説明

太陽電池用リード線及びその製造方法

【課題】セル割れ抑制効果の高い太陽電池用リード線及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導電材12の周囲にはんだめっき層13を有する太陽電池用リード線において、はんだめっき層13が圧延により平坦に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用リード線に係り、特に、セル割れ抑制効果の高い太陽電池用リード線及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池には、半導体基板として多結晶及び単結晶のSiセルが用いられる。
【0003】
図6(a)、図6(b)に示されるように、太陽電池100は、半導体基板102の所定の領域、すなわち半導体基板102の表面に設けられた表面電極104と裏面に設けられた裏面電極105に、太陽電池用リード線103a、103bをはんだで接合して作製される。半導体基板102内で発電された電力を太陽電池用リード線103を通じて外部へ伝送する。
【0004】
図7に示されるように、従来の太陽電池用リード線103は、帯板状導電材112とその帯板状導電材112の上面112aと下面112bにそれぞれ形成された溶融はんだめっき層113とを備える。帯板状導電材112は、例えば、円形断面の導体を圧延加工して帯板状にしたものであり、平角導体、平角線とも呼ばれる。
【0005】
溶融はんだめっき層113は、帯板状導電材112の上下面に、溶融めっき法により溶融はんだを供給して形成したものである。
【0006】
溶融めっき法は、酸洗等により帯板状導電材112の上下面112a、112bを清浄化し、その帯板状導電材112を溶融はんだ浴に通すことにより、帯板状導電材112の上下面112a、112bにはんだを積層していく方法である。溶融はんだめっき層113は、帯板状導電材112の上下面112a、112bに付着した溶融はんだが凝固する際に表面張力の作用によって、図7に示されるように、幅方向側部から中央部にかけて膨らんだ形状、いわゆる山形に形成される(例えば、特許文献1)。
【0007】
図7に示した従来の太陽電池用リード線103は、帯板状導電材112の上下面112a、112bに山形に膨らんだ溶融はんだめっき層113が形成されるため、帯板状導電材112の上下面112a、112bにおける溶融はんだの塗布量を多くすることができるので、半導体基板102の表面電極104又は裏面電極105にはんだ接合する際に、接合力を強くすることができる点で利点を有している。
【0008】
【特許文献1】特開2002−263880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この太陽電池用リード線103は溶融はんだめっき層113が山形に膨らんでいるため、ボビンに巻き取る際に安定した積層状態が得られ難く、巻き崩れが起こりやすい。巻き崩れにより太陽電池用リード線103が絡まり、引き出されなくなることがある。
【0010】
この太陽電池用リード線103を所定の長さに切断し、エアで吸着して図6の半導体基板102の表面電極104上に移動し、半導体基板102の表面電極104にはんだ付けする。表面電極104には、表面電極104と導通する電極帯(図示せず)が、あらかじめ形成されている。この表面電極104に太陽電池用リード線103aの溶融はんだめっき層113を接触させ、その状態ではんだ付けを行う。太陽電池用リード線103bを半導体基板102の裏面電極105にはんだ付けする場合も同様である。
【0011】
このとき、図7の太陽電池用リード線103は、溶融はんだめっき層113が膨らみ偏肉化しているため、エア吸着治具との接触面積が小さく吸着力が不十分で、移動の際に落下する問題がある。
【0012】
また、表面電極104と溶融はんだめっき層113との接触面積が小さくなる。表面電極104と溶融はんだめっき層113との接触面積が小さいと、半導体基板102から溶融はんだめっき層113への熱伝導が不十分になり、はんだ付け不良が生じる。
【0013】
また、表面電極104と溶融はんだめっき層113との接触面積が小さいことは、半導体基板102の表裏両面に太陽電池用リード線103a、103bを接合する場合に、表面電極104にはんだ付けする太陽電池用リード線103aと裏面電極105にはんだ付けする太陽電池用リード線103bとの間に位置ズレを生じさせ、その位置ズレが原因でセル割れ(半導体基板102が割れること)が発生する。半導体基板102は高価であるので、セル割れは好ましくない。
