説明

太陽電池を接続するためのはんだ付け装置

【課題】効果的で経済的な方法で誘導法則によって、はんだ接続を形成するはんだ付け装置を作り出す。
【解決手段】太陽電池(1、2、3)を接続するための本はんだ付け装置において、誘導法則で動作する熱源が、はんだ剤が設けられた太陽電池の導電トラック(4)を導体(7)と接続するように設けられ、熱源は高周波発生器とこの高周波電流が高周波磁界を生じさせる誘導ループ(21)とを有し、誘導ループは導電トラック及び導電トラックに沿って配置された導体に熱を発生させる渦電流を誘起する。U字状の誘導ループは、はんだ領域における熱の動きを最適化するのに役立つ狭窄部及び拡張部を有する。各拡張部は、磁界中立の押圧部(27)についてはんだ付け点への接近を生じ導電トラック上に導体を押圧する。誘導ループを用いて太陽電池の電池上側(5)及び下側(6)の導電トラックの全長が1つのはんだ付け作業で導体にはんだ付けされ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の定義にしたがって、誘導法則で動作する熱源が、はんだ剤が設けられた太陽電池の導電トラックを導体に接続する、太陽電池を接続するためのはんだ付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許公開第1,748,495号明細書から、導電性ストリップが付けられた導電トラックが電池の表面に設けられた、複数の太陽電池の電気的接続のためのはんだ付け装置が知られている。ストリップは、熱源によって導電トラックと電気的に接続可能であり、熱源は、誘導加熱によって導電トラック及びストリップを加熱し、ストリップを導電トラックと接続するはんだ剤を溶解する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許公開第1,748,495号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が改善を提供しようと試みることは、ここにある。請求項1において特徴付けられる本発明は、効果的で経済的な方法で誘導法則によって、はんだ接続を形成するはんだ付け装置を作り出すという目的を実現させる。
【0005】
本発明の有利なさらなる成果は、従属請求項において述べられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって達成される利点は、主に、はんだ付け装置が低いエネルギ消費で導体間におけるはんだ接続を形成するという点でみられる。この目的のために必要とされる熱は、誘導ループによって発生させられ、接合されるべき導体及びはんだ剤において渦電流の原因となる時間毎に変化する磁界を発生させる誘導ループに流れる高周波電流が、導体を順次加熱して、はんだ剤を溶解する。電流が流れない誘導ループにおいて、導体及びはんだ剤は冷却し、導体は、はんだ剤によって接続される。誘導ループにおいて電流を発生させるのに必要である高周波発生器は、より少ない電力のために、したがって、より少ないコストのために寸法決定され得る。
【0007】
誘導ループの特定の形状を介して、磁界及びそれによって誘導ループ及び高周波発生器の電力を介して流れる電流は、最適化され得る。本発明に係る誘導ループを用いることにより、これまでと同じ長さの誘導ループを用いると、高周波発生器の電力は、3分の1に低減することができ、又は、これまでと同じ電力の高周波発生器を用いると、誘導ループの長さは、3倍になり得る。波形のアームを有するU字状の誘導ループは、より弱い磁界を狭窄部において発生させ、より強い磁界を拡張部において発生させ、それにより、良好な熱分布を有する効果的なはんだ付け領域が形成される。さらに、各拡張部の中央において、互いに接合されるべき導体は、磁界中立であり電気的に絶縁された押圧部によって押下され得る。さらに、本発明に係る誘導ループの実効長は、形成されるべき長さのはんだ接続に容易に適合され得る。
【0008】
この目的のために、拡張部に対応して、例えばボルト又はネジの手動又は機械的挿入によって電気的短絡が形成される。
【0009】
本発明は、添付された図面を参照することにより、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】電池列に電気的に接続された複数の太陽電池を示している。
【図2】誘導ループを有するはんだ付けヘッドを示している。
【図3】押圧部を有する誘導ループを示している。
【図4】実効長が設定可能な誘導ループを示している。
【図5a】実効長が設定可能な誘導ループを示している。
【図5b】誘導ループの変形例を示している。
【図6】誘導ループの細部を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、第1の太陽電池1と、第2の太陽電池2と、第3の太陽電池3とを示している。太陽電池1、2、3はまた、光電池とも称され、光に含まれる放射エネルギを電気エネルギに変換する。個々の電池において発生させられる電圧は、電池上側5の導電トラック4と図1においてはみえない電池下側6の導電トラックとの間に伝播する。電池上側5の導電トラック4と電池下側6の導電トラックとが、例えばオーム抵抗又はバッテリ等の消費材のような電気負荷に接続された場合には、電流が流れ、太陽電池によって発生させられるエネルギは、それぞれ、負荷において消費されるか又はバッテリに蓄電される。複数の太陽電池は、列内に互いに電気的に接続されている。複数の列は、モジュールを形成し、パネルとも称される。電池上側5の導電トラック4上、及び、電池下側6の導電トラック上において、太陽電池は直列に接続されている。したがって、個々の電池の電圧は足し合わされ、より細い導体7は、それらを互いに接続するために使用され得る。
