説明

太陽電池パネルを用いた外装構造

【課題】フレームの構造が極めて簡易で、その生産や管理が容易であり、さらに太陽電池パネルのケーブルを容易に接続したり収容することができる太陽電池パネルを用いた外装構造を提供する。
【解決手段】本発明は、太陽電池パネル1流れ方向の端縁(フレーム12C,12D)を縦支持材3にて支持し、桁行き方向に隣接する太陽電池パネル1,1の間に押さえ部材6を取り付けてなる外装構造であって、前記縦支持材3は、上方へ延在する一対の起立片35,35を備え、この起立片35の上端が前記太陽電池パネル1を支持する支持部351であり、さらに前記押さえ部材6を取り付けるための取付受部材9が前記起立片35の上端351に上下に変位しないように係止され、この起立片35,35の対向間隔が太陽電池パネル1のケーブル111を収容する空間Aとなっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームの構造が極めて簡易で、その生産や管理が容易であり、さらに太陽電池パネルのケーブルを容易に接続したり収容することができる太陽電池パネルを用いた外装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電は、クリーンエネルギーを得る手段として幅広い利用が期待され、近年、建築物の屋根、壁等に適用されるようになり、生活に必要な電力を補うシステムとして実用化されている。
建築物の屋根に太陽エネルギー変換モジュール(太陽電池パネル)を設置する場合、屋根上に支持架台を取付固定して太陽電池パネルを支持する構造、また特許文献1などに開示されるように、太陽電池パネルを複雑な形状のフレーム部材で囲ってパネルを構成して屋根に組み込む構造が提案されている。
【0003】
前記の屋根上に支持架台を介して太陽電池パネルを取り付ける構造では、既設の屋根上に支持架台を取付固定する際に雨仕舞いを損なわない限りは問題は生じないが、前記支持架台を確実にかつ強固に取り付ける必要があるため、建築物自体の意匠性を損なうという問題があった。
これに対し、前記特許文献1に記載の構造では、建築物自体の意匠性を損なうことはなく、太陽電池パネルの周囲に、それぞれ雨水を排水するための側枠、上枠、下枠を取り付け、これらの枠体を組み付けて浸入した雨水を排水する方法が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−122769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1のように複雑な形状のフレームを用いる構造では、フレームに複数の排水部を設けたり、さらに複数の部材を組み付けて雨水の浸入を防止するか、浸入した雨水を排水する方法が採られているため、フレームの構造が極めて複雑であって、その生産や管理が面倒であり、さらにはジョイント部分での部材数の増加を招き、コスト高騰という問題を抱えていた。また、隣接する太陽電池パネルのケーブルを接続したり収容する空間もなかった。さらに、特許文献1の構造では、流れ方向に配設固定した支持桟にパネルユニットの側枠のみを固定しているため、上下枠は互いに重合しているだけであり、パネルサイズやパネルの向き(横長パネル)によっては固定箇所が極めて少なくなり、強度上の問題が生じる恐れがあった。
さらに、前記特許文献1では、太陽電池パネルの周囲に左右の側枠、上枠、下枠を取り付ける構成であるため、縦横の寸法が異なる太陽電池パネルに対応させる場合には、その長さに応じて左右の側枠、上枠、下枠を用意する必要があるため、極めて面倒であり、コストがかかるものであった。
そこで、本発明は、フレームの構造が極めて簡易で、その生産や管理が容易であり、さらに太陽電池パネルのケーブルを容易に接続したり収容することができる太陽電池パネルを用いた外装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、太陽電池パネルの流れ方向に沿う端縁を縦支持材にて支持し、桁行き方向に隣接する太陽電池パネルの間に押さえ部材を取り付けてなる外装構造であって、前記縦支持材は、上方へ延在する一対の起立片を備え、この起立片の上端が前記太陽電池パネルを支持する支持部であり、さらに前記押さえ部材を取り付けるための取付受部材が前記起立片の上端に上下に変位しないように係止され、この起立片の対向間隔が太陽電池パネルのケーブルを収容する空間となっていることを特徴とする太陽電池パネルを用いた外装構造に関するものである。
