説明

太陽光パネル冷却システム

【課題】屋外環境に応じて太陽光パネルを好適に冷却することができる太陽光パネル冷却システムを提供する。
【解決手段】建物10の屋根部14上には太陽光パネル30が設けられ、同パネル30と屋根面との間には通気層33が設けられている。屋根部14には、屋内外を連通する開口部35と、開口部35を開閉する開閉部材41とが設けられている。開閉部材41には当該開閉部材41を開閉駆動する開閉駆動部43が設けられている。建物10の外周部には、屋内外を連通する窓部26が複数設けられ、これら各窓部26にはそれぞれ各々の窓部26を開閉するガラス戸27が設けられている。建物10には、ガラス戸27を開閉駆動する窓駆動部47が設けられている。コントローラは、屋外温検知センサ52からの検知結果に基づいて、開閉部材41を開くよう開閉駆動部43を制御するとともにガラス戸27を開くよう窓駆動部47を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネル冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギ等の観点から、住宅等の建物では太陽光発電システムの導入が進められている。かかる発電システムでは、建物の屋根等に設置された太陽光パネルに太陽光が照射されることにより発電が行われる。
【0003】
この種の太陽光パネルは、一般にその温度が上昇すると発電効率が低下する性質を有している。そのため、日射量の多い季節、特に夏季においては昼間に太陽光パネルの温度が著しく上昇し、その結果発電効率が著しく低下する問題がある。そこで、その対策として、従来より太陽光パネルを冷却する技術が種々提案されている。例えば特許文献1には、屋根に設置された太陽光パネルと屋根面との間に通気層を設けるとともに、屋根にはその通気層と屋内空間とを連通する開口部を設け、その開口部を通じて屋内の空気をファン装置により通気層に排出しその後通気層に流通させる技術が開示されている。これによれば、通気層における空気の流れにより太陽光パネルを冷却することができる。
【0004】
また、この技術では、スイッチによる手動操作により太陽光パネルの冷却を行う構成となっており、例えば所定時刻(例えば11時)になったときにユーザが手動操作することでパネルの冷却が開始されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−235845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、太陽光パネルは屋外に設置されているものであるため、その温度は外気温や日射量等、屋外の環境に大きく依存することが考えられる。例えば、外気温が上昇したり日射量が増大したりすると、その後太陽光パネルの温度が上昇することが考えられる。そのため、屋外環境が太陽光パネルの温度上昇が生じやすい状況になったタイミング(又は当該状況になる前のタイミング)で、例えば外気温が所定温度まで上昇したタイミングで、ユーザはスイッチを手動操作して太陽光パネルの冷却を実施するのが望ましい。そうすれば、太陽光パネルの温度が著しく上昇する前に太陽光パネルの冷却を開始させることができ、その結果太陽光パネルを好適に冷却することが可能となる。
【0007】
しかしながら、屋外の環境は日によってそれぞれ異なるものであるため、外気温が所定温度に達する時刻については日々異なる。したがって、手動操作により太陽光パネルの冷却を行う上記の技術では、日々適切なタイミングで太陽光パネルの冷却を行うことは難しい。そのため、外気温が所定温度よりも上昇した後におくれてパネル冷却を開始する事態が容易に想定され、場合によっては太陽光パネルが著しく温度上昇した後に冷却を開始する事態も想定される。このような場合、太陽光パネルを好適に冷却することができないおそれがある。
【0008】
また、屋外環境を常時監視する等して外気温が所定温度に達する時刻を日々チェックすることで、太陽光パネルの冷却を適切なタイミングで開始することは可能ではあるが、そのようなことはユーザにとって面倒であり現実的ではない。つまり、上記の技術は、太陽光パネルの冷却を好適に行う上で未だ改善の余地があると考えられる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屋外環境に応じて太陽光パネルを好適に冷却することができる太陽光パネル冷却システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、第1の発明の太陽光パネル冷却システムは、建物の屋根上方に設置された太陽光パネルと前記屋根との間に形成された通気層と、前記屋根に形成され前記通気層を前記建物の屋内空間と連通させる開口部と、前記開口部を介して屋内の空気を前記通気層に排出する排出手段とを備え、前記排出手段により前記通気層に排出された屋内の空気が前記太陽光パネルに沿って前記通気層を流れることにより前記太陽光パネルが冷却される太陽光パネル冷却システムであって、屋外の環境に関する屋外環境情報を取得する環境情報取得手段と、前記環境情報取得手段により取得された屋外環境情報に基づいて、屋内の空気を前記通気層に排出するように前記排出手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明における太陽光パネル冷却システムでは、排出手段により屋内の空気が屋根に形成された開口部を介して太陽光パネルと屋根との間の通気層に排出され、その後その排出された屋内の空気が太陽光パネルに沿って通気層内を流れる。この場合、この通気層内における空気の流れによって太陽光パネルが冷却される。
【0012】
そして、外気温や日射量等の屋外環境情報に基づいて、排出手段による屋内空気の通気層への排出が、すなわち太陽光パネルの冷却が行われる。したがって、例えば外気温が上昇したり日射量が増大したりする等して屋外環境が太陽光パネルの温度が上昇し易い状況にあるかどうか等に応じて太陽光パネルの冷却を開始することができる。よって、この場合、屋外環境に応じて太陽光パネルを好適に冷却することができる。
【0013】
