説明

太陽電池パネル制御装置

【課題】より正確に太陽の位置を追跡することが可能であるとともに、移動体用装置を利用して太陽電池パネルの制御を行うことが可能な太陽電池パネル制御装置を提供する。
【解決手段】本発明の太陽電池パネル制御装置は、太陽電池パネルの傾動を行う傾動装置に接続されて太陽電池パネルの傾斜角度の制御を行う。また、太陽電池パネル制御装置と太陽との位置関係を示す位置関係情報を生成する位置関係判別部を備える。位置関係判別部は、位置情報、時刻情報、または移動体の移動方向情報に基づいて位置関係情報を生成する。また太陽電池パネル制御装置は、位置関係情報に基づいて太陽光の入射角度を算出する入射角度算出部を備えている。また、この入射角度と太陽電池パネルの平面方向とが垂直となる太陽電池パネルの傾斜角度を算出し、算出された傾斜角度に近づくよう傾動装置を制御する角度制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体用の太陽電池パネルの制御を行う太陽電池パネル制御装置に関するものであり、特に太陽電池パネルの傾斜角度を太陽光の入射角度に応じて調整することが可能な太陽電池パネル制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両や船舶等の移動体に搭載されて太陽光発電を行うために用いられる、移動体用の太陽電池パネルが実用化されている。移動体に太陽電池パネルを搭載することのメリットとしては、燃費の向上、節電効果、CO2排出の削減等があげられる。また、地震などの天災により燃料の供給を受けられない状況でも、自家発電することにより自立駆動できることがあげられる。
【0003】
仮に電気自動車が主流となった場合、電気残量の低下は車両を停止させてしまう等の致命的な状態を引き起こしかねない。このような状態を回避するための手段として、太陽電池パネルの搭載は重要である。太陽電池パネルはより正確に太陽の位置を追跡し、より多くの太陽光を吸収させて電気に変換させることが望まれる。
【0004】
このため例えば、車両の天井部に太陽電池パネルを固定的に取付け、使用条件に従ってできるだけ太陽電池パネルの発電効率を上げることが可能な、パネルの形状にする技術が考案されている。
【0005】
また例えば、太陽電池パネルからの出力電圧をセンシングすることにより、太陽の方向へ太陽電池パネルを傾動させる太陽電池パネル位置制御装置が考案されている。また例えば、感光性抵抗によって太陽光を追従する技術が考案されている。
【0006】
しかしながら移動体用の太陽電池パネルは、移動体が移動することにより車両の周辺状況が頻繁に変化する。このため、常に十分な受光量を得られるという保証がない。例えば、車両がビルの影に入ることにより受光量が減る等の外部要因が、常に存在する。
【0007】
このため、出力電圧でのセンシングが必ずしも太陽の方向と結びついているとは限らない。また感光性抵抗を用いたとしても、感光性抵抗センサに誤差が生じる可能性があるため、太陽光の追従を十分な精度で行えないという問題があった。
【0008】
上記に関連して特許文献1においては、センサユニットと太陽光電池の光採取性を改善するとともに、太陽軌跡シミュレーションユニットを設けた太陽追従発電装置が開示されている。この太陽追従発電装置のセンサユニットは、方向性光採取体を備えている。また太陽光電池は、集光装置を備えている。これにより、太陽位置を正確に追跡して太陽光を太陽光電池に集中させ、より多くの発電量を得られるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実願2007−9395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら特許文献1の太陽追従発電装置は、太陽軌跡シミュレーションユニット、方向性光採取体、及び集光装置等の追加部材を必要とするため、装置構成が複雑になるとともに、コストの面で不利であるという問題があった。