【0007】
また、本発明は、前記外装構造において、取付受部材は、取付手段として、上方へ延在する連結ボルトが保持され、押さえ部材上にその上端を突出させ、ナットを締め付けることにより、押さえ部材との間に太陽電池パネルの端縁を上下から挟むことを特徴とする太陽電池パネルを用いた外装構造をも提案するものである。
【0008】
また、本発明は、前記外装構造において、起立片に形成される係止受部は、左右の上端に内側が解放する横溝であり、この横溝である係止受部に、取付受部材を嵌合させて係止することを特徴とする太陽電池パネルを用いた外装構造をも提案するものである。
【0009】
また、本発明は、前記外装構造において、太陽電池パネルの桁行き方向に沿う端縁を横支持材にて支持することを特徴とする太陽電池パネルを用いた外装構造をも提案するものである。
【0010】
また、本発明は、前記外装構造において、横支持材は流水部を備え、縦支持材は排水部を備え、前記流水部と前記排水部とは連絡されていることを特徴とする太陽電池パネルを用いた外装構造をも提案するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の太陽電池パネルを用いた外装構造は、太陽電池パネルの流れ方向の端縁を縦支持材にて支持し、桁行き方向に隣接する太陽電池パネルの間に押さえ部材を取り付けてなる構成であるため、太陽電池パネルのフレームの構造が極めて簡易となり、その生産や管理が容易である。
また、本発明の外装構造に用いる縦支持材、押さえ部材、及び取付受部材は、それぞれ簡易な構成であって、太陽電池パネルのケーブルを収容する空間を形成しつつ太陽電池パネルを上下から挟むように取り付けることができる。
【0012】
また、取付受部材は、取付手段として、上方へ延在する連結ボルトが保持され、押さえ部材上にその上端を突出させ、ナットを締め付けることにより、押さえ部材との間に太陽電池パネルの端縁を上下から挟む場合には、ナットの締め付けにより、取付受部材が縦支持材の起立片の上端に強固に係止し、押さえ部材との間に太陽電池パネルの端縁を上下から挟むため、縦支持材から取付受部材と太陽電池パネル及び押さえ部材が一体的に固定される。
【0013】
また、起立片に形成される係止受部は、左右の上端に内側が解放する横溝であり、この横溝である係止受部に、取付受部材を嵌合させて係止する場合、取付受部材を矩形板状に形成して回転させて嵌合させればよく、取付受部材の構成が極めて簡易である。
【0014】
また、本発明は、前記外装構造において、太陽電池パネルの桁行き方向の端縁を横支持材にて支持する場合、各支持材の配設間隔を予め太陽電池パネルの縦横のサイズに応じて固定することにより、様々なサイズの太陽電池パネルに適用できる。
【0015】
さらに、横支持材は流水部を備え、縦支持材は排水部を備え、前記流水部と前記排水部とは連絡させている場合、雨水が例えば太陽電池パネルの端縁から裏面側へ浸入しても、横支持材の流水部から、縦支持材の排水部に導かれ、水下側へ流下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)本発明の外装構造の一実施例(=第1実施例)の要部を拡大して示す正断面図、(b)その側断面図である。
【図2】下から順に前記第1実施例に用いた縦支持材、取付受部材、連結ボルト、押さえ部材、ナットを示す各断面図である。
【図3】本発明の外装構造の他の一実施例(=第2実施例)の要部を拡大して示す正断面図である。
【図4】前記第2実施例の要部を拡大して示す側断面図である。
【図5】本発明の外装構造の他の一実施例(=第3実施例)の要部を拡大して示す正断面図である。
【図6】前記第3実施例の要部を拡大して示す側断面図である。
【図7】本発明の外装構造の他の一実施例(=第4実施例)の要部を拡大して示す正断面図である。
【図8】前記第4実施例の要部を拡大して示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の太陽電池パネルを用いた外装構造は、太陽電池パネルと、該太陽電池パネルの流れ方向に沿う端縁を支持する縦支持材と、桁行き方向に隣接する太陽電池パネルの間に取り付ける押さえ部材と、からなる構成である。
【0018】
太陽電池パネルは、太陽エネルギー変換モジュール(以下、太陽電池という)を備えるものであって、特にそれ以外の構成を限定するものではない。
