説明

太陽電池モジュールの評価方法及び太陽電池モジュールの製造方法

【課題】太陽電池モジュールに組み込まれた太陽電池を評価する方法を提供する。
【解決手段】PL評価工程を行う。PL評価工程は、複数の太陽電池10のうちの評価対象の太陽電池に光源20から光照射することにより当該太陽電池10から発せられたフォトルミネッセンス光L2の強度を検出することにより当該太陽電池10の評価を行う工程である。評価対象の太陽電池10以外の部分に光源20からの光が入射しないように太陽電池モジュール1と光源20の間に遮光部材21を配した状態で光照射を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの評価方法及び太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池の評価方法として、例えば下記の特許文献1に記載のようなPL(PhotoLuminescence)法が知られている。PL法は、太陽電池に励起光を照射した際に発せられるPL光を検出することにより太陽電池を評価する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−41531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池をモジュール化し、太陽電池モジュールにした後においても、太陽電池モジュールに組み込まれた太陽電池の評価をしたいという要求がある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽電池モジュールに組み込まれた太陽電池を評価する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る太陽電池の評価方法は、複数の太陽電池を備える太陽電池モジュールの評価方法である。本発明に係る太陽電池の評価方法は、PL評価工程を備えている。PL評価工程は、複数の太陽電池のうちの評価対象の太陽電池に光源から光照射することにより当該太陽電池から発せられたフォトルミネッセンス光の強度を検出することにより当該太陽電池の評価を行う工程である。評価対象の太陽電池以外の部分に光源からの光が入射しないように太陽電池モジュールと光源の間に遮光部材を配した状態で光照射を行う。
【0007】
本発明に係る太陽電池の製造方法は、上記本発明に係る太陽電池の評価方法により太陽電池モジュールを評価する工程を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、太陽電池モジュールに組み込まれた太陽電池を評価する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る一実施形態における太陽電池モジュールの模式的平面図である。
【図2】本発明に係る一実施形態における太陽電池モジュールの模式的断面図である。
【図3】本発明に係る一実施形態におけるPL評価工程を説明するための模式的側斜視図である。
【図4】本発明に係る一実施形態におけるPL評価工程を説明するための模式的側断面図である。
【図5】参考例におけるPL評価工程を説明するための模式的側断面図である。
【図6】変形例におけるPL評価工程を説明するための模式的側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0011】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0012】
(太陽電池モジュール1の構成)
図1は、本実施形態における太陽電池モジュールの模式的平面図である。図2は、本実施形態における太陽電池モジュールの模式的断面図である。
【0013】
太陽電池モジュール1は、複数の太陽電池ストリング2を備えている。複数の太陽電池ストリング2は、一の方向(x方向)に沿って相互に間隔をおいて配列されている。太陽電池ストリング2は、複数の太陽電池10を有する。太陽電池ストリング2において、複数の太陽電池10は、一の方向(x方向)に対して垂直な他の方向(y方向)に沿って相互に間隔をおいて配列されている。このため、太陽電池モジュール1においては、複数の太陽電池10は、x方向及びy方向に沿って相互に間隔をおいてマトリクス状に配されている。
【0014】
太陽電池ストリング2を構成している複数の太陽電池10は、配線材11によって互いに電気的に接続されている。なお、配線材11と太陽電池10とは、樹脂接着剤や半田により接着することができる。
【0015】
太陽電池10は、受光面10aと裏面10bとを有する。ここでは、光が直接入射する側の主面を受光面10aとしており、他方の主面を裏面10bとしているが、太陽電池10は、受光面10a及び裏面10bのいずれにおいて受光したときにも発電しても良い。すなわち、太陽電池10は、両面受光型の太陽電池であっても良い。
【0016】
