説明

太陽電池モジュール取付冶具

【課題】太陽電池モジュールの架台への取付工数を削減することができる太陽電池モジュール取付冶具を提供する。
【解決手段】縦方向に延びる棒状の縦部材と、縦部材の一端に、縦部材に垂直に設置される横部材と、縦部材を挟み、横部材と対向する方向に縦部材に設けられた第1の支持部材及び第2の支持部材と、第1の支持部材に設けられ下方に突出する第1の突出部と、第2の支持部材に設けられ下方に突出する第2の突出部と、を備える。太陽電池モジュール取付冶具は取付桟に設置され、太陽電池モジュールが横部材に当接されて位置決めされ、太陽電池モジュールが架台の取付桟に取り付けられる。その後、太陽電池モジュール取付冶具は取り除かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールを架台に取り付けるための太陽電池モジュール取付冶具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムは地球温暖化防止の観点から急速に普及している。最近ではメガワット級の大規模発電所の建設がおこなわれるようになった。このような大規模太陽光発電施設においては、地上に設置した架台に多数の太陽電池パネルを設置する必要がある。
【0003】
従来の太陽光発電施設においては、二人の作業員が太陽電池モジュールを持ち上げ、3人目の作業員が位置決めをして架台にこの太陽電池モジュールをボルトとナットなどのような係止部材を用いて固定しており、工数及び作業人数がかかるという問題点がある。
【0004】
この点に関し、架台に位置決め用のビスをまず設置し、太陽電池モジュールをこの位置決め用のビスに当接させて位置決めを行う方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−96071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、位置決め用のビスを架台に設置することは、架台の桟にビス用の穴をあけ、さらにビスを設置するという工数がかかるという問題点がある。
【0007】
本発明は、太陽電池モジュールの架台への取付工数を削減することができる太陽電池モジュール取付冶具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、縦方向に延びる棒状の縦部材と、縦部材の一端に、縦部材に垂直に設置される横部材と、縦部材を挟み、横部材と対向する方向に縦部材に設けられた第1の支持部材及び第2の支持部材と、第1の支持部材に設けられ下方に突出する第1の突出部と、第2の支持部材に設けられ下方に突出する第2の突出部と、を備える太陽電池モジュール取付冶具を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来位置決めに要していた人員の削減が可能となり、位置決め工数も減少させることができるという効果がある。さらに、取付孔が規定どおりの位置に鑽孔されているかを確認することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具の外観斜視図である。
【図2】第1の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具の上面図である。
【図3】第1の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具の使用例を示す上面図である。
【図4】架台の外観斜視図である。
【図5】太陽電池モジュールの係止部分の断面図である。
【図6】第2の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具の外観斜視図である。
【図7】第2の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具の上面図である。
【図8】第2の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具の使用例を示す上面図である。
【図9】第2の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール取付冶具を、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具10の外観斜視図である。図2は、第1の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具10の上面図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、太陽電池モジュール取付冶具10は、縦方向に延びる棒状の縦部材11と、縦部材11の一端に、縦部材11に垂直に設置される横部材12と、縦部材11を挟み、横部材12と対向する方向に縦部材11に設けられた第1の支持部材13A及び第2の支持部材13Bと、第1の支持部材13Aに設けられ下方に突出する第1の突出部13A1と、第2の支持部材13Bに設けられ下方に突出する第2の突出部13B1と、を備える。