例えば太陽電池を複数(並列状に)備える構成でもよいし、後述する図示実施例のように、その周縁をシール材を介してフレームで取り囲んだ構成としてもよい。
【0019】
前記太陽電池パネルにおける太陽電池としては、多結晶,単結晶,アモルファス等、どのようなものを用いてもよい。一般的に太陽電池は、導電性基体、裏面反射層、光電変換部材としての半導体層、透明導電層から構成され、上記導電性基体としては、例えば鋼板、銅、チタン、アルミニウム、ステンレス、カーボンシートを用いることができ、その他にも導電層が設けられたポリエステル、ポリイミド、ポリエチレンナフタライド、エポキシ等の樹脂フィルムやセラミックス等を用いることもできる。前記半導体層は特に限定するものではなく、アモルファスシリコン半導体、多結晶シリコン半導体、結晶シリコン半導体、銅インジウムセレナイド等の化合物半導体を用いることができる。例えば近年提案された可撓性を有するアモルファスシリコン太陽電池は極めて薄肉で軽量であるため好ましい。
【0020】
前記太陽電池パネルは、前述のようにその周縁に、フレームを配してもよい。
このフレームは、太陽電池の周縁を保持して縦支持材や横支持材に支持されるものであり、言い換えれば、太陽電池の周縁を保持する保持部と、縦支持材や横支持材の支持部に支持される被支持部を有する構成であり、それ以外の構成は特に限定するものではない。
【0021】
縦支持材は、必須構成として、上方へ延在する一対の起立片を備え、この起立片の上端が前記太陽電池パネルを支持する支持部であり、前記起立片の対向間隔が太陽電池パネルのケーブルを収容する空間となっている構成である。
また、この縦支持材には、後述する図示実施例のように躯体上に固定される固定部と、雨水を流れ方向に流す排水部とを備えることが望ましく、流れ方向に連続する通し材でもよいし、所定長さの定尺材を連結材にて接続した構成でもよい。
【0022】
前記縦支持材の支持部は、太陽電池パネルの周縁のうち、流れ方向に沿う端縁を支持するものであって、上方へ延在する一対の起立片の上端に設けられるが、この起立片は、太陽電池パネルのケーブルを収容する空間を形成する側面を兼ね、後述する図示実施例では、最外側に形成された側壁との間に雨水を流れ方向に流す排水部を形成するものであり、言い換えれば排水部の側面をも兼ねる。
また、起立片の上端には、押さえ部材を取り付けるための取付受部材が上下に変位しないように係止される構成(係合受部)が設けられ、この係合受部の構成については、例えば後述する図示実施例では、左右に内側が解放する溝状に形成したが、特にこれに限定されるものではなく、後述する取付受部材の係止部との組み合わせておいてどのように形成してもよい。
【0023】
前述のようにこの縦支持材には、躯体としての梁上に固定される固定部と、雨水を流れ方向に流す排水部とを設けてもよいが、これらの固定部及び排水部について以下に簡単に説明する。
排水部は、流れ方向に連続するものであって、一般的に樋状に形成されるが、前記のように太陽電池パネルのケーブルの収容空間を形成する必要があるため、後述する図示実施例のように収容空間の外側、すなわち左右に別々に設ける。また、後述する横支持材の流水部と連絡させるために、排水部の側面を形成する側壁の上端に横支持材の流水部の端縁を固着具にて固定するためのフランジを設けてもよい。
固定部は、雨水の漏水を生ずるものでなければ、その位置も構成も特に限定するものではなく、例えば後述する図示実施例(第1実施例)のように左右の排水部のさらに外方へ延在する片状の固定部を設けてもよく、また第2実施例のように太陽電池パネルのケーブルの収容空間の底部に設けてもよく、梁に載置した部分に固定具を打ち込んで固定するものでもよいし、梁が高強度鋼材の場合などには、一種又は二種以上の固定金具を介して梁に穴を形成することなく取り付けるようにしてもよい。なお、この固定部を固定する下地としては、躯体(梁、母屋)であってもよいし、既設屋根やその上に取り付けた支持部材であってもよい。
【0024】
押さえ部材は、桁行き方向に隣接する太陽電池パネル間に取り付ける部材であって、隣接する太陽電池パネル間を覆う縦桟カバーを兼ねる構成でもよいし、別部材として縦桟カバーを配設する構成でもよく、後者の場合は、ピース材でもよい。
この押さえ部材は、後述する取付受部材によって桁行き方向に隣接する太陽電池パネル間に取り付けられるものであり、例えば後述する図示実施例では、取付受部材が取付手段として上方へ延在する連結ボルトを保持する構成とし、押さえ部材上にその上端を突出させ、ナットを締め付けることにより、この押さえ部材には下方へ押圧する力が作用し、太陽電池パネルのフレームに上方から圧着状に取り付けられるが、特にこの構成に限定するものではない。