【0011】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、移動体に搭載されて用いられる太陽電池パネルの制御装置であって、より正確に太陽の位置を追跡することが可能であるとともに、予め移動体に搭載されている移動体用装置を利用して太陽電池パネルの制御を行うことが可能な太陽電池パネル制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために本発明の太陽電池パネル制御装置は、太陽電池パネルの傾動を行う傾動装置に接続されて前記太陽電池パネルの傾斜角度の制御を行う太陽電池パネル制御装置であり、且つ移動体に搭載されて用いられる太陽電池パネル制御装置において、少なくとも、前記移動体の位置情報、現在の時刻情報、前記移動体の移動方向を示す移動方向情報を取得し、当該太陽電池パネル制御装置と太陽との位置関係を示す位置関係情報を生成する位置関係判別部と、前記位置関係情報に基づいて前記太陽電池パネルに対する太陽光の入射角度を算出する入射角度算出部と、該入射角度と前記太陽電池パネルの平面方向とが垂直となる前記太陽電池パネルの傾斜角度を算出し、算出した前記傾斜角度を目標角度として前記太陽電池パネルを傾動するよう前記傾動装置を制御する角度制御部とを備えることを特徴としている。
【0013】
この構成によると、本発明の太陽電池パネル制御装置は、太陽電池パネルの傾動を行う傾動装置に接続されて太陽電池パネルの傾斜角度の制御を行う。また、車両等の移動体に搭載されて用いられる。また太陽電池パネル制御装置は、太陽電池パネル制御装置と太陽との位置関係を示す位置関係情報を生成する位置関係判別部を備える。位置関係判別部は、時刻情報、移動体の移動方向情報、移動体の位置情報を、外部接続された装置等から取得し、これらの情報に基づいて位置関係情報を生成する。また太陽電池パネル制御装置は、位置関係情報に基づいて太陽電池パネルに対する太陽光の入射角度を算出する入射角度算出部を備えている。また太陽電池パネル制御装置は、この入射角度と太陽電池パネルの平面方向とが垂直となる太陽電池パネルの傾斜角度を算出し、算出された傾斜角度に近づくよう傾動装置を制御する角度制御部を備える。これにより、移動体の位置や時刻に応じて、最も発電効率のよい角度へ太陽電池パネルを傾斜させる。
【0014】
また上記の目的を達成するために本発明の太陽電池パネル制御装置は、前記入射角度算出部は、前記太陽電池パネルの傾斜角度を示す情報を取得し、取得した前記傾斜角度を示す情報と前記位置関係情報とに基づいて、前記太陽電池パネルに対する太陽光の入射角度を算出する。
【0015】
この構成によると、入射角度算出部は、太陽電池パネルの傾斜角度を示す情報を3Dジャイロセンサ等から取得し、取得した情報と上記の位置関係情報とに基づいて、太陽電池パネルに対する太陽光の入射角度を算出する。これにより、移動体の傾きに応じて、最も発電効率のよい角度へ太陽電池パネルを傾斜させる。
【0016】
また上記の目的を達成するために本発明の太陽電池パネル制御装置は、前記角度制御部は、前記位置情報が予め定められた地形条件を満たす場合に、前記太陽電池パネルの傾斜角度を予め定められた角度に固定するよう前記傾動装置を制御するか、または前記傾動装置の制御を停止する。
【0017】
この構成によると、角度制御部は、移動体の位置情報が予め定められた地形条件を満たす場合に、太陽電池パネルの傾斜角度を予め定められた角度に固定するよう傾動装置を制御するか、または傾動装置の制御を停止する。これにより、例えば太陽光を受光できない場合等において、不要な制御を行わないことにより消費電力の低減を図ることができる。
【0018】
また上記の目的を達成するために本発明の太陽電池パネル制御装置は、無線通信装置と、該無線通信装置の制御を行う通信制御部とを備え、前記位置関係判別部は、取得した前記位置情報、前記時刻情報、または前記移動方向情報に加え、前記通信制御部により前記無線通信装置を介して無線通信網から取得される情報に基づいて前記位置関係情報を生成する。
【0019】
この構成によると、太陽電池パネル制御装置は、無線通信装置と、無線通信装置の制御を行う通信制御部とを備えている。位置関係判別部は、取得した前記情報の一部または全部に加え、通信制御部により無線通信網を介して取得される情報に基づいて、位置関係情報を生成する。
【0020】
また上記の目的を達成するために本発明の太陽電池パネル制御装置は、前記通信制御部により前記無線通信装置を介して無線通信網から取得される情報には、少なくとも、気象情報、交通情報、または地形情報が含まれている。
【0021】