太陽電池10は、特に限定されず、例えば、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、化合物半導体太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池等により構成することができる。太陽電池10は、裏面10bにおいて受光したときに発電しないものであってもよい。
【0017】
複数の太陽電池10の受光面側(z1側)には、透光性部材15が配されている。すなわち、透光性部材15は、太陽電池10の受光面10a側に配されている。透光性部材15は、太陽電池10の発電に寄与する波長の光を透過する部材である。
【0018】
透光性部材15の構成材料は、特に限定されない。透光性部材15は、例えば、透光性を有するガラス板やプラスチック板により構成することができる。
【0019】
複数の太陽電池10の裏面側(z2側)には、反射部材14が配されている。すなわち、反射部材14は、太陽電池10の裏面10b側に配されている。太陽電池10の発電に寄与する波長の光を反射する部材である。反射部材14は、少なくとも太陽電池10側に配される側の面が反射性を有するように構成されている。換言すれば、反射部材14は、少なくとも太陽電池10側に、太陽電池10の発電に寄与する波長の光を反射する反射面14aを有する。
【0020】
反射部材14の構成材料は、特に限定されない。反射部材14は、例えば、太陽電池10と反対側から順に、耐候性フィルム、反射層及び透光性フィルムが積層されてなる部材により構成することができる。また、反射部材14は、例えば、太陽電池10と反対側から順に、耐候性フィルム及び反射層が積層されてなる部材により構成することができる。反射層は、金属や合金材料、或いは白色樹脂フィルム等により構成することができる。また、耐候性フィルムと反射層との間、反射層と透光性フィルムとの間には、接着層を設けてもよい。耐候性、反射層、透光性フィルムは、単層構造であってもよいし積層構造であってもよい。
【0021】
透光性部材15と反射部材14との間には、充填材層13が設けられている。複数の太陽電池ストリング2は、この充填材層13内に配されている。充填材層13は、太陽電池10の発電に寄与する波長の光を透過させる。
【0022】
充填材層13の構成材料は、太陽電池10の発電に寄与する波長の光を透過する材料である限りにおいて特に限定されない。充填材層13は、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)により構成することができる。
【0023】
(太陽電池モジュールの製造方法)
次に、太陽電池モジュール1の製造方法の一例について説明する。
【0024】
まず、太陽電池モジュール1を作製する。太陽電池モジュール1の作製方法は、特に限定されない。太陽電池モジュール1は、例えば公知の方法により作製することができる。
【0025】
次に、評価工程を行う。この評価工程は、太陽電池モジュール1に不良を有する太陽電池が含まれていないか、電気的接続不良箇所が存在しないか等を評価する工程である。不良を有する太陽電池には、例えば、pn接合やpin接合などの半導体接合不良を有する太陽電池が含まれる。
【0026】
なお、この評価工程を行った後に、評価工程において不良な太陽電池を有さない太陽電池モジュール1を選別する選別工程をさらに行ってもよい。また、評価工程において不要な太陽電池を有すると評価された太陽電池モジュール1を、廃棄或いは再利用する後工程をさらに行っても良い。
【0027】
評価工程には、少なくともPL評価工程が含まれる。以下の実施形態では、評価工程には、EL(ElectroLuminescent)評価工程と、PL評価工程とが含まれる。ここでは、まず、EL評価工程を行う。
【0028】
(EL評価工程)
EL評価工程は、太陽電池モジュール1に電力を供給することにより、太陽電池モジュール1に含まれる複数の太陽電池10の少なくともひとつから発せられたエレクトロルミネッセンス光(以下、「EL光」とする。)の強度を検出することにより、太陽電池10の評価を行う工程である。
【0029】
例えば、配線材11の少なくとも一部が太陽電池10から剥離しており、電力が十分に供給されない太陽電池が存在すると、その電力が十分に供給されない太陽電池からはEL光が発せられないか、または発せられるEL光の強度が低い。また、電力が供給されるものの、半導体接合不良などの不良を有する太陽電池が存在すると、その太陽電池の不良を有する部分からはEL光は発せられないか、または発せられるEL光の強度が低い。このため、太陽電池モジュール1に電力を供給し、太陽電池モジュール1に含まれる複数の太陽電池10からのEL光の強度を検出することにより、夫々の太陽電池10に電気的接続不良や接合不良などの何らかの不良が存在するか否かを一括して判断することができる。
【0030】