【0025】
取付受部材は、前記押さえ部材を取り付けるために前記縦支持材の一対の起立片の上端に上下に変位しないように係止される部材であり、言い換えると、前記縦支持材の一対の起立片の上端に上下に変位しないように係止される係止部(係止手段)を有し、前記押さえ部材を取り付ける取付手段を備える構成であれば、それらの具体的な構成は全く限定しない。なお、前述のように起立片の対向間隔に太陽電池パネルのケーブルを収容するので、簡易な操作にて係止される構成が望ましい。
【0026】
前記係止部としては、例えば後述する図示実施例のように前記縦支持材の起立片の上端に設ける係合受部を、左右に横方向に向く溝状に形成した場合には、この取付受部材としては単なる矩形状の板材に形成すればよく、その場合の係止部も単なる側端縁でよい。
また、前記取付手段としては、例えば後述する図示実施例のように上方へ延在する連結ボルトを保持する構成でもよい。
なお、この取付受部材の係止部は、前記縦支持材の起立片の上端(係合受部)に上下に変位しないように係止する構成であるが、配設した時点では、係合受部に対して嵌合状(遊嵌)に係止部が配されていればよく、前記取付手段(締め付け手段)との併用により強固に係止すればよい。
【0027】
また、前記外装構造において、太陽電池パネルの桁行き方向に沿う端縁を横支持材にて支持するようにしてもよい。また、横支持材は縦支持材に固定するようにしてもよい。さらに、横支持材に流水部を設け、縦支持材には排水部を設け、前記流水部と前記排水部とを連絡するようにしてもよい。
さらに、前記縦支持材の側壁上端に前記横支持材を載置して連結することにより、縦支持材の内部空間と横支持材の内部空間とを連通させ、流れ方向に隣接する横支持材間に縦化粧材を取り付けるようにしてもよい。
【0028】
前記横支持材は、太陽電池パネルの周縁のうち、桁行き方向に沿う端縁を支持するものであって、太陽電池パネルの横方向(桁行き方向)の寸法(長さ)と略同一か短く形成される定尺材である。
この横支持材は、前記縦支持材の側壁上端に固定される固定部と、太陽電池パネルを支持する支持部と、を必須構成として備え、望ましくは、太陽電池のケーブルを収容する収容空間と、雨水を桁行き方向に流す流水部とを備える。
【0029】
また、前記横支持材の支持部は、太陽電池パネルの周縁のうち、水上側及び水下側の端縁を支持するものであって、例えば後述する図示実施例のように前記流水部の略中央に隆起部を設け、該隆起部に設けてもよい。
前記横支持材の固定部は、前記縦支持材の側壁上端に固定されるものであり、その具体的形状については、特に限定するものではなく、後述する図示実施例のように、排水部内(の直上)にてビス等で固定するものでもよい。
前記横支持材の流水部は、前記固定部よりも高い位置に一般的に樋状に形成されるものであり、後述する図示実施例のように水上側と水下側に別々に設けてもよい。
この流水部の内部に導かれた雨水は、桁行き方向に流れて連結した縦支持材の排水部内に導かれ、この排水部により水下方向へ排水される。
【0030】
前記縦化粧材は、前記縦支持材の側壁上端に取り付けられるものであって、流れ方向に隣接する横支持材の配設間隔に取り付けられ、横支持材の配設間隔の隙間を覆うものであれば、特にその他の構成については限定するものではない。
この縦化粧材は、前述のように横支持材の配設間隔の隙間を覆うものであるため、その上方、すなわち太陽電池パネルとの間に隙間が形成されないように、縦化粧材の上端は、太陽電池パネルの裏面に極めて近接する高さ寸法を備えることが望ましい。
また、この縦化粧材は、ビス等の固定具を用いて側方から取り付けるようにしてもよいし、後述する図示実施例のように、下端に嵌合部を設け、縦支持材に形成した被嵌合部に上方から押圧するだけで弾性的に取り付けられる構成としてもよい。
【0031】
前述のように太陽電池パネルとしては、様々な種類が提供され、その縦横のサイズにも規定がないため、多種の寸法のものが市販されている。選定した太陽電池パネルに応じ、流れ方向に連続する縦支持部材は、その横寸法に応じた配設間隔で配設すればよく、これにより太陽電池パネルの左右の端縁を縦支持材にて支持することができる。同様に、横支持材についても通常は太陽電池パネルの縦寸法に応じた配設間隔で配設すればよく、これにより太陽電池パネルの水上側、水下側の端縁を横支持材にて支持することができる。そして、縦支持材の任意の位置に横支持材を連結しても、その流れ方向の配設間隔に応じた長さの縦化粧材を取り付けることにより、隙間を生じない美麗な天井構造を構築できる。なお、縦化粧材の長さの調整は、取り付けた横支持材の配設間隔を測定(実測)し、適宜切断具にて切断すればよいので、極めて容易に実施できる。
