説明

太陽熱集熱装置およびその集熱量調整方法

【課題】低コストで太陽熱集熱装置が過剰に熱を取得してしまうことを防止することができる太陽熱集熱装置の集熱量調整方法を提供する。
【解決手段】太陽光Lを集光するコレクタ12と、前記コレクタ12の太陽光追尾角度を変更する角度変更機構13と、前記コレクタ12により集光した太陽光Lにより集熱し熱媒体を加熱する集熱管14と、を備える太陽熱集熱装置10の集熱量調整方法であって、前記集熱管14で集熱された前記熱媒体の集熱量が設定値より大きい場合、前記コレクタ12の太陽光追尾角度を集熱量が減少する方向に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱を集熱して利用する太陽熱集熱装置およびその集熱量調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の枯渇や、温室効果ガスの排出による地球温暖化などの観点から、太陽光を有効利用した太陽熱集熱装置が求められている。
太陽熱集熱装置として、光電効果により光エネルギを電気エネルギに変換する光電素子を用いた太陽熱集熱装置のほかに、太陽光を鏡によって集光し、この集光した太陽光を熱エネルギ(太陽熱)として熱媒体に集熱し、この集熱された熱媒体を熱源としてタービン発電等に用いる太陽熱集熱装置が知られている。
【0003】
太陽熱集熱装置としては、特許文献1には、太陽熱エネルギを集熱し、この集熱した太陽熱エネルギを熱媒体に与える太陽熱集熱装置と、この太陽熱集熱装置での集熱により高温となった熱媒体と、給水タンクから移送される給水との熱交換を行う第1の熱交換器と、この第1の熱交換器での熱交換により高温となった給水と高温の作動媒体との熱交換を行い、当該作動媒体により給水を加熱してプロセス用の蒸気を発生させる第2の熱交換器とを備えた太陽熱利用蒸気発生システムが開示されている。なお、発生したプロセス用の蒸気は、例えば蒸気タービンを駆動させて発電を行うために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−183346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の太陽熱集熱装置は、集熱量が最大となるように、太陽軌道を追尾して太陽光を集光集熱する。
このため、太陽熱集熱装置で集熱した集熱量が負荷から要求される熱量(特許文献1においては蒸気タービンが要求する熱量)よりも多い場合、従来の太陽熱集熱装置は、過剰に熱を取得してしまうという問題があった。また、過剰に取得した熱を蓄熱する蓄熱手段を備えた太陽熱利用システムもあるが、余分な制御設備、制御システムが必要となりシステム全体として大型化したり、コストがアップしたりする。
【0006】
そこで、本発明は、低コストで太陽熱集熱装置が過剰に熱を取得してしまうことを防止することができる太陽熱集熱装置およびその集熱量調整方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明は、太陽光を集光するコレクタと、前記コレクタの太陽光追尾角度を変更する角度変更機構と、前記コレクタにより集光した太陽光により集熱し熱媒体を加熱する集熱管と、を備える太陽熱集熱装置の集熱量調整方法であって、前記集熱管で集熱された前記熱媒体の集熱量が設定値より大きい場合、前記コレクタの太陽光追尾角度を集熱量が減少する方向に調整することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、太陽光を集光するコレクタと、前記コレクタの太陽光追尾角度を変更する角度変更機構と、前記コレクタにより集光した太陽光により集熱し熱媒体を加熱する集熱管と、前記集熱管で集熱された前記熱媒体の集熱量を検出する集熱量検出手段と、前記角度変更機構を制御する制御手段と、を備える太陽熱集熱装置であって、前記制御手段は、前記集熱量検出手段で検出された集熱量が設定値より大きい場合、前記コレクタの太陽光追尾角度を集熱量が減少する方向に調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低コストで太陽熱集熱装置が過剰に熱を取得してしまうことを防止することができる太陽熱集熱装置およびその集熱量調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る太陽熱利用空調システムの構成模式図である。
【図2】太陽熱集熱装置の1ユニット分の斜視図である。