【0014】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、セル割れ抑制効果の高い太陽電池用リード線及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明の太陽電池用リード線は、導電材の周囲にはんだめっき層を有する太陽電池用リード線において、前記はんだめっき層が圧延により平坦に形成されているものである。
【0016】
前記平坦に形成された太陽電池用リード線であって、前記導電材の表面に形成された前記はんだめっき層の厚さが前記導電材の裏面に形成された前記はんだめっき層の厚さと同等であってもよい。
【0017】
前記導電材の片面に、前記はんだめっき層を収納するための凹みを有してもよい。
【0018】
前記導電材が平角導体であって、該平角導体の断面水平方向の中心線に対して線対称である位置に前記はんだめっき層を収納するための凹みをそれぞれ有してもよい。
【0019】
前記はんだめっき層は、Sn−Pb系はんだ又はPbを含まないはんだのいずれかからなってもよい。
【0020】
前記導電材は、純銅からなってもよい。
【0021】
また、本発明の太陽電池用リード線の製造方法は、送り出しリールから平角導体又は丸線導体からなる長尺の導電材を送り出し、該導電材を溶融はんだめっき槽に浸漬した後、冷却して溶融はんだめっき層を有するめっき線を形成し、該めっき線を巻取りリールに巻き取る太陽電池用リード線の製造方法において、前記冷却しためっき線の溶融はんだめっき層が凝固した後に圧延することにより、前記めっき線を平坦に形成するものである。
【0022】
前記冷却しためっき線の溶融はんだめっき層が凝固した後に圧延することにより、前記めっき線を平坦に形成され、かつ、前記導電材の表面に形成された前記はんだめっき層の厚さが前記導電材の裏面に形成された前記はんだめっき層の厚さと同等であってもよい。
【0023】
前記導電材の片面に、あらかじめ前記溶融はんだめっき層を収納するための凹みを形成しておいてもよい。
【0024】
前記導電材が平角導体であって、該平角導体の断面水平方向の中心線に対して線対称である位置にあらかじめ前記溶融はんだめっき層を収納するための凹みをそれぞれ設けておいてもよい。
【0025】
前記導電材に、あらかじめ加熱処理を施すことにより、前記導電材に90MPa以下の0.2%耐力を付与しておいてもよい。
【0026】
前記溶融はんだめっき線の溶融はんだめっき層が凝固した後に圧延し、該溶融はんだめっき線にはんだの融点以下の温度で加熱処理を施すことにより、前記圧延時に生じた該溶融はんだめっき層の加工歪みを除去してもよい。
【0027】
前記溶融はんだめっき線の溶融はんだめっき層が凝固した後に圧延し、該溶融はんだめっき線にはんだの融点以上の温度で加熱処理を施すことにより、前記圧延時に生じた該導電材及び該溶融はんだめっき層の加工歪みを除去してもよい。
【0028】
該溶融はんだめっき線にはんだの融点以上の温度で加熱処理を施した後、さらに圧延することで平坦に仕上げてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、セル割れ抑制効果が高い太陽電池用リード線を得ることができるという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0031】
図1(a)〜図1(c)に示されるように、本発明に係る太陽電池用リード線11は、帯板状導電材等の導電材12の周囲に溶融はんだめっき層13を有する。導電材12の上部に形成された溶融はんだめっき層13を上部溶融はんだめっき層13と呼び、導電材12の下部に形成された溶融はんだめっき層13を下部溶融はんだめっき層13と呼ぶ。本発明の太陽電池用リード線は、溶融はんだめっき層13が圧延により平坦に形成されている。
【0032】
図1(a)の太陽電池用リード線11は、導電材12が、例えば、平角導体から構成されており、断面輪郭が長方形である。導電材12の全周囲を覆うように形成された溶融はんだめっき層13は、断面輪郭が長方形であり、溶融はんだめっき層13の上面13aと下面13bが平坦に形成されている。
【0033】
図1(b)の太陽電池用リード線11は、導電材12の片面(この例では上面12aであるが、下面12bでもよい)に、溶融はんだめっき層13を収納するための凹み14が形成されている。この太陽電池用リード線11においても、溶融はんだめっき層13の上面13aと下面13bは、平坦に形成されている。
【0034】
図1(c)の太陽電池用リード線11は、導電材12の両面(上面12aと下面12b)それぞれに、溶融はんだめっき層13を収納するための凹み14a、14bが形成されている。この太陽電池用リード線11においても、溶融はんだめっき層13の上面13aと下面13bは、平坦に形成されている。
【0035】