【0032】
そして、本発明の太陽電池パネルを用いた外装構造は、太陽電池パネルの流れ方向の端縁を縦支持材にて支持し、桁行き方向に隣接する太陽電池パネルの間に押さえ部材を取り付けた構成であるため、太陽電池パネルのフレーム、縦支持材、押さえ部材、及び取付受部材の構造が極めて簡易であり、その生産や管理が容易であり、太陽電池パネルのケーブルを収容する空間を形成しつつ太陽電池パネルを上下から挟むように取り付けることができる。
【実施例1】
【0033】
図1及び図2に示す本発明の第1実施例の外装構造は、太陽電池11を備える太陽電池パネル1と、その流れ方向に沿うフレーム12C,12Dを支持する縦支持材3と、桁行き方向に隣接する太陽電池パネル1,1の間に取り付ける押さえ部材6と、からなる構成であって、前記押さえ部材6を取り付けるための取付受部材9が前記縦支持材3の起立片35,35の上端に上下に変位しないように係止されている。
【0034】
前記太陽電池パネル1は、太陽電池11の周縁にフレーム12A〜12Dを配したものであり、各フレーム12A〜12Dは、シール材13を介して太陽電池11の端縁を保持する略コ字状の保持部121を備え、前記保持部121から下方へ延在して横支持材2、縦支持材3に支持される略L字状の被支持部122を備える簡易な構成である。また、この太陽電池パネル1の横方向(桁行き方向)の接続部分の表面には縦桟カバーを兼ねる押さえ部材6を、流れ方向の接続部分の表面には横桟カバー7を配して接続している。
【0035】
前記縦支持材3は、上方へ延在する一対の起立片35,35を備え、この起立片35の上端が前記太陽電池パネル1を支持する支持部33であり、この起立片35,35の対向間隔が太陽電池パネル1のケーブル111を収容する空間Aとなっている構成である。
【0036】
前記支持部33は、太陽電池パネル1の周縁のうち、流れ方向に沿う端縁(フレーム12C,12D)を支持するものであって、上方へ延在する一対の起立片35,35の上端に設けられるが、この起立片35,35は、太陽電池パネル1のケーブル111を収容する空間Aを形成する側面を兼ね(=起立片35,35間に収容空間Aが形成される)、この図示実施例では、最外側に形成された側壁34,34との間に雨水を流れ方向に流す排水部(=排水空間)32,32が形成される。
また、起立片35,35の上端には、取付受部材9が上下に変位しないように係止される係合受部351,351が設けられ、この実施例では、それぞれ内側に解放する横溝状に形成されている。
【0037】
また、図示実施例の縦支持材3は、下地としての支持部材5A上に固定される固定部31を備える通し材であり、前記固定部31は、左右の排水部32,32のさらに外方へ延在する片状に形成され、ビス状の固定具3aにて下地に固定されている。
なお、この実施例における下地は、流れ方向に沿うように配設された躯体5の上に断熱層5Bが敷設され、該断熱層5B上に段葺き状に既設外装材50が施工されて既設屋根を形成し、その表面に持出金具5Cが固定具5Dにて固定され、前記持出金具5Cに横向きに保持された取付ボルト5EにZ字状の形鋼である支持部材5Aが取り付けられ、ナット5Fにて締め付け固定される構成である。
【0038】
前記押さえ部材6は、桁行き方向に隣接する太陽電池パネル1,1間に取り付ける部材であって、図示実施例では縦桟カバーを兼ねる。
この押さえ部材6は、後述する取付受部材9によって桁行き方向に隣接する太陽電池パネル1,1間に取り付けられるものであり、この実施例では、取付受部材9が上方へ延在する連結ボルト9Bを保持する構成とし、押さえ部材6上にその上端を突出させ、ナット6aを締め付ける構成とした。
【0039】
前記取付受部材9は、前記押さえ部材6を取り付けるために前記縦支持材3の一対の起立片35,35の上端(係合受部351,351)に上下に変位しないように係止される部材であり、この実施例では、取付手段として、上方へ延在する連結ボルト9Bを保持する単なる矩形状の板材に形成し、係止部91も単なる側端縁とした。
【0040】