【0012】
図1において、第1の太陽電池1、第2の太陽電池2、及び第3の太陽電池3は、電池列8に互いに電気的に接続されている。導体7は、第1の太陽電池1の電池上側5の導電トラック4を、第2の太陽電池2の電池下側6の導電トラックと接続している。導体7は、第2の太陽電池2の電池上側5の導電トラック4を、第3の太陽電池3の電池下側6の導電トラックと接続している。
【0013】
導電トラック4と導体7との間の接続は、はんだ付け作業によって形成される。はんだ剤が設けられた導体7及び導電トラック4を熱源が加熱し、例えば軟質はんだ等のはんだ剤が溶解し、液体のはんだ剤が導電トラック4及び導体7を濡らす。熱の影響下で、固体の導電接続が、導電トラック4と導体7との間に生じる。
【0014】
はんだ接続を形成するために、異なるタイプの熱発生が使用され得る。上述したように、高周波磁界を生じさせる誘導ループにおいて例えば800kHzから900kHzの周波数を有する高周波電流を高周波発生器が発生させる、誘導法則で動作する熱源が、特に有利である。
【0015】
図2は、3つの誘導ループ21を備えるはんだ付けヘッド10を示している。直線状ガイド11は、スタンド12上に配置されており、スライド13としての役目を果たすガイドとしての直線状ガイド11は、矢印P1によって表されるように、モータ14によって上下に移動可能である。スライド13は、接続ブロック16、ガイドブロック17、誘導ループ21についての調整スピンドル18、及び押圧部27が配置されたハウジング15のための支持部として役目を果たす。調整スピンドル18は、各誘導ループ21について設けられ、それにより、調整ナット18.1を用いて、誘導ループ21及び押圧部27の位置を、太陽電池のそれぞれの導電トラック4上に手動で整列させることが可能である。ループ要素24は、ガイドブロック17上に配置された例えばプラスチック等の板19内に設置される。各押圧部27は、自由に、ガイドブロック17における垂直なドリル孔17.1内を移動可能である。はんだ付けヘッド10が太陽電池1、2、3の方向に低下した場合には、押圧部27は、導体7上に静止し、自身の重量によって導電トラック4上に導体7を押圧する。
【0016】
図2は、3つの平行な導電トラック4を有する太陽電池を示している。示されたはんだ付けヘッド10について、3つの誘導ループ21により、3つの導電トラック4は、それらの全電池の長手に沿って同時にはんだ付けされ得る。
【0017】
2つの導電トラック4を有する太陽電池が加工されるか又ははんだ付けされる場合には、接続ブロック16、誘導ループ21を有するガイドブロック17、及び押圧部27は、除去させられる。3つを超える導電トラック4を有する太陽電池について、はんだ付けヘッド10はまた、示されたものよりも大きく構成され得、3つを超える誘導ループ21を有することができる。
【0018】
接続ブロック16は、誘導ループ21のための支持部として役目を果たし、水接続部、電気接続部、及び、誘導ループ21において高周波電流を発生させるための高周波発生器を備える。
【0019】
図3は、はんだ付けヘッド10上に配置された板19がない誘導ループ21を示している。誘導ループ21は、接続片22と、フィーダ要素23と、U字状のループ片24とからなり、U字の少なくとも1つのアームが波形である。フィーダ要素23及びループ要素24は、中空導体の形態をとり、それらを介して例えば水等の冷却液を流すようにしている。フィーダ要素23は、ループ要素24に冷却液を供給し且つループ要素24からそれを排出する、互いに近接して位置している2つの管23.1、23.2からなる。ループ要素24は、2つのアーム21.1を有してU字状に形成され且つヘアピンの形態に非常に近い管からなる。管の自由端は、フィーダ要素23の管と接続されている。フィーダ要素23の管及びループ要素24の管は、例えば銅のような導電材料からなる。図5a及び図5bにおいて符号を用いて指示されているように、U字状の管は、狭窄部25及び拡張部26を有する。上述したように、狭窄部25及び拡張部26は、はんだ領域における熱の動きを、したがってエネルギの節約をも最適化するのに役立つ。各拡張部26は、例えばセラミックからなる磁界中立の押圧部27についてはんだ付け点への接近を生じ、導電トラック4上に導体7を押圧する。図3において示される誘導ループ21を用いて、太陽電池1、2、3の電池上側5の導電トラック4の全長は、1つのはんだ付け作業において導体7にはんだ付けされ得る。誘導ループ21の磁界、又は、より詳細には導電トラック4及び導体7における渦電流はまた、導電トラック及び導体を同時に加熱することができ、電池下側6のはんだ剤を溶解することができ、導電トラック4と導体7との間にはんだ接合を形成することができる。
【0020】
図4及び図5aは、実効長が設定可能な誘導ループ21を示している。ループ要素24の寸法は、図3のループ要素24の寸法と一致している。必要に応じて、又は、はんだ付けされるべき太陽電池の大きさに応じて、実効長は短縮され得る。拡張部26に挿入されるネジ28又は拡張部26に挿入されるボルト28は、ループ要素24を短絡する。高周波電流は、高周波発生器から流れ得、ネジ28又はボルトの範囲までのみに磁界を発生させることができる。ネジ28又はボルトは、離脱可能にはんだ付けヘッドと接続され得、手動又は機械的に挿入され得る。規定数以上の押圧部27は、除去されるか又はより高い位置に固定され、ネジ28のためのネジボルト28.1は、ネジ28に対応するドリル孔17.1によって拡張部26に挿入されている。
