説明

太陽電池パネルのメンテナンス装置

【課題】
太陽電池パネルの受光面の水滴の除去、汚れの洗浄、枯れ葉等の堆積物の除去を自動的におこない、当該太陽電池パネルによる太陽電池発電装置の発電効率を維持し、安定した発電電力を長期に渡って得ることを実現するメンテナンス装置を提供することが本発明の基本的課題である。
【解決手段】太陽電池パネルのメンテナンス装置であって、1)糸状部材から構成される網構造を有する、所望の太陽電池パネルの受光面を覆うための網状シートと、2)前記網状シートの一端を前記太陽電池パネルの一端近傍に繋止するための第1の繋止手段と、3)前記網状シートの他端を前記太陽電池パネルの他端近傍に繋止するための第2の繋止手段を備え、前記第1及び第2の繋止手段によって前記網状シートを前記受光面と略同一レベルの位置に繋止し、前記受光面を前記網状シートで重ねて覆うという構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池装置のメンテナンス装置、特に太陽電池パネルの受光面に付着する水滴や汚れを排除するためのメンテナンス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池装置は、通常屋外で使用されるため、その受光面に木の葉や砂塵等が堆積して太陽電池装置の発電効率を低下させる場合がある。従って、受光面の洗浄を定期的に行う必要がある。
特に少量の雨の後、受光面に付着して残る水滴は、埃等の汚れを受光面に固着させ、堆積させる原因ともなり、太陽電池装置のメンテナンス上の問題となっており、受光面の形状をC面やR面としたり、受光面を撥水仕上げとしたり、あるいは受光面のガラスに光触媒を含有させるなど多くの技術が提案されているが、厚く堆積した木の葉や砂塵に対して十分な効果があるとはいえず、さらには効果に持続性の問題から、定期的に人手によって受光面の清掃をしているのが現状である。
【0003】
汚れの堆積の原因となる水滴の除去を実現するためのより進んだ技術が特許文献1に記載されている。ここで開示された技術は、構造物の表面に毛細管現象を利用した排水経路を形成する排水構造を設けることにより構造物表面の水滴を排除するものであるが、この排水構造を、発電性能への影響を抑えて、太陽電池パネルに設置する方法や設置した排水構造を構成する部材やその構造の網目に付着する汚れについて問題があり、導入に当たって障害になっている。
【0004】
さらには、特許文献2に示されるように、ラミネート構造体である長尺の可撓性太陽電池モジュールをロールで巻き出して敷設、巻き取って収納する構造にすることにより、敷設及びメンテ作業等の軽減を図る技術が提案されている。しかしながら可撓性の太陽電池モジュールは、その発電性能や耐久性に懸念があり、さらには現状において最も普及している太陽電池装置はガラスパネルによる受光面を備えたものであり、そうした最も普及しているタイプのメンテナンスを直接解決する技術とはなっていない。
【0005】
また、特許文献3に示されるように、太陽電池装置の発電量が基準値よりも低下したことを検出し、この時太陽電池装置の受光面に水を流下させ、あるいはワイパー装置により受光面の汚れを洗浄して、太陽電池装置の発電量を回復させるように構成した従来技術もある。
しかしながら、発電量は天候などに左右されることもあり、固定的な基準値の設定を行うと不要な時に洗浄等の動作が行われ、却って発電効率を低下させてしまう問題もあり、適切な基準値をメンテナンス動作開始のトリガとする技術が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4384235号
【特許文献2】特開平10-313130
【特許文献3】特開昭59-96833号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
太陽電池パネルの受光面の水滴の除去、汚れの洗浄、枯れ葉等の堆積物の除去を自動的におこない、当該太陽電池パネルによる太陽電池発電装置の発電効率を維持し、安定した発電電力を長期に渡って得ることを実現するメンテナンス装置を提供することが本発明の基本的課題である。
【0008】
ここで排水構造を受光面上に設けることで上記基本的課題を解決しようとしているが、受光面上の水滴を除去する排水構造を設けた場合、排水構造を構成する網状シートの歪みや展開時のテンションの不均一のため、網状シートと受光面との間に細隙が十分に形成されず期待通りの排水効果が得られないこともあり、課題となっている。
【0009】
又、受光面上の水が少ない場合、上記排水構造によって形成される水路が十分に発生せず、受光面上の埃等を洗い流すには不十分であり、十分な洗浄効果を発揮させることも課題である。
【0010】
一層の発電効率の向上のためもしくはメンテナンスの必要に応じて、上記網状シートを収納・展開することがあるため、その収納・展開に係る作業性等を向上させることも課題である。
【0011】
さらには、受光面や網状シートの汚れによる発電性能の劣化を適切に検知して、適当なタイミングでメンテナンス作業を施すことも課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、太陽電池パネルのメンテナンス装置であって、
1)糸状部材から構成される網構造を有する、所望の太陽電池パネルの受光面を覆うための網状シートと、
2)前記網状シートの一端を前記太陽電池パネルの一端近傍に繋止するための第1の繋止手段と、
3)前記網状シートの他端を前記太陽電池パネルの他端近傍に繋止するための第2の繋止手段を備え、

