説明

太陽電池モジュール

【課題】太陽電池セル上に形成された電極と接続した配線を端子箱へ導出する構造において、当該配線と太陽電池セルとの絶縁性が確保されると共に、耐湿性と耐用性に優れた太陽電池モジュール。
【解決手段】基板上に太陽電池セルが積層されると共に、当該太陽電池セル上の相対する縁辺部上に第一電極及び第二電極が形成された太陽電池サブモジュールと、上記第一電極に一端部が取り付けられた第一のバスバーリボンと、上記第二電極に一端部が取り付けられた第二のバスバーリボンとからなり、上記太陽電池サブモジュールは、上記第一のバスバーリボンの他端部側の角部が切欠されて切欠部を形成しており、上記第一のバスバーリボンの他端は上記切欠部に延出され、上記第二のバスバーリボンの他端は太陽電池サブモジュールの縁辺部上を縁辺に沿って切欠部へ延出された上、上記切欠部の側端面を介して背面側に延出されている太陽電池モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールにおいて、発電した電力を取り出すための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薄膜系太陽電池モジュールは、ガラス基板と、裏面電極層と、光吸収層とを積層した太陽電池サブモジュールを備える。
さらに、この太陽電池サブモジュールは、所定のパターニングによって区画された太陽電池セルを直列に接続した構造を有しており、当該直列接続の両端に設けられた電極から電力を取り出すことができる。
【0003】
そして、電極から電力を取り出すための構造は、正負一対の電極に夫々電気的に接続させたリード線等の配線を一旦、端子箱に引き込み、当該リード線に接続させた導線を外部に導出させるのが一般的である。
【0004】
ここで、端子箱は、サブストレート構造の太陽電池モジュールの場合にあっては、ガラス基板の裏面、あるいは、必要に応じて当該透光性基板の裏面に充填材を介在させて取り付けられた保護シート上に取り付けられる。また、スーパーストレート構造の太陽電池モジュールの場合にあっては、光吸収層を覆うと共に、充填材を介在させて取り付けられた保護シート上に取り付けられる。
【0005】
このように、配線と端子箱とが、ガラス基板や保護シート等により隔てられた構造を有する一方、配線と太陽電池セルとの絶縁性や、配線を引き出す箇所における防湿性、さらには配線を引き出す箇所等における物理的な耐用性を確保して、配線を端子箱に引き込む必要がある。
【0006】
この点、透光性絶縁基板上に複数の薄膜太陽電池セルが並設された集積型薄膜太陽電池デバイスであって、当該集積型薄膜太陽電池デバイスの一端及び他端の正極集電部および負極集電部に対してそれぞれ薄膜太陽電池セルを横切る正極リード線および負極リード線と集積型薄膜太陽電池デバイスとの間に絶縁膜が介在され、正極リード線および負極リード線の端部がそれぞれ立ち上がり端子部に形成され、各立ち上がり端子部を貫通する状態で集積型薄膜太陽電池デバイスの裏面全体がラミネート封止され、各立ち上がり端子部に端子ボックスが接続されている集積型薄膜太陽電池モジュールが提案されている(特許文献1参照)。
また、受光した光によって電力を発生する発電セルと、前記電力を集める電極と、前記電極に沿って延設され、前記電極に複数の接点で接続された導電材と、前記導電材に接続され、当該薄膜太陽電池モジュールの外部に前記電力を取り出す箔状の配線と、前記配線が有する複数の面のうち、前記発電セルに対向する対向面に配置され、前記配線と前記発電セルとの間を絶縁する絶縁材とを具備し、前記配線のうち前記導電材に接合される接合部と、前記絶縁材の前記接合部に接合される部分とが、前記電極と前記導電材との間に位置する薄膜太陽電池モジュールが提案されている(特許文献2参照)。
また、透明基板上にセル層、充填層、及び保護膜が積層されると共に、セル層上に電極取出部が設けられた薄膜太陽電池であって、セル層の両極に設置されたバスバーに一端が取り付けられ、他端が電極取出部へ敷設された複数の電極が設けられ、当該電極が、セル層と電極との間に設置された絶縁膜上を通り、充填層と保護膜を貫通して外部に引き出された薄膜太陽電池が提案されている(特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2000−68542号公報