本発明に係る太陽電池用リード線11は、半導体基板の表面電極及び裏面電極への設置が容易となるように、かつ、接合時に必要な熱伝導が十分に確保されるように、溶融はんだめっき層13を平坦に形成したものである。これにより、表面電極及び裏面電極に対して太陽電池用リード線11を整然と設置でき、強固なはんだ付けが可能となる。
【0036】
また、本発明に係る太陽電池用リード線11は、溶融はんだめっき層13が平坦なため、エア吸着治具との密着性が高く移動時の落下が起こりにくい。
【0037】
さらに、本発明に係る太陽電池用リード線11は、溶融はんだめっき層13が平坦なことで、ボビンに巻き取る際に安定した積層状態が得られ易く、巻き崩れが起こりにくい。よって、巻き崩れにより太陽電池用リード線11が絡まって引き出されなくなることがない。
【0038】
導電材12には、例えば、体積抵抗率が50μΩ・mm以下の平角線(平角導体)を用いる。この平角線を圧延加工することによって図1(b)、図1(c)のような凹み14、14a、14bを有する横断面形状の導電材12を得ることができる。導電材12には、丸線導体を用いてもよい。
【0039】
また、平角導体の製造方法は特に限定はなく、幅広の圧延材をスリットすることで平角導体を製造する方法であってもよく、丸線導体を圧延して平角導体にする方法であってもよい。
【0040】
導電材の製造方法も、特に限定することがなく、アップキャスト法、SCR法、ヘズレー法、ダウンキャスト法、プロペルチェ法によることもできる。
【0041】
導電材12は、Cu、Al、Ag、Auのいずれかからなる。あるいは、導電材12は、いわゆる純銅、例えば、タフピッチCu、低酸素Cu、無酸素Cu、リン脱酸Cu、純度99.9999%以上の高純度Cuのいずれかからなる。
【0042】
溶融はんだめっき層13としては、Sn系はんだ(Sn系はんだ合金)を用いる。Sn系はんだは、成分重量が最も重い第1成分としてSnを用い、第2成分としてPb、In、Bi、Sb、Ag、Zn、Ni、Cuから選択される少なくとも1つの元素を0.1mass%以上含むものである。溶融はんだめっき層13には、Sn−Pb系はんだ、Sn−Pb−P系はんだの他に鉛を含まないはんだ、例えば、Sn−Ag−Cu系はんだ、Sn−Ag−Cu−P系はんだ、Sn−Bi−Ag系はんだ、Sn−Bi−Ag−P系はんだを用いることができる。
【0043】
次に本発明に用いる導電材12の材料の物性を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
導電材12は、体積抵抗率が比較的小さい材料で構成することが好ましい。表1のように、導電材12の材料にはCu、Al、Ag、Auなどがある。
Cu、Al、Ag、Auのうち体積抵抗率が最も低いのはAgである。従って、導電材12としてAgを用いると、太陽電池用リード線11を用いた太陽電池の発電効率を最大限にすることができる。導電材12としてCuを用いると、太陽電池用リード線11を低コストにすることができる。導電材12としてAlを用いると、太陽電池用リード線11の軽量化を図ることができる。
【0046】
導電材12としてCuを用いる場合、そのCuには、タフピッチCu、低酸素Cu、無酸素Cu、リン脱酸Cu、純度99.9999%以上の高純度Cuのいずれを用いてもよい。導電材12の0.2%耐力を最も小さくするためには、純度が高いCuを用いるのが有利である。よって、純度99.9999%以上の高純度Cuを用いると、導電材12の0.2%耐力を小さくすることができる。タフピッチCu又はリン脱酸Cuを用いると、太陽電池用リード線11を低コストにすることができる。
【0047】
溶融はんだめっき層13に用いるはんだとしては、Sn系はんだ、又は、第1成分としてSnを用い、第2成分としてPb、In、Bi、Sb、Ag、Zn、Ni、Cuから選択される少なくとも1つの元素を0.1mass%以上含むSn系はんだ合金が挙げられる。これらのはんだは、第3成分として1000ppm以下の微量元素を含んでいてもよい。
【0048】
以下、本発明の太陽電池用リード線の製造方法を説明する。
【0049】
図1(a)〜図1(c)に示した太陽電池用リード線11を製造するために、導電材12の上下面に溶融はんだを供給し、はんだ浴出口ではんだめっきが固体状態となった導電材12を冷却部26(図2参照)に挿入し、冷却後のはんだめっき線を圧延ロールにより圧延することによって、導電材12の上下の溶融はんだめっき層13、13を平坦に形成する。ここで「平坦」とは、めっき表面を基準とする凹凸の高低差が7μm以下であることを表す。
【0050】
導電材12は、素線(断面円形状の線材)を圧延加工し、その後、連続通電加熱炉又は連続式加熱炉又はバッチ式加熱設備で熱処理して形成してもよい。