そして、前記構成の取付受部材9は、略矩形板状(角部を削った矩形状)であって、係合受部351,351間の間隔と略同一の幅(辺の長さ)とそれより短い幅(辺の長さ)を有する構成であり、所定位置の係合受部351,351間に短い幅の取付受部材9を臨ませ、この状態で面向きは維持したまま回転させて所定位置に嵌合させることができる。
上方へ延在する連結ボルト9Bは、予め取付受部材9に孔を形成して下方から貫通させておけばよく、この連結ボルト9Bの上端が前記押さえ部材6を貫通して突出させた状態でナット6aを締め付けることにより、取付受部材9が上方へ引っ張り上げられてその端縁(係止部91,91)が縦支持材3の起立片35の上端(係合受部351,351)に強固に係止する。同時に押さえ部材6は下方へ押圧されて太陽電池パネル1,1の端縁に押しつけられ、押さえ部材6との間に太陽電池パネル1,1の端縁を上下から挟むため、縦支持材3から取付受部材9と太陽電池パネル1,1及び押さえ部材6が一体的に固定される。
【0041】
また、この第1実施例の外装構造では、太陽電池パネル1の桁行き方向の端縁を横支持材2にて支持し、この横支持材2は前記縦支持材3に固定するようにした。また、この横支持材2には長さ方向に流水部22を形成し、前記縦支持材3の排水部32と連絡するようにした。
【0042】
図示実施例の横支持材2は、図1(b)に示すように太陽電池パネル1の周縁のうち、水上側及び水下側の端縁(フレーム12A,12B)を支持するものであって、太陽電池パネル1の横方向(桁行き方向)の寸法(長さ)と略同一か僅かに短く形成される定尺材である。
この横支持材2は、前記縦支持材3の側壁34上端に固定される固定部21と、太陽電池パネル1を支持する支持部23と、雨水を桁行き方向に流す流水部22とを備える。
また、前記横支持材の支持部23は、前記流水部22の略中央に隆起部を設け、該隆起部の水上側及び水下側の上端に設けた。
前記横支持材2の固定部21は、前記流水部22の桁行き方向の端部であり、図示実施例のように、排水部32内(の直上)の受部36にビス等で固定したので、この流水部22の内部に導かれた雨水は、桁行き方向に流れて連結した縦支持材3の排水部32内に導かれ、この排水部32により水下方向へ排水される。
【0043】
さらに、この第1実施例の外装構造では、流れ方向に隣接する太陽電池パネル1,1のフレーム12A,12B間には、横桟カバー7を配した。
図示実施例の横支持材2には、横桟カバー7を取り付けるための連結ボルト7bが保持され、この連結ボルト7bの上端を縦桟カバー7上でナット7aにて締め付けて固定すると共に、固定具7cを打ち込んで固定した。
【0044】
このように構成される本発明の外装構造は、太陽電池パネル1の流れ方向に沿う端縁を縦支持材3にて支持し、桁行き方向に隣接する太陽電池パネル1,1の間に押さえ部材6を取り付けてなる構成であるため、太陽電池パネル1のフレーム12A〜12Dの構造が極めて簡易となり、その生産や管理が容易である。
また、本発明の外装構造に用いる縦支持材3、押さえ部材6、及び取付受部材9は、前述のようにそれぞれ簡易な構成であって、太陽電池パネル1のケーブル111を収容する空間Aを形成しつつ太陽電池パネル1を上下から挟むように取り付けることができる。
【0045】
また、図示実施例では、取付受部材9の取付手段として、上方へ延在する連結ボルト9Bが保持され、押さえ部材6上にその上端を突出させ、ナット6aを締め付けることにより、押さえ部材6との間に太陽電池パネル1,1の端縁を上下から挟むようにしたので、取付受部材9が縦支持材3の起立片35の上端に強固に係止し、押さえ部材6との間に太陽電池パネル1,1の端縁を上下から挟むため、縦支持材3から取付受部材9と太陽電池パネル1,1及び押さえ部材6が一体的に固定される。
【0046】
また、図示実施例では、太陽電池パネル1の桁行き方向の端縁を横支持材2にて支持させたので、各支持材2,3の配設間隔を予め太陽電池パネル1の縦横のサイズに応じて固定することにより、様々なサイズの太陽電池パネル1に適用できる。
そのため、各メーカーの様々な太陽電池パネル1の寸法に応じて適宜に縦支持材3及び横支持材2を配設することができる。
【0047】
さらに、図示実施例では、横支持材2に流水部22を設け、縦支持材3に排水部32を設け、それらを連絡させたので、雨水が例えば太陽電池パネル1の端縁から裏面側へ浸入しても、横支持材2の流水部22から、縦支持材3の排水部32に導かれ、水下側へ流下させることができる。