【特許文献2】特許第4101606号
【特許文献3】特許第4101611号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記各特許文献における太陽電池はいずれも、スーパーストレート構造の太陽電池であるが、電極に一端を取り付けた一対の配線等を、基板上の所定の位置に延出させた上、充填材及び保護シートを貫いて、保護シート上に取り付けられた端子箱へ配線を引き出している。
そして、電極から基板上の所定の位置に配線等を延出させる箇所においては、太陽電池セルと配線との間に絶縁膜を挟むことによって、太陽電池セルと配線との絶縁性を確保している。
【0009】
しかしながら、上記各特許文献記載の太陽電池はいずれも、充填材及び保護シートに、配線等を引き出すための貫通孔を設けているため、当該貫通孔から湿分等が浸入しやすく、また、貫通孔近傍における保護シートの物理的強度が小さいために、当該部分から保護シートが破れてしまうおそれもある。
さらに、充填材ないしは保護シートに貫通孔を設ける必要があるところ、太陽電池セルを傷つけたりすることなく貫通孔を設けることは容易でないし、製造工程も煩雑化してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、太陽電池セル上に形成された電極と電気的に接続した配線を端子箱へ導出する構造において、当該配線と太陽電池セルとの絶縁性が確保されると共に、耐湿性と耐用性に優れた太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記配線を太陽電池モジュールの背面等へ引き回すための構造であって、太陽電池モジュールの側端部において、フレームに接触して短絡を引き起こすことがなく、また、配線の損傷が起こりにくい構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための、本発明に係る太陽電池モジュールは、四角形状の基板上に太陽電池セルが積層されると共に、当該太陽電池セル上の相対する縁辺部上に正負一対の電極を構成する第一電極及び第二電極が形成された太陽電池サブモジュールと、上記第一電極に一端部が取り付けられた第一のバスバーリボンと、上記第二電極に一端部が取り付けられた第二のバスバーリボンと、からなる太陽電池モジュールであって、上記太陽電池サブモジュールは、上記第一のバスバーリボンの他端部側の角部が切欠されて切欠部を形成しており、上記第一のバスバーリボンの他端は、上記切欠部に延出され、上記第二のバスバーリボンの他端は、太陽電池サブモジュールの縁辺部上を、縁辺に沿って切欠部へ延出された上、上記切欠部の側端面を介して上記太陽電池サブモジュールの背面側に延出されることを特徴とする。
【0012】
また、上記第二のバスバーリボンの他端が配置される太陽電池サブモジュールの基板上には、太陽電池セルが形成されていない絶縁スペースが設けられていてもよい。
【0013】
また、上記第二のバスバーリボンの他端と太陽電池サブモジュールの縁辺部との間には、絶縁膜が形成されていてもよい。
【0014】
また、上記第二のバスバーリボンの他端は、絶縁被覆されていてもよい。
【0015】
また、上記第一のバスバーリボン及び第二のバスバーリボンを引き込むと共に、当該第一のバスバーリボン及び第二のバスバーリボンと夫々接続させた導線を導出する端子箱、をさらに備え、上記端子箱は、上記太陽電池モジュールの切欠部に取り付けられ、上記切欠部の側端面に露出する第一のバスバーリボン及び第二のバスバーリボンが、上記端子箱により覆われていてもよい。
【0016】