【図3】集熱管の直径ごとに光軸ズレ角度と集熱効率との関係を示したグラフである。
【図4】第2実施形態に係る太陽熱利用空調システムの構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0012】
≪第1実施形態に係る太陽熱利用空調システム≫
図1は、第1実施形態に係る太陽熱利用空調システム(太陽熱利用システム)S1の構成模式図である。
太陽熱利用空調システムS1は、太陽熱集熱装置10、気液分離タンク20、吸収式冷凍機30、熱媒体タンク40、負荷50、制御装置60、自動追尾装置65等を備えている。
【0013】
太陽熱集熱装置10は、太陽軌道を追尾して太陽光を集光・集熱し、供給された熱媒体(第1熱媒体)を加熱する装置である。
図2は、太陽熱集熱装置10の1ユニット分の斜視図である。
太陽熱集熱装置10は、複数のトラフ式の太陽熱集熱装置が直列(または並列)に接続された装置であり、図2には、1ユニット分のトラフ式の太陽熱集熱装置を示す。
太陽熱集熱装置10は、長手方向である南北方向の両端に設けられた2本の支柱11(11−1,11−2)と、これらの支柱11(11−1,11−2)に回転可能に支持されているコレクタ12とを有している。
コレクタ12は、自動追尾装置65によって制御されている駆動装置13によって、太陽の方向に正対するよう回転する。コレクタ12が太陽の方向に正対した状態とは、太陽光Lがコレクタ12に設けられた反射パネル12aによって反射され、集熱管14に集光されている状態である。コレクタ12は、鏡面部である反射パネル12aと、この反射パネル12aを支える支持部材である5個の支持フレーム12bと、この支持フレーム12bの長手方向の両端と中央部とに配置されている3本の支持バー12cとを有している。
【0014】
反射パネル12aは、短手方向に凹状の断面を有し、太陽光Lを集熱部である集熱管14に集光させる。この凹状の断面は集光曲率形状であり、例えば放物面である。更に、この3本の支持バー12cには、それぞれ保持脚15が固定されており、筒状の集熱部である集熱管14を保持している。
集熱管14は、太陽光Lを吸収して熱に変換する集熱部であり、例えば水などの第1熱媒体が流通可能に形成されている。
【0015】
太陽熱集熱装置10は、駆動装置13と回転位置検出器16によって、コレクタ12を太陽の方向に正対するように回転する。太陽光Lは、集光部であるコレクタ12の反射パネル12aによって反射して集熱部である集熱管14に焦点を結び、集熱管14内部の熱媒体の熱量に変換される。
【0016】
ここで、太陽熱集熱装置10の太陽追尾動作について説明する。
自動追尾装置65は、日時と設置場所(経度および緯度)に基づいて、太陽の位置を予測計算して、太陽光Lの入射方向とコレクタ12の光軸とが一致するコレクタ12の目標回転角度Θtを算出する。なお、自動追尾装置65は、太陽熱集熱装置10が設置される設置場所(経度および緯度)と日時における太陽の位置が記述されたマトリクスをあらかじめ記憶している。
また、自動追尾装置65には、後述する制御装置60によって算出された補正角度ΔΘが入力される。
そして、自動追尾装置65は、回転位置検出器16によってコレクタ12の実測回転角度Θを検出しながら、目標回転角度Θt+ΔΘになるまで、駆動装置13によってコレクタ12を回転させる。この一連の動作を繰り返して、コレクタ12が有している反射パネル12aで、太陽を随時追尾しながら集光し集熱する。なお、補正角度ΔΘについては後述する。
【0017】
このように、太陽熱集熱装置10の入口側から供給された第1熱媒体は、集熱管14に流入する。ここで、集熱管14は、反射パネル12aで集光された太陽光Lにより集熱(加熱)されている。これにより、集熱された集熱管14と集熱管14の内部を流通する第1熱媒体との間で熱交換されることにより、第1熱媒体が加熱され一部が気化し、高温の液状熱媒体と熱媒体蒸気の気液混合流体となる。
【0018】
図1に戻り説明を再開する。
気液分離タンク20内の第1熱媒体(液状熱媒体)は、熱媒体ポンプ21により送液され、太陽熱集熱装置10(集熱管14(図2参照))の入口側に供給される。なお、熱媒体ポンプ21は、制御装置60により、その回転速度(流量)が制御されている。
また、熱媒体タンク40内の第1熱媒体(液状熱媒体)は、熱媒体ポンプ41により送液され、太陽熱集熱装置10(集熱管14)の入口側に供給される。なお、熱媒体ポンプ41は、制御装置60により、その回転速度(流量)が制御されている。
