説明

大規模漏れテスト方法および装置

【課題】大規模漏れテストの方法と装置とが提供される。
【解決手段】本装置は、トレースガスを含有するサンプルを受け入れるよう構成されたテストラインと、トレースガスを受け入れる入口を有するとともに、トレースガスを検出するよう構成された質量分光計と、軽いガスに対して比較的高い逆流流量を与え、重いガスに対して比較的低い逆流流量を与えることを特徴とする第1真空ポンプであって、ポンプ入口とフォアラインとを有し、ポンプ入口が質量分光計入口に結合されている第1真空ポンプと、第1真空ポンプをバックアップするよう構成された第2真空ポンプとを含む。本装置は、(i)ポンプ入口、(ii)フォアライン、または(iii)第1真空ポンプがターボ分子ポンプの場合は中間ステージライン、のいずれかと、テストラインとの間に結合されたトレースガス透過性部材を更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品における漏れ検出に関し、更に詳しくは、大規模漏れを含む広範囲な漏れ流量(レート)に亘るヘリウム漏れの検出方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘリウム質量分光計による漏れ検出は周知の漏れ検出技術である。ヘリウムは、密封されたテストピースにおける漏れ穴(リーク)のうち最小規模の漏れ穴を通過するトレースガスとして使用される。漏れ穴を通過した後、ヘリウムを含有するテストサンプルは漏れ検出器に吸引されて計測される。漏れ検出器の重要な構成要素は、ヘリウムを検出測定する質量分光管である。投入されたテストサンプルは、ヘリウム成分を分離するために、分光管によりイオン化され、質量分析される。一つの方法として、テストピースをヘリウムで加圧する方法がある。漏れ検出器のテスト口に接続された探知プローブを、テストピースの外部周囲で移動させる。ヘリウムはテストピースにおける漏れ穴を通過し、プローブに吸引され、そして漏れ検出器により測定される。別の方法として、テストピース内部を漏れ検出器のテスト口に連結して排気する方法がある。ヘリウムをテストピースの外部で噴出させ、漏れ穴を介して内部へ吸引し、そして漏れ検出器により計測する。
【0003】
ヘリウム質量分光計による漏れ検出に関連する問題の1つとして、質量分光管の入口を、通常2×10-4Torrの比較的低い圧力に維持しなければならないということがある。いわゆる従来の漏れ検出器において、テストピースまたは探知プローブに接続されたテスト口は比較的低い圧力に維持しなければならない。かくして、真空ポンプサイクルは比較的長くなる。更に、漏れやすい部分または大容量部分のテストでは、所望の圧力レベルに到達させることが困難であるか不可能である可能性がある。所望の圧力レベルに到達させることができても、ポンプサイクルはきわめて長くなる。
【0004】
この問題を解決するために従来技術において種々の技術が提案されている。ブリッグスに対して1972年9月12日に発行された特許に係る下記特許文献1に開示された向流漏れ検出器は、拡散ポンプを介する質量分光計へのヘリウムの逆流技術を利用している。漏れ検出器テスト口は、拡散ポンプのフォアラインの圧力で動作させることができる。類似した方法として、ターボ分子ポンプを介するヘリウムの逆流を利用する方法がある。著しい漏れ検出技術は、フルゼッティに対して1988年4月5日に発行された特許に係る下記特許文献2に開示されている。トレースガスは、機械真空ポンプの1つまたは2つの段階(ステージ)を介して逆方向に通過する。これらの技術により、テスト口圧力を従来の漏れ検出器の場合よりも高くすることができた。それにもかかわらず、大容量の汚れた部分、または大規模漏れを伴う部分のテストの場合、その相対的に高いテスト口圧力に到達させることが困難になることがある。
【0005】
大規模漏れテストのための従来技術の漏れ検出器の簡略化した概略ブロック図を図1に示す。テストピース10は入口フランジ12に取付けられている。入口フランジ12は漏れ検出器のテスト口を形成すると共に、テスト弁32と差圧開口部30とを介してテストライン14に接続されている。漏れ検出器はフォアポンプ16と、粗引きポンプ18と、ターボ分子ポンプ(ターボポンプ)20と、質量分光計22とを含む。ターボポンプ20のフォアライン24はテストライン14に接続され、そして、質量分光計22はターボポンプ20の入口に接続されている。ターボポンプ20の中間ステージライン26はテストライン14へ接続されていてもよい。フォアポンプ16は、テストライン14とテストピース10とを周囲圧力から粗引き排気するとともに、更に、ターボポンプ20をバックアップしている。
【0006】
テストピース10からテスト口へ入るヘリウムは、ターボポンプ20を介して質量分光計22へ逆流、即ち逆方向へ流れる。質量分光計22はヘリウムを検出するとともに、ヘリウム漏れ流量を表示する。別の従来技術の非逆流構成では、テストライン14と質量分光計22の入口との間に直接接続部34を設けている。
