説明

太陽電池付き後付け庇ユニット

【課題】太陽電池と照明器具を有する庇ユニットを、外側から取付け可能な取付手段で既成の建物へ取付けるにより、建物の壁へ窓孔をあけたり、あけた窓孔を補修したりする手間を掛けずに建物へ簡便に外付けして、夜間等は商用電源を使わず照明を行なうことができる太陽電池付きの後付け庇ユニットを提供すること。
【解決手段】既成の建物4の要所へ外側よりの取付けが可能な取付手段3で後から取り付ける後付け庇ユニット1であって、この庇ユニット1における庇本体2は、屋根材5の上へ太陽電池6を取り付けられ、裏材7に照明器具8を取り付けられていて、内部には上記太陽電池6で発生した電力を蓄えるバッテリー10と、上記照明器具8の作動を制御する制御器11を内蔵していること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既成の建物へ後付けして、夜間等は商用電源を使わない照明ができる太陽電池付き後付け庇ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具付き庇は、庇本体の後板部に形成した開口部にプラグタイプの接続端子を設け、建物の庇取付部にコンセントタイプの接続端子を設けて、庇本体を建物の取付部へ取り付けると、プラグタイプの接続端子とコンセントタイプの接続端子が接合されて、庇本体内に設けた照明器具へ通電するようにしている。(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開2000−27350号
【0003】
しかしながら、上記照明器具付き庇は、庇本体の後板部を建物の庇取付部へ当てて置き、後板部と庇固定板とに貫設した孔へボルトを通して、このボルトへ建物の中側からナットを締め込んで庇本体の取付けを行なうのであり、庇を予め計画した位置へ取り付ける新築工事には好適であるが、既成の建物へ庇を取り付けたい場合には、建物の外壁に窓孔をあけて庇固定板を取り付け、内壁にはボルトへナットを締め込む窓孔をあけて、この窓孔を庇の取付後には補修しなければならない問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記問題点を解消し、太陽電池と照明器具を備える庇ユニットを、外側から取付け可能な取付手段で既成の建物へ取付けることにより、建物の壁へ窓孔をあけたり、あけた窓孔を補修したりする手間を掛けずに建物へ簡便に外付けして、夜間等は商用電源を使わない照明を行なうことができる太陽電池付きの後付け庇ユニットを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため本発明に係る太陽電池付き後付け庇ユニットは、以下の構成を採用することを特徴とする。
【0006】
既成の建物の要所へ外側よりの取付けが可能な取付手段で後から取り付ける後付け庇ユニットであって、この庇ユニットにおける庇本体は、屋根材の上へ太陽電池を取り付けられ、裏材に照明器具を取り付けられていて、内部には上記太陽電池で発生した電力を蓄えるバッテリーと、上記照明器具の作動を制御する制御器を内蔵していること。
【0007】
庇ユニットの裏材には人の接近を検知して、上記制御器を作動させるセンサを取付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の効果 外付け可能な取付手段を用いて庇ユニットを既成の建物の希望位置へ外付けするから、建物の壁に窓孔をあけたり、あけた窓孔を補修をしたりする煩わしさがなく簡便に庇ユニットの取付けを行なうことができて、しかも、搭載する太陽電池で日中は発電して電力をバッテリーに蓄え、夜になれば照明器具へ制御器により通電して点灯させ、明るくなれば通電を止めて消灯させることにより、商用電源を使わず合理的な照明を行なって省エネルギーと環境の保全を図れる。さらに、発光ダイオードを用いた照明器具を用いれば、省電力で照度等の制御も容易で一層効果がある。
【0009】
請求項2の効果 人等の接近を検知するセンサは、暗くなって照明を必要とするとき、人の近接を検知すると照明器具の照度が上るように制御器を作動させて、照明を鍵による錠前の開錠、施錠が容易にできる明るさにするが、人が検知範囲から去れば経済的な常用照度に戻すことができる。また、防犯においても、抑止力がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明に係る太陽電池付き後付け庇ユニットの実施形態を図面について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1において符号1は、後付け庇ユニットを示すものであり、この庇ユニット1は、庇本体2を外側からの取付けが可能な取付手段3で既成の建物4の必要箇所へ取り付け、庇本体2における屋根材5の上には太陽電池6を取付け、裏材7には照明器具8とセンサ9を取付け、庇本体2の内部には太陽電池6で発生した電力を蓄えるバッテリー10と、照明器具8の点滅、照度調整などを行うため、バッテリー10から照明器具8への通電を制御する制御器11とを設置した構成としてある。
【0012】