なお、太陽熱集熱装置10(集熱管14)の入口側に接続される配管には、太陽熱集熱装置10(集熱管14)の入口側に供給される第1熱媒体(液状熱媒体)の温度を検出する温度センサ71と、太陽熱集熱装置10(集熱管14)の入口側に供給される第1熱媒体(液状熱媒体)の流量を検出する流量センサ72とが設けられている。温度センサ71および流量センサ72の検出信号は、制御装置60に送信される。
【0019】
太陽熱集熱装置10(集熱管14(図2参照))で加熱された第1熱媒体(気液混合流体)は、太陽熱集熱装置10(集熱管14)の出口側から気液分離タンク20に流入する。
なお、太陽熱集熱装置10(集熱管14)の出口側から気液分離タンク20に接続する配管には、第1熱媒体(気液混合流体)の温度を検出する温度センサ73が設けられている。温度センサ73の検出信号は、制御装置60に送信される。
【0020】
気液分離タンク20は、太陽熱集熱装置10(集熱管14(図2参照))から流入した第1熱媒体(気液混合流体)を、気体成分(熱媒体蒸気)と液体成分(液状熱媒体)とに分離する。
分離された気体成分である熱媒体蒸気は、吸収式冷凍機30に供給される。
【0021】
また気液分離タンク20には、気液分離タンク20内の液状熱媒体の液位(レベル)を検出する液位センサ(図示せず)が設けられている。液位センサ(図示せず)の検出信号は、制御装置60に送信される。制御装置60は、液位センサ(図示せず)の検出値に基づいて、気液分離タンク20内の液状熱媒体の液位が所定の液位となるように、熱媒体ポンプ21の回転速度(流量)を制御する。
このように、太陽熱集熱装置10(集熱管14(図2参照))から気液分離タンク20に流入した気液混合流体(第1熱媒体)のうち液体成分(液状熱媒体)は、気液分離タンク20から熱媒体ポンプ21を介して太陽熱集熱装置10(集熱管14)に戻るように構成されている。
【0022】
冷却塔31は、吸収式冷凍機30に供給する冷却水を生成する装置であり、吸収式冷凍機30で吸熱した冷却水の熱を大気中に排熱する排熱機構(図示せず)と、排熱を促進させるためのファン(図示せず)とを備えている。なお、冷却塔31のファンは、制御装置60により、その回転速度が制御されている。
冷却塔31で生成された冷却水は、冷却水ポンプ32により吸収式冷凍機30に供給され、冷却塔31と吸収式冷凍機30との間で冷却水が循環するようになっている。なお、冷却水ポンプ32は、制御装置60により、その回転速度(流量)が制御されている。
【0023】
吸収式冷凍機30は、気液分離タンク20から供給された高温の熱媒体蒸気(第1熱媒体)と、冷却塔31から供給された冷却水とを用いて、負荷50に供給する第2熱媒体を冷却する装置であり、再生器(図示せず)と、凝縮器(図示せず)と、蒸発器(図示せず)と、吸収器(図示せず)とを備えている。
【0024】
吸収式冷凍機30は、気液分離タンク20から供給された高温の熱媒体蒸気(第1熱媒体)を用いて、再生器で吸収液(例えば、臭化リチウム水溶液)を加熱する。なお、吸収液を加熱することにより液化した液状熱媒体(第1熱媒体)は、熱媒体タンク40に流入する。そして、熱媒体ポンプ41により太陽熱集熱装置10に送液される。
このように、太陽熱集熱装置10(集熱管14(図2参照))から気液分離タンク20に流入した気液混合流体(第1熱媒体)のうち気体成分(熱媒体蒸気)は、吸収式冷凍機30に供給され、熱媒体タンク40および熱媒体ポンプ41を介して太陽熱集熱装置10(集熱管14)に戻るように構成されている。
【0025】
吸収式冷凍機30の吸収液および冷媒の流れの概要について説明する。
再生器にて加熱された吸収液は、冷媒蒸気と濃縮された吸収液とに分離する。冷媒蒸気は再生器から凝縮器に導入され、濃縮された吸収液は再生器から吸収器に導入される。
凝縮器に導入された冷媒蒸気は、冷却塔31から供給された冷却水で冷却され凝縮して水(冷媒)となり、水(冷媒)は蒸発器に導入される。
蒸発器の内部は、低圧(例えば、0.01MPa(abs))となっており、水は低温(例えば、約5℃)であっても蒸発する。蒸発器に導入された水(冷媒)は、負荷50に供給する第2熱媒体から熱を奪い蒸発する。蒸発した冷媒は、吸収器にて、再生器から導入された濃縮された吸収液に吸収される。そして、吸収液は再生器に導入される。
【0026】
負荷50は、吸収式冷凍機30で冷却された第2熱媒体が供給される装置である。
負荷50で吸熱した第2熱媒体は、負荷ポンプ51により吸収式冷凍機30に供給され、負荷50と吸収式冷凍機30との間で第2熱媒体が循環するようになっている。なお、負荷ポンプ51は、制御装置60により、その回転速度(流量)が制御されている。