前記第1及び第2の繋止手段によって前記網状シートを前記受光面と略同一レベルの位置に繋止し、前記受光面を前記網状シートで重ねて覆うことにより、前記受光面と前記糸状部材との間に細隙を形成し、該細隙が毛細管のとしての役割を果たして引き起こす毛細管現象によって、前記受光面上に前記網構造に沿って展開する水路を発生させることにより、該受光面に付着した水滴を排水するものであることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のメンテナンス装置において、前記第1または第2の繋止手段の一方または双方には収納・展開手段が設けられており、必要に応じて前記網状シートを収納し、あるいは収納された前記網状シートを取り出して前記受光面上に展開することを特徴とする。
このような構成とすることにより、網状シートを設置したり、劣化した網状シートを容易に取り換えたり、網状シートの汚れを取り除くための洗浄をしたり、あるいは太陽光パネル自体のメンテナンスや好天時のより一層の発電効率の向上などメンテナンス性や運転効率を向上させる効果がある。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のメンテナンス装置において、前記収納・展開手段は、ロール機構から構成されており、必要に応じて前記網状シートを巻き取り収納し、あるいは、該ロール機構によって収納された前記網状シートを巻き出して前記受光面上に展開するものであることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のメンテナンス装置において、さらに前記網状シートを外側面から受光面側に弾性加圧する機構により、前記細隙の形成を補助し、前記毛細管現象の効果を高める押さえ手段を備えるできることを特徴とする。
このような手段を構成要素に含むことにより、網状シートの展開時におけるテンションの不均一や網状シートの歪みなどによって、網状シートを構成する糸状部材と受光面との間隔が広くなり毛細管現象の発生が不十分となることを防止する効果がある。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のメンテナンス装置において、前記押さえ手段は、前記太陽電池パネルを形成する太陽電池モジュールのフレームもしくは太陽電池セル間の隙間を基準に求められる、押さえ手段に係る部材が太陽光を遮ることによる受光損失を低くする位置に設置されたものであることを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至第5項いずれかに記載のメンテナンス装置において、前記受光面上に液体を供給し、前記毛細管現象による水路の発生を促進し、該水路の水流による受光面上の汚れの洗浄を補助し、あるいは、太陽電池が高温となった場合の冷却を行う液体供給手段を有することを特徴とする。
このような構成とすることにより、受光面上に付着した枯れ葉などのある程度の水量が必要な汚れを洗い流すために用いたり、太陽電池が温度上昇して発電効率を低下させるのを防止させるなどの効果を生むことができる。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項6記載のメンテナンス装置において、前記液体供給手段は前記網状シートの収納・展開の動作に連動して液体を供給することを特徴とする。
このような構成とすることにより、網状シートと受光面との間に潤滑作用を起こし収納・展開動作を円滑化する効果があり、又、網状シートが受光面上を擦動することにより汚れを拭き取る効果を向上させることもできる。
【0019】
請求項8記載の発明においては、請求項6又は7記載のメンテナンス装置において、前記液体は、洗浄液であることを特徴とする。
【0020】
請求項9記載の発明は、請求項2乃至8いずれかに記載のメンテナンス装置において、前記網状シートの端部と前記第1または第2の繋止手段との間に少なくとも受光面の一端から他端までの長さを有する、受光面の受光損失を低く抑える接続手段を備え、前記網状シートの収納がされたときにおいても前記第1の繋止手段と第2の繋止手段との接続を維持し、前記繋止手段の繋止、繋止の解放の操作をすることなく、必要に応じて前記収納・展開手段を操作することにより自在に前記網状シートの展開および収納をおこなうことができることを特徴とする。
【0021】
請求項10記載の発明は、請求項2乃至9のいずれかに記載のメンテナンス装置において、前記第1又は第2の繋止手段のいずれかの近傍に、前記網状シートの収納・展開動作に連動して前記網状シートを洗浄する動作を行うシート洗浄手段を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項11記載の発明は、請求項7乃至10のいずれかに記載のメンテナンス装置において、前記太陽電池パネルを構成する太陽電池モジュールもしくは太陽電池セルの発電量を監視し、当該監視動作によって取得した前記太陽電池モジュールもしくは太陽電池セルのリアルタイムの発電量を所定の基準値と比較して、前記液体供給、前記収納・展開動作に連動しての液体供給、あるいは前記収納・展開と前記液体供給と前記シート洗浄の連動動作から選ばれるいずれかのメンテナンス動作を自動運転するように制御する管理手段を有することを特徴とする。
このような管理手段を構成要素として含むことにより、適切なタイミングにメンテナンス動作を行うことができると同時に人手によるメンテナンスの必要を低く抑えることができる。
【0023】
請求項12記載の発明は、請求項11記載のメンテナンス装置において、前記基準値は、前記自動運転に係るメンテナンス動作とは別途に設定したメンテナンスを施した、前記受光面から選択された受光面部分に係る太陽電池モジュールもしくは太陽電池セルに係るリアルタイムの発電量から演算される当該受光面全体の発電量の想定値であって、該想定値である基準値とリアルタイムの全体発電量とを比較し、該全体発電量が前記想定値に対して所定の割合もしくは差の範囲にない場合、前記メンテナンス動作を開始することを特徴とする。
同じ環境にある受光面の一部を選択し、別途に設定した特別なメンテナンスによって「最良のメンテナンス状態」と考えられる受光面部分に係る太陽電池モジュールもしくはセルに係る発電量をリアルタイムに測定し、その値を基準値の演算に用いることにより、当該受光面が現在の環境において期待される発電量に比べて著しい低下がみられる場合などにメンテナンス動作を開始させるように自動運転させることができる効果がある。