【0051】
図2に、溶融はんだめっき層13、13を平坦にするための溶融めっき設備21を示す。溶融めっき設備21は、平角導体又は丸線導体からなる長尺の導電材12を送り出す送り出しリール22、はんだ浴(溶融はんだめっき槽)23、はんだ浴23内に設置され導電材12を反転させて上方に向く反転ローラ24、はんだ浴23外で反転ローラ24の上方に設置され溶融はんだめっき線25を冷却する冷却部26、冷却部26の上方に上下に複数段に設置されそれぞれ左右一対のローラからなる圧延ロール27、28、29、溶融はんだめっき線25を加熱処理する加熱部30、加熱部30の上方に設置され左右一対のローラからなる圧延ロール31、最上方に設置された引き上げローラ32、溶融はんだめっき線25を巻き取る巻取りリール33を備える。
【0052】
導電材12は、はんだ浴23に浸漬されることで上下面および側面にはんだが供給され、反転ローラ24で反転されて上方に向う。
【0053】
図3に示されるように、溶融状態の溶融はんだめっき線25を冷却部26に送り込む。冷却部26では、例えば、50℃以下の空気を吹き付けるなどによって冷却することではんだめっき線25を固体状態とする。この固体状態の溶融はんだめっき線25が複数段の圧延ロール27、28、29で圧延され、さらに圧延ロール31で圧延されることにより、最終のめっき厚が調整される。
【0054】
この結果、図1(a)〜図1(c)に示したような、溶融はんだめっき層13、13が平坦な太陽電池用リード線11が製造される。
【0055】
冷却部26は、50℃以下の空気を吹き付ける場合に限定するものではなく、酸化を防止するためAr、Ni等の不活性ガス単体又は混合ガスを室温以下の温度で吹き付けることで迅速に固化することが生産効率を上げるうえで望ましい。
【0056】
ここで、冷却部26によるめっき膜厚の均一化(平坦化)について述べる。
【0057】
1)原料銅材を帯板状導電材とした場合
導電材12として、帯板状導電材(平角導体)を用いた場合には、溶融はんだめっきを塗布した後に冷却することにより、溶融はんだが導電材12の周囲に表面張力で最小サイズになる形状で固化する。このとき、導電材12の周面における溶融はんだめっきの塗布量は一定である。この溶融はんだめっき線25を圧延することにより、溶融はんだめっき層13が塑性加工されて上下面の溶融はんだめっき層13の厚さが一定で表面性状が均一な平角形状の太陽電池用リード線11になる。
【0058】
冷却(急冷)の後、塑性加工された溶融はんだめっき層13の加工歪を除去するため、低温加熱処理(例えば、150℃〜230℃での高周波加熱)を施すことが好ましい。これにより0.2%耐力値の低い太陽電池用リード線11を溶融はんだめっき塗布工程と同一工程にてインラインで実現することができる。
【0059】
2)原料銅材を丸線とした場合
導電材12として、丸線導体を用いた場合には、丸線導体の周面に溶融はんだめっきを塗布した後に冷却することにより、溶融はんだが表面張力で最小サイズになる形状で固化する。このとき、丸線導体の周面における溶融はんだめっきの塗布量はほぼ一定厚さである。この溶融はんだめっき線25を圧延することにより丸線導体および溶融はんだめっき層13が塑性加工される。丸線導体が塑性変形されて帯板状導電材となる。その帯板状導電材の上下面の溶融はんだめっき層13の厚さが均一に形成された平角形状の太陽電池用リード線11になる。
【0060】
この場合にも、塑性加工された帯板状導電材と溶融はんだめっき層の加工歪を除去するため、高温加熱処理(例えば、500〜600℃での高周波加熱)を施すことが好ましい。これにより0.2%耐力値の低い太陽電池用リード線を溶融はんだめっき塗布工程と同一工程にてインラインで実現することができる。さらに冷間ロール圧延により、軽度の圧延を施すことにより、上下面のめっき膜厚の一定である精密平角線となる。ここに軽度の圧延とは、加工度0.2%〜1%程度のことをいう。
【0061】
導電材12に溶融はんだめっき層13、13を平坦に形成するために、圧延ロール27、28、29は、めっき浴23の上方において導電材12の上下面(この溶融めっき設備21においては左右に位置する)を挟むように配置される。各圧延ロール27、28、29における左右一対のローラの間隔を微調整することで、溶融はんだめっき層13、13のめっき厚および溶融はんだめっき層13の横断面形状を調整することができる。
【0062】