また、本発明の別の構造に係る太陽電池モジュールは、四角形形状の基板上に太陽電池セルが積層されると共に、当該太陽電池セル上の相対する縁辺部上に正負一対の第一電極及び第二電極が形成された太陽電池サブモジュールと、上記第一電極に一端部が取り付けられた第一のバスバーリボンと、上記第二電極に一端部が取り付けられた第二のバスバーリボンと、上記太陽電池サブモジュールの太陽電池セル側を被覆する保護シートと、からなる太陽電池モジュールであって、上記保護シートは、上記第一のバスバーリボンの他端部側の角部が切欠されて切欠部を形成しており、上記第一のバスバーリボンの他端は、上記切欠部に延出され、上記第二のバスバーリボンの他端は、太陽電池サブモジュールの縁辺部上を、縁辺に沿って切欠部へ延出された上、上記切欠部の側端面を介して上記太陽電池サブモジュールの背面側に延出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、太陽電池セルと、当該太陽電池セル上の電極に取り付けられた配線との絶縁性が確保されると共に、耐湿性と耐用性に優れた太陽電池モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明に係る第一の実施の形態について、図を参照して説明する。
本実施形態に係る太陽電池モジュール2Aは、図1〜図3に示されるように、端子箱3及びフレーム4が取り付けられることにより、太陽電池1を構成し、この状態で使用される。
【0019】
フレーム4は、太陽電池モジュール2Aを補強すると共に、積層端面を保護する枠であって、アルミニウム等の金属からなる。
このフレーム4は、図3に示されるように、四つの棒状のフレーム構成部材41、42、43、44の端部同士を直角に接続させて、切欠部20を設けないとした場合の太陽電池モジュール2Aの外周形状に応じた四角形形状に構成される。
【0020】
また、このフレーム4には、縦幅が太陽電池モジュール2Aの厚さよりも僅かに大きい条溝41a、42a、43a、44aが設けられており、この条溝41a、42a、43a、44aにブチルゴム等の熱可逆性樹脂を介在させた上、太陽電池モジュール2Aの外周部分を差し込むことによって、太陽電池モジュール2Aにフレーム4が取り付けられる。
【0021】
端子箱3は、中空の箱型形状からなり、太陽電池モジュール2Aから延出するバスバーリボン25a、25bを内部に引き込むと共に、当該バスバーリボン25a、25bと接続させた導線31a、31bを外部へ導出する。
図3に示されるように、この端子箱3には、切欠部20において太陽電池モジュール2Aを構成するカバーガラス24の裏面に接着される接着部32aと、ガラス基板21の裏面に接着される接着部32bと、導線31a、31bを外部へ導出するための導出孔33a、33bと、バスバーリボン25a、25bを端子箱3内に引き込むための引込口34が設けられている。また、引込口34から導出孔33a、33bにかけて端子箱3内部は中空となっており、この中空部分において、バスバーリボン25a、25bと導線31a、31bとが接続される。
なお、中空部分においては、バスバーリボン25a、25b同士がバイパスダイオードで接続され、逆起電力の発生による出力低下が防止されるなど、使用上必要とされる配線構造が適宜施されている。
【0022】
そして、この端子箱3は、切欠部20において、カバーガラス24の裏面に接着部32aを接着剤等で接着させると共に、ガラス基板21の裏面に接着部32bを接着剤等で接着させることによって、太陽電池モジュール2Aに取り付けられ、取り付けられた状態においては、図4に示されるように、端子箱3は切欠部20の側端面において露出するバスバーリボン25a、25bを覆う。これにより、切欠部20の側端面から太陽電池モジュール2Aへの湿分浸入が防がれるほか、当該側端面に露出するバスバーリボン25a、25bとフレーム4との接触による短絡が防がれる。
また、端子箱3内においてバスバーリボン25a、25bと接続された導線31a、31bは、図2に示されるように、太陽電池モジュール2Aの裏面側から、導出孔33a、33bを介して外部に導出される。
【0023】
太陽電池モジュール2Aは、図5及び図7に示されるように、青板ガラス等のガラス基板21上に、太陽電池セル22、EVA(ethylene vinyl acetate copolymer、エチレン酢酸ビニル共重合体)やPVB(Poly vinyl butyral、ポリビニルブチラール)等の充填材23、カバーガラス24を積層してなる。また、太陽電池セル22上にはバスバーリボン25a、25bが取り付けられている。
ここで、ガラス基板21と、ガラス基板21上に形成された太陽電池セル22とは、本発明における太陽電池サブモジュールを構成する。