【0048】
図3及び図4に示す第2実施例の外装構造は、縦支持材3の係合受部351'が、左右に内側が解放するL字形溝状に形成され、取付受部材9'の端縁に形成される係止部91'が、先端が上方に折曲されて形成されている。
また、この縦支持材3が下地としての躯体(梁)上に固定され、その側壁34,34上端に縦化粧材4が取り付けられる構成であり、それ以外の構成は、前記第1実施例とほぼ同様であるから図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
前記縦支持材3は、リップ溝付きC形鋼である躯体(梁)5上に固定され、略中央の隆起部分の上方からビス状の固定具3aを母屋5の上フランジに留めつけて固定される固定部31と、前記太陽電池パネル1の縦方向(流れ方向)に沿う端縁を支持する支持部33と、流れ方向に連続する排水部32と、左右端縁に側壁34と、を備える縦桟であり、上方へ延在する起立片35,35の上端が前記支持部33,33であり、その内側下方に前述のL字形溝状の係合受部351',351'が形成されている。
この第2実施例の縦支持材3の係合受部351',351'に取付受部材9'の係止部91',91'を嵌合させるには、長さ方向の端縁にて嵌合させた状態で、所定位置までスライドさせればよく、その後の取付手段(締め付け手段)にて締め付ける構成については、前記第1実施例と全く同様に行えばよい。
言い換えれば、前記第1実施例では、前述のように所定位置にて回転させれば容易に嵌合できるので、この第2実施例に比べて極めて容易に取付受部材9を取り付けることができる。
【0050】
前記縦化粧材4は、前記縦支持材3の側壁上端に取り付けられるものであって、流れ方向に隣接する横支持材2,2の配設間隔に取り付けられ、横支持材2,2の配設間隔の隙間を覆うものである。
この縦化粧材4は、平板状の化粧面部41の下端に、前記縦支持材3の被嵌合部37と弾性的に嵌合する二股状の嵌合部42が設けられている。前記化粧面部41には、ケーブル111を抜き出すための通孔411が設けられている。
【0051】
また、この第2実施例では、前記排水部32,32の側面部を兼ねる側壁34,34の上端に、横支持材2,2の流水部22,22の端縁を受け止め支持する受部36,36が設けられるが、この受部36の先端には下向きに折曲片が設けられ、側壁34の分岐片には内側へ突出する突出片が設けられ、後述する縦化粧材4の嵌合部42を弾性的に保持する被嵌合部37を形成している。
【0052】
また、図示実施例の横支持材2の支持部23には、横桟カバー7を取り付けるための連結ボルト2bが保持され。
横桟カバー7は、略平坦状の上面部71の裏面側から下方へ向かって垂下する対向状の縦片の間に連結ボルト2bを挿通する通孔が形成されている。なお、図中、7aは、連結ボルト2bの上端を縦桟カバー7の上面部71上にて締め付けるナットと留め付けるナットを示す。
【0053】
これらの各部材から第2実施例の外装構造は、前記第1実施例と同様の効果を奏することは説明するまでもないが、それらの加えて以下の効果も果たされる。
すなわちこの第2実施例では、縦支持材3の側壁上端(受部36)に横支持材2を載置して連結すると共に、その流れ方向の配設間隔に縦化粧材4を取り付けたので、流れ方向に連続する縦支持材3の任意の位置に横支持材2を連結しても、その流れ方向の配設間隔に応じた長さの縦化粧材4を取り付けることにより、室内側から見上げた際に、隙間等を生ずることがなく、美麗な天井構造を形成することができる。
したがって、様々なサイズの太陽電池パネル1に適用でき、美麗で、鳥類や昆虫類が入り込んで巣を作るようなことがなく、また鳥類や昆虫の侵入等によって糞等の堆積物が排水部の排水機能を低下させることがなく、特に天井材(天井仕上げ)を構築しない大型構築物にも好適に採用することができる。
また、この第2実施例では、縦化粧材4は嵌合部42を備え、縦支持材3に設けた被嵌合部37に弾性的に嵌合するようにしたので、縦化粧材4を上方から押圧するだけで取り付けることができ、ビス等の固定具の取り付けを必要としないので、極めて作業性がよいものとなる。
【0054】
図5及び図6に示す本発明の第3実施例の外装構造は、係合受部351,351がそれぞれ内側に解放する横溝状に形成され、取付受部材9'が単なる矩形状の板材に形成され、細径ではあるが、連結ボルト9B'を上方へ延在させた点では前記第1実施例とほとんど同様であり、それ以外の構成は、前記第2実施例とほとんど同様である。
