説明

天候に基づく測定基準を用いて天然ガス契約を評価する方法、システムおよびコンピュータプログラム製品

【課題】 天候に基づく測定基準を用いて天然ガス先物およびオプション契約を評価する方法、システムおよびコンピュータプログラム製品を提供すること。
【解決手段】 本方法およびコンピュータプログラム製品により、ガスの買い手およびトレーダが、天候の予測および履歴に基づきニューヨーク商品取引所(NYMEX)などの規制された取引所において天然ガス先物および先物オプションの売買に対する情報を得た上で決定することが可能になる。本システムは、天候予測、天候履歴、および天然ガス関連データベース、ならびにトレーディングサーバおよびいくつかのワークステーションクライアントを含み、複雑な買い/ヘッジの決定に達する際にトレーダを支援する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般に、金融トレーディングシステムに関し、より詳細には先物などの金融証券の処理、評価およびトレーディングに関する。
【0002】
【従来の技術】今日の金融市場において、先物契約として知られている金融証券の使用は珍しくない。先物契約は、(例えば、特定の穀物、家畜、石油、天然ガスなどの)商品を売買する、取引所で取引することのできる標準化された譲渡可能契約である。これらの契約は通常、2者間で合意された将来の場所および時間を要する。すなわち先物契約は、一定量の商品を所定の価格で指定された場所において、買い手は受け取る義務があり売り手は引き渡す義務がある、買い手と売り手の間の供給契約である。先物契約は通常、規制された取引所において独占的に取引され、市場の現在価値に基づき毎日決済される。
【0003】金融証券の他の形態はオプション契約である。オプション契約は、指定された量の(例えば、株式、債券、先物契約などの)基になる証券を指定された価格で指定された時間以内に買う権利または売る権利を表す、取引所で取引することのできる2者間の契約である。(本議論との関連では、ガス先物を指定するオプション契約が最も関心事である。)
【0004】オプション契約の当事者は、「権利」を得る買い手、および「義務」を引き受ける売り手である。さらに、「コール」オプション契約は、基になる証券を買う権利を所有者に与えるものであるが、「プット」オプション契約は、基になる証券を売る権利を所有者に与えるものである。通常、オプションの権利を得るために買い手が売り手に支払う、前金の返還不能プレミアムが存在する。オプションおよび先物契約は、John HullのOptions、Futures、and Other DerivativeSecurities、Prentice Hall(3rd.ed.1997)、ISBN 0138874980(USA)に詳細に説明されている。
【0005】具体的商品である天然ガスの例を取ると、トレーダは通常、規制された取引所であるニューヨーク商品取引所(NYMEX)において毎日天然ガス先物を売買する。普通「天然ガス」と呼ばれるものは、多孔質岩層中に見られる炭化水素および他のガスの混合物である。その主成分は、分子式がCH4のメタンである。天然ガスは、米国内で使用される全てのエネルギーの約24%を供給していると推定される。
【0006】通常、ガストレーダ(すなわち、天然ガス先物およびオプションを売買する者)は、企業および家庭にエネルギーを供給するために大量の天然ガスを必要とする公益企業他の組織の利益を代表する。費用を最小化しながら継続的営業を確実にするために、公益企業他の組織は、天然ガス先物およびオプションを売買(すなわち取引)する。
【0007】先物およびオプション契約(すなわち「ガス先物」)は、本質的に金融証券であるので、株式、債券などのように投資家間で取引することができる。したがってガス先物およびオプションを取引するには、トレーダがそれらを公開市場で取引できるように、それらを値付けする機構がなければならない。
【0008】ガス先物またはオプションの価値と基になる商品の価値との間の関係は、直線的ではなく非常に複雑になり得る。経済学者は、特定タイプの先物およびオプションを評価するためにプライシングモデルを開発した。さらに、公益企業他の組織が、将来の特定期間に対するエネルギー需要を予測し、したがって必要な契約数を予測する多数の計画法がある。それぞれのモデルおよび計画法には固有の欠点があり、したがって危険をもたらす。
【0009】どれか1つのモデルまたは計画法に頼ることの危険には、そのモデルの基になる仮定の誤り、そのモデルを使用するときの計算の誤り、および基になる商品(すなわち、天然ガス)の価格に影響を与える可能性のある変数(すなわち、事象)を説明できないことが含まれる。例えば経済、政治などの要因は、天然ガスの需要を推定する際に重大な役割を演じる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】後者の危険、すなわち価格に影響を与える事象を説明できないことを考慮するとき、天候は、歴史的に見落とされて来た一事象である。すなわち、天候、より具体的には将来の天候はプライシングモデルの形式的変数として含まれて来なかった。
【0011】天候を考慮したことのある少数のモデルは通常、単に過去の(すなわち履歴の)天候データを考慮したに過ぎない。さらに、基になる需要に基づく計画法もまた、天候の履歴データを考慮したことがあるに過ぎない。すなわち、ほとんどのモデルおよび計画法は、例えば前年の天候および動力需要に対するその影響が年々繰り返すだろうと仮定している。しかし履歴分析によれば、この仮定はその4分の1の期間しか正しくないことが示されている。したがって先物またはオプションが評価されているかどうかに関わらず、リスク管理トレーディング手法、計画法、または輸送手段を、トレーダは本質的には将来の天候条件の知識なしに盲目的に運営して来た。
【0012】したがって必要なものは、天候に基づく測定基準を用いて天然ガス先物およびオプション契約を評価する(したがって処理し、取引する)方法、システムおよびコンピュータプログラム製品である。
【0013】(発明の概要)本発明は、天候に基づく測定基準を用いて天然ガス先物およびオプション契約を評価する(したがって処理し、取引する)方法、システムおよびコンピュータプログラム製品を提供することにより、上述の必要を満たす。本方法、システムおよびコンピュータプログラム製品は、将来の天候に極端に影響を受けやすい性質を捕捉し、成長する証券市場における気まぐれな価格変動を捕捉し、トレーダが複雑な買い/ヘッジの決定に達する際の支援をする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本方法およびコンピュータプログラム製品は、ある期間に希望された月毎のガス契約数を示すユーザからのインプットを受け取ることを要する。次に、天候の履歴および将来の情報、ならびにこの入力された期間中の1群の都市に対する天然ガスの在庫履歴情報を受け取る。次いで、この期間に対するガス先物契約価格の履歴情報を受け取る。
