筒部材が使用されるが、RT再建用釘は円筒部を使用せずにそれ自体の構造に依存して能動的/受動的摺動圧縮をもたらす。
【0005】
上述の従来のデバイスは、大腿骨骨頭に向けて方向付けられた固定角度の開口部を有し、その開口部を通して摺動式ラグスクリュー又は交差部材が挿入される。そのため、ラグスクリュー又は交差部材を側板又は髄内杆体に対して単一の固定角度でしか方向付けることができない。したがって、こうしたデバイスで近位大腿骨骨折(proximal femur fractures)を治療する場合、外科医は、患者によって著しく変わる可能性がある患者の解剖学的構造に関係なく、固定された前傾/後傾でインプラントを使用するように制限される。こうした制限により交差部材の配置が最適以下になることが多くなり、そのためスクリューが大腿骨骨頭を切り取り、近位大腿骨に更に損傷を与えてしまうこともある。外科医は、従来の大腿骨骨折用デバイスの固定の前傾/後傾による制約を受け、圧縮ヒップねじを使用する場合は側板を輪郭付けることによって、又は髄内釘組立体を使用する場合は固定角度のラグスクリューが大腿骨の骨折部を横切って適切に配置されるように髄内杆体を位置合せすることによって、患者の解剖学的構造に適応するように調整を行うことができた。しかし、こうした調整には、近位大腿骨の周囲の筋肉及び組織に追加の外科手術が必要な場合が多く、更に患者の健康上の危険性を招くことになる。インディアナ州、ワルソーのBiomet からのVHS(商標)(variable hip screw)と呼ばれる可変の首角度を有する圧縮ヒップねじ組立体がある。しかし、こうしたデバイスでは角度調整に形状精度の高いウォームギア(worm gear)機構が使用されており、連続的に可変の前傾/後傾が可能ではない。
【特許文献1】米国特許第4,432,358号明細書
【特許文献2】米国特許第3,374,786号明細書
【特許文献3】米国特許第2,702,543号明細書
【特許文献4】米国特許第4,530,355号明細書
【特許文献5】米国特許第3,094,120号明細書
【特許文献6】米国特許第3,842,825号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、多軸性(polyaxial)の調整可能な交差部材を使用することによって患者の解剖学的構造の相違に適応することができる大腿骨骨折の治療方法及び大腿骨骨折用デバイスを提供することによって、少なくとも上記の必要性及びその他の必要性に有利に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の一実施形態では、大腿骨の外側に固定されるように構成され第1の開口部を提供する第1のプレートと、一端に固定された多軸性継手を有し第1の開口部を通って延在するように構成された延長部分と、延長部分内に挿入されて大腿骨の骨折部を摺動圧縮し多軸性継手で実現されるように複数の軸の周りで回転することができるように構成された交差部材と、多軸性継手を第1の開口部内で所定の方向に係止するように構成された固定機構とを備える、大腿骨骨折を治療するための装置を提供する。
【0008】
本発明の他の実施形態では、近位端及び遠位端を有し、大腿骨の骨髄管内に挿入されるように構成され、遠位端よりも近位端に近い近位の一対の開口部を含む髄内杆体と、髄内杆体内の近位の対の開口部付近で髄内杆体の内部に挿入される球面性継手と、近位の対の開口部及び球面継手を通って挿入されて大腿骨骨折部を摺動圧縮し球面性継手によって実現されるように複数の軸の周りで回転することができるように構成された交差部材と、髄内杆体の内部にあり多軸性継手を第1の開口部内で所定の方向に係止するように構成された固定機構とを備える、大腿骨骨折を治療するための装置を提供する。
【0009】
代替実施形態は、多軸性継手を定位置に係止する様々な固定機構の使用及びその使用方法を含む。
【0010】
好ましい実施形態を例として示すが、それらは以下の1つ又は複数の図に限定されないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明の実施形態を詳細に参照し、本発明の幾つかの例示の実施形態の態様を添付の図面に示す。図面では、同様の番号は同様の要素を指す。図面は多軸性の調整可能な交差部材を有する大腿骨骨折用デバイスを示し、この交差部材は、A)治療中にこの交差部材が骨折部位を横切って最適角度で配置されるように広範な角度で、かつ前傾/後傾で回転し、B)交差部材が最適角度で配置された後に、大きい体重支持荷重に耐えて、望ましくない軸及び曲げモーメントを阻止することができる。場合によっては数ある利点の中でも特に、ただし本発明による任意の特定の実施形態又はデバイスの操作又は構造に必要ではないが、こうした交差部材による大腿骨骨頭の切除を低減することができる。別の場合では、やはりこの態様は本発明による任意の特定の実施形態又はデバイスの操作又は構造に必要ではないが、1つのサイズのデバイスを様々な角度かつ前傾/後傾で使用することができるため、大腿骨骨折用デバイス又は本発明のための部品の数を大幅に減らすことができる。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態による多軸交差部材を有する多軸圧縮ヒップねじ(CHS)組立体100の態様を示す。この特定の多軸CHS組立体100は、側板110、円筒部材120、交差部材130、圧縮ねじ150、及び固定機構140を備える。図2は、様々な構成要素に分解された図1の圧縮ヒップねじ組立体100を示す。側板110は支持板であり、好ましくは、側板110をたとえば穴112内に入るスクリューなどを介して患者の骨折した近位大腿骨の外部に接触し、又は固定するように形状付けることができる。一実施形態では、側板110は圧縮板でもよい。穴112にねじを切り、又はねじを切らず、あるいはその両方の組み合わせによって、スクリューが固定スクリュー又は圧縮ねじとして働くことを可能とすることができる。一例として、幾つかの穴に固定スクリュー用のねじを切ってしっかりしたスクリュー/板の接触を形成し、幾つかの穴にはねじを切らずに外科手術中に能動的圧縮のために圧縮ねじを受けることができるようにすることができる。他の例では、幾つかの穴、又は全ての穴がねじ切部分及びねじ無し部分を含んで、圧縮ねじ又は固定スクリューを受けるようにすることができる。
【0013】
円筒部材120は、一端に球状又は玉の継手122を組み込み、側板110内の開口部114を通って延在する延長部分である。玉継手122は、好ましくは回転多自由度で運動の所定範囲にわたって開口部114内で、必ずしも必要ではないが好ましくは連続的に、多軸式に旋回することができる。したがって、玉継手122は、開口部114に対する運動範囲にわたり潜在的に無限数の位置を有することができる。あるいは、凹部などの構造又は他の望ましい特徴を備えて、玉継手122を側板110に対するある程度の角度など幾つかの設定だけを可能にする方法で開口部114と協働させることができる。交差部材130は、大腿骨骨頭など大腿骨の近位部と係合することができる構成要素である。一実施形態では、交差部材130はラグスクリューでもよく、簡単にするために本開示を通してそのように記載し、かつ示してある。しかし代替実施形態が考えられ、その場合、交差部材130は、大腿骨骨頭など大腿骨の近位部と係合し、かつそれに固定することができる、ねじ切又はねじ無しの任意の締結要素でもよい。ラグスクリュー130は、ねじ切端部132及び平滑部分134を備える。ラグスクリュー130は、円筒部材120を通して挿入され、骨折線を横切り大腿骨骨頭内に延在する。図で示した特定の実施形態では、圧縮ねじ150は、ラグスクリュー130をねじ孔136を介して円筒部材120かつ/又は玉継手122内に固定する。圧縮ねじ150の張力を調整することによって、骨折部の圧縮(低減)を調整することができる。ラグスクリュー130の平滑部分134は円筒部材120を通って自由に摺動して、能動的圧縮中に圧縮ねじ150を調整することができるようにする。平滑部分134は、患者の体重支持及び筋力による骨折部位の摺動圧縮も提供する。