【0014】
図3は、第1の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具10の使用例を示す上面図である。図3に示すように、取付桟30には太陽電池モジュール40をボルトなどの係止部材によって取り付けるための取付孔30Aが設けられる。
【0015】
縦部材11の縦方向の長さは、太陽電池モジュール40の縦方向の長さH3から縦部材11の第1の支持部材13Aより端の部分を省略した長さH1を有する。
【0016】
横部材12の横方向の長さW1は、太陽電池モジュール40の横方向の長さW4より短くてよい。横部材12の横方向の長さW1は、太陽電池モジュール40の横方向の長さW4の1/2以上であることが望ましい。
【0017】
横部材12の縦部材11への取り付け位置は、図3に示すように横部材12に太陽電池モジュール40を合わせた場合に、太陽電池モジュール40のフレームにあるボルト穴が取付桟30の取付孔30Aと合うような位置である。
【0018】
すなわち、横部材12から第2の突出部13B1までの高さH5と横部材12から太陽電池モジュール40のフレームのボルト穴までの高さH4とが等しくなるように、横部材12は縦部材11に設置される。
【0019】
第1の突出部13A1と第2の突出部13B1との距離H2は、それぞれに対応する取付孔30Aの距離と等しい。すなわち、第1の突出部13A1と第2の突出部13B1との距離H2は、太陽電池モジュール40のボルト穴の縦方向の間隔と等しい。
【0020】
第1の突出部13A1及び第2の突出部13B1と縦部材11の太陽電池モジュール40と接触する面との距離W2は、第1の太陽電池モジュール40のための取付孔30Aと第1の太陽電池モジュール40に隣接して取り付けられる第2の太陽電池モジュール40のための隣接する取付孔30Aとの距離W3の1/2以下である。
【0021】
太陽電池モジュール取付冶具10の使用方法を説明する。まず、太陽電池モジュール取付冶具10は、取り付けようとする太陽電池モジュール40と隣接して取り付けられる太陽電池モジュール取付冶具10のための取付孔30Aのうち、取り付けようとする太陽電池モジュール40のための取付孔30Aに隣接する取付孔30Aに第1の突出部13A1及び第2の突出部13B1が挿入される。
【0022】
次に、取り付けようとする太陽電池モジュール40が太陽電池モジュール取付冶具10に角を合わせるように装着される。位置決め後、太陽電池モジュール40は取付桟30に係止部材によって係止される。
【0023】
図4は、架台31の外観斜視図である。図4に示すように、架台31は取付孔30Aを有する取付桟30を有する。太陽電池モジュール40は、架台31に載置され、係止される。
【0024】
図5は、太陽電池モジュール40の係止部分の断面図である。図5に示すように、太陽電池モジュール40は太陽電池パネル42を把持し、ボルト穴を有する係止部41Aを備えるフレーム41と、を含む。
【0025】
太陽電池モジュール40は、係止部41Aを取付桟30にボルト及びナットを含む係止部材43によって係止することにより、固定される。
【0026】
以上述べたように、本実施形態の太陽電池モジュール取付冶具10は、縦方向に延びる棒状の縦部材11と、縦部材11の一端に、縦部材11に垂直に設置される横部材12と、縦部材11を挟み、横部材12と対向する方向に縦部材に設けられた第1の支持部材13A及び第2の支持部材13Bと、第1の支持部材13Aに設けられ下方に突出する第1の突出部13A1と、第2の支持部材13Bに設けられ下方に突出する第2の突出部13B1と、を備える。太陽電池モジュール取付冶具10は取付桟30に設置され、太陽電池モジュール40が横部材12に当接されて位置決めされ、太陽電池モジュール40が架台31の取付桟30に取り付けられる。その後、太陽電池モジュール取付冶具10は取り除かれる。
【0027】
従って、従来位置決めに要していた人員の削減が可能となり、位置決め工数も減少させることができるという効果がある。
【0028】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具20の外観斜視図である。図7は、第2の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具20の上面図である。
