説明

太陽エネルギー変換装置

【課題】散乱光を有効に利用して太陽エネルギー変換効率の向上を図ることが可能な太陽エネルギー変換装置を提供すること。
【解決手段】本発明の太陽エネルギー変換装置は、パラボリック・トラフ式太陽熱用集熱装置に対して太陽電池パネルを配設することで、樋状に延びた放物面鏡の焦線上に配置された集熱管の中を流れる媒体を加熱させるとともに、太陽光を太陽電池パネルにて受光して光エネルギーを電力として取り出すことができるように構成されたハイブリッド式の太陽エネルギー変換装置であって、太陽電池パネルは、樋状に延びた放物面鏡にて反射して該放物面鏡の焦線に向かう太陽光を遮らないような位置において、樋状に延びた放物面鏡にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光からの熱エネルギーを集熱管を有して構成される集熱器により取り出すとともに、太陽光からの光エネルギーを太陽電池により取り出しうるように構成される太陽エネルギー変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、集光反射鏡として樋状に延びた放物面鏡が集熱部に用いられて、該樋状に延びた放物面鏡の焦線上の位置に集熱管が取り付けられて構成される、所謂、パラボリック・トラフ式太陽熱集熱装置に対して太陽電池を配設することで、樋状に延びた放物面鏡の焦線上に配置された集熱管の中を流れる媒体を加熱するとともに、太陽光を太陽電池にて受光して光エネルギーを電力として取り出すことができるように構成された、ハイブリッド式の太陽エネルギー変換装置が知られている。
【0003】
このようなハイブリッド式の太陽エネルギー変換装置として、例えば特許文献1においては、太陽光の可視光と赤外線を分離できるレンズ系をガラス管の内部に設けて、そのガラス管を太陽光追尾することで、内部のレンズ系に太陽の垂直な軸光をあて、分離後の各波長光により、集光発電及び集光集熱を行なうことを可能としている多目的熱光分離形集光発電装置が開示されている。
【0004】
より具体的には、特許文献1における多目的熱光分離形集光発電装置においては、強化ガラス管の上方部より太陽追尾により太陽直達光が垂直の光軸として入射する入射直達光が、シリコンコーティング付放物面鏡で波長分離され、可視光部分が、反射集光する反射冷光となり低温冷却ユニットの下方に接着された集光太陽電池に照射され起電される。その一方で、これを透過した長波長光部分の透過熱光の赤外線は、強化ガラス管の下方部分である放物面鏡部によりその中心部に設けた真空熱吸収管に反射熱光として集光集熱し、その内部に封入されたポリエチレングリコール等の熱媒体を数百度になるまで加熱するように構成されるものとされている。
【0005】
すなわち、特許文献1に開示されている多目的熱光分離形集光発電装置においては、太陽光の波長のうち、太陽電池に必要な波長のものと集熱に必要な波長のものとを分離し、分離された各波長の太陽光を集光して集光発電と集光集熱とを行うことにより、太陽エネルギーの有効利用を図る集光発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−306218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、日本における直達光/全太陽光の平均値はおおよそ0.5程度である、すなわち、全太陽光のうち、おおよそ直達光が5割で残りの5割が散乱光であるというデータもあり、散乱光もかなりの量を占めており、太陽エネルギーの有効利用という観点においては、散乱光の利用が重要な課題の一つとなる。
【0008】
ちなみに、上記のようなパラボリック・トラフ式太陽熱用集熱装置における樋状に延びた放物面鏡は、該放物面鏡の焦線に太陽直達光を集光させることには非常に有用であるが、散乱光を集光させることはできないものであって、このような樋状に延びた放物面鏡では、散乱光のエネルギーを集約することはむずかしい。
【0009】
また、特許文献1に開示されている多目的熱光分離形集光発電装置においては、上述したように、強化ガラス管内部に設けたレンズにより波長の分離を行い、分離後の各波長光により、集光発電及び集光集熱を行なうものであるが、太陽光の波長の分離には太陽エネルギーの損失がともなうことが考えられ、太陽エネルギー変換効率という点においては、さらなる改善の要望がある。
【0010】
本発明は上記課題に鑑み、樋状に延びた放物面鏡が集熱部に用いられて、該樋状に延びた放物面鏡の焦線上の位置に集熱管が取り付けられて構成されるパラボリック・トラフ式太陽熱集熱装置に対して太陽電池パネルを配設することで、樋状に延びた放物面鏡の焦線上に配置された集熱管の中を流れる媒体を加熱させるとともに、太陽光を太陽電池パネルにて受光して光エネルギーを電力として取り出すことができるように構成されたハイブリッド式の太陽エネルギー変換装置において、太陽光の波長の分離による太陽エネルギーの損失を回避しつつ、散乱光を有効に利用して太陽エネルギー変換効率の向上を図ることが可能な太陽エネルギー変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、樋状に延びた放物面鏡が集熱部に用いられて、該樋状に延びた放物面鏡の焦線上の位置に集熱管が取り付けられて構成されるパラボリック・トラフ式太陽熱集熱装置に対して太陽電池パネルを配設することで、前記樋状に延びた放物面鏡の焦線上に配置された前記集熱管の中を流れる媒体を加熱させるとともに、太陽光を前記太陽電池パネルにて受光して光エネルギーを電力として取り出すことができるように構成されたハイブリッド式の太陽エネルギー変換装置であって、前記太陽電池パネルは、前記樋状に延びた放物面鏡にて反射して該放物面鏡の焦線に向かう太陽光を遮らないような位置において、前記樋状に延びた放物面鏡にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ前記樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配設される、太陽エネルギー変換装置が提供される。