第2の発明の太陽光パネル冷却システムは、第1の発明において、前記太陽光パネルの冷却を行う温度条件を定めておき、その温度条件が成立した時にパネル冷却を行う太陽光パネル冷却システムであり、前記環境情報取得手段は、前記太陽光パネルの冷却開始前に、今後の屋外環境変化に関する情報を前記屋外環境情報として取得する手段を有し、当該手段により取得された今後の屋外環境変化に基づいて、前記太陽光パネルの温度上昇を予測する予測手段を備え、前記制御手段は、前記予測手段による温度上昇予測に基づいて前記排出手段による屋内空気の排出を実施することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、太陽光パネルの冷却が行われる温度条件が成立する前に、つまり太陽光パネルの冷却開始前に、今後の屋外環境変化に関する情報が取得され、その取得された今後の屋外環境変化に基づいて太陽光パネルのその後の温度上昇が予測される。そして、その太陽光パネルの温度上昇予測に基づいて排出手段による屋内空気の排出が、すなわち太陽光パネルの冷却が行われる。したがって、例えば太陽光パネルの温度が著しく上昇する前から太陽光パネルの冷却を行うことができるため、太陽光パネルを好適に冷却することができる。
【0015】
また、本発明の太陽光パネル冷却システムでは、屋内の空気を屋外に排出することになるが、実際に外気温が上昇する前に、ひいては外気温が上昇して屋内で冷房装置が使用される前に、こうした屋内空気の排出を行う構成とすることで屋内環境への影響を少なくすることができる。
【0016】
第3の発明の太陽光パネル冷却システムは、第1又は第2の発明において、前記排出手段は、前記建物の外壁部に設けられ屋内外を連通する窓部と、前記窓部を開閉する窓戸と、前記窓戸を開閉駆動する窓駆動手段と、を備え、前記排出手段は、前記窓駆動手段により前記窓戸を開いた状態で、前記窓部を吸気口とし前記開口部を排気口として屋内を換気するものであることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、窓駆動手段により窓戸が開かれることにより、窓戸を吸気口とし開口部を排気口とした屋内の換気が行われる。そして、この換気によって屋内の空気が通気層に排出されて太陽光パネルの冷却が行われる。これにより、窓部を通じて屋内に入る風を利用して、自然対流により太陽光パネルを冷却することができる。
【0018】
第4の発明の太陽光パネル冷却システムは、第3の発明において、前記排出手段は、屋内の空気を前記開口部を介して前記通気層へ排出するための空気流を生じさせるファン装置を備え、前記環境情報取得手段は、屋外の温度を前記屋外環境情報として検知する屋外温検知手段を有し、屋内の温度を検知する屋内温検知手段を備え、前記制御手段は、前記屋内温検知手段により検知された屋内の温度が前記屋外温検知手段により検知された屋外の温度よりも低い場合に、前記排出手段による屋内空気の排出に際し、前記窓戸を閉めるよう前記窓駆動手段を制御するとともに、前記ファン装置を作動させるよう制御することを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、排出手段による屋内空気の排出に際し、つまり太陽光パネルの冷却に際し、屋内の温度が屋外の温度よりも低い場合には、窓戸が閉められて窓部が閉鎖されるとともにファン装置が作動する。つまり、この場合、屋外の比較的高温の空気を窓部より屋内に取り込むことなく、屋内の比較的低温の空気をファン装置により通気層へ排出することができる。これにより、比較的低温の空気により太陽光パネルの冷却を行うことができるため、太陽光パネルを好適に冷却することができる。
【0020】
第5の発明の太陽光パネル冷却システムは、第3又は第4の発明において、前記建物には、前記窓戸が異なる複数の方向に面して設けられ、前記環境情報取得手段として、前記建物周辺における風の向きを検知する風向検知手段を備え、前記制御手段は、前記排出手段による屋内空気の排出に際し、前記風向検知手段により検知された風の向きに基づいて、前記複数の窓戸のうち風上側に配置された窓戸を開くよう前記各窓駆動手段を制御することを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、排出手段による屋内空気の排出に際し、つまり太陽光パネルの冷却に際し、建物に設けられた複数の窓戸のうち風上側に配置された窓戸が開放される。この場合、風上側に設けられた窓部を通じて建物周りを流れる風を屋内に取り込むことができるため、建物内に取り込まれる空気の量を増大させることができ、その結果開口部を通じて通気層に排出される空気の量を増大させることができる。これにより、通気層における空気の流れを速くすることができるため、太陽光パネルを好適に冷却することができる。
【0022】
第6の発明の太陽光パネル冷却システムは、第3乃至第5のいずれかの発明において、前記建物には、冷房装置を備えた居室が設けられ、その居室を含む複数箇所に前記窓戸が設けられており、前記冷房装置が運転しているか否かを判定する判定手段を備え、前記制御手段は、前記排出手段による屋内空気の排出に際し、前記判定手段により前記冷房装置が運転していると判定された場合に、前記居室に設けられた窓戸とは異なる窓戸を開くよう前記各窓駆動手段を制御することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、排出手段による屋内空気の排出に際し、つまり太陽光パネルの冷却に際し、冷房装置が運転中である場合には、その冷房装置を備えた居室に設けられた窓戸とは異なる窓戸が開かれる。つまり、この場合、建物内の換気が冷房中の居室を経由せずに行われるため、冷房中の居室の快適性を損なうことなく太陽光パネルの冷却を行うことができる。
【0024】
第7の発明の太陽光パネル冷却システムは、第3乃至第6のいずれかの発明において、前記太陽光パネルの温度を検知するパネル温検知手段を備え、前記排出手段は、屋内の空気を前記開口部を介して前記通気層へ排出するための空気流を生じさせるファン装置を備え、前記制御手段は、前記パネル温検知手段により検知された前記太陽光パネルの温度が所定の温度を超えた場合に、前記窓駆動手段により前記窓戸を開くとともに、前記ファン装置を作動させることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、太陽光パネルの温度が所定温度以上となった場合に、窓戸が開かれるとともにファン装置が作動する。つまり、この場合、自然対流による建物内の換気に加えてファン装置による強制換気が行われる。これにより、自然対流による屋内空気の排出(屋内換気)だけでは太陽光パネルの温度上昇を抑制しきれず、その結果パネル温度が著しく高くなった場合でも、ファン装置を作動させて太陽光パネルの冷却効率を高めることができるため、太陽光パネルの温度上昇を抑制することができる。
