説明

大豆めんおよび大豆めんの製造方法

【課題】大豆を日常の食事で主食として用いられるように加工した大豆うどん、大豆そば、大豆ラーメン等の大豆めん、およびこの種の大豆めんを製造する方法を提供する。
【解決手段】大豆粉に小麦粉および若干の食塩と水分を加えて混練し、塊状としたものを薄くのばしてスティック状に分断して成る大豆めんであって、大豆粉と小麦粉を混合し、塩を若干加えて熱湯または温湯を少しづつ加えて混練しつつ団子状の塊とし、この団子状塊を上下、左右に押し付けて粘りと腰の強さを出した後、団子状態で冷暗所に数時間〜数10時間保持してから麺棒で薄くのばし、めん状に切断する大豆めんの製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆ラーメン、大豆そば、大豆うどん等の大豆めんおよび大豆を主成分とする麺類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食料品としてのめん類は一般に粉体に水または温〜熱水を加えて練り上げた後、めん棒等で薄くのばし、スティック状に切断するか、あるいは混練物を押出機に投入して多数の小孔を有する先端型板から押し出すことにより製造している。 この種のめん類としては代表的にはラーメン、うどん、ソーメン、そば等が挙げられるが、前三者は小麦粉、あるいは小麦粉に若干の澱粉を混ぜた粉体を主成分とし、後者のそばはそば粉、あるいはそば粉と澱粉の混合粉を用いている。手造りのものは小麦粉等の粉体に水分を加えて繰り返し練り込み、一旦団子状にしてから薄くのばして所定の太さに切断する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように従来からあるめん類は小麦粉あるいは小麦粉と澱粉との混合粉であり、豆類を粉体にしたものをめん類に加工した例は存在しない。近年、穀物としての豆のうち、大豆の栄養価が注目されている。大豆は、良質の植物性たんぱく質(大豆たんぱく質)に加えて、脂質、炭水化物、食物繊維、カルシウム、マグネシウムその他各種ビタミン類が多く含まれたバランスのよい栄養食物であり、血中コレステロールの低下作用をはじめとして多くの生理機能を発揮することが指摘されている。
【0004】
大豆はこのような自然のバランス栄養成分を有するにもかかわらず、大豆の加工食品としては、従来、納豆や豆腐、豆乳程度であり、惣菜のような副食物として用いられているのが現状である。一般に大豆を主食加工食品として、米飯に代わる日常の食卓の主役に用いられることは少ない。
【0005】
また、一般に肉や鶏卵に比べて植物性食品のたんぱく質は栄養価が劣るとされているが、大豆だけは動物性食品に劣らない、むしろこれを上まわる各種の栄養素を含む食物であり、大豆を主食にできるように加工することが強く要望されている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、従来の副食物の域を超えて、大豆を日常の食事で主食として用いられるように加工した大豆うどん、大豆そば、大豆ラーメン等の大豆めん、およびこの種の大豆めんを製造する方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、大豆粉に小麦粉および若干の食塩と水分を加えて混練し、塊状としたものを薄くのばしてスティック状に分断して成る大豆めんが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、大豆粉と小麦粉を混合し、塩を若干加えて熱湯または温湯を少しづつ加えて混練しつつ団子状の塊とし、この団子状塊を上下、左右に押し付けて粘りと腰の強さを出した後、団子状態で冷暗所に数時間〜数10時間保持してから麺棒で薄くのばし、めん状に切断することを特徴とする大豆めんの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る大豆めんは、通常の所謂かけそばやかけうどん、ざるそば等、あるいはラーメン等と同じように日常の食卓で主食として食用することができ、調理も容易であり、安価で栄養価の高い大豆食品を主食の米飯に代わって摂取することができる。さらに、乾燥処理してパック詰めの形態にすることも容易であり、保存食品、携帯食品として日常の食生活に用いることが可能である。
【0010】
また、本発明の大豆めんの製造方法は、乾燥させた生の大豆をそのまま粉砕して所定粒度の粉体とし、水分を加えて小麦粉とともに練った後、団子状態から平坦にのばして切断するだけでよいので、きわめて容易に、特別大掛かりな設備も必要とすることなく製造することができ、食材としての大豆も輸入に頼ることなく国内で大量に生産できるので、主食に関する食料自給率(穀物自給率)の向上にも寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明を、最適な実施形態につき図面を参照して説明する。
【0012】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る大豆うどん1の平面図である。この例は大豆粉と小麦粉を主成分とし、1本の太さ(切断巾)dが2〜3mm程で、長さLが約30cm程度の柔らかいうどん形態に切断したものである。なお、従来の小麦粉および澱粉によるうどんも1本の太さおよび長さは種々のサイズがあるのと同様に、本発明による大豆うどんもその1本当りの太さおよび長さは任意であり、上記の寸法のものに限定されるものではない。
【0013】
実際には、これを通常の1食分に相当する量(本数)ごとにパック詰め(好ましくは真空パック)にして市販に供する。なお、これをさらに乾燥させて硬質スティック状として1食分相当量で包装した乾燥めんの形態とすることも可能である。
【0014】
(実施形態2)
他の例として、大豆粉および小麦粉にそば粉を加えたものを主成分とし、これに若干の食塩と水分を加えて混練したものを、通常のそばのめん形態に切断して大豆そばとすることができる。この場合、加えるそば粉の量は、1例として、大豆粉および小麦粉の全体量(体積量)に対して2割以上とするのがよい。