上記庇本体2は、後側に取付部12を有する複数の庇骨材13を、図2に示す通り所要間隔で並設して、これら庇骨材13の上片13aに屋根材5を取付け、下片13bに裏材7を取付ける。こうすると、屋根材5と裏材7の前端側には隙間14が、両側端側には隙間15,15が生じ、屋根材5の後側には庇骨材13の取付部12が屋根材5より上方へ突出するため隙間16が生ずるので、前側の隙間14を前カバー17で塞ぎ、上側の隙間16を上カバー18で塞ぎ、両側の隙間15,15は側面キャップ19,19で塞ぐと図8に斜視図を示す通りの庇本体2が構成される。
【0013】
上記庇本体2における庇骨材13は、前下がりの傾斜を有する上片13aと、水平をなす下面13bが、垂直の連結片13cで連結された図3の円内に示す通りの断面形状であって、後部に取付部12が付設された構造にアルミニウム鋳物等で形成する。そして、取付部12の上部と下部には対応的に係止溝20、20を設け、前端には前カバー17の当片13dを設ける。
【0014】
屋根材5は、例えば、図4(a)に示す通りカラー鋼板等を平板葺きにして庇骨材13の上片13aへネジ21で止め付ける構成とするか、あるいは、図4(b)に示す通りカラー鋼板を曲げ加工するか、アルミニウムを押出し加工して、一端の下側に折返縁5aを形成し、他端の上側に折返縁5bを形成して、これら折返縁5aと折返縁5bを掛け合わせ、この掛け合わせ部を庇骨材13の上片13aへネジ21で止め付けた吊子22に支持させる折板葺きの構成とするものであって、屋根材5の後端には止水片5aを立ち上がらせ、屋根材5の下側には必要に応じて下葺材23を施用する。
【0015】
裏材7は、ボード等を用いてもよいが、アルミニウムの押出成形で形成した公知のスパンドレルを用いることが好ましい。このスパンドレル7は、図5(a)に示す平型、図5(b)に示す角凹凸型、図5(c)に示す波型等を用いるものであって、各タイプは一側縁側に係合鉤部7aを形成され、他側縁側に係止溝部7bを形成されている。従って、図5(a)(b)(c)に示す通り、係止溝部7aに鎖線で示す隣り合うスパンドレル7の係合鉤部7bを係合させて一連の裏材7を構成し、ネジ24によって庇骨材13の下片13bへ止め付ける。
【0016】
屋根材5と裏材7との前側に生ずる隙間14を塞ぐ前カバー17は、図7に示す通り上部を屋根材5の前縁に、下部を裏材7の前縁に支持させて、隙間14を閉塞させるようにアルミニウムの押出成形等で形成したものであり、上端に後方への折曲縁17aを設けて
、この折曲縁17aを庇骨材13の上片13aと屋根材5の下面との間に挟み込み、前カバー17を図7に示す通りネジ25で当片13dへ止め着ける。
【0017】
屋根材5の後部上側に生ずる隙間16を塞ぐ上カバー18は、図7に示す通り前側に取付部12の前面と屋根材5の一部とに重なる逆L型の重ね片18aを付設した形状にアルミニウムの押出成形で形成したものであって、この上カバー18を図7に示す通りネジ26で取付部12の上面へ取付けて隙間16を閉塞させる。
【0018】
屋根材5と裏材7との両側に生ずる隙間16を塞ぐ側面キャップ19は、上記屋根材5と裏材7と前カバー17と上カバー18で形成される庇本体2の外郭形状に適合する面板の周囲に、図2に示す通り庇本体2の外郭へ嵌り合う縁部19aが存在するようにアルミニウム鋳物等で形成する。そして、縁部19aを庇本体2の外郭へ嵌合して、縁部19aを図8に頭だけを示すネジ27で屋根材5と裏材7へ止め付けると、庇本体2の両側の隙間15が塞がれるとともに、側面キャップ18で取付手段3の後記する係合鉤が挟まれるので、庇本体2を位置ずれをしないように建物4への取付けることができる。
【0019】
建物4へ外側から庇本体2を取付け可能とする取付手段3は、庇本体2に合致する長さと庇本体2よりも少し高い高さを有する板体3aの前面側に、図6に示す通り庇骨材13の取付部12に設けた係止溝20,20へ係合する係合鉤28,28を設け、上部に前側へ少し張出してから上方へ立上がる折曲部3bを有するようにアルミニウムの押出成形等で形成する。そして、この取付手段3を既成の建物4の必要な箇所へ図7に示す通り孔29を通したアンカーボルト30で固定して置き、その係合鉤28,28へ庇本体2の取付部12に設けた係止溝20,20を係合させると、庇本体2は建物4へ外側から簡単確実に取付けられる。
【0020】
庇本体2に於ける屋根材5の上に取付ける太陽電池6は、太陽光で発電する公知のもののであって、これを屋根材5の上へ乗せ、太陽電池6の両側を図8に示す通り屋根材5へネジ31で固定した抑え金具32で抑えさせ、前側は屋根材5へネジ33で固定した受け金具34に支持させて、太陽電池6を屋根材5の上へ安定して固定させる。
【0021】
庇本体2の裏材7へ取付ける照明器具8は、通電すると発光して照明を行なうものであって、公知の白熱灯、蛍光灯、ハロゲン灯、発光ダイオード照明灯等を、必要な照度が得られるように1個または複数個を用いる。
【0022】
庇本体2の内部へ収容するバッテリー10は、上記太陽電池6が発電した電力を蓄積して、蓄積した電力を照明が必要なとき照明器具8へ供給する公知のものであり、図1に示す通り庇本体2の裏材7の上へ図示してないネジ等で止め付けて、庇本体2の内部に安定させて置く。