【0021】
拡張部26及び狭窄部25の形態はまた、製造技術にも依存する。消費電力の最適化のためには、主に、管間の距離を交互に縮小及び拡張することが重要である。図5aの例において、ループ要素24が、1つの曲げ作業において一体として1つの管から形成され得るように、拡張部26及び狭窄部25の曲げ半径は大きく選択される。例えばジクザグ状等、形状が小さい曲げ半径によって選択される場合には、ループ要素24は、拡張部26及び狭窄部25のための個々の要素から組み立てられなければならない。
【0022】
図5bは、曲げ半径に関して、1つの曲げ作業によってなお形成され得る形状を有するループ要素24を示している。管、より詳細にはU字状のループ要素24の一方のアーム21.1は、直線状に形成されており、ループ要素24の他方の脚21.1は、拡張部26及び狭窄部25を有する波形に形成されている。拡張部26には、弧状部26.1が形成されており、狭窄部25には、直線部25.1が形成されており、押圧部27は、拡張部26に嵌合している。
【0023】
図6は、誘導ループ21の接続片22の細部を示している。接続片22は、ドリル孔22.1に貫通するネジによって離脱可能に接続ブロック16に接続されている。水接続部22.2はまた、接続ブロック16に接続されており、接続ブロックの端部において図示しないOリングによって封止されている。ループ要素24を冷却するための冷却液回路は、このようにして閉塞されている。電気的に、接続片22は、接触面22.3によって接続ブロック16に接続されており、接触面22.3は、絶縁板22.4によって電気的に分離されている。
【符号の説明】
【0024】
1、2、3 太陽電池
4 導電トラック
5 電池上側
6 電池下側
7 導体
8 電池列
10 はんだ付けヘッド
11 直線状ガイド
12 スタンド
13 スライド
14 モータ
15 ハウジング
16 接続ブロック
17 ガイドブロック
17.1 ドリル孔
18 調整スピンドル
18.1 調整ナット
19 板
21 誘導ループ
21.1 アーム
22 接続片
22.1 ドリル孔
22.2 水接続部
22.3 接触面
22.4 絶縁板
23 フィーダ要素
23.1、23.2 管
24 ループ要素
25 狭窄部
25.1 直線部
26 拡張部
26.1 弧状部
27 押圧部
28 ネジ又はボルト
28.1 ネジボルト
P1 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導法則で動作する熱源が、はんだ剤が設けられた太陽電池(1、2、3)の導電トラック(4)を導体(7)に接続する、太陽電池(1、2、3)を接続するためのはんだ付け装置であって、
熱源が、高周波発生器と、高周波発生器の高周波電流が高周波磁界を生じさせる誘導ループ(21)とを有し、誘導ループ(21)が、導電トラック(4)及び導電トラック(4)に沿って配置された導体(7)に、はんだ付け作業のために必要である熱を発生させる渦電流を誘起することを特徴とする、はんだ付け装置。
【請求項2】
誘導ループ(21)が、U字の形状を有し、U字の少なくとも1つのアーム(21.1)が、波状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項3】
誘導ループ(21)が、拡張部(26)及び狭窄部(25)を有する高周波磁界及び高周波発生器の効果的で経済的な動作を効果的に最適化するのに役立つことを特徴とする、請求項2に記載のはんだ付け装置。
【請求項4】
誘導ループ(21)が、冷却液が流れる管の形態をとることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のはんだ付け装置。
【請求項5】
誘導ループ(21)の実効長が、設定可能であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のはんだ付け装置。
【請求項6】
ネジ(28)又はボルト(28)が、拡張部(26)内に挿入され得、ネジ(28)又はボルト(28)が、その点において誘導ループ(21)を電気的に短絡していることを特徴とする、請求項5に記載のはんだ付け装置。
【請求項7】
各拡張部(26)には、拡張部(26)を貫通して導電トラック(4)上に導体(7)を押圧する磁界中立の押圧部(27)が形成されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のはんだ付け装置。
【請求項8】
はんだ付けヘッド(10)には、導体(7)に接続されなければならない太陽電池(1、2、3)の導電トラック(4)の数と同一数の誘導ループ(21)が設けられており、太陽電池の全ての導電トラック(4)が、導体(7)に同時に全長に沿ってはんだ付けされることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のはんだ付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−226482(P2009−226482A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−51586(P2009−51586)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(503231561)コマツクス・ホールデイング・アー・ゲー (8)
【Fターム(参考)】