EL評価の結果、太陽電池モジュール1に含まれるすべての太陽電池10のそれぞれの全体がEL光を発しており、かつ、EL光の強度が低い部分がない場合には、当該太陽電池モジュール1には、不良を有する太陽電池10が含まれないと判断することができる。一方、EL光を発しない部分または低い強度のEL光を発する部分を有する太陽電池が太陽電池モジュール1に含まれている場合は、太陽電池モジュール1には不良箇所を有する太陽電池10が存在するということになる。EL評価工程で、不良箇所を有する太陽電池10が存在しないと評価された太陽電池モジュール1は、正常な太陽電池モジュールと判定される。また、EL評価工程で、不良箇所を有する太陽電池10が存在すると評価された太陽電池モジュール1は、PL評価工程にまわされる。
【0031】
EL評価工程においては、不良原因に関わらず、不良箇所を有する太陽電池10から十分な強度のEL光が発せられなくなる。このため、EL評価工程においては、不良箇所を有する太陽電池10の検出は可能であっても、発見された不良箇所が電気的接続不良に起因するものなのか、半導体接合不良に起因するものなのかを判別することは困難である。このため、EL評価工程に続いてPL評価工程を行う。
【0032】
(PL評価工程)
図3は、本実施形態におけるPL評価工程を説明するための模式的側斜視図である。図4は、本実施形態におけるPL評価工程を説明するための模式的側断面図である。
【0033】
本実施形態では、PL評価工程は、不良が発見された太陽電池モジュール1に対して行われる。PL評価工程では、不良が発見された太陽電池モジュール1に含まれる複数の太陽電池10のうちの不良箇所を有すると判断された太陽電池10に光源20から光照射することによってその太陽電池10から発せられるフォトルミネッセンス光(以下、「PL光」とする。)L2の強度を検出することにより、その太陽電池10の評価を行う。光源20は、ひとつの太陽電池10の全体に、太陽電池10の光活性層のバンドギャップよりも大きなエネルギーを有する、均一な定常光を照射可能に設けられていることが好ましい。光源20は、例えばLight Emitting Diode(LED)や、レーザー素子により構成することができる。
【0034】
光源20から出射される光L1の強度は、太陽電池特性と関連がある0.01sun〜1sun程度であることが好ましい。ここで、1sunとは、フォトンフラックス、約2.9×1017/cm・sを示す。
【0035】
具体的には、EL評価工程において不良が存在すると認められた(十分に高い強度のEL光が発せられなかった)太陽電池10に対して光源20から光照射し、その太陽電池10から発せられるPL光の強度を検出し、評価を行う。
【0036】
ここで、PL評価工程では、励起光が照射された太陽電池10に半導体接合不良等の太陽電池10自身の不良が存在する場合には、検出されるPL光L2の強度が低くなる。それに対して、太陽電池10自身の不良が存在しない場合は、配線材11の剥離などの電気的接続不良が存在していても、PL光L2の強度は低下しない。このため、EL評価工程に続いてPL評価工程を行うことにより、太陽電池10自身の不良と、電気的接続不良とをそれぞれ特定することができる。
【0037】
PL評価工程において不良と評価された太陽電池10は、半導体接合不良等太陽電池10自身の不良が存在するため、再利用することはできない。このため、PL評価工程において不良と評価された太陽電池10は廃棄される。また、PL評価工程において正常と評価された太陽電池10には、太陽電池自身の不良が存在しないので、再利用することができる。EL評価工程で不良箇所が存在すると評価された太陽電池モジュール1内の太陽電池10のうち、PL評価工程で正常と評価された太陽電池10は、太陽電池モジュール1から取出され、再利用のために保管される。
【0038】
ところで、PL評価工程を先に行い、その後にEL評価工程を行った場合であっても太陽電池10自身の不良箇所と、電気的接続不良箇所とをそれぞれ特定することができる。しかしながら、この場合は、太陽電池モジュール1に含まれるすべての太陽電池10に対してPL評価工程を行う必要がある。すなわち、太陽電池モジュール1に含まれる太陽電池10の個数と等しい回数だけPL評価工程を行う必要がある。
【0039】
それに対して本実施形態では、EL評価工程において十分な強度のEL光が検出されなかった太陽電池10に対してPL評価工程を行えば足りる。またEL評価工程は、太陽電池モジュール1内の複数の太陽電池10に対して同時に行うことができる。よって、本実施形態によればPL評価工程を行う回数を少なくすることができる。従って、太陽電池モジュール1の製造効率を向上することができる。
【0040】
なお、ある太陽電池10の評価が終了した後に他の太陽電池10の評価をする際には、太陽電池モジュール1が配されたテーブル25をx方向及びy方向のそれぞれに変位させる変位機構24によりテーブル25及びその上に配された太陽電池モジュール1を、光源20、検出器22、フィルタ23及び遮光部材21に対して相対的に変位させることにより行うことができる。
【0041】
以下、より具体的に、PL評価工程について説明する。本実施形態では、光照射する太陽電池10以外の部分に、光源20からの光L1が入射しないように、光L1の光路上において太陽電池モジュール1と光源20との間に遮光部材21を配置した状態で光源20からの光照射を行う。