【0026】
第8の発明の太陽光パネル冷却システムは、第3乃至第7のいずれかの発明において、前記開口部を開閉する開閉部材と、前記開閉部材を開閉駆動する開閉駆動手段と、降雨に関する降雨情報を前記屋外環境情報として取得する前記環境情報取得手段としての降雨情報取得手段と、を備え、前記制御手段は、前記降雨情報取得手段により取得した降雨情報に基づいて、前記開閉部材を閉じるよう前記開閉駆動手段を制御することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、降雨情報取得手段により取得された降雨情報に基づいて開閉部材が閉じられ開口部が閉鎖される。そのため、太陽光パネルの冷却を実施している最中に雨が降ってきた場合等でも自動で開閉部材が閉じることができ、雨が開口部を介して建物内に入り込むのを防止できる。
【0028】
第9の発明の太陽光パネル冷却システムは、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記開口部は、前記吹き抜け空間から上方に延びる通気路の上端部において屋外側に開口されていることを特徴とする。
【0029】
吹き抜け空間は、二層以上の階を垂直に貫いて形成された空間であるため、その上部と下部との間では比較的大きな温度差が発生すると考えられる。このため、吹き抜け空間ではその温度差に起因して上昇気流が発生し易い。そこで、本発明では、その点に着目し、開口部を吹き抜け空間から上方に延びる通気路の上端部において屋外側に開口させることで、吹き抜け空間において上昇する上昇気流を利用して屋内の空気を開口部から排出することとしている。この場合、ファン装置等による強制排気を行わずとも、屋内の空気を開口部を介して通気層に好適に排出することができるため、自然対流による太陽光パネルの冷却を行うに際し都合がよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】建物全体を示す概略図。
【図2】開口部周辺における構成を示す縦断面図。
【図3】建物を太陽光パネルの設置された方角から見た図。
【図4】通気路におけるファン装置の設置構成を示す横断面図。
【図5】パネル冷却システムの電気的構成を示すブロック図。
【図6】パネル冷却処理を示すフローチャート。
【図7】冷却開始時刻決定処理を示すフローチャート。
【図8】冷却実施処理を示すフローチャート。
【図9】太陽光パネルの温度上昇に関する予測結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は建物全体を示す概略図である。
【0032】
図1に示すように、建物10は、基礎11上に形成された下階部分としての一階部分12と、その一階部分12の上方に連続して形成された上階部分としての二階部分13と、その二階部分13の上方に形成された寄棟式の屋根部14とを備えている。
【0033】
建物10には、一階部分12に一階居室17が設けられ、二階部分13に二階居室18が設けられている。また、建物10には、これら各居室17,18に隣接して吹き抜け空間19が一階部分12と二階部分13とに跨るように設けられている。この吹き抜け空間19には、例えば一階居室17と二階居室18との間を行き来するための階段等が設けられている。
【0034】
建物10の一階部分12には、一階居室17と吹き抜け空間19との間を連通する出入口21が設けられ、出入口21にはドア22が設けられている。この出入口21を通じて一階居室17への出入りが可能となっている。建物10の二階部分13には、二階居室18と吹き抜け空間19との間を連通する出入口23が設けられ、出入口23にはドア24が設けられている。この出入口23を通じて二階居室18への出入りが可能となっている。
【0035】
建物10の外周部には、屋内外を連通する窓部26が複数設けられている。窓部26としては、一階居室17に面した窓部26a、二階居室18に面した窓部26b、吹き抜け空間19に面した窓部26c,26d等が設けられている。これら各窓部26にはそれぞれ、各々の窓部26を開閉する窓戸としてのガラス戸27が設けられている。ここで、各窓部26a〜26dに設けられたガラス戸27の符号をそれぞれ27a〜27dとする。
【0036】
また、一階居室17には、当該一階居室17を冷房するための冷房装置28が設けられており、二階居室18には、当該二階居室18を冷房するための冷房装置29が設けられている。
【0037】
建物10の屋根部14には、太陽光が照射されることにより発電を行う太陽光パネル30が設けられている。ここで、太陽光パネル30は、その温度が高くなると発電効率が低下する性質を有しており、特に夏場においては著しく低下する。そのため、本実施形態では、屋根部14に屋内外を連通する開口部を設け、その開口部を通じて屋外に排出される屋内の空気の流れを利用し太陽光パネル30を冷却することとしている。以下、この太陽光パネル30を冷却するための構成を図2及び図3に基づいて説明する。なお、図2は開口部周辺における構成を示す縦断面図であり、図3は建物を太陽光パネル30の設置された方角から見た図である。
【0038】
図2に示すように、太陽光パネル30は、屋根部14において屋根面31を形成する屋根面材32上に図示しない脚部等を介して設置されている。太陽光パネル30は、屋根面31に平行に傾斜して設けられており、太陽光パネル30の裏面と屋根面31との間には、所定の隙間が設けられている。この隙間は、例えば数cm(5〜10cm程度)に設定されている。なお、この隙間は、後述するように屋根部14に設けられた開口部35を介して排出された屋内の空気が流れる通気層33となっている。
【0039】
図2及び図3に示すように、屋根面材32には、建物10の屋内空間と通気層33とを連通する開口部35が設けられている。開口部35は、屋根面材32において太陽光パネル30の下方に設けられており、その全体が太陽光パネル30と重複している。具体的には、開口部35は、屋根面材32において太陽光パネル30における屋根部14の軒先34側端部の下方に配置されている。また、開口部35は、太陽光パネル30の幅方向(軒先34と平行に延びる方向)に沿って延びるように形成されている。
