説明

太陽光発電装置

【課題】 多数の情報をより少ない発光素子によって表示させて、太陽光発電装置を小型化する。
【解決手段】 太陽光発電装置は、太陽電池パネルと、太陽電池パネルの機能に関する複数の情報を検出する検出回路と、検出回路が検出した複数の情報を表示する表示部16と、表示部16を制御する表示制御回路とを備えている。表示部16は、それぞれが独立して、態様が変化する複数の発光素子(7,8a,8b,11,12)を含んでいる。表示制御回路は、複数の発光素子のうち2以上の発光素子の態様の組み合わせによって、複数の情報のうちいずれか1の情報を、表示部16に表示させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の太陽光発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の屋根などに設置される住宅用太陽光発電装置は、太陽電池パネルと、太陽電池パネルに充電されている電力の充電量および蓄電池の電力の残量を検出する検出回路と、検出回路が出力する信号の種類に応じて充電量および電力の残量を表示する表示部とを備えている。従来の住宅用太陽光発電装置は、表示部において充電量および電力の残量が数値によって表示されている。
【特許文献1】特開平11−330521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、小型の携帯用太陽光発電装置においては、内部回路および表示部の小型化および簡素化を図る必要がある。そのため、従来の住宅用太陽光発電装置のように、大きな表示部および内部回路を設けることができない。
【0004】
その結果、小型の携帯用太陽光発電装置では、太陽電池パネルの充電状態を把握することができない。そのため、太陽電池を最適な方向に向けて充電することができない。したがって、効率良く充電できない。また、蓄電池の残量が分からないため、機器を使用する場合にその使用可能時間を把握することができない。さらに、従来の住宅用太陽光発電装置においては、その各部において発生している異常を把握することができない。
【0005】
一方、前述のような充電量、電力の残量、および異常情報を表示する大きな表示部および内部回路を設けると、太陽光発電装置を小型化することができない。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、多数の情報を表示することができる小型の太陽光発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の太陽光発電装置は、太陽電池パネルと、太陽電池パネルの機能に関する複数の情報を検出する検出回路と、検出回路が検出した複数の情報を表示する表示部と、表示部を制御する表示駆動回路とを備え、表示部は、それぞれの態様が独立して変化可能な複数の発光素子を含み、表示駆動回路は、複数の発光素子のうち2以上の発光素子の態様の組み合わせによって、複数の情報のうちの少なくともいずれか1の情報を、表示部に表示させることが可能である。
【0008】
上記の構成によれば、多数の情報をより少ない発光素子によって表示させることができる。その結果、太陽光発電装置を小型化することができる。
【0009】
前述の太陽電池パネルの機能に関する情報には、太陽電池パネルが充電している電力の充電量の情報、太陽電池パネルによって発電され蓄電池に蓄積された電力の残量の情報、および、蓄電池から出力される電力の異常の情報が含まれる。
【0010】
前述の発光素子の態様には、点灯態様、点滅態様、および消灯態様が含まれ、点滅態様には、速度が異なる複数種類の点滅が含まれ、複数種類の点滅のそれぞれの速度に応じて、情報によって特定される状態の段階を表示することが望ましい。これによっても、数少ない発光素子で多数の情報を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1〜図4を用いて、本発明の実施の形態の太陽光発電装置を説明する。
【0012】
本実施の形態の太陽光発電装置15は、図1〜図4に示すように、受光面1aに太陽光を受けて発電する発電部として機能する太陽電池パネル1と、太陽電池パネル1が発電する電力が充電される蓄電池3と、太陽電池パネル1から蓄電池3へ効率的に電力が送られるように制御する充電制御部2とを備えている。また、太陽光発電装置15は、蓄電池3から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータ10と、太陽電池パネル1から蓄電池3へ送られる電力の充電量を検出する充電量検出回路5とを備えている。
【0013】
また、太陽光発電装置15は、蓄電池3に残存する電力の残存量を検出する残量検出回路6と、充電量検出回路5および残量検出回路6のそれぞれから送信される検出信号を受信する表示駆動回路9とを備えている。また、太陽光発電装置15は、インバータ10からAC100V負荷へ出力される電力の異常を検出するとともに、蓄電池3からDC負荷12Vへ出力される電力の異常を検出する負荷異常検出回路20を備えている。
【0014】
また、太陽光発電装置15は、表示駆動回路9によって制御される表示部であって、1個の発光素子(充電LED(Light Emit Diode))7aからなり、蓄電池3に充電されている電力の充電量を表示する充電量表示部7と、2個の発光素子(満LEDおよび空LED)8aおよび8bからなり、蓄電池3に残存している電力の残存量を表示する残量表示部8とを備えている。
【0015】
充電量表示部7および残量表示部8は、表示部16内に設けられている。表示部16は、図2に示すように、太陽光発電装置15を携帯するときに使用する取っ手部となる部分であって、太陽光発電装置15の受光面1aが向く方向を変化させることが可能な角度可変用スタンド4が設けられている。また、角度可変用スタンド4は、太陽電池パネル1の受光面1aとは反対側の面に設けられている。
【0016】
また、表示部16には、1個の発光素子からなり、直流電力をDC100V負荷に供給しているときに点灯し、その直流電力に異常が発生したときに点滅するDC(Direct Currency)12V表示部12、1個の発光素子からなり、交流電力をAC(Alternative Currency)100V負荷に供給しているときに点灯し、その交流電力に異常が発生したときに点滅するAC100V表示部11、AC電力を出力するか否かを決定するAC出力スイッチ13、およびDC電力を出力するか否かを決定するDCスイッチ14が設けられている。
【0017】
DCスイッチ14がONであり、AC出力スイッチ13がOFFであるときは、直流電力がDC負荷へ供給される。また、AC出力スイッチ13がONであり、DCスイッチ14がOFFであるときは、交流電力がAC負荷へ供給される。
【0018】
また、表示駆動回路9は、残量検出回路6から送信されてくる検出信号に基づいて、残量表示部8の発光の態様、すなわち、点灯、点滅、および消灯等のLEDの発光態様を制御する。それにより、表1に示すように、蓄電池3に蓄積されている電力の残存量が残量表示部8に表示される。
【0019】
DCスイッチ14がONであり、かつ、AC出力スイッチ13がONであるときは、直流電力がDC負荷へ供給されるとともに、交流電力がAC負荷へ供給される。
【0020】
【表1】