なお、ガラス基板21の裏面には、防湿性及び耐用性のために、ガラス基板21と同一の平面形状からなるバックシートを取り付けてもよい。
【0024】
ガラス基板21は、図5及び図6に示されるように、四角形の一の角部分を三角形形状に切欠した略四角形形状からなり、当該切り欠かれた部分は切欠部20を構成する。
この切欠部20は、その側端面において、バスバーリボン25a、25bが互いに接触しないのに十分な程度、即ち、切欠部20の側端面を構成する切欠幅が、バスバーリボン25a、25b夫々の幅の合計よりも長く切欠して設けられている。これにより、バスバーリボン25a、25bは、切欠部20の側端面においてお互いと接触することなく、端子箱3へ引き込まれる。
【0025】
カバーガラス24は、図3及び図4に示されるように、切欠部20を設けない場合のガラス基板21と同一の平面形状を有しており、四角形形状からなる。
このカバーガラス24は、太陽電池セル22が製膜されたガラス基板21上に、充填材23を介してラミネートされる。
【0026】
太陽電池セル22は、太陽光等を受光して発電する光電変換素子である。
この太陽電池セル22は、ガラス基板上21において、モリブデン(Mo)等の金属からなる裏面電極層、光吸収層、及び、ITO、ZnO、SnO等からなる透明導電膜等を順次積層したサブストレート構造からなる。
なお、光吸収層は、いわゆるCIS系やGaAs系等の化合物や、アモルファスシリコンにより構成することができる。
【0027】
そして各層には、所定のパターニングが施されていると共に、このパターニングによって区画された複数の単位セルが直列に接続されており、この複数の単位セルが接続する向きに、単位セルの数に比例した電位が形成される。
また、太陽電池セル22の両端には、正負一対の電極22a、22bが形成されており、この電極22a、22bから電力を取り出すことができる。
【0028】
また、太陽電池セル22上において、相対する縁辺部近傍に形成された正負一対の電極22a、22bには夫々、帯状のバスバーリボン25a、25bの一端が取り付けられている。
【0029】
ここで、太陽電池セル22は、ガラス基板21上に略全面的に形成されるが、少なくとも、一端が電極22bに取り付けられたバスバーリボン25bの他端が切欠部20へ延出する、太陽電池基板21と太陽電池セル22の端部の間には形成されていない。当該太陽電池セル22が形成されていない部分は、その幅がバスバーリボン25bの幅よりも幅広に設けられており、バスバーリボン25bの他端が太陽電池セル22と接触することなく、切欠部20へ延出するための絶縁スペース51を構成する。
【0030】
なお、絶縁スペース51は、例えば、ガラス基板21上に全面的に製膜した各層を、削ったり、絶縁スペース51が形成される箇所を予めマスキングしてから太陽電池セル22を製膜することにより、作成することができる。
【0031】
バスバーリボン25a、25bは、折曲自在な箔状の導体であり、銅(Cu)やアルミニウム(Al)等の金属により構成される。
このバスバーリボン25a、25bは夫々、一端が太陽電池セル22上に形成された電極22a、22bに導電性の接着剤によって接着させたり、溶着させたりすることにより、導電性を確保して取り付けられる。また、電極22a、22bに取り付けられていない他端は、図1及び図5に示されるように、絶縁スペース51上に配置されると共に、引込口34から端子箱3内に引き込まれ、切欠部20の側端面を介して太陽電池モジュール2Aの背面へと延出されている。
【0032】
なお、バスバーリボン25bは、絶縁スペース51上において、充填材23を介してカバーガラス24によりガラス基板21上に圧接固定されるが、接着剤等により、絶縁スペース51上に予め位置決めしておいてもよい。
【0033】
以上の構成からなる太陽電池モジュール2Aにフレーム4が取り付けられた状態においては、図7に示されるように、電極22bから延出したバスバーリボン25bは絶縁スペース51上を通って、切欠部20へと延出される。
この点、絶縁スペース51の幅がバスバーリボン25bの幅よりも幅広に設けられていることから、バスバーリボン25bを太陽電池セル22やフレーム4に接触させることなく切欠部20へ延出させることができる。
【0034】