【0015】次いで本方法およびコンピュータプログラム製品は、一連の回帰分析を適用して、この期間中の月毎のガス契約それぞれに対して予測される基準線の値を得る。これは、この1群の都市に対する天候の履歴情報および天然ガスの在庫履歴情報を使用することにより達成される。次いで、将来の天候情報を用いて基準線の値が計算される。
【0016】次いで、この期間中の月毎のガス契約それぞれに対する時価を示す実況の取引所データを受け取る。次いで本方法およびコンピュータプログラム製品は、受け取った実況の取引所データおよび基準線の値を用いて一連の推奨ルールを適用し、この期間中の月毎のガス契約それぞれに対する推奨をユーザに提供する。本システムのユーザは、これにより複雑な買い/ヘッジの決定に達する際の支援を受ける。
【0017】天候に基づき金融証券を評価する本発明のシステムは、少なくとも1つの地理的位置に対する天候の履歴情報を格納する天候履歴データベース、およびその地理的位置に対する将来の天候情報を格納する天候予測データベースを含む。本システムは、買い/ヘッジ手法を決定するための情報を格納するいくつかの天然ガス関連データベースもまた含む。データベースにアクセスし金融証券を評価するために、トレーディングサーバがシステム内に含まれる。トレーディングサーバは、プライシングモデルを適用することによりシステムの中央処理を可能にし、グラフィカルユーザインタフェースを介してユーザがトレーディングシステムにアクセスすることを可能にする内部および外部の複数のワークステーションに応答する。
【0018】本発明の一利点は、将来の天候を説明するときに、より容易かつ確信を持ってガス先物およびオプションを値付けできることである。
【0019】本発明の他の利点は、天候によって動かされる市場の変動をトレーダが識別し利用することを可能にする、情報およびデータのセットを提供できることである。
【0020】本発明の他の利点は、様々な先物およびオプション契約に対する買いおよび売りの推奨を提供することにより、トレーダを導くトレーディングシステムを提供できることである。
【0021】本発明の他の機能および利点、ならびに本発明の様々な実施形態の構造および動作を、添付の図面を参照しながら以下に詳細に述べる。
【0022】
【発明の実施の形態】(I.概要)
A.本発明本発明は、天候に基づく測定基準を用いて天然ガス先物およびオプション契約を評価する(したがって処理し、取引する)方法、システム、およびコンピュータプログラム製品を対象にする。本発明の一実施形態では、トレーディング機関が顧客のためにガス先物およびオプショントレーディングを容易にするサービスを提供し、グローバルなインターネットを介してアクセス可能な対話型ワールドワイドウェブサイトを提供する。
【0023】そのようなシステムがあれば、公益企業、および大きな動力需要を有する製造業、農業他の産業などの大組織の利益を代表する顧客(すなわち買い手)が、天候に基づく市場リスクに対してヘッジするためにガス先物およびオプションを知性的に取引し使用することができるであろう。
【0024】本発明を、上述の例に関して述べる。これは単に便宜上に過ぎず、本発明の応用を限定するものではない。実際以下の説明を読めば、本発明を代替実施形態に実施する方法が当業者には明らかであろう。本発明を制限するものではないが、例えば本発明は動力販売業者、燃料トレーダ、動力トレーダ、燃料排気クレジットトレーダ、投資銀行、保険/再保険会社、資本市場トレーダ、商品トレーダ、および店頭(OTC)トレーダ(すなわち、業務が動力に関連し、最終利益が天候の影響を受ける任意の者)のためにもなるであろう。これらの者は、本発明によって、天候関連の市場リスクに対してのヘッジを可能にするツールを手にするというだけでなく、利益を求めての投機を可能にするツールを手にするという利益を得るはずである。さらに、NYMEXの協定が本明細書に参照されているが、ガス先物契約に対する月末のFERC内部月次決済価格を参照するためにも本発明を使用することができるであろう。
【0025】B.ガス先物契約の例本発明をガス契約に関して以下に述べる。これは、単に便宜上に過ぎず、本発明の応用を限定するものではない。さらに「ガス契約」という用語は、本明細書において天然ガス先物契約、天然ガス先物契約のオプション、および/または適用可能な他のガス契約(例えば現物)のいずれかを指すために使用する。
【0026】上述のように、先物契約は、買い手と売り手の間の供給契約であり、そこでは買い手および売り手が、一定量の商品を所定の価格で指定された場所において受け渡すか、その満期において契約の差額決済を行う義務がある。NYMEXにおいて通常取引されるガス先物契約は、以下の表1に示すような次の条件例を含む。
【0027】




【0028】この例において、天然ガスの数量は、10,000単位の百万英国熱量単位(MMBtu)である。MMBtuは、1デカサームと等価であり、およそ千立方フィート(ft3=0.0283m3)の天然ガスに等しい。
【0029】この例において受け渡し場所は、「Henry Hub」と指定されている。これはルイジアナ州ニューオリンズの港であり、NYMEXのガス先物価格表示システムにおいて使用される標準的ガス契約受け渡し場所である。
【0030】満期日、すなわち、それ以降、契約の取引は終了し、義務の期日が到来する日時は、年月によって指定される。したがって、例えば「2001年4月」の満期日であれば、NYMEXの協定により、この契約は2001年3月末の3営業日前に満了することを示す。そのような契約は、天然ガスの受け渡しが2001年4月に実際に行われることになるので、「2001年4月の契約」と呼ばれる(すなわち「2001年4月の契約」は、3月に、すなわち2001年4月1日の3営業日前に満了する)。
【0031】(II.システム構成)
A.システム構成概要図1を参照すると、本発明の一実施形態による天然ガストレーディングシステム100が示されている。図1の特定のトレーディングシステム100は、単に例示目的で示されている過ぎず、本発明を制限しないことを理解されたい。本明細書に述べる機能を実行する他の実施例は、本明細書に含まれる教示に基づけば当業者には明らかなはずであり、本発明はそのような他の実施例を対象とする。当業者には明らかなように、トレーディングシステム100の「内部」全ての構成要素は、ローカルエリアネットワーク(LAN)101などの通信媒体を介して接続され通信する。