この構成によると、通信制御部により無線通信装置を介して無線通信網から取得される情報には、少なくとも、気象情報、交通情報、または地形情報が含まれている。
【0022】
また上記の目的を達成するために本発明の太陽電池パネル制御装置は、前記角度制御部は、前記通信制御部により前記無線通信装置を介して無線通信網から取得される情報が予め定められた条件を満たす場合に、前記太陽電池パネルの傾斜角度を予め定められた角度に固定するよう前記傾動装置を制御するか、または前記傾動装置の制御を停止する。
【0023】
この構成によると、角度制御部は、通信制御部により無線通信網を介して取得した情報の示す内容が所定条件を満たす場合に、太陽電池パネルの傾斜角度を所定角度に固定するかよう傾動装置を制御するか、または傾動装置の制御そのものを停止する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、移動体に予め搭載されている各種装置を流用して、太陽光の追従性能を向上させることができる。また、移動体を対象とした無線通信技術、例えばGPS衛星を用いたナビゲーションシステムや、ITSを用いた情報配信システム等を流用して、太陽光の追従性能を向上させることができる。このため、装置構成及びコストの面で有利である。
【0025】
また本発明によれば、天候や建築物等の影響によりセンシングにばらつきが生じる環境下において、太陽電池パネルの傾斜角度を固定したり、太陽光追尾制御そのものを停止したりすることにより、省電力を図っている。このため、太陽光発電を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の太陽電池パネル制御装置に接続される電子装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の太陽電池パネル制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の太陽電池パネル制御装置が含まれる無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図4】車両と太陽との位置関係を示す模式図である。
【図5】本発明の太陽電池パネル制御装置が実施する太陽光追尾制御処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.無線通信システムの構成について〉
図3は、本発明の一実施形態に係る太陽電池パネル制御装置が含まれる無線通信システムの構成を示すブロック図である。本システムは少なくとも、車両1、路側機2、及びGPS衛星3を含むように構成されている。
【0028】
車両1は、後述するナビゲーション装置10(=太陽電池パネル制御装置)、パネル傾動装置20(=傾動装置)、及び太陽電池パネル30が搭載された移動体であり、道路を走行するために用いられる。
【0029】
路側機2は、路側に設けられ、車両1が搭載するナビゲーション装置10に対して所定の情報を送信するための送信機である。路側機2はその内部に、情報処理装置90を備えている。情報処理装置90は、車間通信情報の生成、記録、送信を行うための各種情報処理を行う。車間通信情報には例えば、交通情報、時刻情報、気象情報、地形情報等を含めることが可能である。
【0030】
GPS衛星3は、衛星軌道上に配置され、特定の電波(例えば1.575GHzのL1電波等)を地上のGPS受信機に対して送信する。これにより、位置情報を算出するための各種情報、例えばGPS衛星3の座標情報や、電波の伝搬時間を計測するための時刻情報等を送信する。
〈2.車載用装置の構成について〉
図1は、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置10の内部構成、及びナビゲーション装置10に接続されるその他の車載用装置の構成を示すブロック図である。
【0031】
図1のブロック図に示すように、本発明のナビゲーション装置10は少なくとも、制御部11、メモリ12、表示部13、操作部14、スピーカ15、及び接続部16を含むように構成されている。またナビゲーション装置10に接続される車載用装置として、パネル傾動装置20、太陽電池パネル30、測位航法装置40、GPS装置50、アンテナ60、及び無線通信装置70が存在する。