なお、吸収式冷凍機30から負荷50の入口側に接続される配管には、負荷50に供給される第2熱媒体の温度を検出する温度センサ74と、負荷50に供給される第2熱媒体の流量を検出する流量センサ75とが設けられている。また、負荷50の出口側から吸収式冷凍機30に接続される配管には、負荷50から排出された第2熱媒体(吸熱した第2熱媒体)の温度を検出する温度センサ76が設けられている。
【0027】
制御装置60が実行する太陽熱利用空調システムS1の制御について説明する。
制御装置60は、第1熱媒体の比熱、温度センサ71の検出値、流量センサ72の検出値および温度センサ73の検出値に基づいて、太陽熱集熱装置10の集熱量(供給熱量)を算出する。
また、制御装置60は、第2熱媒体の比熱、温度センサ74の検出値、流量センサ75の検出値および温度センサ76の検出値に基づいて、負荷50の負荷量(冷却負荷量)を算出する。
そして、負荷50の負荷量(冷却負荷量)に対して、吸収式冷凍機30が必要とする熱媒体蒸気(第1熱媒体)の熱量(熱負荷量)は、吸収式冷凍機30の性能に応じて、負荷50の負荷量(冷却負荷量)の関数として算出することができる。
制御装置60は、太陽熱集熱装置10の集熱量(供給熱量)が、負荷50の負荷量(冷却負荷量)から算出される吸収式冷凍機30の熱量(熱負荷量)よりも多い場合、太陽熱集熱装置10の集熱量(供給熱量)が減少する方向に制御する。
【0028】
ここで、太陽光Lの追尾角度のズレと太陽熱集熱装置10の集熱効率との関係について説明する。
図3は、集熱管14(図2参照)の直径ごとに光軸ズレ角度と集熱効率との関係を示したグラフである。なお、縦軸は集光効率を%で示し、横軸は光軸ズレ角度を角度[°]で示している。
コレクタ12(図2参照)の光軸に対して、太陽光L(図2参照)の入射角度にズレが生じると、コレクタ12(図2参照)で反射した太陽光Lの全光線が集熱管14(図2参照)に当らず集熱量が低下する。
【0029】
集熱管14の直径Φ1〜Φ4の違いによって集熱効率は変化する。なお、直径Φ1が最も細く、以降、直径Φ2から直径Φ4の順に太くなる。集熱管14の直径が太いほど光軸ズレ角度に対する集熱効率の変化が緩やかになる。また、集熱管14の直径Φ1〜Φ4いずれにおいても、反射パネル12aの光軸が2°程度傾くと集熱できなくなることがわかる。
なお、図3に示す光軸ズレ角度に対する集熱効率の関係は、コレクタ12および集熱管14の形状および配置により幾何学的に算出することができる。
【0030】
図1に戻り説明を再開する。
制御装置60は、太陽熱集熱装置10における光軸ズレ角度と集熱効率との関係(図3参照)をテーブル(図示せず)としてあらかじめ記憶している。
ここで、例えば、太陽光の光量が多く太陽熱集熱装置10の集熱量が増大した場合や、負荷50の運転が一部停止して負荷50の負荷量が小さくなった場合など、太陽熱集熱装置10が過剰に熱を取得してしまう場合の制御について説明する。
制御装置60は、太陽熱集熱装置10の集熱量(供給熱量)が、負荷50の負荷量(冷却負荷量)から算出される吸収式冷凍機30の熱量(熱負荷量)よりも多い場合、(熱負荷量/供給熱量)を算出する。なお、この条件では(熱負荷量/供給熱量)は1よりも小さくなる。
【0031】
制御装置60は、算出した(熱負荷量/供給熱量)を集熱効率として、集熱効率に対応する光軸ズレ角度をテーブル(図示せず)より決定する。なお、テーブルは、(熱負荷量/供給熱量)が小さくなるほど、即ち、太陽熱集熱装置10の集熱量(供給熱量)が負荷50の負荷量(冷却負荷量)から算出される吸収式冷凍機30の熱量(熱負荷量)を超える程度が大きくなるほど、太陽熱集熱装置10の集熱量(供給熱量)が大きく減少するように光軸ズレ角度が設定されている。
なお、光軸ズレ角度は、集熱効率に対応する値ではなく、(熱負荷量/供給熱量)が所定の値以上であるか否かによって設定される固定値でもよい。
そして、制御装置60は、求めた光軸ズレ角度を補正角度ΔΘとして、その値を自動追尾装置65に送信する。
【0032】
このように、制御装置60は補正角度ΔΘを算出して自動追尾装置65に送信し、コレクタ12の太陽軌道を追尾する性能を低下させることにより、負荷50の負荷量と対応するように太陽熱集熱装置10の集熱量(供給熱量)を減少させて調整することができる、
これにより、蓄熱装置等を新たに設けることなく、太陽熱集熱装置10が過剰に熱を取得してしまうという問題を解消することができる。