【0014】
固定機構140は、上板など固定要素144、及び円筒部材120を側板110の一端に固定するスクリューなど1つ又は複数の締結要素146を備える。側板110は、開口部114の周囲に凹部を有して上板144を収容し、所望の場合は上板144が側板110の外面に向かって移動する助けをすることができる。操作の際は、ラグスクリュー130が大腿骨に対して適切な角度で挿入されて、たとえば大腿骨骨頭と係合する。適切な角度が得られた後、円筒部材120はその玉継手122と共に側板110内の開口部114を通してラグスクリュー130上に側板110が大腿骨の側面と接触するまで挿入される。この接合部で、側板110が大腿骨の側部に嵌るまで、好ましくは同一平面になるまで側板110を複数の平面で調整することができる。次いで固定機構140が係合される。この場合、スクリュー146が締めつけられて上板144を側板110に押し付け、玉継手122を4つの側面の開口部114の側壁に偏倚させて、玉継手122がこの側壁と1つ又は複数の領域で接触し、玉継手122を所望の方向付けで定位置に保有し、又は保持する。外科手術は標準の方法で継続され完了される。
【0015】
多軸CHS組立体100は身体インプラントとして、組み合わせた軸方向(回転)及び曲げ(下方かつ軸外の)構成要素で大きい体重支持荷重を受けることができる。たとえば幾つかの理由で、ラグスクリュー130は、インプラント(除去されないものもあるが)の使用年数にわたる通常の周期的荷重は1年当たり約100万回(歩)であるが、患者が一歩進む毎に患者の体重の3倍の荷重を受けることができ、階段を上がったり走ったりする比較的激しい活動については更に大きい荷重を受けることもできる。こうした大きい体重支持荷重により、ラグスクリュー130がその長手軸の周りで望ましくない回転をして、固定機構140を破壊し、玉継手122が所望の方向から外れて移動することがある。したがって、回転止め態様を多軸CHS組立体に組み込んで、その交差部材の回転を阻止することができる。特定の多軸CHS組立体100では、図2で示したように、ラグスクリュー130がくぼみ138でキー止めされる。くぼみ138は、その長手軸に沿って2つの側壁と共に平坦であることが好ましい。したがって、円筒部材120の内部に突起(図示せず)があり、その突起は、ラグスクリュー130が円筒部材120を通って挿入された場合に、円筒部材120の内面からくぼみ138内に突き出る。ゆえに、こうした突起がくぼみ138の側面と隣接し、ラグスクリュー130のねじ切端部132が大腿骨骨頭と係合した後にラグスクリュー130の回転が阻止され、大腿骨骨頭の回転が阻止され、かつ/又はねじ切端部132が骨の外に回転するのが阻止される。しかし、ラグスクリュー130を回転させる回転応力は更に玉継手122上に伝達される。
【0016】
上記で論じたように、ラグスクリュー130への予想される大きい体重支持荷重及びその結果としての回転応力に耐えるため、上記に記載し後で更に説明するように、多軸CHS組立体100が適切な幾何形状を有するように設計することができる。また、こうした多軸CHS組立体の様々な構成要素に適した引張力及び表面テクスチャの種類を有する適切なタイプの材料を予想される荷重を考慮に入れて選択することができる。多軸CHS組立体の追加の実施形態を更に以下に記載する。
【0017】
図3は、本発明の他の実施形態による、多軸交差部材を有する多軸CHS組立体200の態様を示す。多軸CHS組立体200は、固定機構240以外は、図1で示した組立体100と同様に機能する。同様の番号は同様の要素を指す。図4は、固定機構240を更に示すために、様々な構成要素に分解された多軸CHS組立体200を示す。この特定の多軸CHS組立体200では、固定機構240は、全般的に凹形状のクランプなど固定要素244、及び側板110にクランプ締めし玉継手122を側板110に固定するスクリューなど1つ又は複数の締結要素246を備える。クランプ244は側板110の一端と協働して、たとえば円形の開口部など開口部114を形成する。開口部114内で玉継手122は多軸式に旋回することができる。上記のようにラグスクリュー130が大腿骨に対して適切な角度に位置付けられ、側板110が調整された後、1つ又は複数のスクリュー246がクランプ244と側板110の対向するスクリュースロット内で締めつけられて、玉継手122を開口部114の側壁に偏倚させ、玉継手122がこうした側壁と1つ又は複数の領域で接触することができるようにして、玉継手122が所望の方向付けで定位置に保有され保持されるようにする。
【0018】
図3及び図4は、側板110と協働して円形開口部114を形成するクランプ244を示しているが、開口部114が様々な形状を有し、クランプ244及び側板110の一端が様々な形状を有して開口部114の形状を形成する代替実施形態が考えられる。開口部114の様々な形状を、開口部114が玉継手122に適した座部を提供し、玉継手122と1つ又は複数の領域で接触して、上記で論じたように、玉継手122を大きい体重支持荷重の下で所望の方向に維持する助けをするように作成することができる。たとえば、クランプ244と側板110の一端の両方は、協働して図2で示した開口部と同様の長方形の開口部114を形成する半長方形の形状を有することができる。別の例では、クランプ244と側板110の一端は、協働して図23で示した形状の開口部114を形成する形状を有することができる。また、クランプ244及び側板110の一端が互いに異なる形状を有することもできる。
【0019】
図5は、本発明の他の実施形態による、多軸交差部材を有するCHS組立体300の態様を示す図である。多軸CHS組立体300は、固定機構340以外は、図1及び図3で示した組立体100及び200と同様に機能する。同様の番号は同様の要素を示す。図6は、固定機構340を更に示すために、様々な構成要素に分解された多軸CHS組立体300を示す。図で示したように、固定機構340は上板など固定要素344を備え、固定要素344を、玉継手122を側板110に固定するために側板110の一端にねじ込むことができる。やはり図で示したように、上板344は、その表面上に穴を含み、その穴に工具を入れて上板344を回転させることができる。ただし代替実施形態は、上板344の回転に使用すべき任意の工具に適応することができる。上記のようにラグスクリュー130が適切な角度で挿入された後、上板344が側板110の一端にしっかりねじ込まれて、玉継手122を開口部114の側壁に対して偏倚させ、玉継手122がこうした側壁と1つ又は複数の領域で接触することができるようにして、玉継手122が所望の方向付けで定位置に保有され保持されるようにする。
【0020】
上板344にねじを切る他に、上板344は、図16で示したように、1つ又は複数の角度を付けたスロット1620内に配置された1つ又は複数の玉軸受1610を備える内部設計でもよい。この実施形態では、上板344がたとえば時計回りなど一方向に回転されて側板110と玉継手122が係合した場合、各軸受1610は、軸受1610が停止位置に到達するまでそれぞれ角度を付けたスロット1620に沿ってたとえば反時計回りなど他の方向にローリングし、玉継手122とそれぞれ角度を付けたスロット1620の壁の間で圧縮される。したがって、こうした圧縮によって玉継手122が所望の方向付けで定位置に更にしっかりと保有され保持される。
【0021】