【0032】
制御部11は、ナビゲーション装置10の各部材の駆動を有機的に制御して、交通情報の取得処理や表示処理等を統括制御するものである。また制御部11は、制御部11が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現される機能部として、位置関係判別部11a〜通信制御部11d(図2)を備えている。なお、各機能部が実施する処理の詳細については後述する。
【0033】
メモリ12は、各種情報を記録するための記録媒体である。メモリ12は例えばナビゲーション処理に用いられる地図情報や音声情報を記録するのに用いられる。また本実施形態では、測位航法装置40、GPS装置50、及び無線通信装置70より受信した各種情報を記録するのに用いられる。
【0034】
表示部13は、ナビゲーション装置10が保持する各種情報、例えば交通情報やメニュー画像等を表示する装置である。表示部13は例えば、LCD(Liquid Crystal Display)及び表示制御部を含むように構成されている。表示制御部は、画像情報をLCDの信号フォーマットにあわせた信号にエンコードした後、D/A変換を行い、画像信号を出力する。表示制御部から出力された画像信号はLCDに送られ、画像として表示される。
【0035】
操作部14は、車両1の運転手がナビゲーション装置10に対する各種指示、例えば目的地入力等を行うための入力インタフェースである。操作部14は、例えば複数のプッシュボタンやタッチセンサ等を含むように構成されている。スピーカ15は、車両1の搭乗者に対して各種情報を含む音声を出力する音声出力装置である。
【0036】
接続部16は、ナビゲーション装置10に対してその他の車載用装置(=電子装置)を接続する接続インタフェースである。本実施形態では、パネル傾動装置20や測位航法装置40等を接続するのに用いられる。接続部16は、複数の接続端子を含むように構成されている。或いは接続部16は、無線通信装置を備えることにより、近距離無線通信網を介してその他の車載用装置を接続する形態でもよい。
【0037】
パネル傾動装置20は、その上方に太陽電池パネル30を載せて傾動させる駆動装置である。パネル傾動装置20は例えば、ステッピングモータ、アクチュエータ、回転軸部材、歯車等を含むように構成されており、これらを用いて太陽電池パネル30の傾きを変更する。
【0038】
太陽電池パネル30は、太陽電池を複数枚、直並列接続したパネル状の装置である。太陽電池は、光起電力効果を利用し、光エネルギーを電力に変換する電力装置である。素材は主にシリコンが用いられるが、他にも様々な化合物半導体などを素材にしたものが実用化されている。
【0039】
測位航法装置40は、ジャイロセンサや加速度センサ等を含む計測装置である。ジャイロセンサは、車両1の水平角度を示す姿勢角情報を生成する。これにより、車両1の天井部に対して水平に取り付けられた太陽パネル30の傾斜角度を計測することが可能である。なお太陽パネル30が、水平とは異なる角度で取り付けられている場合は、あらかじめ取り付け角度を測位航法装置40へ登録しておくことにより、この登録内容に基づいて太陽パネル30の傾斜角度を計測することが可能である。加速度センサは、車両1の走行速度や走行方向を示す速度情報を生成する。生成された情報は、制御部11へ送られる。
【0040】
GPS装置50は、GPSアンテナ(不図示)を用いて、GPS衛星3から発せられる特定の電波を受信するための受信機である。GPSアンテナは、複数のGPS衛星3から各GPS衛星3の座標情報等を含む信号を受信することが可能である。GPS装置50は、GPSアンテナで受信した信号をデコードして緯度経度情報を生成する。
【0041】
アンテナ60は、路側機2から送信されてくる電波の受信を行うためのものであり、例えば複数のダイバーシティアンテナ等が用いられる。無線通信装置70は、アンテナ60により受信した電波の復調を行う。そして復調により得られたデジタル信号を、制御部11に与える。これにより制御部11は、路側機2から各種情報を取得することが可能である。なお無線通信装置70は、アンテナ60を用いて電波を送信するための送信制御機能も備える形態でもよい。
〈3.ナビゲーション装置の機能構成について〉