大規模漏れテストにおいて、テスト口圧力がターボポンプ20の許容フォアライン圧力よりも大きくなる可能性がある場合、粗引きポンプ18を、粗引きライン28と粗引き弁36とを備えた従来技術の漏れ検出器において使用する。ヘリウムが質量分光計22を介して逆方向に通過する状態で、ガスの大部分が粗引きポンプ18へ流れ、他方、ガスの一部分がフォアポンプ16へ流れるように、開口部30は動作する。バイパス弁38は、開口部30を迂回する場合に使用される。例えば開口部は汚れにより部分的に詰まることがあり、その結果読取りにエラーが出るおそれがあるので、2つのポンプと1つの差圧開口部とでのテストは基本的に信頼できるものではない。更に、粗引きポンプと関連ハードウエアとの費用は著しくコストを上げる。
【0007】
1990年1月31日公開の下記特許文献3は、シリカガラス毛細管の形状のプローブに接続されたイオンポンプを含むヘリウム漏れ検出器を開示している。シリカガラス管は300℃〜900℃の範囲の温度に加熱され、これにより、ヘリウムに対して透過性を有するようになる。ドゥシモンに対して1994年7月5日に発行された特許に係る下記特許文献4は、石英毛細膜と、膜加熱フィラメントと、イオンポンプとを使用するヘリウム検出装置を開示している。ベームその他に対して1997年8月26日に発行された特許に係る下記特許文献5は、選択的にヘリウムをガス消費真空計へ通過させるポリマー窓または加熱石英窓を備えた漏れ検出器を開示している。
【特許文献1】米国特許第3,690,151号明細書
【特許文献2】米国特許第4,735,084号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0352371号明細書
【特許文献4】米国特許第5,325,708号明細書
【特許文献5】米国特許第5,661,229号明細書
【特許文献6】米国特許第5,238,362号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術のヘリウム漏れ検出器はいずれも、圧力範囲が限定的であるとか、汚れやすいとか、コストがかかるといった何らかの欠点を有している。したがって、漏れ検出に対して改良された方法や装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の局面に基づき、漏れ検出装置が提供される。本装置は、トレースガスを含有するサンプルを受け入れるよう構成されたテストラインと、トレースガスを受け入れる入口を有するとともに、トレースガスを検出するよう構成された質量分光計と、軽いガスに対して比較的高い逆流流量を与え、重いガスに対して比較的低い逆流流量を与えることを特徴とする第1真空ポンプであって、ポンプ入口およびフォアラインを有し、ポンプ入口が質量分光計入口に接続されている第1真空ポンプと、第1真空ポンプのフォアラインとテストラインとの間に結合されたフォアライン弁とを含む。本装置は更に、テストラインと質量分光計入口との間に結合されたトレースガス透過性部材と、テストラインに結合された入口を有する第2真空ポンプとを含む。
【0010】
透過性部材はヘリウムを透過可能であってもよく、また、透過性部材のトレースガス透過度は制御可能であってもよい。透過性部材が石英部材を含む実施形態もある。本装置は更に、石英部材と熱接触する加熱部材と、加熱部材を制御するよう構成された制御部とを含んでいてもよい。他の実施形態において、透過性部材はポリマー部材を含む。
本装置は更に、テストライン内が比較的高い圧力のとき、透過性部材の透過度を増大させるとともにフォアライン弁を閉鎖するよう構成されかつ、テストライン内が比較的低い圧力のとき、透過性部材の透過度を減少させるとともにフォアライン弁を開くよう構成された制御部を含んでいてもよい。
【0011】
本発明の第2の局面に基づき、漏れ検出方法が提供される。本方法は、テストラインを介してテスト容積からガスを排気し、テストライン内が比較的高い圧力のとき、排気ガスの第1部分をトレースガス透過性部材を介して質量分光計へ通過させ、そして、テストライン内が比較的低い圧力のとき、排気ガスの第2部分を真空ポンプを介して質量分光計へ逆方向に通過させることを含む。真空ポンプは、軽量ガスに対する比較的高い逆流流量と、重量ガスに対する比較的低い逆流流量とを有することを特徴としている。
【0012】
本発明の第3の局面に基づき、漏れ検出装置が提供される。本装置は、トレースガスを含有するサンプルを受け入れるよう構成されたテストラインと、トレースガスを受け入れる入口を有するとともに、トレースガスを検出するよう構成された質量分光計と、軽いガスに対して比較的高い逆流流量を与え、重いガスに対して比較的低い逆流流量を与えることを特徴とする第1真空ポンプであって、ポンプ入口およびフォアラインを有し、そして、ポンプ入口は質量分光計入口に接続されている第1真空ポンプと、第1真空ポンプをバックアップするよう構成された第2真空ポンプと、そして、ポンプ入口およびフォアラインの少なくとも一つと、テストラインとの間に結合されたトレースガス透過性部材とを含む。
【0013】