本実施形態によれば、絶縁スペース51が設けられていることで、バスバーリボン25bが、太陽電池セル22上に形成されたパターニングラインを跨いで短絡を引き起こすことがない。
また、切欠部20を介してバスバーリボン25a、25bが太陽電池モジュール2Aの背面に延出させられるので、バスバーリボン25a、25bがフレーム4と接触して短絡を引き起こすことがないし、フレーム4を取り付けた状態において、バスバーリボン25a、25bがフレーム4に圧接されて断線を引き起こすこともない。
【0035】
続いて、本発明の第二の実施形態について図を参照して説明する。
本実施形態に係る太陽電池モジュール2Bは、図8に示されるように、一端が電極22bに取り付けられたバスバーリボン25bの他端が切欠部20へ延出する部分において、バスバーリボン25bと太陽電池セル22との電気絶縁性を確保するため、当該部分に絶縁膜52を取り付けたものである。
【0036】
なお、太陽電池モジュール2Bの構成は、絶縁スペース51の替わりに絶縁膜52が設けられたこと以外、上記第一の実施形態に係る太陽電池モジュール2Aと同様である。また、太陽電池セル22は上記第一の実施形態における絶縁スペース51に相当する箇所にも製膜されていてもよい。
【0037】
絶縁膜52は、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂材料を用いた絶縁性塗料や絶縁テープにより構成され、絶縁性塗料を塗布したり、絶縁テープを貼り付けることによって、絶縁被覆された状態となる。
また、絶縁膜52は、その幅がバスバーリボン25bの幅よりも幅広に設けられており、これにより、バスバーリボン25bの他端は、太陽電池セル22と接触することなく切欠部20へ延出される。
【0038】
本実施形態によれば、上記第一の実施形態とは異なり、絶縁スペース51を形成するために、太陽電池セル22を削ったり、マスキングして製膜する必要がなく、処理工程を単純化させることができる。
【0039】
続いて、本発明の第三の実施形態について図を参照して説明する。
本実施形態に係る太陽電池モジュール2Cは、図9に示されるように、一端が電極22bに取り付けられたバスバーリボン25bの他端が切欠部20へ延出する部分において、バスバーリボン25bと太陽電池セル22との電気絶縁性を確保するため、バスバーリボン25bの当該部分を絶縁被膜53により絶縁被覆したものである。
【0040】
なお、太陽電池モジュール2Cの構成も、絶縁スペース51の替わりに、バスバーリボン25bが絶縁被膜53により被覆されたこと以外、上記第一の実施形態に係る太陽電池モジュール2Aと同様である。また、太陽電池セル22は上記第一の実施形態における絶縁スペース51に相当する箇所にも製膜されていてもよい。
【0041】
絶縁被覆は、フッ素樹脂等の絶縁性樹脂材料により構成されたチューブ状の絶縁被膜53にバスバーリボン25bを挿通させるなどして実現される。これにより、バスバーリボン25bの他端は、太陽電池セル22と接触することなく切欠部20へ延出される。
【0042】
本実施形態によれば、太陽電池セル22とバスバーリボン25bとが接触しないように、太陽電池セル22の端部とバスバーリボン25bとを離す必要がないため、太陽電池セル22の製膜範囲が制限されず、上記第一又は第二の実施形態よりも受光面積を広くとることができる。
【0043】
続いて、本発明の第四の実施形態について図を参照して説明する。
本実施形態に係る太陽電池モジュール2Dは、図10〜図12に示されるように、いわゆるスーパーストレート構造からなる太陽電池モジュールについて、上記第一の実施形態における絶縁スペース51に係る構造を適用してものである。
【0044】
太陽電池モジュール2Dは、図12に示されるように、青板ガラス等のガラス基板21上に、太陽電池セル22、EVA(ethylene vinyl acetate copolymer、エチレン酢酸ビニル共重合体)やPVB(Poly vinyl butyral、ポリビニルブチラール)等の充填材23、保護シート26を積層してなる。また、太陽電池セル22上にはバスバーリボン25a、25bが取り付けられている。
【0045】
保護シート26は、ガラス基板21と同一の平面形状を有しており、四角形形状の一の角部分を三角形形状に切欠した形状からなる。