また、リアルタイムの環境から期待される発電量をメンテナンス開始のトリガを検出する根拠とするので、固定的な基準値に比べ、より望ましいタイミングでメンテナンスを行えるとともに、悪天候などメンテナンスとは異なる原因による発電量低下のときに不要なメンテナンス動作を行うことを回避できる。
【0024】
請求項13記載の発明は、請求項12記載のメンテナンス装置において、前記想定値とリアルタイムの全体発電量との比較において、リアルタイムの全体発電量が所定の割合もしくは差を超える値を示した場合、前記選択された受光面部分は基準値の演算に不適当な部分と判断し、新たに受光面部分を選択し、新たな受光面部分に前記別途に設定したメンテナンス動作を施すべきことを示す指示情報を出力し、新たに選択した受光面部分に係る太陽電池モジュールもしくは太陽電池セルに係る発電量によって前記基準値を演算するように前記管理手段の動作を校正する校正手段を有することを特徴とする。
太陽電池モジュールもしくはセルの破損や劣化は、避けられないものであるが、基準値を演算するために選ばれた受光面部分に係るモジュールもしくはセルに破損や劣化が生じていると、上記メンテナンス動作の管理が適切に行われなくなるので、破損等による不適切な受光面を選択の対象から外して、新たな受光面を選択させることにより、適切な管理動作を維持する校正効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ハード構成を示した概略構成図
【図2】網状シートの構造図
【図3】網状シートと構造物の表面において形成される隙間
【図4】水滴が毛細管現象により網目状の水路を形成し、構造体の下部へと流れ落ちていく態様
【図5】受光面に付着した複数の水滴と網目状に形成された水路によって排水される態様
【図6】接続手段に係る部材とドラムロールとの接続関係を示した図
【図7】網状シートの収納時におけるメンテナンス装置と太陽光パネルの外観
【図8】押さえガイドを構成する部材と網状シート
【図9】押さえガイドと太陽電池パネルとの望ましい位置関係
【図10】他の態様による押さえガイドと太陽電池パネルとの望ましい位置関係
【図11】液体供給手段の全体構成
【図12】メンテナンス装置の動作全体を制御するコントロールユニットの構成
【図13】制御動作の全体のフローチャート
【図14】状態データの構造
【図15】基準値導出のための参照テーブル
【図16】メンテナンス動作のフローチャート
【図17】校正動作のフローチャート
【図18】位置参照テーブル
【実施例1】
【0026】
(全体イメージ)
図1は、本発明の実施例1のハード構成を示した概略構成図である。図1で示すハード要素は、ここでは特に図示しないが、後で説明するコントロールユニットからの指示情報に従ってソフト的に制御されて動作するものである。
網状シート1001、太陽電池パネル1002、第1レベルロール1003、保護ケース1005に収納され網状シートの巻き取り等を行う第1ドラムロール1004、第2レベルロール1006、第2ドラムロール1007、汚れ飛散防止ケース1009に収納され網状シートの洗浄を行うシート洗浄ロール1008、押さえガイド1010、ここでは全体が図示なされない液体供給手段の構成要素の一つである液体供給口1011、第1ドラムロール駆動部1012、第2ドラムロール駆動部1013、シート洗浄ロール駆動部1014、押さえガイド保持フレーム1015という構成要素が図示されている。
ここで(a)は、全体の構成を示す断面図であり、(b)は受光パネル1002を覆う網状シート1002を図示せず、かつ、俯瞰すると重なり合う図番「1011、1003、1009、1008、1004、1005」及び「1006、1007」の構成要素をずらし広げてそれぞれ分離して表示した展開平面図である。(b)において示されるA−A線は、(a)に記載された構成要素の断面に相当する位置を示している。
また、太陽電池パネル、ガイドロール、ドラムロール、液体供給口等は水平面上のベース1000に垂直に立つ1本の保持部によって設置されている態様を示しているが、建築物の屋根のように斜面に設置するのであれば、ベースの傾きに応じて適宜保持部の形状や傾きあるいは数を選択して設置すればよい。本発明において構成要素の保持の方法は、本実施例に示されるものに限られるものではなく、適宜構成要素を設置することが可能である。
【0027】
1001は網状シートであって、太陽電池装置パネル1002の受光面に重なるように覆っている。網状シートは、図2で示すように糸状部材から構成される網構造を形成している。この糸状部材と受光面との間に注目すると、糸状部材と受光面とで細隙が生まれ、かかる細隙が受光面上に上記網構造に沿って形成されることになる。次の段落で説明するように、この細隙が受光面上に付着した雨水を排水する水路となって水滴を排除する機能を果たす。
【0028】
ここで本発明のメンテナンスに利用する排水構造について簡単に説明しておくこととする。詳細は本願発明者による特許文献1に記載されたものである。
図3は網状シートと構造物の表面において形成される隙間を拡大して示した図面である。
破線ABで示した断面と破線CDで示した断面を拡大したイメージ図である。3001は構造物であり、本願発明の太陽電池パネルに相当する。3002、3003は網状シートを構成する糸状部材であり、構造物3001の表面と小さな間隔をもって固定されている。糸状部材と構造物の表面の距離は1mm以下が望ましく、狭いほど毛細管現象が強く発揮される。また、糸状部材の材質はある程度濡れる性質を有して極端な撥水性や親水性でなければ問題はなく、構造物表面と同じ程度の撥水/親水性が望ましい。本願発明者が実験したところによれば、通常のガラス面に対しては、市販されている合成樹脂製の網状シートで十分な効果を発揮する。
【0029】