図2は、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置10の機能構成示すブロック図である。
【0042】
図2に示すように、本発明のナビゲーション装置10は、制御部11が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現される機能部として、位置関係判別部11a〜通信制御部11dを備えている。
【0043】
位置関係判別部11aは、車両1の位置情報、車両1の進行方向情報、及び時間情報を、測位航法装置40、GPS装置50、または無線通信装置70を用いて取得する。そして取得した時間情報から、現在時刻に対応する太陽位置を判別する。なお本実施形態では、各時間帯に対応する太陽位置を示す情報が、予めメモリ12等に記録されているものとする。
【0044】
位置関係判別部11aは、判別した太陽位置と、取得した車両1の位置情報及び進行方向情報とから、車両1と太陽との位置関係を算出する。具体的には例えば、図4に示すように、車両1を原点として、太陽の位置を三次元座標情報(図中のtX、tY、tZ )として表すことにより、車両1と太陽との位置関係を算出する。
【0045】
入射角度算出部11bは、上記で算出された位置関係と、測位航法装置40に含まれる3Dジャイロセンサにより取得される車両1の傾斜角度とから、太陽電池パネル30に対する太陽光の入射角度を算出する。
【0046】
具体的には例えば、図4に示すように、太陽電池パネル30が車両1の天井面に対して水平に設置されているとする。この場合、車両1が水平であると仮定した場合の太陽光の入射角度を、上記の位置情報から算出する。そしてジャイロセンサにより計測した車両1の傾斜角度を、算出した入射角度に加算または減算することにより、太陽光の入射角度を算出する。
【0047】
角度制御部11cは、上記で算出された太陽光の入射角度がほぼ垂直、つまり90度に近い値となるために必要な、太陽電池パネル30の傾動角度を算出する。例えば現在の太陽光の入射角度が60度である場合、90度から60度を引いた30度が、必要な傾動角度となる。そして算出した傾動角度をパネル傾動装置20へ与え、太陽パネル30の傾動を指示する。
【0048】
また角度制御部11cは、メモリ12等に記録されている地図情報や、後述する通信制御部11dにより無線通信網から取得される各種情報、例えば交通情報や気象情報等を用いて、車両1周辺の状況を判別する。そして判別結果に基づいて太陽光追尾制御の実施/未実施を決定する。
【0049】
例えば地図情報により、車両1周辺の建築物が太陽光を遮蔽していることが判別された場合に、太陽パネル30の向きを真上方向に固定する。また例えば、地図情報により、車両1が長距離トンネルを走行していることが判別された場合や、気象情報または地形情報により、日照量が所定値を下回ることが判別された場合に、太陽光追尾制御を一時的に停止する。
【0050】
通信制御部11dは、無線通信網を介して各種情報を取得するよう、無線通信装置70を制御する。通信制御部11dは例えば、無線通信装置70を用いて路側機2と通信を行うことにより、交通情報、時刻情報、気象情報等を取得する。なお通信に用いるプロトコルは、予め外部の通信装置との間で取り決めが行われているものとする。
〈4.太陽光追尾制御処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置10が実施する太陽光追尾制御処理の概要を、図5のフロー図を用いながら説明する。図5に示す処理フローは、ナビゲーション装置10が稼働状態となった時点で開始される。
【0051】
本処理の開始後、位置関係判別部11aはステップS110において、GPS装置50を用いて、車両1の現在位置に対応する緯度経度情報を含む情報(以下、「GPS情報A」という)を取得する。そしてステップS120において、GPS情報Aと予めメモリ12に記録されている地図情報とを用いて、マップマッチング処理を行う。
【0052】
なおマップマッチング処理とは、地図情報を用いて緯度経度情報の誤差を補正するための処理である。GPS装置50が取得する緯度経度情報は、ノイズ等の影響により誤差が発生する可能性がある。これにより例えば、緯度経度情報の示す位置が建築物の内部であったり、或いは海上であったり等、通常ではあり得ない位置を示す場合がある。