この保護シート26は、PET(ポリエチレンテレフタラート)等からなるシートであって、太陽電池セル22が製膜されたガラス基板21上に、充填材23を介してラミネートされて、太陽電池セル22を保護する。
【0046】
太陽電池セル22は、太陽光等を受光して発電する光電変換素子である。
この太陽電池セル22は、本実施形態においては、ガラス基板上21に、ITO、ZnO、SnO等からなる透明導電膜、光吸収層、及び、モリブデン(Mo)等の金属からなる裏面電極層を順次積層したスーパーレート構造からなる。
【0047】
その他、太陽電池モジュール2Dを構成するガラス基板21、太陽電池セル22上に形成された電極22a、22b、充填材23、バスバーリボン25a、25bの構成は、上記第一の実施形態と同様であり、また、端子箱3及びフレーム4を取り付けて太陽電池1を構成させることができる。
【0048】
以上の構成からなる太陽電池モジュール2Dにおいては、電極22bから延出したバスバーリボン25bは絶縁スペース51上を通って、切欠部20へと延出される。そして、絶縁スペース51の幅がバスバーリボン25bの幅よりも幅広に設けられていることから、バスバーリボン25bを太陽電池セル22やフレーム4に接触させることなく切欠部20へ延出させることができる。
さらに、切欠部20を介してバスバーリボン25a、25bを太陽電池モジュール2Aの背面に延出させることで、バスバーリボン25a、25bがフレーム4に接触することもない。
これにより、バスバーリボン25bが、太陽電池セル22上に形成されたパターニングラインをまたいで短絡を引き起こすことがなく、また、バスバーリボン25a、25b同士が接触したり、フレーム4と接触したりして短絡を引き起こすこともない。
【0049】
なお、本実施形態においては、スーパーストレート構造の太陽電池モジュールに、上記第一の実施形態における絶縁スペース51に係る構造を適用した場合のみ示したが、これに限らず、上記第二の実施形態における絶縁膜52や、上記第三の実施形態における絶縁被膜53により絶縁被覆した構造を適用することもできる。
【0050】
以上の実施形態においては、切欠部20は、三角形状に設けられているが、四角形状等の多角形状や、円形状等に設けることもできる。
また、上記実施形態においては、電極22a、22bに取り付けられたバスバーリボン25a、25bを端子箱へと延出させたが、電極22a、22bに取り付けられたバスバーリボン25a、25bに、別途、導電性のリード線を取り付けて、当該リード線を端子箱3に引き込むようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態に係る太陽電池モジュール2A〜2Dは、フレーム4を取り付けることにより太陽電池1を構成するものとしたが、図13に示されるように、太陽電池モジュール2A〜2Dの端面を防湿処理等することにより、フレームレス太陽電池6として構成させることもできる。このフレームレス太陽電池6によれば、軽量化及びコスト軽減が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る太陽電池モジュールを備えた太陽電池を平面側から示した外観斜視図である。
【図2】本実施形態に係る太陽電池モジュールを備えた太陽電池を裏面側から示した外観斜視図である。
【図3】本実施形態に係る太陽電池モジュールを備えた太陽電池の構成物品を示した分解斜視図である。
【図4】本実施形態に係る太陽電池モジュールを備えた太陽電池の断面を示した断面図である。
【図5】本実施形態に係る太陽電池モジュールを示した平面図である。
【図6】本実施形態に係る太陽電池モジュールを示した裏面図である。
【図7】本実施形態に係る太陽電池モジュールのA−A’断面を示した断面図である。
【図8】本発明の第二の実施形態に係る太陽電池モジュールを示した平面図である。
【図9】本発明の第三の実施形態に係る太陽電池モジュールを示した平面図である。
【図10】本発明の第四の実施形態に係る太陽電池モジュールを示した平面図である。
【図11】本実施形態に係る太陽電池モジュールを示した裏面図である。
【図12】本実施形態に係る太陽電池モジュールのB−B’断面を示した断面図である。