本発明の第4の局面に基づき、漏れ検出装置が提供される。本装置は、トレースガスを含有するサンプルを受け入れるよう構成されたテストラインと、トレースガスを受け入れる入口を有するとともに、トレースガスを検出するよう構成された質量分光計と、ポンプ入口、中間ステージラインおよびフォアラインを有し、ポンプ入口が質量分光計入口に接続されているターボ分子真空ポンプと、ターボ分子真空ポンプをバックアップするよう構成されたフォアポンプと、テストラインとターボ分子真空ポンプの中間ステージラインとの間に結合されたトレースガス透過性部材とを含む。
【0014】
本発明をよりよく理解するために、添付図面を参照して説明を行う。なお、添付図面は引用により本発明に組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第1実施形態に係る漏れ検出装置を図2に示す。テスト容積111を有するテストピース110が入口フランジ112に取付けられている。入口フランジ112は漏れ検出器のテスト口を形成するとともに、テスト弁136を介してテストライン114に接続されている。フォアポンプ116は、テストライン114とテスト容積111とを排気するためにテストライン114に結合された入口を有している。漏れ検出器は更に、ターボポンプ120と、質量分光計122と、フォアライン弁124と、中間ステージ弁138と、トレースガス透過性部材130と、制御部132と、関連導管とを含む。質量分光計122は、真空ポンプ120の入口に結合された入口162を有している。ターボポンプ120のフォアライン140はフォアライン弁124を介してテストライン114に結合されている。ターボポンプ120のオプションの中間ステージライン142は中間ステージ弁138を介してテストライン114に結合されている。
【0016】
ターボポンプ120は、拡散ポンプ、いわゆるハイブリッドターボポンプまたは分子ポンプに置き換えてもよい。拡散ポンプの場合、中間ステージ接続部は使用されない。ハイブリッドターボポンプにおいて、1つまたは複数の軸方向ポンプステージは、高速回転するとともに分子引きずりステージとして作用するディスクに置き換えられる。この構成は、カサロその他による1993年8月24日に発行された特許に係る上記特許文献6に開示されている。各々の場合において、真空ポンプは、ヘリウムのような軽いガスに対しては比較的高い逆流流量を示し、重いガスに対しては比較的低い逆流流量を示すという特徴を有し、これにより、ヘリウムはフォアライン140から逆方向に真空ポンプを介して質量分光計122へ通過し、他のガスは実質的にブロックされることになる。
【0017】
トレースガス透過性部材130は、質量分光計122の入口162とテストライン114との間の導管148を介して結合されている。透過性部材130は、特定の条件下で、漏れ検出装置において使用されるトレースガス、通常ヘリウム、を透過する材質である。透過性部材130は実質的にトレースガスを通過または透過させるが、他のガス、液体および粒子を実質的にブロックする。かくして、透過性部材130は、トレースガスの通過は許容し他のガス、液体および粒子をブロックするという意味で、トレースガス窓として作用する。
【0018】
透過性部材130は、導管148に接続された取付具150内部に密封され、これにより、導管148を介して質量分光計122へ通過するガスが透過性部材130を通過するようにしてもよい。透過性部材130は例えばディスク形状であってもよい。
石英すなわちシリカガラスは、ヘリウムを透過する材質の一例である。特に、石英のヘリウム透過度は温度によって変動する。300℃〜900℃の範囲の高温で、石英は比較的高いヘリウム透過度を有する。室温では、石英のヘリウム透過度は比較的低い。漏れ検出装置に、石英からなる透過性部材130と熱接触する加熱部材154を設けてもよい。加熱部材154に制御部132により通電して(エネルギーを与え)石英からなる透過性部材130のヘリウム透過度を増大させてもよい。透過性部材130の温度を制御することにより、ヘリウム窓が設けられる。比較的高い温度(例えば、300℃〜900℃)で、ヘリウム透過度は高くなり、ヘリウム窓は開く。比較的低い温度(例えば、室温)の場合、ヘリウム透過度は低くなり、ヘリウム窓は閉鎖される。トレースガス透過性部材の他の適切な材料として、テフロン(登録商標)として知られているテトラフルオロエチレンのようなポリマーが挙げられる。
【0019】
図2に示す漏れ検出器の動作を図3のフローチャートを参照して説明する。ステップ200において、テストピース110(図2)を漏れ検出器のテスト口に装着する。つまり、テストピース110を入口フランジ112に装着する。ステップ202において、テスト弁136を開き、そして、テストピース110をフォアポンプ116で、通常大気圧から始めて、排気する。ステップ204において、加熱部材154に通電し、そして、フォアライン弁124と中間ステージ弁138とを閉鎖する。これにより、ヘリウムがターボポンプ120を介して質量分光計122へ到達するのを効果的に遮断するとともに、透過性部材130のヘリウム透過度を増大させる。かくして、ヘリウムはテストライン114から透過性部材130を介して質量分光計122へ流れることが可能となる。透過性部材130は他のガスおよび汚染物が質量分光計122へ入るのを防止する。かくして、フォアポンプ116がテスト容積の排気を開始するとすぐに漏れテストを開始することができる。従来技術の漏れ検出器においては、ターボポンプおよび質量分光計が適切に動作するよう充分低いテストライン圧力が得られるまで、漏れテストを開始することはできなかった。この時間的な利点は多くの適用例において重要である。質量分光計122において圧力レベルが高くなりすぎると、フォアライン弁124が自動的に開かれ、そして、テスト弁136が短い時間閉鎖されてフォアポンプ116を再接続するとともに所望の圧力レベルを再構築する。