【0021】
表1に示すように、表示駆動回路9は、蓄電池3が満充電となっており、充電が停止されている場合には、残量表示部8内において、満LED8aを点灯させるとともに、空LED8bを消灯させる。また、表示駆動回路9は、蓄電池3が放電可能状態であり、蓄電池3の電圧範囲が12.4V以上である場合には、残量表示部8内において、満LED8aを点滅させるとともに、空LED8bを消灯させる。また、表示駆動回路9は、蓄電池3が放電可能状態であり、蓄電池3の電圧範囲が11.5V以上12.4未満である場合には、残量表示部8内において、満LED8aを消灯させるとともに、空LED8bを点滅させる。また、表示駆動回路9は、蓄電池3が充電可能状態であり、蓄電池3の電圧範囲が11.5未満である場合、または、過放電防止状態で放電できない場合には、残量表示部8内において、満LED8aを消灯させるとともに、空LED8bを点灯させる。
【0022】
また、表示駆動回路9は、充電量検出回路5から送信されてくる検出信号に基づいて、充電量表示部7の発光の態様、すなわち、点灯、点滅、および消灯等のLEDの態様を制御する。それにより、表2に示すように、太陽電池パネル1が充電している電力の充電量が充電量表示部7に表示される。
【0023】
【表2】

【0024】
表2に示すように、表示駆動回路9は、充電量に相当する電流範囲が2.4Aを超える場合には、太陽電池パネル1から蓄電池3へ充電される電力の充電量が「大」であるものとして、充電量表示部7の充電LED7aを点灯させる。また、表示駆動回路9は、充電量に相当する電流範囲が1.2A以上2.4A未満である場合には、太陽電池パネル1から蓄電池3へ充電される電力の充電量が「中」であるものとして、充電量表示部7の充電LED7aを早い速度で点滅させる。また、表示駆動回路9は、充電量に相当する電流範囲が0.4A以上1.2A未満である場合には、太陽電池パネル1から蓄電池3へ充電される電力の充電量が「小」であるものとして、充電量表示部7の充電LED7aを遅い速度で点滅させる。また、表示駆動回路9は、充電量に相当する電流範囲が0.4A未満である場合には、太陽電池パネル1から蓄電池3へ充電される電力の充電量が「無」であるものとして、充電量表示部7の充電LED7aを消灯させる。
【0025】
また、充電量検出回路5および残量検出回路6のそれぞれから太陽電池パネル1の充電に関する異常および蓄電池3の蓄電に関する異常のそれぞれを示す異常信号を受けて、異常の内容に応じて複数のLEDのうちのいずれか1または複数のLEDを点滅させて、表3に示すように、いかなる異常が発生しているのかを表示部16全体で表示する。
【0026】
【表3】