【0012】
すなわち、請求項1に記載の発明では、樋状に延びた放物面鏡と該放物面鏡の焦線上に配置された集熱管とを有して構成される太陽熱集熱装置に対して、太陽電池パネルが、樋状に延びた放物面鏡にて反射して該放物面鏡の焦線に向かう太陽光を遮らないような位置において、樋状に延びた放物面鏡にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配設される。このような構成によれば、樋状に延びた放物面鏡にて反射されて該放物面鏡の焦線上に配置された集熱管に向かうような太陽光に対しては、該太陽光を集熱管にて集光して集熱管内を流れる媒体を加熱させて熱を発生させることを可能とする。一方で、樋状に延びた放物面鏡に入射しないか、あるいは、樋状に延びた放物面鏡によって反射された後に該放物面鏡の焦線に向かわないような散乱光に対しては、該散乱光を太陽電池パネルにて受光し光エネルギーを電力として取り出すことができ、太陽エネルギーの有効利用を図ることを可能とする。
【0013】
このように請求項1に記載の発明では、集熱管内を流れる媒体の加熱については、樋状に延びた放物面鏡にて反射されて該放物面鏡の焦線上に配置された集熱管に向かうような太陽光を利用して行い、一方で、太陽電池パネルによる集光発電については、樋状に延びた放物面鏡に入射しないか、あるいは、樋状に延びた放物面鏡によって反射された後に該放物面鏡の焦線に向かわないような散乱光を利用して行うように構成することで、太陽光の波長の分離をする必要性を排除して太陽光の波長の分離による太陽エネルギーの損失を回避しつつ、散乱光を有効に利用して太陽エネルギー変換効率の向上を図ることを可能とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、前記太陽電池パネルは、前記樋状に延びた放物面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該放物面鏡の外縁部において、前記樋状に延びた放物面鏡にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ前記樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配置される、請求項1に記載の太陽エネルギー変換装置が提供される。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、前記太陽電池パネルは、前記樋状に延びた放物面鏡の底部において、前記樋状に延びた放物面鏡にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ前記樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配置される、請求項1に記載の太陽エネルギー変換装置が提供される。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、複数の前記樋状に延びた放物面鏡が互いに隣接して配置され、該複数の樋状に延びた放物面鏡のそれぞれの焦線上の位置に前記集熱管が配置され、前記太陽電池パネルは、前記樋状に延びた放物面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該放物面鏡の外縁部であって複数の前記樋状に延びた放物面鏡のそれぞれの外縁部において、前記樋状に延びた放物面鏡にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ前記樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配置される、請求項1に記載の太陽エネルギー変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
各請求項に記載の発明によれば、集熱管内を流れる媒体を加熱については、樋状に延びた放物面鏡にて反射されて該放物面鏡の焦線上に配置された集熱管に向かうような太陽光を利用して行い、一方で、太陽電池パネルによる集光発電については、樋状に延びた放物面鏡に入射しないか、あるいは、樋状に延びた放物面鏡によって反射された後に該放物面鏡の焦線に向かわないような散乱光を利用して行うことができ、太陽光の波長の分離をする必要性を排除して太陽光の波長の分離による太陽エネルギーの損失を回避しつつ、散乱光を有効に利用して太陽エネルギー変換効率の向上を図ることを可能とする、という共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る太陽エネルギー変換装置の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る太陽エネルギー変換装置の図1に示す実施形態の全体構成の説明図である。