図4は、排水構造を施した構造物表面に付着した1つの水滴4001が、網状シートと構造物の表面に形成された隙間によって引き起こされた毛細管現象により、網目状の水路4003を形成し、構造体の下部へと流れ落ちていく態様を示している。実線で示す矢線4002はその流れをイメージとして表したものである。
図5は、太陽電池パネルの受光面に付着した複数の水滴と網目状に形成された水路によって排水される態様を示したイメージ図である。太陽電池パネルは、受光効率を上げるため傾斜を持たせて設置されるのが一般的であり、図面右手から左手にかけて傾斜している場合のイメージである。ここで示すように水分の移動方向は重力の方向そのものとなるのであるが、毛細管現象で形成される網目状の水路は設置する面が平行面であっても凹面であっても同様に形成されるものであるため、網目状シートのどこか一部に接するように太陽電池パネルにドレンポートを設けておけば、水分はそこに向かって移動していく。あるいは網目状シートの一部を構造体側面にまで延ばしておけばサイフォン作用が働き、網状シートの低い方の端部へと排水されていく。
【0030】
(第1の繋止手段)
ここで実施例に係るメンテナンス装置の説明に戻る。
1003は、第1レベルロールであり、回転自在に太陽光パネルと所定の位置関係を保つように調整されて設置されるものである。外周面を太陽電池パネル1002の受光面と略同一面に調整して網状シートと受光面との間に細隙を形成するように位置に保持される。ここで毛細管現象を生じさせるのに適切な細隙を形成するためや網状シートの収納・展開を行うために網状シートと受光面とのクリアランスを段階的にセットするレベルロール位置調整機構を備えていれば、排水機能の調整や収納・展開動作の円滑化が容易に行うことができる利便がある。
1004は第1ドラムロールであり、網状シートの端部と接続される。第1ドラムロールは、その回転動作により網状シートを巻き取り・巻き出しを行い、網状シートの収納・展開を行い、網状シートに適度なテンションを与え上記細隙の形成を促進・維持するための機構であり、電気モーター等から構成される第1ドラムロール駆動部1012によって駆動される。
第1レベルロールと第1ドラムロールとは協働して第1の繋止手段としての役割を果たすものである。
【0031】
(第2の繋止手段)
1006は第2レベルロールであり、回転自在に太陽光パネルと所定の位置関係を保つように調整されて設置されるものである。外周面を太陽電池パネル1002の受光面と略同一面に調整して網状シートと受光面との間に細隙を形成するように位置に保持される。ここでも適切な細隙を形成するためや網状シートの収納・展開を行うために網状シートと受光面とのクリアランスを段階的にセットできる調整機構を備えていれば、排水機能の調整や収納・展開動作の円滑化が容易に行うことができる利便がある。
1007は第2ドラムロールであり、ここで特に図示しない接続手段を介して網状シートの端部と接続される。第2ドラムロールは、第1ドラムロールの動作と連動して、その回転動作により網状シートを巻き取り・巻き出しを行い、網状シートの収納・展開を行い、網状シートに適度なテンションを与え上記細隙の形成を促進・維持する動作をする機構であり、電気モーター等から構成される第2ドラムロール駆動部1013によって駆動される。
第2レベルロールと第2ドラムロールとは協働して第2の繋止手段としての役割を果たすものであり、さらには第1及び第2の繋止手段は、ここでは特に図示しない制御手段によって制御され、協働して収納・展開の動作、排水構造を適切に形成させる動作などをおこなう。これら協働して行われるメンテナンス動作については、後でコントロールユニットの説明において詳細を示す。
【0032】
(シート洗浄手段)
1008はシート洗浄ロールであり、ここでは第1ドラムロールの近傍に保持され、上記第1の繋止手段と第2の繋止手段とが協働して行うメンテナンス動作により移動する網状シートに対して回転動作により汚れを洗浄する。ここでは特に図示しないが、シート洗浄ロールもしくは洗浄対象となっている網状シート部分に洗浄液を吹き付ける機構を備え、上記シート洗浄を促進させる構成とすると洗浄効果をあげることができる。
シート洗浄ロールは、例えば、金属材の円筒ロール上にナイロンや塩化ビニール、あるいは比較的柔らかい素材の豚、馬毛等の毛材が、放射状に植毛されているものであり、その円周先端が網状シートの表面に接触するように配置されている。
上記シート洗浄ロールは、電気モーター等から構成される洗浄ロール駆動部1014によって駆動されるものであり、上記第1または第2のドラムロールの動作に連動するように本動作も制御されるものである。
【0033】
(接続手段)
図6は、第2ドラムロールに関する説明で言及した接続手段に係る部材とドラムロールとの接続関係を示した図である。ここでは、接続手段を構成する部材や接合部と接合に係るドラムロールのみを抜き出して図示し、他の構成要素は図示しない。
6001はひも状部材であり、ひも状部材の一方は6002で示す接合部において網状シート1001の一端と、他方は6003で示す接合部において第2ドラムロール1007と接合されている。網状シートの他端は第1ドラムロール1004に直結されている。
図7は、網状シートの収納時におけるメンテナンス装置と太陽光パネル1002の外観を示した図である。第1ドラムロール1004と第2ドラムロール1007の接続を解除することなく、接続手段を構成するひも状部材6001は太陽電池パネル1002の受光面上に展開されて残るものである。ひも状であるため受光面への太陽光を遮る面積は少なく実質的に受光面を解放することができる。また、網状シートを受光面に展開する場合、第1ドラムロールと第2ドラムロールを同調させて回転させることによりひも状部材を第2ドラムロールに巻き取り、第1ドラムロールに巻き取り収納されていた網状シートを引き出すことにより迅速かつ容易に受光面上に展開することができる。長尺の網状シートを設営するような場合、あるいは受光損失を抑えるため細い(直径が1cm以下、小さな太陽電池パネルに適用する場合は1mm以下)糸状部材で構成された網状シートの場合、網状シートの捻じれや歪みあるいは絡まりが生じないように端部を接合することは手間のかかる作業であり、このような接続を維持する機構を導入することにより作業効率を高める効果がある。