【0015】
(実施形態3)
さらに他の例として、大豆粉に小麦粉を混合し、塩を少々加え、かん水を入れてよく混練した後、団子状にして冷暗所で所定時間寝かせ、その後、麺棒等で薄くのばして、めん状に切断して大豆ラーメンとする。必要により、着色処理を施し、PH調整剤や保存料等を加えてもよい。
【0016】
次に、本発明に係る大豆めんの製造方法について説明する。
図2は本発明に係る大豆めん製造工程を示す図である。まず、主成分となる生の大豆をよく乾燥させて粉砕し、所定の粒度の大豆粉2と、小麦粉(強力粉)3を用意する。次の混合工程4ではこの大豆粉2と小麦粉3を混ぜ合わせ、これに塩を少々加える。この場合、混合割合として1例を挙げると、大豆粉1に対し小麦粉1.5倍の割合とするのがよい。続いて混練工程5において、この混合粉に熱湯に近い温湯を少しづつ加えながら団子状の軟質塊にする。
【0017】
次に、練上げ工程6にて団子状の塊を両手あるいは素足によって平坦な板上あるいは床上で上下、左右に強く押し付けながら徐々に粘りを出す。この場合、かん水を入れると、「こし」が出たり、製品化しためんに艶が出るので好ましい。また場合によっては、着色料やPH調整剤、あるいは保存料等を添加してもよい。PH調整剤を入れることにより、賞味期限をのばすことができ、市販として流通過程におく際に有利となる。適当な粘りと「こし」(腰)が出た所で、表面のなめらかな団子状にして冷暗所に一時保管する(寝かし工程7)。
【0018】
この寝かし工程7で寝かせる時間は、24〜48時間じっくり寝かせるのが良品質でこくのあるめん製品にするために有効であるが、すぐめん状にして食べる時には2時間位でもよい。
【0019】
寝かし工程7で充分寝かせた後、平板上にこの団子状練り物を載せて麺棒を用いてまんべんなく薄くのばし、専用の包丁等を用いて所望の巾でめん状に切断し(のばし・切断工程8)、大豆めんを完成させる。なお、一般市場に流通させる場合、生、半生(半なま)の状態でパック詰めとするか、あるいはさらに乾燥処理して乾燥めんとして包装し、市販に供する。
【0020】
上述の工程は大豆めんの基本的な工程を示したが、大豆そば、大豆ラーメン、大豆うどん等の種類に応じて必要な添加物、付加物を混合する。例えば、大豆そばとする場合は、上記混合工程で大豆粉と小麦粉のほかにそば粉を全体量(体積)の2割り程度混合する。またラーメンの場合は、かん水を入れる必要があり、さらに大豆うどんの場合は、大豆粉、小麦粉のほかに若干の澱粉を混入させてもよい。
【0021】
なお、上述の実施形態では、大豆粉と小麦粉との割合を1:1.5としたが、本発明では必ずしもこれに限定されるものではなく、この割合を変えることにより、それぞれ好みに合った大豆めんを創作することができる。また小麦粉を全く用いず、100%大豆粉としてもめん状に生成できる。100%大豆粉の大豆めんとすることも本発明の範囲内にある。
【0022】
大豆めんの効用として、大豆自体の効用が発揮される。特に本発明では、生の大豆を焙煎せずに乾燥させただけで粉体にするので、大豆の脂質が失われず、各種の栄養素が消失することはない。大豆には、大豆たんぱく質、大豆レシチン、イソフラボンの他、必須アミノ酸がバランスよく含まれ、また大豆にはコレステロールが全く含まれず、自然のバランス栄養食品として特段に優れている。
【0023】
特に、乾燥大豆は30%がたんぱく質であり、この大豆たんぱく質には前述した必須アミノ酸がバランスよく含まれ、血中コレステロールの低下作用、肥満の改善作用など優れた生体改善機能がある。各種のビタミン、特にビタミンE、ビタミンB1、葉酸など様々な栄養素が含まれ、本発明の大豆めんもこれらの効用がそのまま発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る大豆めんの平面図である。
【図2】本発明に係る大豆めんの製造工程を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 大豆うどん
2 大豆粉
3 小麦粉
4 混合工程
5 混練工程
6 練上げ工程
7 寝かし工程
8 のばし・切断工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆粉に小麦粉および若干の食塩と水分を加えて混練し、塊状としたものを薄くのばしてスティック状に分断して成る大豆めん。
【請求項2】
前記大豆粉と前記小麦粉との混合割合が1:1.5であることを特徴とする請求項1に記載した大豆めん。
【請求項3】
前記大豆粉および前記小麦粉の全体量に対してそば粉を2割以上加えて大豆そばとすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した大豆めん。
【請求項4】
前記大豆粉および前記小麦粉の混合物にかん水を加えて大豆ラーメンとすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した大豆めん。
【請求項5】
大豆粉と小麦粉を混合し、塩を若干加えて熱湯または温湯を少しづつ加えて混練しつつ団子状の塊とし、この団子状塊を上下、左右に押し付けて粘りと腰の強さを出した後、団子状態で冷暗所に数時間〜数10時間保持してから麺棒で薄くのばし、めん状に切断することを特徴とする大豆めんの製造方法。
【請求項6】
前記大豆粉は乾燥させた生の大豆をそのまま粉状に粉砕したものを用い、前記大豆粉と前記小麦粉の混合割合を体積で略1:1.5とすることを特徴とする請求項5に記載した大豆めんの製造方法。
【請求項7】
前記団子状塊は、大豆粉1に対して小麦粉を1.5の割合で混合するとともに前記大豆粉と前記小麦粉の全体量に対し2割の割合でそば粉を混合し、塩を若干加えて熱湯または温湯を少しづつ加えて混練しつつ団子状の塊とすることを特徴とする請求項5に記載した大豆めんの製造方法。

【図1】
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【図2】
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