【0032】トレーディングシステム100は、本発明の「バックエンド」(すなわち処理システム)として使用されるトレーディングサーバ102を含む。トレーディングサーバ102には、ガスデータベース104および116、天候予測データベース106、ならびに天候履歴データベース108が接続されている。これらのデータベースについてのより詳細な説明については後述する。トレーディングシステム100には、当業者に知られているように、そのような契約が取引される統制された取引所(例えばNYMEX)から入手可能な、現在のガス契約価格の実況データフィード118もまた接続される。
【0033】トレーディングサーバ102は、ウェブサーバ110にも接続される。当業者にはよく知られているように、ウェブサーバは、遠隔地のブラウザからのハイパーテキストトランスファプロトコル(HTTP)要求に応答してウェブページを送出するウェブサイトで稼働するサーバプロセスである。ウェブサーバ110は、本発明の「フロントエンド」として使用される。すなわちウェブサーバ110は、トレーディングシステム100のユーザにウェブページの形態でのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供する。そのようなユーザは、複数の内部ワークステーション110(ワークステーション110a−nとして示されている)を介して天候トレーディング機関のサイトのウェブサーバ110にアクセスすることができる。
【0034】ファイアウォール112(「FW」112として示されている)は、LAN101「内部」の複数のネットワークエレメント(すなわちエレメント102〜110および116〜120)を含むLAN101と、LAN101「外部」のグローバルインターネット103との間の接続および分離として使用される。一般的に言って、当業者によく知られているファイアウォールは、特別なセキュリティ予防ソフトウェアを有する専用ゲートウェイマシンである。これは通常、例えばインターネット103接続およびダイヤルイン回線にサービスし、その背後に隠されたより緩やかに管理された一まとまりのマシンを外部の侵入から保護するために使用される。
【0035】LAN101の外部のグローバルインターネット103は、複数の外部ワークステーション114(ワークステーション114a−nとして示されている)を含む。外部ワークステーション114により、トレーディング機関のクライアントユーザ(トレーダ)が遠隔地からトレーディングシステム100にアクセスし使用することが可能になる。
【0036】トレーディングシステム100は、サーバ102およびトレーディングシステム100に一般に関連する統計を更新し、維持し、監視し、ログを取るためにトレーディング機関で使用することのできる管理ワークステーション120を含む。図1には1つのトレーディングサーバコンピュータ102が示されているが、トレーディングシステム100が、LAN101を介して接続された上述の複数のネットワークエレメント上で分散式に稼働できることは、当業者には明らかであろう。同様に、図1にはいくつかのデータベース(すなわち104および116、106、108)が示されているが、トレーディングシステム100が、サーバ102と同じであってもなくてもよい1つまたは複数のコンピュータ上に物理的に配置されたデータベースを利用できることが当業者には明らかであろう。トレーディングシステム100の構成要素、およびそれらの機能のより詳細な説明を以下に提供する。
【0037】B.天候履歴データベース天候履歴データベース108の例を図2に示す。天候履歴データベース108は、公共所有の米国特許第5,832,456号に詳細に記載されている。しかし全てを含めるために、天候履歴データベース108をここに簡単に述べる。天候履歴データベース108は、考慮するそれぞれの年に対して、各大都市圏(MA、metropolitan area)に対する1つまたは複数のレコードを含む。(MAという用語は、よく知られている大都市統計圏(MSA、Metropolitan Statistical Area)という名称に非常に似ている。しかしMAは、厳格なMSAの定義に比べ、より大きな周辺の地理的領域/地域を包含する。)(しかしMAとMSAは類似するので、本明細書では交換可能に使用する。)天候履歴データベース108は、大都市圏のデータを含むが、それに限定されない。これらのレコードは、考慮する期間中に、対象MAに起こった天候を示す情報を含む。具体的には、各MAに対して、いくつかの天候データタイプのそれぞれにに対するレコードがある。
【0038】本発明の一実施形態において、天候履歴データベース108には、季節、実績、カテゴリという3クラスの天候データタイプ(天候パタンとも呼ばれる)がある。季節データタイプは天候パラメータの季節毎の値(または平均値)である。したがってデータタイプ「temp.sea」は平均気温である。データタイプ「snow.sea」は平均降雪量である。データタイプ「prec.sea」は平均降水量である。
【0039】実績データタイプは、天候パラメータの実績値である。したがってデータタイプ「temp」は実際の気温である。データタイプ「snow」は実際の降雪量である。データタイプ「prec」は実際の降水量である。
【0040】カテゴリデータタイプは、パラメータの実績値対季節値を反映する。したがってデータタイプ「temp.cat」は実際の気温対季節毎の気温を反映する。データタイプ「prec.cat」は実際の降水量対季節毎の降水量を反映する。カテゴリデータタイプが1に等しい場合、実績値は季節値より大きかったこととなる。カテゴリデータタイプが0に等しい場合、実績値は、季節値に等しかった(か、またはかなり一致していた)こととなる。カテゴリデータタイプが−1に等しい場合、実績値は季節値より小さかったこととなる。もちろん、これらの関係を示すために1、0、−1以外の値を別法として使用することができる。他の天候データタイプもまた使用することができる。
【0041】天候履歴データベース108中の天候履歴情報は、期間毎の基準で提供される。上述のとおり、期間は、日毎、週毎、2週毎、月毎、2ヵ月毎、3ヵ月毎等、時間の任意の区分でよい。期間によって表される時間の区分は、トレーディングシステム100の両方の天候データベース(106および108)と同じであることが好ましい。