【0040】
なお、開口部35には、猫等の小動物が建物10内に侵入するのを防ぐために網等を設けるのが望ましい。
【0041】
開口部35周辺における屋根部14の構成について説明すると、屋根部14には、開口部35から下方に延びる通気路36が設けられており、この通気路36は吹き抜け空間19に通じている。通気路36は、屋根部14に形成された屋根裏空間38と仕切部材39により仕切られることで構成されている。
【0042】
屋根面材32には、開口部35を開閉する開閉部材41が設けられている。開閉部材41は、開口部35全体を閉じることが可能な大きさで、かつ、平板状に形成されており、例えば板金部材からなる。開閉部材41は、屋根面31の傾斜方向に沿ってスライド移動可能とされており、スライド移動されることにより開口部35を開閉する構成となっている。なお、開閉部材41をスライド移動させるための構成としては、例えば開閉部材41の両端部に当該両端部を支持するレール部材を設け、そのレール部材に沿って開閉部材41をスライド移動させることが考えられる。
【0043】
屋根部14には、開閉部材41を開閉駆動する開閉駆動部43が設けられている。開閉駆動部43は、例えば電動モータ等の電動式の駆動機構からなるものであり、例えば開閉部材41に設けられている。
【0044】
上記構成において、建物10に設けられた複数のガラス戸27のうち少なくともいずれかが開かれた状態で、開閉駆動部43による駆動により開閉部材41が開かれると、開放された窓部26を介して外気が建物10内に入り込み、その入り込んだ空気が吹き抜け空間19を経由した後通気路36及び開口部35を介して通気層33に排出される。例えば、窓部26aから外気が建物10の一階居室17に入り込んだ場合には、その空気が出入口21を通じて吹き抜け空間19へ流れ(但し、この場合ドア22を開いておく必要がある。)、その後通気路36及び開口部35を介して通気層33に排出される。そして、通気層33に排出された空気は通気層33内において屋根面31の傾斜方向に沿って上側(換言すると屋根部14の棟側)に向かって流れ、その気流による対流熱伝達によって太陽光パネル30の冷却が行われる。
【0045】
また、通気路36には、開口部35を介して屋内の空気を屋外に排出するためのファン装置45が設けられており、このファン装置45を作動させることにより屋内の空気を積極的に通気層33に排出することも可能となっている。したがって、本実施形態では、窓部26を通じて自然風が屋内に入ってこなくても、ファン装置45を作動させて屋内の空気を通気層33に強制的に排出することにより太陽光パネル30を冷却することができるようになっている。
【0046】
図4には、通気路36におけるファン装置45の設置構成を示す。図4に示すように、平面視においてファン装置45は通気路36の一部に設けられている。そのため、通気路36において、ファン装置45が設置されていない部位(以下、非設置部位36aという)を通じて空気が流通することが可能となっている。これにより、ファン装置45が作動していない場合でも、非設置部位36aを通じて円滑な通気が可能となっている。
【0047】
なお、通気路36における非設置部位36aに、当該部位36aを開閉する開閉手段を設け、ファン装置45の作動時には開閉手段を閉動作させることにより当該部位36aを閉鎖するようにしてもよい。そうすれば、ファン装置45による排気の効率を高めることができる。
【0048】
ところで、本実施形態の建物10には、屋外環境に応じて太陽光パネル30を好適に冷却するための冷却システムが設けられている。以下、この冷却システムについて図1を参照しつつ説明する。
【0049】
図1に示すように、建物10には、ガラス戸27を開閉駆動する窓駆動手段としての窓駆動部47が設けられている。窓駆動部47は、各ガラス戸27に対してそれぞれ設けられており、例えば電動モータ等の電動式の駆動機構からなる。
【0050】
建物10には、ドア22,24を開閉駆動するドア駆動手段としてのドア駆動部48が設けられている。ドア駆動部48は、各ドア22,24に対してそれぞれ設けられており、例えば電動モータ等の電動式の駆動機構からなる。
【0051】
建物10には、パネル温検知手段としてのパネル温検知センサ51が設けられている。パネル温検知センサ51は、太陽光パネル30の表面温度を検知するものであり、例えば太陽光パネル30の表面に設けられている。
【0052】
建物10には、屋外温検知手段としての屋外温検知センサ52が設けられている。屋外温検知センサ52は、屋外の温度を検知するセンサであり、例えば建物10の外壁面に設けられている。建物10には、屋内温検知手段としての屋内温検知センサ53が設けられている。屋内温検知センサ53は、屋内の温度を検知するセンサであり、例えば吹き抜け空間19の内壁面に設けられている。
【0053】
建物10には、風向検知手段としての風向検知センサ54が設けられている。風向検知センサ54は、建物10の周りを流れる風の向きを検知するセンサであり、例えば建物10の外壁面に設けられている。
【0054】
次に、太陽光パネル30を冷却する冷却システムの電気的構成について図5に基づいて説明する。
【0055】
図5に示すように、建物10には、制御手段としてのコントローラ50が設けられている。コントローラ50は、CPU等を周知のマイクロコンピュータを主体に構成されており、例えば一階居室17の内壁面に設置されている。
【0056】
コントローラ50の入力側には、パネル温検知センサ51、屋外温検知センサ52、屋内温検知センサ53及び風向検知センサ54が接続されている。コントローラ50には、これら各センサ51〜54から逐次検知結果が入力される。
【0057】
コントローラ50の入力側には、各冷房装置28,29が接続されている。コントローラ50には、各冷房装置28,29からそれぞれ各々の冷房装置28,29が運転しているか否かに関する運転情報が逐次入力される。
【0058】
コントローラ50の入力側には、インターネット56を介して気象センタ57と接続されている。気象センタ57は、今後の気象に関する気象予報情報を提供する外部施設であり、例えば気象庁がこれに該当する。コントローラ50には、気象センタ57からインターネット56を介して気象予報情報が入力される。