【0053】
このため、車両1が走行している経路や走行方向等から、車両1周辺の地図で該当する道路を検索し、正しい現在位置を推測して補正を行う。そして補正後の位置を示す情報(以下、「位置情報B」という)を、メモリ12に記録する。
【0054】
次に位置関係判別部11aはステップS130において、現在の時刻を示す情報(以下、「現在時刻C」という)の取得を行う。具体的には例えば、GPS装置50が受信したGPS情報Aに含まれる時刻情報を参照することにより、現在時刻Cを取得する。或いは、ナビゲーション装置10が備える時計回路(不図示)を用いて現在時刻Cを取得する形態でもよい。
【0055】
次に位置関係判別部11aはステップS140において、車両1の移動速度及び進行方向を示す情報(以下、「進行方向D」という)を取得する。具体的には例えば、GPS情報Aに基づいて算出した車両1の移動履歴や、測位航法装置40に含まれる加速度センサ等を用いて、進行方向Dを取得する。
【0056】
次に位置関係判別部11aはステップS150において、車両1の傾斜角度を示す情報(以下、「傾きE」という)を取得する。具体的には例えば、測位航法装置40に含まれるジャイロセンサを用いて傾きEを取得する。
【0057】
次に入射角度算出部11bはステップS160において、位置情報B、現在時刻C、及び進行方向Dを用いて、車両1と太陽との位置関係を示す三次元座標情報を算出する(図4)。
【0058】
次に入射角度算出部11bはステップS170において、上記で算出した三次元座標情報と傾きEとから、太陽電池パネル30に対する太陽光の入射角度を算出する。そして算出した値を、角度制御部11cへ与える。
【0059】
次に角度制御部11cはステップS180において、上記の入射角度と垂直角度との差分を計算し、この差分を0に近づけるために必要な太陽電池パネル30の傾動量を算出する。そして算出した傾動量に基づき、太陽電池パネル30の傾動を行うよう、パネル傾動装置20へ指示する。
【0060】
これを受けたパネル傾動装置20は、モータの駆動等を実施することにより、指示された傾動量だけ太陽電池パネル30を傾動する。これにより、太陽電池パネル30の受光面に対する太陽光の入射角度を、より垂直に近いものにする。
【0061】
以上に説明した実施形態によれば、ナビゲーション装置10の各機能や、予め車両1に搭載されている各種車載用装置を流用して、太陽光の追従性能を向上させることができる。また、移動体用装置を対象とした無線通信技術、例えばGPS衛星3を用いたナビゲーションシステムや、ITSを用いた情報配信システム等を流用して、太陽光の追従性能を向上させることができる。このため、装置構成及びコストの面で有利である。
【0062】
また本実施形態によれば、天候や建築物等の影響によりセンシングにばらつきが生じる環境下において、太陽電池パネル30の傾斜角度を所定値に固定したり、太陽光追尾制御そのものを一時停止したりすることにより、省電力を図っている。このため、太陽光発電を効率良く行うことができる。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0063】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0064】
(A)上記実施形態では、本発明の太陽光追尾制御処理に関わる各機能部がナビゲーション装置10に含まれる形態を例に説明したが、各機能部の一部または全部がその他の装置に含まれる形態でもよい。例えば、独立した電子装置、またはパネル傾動装置20が備える演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより、各機能部が実現される形態でもよい。この場合、独立した電子装置またはパネル傾動装置20は、ナビゲーション装置10、測位航法装置40、GPS装置50、及び無線通信装置70と相互通信を行うことにより、太陽光追尾制御に必要な各種情報、例えば位置情報や角度情報等を取得し、太陽光追尾制御処理を行う。
【0065】
(B)上記実施形態では、パネル傾動装置20、測位航法装置40、GPS装置50、及び無線通信装置70がナビゲーション装置10に外部接続される別装置となっている例を説明しているが、上記の装置の一部または全部がナビゲーション装置10に含まれる一体構造の構成をした形態でもよい。