【図13】本実施形態に係る太陽電池モジュールにより構成されるフレームレス太陽電池を平面側から示した外観斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 太陽電池
2A 太陽電池モジュール(第一の実施形態)
2B 太陽電池モジュール(第二の実施形態)
2C 太陽電池モジュール(第三の実施形態)
2D 太陽電池モジュール(第四の実施形態)
20 切欠部
21 ガラス基板
22 太陽電池セル
22a、22b 電極
23 充填材
24 カバーガラス
25a、25b バスバーリボン
26 保護シート
3 端子箱
31a、31b 導線
32a、32b 接着部
33a、33b 導出孔
34 引込口
4 フレーム
41、42、43、44 フレーム構成部材
41a、42a、43a、44a 条溝
51 絶縁スペース
52 絶縁膜
53 絶縁被膜
6 フレームレス太陽電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状の基板上に太陽電池セルが積層されると共に、当該太陽電池セル上の相対する縁辺部上に正負一対の電極を構成する第一電極及び第二電極が形成された太陽電池サブモジュールと、
上記第一電極に一端部が取り付けられた第一のバスバーリボンと、
上記第二電極に一端部が取り付けられた第二のバスバーリボンと、からなる太陽電池モジュールであって、
上記太陽電池サブモジュールは、上記第一のバスバーリボンの他端部側の角部が切欠されて切欠部を形成しており、
上記第一のバスバーリボンの他端は、上記切欠部に延出され、
上記第二のバスバーリボンの他端は、太陽電池サブモジュールの縁辺部上を、縁辺に沿って切欠部へ延出された上、上記切欠部の側端面を介して上記太陽電池サブモジュールの背面側に延出される、
ことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
上記第二のバスバーリボンの他端が配置される太陽電池サブモジュールの基板上には、太陽電池セルが形成されていない絶縁スペースが設けられている、
請求項1記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
上記第二のバスバーリボンの他端と太陽電池サブモジュールの縁辺部との間には、絶縁膜が形成されている、
請求項1記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
上記第二のバスバーリボンの他端は、絶縁被覆されている、
請求項1記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
上記第一のバスバーリボン及び第二のバスバーリボンを引き込むと共に、当該第一のバスバーリボン及び第二のバスバーリボンと夫々接続させた導線を導出する端子箱、をさらに備え、
上記端子箱は、上記太陽電池モジュールの切欠部に取り付けられ、
上記切欠部の側端面に露出する第一のバスバーリボン及び第二のバスバーリボンが、上記端子箱により覆われている、
請求項1乃至4いずれかの項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
四角形形状の基板上に太陽電池セルが積層されると共に、当該太陽電池セル上の相対する縁辺部上に正負一対の第一電極及び第二電極が形成された太陽電池サブモジュールと、
上記第一電極に一端部が取り付けられた第一のバスバーリボンと、
上記第二電極に一端部が取り付けられた第二のバスバーリボンと、
上記太陽電池サブモジュールの太陽電池セル側を被覆する保護シートと、からなる太陽電池モジュールであって、
上記保護シートは、上記第一のバスバーリボンの他端部側の角部が切欠されて切欠部を形成しており、
上記第一のバスバーリボンの他端は、上記切欠部に延出され、
上記第二のバスバーリボンの他端は、太陽電池サブモジュールの縁辺部上を、縁辺に沿って切欠部へ延出された上、上記切欠部の側端面を介して上記太陽電池サブモジュールの背面側に延出される、
ことを特徴とする太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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