【0042】各天候パタンは、1つまたは複数の天候パラメータを含む。例えば、気温天候パタンは、気温パラメータと季節パラメータとを含む。所与の任意の期間に対して、各パラメータは、季節、季節より下、季節より上のいずれでもよい。所与の任意の期間に対して、これらの天候パタンの値は、カテゴリデータタイプを有する天候履歴データベース108中のエントリ(図2のレコード202〜205参照)によって表される。このファイルは、システムがどのパタンを使用するかを決定することを可能にする「ルックアップ」として使用される。
【0043】C.天候予測データベース天候予測データベース106の例を図3に示す。天候予測データベース106は、公共所有の米国特許5,832,456号に詳細に記載されている。しかし全てを含めるために、天候予測データベース106をここに簡単に述べる。天候予測データベース106は、考慮する将来のそれぞれの年に対して、各MAに対する1つまたは複数のレコードを含む。これらのレコード(例えば、レコード302〜304)は、考慮する将来の期間に対象MAに起こると予測される天候を示す情報を含む。具体的には、各MAに対していくつかの天候データタイプのそれぞれに対するレコードがある。
【0044】天候履歴データベース108と同様に、天候予測データベース106は、季節、実績、カテゴリという3クラスの天候データタイプを含む。これらのカテゴリは、天候履歴データベース108に関して上述したカテゴリと同じである。したがって天候履歴データベース108の上記説明が天候予測データベース106にも適用される。
【0045】D.過去データベースと将来データベースの間の関係上記説明から明らかなように、天候履歴データベース108は、履歴情報を含むので過去のデータベースである。対照的に、天候予測データベース106は、将来予測される天候または将来の天候に関する情報を含むので将来のデータベースである。
【0046】両方のデータベースとも、期間毎の基準で情報を含む。期間によって表される時間の区分は、両方のデータベースにおいて同じであることが好ましい。両方のデータベース期間は同期もしている。時間の区分は、管理ワークステーション120を使用した管理セットアップ処理において、1ヵ月に等しく設定されるとする。この例において、期間P1が1月を表すと仮定する場合、天候履歴データベース108では、期間P1は過去のある年の1月を表す。同様に、天候予測データベース106では、期間P1は将来のある年の1月を表す。
【0047】さらに、本発明の一実施形態において、データベース106および108は両方とも、少なくとも2つの特定の「都市群」に対するMA天候データを含むことになる。例えば暖房の季節の間(10月〜4月)は、ニューヨーク、カンサスシティ、シカゴ、ピッツバーグに対する天候データを含む1群の都市が、以下により詳細に説明するように、トレーディングシステム100の稼働にとって最も興味深い。さらに冷房の季節(5月〜9月)の間は、例えばニューヨーク、ダラス、ヒューストン、ニューオリンズ、マイアミに対する天候データを含む1群の都市が、以下により詳細に説明するように、トレーディングシステム100の稼働にとって最も興味深い。
【0048】本発明の一実施形態において、暖房および冷房の季節の都市群に含まれる個々の都市は、米国エネルギー省により、そのエネルギー需要分析において選ばれるが、それに限定はされない。
【0049】E.期間上述のように、データは、日毎、週毎、月毎、3ヵ月毎を含むが、これに限定されない任意の時間区分、または期間を用いて、天候履歴データベース108に格納することができる。同様に各地に対する天候予測情報は、日毎、週毎、月毎、3ヵ月毎の基準で、天候予測データベース106に格納することができる。時間区分/期間は、データベース108および106の両方において同じであることが好ましい。実際には、複数のワークステーション110および114を使用するトレーダの需要を満たすために、システム管理者が管理ワークステーション120を用いて行う管理者セットアップ処理の間に、時間区分/期間を選択するであろう。
【0050】F.ガスデータベースガスデータベース104および116は、ユーザがそのためにトレーディングシステム100を用いる複雑な買い/ヘッジの意志を決定する際に関連するトレーディングサーバ102によって使用されるデータを含む。
【0051】好ましい一実施形態において、ガスデータベース104は、天然ガス先物価格の履歴情報を含む。すなわちデータベース104は、過去のある期間(例えば過去5年)に対する各月のガス契約の日々の高値、安値、終値を含む。すなわち特定の過去の1日(例えば1994年12月1日)に対して、データベース104は、その先12ヵ月分の各月契約(すなわち1995年1月契約から12月契約)に対するその日の高値、安値、終値を含む。ガスデータベース104の例を図9に示す。
【0052】好ましい一実施形態において、データベース116は、American Gas Association(AGA)の在庫履歴情報を含む。AGAは、現在バージニア州アレキサンドリアに本拠を置く、天然ガス業界取引協会である。AGAは、技術的研究を指揮し、天然ガス業界のあらゆる面で必要な機器および製品の標準を作成する支援をする。AGAは、業界標準と見なされる統計も編集する。そのような一統計は、米国の3地域:(1)生産地域(すなわち湾岸地域)、(2)東消費地域(すなわちロッキー山脈より東側)、(3)西消費地域(すなわちロッキー山脈より西側)のそれぞれにおいて現在提供されている立方フィートで測定された天然ガスの毎週の在庫である。したがって、データベース116は、過去のある期間(例えば過去5年)に対して3地域のそれぞれに対する52週間の週次測定を含む。データベース116は、最も最近入手可能なAGA在庫情報もまた含むであろう(すなわち今週までの在庫データを含む)。ガスデータベース116の例を図8に示す。
【0053】本発明の一実施形態においてトレーディングシステム100の稼働中に、この3地域に対するデータベース116内のAGA在庫データは、上述の都市群に対するデータベース106および108内の天候データと相互に関連する。
【0054】当業者には理解されるように、ガスデータベース104および116は、応用例に固有の基準で追加の金融情報を含むことができる。
【0055】(III.一般システム動作)図4を参照すると、本発明の一実施形態によるトレーディングシステム100の動作を表すフローチャート400が示されている。フローチャート400は、ステップ402で開始し、直ちにステップ404に制御を渡す。