【0023】
また、庇本体2の内部に収容する制御器11は、上記バッテリー10から照明器具8への電力の供給の開始及び停止と電力量の加減等を行ない、照明器具8の点滅や明るさ調整等の制御を行う公知のIC制御器等を用いるものであって、図1に示す通り庇本体2の裏材7上へ図示してないネジ等で止め付けて、庇本体2の内部に安定させて置く。
【0024】
庇本体2の裏側に取り付けられるセンサ9は、人等の接近を検知する機能を持つ公知のセンサを用い、図1に示す通り庇本体2の裏材7へ検知対象の人を検知し易いように取付けて置く。
【0025】
なお、図1において符号35は、建物4に設けた出入口を示し、この出入口34は錠前(図面省略)付きのノブ36を備えるドア37によって開閉するようにしたものであり、
また、図7において符号38は、防水用のコーキングを示し、このコーキング38は、取付手段3の上部に設けた折曲部3bと建物4との間に生ずる隙間及び折曲部3bと上カバー18との間に生ずる隙間へ充填して隙間の部分の防水を計る。
【0026】
上記構成の太陽電池付きの後付け庇ユニット1は、図2に示す通り所定間隔で並置した複数の庇骨材13の上片13aへ屋根材5を取付け、下片13bへ裏材7を取付けた後、屋根材5と裏材7との前側の隙間14を前カバー17の取付けで塞ぎ、屋根材5の後部上側の隙間16は上カバー18の取付けで塞いで庇本体2の外郭を形成する。そして、外郭の一側端に側面キャップ19を嵌合して、一方の隙間15だけを塞ぎ、他方の隙間15は開口した状態で、既成の建物4の希望位置へアンカーボルト29で取付けられている取付手段3の係合鉤28,28へ、庇本体2を構成する庇骨材13の取付部12に設けた係止溝20,20を係合させる。すると、建物4へ外側から庇本体2が取付けられるので、その後、開口する庇本体2の隙間15を側面キャップ19の取付けで塞ぐと、庇ユニット1は既成の建物4の壁へ孔をあけたり、あけた孔を補修したりする煩わしさもなく、簡単にしかも確実に建物4へ外付けされる。
【0027】
このように建物4へ外取付けされた庇本体2は、屋根材5の上へ太陽電池6が取付けられて、日照時に太陽光を受けて発電し、この電力をバッテリー10へ蓄えるので、暗くなって照明を必要とするときは、IC制御器11が作動して照明器具8へ通電し、照明器具8を点灯させて照明を行なう。しかし、明るくなって照明が不要となれば、IC制御器11が照明器具8への通電を停止するように作動するため、照明器具8は消灯して照明を中止する。
【0028】
また、暗くなって照明を必要とするとき、庇本体2に人が検知範囲内へ入ると検知動作を行うセンサ9を取付けておくと、検知範囲内へ人が入ればセンサ9が人を検知してIC制御器11を作動させ、照明器具8へ供給する電力を増し、照明器具8の照度をドア37のノブ36に装備された錠前の開錠及び施錠を行ない易い程度に上げる。しかし、人が検知範囲外へ去れば、センサ9がこれを検知し、IC制御器11を供給電力が減ずるように作動させるため、照明器具8の照度を経済的な常用照度に戻るものである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
既成の建物へ庇ユニットを後から簡便に取り付けて、商用電源を使わず夜間等は照明を行なうのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】太陽電池付き後付け庇ユニットを建物へ外付けした状態を示す断面図
【図2】庇ユニットを構成する各部材と庇本体の組立て要領を示す斜視図
【図3】庇本体に用いる庇骨材の構造を示す斜視図
【図4】(a)(b)は屋根材の各タイプを示す一部分の断面図
【図5】(a)(b)(c)は庇本体の裏材に用いるスパンドレルの各タイプを示す側面図
【図6】庇本体を建物へ外部より取付を可能とする取付手段の斜視図
【図7】庇本体の構造を示す断面図
【図8】庇本体の外観を示す斜視図
【符号の説明】
【0031】
1 後付け庇ユニット
2 庇本体
3 取付手段
4 既成の建物
5 屋根材
6 太陽電池
7 裏材
8 照明器具
9 センサ
10 バッテリー
11 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既成の建物の要所へ外側よりの取付けが可能な取付手段で後から取り付ける後付け庇ユニットであって、
この庇ユニットにおける庇本体は、屋根材の上へ太陽電池を取り付けられ、裏材に照明器具を取り付けられていて、
内部には上記太陽電池で発生した電力を蓄えるバッテリーと、上記照明器具の作動を制御する制御器を内蔵していることを特徴とする太陽電池付き後付け庇ユニット。
【請求項2】
庇ユニットの裏材には人の接近を検知して上記制御器を作動させるセンサを取付けたことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池付き後付け庇ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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