【0066】
(C)上記実施形態では、無線通信装置70が路側機2との路車間通信を行うことにより太陽光追尾制御に必要な情報を取得しているが、無線通信装置70が車車間通信を行うことにより、他の車両から太陽光追尾制御に必要な情報を取得する形態でもよい。
【0067】
(D)上記実施形態では、ナビゲーション装置10、パネル傾動装置20、及び太陽電池パネル30を搭載する移動体として車両1を例に説明を行っているが、これ以外の移動体に搭載されて、本発明の太陽光追尾制御処理を実施する形態でもよい。例えば、船舶、航空機等に搭載される形態でもよい。
【0068】
(E)上記実施形態では、本発明の太陽光追尾制御処理に関わる各機能部が、制御部11が備えるマイクロプロセッサ等の演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現されているが、各機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 車両
2 路側機
3 GPS衛星
10 ナビゲーション装置
11 制御部
11a 位置関係判別部
11b 入射角度算出部
11c 角度制御部
11d 通信制御部
12 メモリ
13 表示部
14 操作部
15 スピーカ
16 接続部
20 パネル傾動装置
30 太陽電池パネル
40 測位航法装置
50 GPS装置
60 アンテナ
70 無線通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルの傾動を行う傾動装置に接続されて前記太陽電池パネルの傾斜角度の制御を行う太陽電池パネル制御装置であり、且つ移動体に搭載されて用いられる太陽電池パネル制御装置において、
少なくとも、前記移動体の位置情報、現在の時刻情報、前記移動体の移動方向を示す移動方向情報を取得し、当該太陽電池パネル制御装置と太陽との位置関係を示す位置関係情報を生成する位置関係判別部と、
前記位置関係情報に基づいて前記太陽電池パネルに対する太陽光の入射角度を算出する入射角度算出部と、
該入射角度と前記太陽電池パネルの平面方向とが垂直となる前記太陽電池パネルの傾斜角度を算出し、算出した前記傾斜角度を目標角度として前記太陽電池パネルを傾動するよう前記傾動装置を制御する角度制御部とを備えること
を特徴とする太陽電池パネル制御装置。
【請求項2】
前記入射角度算出部は、前記太陽電池パネルの傾斜角度を示す情報を取得し、取得した前記傾斜角度を示す情報と前記位置関係情報とに基づいて、前記太陽電池パネルに対する太陽光の入射角度を算出する、
請求項1に記載の太陽電池パネル制御装置。
【請求項3】
前記角度制御部は、前記位置情報が予め定められた地形条件を満たす場合に、前記太陽電池パネルの傾斜角度を予め定められた角度に固定するよう前記傾動装置を制御するか、または前記傾動装置の制御を停止する、
請求項1に記載の太陽電池パネル制御装置。
【請求項4】
無線通信装置と、該無線通信装置の制御を行う通信制御部とを備え、
前記位置関係判別部は、取得した前記情報の一部または全部に加え、前記通信制御部により前記無線通信装置を介して無線通信網から取得される情報に基づいて前記位置関係情報を生成する、
請求項1に記載の太陽電池パネル制御装置。
【請求項5】
前記通信制御部により前記無線通信装置を介して無線通信網から取得される情報には、少なくとも、気象情報、交通情報、または地形情報が含まれている、
請求項4に記載の太陽電池パネル制御装置。
【請求項6】
前記角度制御部は、前記通信制御部により前記無線通信装置を介して無線通信網から取得される情報が予め定められた条件を満たす場合に、前記太陽電池パネルの傾斜角度を予め定められた角度に固定するよう前記傾動装置を制御するか、または前記傾動装置の制御を停止する、
請求項4に記載の太陽電池パネル制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−138900(P2011−138900A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297617(P2009−297617)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】