【0056】ステップ404では、ユーザ(例えばガスの買い手)は、先12ヵ月のそれぞれに対して必要とする契約数を入力する。ユーザは、自分が利益を代表する組織の推定消費需要に基づきこの情報を入力する。
【0057】ステップ406では、天候履歴データベース108およびAGAデータベース116の両方が読み込まれ、その結果トレーディングサーバ102が処理のための正しい情報を有する。より具体的には、トレーディングサーバ102が、関連する期間(例えば、当日から開始して1年間さかのぼる)に対するAGA天然ガス在庫履歴情報を求めるために、AGAデータベース116に問い合せる。
【0058】ステップ406では、トレーディングサーバ102が、冷房および暖房の季節毎の都市群内に位置する都市のそれぞれに対して、適用可能な気温履歴情報を求めるために、天候履歴データベース108にも問い合せる(か、または商業サービス、政府機関など、他の何らかのソースから情報を得る)。そのような天候の履歴は、一実施形態において少なくとも5年間さかのぼる。
【0059】本発明の一実施形態では、トレーディングシステム100の動作(すなわち後述のステップ406およびステップ410)中に、暖房および冷房の季節毎の都市群に含まれる個々の都市に対する天候データ(例えば毎日の平均気温)を等しく考慮するか、または人口、認識(例えば、ニューヨークに対する天候データを、NYMEXの所在地なので群内の他の都市よりはるかに重く重み付けすること)などによって重み付けすることができる。
【0060】ステップ406の完了後、フローチャート400は、ステップ408および412の両方に進むことができる。
【0061】ステップ408では、第1回帰分析が実行される。本発明の一実施形態では、直線回帰が使用される。当業者には理解されるように、多変量モデル化手法の一例である直線回帰は、単一の連続的従属変数の値を予測するためにいくつか変数を使用するときに有用である。一般に回帰は、各予測変数に対する正確な係数を生成し、従属変数の変動の何割が個々の各予測変数およびボラティリティ(標準偏差)の尺度によって一意に説明されるかを示す。これにより予測モデルを構築することが可能になる。
【0062】代替実施形態では、他の非直線回帰分析(例えば曲線回帰、対数線形分析)を用いることができる。これらの分析手法は、当業者にはよく知られ、例えばDavid G.Kleinbaum等のApplied Regression Analysis and Other Multivariable Methods、Duxbury Press(3rd.ed.1998)、ISBN0534209106(USA)に詳細に記載されている。
【0063】ステップ408の回帰は、AGAの在庫変化の推定値を得るために、天候履歴およびステップ406において読み込まれたAGA在庫データを使用する。数学的には、ステップ408を次のように表すことができる。最初に、方程式(1)は標準的な直線の方程式(すなわち1次方程式)である。
【0064】(1) y=m1x+bここで、m1は傾き、bは直線のy軸の切片である。AGA在庫データをy軸、天候履歴(すなわち気温)データをx軸として用いて、ステップ408の直線回帰は、このデータ点から直線を作成し、m1を決定する。
【0065】ステップ412では、天然ガス先物価格履歴データベース104が読み込まれる。これによりステップ414では、3次元(多変量)回帰分析が実行されることになる。ステップ414の回帰は、各月の契約の推定値を得るためにガス契約価格履歴データをy軸、天候履歴データをx軸、AGA在庫履歴データをz軸として使用する。数学的にはこれを方程式(2)によって表すことができる。
【0066】(2) y=m11+m22+bここで、yは契約の価格、m1はAGA在庫、x1はAGA在庫履歴データ、x2は天候履歴データ、bはy軸の切片である。ステップ414は、データ点から直線を生成する。さらにステップ414は、推奨ルール(表2参照)を適用する際の処理において使用される価格ボラティリティの尺度(すなわち標準偏差)を生成する。
【0067】ステップ410では、天候予測データベース106が読み込まれる。これによりステップ416において、予測された終値(すなわち「基準線」)を得るためにステップ408および414の両方の結果を使用することが可能になる。方程式(2)は、基準線の値(すなわち基準線であるyについて解くこと)を計算するために使用され、ここでx2に将来の天候が代入され、方程式(1)のyがx1になる。
【0068】ステップ418では、実況の取引所データ118が読み込まれる。ステップ420では、ステップ422の推奨行動に到達するために一連の推奨ルール(すなわち条件)が適用される。次いでフローチャート400は、ステップ424によって示されるように終了する。
【0069】本発明の一実施形態において、ステップ420で基準線の値に適用される一連の推奨ルールを以下の表2に要約する。ルールは、「if(条件)推奨」の疑似コード表記内に現れている。
【0070】




【0071】表2において値n1からn5は、本発明の好ましい一実施形態において使用される例である。本質的には、方程式(3)が価格を標準偏差に変換する。したがって、nが基準線から離れれば離れるほど、推奨信号は強くなる。n1からn5の値は、トレーディング機関の観測結果および価格分析に使用される予測モデルの具体的実施方法に基づき、主観的に変えることができる。当業者には明らかなように、最良の推奨をもたらすn1からn5の値を決定するために、天候と相関する天然ガス価格の履歴の様々な分析を用いることができる。
【0072】本発明の一実施形態では、表2から明らかなように、トレーディングシステム100のユーザには6つの推奨行動から1つが与えられる。これらの推奨を以下の表3に要約する。
【0073】




【0074】図5を参照すると、本発明の一実施形態によるトレーディングシステム100の動作を表すフローチャート400が制御フローの書式で示されている。すなわち図5は、当業者に理解されるとおり、本発明の一実施形態によるフローチャート400の動作中に、システム100の構成要素がどのように相互作用するかを示す。
【0075】(IV.グラフィカルユーザインタフェース)本発明の一実施形態において、トレーディングサーバ102は、複数のワークステーション110を使用するインハウストレーダなどのユーザが、フローチャート400に述べるようにインプットを入力し、アウトプットを受け取るためのGUI(図5に示す)を提供する。さらにウェブサーバ110とともに、トレーディングサーバ102は、フローチャート400に述べるようにインプットを入力し、アウトプットを受け取るためのGUIを、ワークステーション114上の複数の外部ユーザにも提供する。