【0042】
図5に示すように、遮光部材21を配置しない場合は、光照射する太陽電池10以外の部分にも、光源20からの光L1が入射する。光L1が隣り合う太陽電池10間に入射すると、反射部材14の反射面14aにおいて光L1が太陽電池10側に反射される。この反射光は、例えば透光性部材15の太陽電池10側の表面で反射されたりすることにより、太陽電池10に入射する。このため、遮光部材21を設けない場合は、太陽電池10に直接入射しない光までもが太陽電池10に入射する。よって、太陽電池10に対して、所望の光量よりも多くの光が入射し、入射光の光量が増加した分だけ、PL光L2の光量も増大してしまう。従って、太陽電池10の特性を正確に評価することができない。
【0043】
それに対して本実施形態では、上述のように、遮光部材21により、光照射する太陽電池10以外の部分に光源20からの光が入射することが抑制されている。このため、太陽電池10には、直接入射光のみが入射する。従って、太陽電池10の特性を正確に評価することができる。
【0044】
また、本実施形態では、遮光部材21の太陽電池モジュール1側の表面21aが、光源20からの光L1を吸収する光吸収面である。このため、例えば、透光性部材15の太陽電池10とは反対側の表面で反射した光L1が遮光部材21の表面21aで反射して太陽電池10に入射することを抑制することができる。従って、太陽電池10の特性をより正確に評価することができる。
【0045】
なお、遮光部材21の表面21aを光吸収面にする方法としては、遮光部材21を黒色材料等の光吸収材料で構成する方法、遮光部材21の表面に、光吸収層を配する方法等が挙げられる。光吸収層は、例えば、黒色塗料等を用いて形成することができる。
【0046】
また、本実施形態では、光源20から照射される光L1の光軸と配線材11の延びる方向(y方向)とのなす面が、太陽電池10の受光面10aと垂直になるように光照射を行う。よって、例えば光L1の光軸と配線材の延びる方向と垂直なx方向とのなす面が、太陽電池10の受光面10aと垂直になるように光照射を行った場合とは異なり、光L1が配線材11により遮蔽され難い。従って、太陽電池10の受光面10aのより多くの部分に光L1を照射することができる。その結果、太陽電池10の特性をさらに正確に評価することができる。
【0047】
太陽電池モジュール1では、太陽電池10の受光面10aの上方に透光性部材15が配されている。このため、この透光性部材15の表面により、光源20からの光L1が反射され、PL光L2の強度を検出するための検出器22に入射する場合がある。よって、検出器22がPL光L2に感度を有すると共に、光L1にも感度を有する場合は、検出器22によりPL光L2の光量を正確に検出することができない。
【0048】
それに対して本実施形態では、PL光L2の光路上において、PL光L2の強度を検出する検出器22と太陽電池10との間に、光源20からの光L1を透過させず、PL光L2を透過させるフィルタ23を介在させた状態で検出器22によりPL光L2の強度を検出する。このため、光L1の反射光の影響を排除し、PL光L2の強度をより正確に測定することができる。従って、太陽電池10の特性をさらに正確に評価することができる。
【0049】
なお、検出器22は、例えば、Charge Coupled Device(電荷結合素子:CCD)や、Complementary Metal−Oxide Semiconductor device(相補型金属酸化膜半導体:CMOS)などの撮像素子により構成することができる。検出器22には、冷却器が設けられていることが好ましい。冷却器により検出器22を冷却して一定温度に保持することにより、量子効率の変動を抑制することができる。
【0050】
例えば結晶性シリコン太陽電池では、PL光L2の波長が900nm〜1200nm程度であるため、光源20からの光L1の波長を850nm以下として、光源20からの光L1とPL光L2とを分離可能とすることが好ましい。この場合、フィルタ23は、例えば950nm以下の光を遮蔽するロングパスフィルタまたはバンドパスフィルタにより構成することができる。
【0051】
また、本実施形態では、PL評価工程を、太陽電池モジュール1を電気的に開放状態として行う。このため、評価対象となっている太陽電池10に接続されている太陽電池10の影響を排除し、太陽電池10の特性をさらに正確に評価することができる。
【0052】
PL評価工程においては、上述のように、不良を有する太陽電池10の有無の評価以外の評価も行うことができる。例えば、PL評価工程において、太陽電池モジュール1の開放電圧を電圧測定器26を用いて測定することにより、光照射を行っている太陽電池の開放電圧(Voc)を評価することができる。
【0053】
また、太陽電池10内のPL光L2の強度分布を測定することにより、下記の式(1)に基づいて太陽電池10内の開放電圧分布を求めることができる。
【0054】