図7は、本発明の他の実施形態による、多軸交差部材を有するCHS組立体400の態様を示す。多軸CHS組立体400は、固定機構440以外は、図1、図3、及び図5で示した組立体100、200、及び300と同様に機能する。同様の番号は同様の要素を示す。図8は、固定機構440を更に示すために、様々な構成要素に分解された多軸CHS組立体400を示す。この特定の多軸CHS組立体400では、固定機構440は、上板など固定要素444、及び円筒部材120を側板110の一端に固定するスクリューなど1つ又は複数の締結要素446を備える。この実施形態は、側板110が、上板444を収容するために開口部114の周囲が凹んでいない点で図2で示したものとは異なる。代わりに、図7で示したように、上板444が側板110の一端と衝合するように設置されている。ラグスクリュー130が適切な角度で挿入された後、スクリュー446が締めつけられて上板444を側板110に対して押し付け、玉継手122を開口部114の側壁に対して偏倚させ、玉継手122がこうした側壁と1つ又は複数の領域で接触することができるようにして、玉継手122が所望の方向付けで定位置に保有され保持されるようになされている。
【0022】
本開示で更に繰り返すのを回避するため、次に多軸交差部材を有するCHS組立体の追加の実施形態を、すでに上記に記載した共通の構成要素を更に参照せずに説明する。
【0023】
図9Aは、側板110内を直接見た、本発明の一実施形態による、追加の「圧入スリーブ」固定機構940を有する多軸CHS組立体900の態様を示す。図5〜図6で示した多軸CHS組立体300と同様に、多軸CHS組立体900の側板110は一端に開口部114を含む。固定機構940は、図3〜図4で示した上記の固定機構240など他の固定機構によって開口部114の側壁に固定することができる拡張可能なコレット(collet)944を備える。拡張可能なコレット944は、図9Aで示したように単一片の設計でもよく、又はたとえば図9Bで示したように2片の設計など複数片の設計でもよい。複数片の設計のコレット944は、以下に記載するように他の固定機構と共に使用することができる。
【0024】
図9A及び図9Bで示した特定の実施形態では、円筒部材120は、その長手軸に沿ってテーパが付けられている。図9Cは、テーパを付けた側面を示す、開口部114に向かって長手軸に沿って切り取られた円筒部材120を示す断面図である。図9A及び図9Bで示したように、テーパを付けた円筒部材120が、好ましくはそのテーパを付けた端部が拡張可能なコレット944の中央にある開口部内に所望の角度で先に挿入されて、ラグスクリュー130を覆ったときに、コレット944が開口部114の側壁を圧縮するように強いる。コレット944がテーパを付けた円筒部材120に返す圧力は、テーパを付けた円筒部材120がコレット944内に更に挿入されるときに、テーパを付けた円筒部材120のより大きい径との接触によって、円筒部材120を、したがってラグスクリュー130を適切な角度で定位置に保有し保持する働きをする。したがって、コレット944を図1〜図8で示した玉継手122の代わりに多軸性継手として使用することができる。
【0025】
追加の「圧入スリーブ」固定機構の他の実施形態によれば、図9Cで示したテーパを付けた円筒部材120の一端の表面上に更にねじを切ることができる。図9Dは、テーパを付けた側面及びねじを切った表面を示す、開口部114に向かって長手軸に沿って切り取られた円筒部材120Tを示す断面図である。したがって、コレット944もねじ切円筒部材120Tを受けるためにその中央にある開口部内にねじが切られている。この実施形態では、円筒部材120Tが好ましくはそのテーパを付けた端部が拡張可能なコレット944のねじ切中央開口部内に所望の角度で先に挿入されてラグスクリュー130を覆ったときに、円筒部材120T上のねじが拡張可能なコレット944内のねじと最終的に係合し、円筒部材120Tがそのねじに沿って回転されたときに、コレット944が開口部114の側壁内で拡張し、コレット944が側板110の開口部114に固定される。やはり、円筒部材120Tとのねじ式接触により、コレット944がテーパを付けた円筒部材120に返す圧力は、円筒部材120を、したがってラグスクリュー130を適切な角度で定位置に保有し保持する働きをする。
【0026】
図12は、側板110内を直接見た、固定機構の他の実施形態を有する多軸CHS組立体1200を示す。上記の多軸CHS組立体の一部と同様に、多軸CHS組立体1200の側板110は一端に開口部114を含む。多軸CHS組立体1200は開口部110の側壁内の一部分にある間隙1220も有する。その場合、固定機構はスロット又は穴1240、及びスロット1240内に挿入して側板110の分離された部分を合わせて間隙1220を閉鎖するスクリューなど締結要素1260を含む。したがって、ラグスクリュー130が適切な角度にあり、円筒部材120が開口部114を通って挿入されて所望の方向付けでラグスクリュー130を覆った後に、スクリュー1260がスロット1240内で締めつけられ又は圧縮されて、玉継手122を開口部114の側壁に対して偏倚させ、玉継手122がこうした側壁と1つ又は複数の領域で接触することができるようにし、玉継手122が所望の方向付けで定位置に保有され保持されるようにする。更に、図3〜図4で示した固定機構240と同様に、図12で示した固定機構を使用して、図9Aで示した拡張可能なコレット944を開口部114の側壁に固定することもできる。
【0027】
図13は、側板110内を直接見た、固定機構の他の実施形態を有する多軸CHS組立体1300を示す。上記の多軸CHS組立体の一部と同様に、多軸CHS組立体900の側板110は一端に開口部114を含む。図12で示した実施形態と同様に、やはり側板110も開口部110の側壁の一部に間隙1220を有する。しかし、内部スロット1240の代わりに外部スロット1340が側板110の分離した部分に設けられており、そのスロットを通してスクリューなど締結要素1360を挿入し締めつけて、分離した部分を合わせ、間隙1220を閉鎖して、玉継手122を前に説明したように所望の位置に保有し保持することができる。図13で示したものと同様の他の実施形態では、外部スロット1340及びスクリュー1360の代わりにカムロック、ラッチ、又は任意の知られた係止機構を間隙1220に沿って配置して、側板110の分離した部分を合わせてこうした間隙を閉鎖することができる。更に、図3〜図4で示した固定機構240と同様に、図13で示した固定機構及び上記の代替実施形態を使用して、図9Aで示した拡張可能なコレット944を開口部114の側壁に固定することもできる。
【0028】
図14A及び図14Bは、本発明の他の実施形態による、多軸交差部材を有するCHS組立体1400を示す側面図である。上記の多軸CHS組立体の一部と同様に、多軸CHS組立体1400の側板110は一端に開口部114を含む。ただし、図14Aは2つの半セクション1430と1450から構成された玉継手122の断面図を示す。この実施形態では、円筒部材120を圧入、溶接、一体化(すなわち単一構造として)、又は任意の所望の方法で玉継手122の半セクション1430、1450のいずれか、たとえば第1の半セクション1430に固定することができる。玉継手122の残りの半セクション、たとえば半セクション1450の内部にねじを切ることができ、第1の半セクション1430から分離することができる。円筒部材120が第2の半セクション1450のねじ部を受けるように円筒部材120の一端に更にねじを切って、図14Aの矢印で示したように、第2の半セクション1450が回転されて2つの半セクション1430と1450の間に距離が生じたときに、第1の半セクション1430が定位置に保持されるようにすることができる。したがって、2つの半セクションから形成される玉継手122は、側板110の開口部114内に事前に嵌合される。操作の際、ラグスクリュー130は大腿骨に対して適切な角度で先に挿入されて、たとえば大腿骨骨頭と係合する。適切な角度が得られた後、側板110は事前嵌合された円筒部材120及び玉継手122と共に大腿骨の側面に導入されて、円筒部材120がラグスクリュー130を覆って配置されるようにすることができる。やはりこの接合部で、側板110が大腿骨の側面に嵌るまで、好ましくは同じ平面になるまで側板110を複数の平面で調整することができる。次いで図14Bで示したように、円筒部材120を回転させて、玉継手122の2つの半セクション1430、1450を分離し、開口部114の縁部に対して圧縮して、玉継手122を所望の方向付けで定位置に保有し保持する。外科手術は標準の方法で継続され完了される。