【0076】GUI画面500を代表的数値とともに図6R>6に示す。GUI画面500は、その特定月の契約が満了するまでの日数をユーザに示した「days left」とラベルを付けられた列501を含む。画面500は、GUI画面中の特定行が情報を含む契約の月および年を示す列502もまた含む。列503は、そのような契約が取引される規制された取引所(例えばNYMEX)から入手可能で実況データフィード118から得られる現在のガス契約価格を含む。列504は、各契約に対する過去の価格(例えば昨日の終値)からの価格変化を含む。
【0077】GUI画面500は、契約価格のインプライドボラティリティを示す列505もまた含む。これは、例えばBlack−Scholesオプションプライシングモデルを用いて計算される。当業者によく知られているとおり、確率計算に基づくBlack−Scholesオプションプライシングモデルは、最も影響力があり広く用いられているオプションプライシングモデルであって、Neil A.Chrissの The Black−Scholes and Beyond Interactive Toolkit: A Step−by−Step Guide to In−depth Option Pricing Models、McGraw−Hill(1997)、ISBN:078631026X(USA)などの一般に入手可能な様々な文書に詳細に記載されている。
【0078】GUI画面500は、ユーザに現在の(すなわち当日の)日付を示す表示506もまた含む。列507は、各契約に対して、上記に説明し表3に詳述した、トレーディングシステム100が出力する6つの推奨のうち1つを示す。列508は、列507の推奨とともに見るとき、推奨にしたがってユーザが行動すべき各月の契約数を示す。これは、図4を参照して上述したステップ404においてユーザが入力した希望する契約数を用いてトレーディングシステム100により計算される。
【0079】GUI画面500は、列507の推奨がオプション契約(すなわちコールまたはプット)に関連する場合にその契約に対するプレミアムを表示する列509もまた含む。当業者に理解されるとおり、プレミアムは、取引所(例えばNYMEX)のトレーディングフロア上で公開の競り取引で買い手および売り手によって競争により決定される、オプションを得るために買い手が売り手に支払う前金の返還不能金額である。
【0080】GUI画面500は、図4を参照して上述したステップ404において入力された、ユーザが希望する各契約数を反映する列510もまた含む。列511は、当日までにユーザが実際の契約をいくつ得たかを反映する。この数は、トレーディングシステム100のユーザがそれを適切に使用する場合、列510に現れる希望する各月の契約数以下のはずである。列512、514、516、518は、それぞれユーザが当日までに得た先物、インデックス、コール、プットの契約数である。列512、514、516、518に現れている契約数の合計は、列511に現れている実際の契約数に等しいはずである。
【0081】図4、図5に示す制御フローと、したがって図6に示すGUI画面500は、単に例示目的で提示されているに過ぎないことが理解されよう。本発明は充分に柔軟かつ構成可能であるので、(複数のワークステーション110および/または114上の)ユーザは、図に示されている以外の方法でシステム100により操作することができる。
【0082】(V.環境)本発明(すなわち天然ガストレーディングシステム100またはその任意の部分)は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合わせを用いて実施することができ、1つまたは複数のコンピュータシステム、または他の処理システムで実施することができる。実際、一実施形態において本発明は、本明細書に記載の機能を実行することのできる、1つまたは複数のコンピュータシステムを対象とする。コンピュータシステム600の例を図7に示す。コンピュータシステム600は、プロセッサ604などの1つまたは複数のプロセッサを含む。プロセッサ604は、通信インフラストラクチャ606(例えば通信バス、クロスオーバーバー、またはネットワーク)に接続される。この例示的コンピュータシステムに関し、様々なソフトウェア実施形態が述べられている。本明細書を読んだ後は、他のコンピュータシステムおよび/またはコンピュータ構成を用いて本発明をどのように実施するかが当業者には明らかであろう。
【0083】コンピュータシステム600はグラフィクス、テキスト、および通信インフラストラクチャ606からの(または図に示されていないフレームバッファからの)他のデータを転送する表示インタフェース602を含むことができる。
【0084】コンピュータシステム600は、好ましくはランダムアクセスメモリ(RAM)の主記憶608もまた含み、2次記憶610もまた含むことができる。2次記憶610は、例えば、ハードディスクドライブ612および/またはフロッピー(登録商標)ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブなどの取り外し可能な記憶ドライブ614を含むことができる。取り外し可能記憶ドライブ614は、よく知られている方法で、取外し可能記憶ユニット618に読み書きする。フロッピーディスク、磁気テープ、光ディスクなどの取外し可能記憶ユニット618は、取外し可能記憶ドライブ614によって読み書きされる。理解されているように、取外し可能記憶ユニット618は、中にコンピュータソフトウェアおよび/またはデータを格納しているコンピュータ使用可能記憶媒体を含む。
【0085】代替実施形態において、2次記憶610は、コンピュータプログラムまたは他の命令を、コンピュータシステム600内にロードできるようにする他の同様の手段を含むことができる。そのような手段は、例えば、取外し可能記憶ユニット622およびインタフェース620を含むことができる。そのような例は、プログラムカートリッジおよび(ビデオゲームデバイスに見られるような)カートリッジインタフェース、(EPROMまたはPROMなどの)取外し可能記憶チップおよびに関連ソケット、ならびに他の取り外し可能記憶ユニット622およびソフトウェア/データを取外し可能記憶ユニット622からコンピュータシステム600に転送することを可能にするインタフェース620を含むことができる。