天候や洗浄の必要に応じて、適宜収納し、再度展開するといった動作を接合や接合解除に係る作業を省略して行えるので日常のメンテナンスにおいても大変効率が良い。ひも状部材は、柔軟、かつ、網状シートのサイズや材質に見合った引っ張り強度を備えた対候性のある部材を適宜選択すればよい。
【0034】
(押さえ手段)
押さえガイド1010を構成する部材と網状シート1001を図8に拡大して示す。押さえガイドは、バネ8001及び加圧ヘッド8002から構成され、この押さえガイドを網状シートに対して適切な位置に保持するための押さえガイド保持フレーム1015に保持されている。
ここで採用したバネ8001などの弾性部材によって押圧される加圧ヘッド8002が網状シート1001に当接して加圧することにより網状シートが受光面とほぼ同じ平面上にガイドされるものである。
押さえガイド保持フレーム1015において、先に説明した細隙を適切に形成するためやメンテナンス動作により網状シートを円滑に移動させるときのために押さえガイドの保持位置を調節する、特に図示しない保持位置調整機構を設けておくものとする。これにより利便性のあるメンテナンス装置とすることができる。
ここでは特に図示しないが、押さえガイド保持フレーム1015は太陽電池パネルの側面や太陽電池パネルの支持部、あるいはベースとなる地面や屋根に適宜固定しておけばよい。
【0035】
図9は、押さえガイド1010と太陽電池パネルとの望ましい位置関係を示した図である。太陽電池は複数の太陽電池セルから構成されえるものであり、図で示すように太陽電池セル9001は太陽電池パネル1002の受光面上に所定の間隔9002をもって並んでいる。ここでは図示されていない保持フレームを適宜調節することにより、押さえガイド1010の影が間隔9002に重なるように調整することにより、発電に寄与する太陽光の受光損失を低減させることができる。
【0036】
図10は、本実施例の他の態様による押さえガイドと太陽電池パネルとの望ましい位置関係を示した図である。比較的大きなサイズの太陽電池パネル10001の受光面は、太陽電池モジュール10002を適宜組み合わせるようにして構成されており、各太陽電池モジュールはフレーム部10003を有している。ここでは図示されていない押さえガイド保持フレームを適宜調節することにより、押さえガイド1010の影がフレーム部10003に重なるように調整することにより、発電に寄与する太陽光の受光損失を低減させることができる。
【0037】
(液体供給手段)
図1では、液体供給口1011のみ示されていた液体供給手段の全体構成を図11に示す。ここでは、ガイドロール、ドラムロールなど液体供給に直接かかわらない構成要素を省略して記載してある。
液体貯蔵タンク11001、ポンプ11002、液体を液体供給口1011に導く導管11003、使用済み液体を回収する液体回収部11004、使用済み液体の汚れを除き再活性化させるフィルター部11005、太陽電池パネルの熱を吸収し熱くなった液体を冷却するラジエータ部11006、後で説明する制御手段を構成するコントロールユニットの一部として機能する液体供給コントロール部11007という構成である。
液体貯蔵タンク11001から、ポンプ11002により液体を汲み上げ、導管11003を介して液体供給口1011に液体を供給する。液体供給口に供給された液体は、太陽電池パネル1002の受光面上を矢印で示すように流れ、液体回収部11004に落ちる。液体回収部に落ちた液体は、フィルター部11005で汚れを除去され、ラジエータ部11006で冷却され、再び液体貯蔵タンク11001に回収される。このように、運転時は、上述したサイクルで液体が循環され、太陽電池パネル1002の冷却、洗浄等のメンテナンスのために動作する。この場合、ポンプ11002等は、太陽電池パネルの状態を検知して所定の演算により判断情報を生成し、係る判断情報毎に設定された計画動作を行うように上記構成要素に指示情報を送信する液体供給コントロール部11007によってその動作がコントロールされている。液体供給コントロール部は、次に説明する制御手段を構成するコントロールユニットが各機能ブロックを協働させて行う動作による機能の一つとして具現化されるものである。
【0038】
図12は、図1では図示されなかった本実施例のメンテナンス装置の動作全体を制御するコントロールユニット12000の構成を示した機能ブロック図である。コントロールユニット12000は、第1ドラムロール1003と第2ドラムロール1006及びシート洗浄ロール1008の回転動作、保持フレーム1015の押さえガイド位置調整動作、液体供給手段のポンプ11002等の構成要素の動作を制御するものである。
以下の説明における各機能ブロックの動作は、予め用意されたプログラムをモニター、キーボード、マウス等のインターフェースを備えたパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行し、各種デバイスを制御することにより実現される。また、これらのプログラムは、たとえばハードディスク、USBメモリー、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出され、システムのユーザが操作することによって実行される。
【0039】
12001は、状態データ取得部であり、太陽電池パネルを構成する太陽電池セルもしくは太陽電池モジュール毎に設けられた状態センサー12002〜12005に接続され、リアルタイムの発電量を取得する。
12002は、複数の太陽電池セルのうちのIDが「1」に係る状態センサーであり、同様に12003は「2」に係る状態センサー、12004は「3」に係るものであり、n個のセルがある場合12005で示されるID「n」までのセンサーからの状態データが取得されるものである。