【0059】
コントローラ50の出力側には、開閉駆動部43、ファン装置45、各窓駆動部47及びドア駆動部48が接続されている。コントローラ50は、各検知センサ51〜54からの検知結果、気象センタ57からの気象予報情報及び冷房装置28,29からの運転情報に基づいて、開閉駆動部43、ファン装置45、各窓駆動部47及び各ドア駆動部48を動作制御する。
【0060】
次に、コントローラ50によって実行されるパネル冷却処理について図6に基づいて説明する。図6は、パネル冷却処理を示すフローチャートである。なお、本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0061】
図6に示すように、まずステップS11において、現在の時刻が、気象センタ57から気象予想情報を取得する情報取得時刻であるか否かを判定する。この判定は、例えばコントローラ50に設けられたタイマから現在の時刻を取得し、その取得した現在の時刻が情報取得時刻と一致するか否かに基づいて行われる。なおここで、情報取得時刻は、パネル冷却のための温度条件(パネル温度>所定温度Tp1(詳細は後述のステップS32))が成立する以前であることが想定される時刻に設定されており、例えばAM7:00に設定されている。なお、すでにパネル冷却が行われていれば、環境変化によるパネル温度の上昇予測が不要であるため、パネル冷却の開始前であるか否かを判定し、開始前である場合に情報取得する構成としてもよい。現在の時刻が情報取得時刻である場合には、ステップS12に進み、冷却開始時刻決定処理を行い、その後ステップS13に進み冷却実施処理を行う。一方、現在の時刻が情報取得時刻でない場合には、ステップS13に進み、冷却実施処理を行う。
【0062】
ここで、ステップS12における冷却開始時刻決定処理と、ステップS13における冷却実施処理とを図7及び図8に基づいて説明する。なお、図7は冷却開始時刻決定処理を示すフローチャートであり、図8は冷却実施処理を示すフローチャートである。まず、冷却開始時刻決定処理について説明する。
【0063】
図7に示すように、冷却開始時刻決定処理ではまずステップS21において、気象センタ57から気象予報情報を取得する。具体的には、本処理を実行する日における昼間時間帯の外気温に関する情報や日射量に関する情報等を取得する。
【0064】
ステップS22では、パネル温検知センサ51からの検知結果に基づいて、現時点における太陽光パネル30の温度(現パネル温度)を取得する。
【0065】
ステップS23では、ステップS21において取得した気象予想情報と、ステップS22において取得した太陽光パネル30の温度情報(現パネル温度)とに基づいて、太陽光パネル30のその後の温度上昇を予測する予測処理を行う。この予測処理では、図9に示すように、時刻の経過とともに太陽光パネル30の温度がどのように変化(上昇及び下降)していくのかについて予測する。具体的には、コントローラ50のメモリには、現時点における太陽光パネル30の温度及び気象予報情報と、太陽光パネル30のその後の温度上昇との関係を定めたテーブルが予め記憶されており、そのテーブルを用いて太陽光パネル30の温度情報を予測する。
【0066】
ステップS24では、ステップS23で行った予測処理の結果に基づいて、太陽光パネル30の冷却を開始する時刻を決定する。具体的には、まず太陽光パネル30の温度が所定温度Tp1に達する時刻t1(以下、到達予測時刻t1という)を予測する処理を行う。この処理はステップS23における予測結果に基づいて行われる。ここで、所定温度Tp1は例えば50℃に設定されている。次に、その到達予測時刻t1に基づいて太陽光パネル30の冷却を開始する時刻t2(以下、冷却開始時刻t2という)を決定する。ここで、本実施形態では、冷却開始時刻t2が到達予測時刻t1の2時間前の時刻に設定されている。これにより、太陽光パネル30の温度が所定温度Tp1まで上昇する前に太陽光パネル30の冷却が開始される。その後、本処理を終了する。
【0067】
続いて、冷却実施処理について図8に基づいて説明する。
【0068】
図8に示すように、冷却実施処理ではまずステップS31において、現在の時刻が冷却開始時刻決定処理(詳細にはステップS24)において決定した冷却開始時刻t2であるか否かを判定する。現在の時刻が冷却開始時刻t2でない場合には、ステップS32に進み、パネル温検知センサ51からの検知結果に基づいて太陽光パネル30の温度が所定温度Tp1よりも高いか否かを判定する。太陽光パネル30の温度が所定温度Tp1よりも高くなっていない場合には、本処理を終了する。一方、ステップS31において現在の時刻が冷却開始時刻t2である場合、又はステップS32において太陽光パネル30の温度が所定温度Tp1よりも高い場合には、ステップS33に進む。
【0069】
ステップS33では、開閉駆動部43に開信号を出力することで開閉部材41を開く。これにより、開口部35が開放される。
【0070】
ステップS34では、屋外温検知センサ52及び屋内温検知センサ53からの検知結果に基づいて、屋内の温度が屋外の温度よりも低いか否かを判定する。屋内の温度が屋外の温度よりも低い場合には、ステップS35に進み、風向検知センサ54からの検知結果に基づいて風向情報を取得する。そして、続くステップS36において、各冷房装置28,29からの運転情報に基づいて各々の冷房装置28,29が運転しているか否かを判定する。
【0071】
ステップS37では、ステップS35において取得した風向情報と、ステップS36における判定結果とに基づいて、複数の各ガラス戸27のうち所定のガラス戸27を開く。これにより、ガラス戸27が開かれた窓部26を通じて建物10内に外気が取り込まれ、その取り込まれた外気が開口部35を介して通気層33に排出される。つまり、太陽光パネル30の冷却が行われる。なお本ステップS37では、一階居室17のガラス戸27aを開く場合には、併せてドア22を開く。二階居室18のガラス戸27bを開く場合には、併せてドア24を開く。
【0072】