そのため、前記第1実施例と同様に、連結ボルト9B'の下端に取付受部材9'が、上端に縦押さえ部材6'が配された間に太陽電池パネル1が挟まれる状態となるため、ナット6aの締め付けにより、縦支持材3から取付受部材9'と太陽電池パネル1及び押さえ部材6が一体的に固定される効果も同様に果たされる。
【0055】
図7及び図8に示す本発明の第4実施例の外装構造は、縦長の垂直片状の起立片35"の上端に形成された係合受部351,351がそれぞれ内側に解放する横溝状に形成され、取付受部材9"が単なる矩形状の板材に形成され、短尺ではあるが、連結ボルト9B"を上方へ延在させた点では前記第1実施例とほとんど同様であり、それ以外の構成は、前記第2実施例とほとんど同様であ利、同様の効果が果たされる。
さらに、この第3実施例では、リップ溝付きC形鋼である梁(母屋)5の上フランジの先端の下向き片に対して下方から取り付けられる取付金具3dと締付金具3eとを一体に組み合わせた固定金具を用いて縦支持材3の底面部分を固定するものであり、梁5の下向き片の下方から取付金具3dを配設した状態で締付金具3eを略中央の隆起部分の上方に位置させ、そのナットを締め付けることにより梁5に固定することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 太陽電池パネル
11 太陽電池(太陽エネルギー変換モジュール)
111 ケーブル
12,12A,12B,12C,12D フレーム
2 横支持材
21 固定部
22 流水部
23 支持部
24 側壁
25 起立片
3 縦支持材
31 固定部
32 排水部
33 支持部
34 側壁
35 起立片
351 係合受部
36 受部
37 被嵌合部
3a 固定金具
4 縦化粧材
41 化粧面部
42 嵌合部
5 躯体(梁、母屋)
5A 支持部材
5B 断熱層
5C 持出金具
5D 固定具
5E 取付ボルト
5F ナット
6 押さえ部材(縦桟カバー)
6a ナット
7 横桟カバー
7a ナット
9 取付受部材
91 係止部
9B 連結ボルト
A 収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルの流れ方向に沿う端縁を縦支持材にて支持し、桁行き方向に隣接する太陽電池パネルの間に押さえ部材を取り付けてなる外装構造であって、
前記縦支持材は、上方へ延在する一対の起立片を備え、この起立片の上端が前記太陽電池パネルを支持する支持部であり、さらに前記押さえ部材を取り付けるための取付受部材が前記起立片の上端に上下に変位しないように係止され、この起立片の対向間隔が太陽電池パネルのケーブルを収容する空間となっていることを特徴とする太陽電池パネルを用いた外装構造。
【請求項2】
取付受部材は、取付手段として、上方へ延在する連結ボルトが保持され、押さえ部材上にその上端を突出させ、ナットを締め付けることにより、押さえ部材との間に太陽電池パネルの端縁を上下から挟むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネルを用いた外装構造。
【請求項3】
起立片に形成される係止受部は、左右の上端に内側が解放する横溝であり、この横溝である係止受部に、取付受部材を嵌合させて係止することを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池パネルを用いた外装構造。
【請求項4】
太陽電池パネルの桁行き方向に沿う端縁を横支持材にて支持することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の太陽電池パネルを用いた外装構造。
【請求項5】
横支持材は流水部を備え、縦支持材は排水部を備え、前記流水部と前記排水部とは連絡されていることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池パネルを用いた外装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−151115(P2011−151115A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9983(P2010−9983)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000165505)元旦ビューティ工業株式会社 (159)
【Fターム(参考)】