【0029】
図15は、多軸交差部材を有するCHS組立体1500の他の実施形態を示す。この実施形態には、玉継手122の代わりに2つの半セクション1530と1550から形成される多軸性継手がある。側板110は、開口部114(図では隠れている)が2つの半セクション1530と1550の形状に適応するように形状付けられている。たとえば、特定のCHS組立体1500では、側板110は開口部114及び2つの半セクション1530と1550で湾曲している。円筒部材120を圧入、溶接、一体化(すなわち単一構造として)、又は任意の所望の方法で第1の半セクション1530に固定することができる。第2の半セクション1550の内部にねじを切り、側板110によって第1の半セクション1550から分離することができる。円筒部材120の一端に更にねじが切られて、ねじ切の第2の半セクション1550が円筒部材120と係合することができるようにする。ラグスクリュー130が適切な角度に設置された後、円筒部材120を、取り付けられた半セクション1530と共にラグスクリュー130を覆うように配置することができる。次に側板110が大腿骨に取り付けられて、円筒部材120が側板110内の開口部114を通って突き出るようにする。この実施形態では、開口部114は円筒部材120よりも大きく、円筒部材120が所望の方向に設置されることができるようになされている。したがって、第1の半セクション1530が円筒部材120によって定位置に保持されている間に、第2の半セクション1550が円筒部材120上にねじ込まれて側板110を多軸性継手の2つの半セクション1530と1550の間で圧縮する。結果として生じる圧縮によって円筒部材120が所望の方向付けで定位置に係止される。代替実施形態では、円筒部材120を圧入、溶接、一体化(すなわち単一構造として)、又は任意の所望の方法で第2の半セクション1550に固定し、第1の半セクション1530の内部にねじを切ることができる。円筒部材120もその表面上にねじを切り、ねじ切の第1の半セクション1530と係合させて、円筒部材120を回転させた場合に、第2の半セクション1550が側板110に対して圧縮され、第1の半セクション1530も側板(110)に対して圧縮されるようにして、円筒部材120を所望の方向付けで定位置に保持する。
【0030】
多軸性継手が、玉継手でも図15で示したものでもなく、長手軸に基づく単軸運動を行うことができるシリンダであり、ラグスクリュー130をその運動の単軸に沿って任意の角度に設置することができる代替実施形態が更に考えられる。
【0031】
図17A及び図17Bは、側板110内を直接見た、固定機構の他の実施形態を有する多軸CHS組立体1700の態様を示す。この実施形態では、固定機構は、開口部114の側壁に沿った任意の場所に玉継手122と側板110の間で開口部114内に挿入して玉継手122の動作を妨げることができるスクリューなど干渉要素1710を備える。図17Bは、スクリュー1710を有する、図17Aの線A−A’に沿って切り取られた断面図である。スクリュー1710によって生じる干渉から得られる圧力によって玉継手122の移動が阻止される。あるいは、玉継手122及び/又はスクリュー1710を、スクリュー1710が開口部114内で締めつけられ、又は圧縮されたときに変形可能にして、こうした変形によって玉継手122が移動するのを阻止し、玉継手122を所望の方向付けで定位置に保有し保持することができる。図17A及び図17Bでは干渉要素1710が1つしか示されていないが、開口部114の側壁に沿って挿入されて玉継手122を更にしっかり保持し、上記で論じたように、ラグスクリュー130に加えられる大きい体重支持荷重に耐えることができる2つ以上の干渉要素1710がある代替実施形態が考えられる。更に、図17A及び図17Bで示した固定機構及び上記の代替実施形態を使用して、図9Bで示した複数セクションの拡張可能なコレット944を開口部114の側壁に固定することもできる。
【0032】
図18A及び図18Bは、側板110内を直接見た、玉継手122を定位置に係止するための、図17A及び図17Bの上記の実施形態と同様の干渉の概念を用いた固定機構の他の実施形態を有する多軸CHS組立体1800の態様を示す。この実施形態では、固定機構は、側板110から出て玉継手122を側板110の開口部114内に係合させるスクリューなど干渉要素1810も備える。スクリュー1810を、開口部114の周囲に沿った任意の位置に配置して、玉継手122と係合さすることができる。スクリュー1810は開口部114の側壁を通って、又はこうした側壁に隣接する領域から突き出ることができる。図18A及び図18Bで示したように、スクリュー1810を玉継手122に接触させて、その結果として生じる圧力によって玉継手122の移動が阻止される。あるいは、スクリュー1810と玉継手122の強制された接触によって、両方の要素の接触領域を変形させ、玉継手122の移動を阻止することができる。図18A及び図18Bで更に示すように、スクリュー1810が玉継手122と接触する限り、スクリュー1810を側壁114に沿った任意の位置に配置することができる。図18A及び図18Bには干渉要素1810が1つしか示されていないが、開口部114の側壁に沿って挿入されて玉継手122を更にしっかり保持し、上記で論じたようにラグスクリュー130に加えられる大きい体重支持荷重に耐えることができる2つ以上の干渉要素1810がある代替実施形態が考えられる。更に、図18A及び図18Bで示した固定機構及び上記の代替実施形態を使用して、図9Bで示した複数セクションの拡張可能なコレット944を開口部114の側壁に固定することもできる。
【0033】
図19は、側板110内を直接見た、固定機構の他の実施形態を有する多軸CHS組立体1900の態様を示す。この実施形態では、固定機構は、図18A、図18Bで示したスクリュー1810と同様の位置、すなわち開口部114の側壁に沿った任意の位置に配置されている。固定機構は、スクリューなど締結要素1910、及びばね式部材1930を備える。スクリュー1910はばね式部材1930内の開口部を通って挿入されて、ばね式部材1930に圧力を加え、ばね式部材1930をまっすぐにする。ばね式部材1930がまっすぐになると、ばね式部材1930は玉継手122を側板110内の開口部114の側壁とばね式部材の間で圧縮して、玉継手を円筒部材120に対して所望の方向付けで定位置に保有し保持する。更に、図19で示した固定機構を使用して、図9Bで示した複数セクションの拡張可能なコレット944を開口部114の側壁に固定することもできる。
【0034】
図20は、側板110内を直接見た、固定機構の他の実施形態を有する多軸CHS組立体2000の態様を示す。この実施形態では、固定機構2000は回転部材2010及び加圧部材2030を有するカムロックである。回転部材2010を回転させて、加圧部材2030に力を加え、次いで加圧部材2030が加圧部材2030と開口部114の側壁の間で玉継手122と係合し、それを圧縮して、玉継手122を所望の方向付けで定位置に保有し保持することができる。回転部材2010は、オーバセンタ形状を含んで、ある位置を越えて回転されると、それ自体を加圧部材2030に対して定位置に保持することができる。