本ステップS37では、具体的には、例えば風向情報に基づいて建物10周りを吹く風の風上側に配置されたガラス戸27を開く。この場合、風上側の窓部26を通じて建物10内に風を取り込むことできるため、建物10内に取り込む空気の量を比較的多くすることができる。また、ステップS36にて一階居室17の冷房装置28が運転状態にあることが判定された場合には、一階居室17に設けられたガラス戸27aとは異なるガラス戸27b〜27dを開く。この場合、二階居室18又は吹き抜け空間19の窓部26b〜26dを介して外気を建物10内に取り込むことができるため、冷房装置28により冷房されている一階居室17の居室環境を維持したまま太陽光パネル30の冷却を行うことができる。
【0073】
ステップS38では、パネル温検知センサ51からの検知結果に基づいて、太陽光パネル30の温度が所定温度Tp1よりも高いか否かを判定する。太陽光パネル30の温度が所定温度Tp1よりも高い場合には、ステップS39に進み、ファン装置45に駆動信号を出力してファン装置45を作動させる。その後、本処理を終了する。これにより、ファン装置45により建物10内の換気が促進されるため、その結果太陽光パネル30の冷却が促進される。なお、ファン装置45がすでに作動している場合には、そのまま作動状態を継続する。
【0074】
一方、太陽光パネル30の温度が所定温度Tp1よりも高くなっていない場合には、ステップ40に進み、ファン装置45に停止信号を出力してファン装置45の作動を停止させる。これにより、自然対流による太陽光パネル30の冷却が行われる。その後、本処理を終了する。なお、ファン装置45が停止している場合には、そのままファン装置45の停止状態を継続する。
【0075】
先のステップS34において、屋内の温度が屋外の空気よりも低い場合には、ステップS41に進み、各窓駆動部47に対する駆動信号の出力を停止する。これにより、各ガラス戸27が閉じられる。
【0076】
続くステップS42では、ファン装置45に駆動信号を出力してファン装置45を作動させる。この場合、比較的高温である屋外の空気を窓部26を介して建物10内に取り込むことなく、ファン装置45により比較的低温の屋内空気を開口部35を介して通気層33に排出することができる。その後、本処理を終了する。
【0077】
図6の説明に戻り、ステップS13における冷却実施処理後のステップS14では、現在の時刻が所定の午後時間帯にあるか否かを判定する。ここで、所定の午後時間帯は太陽光による日射が弱まり太陽光パネル30の温度が低下する時間帯に設定されており、例えば16時から20時までの時間帯に設定されている。現在の時刻が所定の午後時間帯にない場合には本処理を終了する。現在の時刻が所定の午後時間帯にある場合には、ステップS15に進む。
【0078】
ステップS15では、パネル温検知センサ51からの検知結果に基づいて、太陽光パネル30の温度が所定温度Tp2よりも低下したか否かを判定する。ここで、所定温度Tp2は、前記所定温度Tp1よりも低い温度に設定されており、例えば35℃に設定されている。太陽光パネル30の温度が所定温度Tp2よりも低下していない場合には、本処理を終了する。太陽光パネル30の温度が所定温度Tp2よりも低下した場合には、ステップS16に進み、ファン装置45に対する駆動信号の出力を停止する。これにより、ファン装置45の作動が停止する。なお、ファン装置45の作動がすでに停止している場合には、そのままファン装置45の停止状態を継続する。
【0079】
続くステップS17では、開閉駆動部43に対して閉信号を出力するとともに各窓駆動部47に対して閉信号を出力する。これにより、各ガラス戸27が閉められるとともに開閉部材41が閉められて、太陽光パネル30の冷却処理が終了する。その後、本処理を終了する。
【0080】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0081】
屋外環境情報を取得し、その取得した屋外環境情報に基づいて開閉部材41及びガラス戸27を開き屋内空気を通気層33に排出するようにした。つまり、太陽光パネル30の冷却を行うようにした。これにより、例えば外気温が上昇したり日射量が増大したりする等して屋外環境が太陽光パネル30の温度が上昇し易い状況にあるかどうか等に応じて太陽光パネル30の冷却を開始することができる。よって、この場合、屋外環境に応じて太陽光パネル30を好適に冷却することができる。
【0082】
具体的には、太陽光パネル30の冷却が開始される温度条件が成立する前に、つまり太陽光パネル30の冷却開始前に、気象センタ57から気象予報情報を取得し、その取得した気象予報情報に基づいて太陽光パネル30のその後の温度上昇を予測するようにした。そして、その温度上昇の予測結果に基づいて太陽光パネル30の冷却を実施するようにした。したがって、例えば太陽光パネル30の温度が著しく上昇する前から太陽光パネル30の冷却を行うことができるため、太陽光パネル30を好適に冷却することができる。
【0083】
また、本発明の太陽光パネル冷却システムでは、屋内の空気を屋外に排出することになるが、実際に外気温が上昇する前に、ひいては外気温が上昇して屋内で冷房装置28,29が使用される前に、こうした屋内空気の排出を行う構成とすることで屋内環境への影響を少なくすることができるという利点も得られる。
【0084】
太陽光パネル30の冷却に際して、屋内の温度が屋外の温度よりも低い場合に、ガラス戸27を閉めるよう窓駆動部47を制御するとともにファン装置45を作動させるよう制御することとした。この場合、屋外の比較的高温の空気を窓部26より屋内に取り込むことなく、屋内の比較的低温の空気をファン装置45により通気層33へ排出することができる。これにより、比較的低温の空気により太陽光パネル30の冷却を行うことができるため、太陽光パネル30を好適に冷却することができる。
【0085】
窓駆動部47によりガラス戸27を開いた状態で窓部26を吸気口とし開口部35を排気口として屋内を換気することにより、屋内空気を通気層33に排出することとした。これにより、窓部26を通じて屋内に入る風を利用して、自然対流により太陽光パネル30を冷却することができる。
【0086】
太陽光パネル30の冷却に際し、風向検知センサ54からの検知結果に基づいて、複数のガラス戸27のうち風上側に配置されたガラス戸27を開くよう窓駆動部47を制御することとした。この場合、風上側に設けられた窓部26を通じて建物10周りを流れる風を屋内に取り込むことができるため、建物10内に取り込まれる空気の量を増大させることができ、その結果開口部35を通じて通気層33に排出される空気の量を増大させることができる。これにより、通気層33における空気の流れを速くすることができるため、太陽光パネル30を好適に冷却することができる。