太陽電池パネルの大きさや管理の都合により、セル毎ではなく、モジュール毎、あるいは適当なブロックにまとめて管理する方式として複数のモジュールからなるブロックごとに状態センサーを設けることが可能であり、本発明の状態取得は本実施例に限られるものではない。
ここでは、状態データとして発電量を取得するものであるが、例えば、液体を供給することによって、太陽電池パネルの冷却を行う場合は、リアルタイムのパネル温度を状態情報として取得する構成としてもよい。
【0040】
12006は記憶部であり、取得された状態データ、演算された基準値、取得された状態データから演算された判断情報毎に設定された計画動作情報の参照テーブル、所定の条件毎に設定された通知情報の参照テーブルなどが格納されている。
12007は動作判断部であり、後で説明する動作判断フローに示すように所定のタイミングで取得された状態データから総発電量と基準値をリアルタイムに演算し、総発電量と基準値および直前のメンテナンス動作の有無や回数とによって決定する判断情報を生成し、判断情報毎に設定されたメンテナンスの計画動作情報に基づいてドラムロール、シート洗浄ロールなどの構成要素に指示情報を生成し、動作指示部12009から送信し、各構成要素を協働してメンテナンス動作を行わせる。
12008は校正判断部であり、上記動作判断のための基準値の生成について、その適正さを後で説明する校正フローに従って判断し、基準値生成のために選ばれる選択部分等の再設定を行うものである。
12009は動作指示部であり、動作判断部12007で生成された指示情報を該当する構成要素に送信し、動作を制御するものである。
12010は通知部であり、後で説明するメンテナンス動作もしくは校正動作において、本実施例のメンテナンス装置の管理者に後で説明する通知情報を通知するものである。ここで通知は、予め設定した管理者アドレスへ所定のフォーマットに基づいて通知情報を記載し送信するものである。ここでは通知としてメールを送信を採用したが、本発明の目的にかなうものであれば、これに限られるものではなく、管理者が監視するモニター等に通知情報を出力する方式や音声で出力するなど適宜採用しうるものである。
【0041】
図13は、制御動作全体の概略を説明するフローチャートである。
を示したフローである。
本実施例のメンテナンス装置を所望の太陽電池パネルに導入し、メンテナンスが開始されると、まず13001の状態データ取得ステップにおいて、状態取得部により太陽光パネルの状態データの取得が行われ、記憶部12006に格納される。スタート後は、所定のメンテナンス動作や校正動作の終了後や前回の状態データ取得の後、あらかじめ設定した時間間隔や設定した時刻に13001のステップが開始され、以下の説明する制御動作を繰り返すものである。
【0042】
13002の判断ステップにおいて、動作判断部1200は、取得した状態データから現在作動中の太陽電池セルの総発電量を演算するとともに、当該太陽電池パネルのうち別途メンテナンスを施してある基準生成用に選択した受光面部分に係る太陽電池セルから期待される総発電量の80%の値を演算し基準値とし、リアルタイムの総発電量の値と比較し、総発電量が基準値以下の場合、「メンテナンス動作が必要」というメンテナンス判断情報を生成する。一方、基準値を超えている場合、「メンテナンス動作が不要」という判断情報を生成するとともに、期待される総発電量の100%と比較し、選択した太陽電池セルが基準にふさわしいかどうか、すなわち「校正が必要かどうか」の校正判断情報を生成する。リアルタイムの総発電量が期待される総発電量よりも多ければ、基準としている太陽電池セルの劣化が予想されるので、「校正が必要」という情報を生成し、100%には達していないのであれば、「校正が不要」という情報を生成する。
【0043】
図14は、取得した状態データの記憶部12006における格納構造を示した概念図である。ここでは、「n=6」すなわち、合計6個の太陽電池セルについて取得した発電量である。
図15は、上記比較のために必要な総発電量と基準値を算出するための計算式を格納した参照テーブルである。動作判断部12007は、15001及び15002に示される計算式を参照して総発電量と基準値の演算を行う。15003に示す基準セルは、校正動作によって検索され、リアルタイムに変更されうるものである。15004に示すnの値は、管理対象となる太陽電池セルの数である。
太陽電池セルはIDによって1から6まで識別管理され、取得された状態データである各太陽電池セルの発電量である(d1、d2、d3、d4、d5、d6)それぞれ対応する項目に格納されている。ここで基準セル項目が「1」の値を有するID=3のセルが選択した受光面部分に係る太陽電池セルである。したがって、15004で示す通り、kの値は、基準セルはID=3であるから、ここでの基準値D(k)は、D(3)=(d3×6)×80% で計算されるD(k)である。15002に示す通り、総発電量SDは、d1からd6までの総和である。D(k)>SDであれば、基準に達しないことになり、「メンテナンス動作が必要」と判断されるのである。
ここで示した判断の基準値を抽出する計算式は、本発明の基準値の一例に過ぎず、リアルタイムに取得した総発電量と基準セルのリアルタイムの発電量から導出した基準値を比較する方式であれば、適宜採用可能である。また、ここではすべての太陽電池セルに対して発電量センサーを設置して、各発電量を足し合わせる方式であるが、全体の発電量は、当該太陽電池装置からの発電量をモニターして総発電量とし、基準セルに係るセンサーのみをオンとする方式でもよい。モニターのために消費する電力を節約することができる。
【0044】
分岐ステップ13003において、メンテナンス判断情報が「メンテナンス動作が必要」であれば、メンテナンス動作ステップ13004となる。後で説明するメンテナンス動作の終了後、開始ステップからの制御動作を繰り返す。詳細については、後で説明する。一方、判断情報が「メンテナンス動作が不要」であれば、さらに分岐ステップ13005に移行する。