【0020】
ステップ206において、透過性部材130を介して受け入れられるヘリウム量に基づいて、テストピース110に大規模な漏れがあるかどうか確認される。もし大規模漏れが検出されたら、テストピース110は、テスト不合格であったと分類され、そして、テストは終了する。
大規模漏れがステップ206において検出されない場合、ステップ208において加熱部材154への通電はオフにされ、そして、漏れ検出器は中規模または小規模漏れ検出するよう設定される。中間ステージ弁138は中規模漏れ検出の場合に開かれ、そして、フォアライン弁124は小規模漏れ検出の場合に開かれる。場合によっては、中間ステージ弁138とフォアライン弁124との両方を開くようにすることができる。この場合、テストライン114のヘリウムは、フォアライン140および/または中間ステージライン142から、ターボポンプ120を通過して逆方向に質量分光計122へ至る。この方法は、テストライン114がターボポンプ120のフォアライン圧力で動作することを許容する。ステップ210において、テストピース110は中規模または小規模な漏れを有するかどうかが確認される。中規模または小規模の漏れの検出は、テストライン114からターボポンプ120を介して質量分光計122へ流れるヘリウムの量に基づいてなされる。ステップ210において、中規模または小規模な漏れが検出されると、テストピースは、漏れを有していると分類され、漏れテスト不合格となる。ステップ210において漏れが検出されない場合、テストピースは漏れテストに合格したことになる。
【0021】
透過性部材130は、通常ヘリウムであるトレースガスを透過可能ないかなる適切な材質でも形成することができ、また、いかなる形状または寸法でもよい。適切な材質の例として、石英および透過性ポリマーが挙げられる。石英を使用する場合、加熱部材は石英材を過熱してヘリウム透過度を増大させ、一方、ほとんどの他のガス、水蒸気および粒子を選択的に遮断する。石英は、任意の温度に対して一定の透過度を有している。温度を調整して、透過度を、ひいては感度を制御することができる。透過性ポリマーの場合、加熱部材は不要となる。この透過性部材は、質量分光計の入口に装着することができる。透過性部材を透過するヘリウムは、質量分光計により検出され、そして、信号は漏れ測定値へ変換される。透過性部材は真空、大気圧、または、大気圧より僅かに高い圧力で動作させることができる。透過性部材は、ガスや粒子を含む雰囲気において、および湿潤環境にて動作させることができる。透過性部材は、単一のバックアップポンプを備えたヘリウム漏れ検出器において大規模漏れ検出を可能にする。
【0022】
本発明の第2実施形態に係る漏れ検出装置を図4に示す。図2および図4における類似の部材は同一の参照番号を付している。図4の実施形態において、トレースガス透過性部材130は、ターボポンプ120のフォアライン140とテストライン114との間に結合されている。バイパス弁160はフォアライン140とテストライン114との間に結合されている。バイパス弁160が開いているとき、透過性部材130は迂回される。動作時において、テストライン114内のヘリウムは、透過性部材130を介してターボポンプ120のフォアライン140へと流れる。次に、ヘリウムはターボポンプ120を介して質量分光計122の入口162へと逆方向に流れて、質量分光計122により測定される。他の実施形態において、トレースガス透過性部材130とバイパス弁160との組み合わせは、ターボポンプ120の中間ステージライン142(図2)に接続されていてもよいし、または、質量分光計122の入口162に直接接続されていてもよい。
【0023】
本発明の第3実施形態に係る漏れ検出装置を図5aに示す。図2、図4および図5aの類似の部材には同一の参照番号を付している。図5aの実施形態において、ターボポンプ120のフォアライン140はフォアポンプ116に接続され、そして、テストライン114は別個の粗引きポンプ170に接続されている。トレースガス透過性部材130は質量分光計122の入口162とテストライン114との間に接続されている。バイパス弁160は透過性部材130と並列に接続されている。
【0024】
本発明の第4実施形態に係る漏れ検出装置を図5bに示す。図2、図4、図5aおよび図5bの類似の部材には同一の参照番号を付している。図5bの実施形態において、トレースガス透過性部材130はテストライン114とターボポンプ120のフォアライン140との間に接続されている。バイパス弁160は透過性部材130と平行に結合されている。