【図3】本発明に係る太陽エネルギー変換装置の別の実施形態の全体構成の説明図である。
【図4】本発明に係る太陽エネルギー変換装置のさらに別の実施形態の全体構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を用いて本発明に係る太陽エネルギー変換装置の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る太陽エネルギー変換装置の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。図2は、本発明に係る太陽エネルギー変換装置の図1に示す実施形態の全体構成の説明図である。図1及び図2において、1は樋状に延びた放物面鏡、2は集熱器、3は集熱管、4は外管、5は太陽電池パネル、をそれぞれ示す。
【0020】
樋状に延びた放物面鏡1は、該放物面鏡の焦線に太陽光を集光する集光反射鏡として構成され、この樋状に延びた放物面鏡1を方位方向(東西方向)に延在させ一つの集光反射鏡ユニットを構成している。樋状に延びた放物面鏡1の反射面は、太陽熱の反射率を向上させるために鏡面に仕上げている。この鏡面仕上げは、樋状に延びた放物面鏡1を構成する材料により、めっき、蒸着、研磨、塗装などの方法がある。樋状に延びた放物面鏡1の加工には、耐熱樹脂を成型したものや、アルミダイカスト成型などの方法が知られている。
【0021】
ちなみに、樋状に延びた放物面鏡1をガラス鏡板として形成することも考えられる。しかしながら、該放物面鏡がガラス鏡板として形成された場合においては、飛び石などにより割れや破損が生じやすいことが考えられる。このことに基づいて、本実施形態においては、可撓性を有する金属板から構成されて且つ表面に反射皮膜が適用された反射板にて、放物面鏡が形成されるものとする。この場合における鏡面は、例えば、研磨面もしくはフィルム鏡の貼付、金属蒸着膜などにて形成されるものとする。また、放物面鏡の材質としては、例えば、鉄やステンレスあるいはアルミニウムなどが使用されうる。
【0022】
集熱器2は、密封封止したガラス外管4内を真空に保つとともに、この外管4のほぼ中心軸線上に集熱管3を挿通して構成されている。集熱管3はステンレス管の表面に黒色塗装あるいは選択吸収膜などが適用されて構成され、内部には加熱すべき熱媒体、例えば、水、油などを流すようになっている。そして、樋上の放物面鏡1の焦線上に集熱器2の集熱管3が配置される。放物面鏡1は支持フレーム30によって、集熱器2はアーム部材31によって、それぞれ太陽エネルギー変換装置の設置面に対して支持される支持手段32に固定されている。また、太陽電池パネル5は、アーム部材31から延びる補強部材6により支持される。
【0023】
このように樋状に延びた放物面鏡1と集熱器2とを構成配置することで、太陽光が樋状に延びた放物面鏡1にて反射されてガラス外管4内に挿通した集熱管3に集光して該集熱管3を加熱して、集熱管3内の熱媒体を加熱するようにして、該熱媒体により太陽熱エネルギーを取り出すことを可能とする。集熱管3で発生した熱は熱媒体に伝達され、発電機に送られ発電に利用される。但し、これに限定されることはなく、例えば、熱媒体を熱交換器により作動媒体と熱交換して、余った熱を給湯や空調などに使う方式として構成されてもよい。
【0024】
ところで、太陽光は、照射対象物に直接届く直達光と空気中の水分等により散乱する散乱光とに分けることができる。先にも述べたように日本においては散乱光の割合が多く、散乱光の有効利用はエネルギーの有効利用を考える上で一つの課題である。
【0025】
このことに基づいて、本発明の一つのねらいは、散乱光の有効利用にある。散乱光は、樋状に延びた放物面鏡に入射したときに様々な角度に入射するために、狙いの位置に集光させることは難しく、多重散乱によるエネルギーの減衰や空方面への発散などにより有効利用できない。
【0026】
そこで、本発明においては、この散乱光を有効利用するために、樋状に延びた放物面鏡1にて反射されて集熱管3に向かうような太陽光を遮ることなく散乱光を捕集できる位置に太陽電池パネル5を設置し、太陽エネルギーの有効利用を図る。すなわち、樋状に延びた放物面鏡1に入射しないか、あるいは、樋状に延びた放物面鏡1によって反射された後に集熱管3に向かわないような散乱光が、太陽電池パネル5にて受光されるように構成することにより、太陽エネルギーの有効利用を図る。
【0027】
このことを実現すべく、本発明の太陽エネルギー変換装置においては、太陽電池パネル5が、樋状に延びた放物面鏡1にて反射して該放物面鏡の焦線に向かう太陽光を遮らないような位置において、樋状に延びた放物面鏡1にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ樋状に延びた放物面鏡1の鏡面側前方に延在して配設されるように構成される。
【0028】
このような太陽電池パネル5の配置構成によれば、樋状に延びた放物面鏡1にて反射して該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光となる直達光は、太陽電池パネル5に遮られることなく集熱管3に集光される。その一方で、太陽電池パネル5は、樋状に延びた放物面鏡1に入射しないか、あるいは、樋状に延びた放物面鏡1によって反射された後に集熱管3に向かわないような散乱光を受光することができ、すなわち、散乱光を太陽電池パネル5にて受光して光エネルギーを電力として取り出すことを可能とする。