【0086】コンピュータシステム600は、通信インタフェース624もまた含むことができる。通信インタフェース624は、ソフトウェアおよびデータをコンピュータシステム600と外部デバイスとの間で転送することを可能とする。通信インタフェース624の例としては、モデム、(イーサネット(登録商標)カードなどの)ネットワークインタフェース、通信ポート、PCMCIAスロットおよびカード等が含まれる。通信インタフェース624を介して転送されるソフトウェアおよびデータは、信号628の形態をしており、この信号は通信インタフェース624が受信することができる電子、電磁気、光またはほかの信号である。これらの信号628は、通信パス(すなわちチャネル)626を介して通信インタフェース624に与えられる。このチャネル626は、信号628を搬送し、電線またはケーブル、光ファイバ、電話回線、携帯電話接続、RF接続および他の通信チャネルを用いて実施することができる。
【0087】本文書において「コンピュータプログラム媒体」および「コンピュータ使用可能媒体」という用語は、取外し可能記憶ドライブ614、ハードディスクドライブ612にインストールされたハードディスク、および信号628などの媒体を一般に指すために用いられる。これらのコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステム600にソフトウェアを提供する手段である。本発明は、そのようなコンピュータプログラム製品を対象にする。
【0088】コンピュータプログラム(コンピュータ制御ロジックとも呼ぶ)は主記憶608および/または2次記憶610内に格納される。コンピュータプログラムは、通信インタフェース624を介して受信することもできる。そのようなコンピュータプログラムは、実効することにより、コンピュータシステム200に、本命最初に記載の本発明の機能を実現させることができる。とりわけ、このコンピュータプログラムは、実効することにより、プロセッサ604に、本発明の特徴を機能を実現させることができる。したがって、そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム600のコントローラに相当する。
【0089】ソフトウェアを用いて本発明を実施する一実施形態においては、このソフトウェアは、コンピュータプログラム製品内に格納し、取外し可能記憶ドライブ614、ハードドライブ612または通信インタフェース624を用いてコンピュータシステム600にロードすることが考えられる。プロセッサ604によって実行される制御ロジック(ソフトウェア)は、プロセッサ604に、本明細書に記載したような本発明の機能を実現させる。
【0090】他の実施形態において、本発明は、例えば特定用途向けIC(ASICs)などのハードウェアコンポーネントを用いて、主にハードウェア内で実施される。本明細書に述べた機能を実現するためのハードウェア状態のマシンの実施は、当業者には明らかであろう。
【0091】さらに他の実施形態において、本発明は、ハードウェアおよびソフトウェアの両方の組合わせを用いて実施される。
【0092】(VI.結論)本発明の様々な実施形態を述べて来たが、これらは限定ではなく、例示として提示されたことが理解されよう。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において様々な変更をその中に加えられることが、当業者には明らかであろう。これは、後に開発される可能性のある関連技術中の手法および用語に照らして考えると特に正しい。したがって本発明は、上述の例示的実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の請求の範囲およびその等価物にしたがってのみ定義されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のシステム構成を表すブロック図である。
【図2】一実施形態において本発明により用いられる天候履歴データベースを示す図である。
【図3】一実施形態において、本発明により用いられる天候予測データベースを示す図である。
【図4】一実施形態において、本発明の動作を表すフローチャートである。
【図5】一実施形態において、本発明の動作を表すフローチャートである。
【図6】本発明のトレーディングシステムのための例示的グラフィカルユーザインタフェース画面を示す図である。
【図7】本発明を実施するのに有用な例示的コンピュータシステムのブロック図である。
【図8】本発明により用いられるガスデータベース例を示す図である。
【図9】本発明により用いられるガスデータベース例を示す図である。
【符号の説明】
101 LAN
102 トレーディングサーバ
103 インターネット
104 天然ガス先物価格履歴DB
106 天候予測DB
108 天候履歴DB
110 ウェブサーバ
110a、110n インハウストレーダ
112 ファイアウォール
114a、114n 外部ユーザ
116 AGA DB
118 実況の取引所データフィード
120 管理w/s

【特許請求の範囲】
【請求項1】 天候に基づく測定基準を用いて天然ガス先物およびオプション契約を評価する方法であって、(1)ある期間に希望する月毎のガス契約数を示す入力をユーザから受信するステップと、(2)少なくとも1群の都市に対する前記期間中の天候履歴情報を受信するステップと、(3)前記1群の都市に対する前記期間中の将来の天候情報を受信するステップと、(4)前記1群の都市に対する前記期間中の天然ガスの在庫履歴情報を受信するステップと、(5)前記期間中のガス先物契約価格の履歴情報を受信するステップと、(6)前記期間中の月毎のガス契約それぞれに対する予測基準線値を得るために、前記受信した天候履歴、将来の天候、天然ガスの在庫履歴、およびガス先物契約価格履歴データを用いて一連の回帰分析を適用するステップと、(7)前記期間中の月毎のガス契約それぞれに対する時価を示す実際の取引所データを受信するステップと、(8)前記受信した実際の取引所データを用いて前記基準線値に一連の推奨ルールを適用するステップと、(9)前記ユーザにより入力された希望契約数を反映した、前記期間中の月毎のガス契約それぞれに対する推奨を前記ユーザに提供するステップとを備えたことを特徴とする評価方法。
【請求項2】 請求項1に記載の評価方法において、ステップ(6)において適用された前記一連の回帰分析は、(a)前記天候履歴情報と前記天然ガスの在庫履歴情報との直線回帰を実行するステップと、(b)前記ガス先物契約価格の履歴情報、前記天候履歴情報および前記天然ガスの在庫履歴情報の多変量回帰を実行するステップとを備えたことを特徴とする評価方法。