【0029】
図6及び図7に示すように、太陽電池モジュール取付冶具20は、縦方向に延びる棒状の縦部材21と、縦部材21の一端に、縦部材21に垂直に設置される横部材22と、縦部材21を挟み、横部材22と対向する方向に縦部材21に設けられた支持部材23と、支持部材23に設けられ下方に突出する第1の突出部23A1、第2の突出部23A2、第3の突出部23A3、及び第4の突出部23A4と、縦部材21と横部材22とに架け渡された補強用の斜材24と、を備える。
【0030】
図8は、第2の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具20の使用例を示す上面図である。図8に示すように、取付桟30には太陽電池モジュール40をボルトなどの係止部材によって取り付けるための取付孔30Aが設けられる。
【0031】
縦部材21の縦方向の長さは、太陽電池モジュール40の縦方向の長さH3から縦部材21の支持部材23より端の部分を省略した長さH1を有する。
【0032】
横部材22の横方向の長さW1は、太陽電池モジュール40の横方向の長さW4より短くてよい。横部材22の横方向の長さW1は、太陽電池モジュール40の横方向の長さW4の1/2以上であることが望ましい。
【0033】
横部材22の縦部材21への取り付け位置は、図8に示すように横部材22に太陽電池モジュール40を合わせた場合に、太陽電池モジュール40のフレームにあるボルト穴が取付桟30の取付孔30Aと合うような位置である。
【0034】
すなわち、横部材22から第2の突出部23A2までの高さH5と横部材22から太陽電池モジュール40のフレームのボルト穴までの高さH4とが等しくなるように、横部材22は縦部材21に設置される。
【0035】
第1の突出部23A1と第2の突出部23A2との距離H2は、それぞれに対応する取付孔30Aの距離と等しい。すなわち、第1の突出部23A1と第2の突出部23A2との距離H2は、太陽電池モジュール40のボルト穴の縦方向の間隔と等しい。第3の突出部23A3と第4の突出部23A4との距離は、距離H2と等しい。
【0036】
第1の突出部23A1及び第2の突出部23A2と縦部材21の太陽電池モジュール40と接触する面との距離W2は、第1の太陽電池モジュール40のための取付孔30Aと第1の太陽電池モジュール40に隣接して取り付けられる第2の太陽電池モジュール40のための隣接する取付孔30Aとの距離W3の1/2以下である。
【0037】
第1の突出部23A1と第3の突出部23A3との距離W5は、それぞれに対応する取付孔30Aの距離と等しい。すなわち、第1の突出部23A1と第3の突出部23A3との距離W5は、太陽電池モジュール40のボルト穴の横方向の間隔と等しい。第2の突出部23A2と第4の突出部23A4との距離は、距離W5と等しい。
【0038】
図9は、第2の実施形態の太陽電池モジュール取付冶具20の変形例を示す図である。図9に示すように、太陽電池モジュール取付冶具20は、支持部材23を挟んで縦部材21と対向する位置に設置されるゲージ25と、ゲージ25に設けられ、下方に突出する第5の突出部25A1及び第6の突出部25A2と、を備える。第5の突出部25A1及び第6の突出部25A2は穴であってもよい。
【0039】
この第5の突出部25A1及び第6の突出部25A2は、隣接する2枚の太陽電池モジュール40のための取付孔30Aが規定通りの位置に鑽孔されているかを確認するためのものである。
【0040】
第5の突出部25A1と第3の突出部23A3との距離W6は、第1の太陽電池モジュール40のための取付孔30Aと第1の太陽電池モジュール40に隣接して取り付けられる第2の太陽電池モジュール40のための隣接する取付孔30Aとの距離W3と等しい。第6の突出部25A2と第4の突出部23A4との距離は距離W6と等しい。
【0041】
太陽電池モジュール取付冶具20の使用方法を説明する。まず、太陽電池モジュール取付冶具20は、取り付けようとする太陽電池モジュール40と隣接して取り付けられる太陽電池モジュール取付冶具20のための4つの取付孔30Aに、第1の突出部23A1、第2の突出部23A2、第3の突出部23A3、及び第4の突出部23A4がそれぞれ挿入される。
【0042】
次に、取り付けようとする太陽電池モジュール40が太陽電池モジュール取付冶具20に角を合わせるように装着される。位置決め後、太陽電池モジュール40は取付桟30に係止部材によって係止される。
【0043】