【0045】
分岐ステップ13005において、D(k)<SDである場合、校正判断情報は「校正が必要」となり、校正動作ステップ13006に移行し、後で説明する校正動作が終了後に開始ステップからの制御動作を繰り返す。一方、「校正が不要」の場合、開始ステップに戻り、所定のタイミングで制御動作を繰り返す。
【0046】
図16は、メンテナンス動作のフローチャートである。制御動作において「メンテナンスが必要」と判断された場合に動作を開始する。
まず16001の液体供給ステップから始まる。1回目のメンテナンス動作であり、液体供給によって毛細管現象による水路の発生を促進し、汚れを洗い流す。ここで供給する液体は洗浄液を採用するものとする。
16002は、発電量取得判断ステップであり、新たに状態データを取得し、液体供給後の総発電量と基準値の再計算を行い、メンテナンスが必要かどうかを先に説明した判断と同様に判断情報を生成する。 分岐ステップ16003では、判断情報が「メンテナンス動作が不要」であれば、メンテナンス動作は終了し、図13に示す通常の制御動作にもどる。
一方、判断情報が「メンテナンス動作が必要」であれば、2回目のメンテナンス動作の前半として、液体供給・収納ステップ16005に移る。2回目のメンテナンス動作はまず液体供給と同調して第1ドラムロールと第2ドラムロールの回転による網状シートの収納をおこなう。ここでは液体供給とドラムロールの収納動作としたが、本発明の2回目のメンテナンス動作はこれに限られるものではなく、さらにシート洗浄ロールの動作を連動させてもよい。
次に、発電量取得判断ステップ16006となり、新たに状態データを取得し、総発電量と基準値の再計算を行い、メンテナンスが必要かどうかを先に説明した判断と同様に判断情報を生成する。
分岐ステップ16007では、判断情報が「メンテナンス動作が必要」であれば、2回目のメンテナンス動作はここで終了し、ステップ16008においてパネル異常の通知を行う。通知は、あらかじめ設定した管理者のメールアドレスに所定の書式でパネル異常の可能性を記載したメール送信によって行われる。
一方、判断情報が「メンテナンス動作が不要」であれば、2回目のメンテナンス動作の後半として、液体供給・展開ステップ16009に移る。ここでは網状シートの展開動作を滑らかに行うために液体を供給しつつ、これに連動させて第1ドラムロールと第2ドラムロールの回転による網状シートの展開をおこなう。
ここで3回目の発電量取得判断ステップ16010に移行する。新たに状態データを取得し、総発電量と基準値の再計算を行い、メンテナンスが必要かどうかを先に説明した判断と同様に判断情報を生成する。
分岐ステップ16011では、判断情報が「メンテナンス動作が必要」であれば、ステップ16012においてシート異常の通知を行う。通知は、あらかじめ設定した管理者のメールアドレスに所定の書式で網状シートに異常の可能性があることを記載したメール送信によって行われる。
一方、判断情報が「メンテナンス動作が不要」であれば、メンテナンス動作は正常に終了し、図13に示す通常の制御動作に戻る。
【0047】
(校正動作)
図17は、校正動作のフローチャートである。制御動作において「校正が必要」と判断された場合に動作を開始する。まずステップ17001の最も発電量の多い太陽電池セルを検索する。検索は、記憶部12006に格納されたセル毎の発電量を比較することによって行われる。ここで検索対象の太陽電池セルを最も発電量の多いセルとして、校正動作を進めているが、中央値を取る太陽電池セルを検索するとすることもできる。本発明に係る校正動作における新しい基準セルの検索は、本実施例の方式に限られることなくリアルタイムに取得した太陽電池セルの状態データから基準となるという観点から適当なセルを選ぶ方法であればよい。
次にステップ17002において、検索されたセルに係る情報の取得が行われる。基準セルのID情報だけでなく、基準セルに係る受光面の位置情報を位置参照テーブルから取得する。図18は、記憶部12006に格納された太陽電池セル毎の位置参照テーブルであり、管理者が設定した陽電池パネルの受光面をグリッド上に分割する小区分であり、その分割した区分に行番号と列番号を付与し、(行番号,列番号)という形式で示したものである。
次にステップ17003において、取得したセル情報を管理者に通知する。通知は、基準セルに係る受光面部分を「良好な状態」に保つための別途メンテナンスを施すための情報であり、管理者はこの情報に基づいて、別途メンテナンスを施す受光面部分を新たに設定する。
ステップ17004において、基準値に係るセルの設定をおこなう。設定は、図14の「基準セル項目」に係る値を元基準セルであったセルの値を「1」から「0」にし、新しく基準セルとなるセルの値を「0」から「1」に変更することにより設定変更をおこない、記憶部12006に登録する。この変更により図15で示す導出式で参照する「k」の値も変更され、校正が完了する。
【0048】
以上のようにして、トラブルの発生などで基準値を導出する元となっていた太陽電池セルが機能しなくなっても、自動的に検知し適正な基準セルを検索し、再設定することでメンテナンス装置の動作を適正に保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
ここで説明した太陽電池パネルのメンテナンス装置を導入することにより、雨による水滴の付着を防ぎ、汚れが堆積しにくいものとすることができる。大小様々なタイプの太陽光発電装置に本発明に係わるメンテナンス装置を組み込むことができ、太陽光電池を利用した各種システム全般に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1001 網状シート
1002 太陽電池パネル
1003 第1のガイドロール