【0035】
上記の多軸CHS組立体の様々な実施形態では、開口部114の内面又は側壁は様々な幾何形状を有することができる。たとえば、図10Aは図9の線A−A’に沿って切り取られた開口部114の断面図であり、開口部114は湾曲した又は球面の側壁1015で包囲されている。側壁1015は、玉継手122と同じ曲率を有して、玉継手122が開口部114内に挿入され所望の方向に設置された場合に、玉継手122が側壁1015と1つ又は複数の領域で接触して、玉継手122を所望の方向付けで定位置に保持する際に、上述の固定機構の1つを助けることができるようになされている。他の実施例では、図10Aでも示したように、開口部114はテーパを付けた側壁1025で包囲され、側壁1025は側壁の縁部に突起部1027を有して、少なくとも2点で玉継手122を把持して圧縮し、又はそれと接触する助けをし、玉継手122を所望の方向付けで定位置に保持する際に上述の固定機構の1つを助ける。突起部1027を要望どおりに構成し、配置し、方向付けることができる。他の実施例では、図2、図4、図6、図8、図12、図13、図16、図19、及び図20で示した側板110内の開口部114の側壁に、側壁が側板の(大腿骨から外に面し図で示されている)前面から(大腿骨に面し図では隠れている)後面に延びるに従ってテーパを付けて、玉継手122にしっかりした座部を提供することができる。更に、図2、図6、及び図8で示した上板144、344、及び444は、反対方向にテーパを付けた開口部を有することができる。すなわち、こうした開口部の側壁に、側壁が上板の(大腿骨に面し図では隠れている)後面から上板の前面に延びるに従ってテーパを付ける。テーパを付けた開口部114と図2、図6、又は図8の上板内のテーパを付けた開口部の組み合わせによって、その間で玉継手122を更にしっかり保持することができる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、開口部114の側壁は様々な幾何形状を有することができ、更に、たとえば図10Bで示したような隆起したバンプなど1つ又は複数の突起部1030を備えることができ、したがって玉継手122はたとえばその表面上に(たとえばゴルフボールと同様の)小凹点など1つ又は複数のくぼみ1040を含むことができる。図10Bは、図示目的で突起部1030及びくぼみ1040を少ししか示していない。突起部1030を開口部114の側壁中に一様に分配し、同様に、くぼみ1040を玉継手122の表面上に一様に分配することができることを留意されたい。あるいは、突起部1030を玉継手122の表面上に一様に分配し、くぼみ1040を開口部114の側壁中に一様に分配することができる。突起部1030とくぼみ1040が分配される場合は、それらの協働により玉継手122を事前設置された角度に限定することができる。しかし、こうした協働によって、玉継手122を事前設置した角度に更にしっかり保持し、ラグスクリュー130が上述の大きい体重支持荷重に耐える助けをすることができる。したがって、突起部1030とくぼみ1040の密集度、及びそれらの開口部114の側壁及び玉継手122の表面上の位置を戦略的に選択して、所望の軸の周りでの玉継手122の所望の角度を提供することができ、こうした角度及び所望の軸は、摺動圧縮など骨折の治療のために人間の解剖学的構造に適応するのに有用であることが判明している。次いで玉継手122を円筒部材120に対して所望の位置に回転させ、1つ又は複数の突起部1030が玉継手122の表面上の1つ又は複数のくぼみ1040と位置合せされ、又は掛止めされて、玉継手122が所望の方向に更にしっかり保持される。
【0037】
玉継手122が使用されている上記の多軸CHS組立体の様々な実施形態の一部又は全てにおいて、玉継手122は、拡張用の1つ又は複数のスロットあるいはスリットを有するコレットタイプの玉継手でもよい。図11は、好ましくは玉継手122を開口部114内に挿入する軸に全般的に沿った方向に配置された拡張スロット1221を有する玉継手122を示す断面図である。玉継手122が開口部114に対して偏倚されて所望の方向付けで定位置に保持されるときに、玉継手122は拡張スロット1221を圧縮し、拡張スロット1221が(拡張スロット1221のばね様動作によって)拡張力に反対して玉継手122を開口部114に対して更に押し付け、玉継手122を所望の方向に保持する助けをする。
【0038】
多軸CHS組立体の上記の実施形態の一部又は全ては、玉継手122を収容するための側板110内の長方形、正方形又は円形の開口部114を示しているが、開口部114が玉継手122に適した座部をもたらす円形、楕円形、多角形、あるいは他の形状、又はその任意の組み合わせでもよい他の実施形態が考えられる。
【0039】
更に、多軸組立体の上記の実施形態の一部又は全ては、玉継手122を円筒部材120の一部又は一体化されたものとして示しているが、玉継手122が円筒部材120とは別の構成要素であるが任意の所望の方法で円筒部材120の一端に取り付けられ、固着され、又は固定される代替実施形態が考えられる。
【0040】
また、多軸CHS組立体の上述の実施形態の一部又は全てでは、スクリューが締結要素として使用されることが記載されているが、それぞれ上述の締結要素がまっすぐなスクリュー、テーパを付けたスクリュー、テーパを付けたピン、釘、リベット、ボルト(及びナット)、又は玉継手122を締結する目的で、かつ/又はそれと接触するために使用して、玉継手122に圧力を加え、又は圧縮し、かつ/又は玉継手122の移動を阻止することができる任意の要素でもよい、代替実施形態が考えられる。
【0041】
図21は、本発明の一実施形態による、多軸交差部材を有する他の大腿骨骨折用デバイス、すなわち髄内釘(IM)組立体2100の態様を示す。髄内釘組立体2100は、近位端及び近位端に遠位のステム(図示せず)を有する髄内杆体2110を備える。近位端付近に互いに対向する開口部2114と2115がある。髄内釘組立体2100は更に、玉継手2122、固定機構2116、玉継手2212との摺動式接触を保持して治療すべき骨折部を摺動圧縮することができるようにする交差部材(図示せず)、及び開口部2115及び玉継手2122を通って延びて交差部材と係合する髄内杆体2110の反対側にある圧縮部材(図示せず)を備える。
【0042】
止めねじなど固定機構2116は玉継手2122を定位置に固定するように構成される。固定機構2116は、まっすぐなねじ、テーパを付けたねじ、まっすぐなピン、テーパを付けたピン、釘、又は玉継手2122に圧力を加え、こうした玉継手の移動を阻止することができる任意の要素でもよい。髄内釘組立体2100内の交差部材は大腿骨頚部も通り、骨折線を横切り、大腿骨骨頭内に延びる。したがって、髄内釘組立体2100は上記の様々な多軸圧縮ヒップねじ組立体で示した交差部材130と同様に機能する。圧縮部材を調整して骨折部の圧縮(低減)を調整することができ、したがって、圧縮部材は上記の様々な多軸圧縮ヒップねじ組立体で示した圧縮部材150と同様に機能する。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、髄内釘組立体2100は、たとえば、交差部材を受けるために使用されるIMHS組立体の従来の円筒部が貫通孔を有する玉継手2122に取って代わられている以外は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする、1991年7月16日に Durham 他に発行された米国特許第5,032,125号に記載された従来のIMHS組立体に幾つかの点で構造的に同様のものである。あるいは、髄内釘組立体2100は更に、上述の多軸CHS組立体の1つの円筒部材120と構造的かつ機能的に同様の円筒延長部を備え、こうした円筒延長部が開口部2114を通って髄内杆体2110の外に突き出ている。やはり、髄内杆体2110の内部設計は、玉継手2122を受けるように構成され、玉継手2122は髄内杆体2110内で連接され、設置機構2116で定位置に係止される。玉継手2122内の貫通孔は、髄内杆体2110内の開口部2114を介して交差部材を受けるように構成される。操作の際は、髄内杆体2110が大腿骨の骨髄管内に先に挿入される。次に、交差部材が大腿骨、髄内杆体2110内の開口部2115、及び玉継手2122を通り、開口部2114を通って適切な角度で大腿骨まで挿入される。適切な角度が得られた後、設置機構2116は玉継手2122上に(たとえば締めつけ、又は圧縮によって)圧力を加えて、玉継手2122、したがって交差部材を所望の方向付けで定位置に係止する。