【0029】
図1及び図2に示される本発明に係る太陽エネルギー変換装置の一実施形態においては、太陽電池パネル5は、樋状に延びた放物面鏡1の曲面形状の曲率が変化する方向における該放物面鏡の外縁部において、樋状に延びた放物面鏡1にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配置される。図2において「放物面鏡1にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向」は紙面上から垂直に下向きの方向である。尚、本実施形態においては、太陽電池パネル5は、樋状に延びた放物面鏡1の両側の外縁部6、7において太陽パネル5が配設されるものとして構成されているが、このような構成に限られることはなく、太陽電池パネル5は、樋状に延びた放物面鏡1の片側の外縁部において太陽パネル5が配設されるものとされてもよい。このような場合においても、散乱光を太陽電池パネル5にて受光して光エネルギーを電力として取り出すことが可能であるからである。
【0030】
また、本実施形態における樋状に延びた放物面鏡1は、最適に直達光が受けられるように太陽に対して追尾可能な機構を有して構成されている。但し、追尾しなくとも性能仕様上における十分な太陽エネルギー変換効率が得られる場合においては、該放物面鏡1は、太陽に対しての追尾を可能にするような機構を有して構成される必要はない。
【0031】
このような図2に示される太陽エネルギー変換装置の実施形態によれば、上記でも説明したように、樋状に延びた放物面鏡1にて反射して該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光となる直達光は、太陽電池パネル5に遮られることなく集熱管3に集光される。その一方で、太陽電池パネル5は、樋状に延びた放物面鏡1に入射しないか、あるいは、樋状に延びた放物面鏡1によって反射された後に集熱管3に向かわないような散乱光を受光することができ、すなわち、散乱光を太陽電池パネル5にて受光して光エネルギーを電力として取り出すことを可能とする。
【0032】
図3は、本発明に係る太陽エネルギー変換装置の別の実施形態の全体構成の説明図である。図3において、11は樋状に延びた放物面鏡、13は集熱管、14は外管、15は太陽電池パネル、をそれぞれ示す。太陽電池パネル15は両面に入射される光に対して発電可能な太陽電池パネルである。
【0033】
図3に示される本発明に係る太陽エネルギー変換装置の実施形態においては、太陽電池パネル15は、樋状に延びた放物面鏡11の底部16において、樋状に延びた放物面鏡11にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ樋状に延びた放物面鏡11の鏡面側前方に延在して配置される。すなわち太陽電池パネル15は底部16から焦線方向に延在して配置される。ここで、放物面鏡の底部とは、放物面鏡の深さにおいて最も深い部分に該当する。
【0034】
樋状に延びた放物面鏡11の底部16と集熱管13との間における空間は、集熱管13により遮られるために、樋状に延びた放物面鏡11にて反射して集熱管13に向かうような太陽光が進入しない空間となる。よって、図3に示されるような実施形態の構成においても、図2に示される太陽エネルギー変換装置の実施形態と同様に、樋状に延びた放物面鏡11にて反射して該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光となる直達光は、太陽電池パネル15に遮られることなく集熱管13に集光される。
【0035】
但し、図3に示されるような実施形態の構成においては、太陽電池パネル15は、樋状に延びた放物面鏡11によって反射された後に集熱管13に向かわないような散乱光を受光することができるが、樋状に延びた放物面鏡11に入射しない散乱光を受光することはできない。しかしながら、本実施形態においては、図2に示される太陽エネルギー変換装置の実施形態のように太陽電池パネル5を、樋状に延びた放物面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該放物面鏡の両側の外縁部において配設するものではなく、該放物面鏡11の底部16のみに配設するものであり、より簡易な構成で、且つ、よりコスト性に優れた太陽エネルギー変換装置の提供を可能とする。すなわち、図3に示される実施形態の太陽エネルギー変換装置は、図2に示される実施形態の太陽エネルギー変換装置と比較して、利用エネルギーは減少するものの、太陽電池パネルの使用量を削減することができ、コストを抑制しうる。
【0036】
図4は、本発明に係る太陽エネルギー変換装置のさらに別の実施形態の全体構成の説明図である。図4において、21は樋状に延びた放物面鏡であり、23は集熱管であり、24は外管、25は太陽電池パネル、をそれぞれ示す。
【0037】
図4に示される本発明に係る太陽エネルギー変換装置の実施形態においては、複数の樋状に延びた放物面鏡21が互いに隣接して配置され、該複数の放物面鏡21のそれぞれの焦線上の位置に集熱管23が配置される。そして、太陽電池パネル25は、樋状に延びた放物面鏡21の曲面形状の曲率が変化する方向における該放物面鏡の外縁部であって複数の樋状に延びた放物面鏡のそれぞれの外縁部において、樋状に延びた放物面鏡21にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配置される。