【0025】
本発明の第5実施形態に係る漏れ検出装置を図5cに示す。図2、図4、図5a、図5bおよび図5cの類似の部材には同一の参照番号を付している。図5cの実施形態において、トレースガス透過性部材130はテストライン114と、ターボポンプ120の中間ステージライン142との間に接続されている。バイパス弁160は透過性部材130と並列に結合されている。
【0026】
上記実施形態は、透過性部材130を漏れ検出装置において種々異なる点で使用して漏れ検出感度を種々異ならせるようにすることができることを示している。オプションのバイパス弁を透過性部材130と並列に結合してもよい。漏れ検出装置は、単一のフォアポンプを使用してもよいし、または、フォアポンプと、別個の粗引きポンプとを使用してもよい。別の実施形態において、透過性部材を漏れ検出装置の2箇所以上使用してもよい。
【0027】
本発明の少なくとも一つの実施形態の種々の局面について説明してきたが、種々の改変例、変更例および改良例は当業者には容易に考えられることは理解されよう。そのような改変例、変更例および改良例は本開示の一部とみなされ、本発明の精神および範囲内に包含されることが意図されている。したがって、上記説明および図面は単なる例示にすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】大規模漏れテスト用の従来技術の2段式ポンプ漏れ検出器のブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る漏れ検出装置の概略ブロック図である。
【図3】図2の装置における漏れ検出方法の概略フローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る漏れ検出装置の概略ブロック図である。
【図5a】本発明の第3実施形態に係る漏れ検出装置の概略ブロック図である。
【図5b】本発明の第4実施形態に係る漏れ検出装置の概略ブロック図である。
【図5c】本発明の第5実施形態に係る漏れ検出装置の概略ブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレースガスを含有するサンプルを受け入れるよう構成されたテストラインと、
前記トレースガスを受け入れる入口を有するとともに、前記トレースガスを検出するよう構成された質量分光計と、
軽いガスに対して比較的高い逆流流量を与え、重いガスに対して比較的低い逆流流量を与えることを特徴とする第1真空ポンプであって、ポンプ入口とフォアラインとを有し、そして、前記ポンプ入口が前記質量分光計の前記入口に結合されている第1真空ポンプと、
前記第1真空ポンプの前記フォアラインと前記テストラインとの間に結合されたフォアライン弁と、
前記テストラインと前記質量分光計の前記入口との間に結合されたトレースガス透過性部材と、
前記テストラインに結合された入口を有する第2真空ポンプと
を含むことを特徴とする漏れ検出装置。
【請求項2】
前記フォアライン弁は前記テストライン内が比較的高い圧力のとき閉鎖され、そして、前記フォアライン弁は前記テストライン内が比較的低い圧力のとき開くことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記透過性部材が石英部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記透過性部材が石英部材を含み、
前記装置は更に、前記石英部材と熱接触する加熱部材と、前記加熱部材を制御するよう構成された制御部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記透過性部材のトレースガス透過度が制御可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記透過性部材は制御可能であり、
前記装置は、前記テストライン内が比較的高い圧力のとき、前記透過性部材のトレースガス透過度を増大させるとともに、前記フォアライン弁を閉鎖するように構成され、かつ、前記テストライン内が比較的低い圧力のとき、前記透過性部材のトレースガス透過度を減少させるとともに、前記フォアライン弁を開くように構成された制御部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1真空ポンプがターボ分子ポンプを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1真空ポンプが拡散ポンプを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1真空ポンプが、軸方向ポンプステージと1つまたは複数の分子引きずりステージとを含むハイブリッド真空ポンプを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
テストラインを介してテスト容積からガスを排気することと、
前記テストライン内が比較的高い圧力のとき、前記排気ガスの第1部分をトレースガス透過性部材を介して質量分光計へ通過させることと、