【0044】
したがって、多軸髄内釘組立体2100は、交差部材の前傾/後傾の角形成が可能である点で、上記の多軸圧縮ヒップねじ組立体と同様に機能する。
【0045】
図22は、本発明の他の実施形態による、多軸髄内釘組立体2200を示す。髄内釘組立体2200は、玉継手2122を所望の方向に係止するために設置機構2116の代わりにカムロック2250が使用されている以外は、図2で示した髄内釘組立体2100と構造的かつ機能的に同様である。カムロック2250は、やはり回転部材2253及び加圧部材2255を備えている点で、図20で示したものと同様である。また、回転部材2053を回転して、加圧部材2255を押し上げ、次いで加圧部材2255が玉継手122と係合し圧縮して、所望の方向での移動を阻止することができる。回転部材2253は、オーバセンタ形状を含んで、ある位置を越えて回転されると、加圧部材2030に対してそれ自体を定位置に保持することができるようになされている。
【0046】
多軸CHS組立体の上記の実施形態の開口部114の側壁と同様に、髄内釘組立体の上記の様々な実施形態の髄内杆体2110の内部にある玉継手2122用の座部(たとえば髄内杆体2110の内側壁)は、球状又はテーパを付けるなど様々な幾何形状を有することができる。たとえば、座部は、玉継手2122を定位置に押し込めて、設置機構2116又はカムロック2250が玉継手2122に圧力を加えたときに玉継手2122を係止することができる円錐形のテーパを付けたセクションでもよい。玉継手2122の係止を向上させるため、図10Bを参照して前に記載したように、こうした座部は更に、たとえば隆起したバンプなど1つ又は複数の突起を含むことができ、したがって、玉継手122は(たとえばゴルフボールと同様の)小凹部など1つ又は複数のくぼみ1040をその表面に含むことができる。また前に図9Dで示したように、玉継手2122は、こうした玉継手の係止を向上させるために、1つ又は複数の拡張スロットを有するコレットタイプの玉でもよい。
【0047】
本発明の追加の実施形態によれば、髄内釘組立体の交差部材のための上記の多軸設計を釘組立体の他の締結及び/又は固定要素に当てはめることもできる。たとえば、(多軸髄内釘組立体の上記の実施形態の)玉継手2122、又は(多軸CHS組立体の上記の実施形態の)玉継手122と同様の玉継手を固定要素と共に使用して、髄内杆体2116の遠位端を大腿骨の骨髄管内に固定する際にその方向付けを最適にすることができる。この参照によりその全体が本明細書に組み込まれているものとする、1989年5月9日に David L.Brumfield に発行された米国特許第4,827,917号は玉継手を共に使用することができるこうした固定要素を開示している。更に、同じ特許で開示された髄内釘組立体は2つの交差部材を備えており、その1つはラグスクリューであり、他方は追加の固定要素である。したがって、玉継手2122が2つ以上の貫通孔(したがって2つ以上の対の開口部2114、2115)を含んで複数の交差部材を収容することができ、又は髄内杆体2116を複数の交差部材のために2つ以上の玉継手を収容するように構成することができる、代替実施形態が考えられる。また、玉継手2122は、1つは交差部材を収容するためであり、もう1つは交差部材用の案内ワイヤを収容するための、2つ以上の貫通孔を含むことができる。
【0048】
本発明を好ましい実施形態を参照して記載したが、当業者が同じ又は同様の結果を得るために他の実施形態とすることも可能である。本発明の変形形態及び修正形態は、本開示に基づけば、当業者には明らかであって、本発明はこうした修正形態及び等価のものを全て包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態による、多軸圧縮ヒップねじ(CHS)組立体の態様を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による、様々な構成要素に分解された、図1で示した多軸CHS組立体を示す図である。
【図3】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による、様々な構成要素に分解された、図2で示した多軸CHS組立体を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による、様々な構成要素に分解された、図5で示した多軸CHS組立体を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による、様々な構成要素に分解された、図7で示した多軸CHS組立体を示す図である。
【図9A】本発明の様々な実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図9B】本発明の様々な実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図9C】本発明の様々な実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図9D】本発明の様々な実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図10A】本発明の一実施形態による、多軸CHS組立体の側板内の開口部の側壁又は内面の様々な構成を示す図である。
【図10B】本発明の一実施形態による、多軸CHS組立体の側板内の開口部の側壁又は内面の様々な構成を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態による、圧縮ヒップねじ(CHS)組立体で使用される多軸性継手の一実施形態を示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図14A】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図14B】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図15】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図16】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図17A】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図17B】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図18A】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図18B】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図19】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図20】本発明の他の実施形態による、多軸CHS組立体の態様を示す図である。