【0087】
太陽光パネル30の冷却に際し、一階居室17に設けられた冷房装置28が運転していると判定された場合に、一階居室17に設けられたガラス戸27aとは異なるガラス戸27b〜27dを開くよう各窓駆動部47を制御することとした。これにより、一階居室17の冷房装置28が運転中である場合には、二階居室18又は吹き抜け空間19に設けられた窓部26b〜26dを通じて外気を屋内に取り込むことができるため、建物10内の換気を一階居室17を経由せずに行うことができる。よって、この場合、冷房装置28により冷房されている一階居室17の快適性を損なうことなく太陽光パネル30の冷却を行うことができる。
【0088】
開口部35を、吹き抜け空間19から上方に延びる通気路36の上端部において屋外側に開口させた。ここで、吹き抜け空間19ではその上部と下部との間で比較的大きな温度差が発生すると考えられ、そのため吹き抜け空間19ではその温度差に起因して上昇気流が発生し易い。そのため、かかる構成ではその上昇気流を利用して屋内(吹き抜け空間19)の空気を開口部35を介して通気層33側に排出することができるため、ファン装置45による強制排気を行わずとも屋内の空気を好適に排出することができる。よって、この場合自然対流による太陽光パネル30の冷却を行うに際し都合がよい。
【0089】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0090】
(1)建物10の各居室17,18にそれぞれ人が存在することを検知する人検知センサを設け、太陽光パネル30の冷却に際しその人検知センサによる人検知があった居室17,18のガラス戸27a,27bとは異なるガラス戸27c,27dを開くように制御してもよい。そうすれば、居室17,18に存在するユーザに対し居室17,18を流れる空気の流れにより不快感を与えるのを回避することができる。
【0091】
(2)建物10に、雨が降っていることを検知する雨滴センサを設け、この雨滴センサにより雨が降っていることが検知された場合に開閉部材41を閉じるよう開閉駆動部43を制御してもよい。そうすれば、太陽光パネル30を冷却している最中に雨が降ってきた場合でも自動で開閉部材41が閉じることができ、雨が開口部35を介して建物10内に入り込むのを防止することができる。なお、気象センタ57から降雨に関する情報を取得し、その取得した降雨情報に基づいて、開閉部材41を閉じるよう制御してもよい。この場合、例えば雨が降る前に前もって開口部35を閉鎖しておくことができるため、雨が開口部35を介して建物10に入り込むのを未然に回避することができる。
【0092】
(3)建物10の周りを流れる風の風量を検知する風量検知センサを設けるとともに、窓駆動部47にガラス戸27の開閉量を調整する機能を備え、風量検知センサにより検知された風量に基づいて、ガラス戸27の開閉量を調整するよう窓駆動部47を制御してもよい。そうすれば、例えば建物10の周りを流れる風の風量が小さい場合でも、ガラス戸27を大きく開くことで屋外の空気を効率よく屋内に取り込むことができ、その結果太陽光パネル30を好適に冷却することができる。
【0093】
(4)上記実施形態では、気象センタ57から取得した気象予報情報に基づいて太陽光パネル30のその後の温度上昇を予測したが、これを変更してもよい。例えば、屋外温検知センサ52により検知された屋外の温度をコントローラ50のメモリに逐次記憶して屋外の温度に関するデータ(例えば1日における各時間帯ごとの屋外温度データ)を蓄積し、その蓄積したデータに基づいて太陽光パネル30のその後の温度上昇を予測してもよい。
【0094】
(5)上記実施形態では、気象センタ57から取得した気象予報情報(屋外環境情報)に基づいて太陽光パネル30のその後の温度上昇を予測し、その予測結果に基づいて決定した冷却開始時刻t2に太陽光パネル30の冷却を開始したが(図8におけるステップS31のYES判定)、これを変更してもよい。例えば、屋外温検知センサ52により検知された屋外の温度が所定温度(例えば40℃)以上になった場合に太陽光パネル30の冷却を開始するようにしてもよい。この場合にも、屋外環境が太陽光パネル30の温度が著しく上昇する前から太陽光パネル30の冷却を行うことができる。
【0095】
(6)上記実施形態では、太陽光パネル30の温度が所定温度Tp2よりも低下した場合に、開閉部材41及びガラス戸27を閉じ(ステップS17)、夜間において建物10内の換気が行われないようにしたが、これを変更してもよい。例えば、太陽光パネル30の温度が所定温度Tp2よりも低下し、かつ、所定の時刻になったことを条件に開閉部材41及びガラス戸27を閉じるようにしてもよい。ここで、所定の時刻は、屋外の空気が最も低くなる時刻に、例えば朝4:00に設定されている。そうすれば、夜間において建物10内の換気が行われるため屋外の涼しい空気を建物10内に取り込むことができる。そして、所定の時刻において開閉部材41及びガラス戸27が閉められることで、屋内に取り込んだ涼しい空気を建物10内に滞留させることができる。これにより、建物10内に滞留させた涼しい空気を通気層33に排出することにより太陽光パネル30の冷却効率を高めることができる。
【0096】
(7)上記実施形態では、屋根部14において開口部35を吹き抜け空間19の上方に設けたが、開口部35を二階居室18の上方等その他の場所に設けてもよい。
【0097】
(8)上記実施形態では、開口部35を太陽光パネル30の下方において同パネル30の下端側に配置したが、これを変更して、太陽光パネル30の下方において同パネル30の中間部等その他の部位に配置してもよい。
【0098】
(9)上記実施形態では、ドア22,24をドア駆動部48により開閉する構成としたが、これを変更し、ドア22,24に可動ガラリを設け、この可動ガラリを駆動部により開閉する構成としてもよい。
【0099】
(10)一般に外気温が同じであっても太陽光パネル30に対する日射量が多ければ太陽光パネル30の温度上昇は大きくなる。そこでその点に鑑みて、建物10に日射量を検知する日射量検知センサを設け、同センサからの検知結果に基づいて太陽光パネル30の冷却処理を行うようにしてもよい。そうすれば、日射量に応じて太陽光パネル30を好適に冷却することができる。