【0033】
≪第2実施形態に係る太陽熱利用空調システム≫
次に、第2実施形態に係る太陽熱利用空調システム(太陽熱利用システム)S2について図4を用いて説明する。
第2実施形態に係る太陽熱利用空調システムS2は、第1実施形態に係る太陽熱利用空調システムS2が備える温度センサ71,73および流量センサ72に替えて、気液分離タンク20内の圧力(蒸気圧)を検出する圧力センサ77を備えている。
気液分離タンク20内の圧力(蒸気圧)を検出することにより、太陽熱集熱装置10の集熱量を算出することができ、第1実施形態に係る太陽熱利用空調システムS1と同様に、補正角度ΔΘを算出して自動追尾装置65に送信し、コレクタ12の太陽軌道を追尾する性能を低下させることにより、負荷50の負荷量と対応するように太陽熱集熱装置10の集熱量(供給熱量)を減少させることができる。
【0034】
このように、制御装置60は補正角度ΔΘを算出して自動追尾装置65に送信し、コレクタ12の太陽軌道を追尾する性能を低下させることにより、負荷50の負荷量と対応するように太陽熱集熱装置10の集熱量(供給熱量)を減少させて調整することができる、
これにより、蓄熱装置等を新たに設けることなく、太陽熱集熱装置10が過剰に熱を取得してしまうという問題を解消することができる。
なお、気液分離タンク2には、気液分離タンク2内の圧力が所定の圧力以上となると、熱媒体蒸気(第1熱媒体)を吹き出して、それ以上圧力が上がることを防止する逃がし弁(図示せず)が設けられている。本実施形態の太陽熱集熱装置10が過剰に熱を取得してしまうという問題を解消することにより、逃がし弁から第1熱媒体が排出されてしまうことを抑制することができる。
【0035】
≪その他≫
なお、本実施形態に係る太陽熱利用システムS1(図1参照)および太陽熱利用システムS2(図4参照)は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
制御装置60は、補正角度ΔΘを用いて負荷50の負荷量と対応するように太陽熱集熱装置10の集熱量を減少させる構成として説明したが、これに限られるものではない。
例えば、直列に複数のユニット(図2参照)が接続された太陽熱集熱装置10の場合において、集熱効率を減少させるユニットの台数を限定し、太陽熱集熱装置10の集熱量を減少させる構成するとしてもよい。集熱効率を減少させるユニットの台数を限定することにより、1ユニット当りの光軸ズレ角度が大きくなり、簡易に制御することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る太陽熱集熱装置10は、図2に示すように、太陽光Lを反射するコレクタ12の回転軸が1軸(東西方向)であるトラフ式の太陽熱集熱装置として説明したが、回転軸が2軸であってもよい。また、反射型ではなく透過型の太陽熱集熱装置であってもよい。さらに、光電効果により光エネルギを電気エネルギに変換する光電素子を用いた太陽熱集光装置であってもよい。
【0037】
また、本実施形態に係る太陽熱利用システムS1(S2)は、太陽熱集熱装置10で集熱した太陽熱により熱媒体を加熱して生成した蒸気(熱媒体蒸気)を吸収式冷凍機30に供給して第2熱媒体を冷却し、その冷却された第2熱媒体を負荷50に供給する冷却システムであるものとして説明した。
しかし、本実施形態に係る太陽熱利用システムS1(S2)は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、太陽熱利用システムS1(S2)は、吸収式冷凍機30および負荷50に代えて、蒸気タービン(図示せず)を備え、太陽熱により生成した蒸気により発電する発電システムとしてもよい。また、太陽熱利用システムS1(S2)は、太陽熱により生成した蒸気を熱源として供給する熱源供給システムとしてもよい。
この場合でも、負荷が要求する熱量(負荷量)に対応するように、太陽熱集熱装置10の集熱量を減少させることができる。
【0038】
また、駆動装置13のモータは、サーボモータでも、ステッピングモータでもよい。ステッピングモータの場合は、回転位置検出器16は特に不要であり、モータの駆動制御においてオープン制御でよく、安価となる。
【符号の説明】
【0039】
10 太陽熱集熱装置
12 コレクタ
13 駆動装置(角度変更機構)
14 集熱管
16 回転位置検出器
20 気液分離タンク(気液分離器)
30 吸収式冷凍機
40 熱媒体タンク
50 負荷
60 制御装置(制御手段)