【図21】本発明の他の実施形態による、多軸髄内(IM)釘組立体の態様を示す図である。
【図22】本発明の他の実施形態による、多軸髄内(IM)釘組立体の態様を示す図である。
【図23】本発明の一実施形態による、圧縮ヒップねじの側板内の開口部の例示の形状を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
100、200、300、400、900、1200、1300、1400、1500、1700、1800、1900 多軸CHS組立体
110 側板
112 穴
114、2114、2115 開口部
120、120T 円筒部材
122、2122 玉継手
130 交差部材
132 ねじ切端部
134 平滑部分
136 ねじ孔
138 くぼみ
140、240、340、440、940、2000 固定機構
144、344、444、上板
146、246、446、1260、1360、1400 締結要素
150 圧縮ねじ
244 クランプ
944 コレット
1015 球面側壁1
1025 側壁
1027、1030 突起部
1040 くぼみ
1220 間隙
1221 拡張スロット
1340 スロット
1430、1450、1530、1550 半セクション
1610 軸受
1620 角度を付けたスロット
1710、1810、1910 スクリュー
1930 ばね式部材
2010、2253 回転部材
2030、2255 加圧部材
2100、2200 髄内釘組立体
2110 髄内杆体
2116 設置機構
2250 カムロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨の外部に固定されるように構成され、第1の開口部を提供する第1のプレートと、
一端に取り付けられた多軸性継手を備えた延長部分であって、前記第1の開口部を通って延在するように構成された延長部分と、
前記延長部分内への挿入のために構成された交差部材であって、大腿骨骨折部を摺動圧縮し、前記多軸性継手によって実現されるように複数の軸の周りで回転することができる交差部材と、
前記多軸性継手を前記第1の開口部内で所定の方向に保持するように構成された固定機構と、
を含んでなることを特徴と大腿骨骨折を治療するための装置。
【請求項2】
前記第1のプレートが前記第1の開口部を含み、前記固定機構が、
前記多軸性継手を前記第1の開口部内に固定するように構成された第2のプレートと、
前記第2のプレートを前記第1のプレートに締結して前記多軸性継手を所定の方向に保持するように構成された少なくとも1つの締結要素と、
を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の開口部を取り囲む前記第1のプレートの領域が前記第2のプレートの形状に押し下げられて、前記第2のプレートが前記第1のプレートに締結されるときに、前記第2のプレートを前記第1のプレートの外面に移動させることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のプレートが前記第1のプレートに締結されるときに、前記第1のプレートと前記第2のプレートが異なる平面上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記固定機構が、
前記第1のプレートと共に前記第1の開口部を形成し、前記多軸性継手を前記第1の開口部内に固定するように構成された固定要素と、
前記固定要素を前記第1のプレートに締結して前記多軸性継手を前記第1の開口部内で所定の方向に保持するように構成された少なくとも1つの締結要素と、
を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記固定要素が、前記第1のプレートの一端で第2の形状を補足する第1の形状を有して前記開口部用の湾曲した形状を形成することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のプレートが前記第1の開口部を含み、前記固定機構が、
前記第1のプレートにねじ込まれて、前記多軸性継手を前記第1の開口部内に固定し、前記多軸性継手を前記所定の方向に保持するように構成された第2のプレートを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記固定機構が前記第1の開口部の内側に配置された拡張可能なコレットを含んでなり、
前記延長部分にその長手軸に沿ってテーパが付けられ、前記延長部分が前記多軸性継手を前記第1の開口部内に前記所定の方向に係止するように拡張可能なコレット内に挿入可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記多軸性継手が、少なくとも1つの湾曲した表面及び1つ又は複数の拡張スロットを備えた部材を含んでなることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記テーパを付けた延長部分の一端にねじが切られ、前記部材がねじ込まれて前記テーパを付けた延長部分のねじ切端部に固定されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記拡張可能なコレットが複数の分離したセクションを含んでなることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記多軸性継手が少なくとも1つの球面を有する部材を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記部材が1つ又は複数の表面形状を有する表面を含んでなり、前記開口部が前記部材の表面形状と物理的に協働する1つ又は複数の表面形状を有する内面を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記開口部が湾曲した内面を含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記開口部がテーパを付けた内面を含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記固定要素が、前記第1のプレートと一体の一端及び間隙によって第1のプレートと分離された他端を有するように構成され、
前記少なくとも1つの締結要素が、前記固定要素を前記第1のプレートに前記間隙で締結するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの締結要素が、前記固定要素を前記第1のプレートに前記第1のプレートの外周で締結するように構成されていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記球状部材が複数の分離したセクションを含んでなることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記第2のプレートが1つ又は複数の玉軸受を備え、該玉軸受が、前記多軸性継手を所定の方向に更にしっかり保持するために前記第2のプレートが前記第1のプレートにねじ込まれると前記多軸性継手と接触することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項20】
前記固定機構が、