1004 第1のドラムロール
1005 第2のガイドロール
1006 第2のドラムロール
1010 押さえガイド
1011 液体供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルのメンテナンス装置であって、
1)糸状部材から構成される網構造を有する、所望の太陽電池パネルの受光面を覆うための網状シートと、
2)前記網状シートの一端を前記太陽電池パネルの一端近傍に繋止するための第1の繋止手段と、
3)前記網状シートの他端を前記太陽電池パネルの他端近傍に繋止するための第2の繋止手段を備え、
前記第1及び第2の繋止手段によって前記網状シートを前記受光面と略同一レベルの位置に繋止し、前記受光面を前記網状シートで重ねて覆うことにより、前記受光面と前記糸状部材との間に細隙を形成し、該細隙が毛細管のとしての役割を果たして引き起こす毛細管現象によって、前記受光面上に前記網構造に沿って展開する水路を発生させることにより、該受光面に付着した水滴を排水するものであることを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項2】
前記第1または第2の繋止手段の一方または双方には収納・展開手段が設けられており、必要に応じて前記網状シートを収納し、あるいは収納された前記網状シートを取り出して前記受光面上に展開することを特徴とする特許請求範囲第1項に記載のメンテナンス装置。
【請求項3】
前記収納・展開手段は、ロール機構から構成されており、必要に応じて前記網状シートを巻き取り収納し、あるいは、該ロール機構によって収納された前記網状シートを巻き出して前記受光面上に展開するものであることを特徴とする特許請求範囲第2項に記載のメンテナンス装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のメンテナンス装置において、さらに前記網状シートを外側面から受光面側に弾性加圧する機構により、前記細隙の形成を補助し、前記毛細管現象の効果を高める押さえ手段を備えることを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項5】
前記押さえ手段は、前記太陽電池パネルを形成する太陽電池モジュールのフレームもしくは太陽電池セル間の隙間を基準に求められる、押さえ手段に係る部材が太陽光を遮ることによる受光損失を低くする位置に設置されたものであることを特徴とする特許請求範囲第4項記載のメンテナンス装置。
【請求項6】
前記受光面上に液体を供給し、前記毛細管現象による水路の発生を促進し、該水路の水流による受光面上の汚れの洗浄を補助し、太陽電池が高温となった場合の冷却を行う液体供給手段を有することを特徴とする特許請求範囲第1項乃至第5項いずれかに記載のメンテナンス装置。
【請求項7】
前記液体供給手段は前記網状シートの収納・展開の動作に連動して液体を供給することを特徴とする特許請求範囲第6項に記載のメンテナンス装置。
【請求項8】
前記液体は、洗浄液であることを特徴とする特許請求範囲第6項又は第7項記載のメンテナンス装置。
【請求項9】
(接続手段)
前記網状シートの端部と前記第1または第2の繋止手段との間に少なくとも受光面の一端から他端までの長さを有する、受光面の受光損失を低く抑える接続手段を備え、前記網状シートの収納がされたときにおいても前記第1の繋止手段と第2の繋止手段との接続を維持し、前記繋止手段の繋止、繋止の解放の操作をすることなく、必要に応じて前記収納・展開手段を操作することにより自在に前記網状シートの展開および収納をおこなうことができることを特徴とする特許請求範囲第2項乃至第8項のいずれかに記載のメンテナンス装置。
【請求項10】
(洗浄手段)
前記第1又は第2の繋止手段のいずれかの近傍に、前記網状シートの収納・展開動作に連動して前記網状シートを洗浄する動作を行うシート洗浄手段を備えることを特徴とする特許請求範囲第2項乃至第9項のいずれかに記載のメンテナンス装置。
【請求項11】
(管理手段)
前記太陽電池パネルを構成する太陽電池モジュールもしくは太陽電池セルの発電量を監視し、当該監視動作によって取得した前記太陽電池モジュールもしくは太陽電池セルのリアルタイムの発電量を所定の基準値と比較して、前記液体供給、前記収納・展開動作に連動しての液体供給、あるいは前記収納・展開と前記液体供給と前記シート洗浄の連動動作から選ばれるいずれかのメンテナンス動作を自動運転するように制御する管理手段を有することを特徴とする特許請求範囲第7項乃至第10項のいずれかに記載のメンテナンス装置。
【請求項12】
前記基準値は、前記自動運転に係るメンテナンス動作とは別途に設定したメンテナンスを施した、前記受光面から選択された受光面部分に係る太陽電池モジュールもしくは太陽電池セルに係るリアルタイムの発電量から演算される当該受光面全体の発電量の想定値であって、該想定値である基準値とリアルタイムの全体発電量とを比較し、該全体発電量が前記想定値に対して所定の割合もしくは差の範囲にない場合、前記メンテナンス動作を開始することを特徴とする特許請求範囲第11項記載のメンテナンス装置。
【請求項13】
(校正手段)
前記想定値とリアルタイムの全体発電量との比較において、リアルタイムの全体発電量が所定の割合もしくは差を超える値を示した場合、前記選択された受光面部分は基準値の演算に不適当な部分と判断し、新たに受光面部分を選択し、新たな受光面部分に前記別途に設定したメンテナンス動作を施すべきことを示す指示情報を出力し、新たに選択した受光面部分に係る太陽電池モジュールもしくは太陽電池セルに係る発電量によって前記基準値を演算するように前記管理手段の動作を校正する校正手段を有することを特徴とする特許請求範囲第12項に記載のメンテナンス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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