前記テストライン内が比較的低い圧力のとき、前記排気ガスの第2部分を、真空ポンプを介して前記質量分光計へ逆方向に通過させることとを含み、
前記真空ポンプは、軽いガスに対して比較的高い逆流流量を与え、重いガスに対して比較的低い逆流流量を与えることを特徴とする漏れ検出方法。
【請求項11】
前記排気ガスの第2部分を、真空ポンプを介して逆方向に通過させることは、前記真空ポンプのフォアラインと前記テストラインとの間に結合されたフォアライン弁を設けることと、前記テストライン内が比較的高い圧力のとき前記フォアライン弁を閉鎖することと、前記テストライン内が比較的低い圧力のとき前記フォアライン弁を開くこととを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記排気ガスの第1部分をトレースガス透過性部材を介して通過させることは、前記テストライン内が比較的高い圧力のときの高いトレースガス透過度と、前記テストライン内が比較的低い圧力のときの低いトレースガス透過度との間で前記透過性部材を制御することを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記透過性部材を制御することは、前記透過性部材を加熱することを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記テストライン内が比較的高い圧力のとき、前記トレースガス透過性部材を介して通過させられたガスを検出して大規模漏れであると判別することを更に含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記排気ガスの前記第1部分を前記トレースガス透過性部材を介して通過させることは、前記透過性部材の透過度を増大させることと、前記真空ポンプのフォアラインと前記テストラインとの間に結合されたフォアライン弁を閉鎖することを含み、
前記排気ガスの第2部分を真空ポンプを介して逆方向に通過させることは、前記透過性部材の透過度を減少させることと、前記フォアライン弁を開くこととを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
トレースガスを含有するサンプルを受け入れるよう構成されたテストラインと、
前記トレースガスを受け入れる入口を有するとともに、前記トレースガスを検出するよう構成された質量分光計と、
軽いガスに対して比較的高い逆流流量を与え、重いガスに対して比較的低い逆流流量を与えることを特徴とする第1真空ポンプであって、ポンプ入口とフォアラインとを有し、前記ポンプ入口が前記質量分光計の前記入口に接続されている第1真空ポンプと、
前記第1真空ポンプをバックアップするよう構成された第2真空ポンプと、
前記ポンプ入口および前記フォアラインの少なくとも一つと、前記テストラインとの間に結合されたトレースガス透過性部材と
を含むことを特徴とする漏れ検出装置。
【請求項17】
前記第1真空ポンプはターボ分子ポンプを含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記トレースガス透過性部材と並列に結合されたバイパス弁を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記テストラインと結合された粗引きポンプを更に含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項20】
トレースガスを含有するサンプルを受け入れるよう構成されたテストラインと、
前記トレースガスを受け入れる入口を有するとともに、前記トレースガスを検出するよう構成された質量分光計と、
ポンプ入口、中間ステージラインおよびフォアラインを有し、前記ポンプ入口が前記質量分光計の前記入口に結合されているターボ分子真空ポンプと、
前記ターボ分子真空ポンプをバックアップするよう構成されたフォアポンプと、
前記テストラインと前記ターボ分子真空ポンプの前記中間ステージラインとの間に結合されたトレースガス透過性部材と
を含むことを特徴とする漏れ検出装置。
【請求項21】
前記トレースガス透過性部材と並列に結合されたバイパス弁を更に含むことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記テストラインに結合された粗引きポンプを更に含むことを特徴とする請求項20に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【公表番号】特表2007−500364(P2007−500364A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533728(P2006−533728)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/018615
【国際公開番号】WO2004/111599
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(599060928)バリアン・インコーポレイテッド (81)
【Fターム(参考)】