65 自動追尾装置(制御手段)
71 温度センサ(集熱量検出手段、第1温度検出手段)
72 流量センサ(集熱量検出手段、流量検出手段)
73 温度センサ(集熱量検出手段、第2温度検出手段)
74 温度センサ
75 流量センサ
76 温度センサ
77 圧力センサ(集熱量検出手段、圧力検出手段)
S1,S2 太陽熱利用空調システム(太陽熱利用システム)
L 太陽光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を集光するコレクタと、
前記コレクタの太陽光追尾角度を変更する角度変更機構と、
前記コレクタにより集光した太陽光により集熱し熱媒体を加熱する集熱管と、を備える太陽熱集熱装置の集熱量調整方法であって、
前記集熱管で集熱された前記熱媒体の集熱量が設定値より大きい場合、前記コレクタの太陽光追尾角度を集熱量が減少する方向に調整する
ことを特徴とする太陽熱集熱装置の集熱量調整方法。
【請求項2】
前記設定値は、
前記集熱管で集熱された前記熱媒体が供給される負荷が要求する負荷量に応じて設定される値である
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽熱集熱装置の集熱量調整方法。
【請求項3】
前記集熱管で集熱された前記熱媒体の集熱量は、
前記集熱管内部を流れる前記熱媒体の出入口温度差と流量に基づいて算出される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽熱集熱装置の集熱量調整方法。
【請求項4】
前記集熱管で集熱された前記熱媒体の集熱量は、
前記集熱管の下流側に配置され、集熱された前記熱媒体が供給され熱媒体蒸気と液状熱媒体とに分離する気液分離器における熱媒体蒸気の圧力に基づいて算出される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽熱集熱装置の集熱量調整方法。
【請求項5】
前記集熱量が前記設定値を超える程度が大きくなるほど、前記集熱量が大きく減少する方向に太陽光追尾角度を調整する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の太陽熱集熱装置の集熱量調整方法。
【請求項6】
太陽光を集光するコレクタと、
前記コレクタの太陽光追尾角度を変更する角度変更機構と、
前記コレクタにより集光した太陽光により集熱し熱媒体を加熱する集熱管と、
前記集熱管で集熱された前記熱媒体の集熱量を検出する集熱量検出手段と、
前記角度変更機構を制御する制御手段と、を備える太陽熱集熱装置であって、
前記制御手段は、
前記集熱量検出手段で検出された集熱量が設定値より大きい場合、前記コレクタの太陽光追尾角度を集熱量が減少する方向に調整する
ことを特徴とする太陽熱集熱装置。
【請求項7】
前記設定値は、
前記集熱管で集熱された前記熱媒体が供給される負荷が要求する負荷量に応じて設定される値である
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽熱集熱装置。
【請求項8】
前記集熱量検出手段は、
前記集熱管に流入する前記熱媒体の温度を検出する第1温度検出手段と、
前記集熱管を流通する前記熱媒体の流量を検出する流量検出手段と、
前記集熱管から流出する集熱された前記熱媒体の温度を検出する第2温度検出手段と、を有する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の太陽熱集熱装置。
【請求項9】
前記集熱量検出手段は、
前記集熱管の下流側に配置され、集熱された前記熱媒体が供給され熱媒体蒸気と液状熱媒体とに分離する気液分離器における熱媒体蒸気の圧力を検出する圧力検出手段と、を有する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の太陽熱集熱装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記集熱量が前記設定値を超える程度が大きくなるほど、前記集熱量が大きく減少する方向に太陽光追尾角度を調整する
ことを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の太陽熱集熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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