前記第1の開口部の内面と前記多軸性継手の間に挿入されるように構成された干渉要素を含み、該干渉要素が、前記多軸性継手の移動を阻止し、前記多軸性継手を前記第1の開口部内で所定の方向に係止していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記固定機構が、
干渉要素を含み、該干渉要素が、前記開口部の周囲の一位置から突き出て前記多軸性継手に圧力を加え、前記多軸性継手の移動を阻止し、前記多軸性継手を前記第1の開口部内で前記所定の方向に係止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記固定機構が、
ばね式部材及び締結要素を含んでなり、
前記締結要素が前記ばね式部材に圧力を加えて前記ばね式要素の長さを延長するように構成され、
前記ばね式部材が、前記加えられた圧力に応答して前記第1の開口部の周囲の一位置から突き出て、前記多軸性継手を前記第1の開口部内で前記所定の方向に係止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記固定機構が、
回転部材及び加圧部材を備えたカムロックを含んでなり、前記加圧部材が、前記回転部材の回転に基づいて前記開口部の周囲の一位置から突き出て前記多軸性継手に圧力を加えて前記多軸性継手の移動を阻止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項24】
大腿骨の外部に固定されるように構成され、第1の開口部を提供する第1のプレートと、
一端に取り付けられた多軸性継手を備え、前記第1の開口部を通って延在するように構成された延長部分と、
前記延長部分内に挿入されて、大腿骨骨折部を摺動圧縮し、前記多軸性継手によって実現されるように複数の軸の周りで回転することができるように構成された交差部材と、
を含んでなり、
前記多軸性継手が、前記第1の開口部の両側に配置されて前記第1のプレートをその間で圧縮し、前記延長部分を所定の方向付けで定位置に係止する2つのセクションを含んでなることを特徴とする大腿骨骨折を治療するための装置。
【請求項25】
大腿骨の外部に固定されるように構成され、第1の開口部を提供する第1のプレートと、
一端に取り付けられた円筒形の継手を有し、前記第1の開口部を通って延在するように構成された延長部分と、
前記延長部分内に挿入されて、大腿骨骨折部を摺動圧縮し、前記円筒形継手によって実現されるように軸の周りで回転することができるように構成された交差部材と、
前記多軸性継手を前記第1の開口部内で所定の方向に係止するように構成された固定機構と、
を含んでなることを特徴とする大腿骨骨折を治療するための装置。
【請求項26】
近位端及び遠位端を有し、大腿骨の骨髄管内に挿入されるように構成され、前記遠位端よりも前記近位端に近い近位の一対の開口部を含む髄内杆体と、
前記髄内杆体内の前記近位の対の開口部付近で前記髄内杆体の内部に挿入される球面継手と、
前記近位の対の開口部及び前記球面継手を通して挿入されて、大腿骨骨折部を摺動圧縮し、前記球面継手によって実現されるように複数の軸の周りで回転することができるように構成された交差部材と、
前記髄内杆体の内部にあり、前記多軸性継手を前記第1の開口部内で所定の方向に係止するように構成された固定機構と、
を含んでなることを特徴とする大腿骨骨折を治療するための装置。
【請求項27】
前記固定機構が、
前記球面継手に圧力を加えて前記球面継手を前記所定の方向に係止するように構成された設置要素を含んでなることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記設置要素がねじを含んでなることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記固定機構が、
回転部材及び加圧部材を備えたカムロックを含んでなり、前記加圧部材が、前記回転部材の回転に基づいて前記球面継手に圧力を加えて前記多軸性継手の移動を阻止するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項30】
前記球面継手が第1の貫通孔を備え、該貫通孔がそれを貫通して前記交差部材を受けるように構成されていることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記球面継手が少なくとも2つの貫通孔を備え、そのうちの一方がそれを貫通して前記交差部材を受けるように構成されていることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項32】
前記球面継手の他方の貫通孔が他の交差部材を受けるように構成されていることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記球面継手の他方の貫通孔が、前記交差部材を案内するために使用される案内機構を受けるように構成されていることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記球面継手と係合し前記近位の対の開口部のうちの少なくとも一方を通して前記髄内杆体の外に延びる延長部分を更に含んでなることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項35】
前記髄内杆体内の前記近位の対の開口部付近で前記髄内杆体の内部に挿入される他の球面継手を更に含んでなることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項36】
交差部材を大腿骨の骨頭内に所望の角度で挿入するステップと、
延長部分を第1のプレート内の第1の開口部を通して配置して前記交差部材の一部を包囲するステップと、
前記延長部分内を包囲する前記交差部材によって大腿骨骨折部の摺動圧縮を可能にするステップと、
前記第1のプレートを大腿骨の側面に接触するように配置し、前記延長部分の一端に固定された多軸性継手を回転することによって、前記第1の開口部及び前記交差部材の包囲を介して前記延長部分を所望の角度に維持するステップと、
前記第1のプレートが大腿骨の側面の所望の位置に配置された後、固定機構を係合させて前記多軸性継手を前記交差部材の所望の角度に対応する方向に係止するステップと、
を含んでなることを特徴とする大腿骨骨折を治療する方法。
【請求項37】
近位端及び遠位端を有し、前記遠位端よりも前記近位端に近い近位の一対の開口部及び前記髄内杆体の内部で前記近位の対の開口部付近にある球面継手を更に有する髄内杆体を大腿骨内に挿入するステップと、
大腿骨骨頭と係合させるために交差部材を挿入するのに適切な角度を決定するステップと、
前記球面継手を前記交差部材が前記大腿骨骨頭と係合するのに適切な角度に対応する方向に回転させるステップと、
固定機構を係合させて前記球面継手を前記対応する方向に係止するステップと、
前記交差部材を前記対の近位の開口部及び前記球面継手を通して挿入して前記大腿骨骨頭と係合させ、前記交差部材が大腿骨骨折部の摺動圧縮を可能にするステップと、
を含んでなることを特徴とする大腿骨骨折を治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2008−500844(P2008−500844A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505276(P2007−505276)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/010462
【国際公開番号】WO2005/094707
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(397071355)スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド (186)
【Fターム(参考)】