【0038】
すなわち、図4に示される本発明に係る太陽エネルギー変換装置の実施形態においては、複数の樋状に延びた放物面鏡21が互いに隣接して配置され、これにより、図2や図3に示される実施形態の太陽エネルギー変換装置と比較して、より広い面積を有する集光反射鏡を構成することでき、樋状に延びた放物面鏡21にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光を最適に受けるように樋状に延びた放物面鏡21に対して構成配置される追尾システムの必要性を排除することを可能とする。
【0039】
また、図4に示される本発明に係る太陽エネルギー変換装置の実施形態における太陽電池パネル25は、樋状に延びた放物面鏡21の曲面形状の曲率が変化する方向における該放物面鏡21の外縁部であって複数の樋状に延びた放物面鏡のそれぞれの外縁部において、樋状に延びた放物面鏡21にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配置される。よって、図2や図3に示される太陽エネルギー変換装置の実施形態と同様に、樋状に延びた放物面鏡にて反射して該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光となる直達光は、太陽電池パネル25に遮られることなく集熱管23に集光される。その一方で、太陽電池パネル25は、樋状に延びた放物面鏡21に入射しないか、あるいは、樋状に延びた放物面鏡21によって反射された後に該放物面鏡の焦線に向かわないような散乱光を受光することができ、すなわち、散乱光を太陽電池パネル25にて受光して光エネルギーを電力として取り出すことを可能とする。
【0040】
尚、太陽電池パネル25の配置構成はこのような構成に限定されるものではなく、図3に示される実施形態の構成、すなわち、太陽電池パネルが、樋状に延びた放物面鏡21の底部において、樋状に延びた放物面鏡21にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配置されるものとされてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 放物面鏡
2 集熱器
3 集熱管
4 外管
5 太陽電池パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樋状に延びた放物面鏡が集熱部に用いられて、該樋状に延びた放物面鏡の焦線上の位置に集熱管が取り付けられて構成されるパラボリック・トラフ式太陽熱集熱装置に対して太陽電池パネルを配設することで、前記樋状に延びた放物面鏡の焦線上に配置された前記集熱管の中を流れる媒体を加熱させるとともに、太陽光を前記太陽電池パネルにて受光して光エネルギーを電力として取り出すことができるように構成されたハイブリッド式の太陽エネルギー変換装置であって、
前記太陽電池パネルは、前記樋状に延びた放物面鏡にて反射して該放物面鏡の焦線に向かう太陽光を遮らないような位置において、前記樋状に延びた放物面鏡にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ前記樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配設される、太陽エネルギー変換装置。
【請求項2】
前記太陽電池パネルは、前記樋状に延びた放物面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該放物面鏡の外縁部において、前記樋状に延びた放物面鏡にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ前記樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配置される、請求項1に記載の太陽エネルギー変換装置。
【請求項3】
前記太陽電池パネルは、前記樋状に延びた放物面鏡の底部において、前記樋状に延びた放物面鏡にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ前記樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配置される、請求項1に記載の太陽エネルギー変換装置。
【請求項4】
複数の前記樋状に延びた放物面鏡が互いに隣接して配置され、該複数の樋状に延びた放物面鏡のそれぞれの焦線上の位置に前記集熱管が配置され、
前記太陽電池パネルは、前記樋状に延びた放物面鏡の曲面形状の曲率が変化する方向における該放物面鏡の外縁部であって複数の前記樋状に延びた放物面鏡のそれぞれの外縁部において、前記樋状に延びた放物面鏡にて反射すると該放物面鏡の焦線に向かうような太陽光の入射方向に平行な方向に且つ前記樋状に延びた放物面鏡の鏡面側前方に延在して配置される、請求項1に記載の太陽エネルギー変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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