【0027】
表示駆動回路9は、太陽電池パネル1に異常電圧が発生している場合には、DC12V表示部12および空LED8bを点滅させる。また、表示駆動回路9は、蓄電池3に異常電圧が発生している場合には、DC12V表示部12および満LED8aを点滅させる。また、表示駆動回路9は、DC負荷へ出力される直流電力に異常電圧が発生している場合には、DC12V表示部12のみを点滅させる。また、表示駆動回路9はAC負荷へ出力される交流電力に異常電圧が発生している場合には、AC100V表示部12を点滅させる。また、表示駆動回路9は、AC負荷の短絡検出において異常が発生している場合には、AC100V表示部12および充電量表示部7の充電LED7aを点滅させる。
【0028】
また、太陽光発電装置15の太陽電池パネル1を除く他の各機器は、太陽電池パネル1の受光面1aとは反対側に設けられている。そのため、太陽光発電装置15が使用されている状態においても、各機器の温度上昇が抑制されているとともに、充電量表示部7および残量表示部8が見え易くなっている。
【0029】
上記のように、実施の形態の太陽光発電装置15は、発電量のレベル表示機能と蓄電池3の残量のレベル表示機能とを簡単な構成の表示部を用いて、効率良く表示することができる。そのため、太陽電池パネル1による充電量を一目で目視することができる。その結果、太陽電池パネル1の受光面1aを最適な方向に向けて充電することができる。また、残量表示部8によって、蓄電池3の残存容量も一目で目視することができる。
【0030】
また、内部回路に異常が発生した時には、複数の表示部の点灯態様、消灯態様および点滅態様の組み合わせ表示によって、複数の回路のうちいずれの回路に異常が発生しているのかを表示することができる。
【0031】
つまり、上記のような本実施の形態の太陽光発電装置15によれば、複数の発光素子(7,8a,8b,11,および12)のうち2以上の発光素子の態様の組み合わせ(表1〜3参照)によって、複数の情報(表1〜3参照)のうちいずれか1の情報を、表示部16に表示させる。そのため、多数の情報をより少ない発光素子(7,8a,8b,11,および12)によって表示させることができる。その結果、太陽光発電装置15を小型化することができる。
【0032】
また、発光素子(7,8a,8b,11,および12)の複数種類の点滅のそれぞれの速度に応じて、表示部16に異なる情報(表2参照)を表示することができるため、数少ない発光素子(7,8a,8b,11,および12)で多数の情報を表示することができる。
【0033】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施の形態の太陽光発電装置の使用時の斜視図である。
【図2】実施の形態の太陽光発電装置の裏面の表示部を示す図である。
【図3】実施の形態の太陽光発電装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態の太陽光発電装置の表示部を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 太陽電池パネル、2 充電制御装置、3 蓄電池、4 角度可変用スタンド、5 充電量検出回路、6 残量検出回路、7 充電量表示部、7a,7b 発光素子、8 残量表示部、8a 発光素子、9 表示駆動回路、10 インバータ、11 AC100V表示部、12 DC12V表示部、13 AC出力スイッチ、14 DCスイッチ、15 太陽光電源装置、16 表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルと、
前記太陽電池パネルの機能に関する複数の情報を検出する検出回路と、
前記検出回路が検出した複数の情報を表示する表示部と、
前記表示部を制御する表示駆動回路とを備え、
前記表示部は、それぞれの態様が独立して変化可能な複数の発光素子を含み、
前記表示駆動回路は、前記複数の発光素子のうち2以上の発光素子の態様の組み合わせによって、前記複数の情報のうちの少なくともいずれか1の情報を、前記表示部に表示させることが可能である、太陽光発電装置。
【請求項2】
前記太陽電池パネルの機能に関する情報には、前記太陽電池パネルが充電している電力の充電量の情報、前記太陽電池パネルによって発電され蓄電池に蓄積された電力の残量の情報、および、前記蓄電池から出力される電力の異常の情報が含まれる、請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記発光素子の態様には、点灯態様、点滅態様、および消灯態様が含まれ、
前記点滅態様には、速度が異なる複数種類の点滅が含まれ、
前記複数種類の点滅のそれぞれの速度に応じて、前記情報によって特定される状態の段階を表示する、請求項1に記載の太陽光発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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