Voc(x、y)=(kT・/q)・ln{Ipx(x、y)/c} ……… (1)
但し、
Voc(x、y):座標(x、y)における開放電圧
Ipx(x、y):座標(x、y)におけるPL光L2の強度
k:ボルツマン定数
T:絶対温度
q:素電荷
c:定数
である。
【0055】
また、光源20からの光L1の強度を複数変化させて、PL光L2の強度を測定すると、式(1)から光L1の強度に対する太陽電池10内の開放電圧分布を得ることができる。
【0056】
尚、本発明はここでは記載していない様々な実施形態を含む。例えば、第1の実施形態では、y方向に平行であって、z方向に対して傾斜した方向から太陽電池10に対して光照射する例について説明したが、図6に示すように、太陽電池10に対して垂直に光照射するようにしてもよい。その場合は、光源20と太陽電池モジュール1との間に配された光源20からの光L1を透過し、PL光L2を反射するダイクロイック・ミラー27によりPL光L2のみを反射し、検出器22に導いてもよい。
【0057】
第1の実施形態では、太陽電池モジュール1の製造工程において、PL評価工程及びEL評価工程を行う例について説明したが、太陽電池モジュール1の製造工程とは別個に、独立して、PL評価工程やEL評価工程を行うようにしてもよい。また、本発明は少なくともPL評価工程を行えばよい。
【0058】
第1の実施形態では、遮光部材21を太陽電池モジュール1の上に配する例について説明したが、光源20の前方に遮光部材21を配してもよい。
【0059】
以上のように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態を含む。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0060】
1…太陽電池モジュール
10…太陽電池
10a…受光面
10b…裏面
11…配線材
13…充填材層
14…反射部材
14a…反射面
15…透光性部材
20…光源
21…遮光部材
21a…表面
22…検出器
23…フィルタ
26…電圧測定器
27…ダイクロックミラー
L1…光源からの光
L2…PL光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池を備える太陽電池モジュールの評価方法であって、
前記複数の太陽電池のうち評価対象の太陽電池に光源から光照射することにより当該太陽電池から発せられたフォトルミネッセンス光の強度を検出することにより当該太陽電池の評価を行うPL評価工程を備え、
前記評価対象の太陽電池以外の部分に前記光源からの光が入射しないように前記太陽電池モジュールと前記光源の間に遮光部材を配した状態で前記光照射を行う、太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項2】
前記遮光部材の前記太陽電池モジュール側の表面が、前記光源からの光を吸収する光吸収面である、請求項1に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項3】
前記フォトルミネッセンス光の強度を検出する検出器と前記太陽電池との間に、前記光源からの光を遮蔽し、前記フォトルミネッセンス光を透過させるフィルタを介在させた状態で前記検出器により前記フォトルミネッセンス光の強度を検出する、請求項1または2に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項4】
前記太陽電池モジュールに電力を供給することにより前記太陽電池から発せられたエレクトロルミネッセンス光の強度を検出することにより当該太陽電池の評価を行うEL評価工程をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項5】
前記PL評価工程を前記EL評価工程の後に行う、請求項4に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項6】
前記PL評価工程を、前記EL評価工程において不良箇所が存在すると評価された太陽電池に対して行う、請求項5に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の評価方法により太陽電池モジュールを評価する工程を含む、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記PL評価工程により正常と評価された太陽電池を前記太陽電池モジュールから取出し、再利用する工程を含む、請求項7記載の太陽電池モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−234915(P2012−234915A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101368(P2011−101368)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】