以上述べたように、本実施形態の太陽電池モジュール取付冶具20は、縦方向に延びる棒状の縦部材21と、縦部材21の一端に、縦部材21に垂直に設置される横部材22と、縦部材21を挟み、横部材22と対向する方向に縦部材21に設けられた支持部材23と、支持部材23に設けられ下方に突出する第1の突出部23A1、第2の突出部23A2、第3の突出部23A3、及び第4の突出部23A4と、縦部材21と横部材22とに架け渡された斜材24と、を備える。太陽電池モジュール取付冶具20は取付桟30に設置され、太陽電池モジュール40が横部材22に当接されて位置決めされ、太陽電池モジュール40が架台31の取付桟30に取り付けられる。その後、太陽電池モジュール取付冶具20は取り除かれる。
【0044】
従って、従来位置決めに要していた人員の削減が可能となり、位置決め工数も減少させることができるという効果がある。さらに、取付孔30Aが規定どおりの位置に鑽孔されているかを確認することができるという効果がある。
【符号の説明】
【0045】
10,20:太陽電池モジュール取付冶具、
11,21:縦部材、
12,22:横部材、
13A1,23A1:第1の突出部、
13B1,23A2:第2の突出部、
23A3:第3の突出部、
23A4:第4の突出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に延びる棒状の縦部材と、
前記縦部材の一端に、前記縦部材に垂直に設置される横部材と、
前記縦部材を挟み、前記横部材と対向する方向に縦部材に設けられた第1の支持部材及び第2の支持部材と、
前記第1の支持部材に設けられ下方に突出する第1の突出部と、
前記第2の支持部材に設けられ下方に突出する第2の突出部と、を備える太陽電池モジュール取付冶具。
【請求項2】
前記横部材は、
前記横部材から前記第2の突出部までの高さと前記横部材から太陽電池モジュールのフレームのボルト穴までの高さとが等しくなるように、前記縦部材に設置され、
前記第1の突出部と前記第2の突出部との距離は、前記太陽電池モジュールの前記ボルト穴の縦方向の間隔と等しく、
前記第1の突出部及び前記第2の突出部と前記縦部材の前記太陽電池モジュールと接触する面との距離は、第1の太陽電池モジュールのための取付孔と前記第1の太陽電池モジュールに隣接して取り付けられる第2の太陽電池モジュールのための隣接する取付孔との距離の1/2以下である
ことを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール取付冶具。
【請求項3】
縦方向に延びる棒状の縦部材と、
前記縦部材の一端に、前記縦部材に垂直に設置される横部材と、
前記縦部材を挟み、前記横部材と対向する方向に前記縦部材に設けられた支持部材と、
前記支持部材に設けられ下方に突出する第1の突出部、第2の突出部、第3の突出部、及び第4の突出部と、を備える太陽電池モジュール取付冶具。
【請求項4】
前記横部材は、
前記横部材から前記第2の突出部までの高さと前記横部材から太陽電池モジュールのフレームのボルト穴までの高さとが等しくなるように、前記縦部材に設置され、
前記第1の突出部と前記第2の突出部との距離及び前記第3の突出部と前記第4の突出部との距離は、それぞれ前記太陽電池モジュールの前記ボルト穴の縦方向の間隔と等しく、
前記第1の突出部と前記第3の突出部との距離及び前記第2の突出部と前記第4の突出部との距離は、それぞれ前記太陽電池モジュールの前記ボルト穴の横方向の間隔と等しく、
前記第1の突出部及び前記第2の突出部と前記縦部材の前記太陽電池モジュールと接触する面との距離は、第1の太陽電池モジュールのための取付孔と前記第1の太陽電池モジュールに隣接して取り付けられる第2の太陽電池モジュールのための隣接する取付孔との距離の1/2以下である
ことを特徴とする請求項3記載の太陽電池モジュール取付冶具。
【請求項5】
前記支持部材を挟んで前記縦部材と対向する位置に設置されるゲージと、
前記ゲージに設けられ、下方に突出する第5の突出部及び第6の突出部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の太陽電池モジュール取付冶具。
【請求項6】
前記第5の突出部と前記第3の突出部との距離は、第1の太陽電池モジュールのための取付孔と前記第1の太陽電池モジュールに隣接して取り付けられる第2の太陽電池モジュールのための隣接する取付孔との距離と等しいことを特徴とする請求項5記載の太陽電池モジュール取付冶具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−61088(P2011−61088A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210827(P2009−210827)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】