【請求項3】 請求項1に記載の評価方法において、ステップ(9)において提供された前記一連の推奨は、(i)強い買い(ii)買い(iii)コールを買い(iv)プットを引受け(v)売り(vi)強い売りのいずれかのうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする評価方法。
【請求項4】 天候に基づく測定基準を用いて天然ガス先物およびオプション契約を評価するシステムであって、少なくとも1群の都市に対する天候履歴情報を格納する天候履歴データベースと、前記1群の都市に対する将来の天候情報を格納する天候予測データベースと、少なくとも前記1群の都市に対する天然ガスの在庫履歴情報を格納する在庫データベースと、天然ガス先物価格の履歴情報を格納する価格データベースと、ガス先物およびオプション契約価格に影響を与える入力をユーザが指定することを可能にする少なくとも1つのワークステーションと、前記ワークステーションに応答し、前記ユーザからの前記指定された入力を用いてガス先物およびオプション契約を評価するプライシングモデルを適用する前記天候履歴データベース、前記天候予測データベース、前記在庫データベース、および前記価格データベースに接続された、少なくとも1つのトレーディングサーバとを備え、これらにより、ガス先物およびオプション契約を取引する際に買い/ヘッジ決定に達する際の支援を前記ユーザに提供することを特徴とする評価システム。
【請求項5】 天候に基づく測定基準を用いて天然ガス先物およびオプション契約の評価を実行するアプリケーションプログラムをコンピュータ上で実行するためのコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段を組み込んだコンピュータ使用可能媒体を備えたコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータ読み取り可能プログラムコード手段は、ある期間に希望する月毎のガス契約数を示す入力をコンピュータにユーザから受信させるための第1のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段と、前記期間中の少なくとも1群の都市に対する天候履歴情報をコンピュータに受信させるための第2のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段と、前記期間中の前記1群の都市に対する将来の天候情報をコンピュータに受信させるための第3のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段と、前記期間中の前記1群の都市に対する天然ガスの在庫履歴情報をコンピュータに受信させるための第4のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段と、前記期間に対するガス先物契約価格の履歴情報をコンピュータに受信させるための第5のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段と、前記期間中の月毎のガス契約それぞれに対する予測基準線値を得るために、前記受信した天候履歴、将来の天候、天然ガスの在庫履歴、およびガス先物契約価格の履歴データを用いて一連の回帰分析をコンピュータに適用させるための第6のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段と、前記期間中の月毎のガス契約それぞれに対する時価を示す実際の取引所データをコンピュータに受信させるための第7のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段と、前記受信した実際の取引所データを用いて、コンピュータに前記基準線値に一連の推奨ルールを適用させるための第8のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段と、コンピュータに、前記ユーザにより入力された希望する契約数を反映した、前記期間中の月毎のガス契約それぞれに対する推奨を、前記ユーザに提供させるための第9のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段とを備えたことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項6】 請求項5に記載のコンピュータプログラム製品において、前記第6のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段は、前記天候履歴情報と前記天然ガスの在庫履歴情報との直線回帰をコンピュータに実行させるための第10のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段と、前記ガス先物契約価格の履歴情報、前記天候履歴情報、および前記天然ガスの在庫履歴情報の多変量回帰をコンピュータに実行させるための第11のコンピュータ読み取り可能プログラムコード手段とを備えたことを特徴とするコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2002−63347(P2002−63347A)
【公開日】平成14年2月28日(2002.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】有
【出願番号】特願2000−321745(P2000−321745)
【出願日】平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願人】(500489587)
【氏名又は名称原語表記】Paul M. CORBY
【住所又は居所原語表記】2 Reeves Way Malvern, Pennsylvania 19355 U.S.A.
【出願人】(500489598)
【氏名又は名称原語表記】Roberto C. MACHADO, Jr.
【住所又は居所原語表記】11 Bally Mead Dr. Wilmington, Delaware 19810 U.S.A.
【出願人】(500489602)
【氏名又は名称原語表記】Bruce A. FRECH
【住所又は居所原語表記】205 East Township Line Exton, Pennsylvania 19341 U.S.A.
【Fターム(参考)】