【符号の説明】
【0100】
10…建物、14…屋根部、19…吹き抜け空間、26…窓部、27…窓戸としてのガラス戸、28,29…冷房装置、30…太陽光パネル、32…屋根面材、33…通気層、35…開口部、41…開閉部材、43…開閉駆動手段としての開閉駆動部、45…ファン装置、47…窓駆動手段としての窓駆動部、50…制御手段としてのコントローラ、51…パネル温検知手段としてのパネル温検知センサ、52…環境情報取得手段及び屋外温検知手段としての屋外温センサ、53…屋内温検知手段としての屋内温検知センサ、54…風向検知手段としての風向検知センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋根上方に設置された太陽光パネルと前記屋根との間に形成された通気層と、前記屋根に形成され前記通気層を前記建物の屋内空間と連通させる開口部と、前記開口部を介して屋内の空気を前記通気層に排出する排出手段とを備え、前記排出手段により前記通気層に排出された屋内の空気が前記太陽光パネルに沿って前記通気層を流れることにより前記太陽光パネルが冷却される太陽光パネル冷却システムであって、
屋外の環境に関する屋外環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記環境情報取得手段により取得された屋外環境情報に基づいて、屋内の空気を前記通気層に排出するように前記排出手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする太陽光パネル冷却システム。
【請求項2】
前記太陽光パネルの冷却を行う温度条件を定めておき、その温度条件が成立した時にパネル冷却を行う太陽光パネル冷却システムであり、
前記環境情報取得手段は、前記太陽光パネルの冷却開始前に、今後の屋外環境変化に関する情報を前記屋外環境情報として取得する手段を有し、
当該手段により取得された今後の屋外環境変化に基づいて、前記太陽光パネルの温度上昇を予測する予測手段を備え、
前記制御手段は、前記予測手段による温度上昇予測に基づいて前記排出手段による屋内空気の排出を実施することを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル冷却システム。
【請求項3】
前記排出手段は、
前記建物の外壁部に設けられ屋内外を連通する窓部と、
前記窓部を開閉する窓戸と、
前記窓戸を開閉駆動する窓駆動手段と、
を備え、
前記排出手段は、前記窓駆動手段により前記窓戸を開いた状態で、前記窓部を吸気口とし前記開口部を排気口として屋内を換気するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光パネル冷却システム。
【請求項4】
前記排出手段は、屋内の空気を前記開口部を介して前記通気層へ排出するための空気流を生じさせるファン装置を備え、
前記環境情報取得手段は、屋外の温度を前記屋外環境情報として検知する屋外温検知手段を有し、
屋内の温度を検知する屋内温検知手段を備え、
前記制御手段は、前記屋内温検知手段により検知された屋内の温度が前記屋外温検知手段により検知された屋外の温度よりも低い場合に、前記排出手段による屋内空気の排出に際し、前記窓戸を閉めるよう前記窓駆動手段を制御するとともに、前記ファン装置を作動させるよう制御することを特徴とする請求項3に記載の太陽光パネル冷却システム。
【請求項5】
前記建物には、前記窓戸が異なる複数の方向に面して設けられ、
前記環境情報取得手段として、前記建物周辺における風の向きを検知する風向検知手段を備え、
前記制御手段は、前記排出手段による屋内空気の排出に際し、前記風向検知手段により検知された風の向きに基づいて、前記複数の窓戸のうち風上側に配置された窓戸を開くよう前記各窓駆動手段を制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の太陽光パネル冷却システム。
【請求項6】
前記建物には、冷房装置を備えた居室が設けられ、その居室を含む複数箇所に前記窓戸が設けられており、
前記冷房装置が運転しているか否かを判定する判定手段を備え、
前記制御手段は、前記排出手段による屋内空気の排出に際し、前記判定手段により前記冷房装置が運転していると判定された場合に、前記居室に設けられた窓戸とは異なる窓戸を開くよう前記各窓駆動手段を制御することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の太陽光パネル冷却システム。
【請求項7】
前記太陽光パネルの温度を検知するパネル温検知手段を備え、
前記排出手段は、屋内の空気を前記開口部を介して前記通気層へ排出するための空気流を生じさせるファン装置を備え、
前記制御手段は、前記パネル温検知手段により検知された前記太陽光パネルの温度が所定の温度を超えた場合に、前記窓駆動手段により前記窓戸を開くとともに、前記ファン装置を作動させることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の太陽光パネル冷却システム。
【請求項8】
前記開口部を開閉する開閉部材と、
前記開閉部材を開閉駆動する開閉駆動手段と、
降雨に関する降雨情報を前記屋外環境情報として取得する前記環境情報取得手段としての降雨情報取得手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記降雨情報取得手段により取得した降雨情報に基づいて、前記開閉部材を閉じるよう前記開閉駆動手段を制御することを特徴とする請求項3乃至7のいずれか一項に記載の太陽光パネル冷却システム。
【請求項9】
前記建物には、吹き抜け空間が設けられ、
前記開口部は、前記吹き抜け空間から上方に延びる通気路の上端部において屋外側に開口されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の太陽光パネル冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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