すなわち、溶融めっき設備21において、導電材12の周囲に溶融はんだめっき層13が形成される際、導電材12が溶融めっき設備21の上下に走行する経路は、反転ローラ24と引き上げローラ32とで決定され、その経路に対して各圧延ロール27、28、29の上下位置と左右間隔を微調整することで、上部溶融はんだめっき層13の層厚と下部溶融はんだめっき層13の層厚が調整できると共に全体の層厚が調整できる。全体の層厚は、先ず下部の圧延ロール27におけるローラの間隔で最初の厚さが決定され、最上部の圧延ロール31のローラの間隔で最終厚さが決定される。さらに、引き上げローラ32で溶融はんだめっき線25が反転されたとき、溶融はんだめっき線25の上面が上部溶融はんだめっき層13となり、下面が下部の溶融はんだめっき層13となるが、その溶融はんだめっき層13の平坦度を決定する圧延ロールは、図で見て左側のローラが上部溶融はんだめっき層13の平坦度を決定し、右側のローラが下部溶融はんだめっき層13の平坦度を決定することとなるため、これら圧延ロールの経路に対する位置を調整することで溶融はんだめっき層13の平坦度を調整できる。
【0063】
スリット加工による導電材12は、種々の幅の材料に対応できる。つまり、導電材12の幅が長手方向に均一でなくてもまた、幅が異なる多様な導電材12を使用する場合でも、スリット加工によって長尺で長手方向に幅が均一なものが形成できる。
【0064】
次に、本発明の太陽電池用リード線11を用いた太陽電池の製造方法を説明する。
【0065】
本発明の太陽電池用リード線11を、図5に示す半導体基板52の表面電極54及び裏面電極55にはんだ付けするに際し、太陽電池用リード線11や半導体基板52の加熱温度は、溶融はんだめっき層13のはんだの融点付近の温度に制御される。その理由は、太陽電池用リード線11の導電材12(例えば、銅からなる)の熱膨張率と半導体基板(Siからなる)の熱膨張率が大きく相違するためである。熱膨張率の相違によって半導体基板52にクラックを発生させる原因となる熱応力が生じる。この熱応力を小さくするには、低温接合を行うのがよい。よって、太陽電池用リード線11や半導体基板52の加熱温度は、溶融はんだめっき層13のはんだの融点付近の温度に制御される。
【0066】
太陽電池用リード線11と表面電極54及び裏面電極55の接合時の加熱方法は、半導体基板52をホットプレート上に設置し、このホットプレートからの加熱と半導体基板52に設置された太陽電池用リード線11の上方からの加熱とを併用するものである。
【0067】
半導体基板52の表面電極54及び裏面電極55と溶融はんだめっき層13との接触面積を大きくし、半導体基板52から溶融はんだめっき層13への熱伝導を十分にするためには、溶融はんだめっき層13を含む太陽電池用リード線11の形状を平角状にするのが良い。
【0068】
さらに、本発明の太陽電池用リード線11は、溶融はんだめっき層13を平坦に形成したので、太陽電池用リード線11は、上下面が共に平坦である。よって、半導体基板52の表裏両面に太陽電池用リード線11を接合する場合に、表面電極54にはんだ付けする太陽電池用リード線11と裏面電極55にはんだ付けする太陽電池用リード線11の間に位置ズレが生じない。
【0069】
また、本発明の太陽電池用リード線11は、導電材12の上下面に平坦な溶融はんだめっき層13を厚く形成しても従来の太陽電池用リード線103のように位置ずれが生じず、接合時に十分なはんだを供給できるので、太陽電池用リード線11の接合後にSiセル表面電極上に形成されるはんだフィレットを安定した山形の形状にすることも可能である。フィレットとは、ろう付けやはんだ付けを行った継ぎ手の隙間からはみだしたろうやはんだを指す。
【0070】
次に、本発明の太陽電池用リード線11の製造方法をより詳しく説明する。
【0071】
まず、原料の断面円形状の線材(図示せず)を圧延加工するか、又は平板をスリット加工することにより、帯板状導電材を形成する。この帯板状導電材を連続通電加熱炉又は連続式加熱炉又はバッチ式加熱設備で熱処理して導電材12を得る。その後、図2の溶融めっき設備21を用いて導電材12の周囲に溶融はんだを供給して溶融はんだめっき層13を形成し、その後、溶融はんだめっき層13を平坦に形成する。
【0072】
一般に、固体や液体の内部では、内部分子同士に分子間力が働いているため、できるだけ小さくなろうとする性質がある。表面の分子は片側が異なる分子に囲まれているため、高い内部エネルギ状態にあり、その過剰なエネルギを安定した状態にしようとする。空気と接するはんだ(液体)の場合、空気中の分子間力ははんだ中の分子間力に比べて極めて小さいため、はんだ表面の分子は空気側の分子からは引っ張られず、はんだ内部の分子からのみ引っ張られることになる。よって、はんだ表面の分子は常にはんだの中に入っていこうとし、その結果、はんだ表面は最も表面積の少ない(はんだを構成する元素の少ない)球状になろうとする。
【0073】
このような表面積を小さくするように働く力(表面張力)によって、図7に示した従来の太陽電池用リード線103は、帯板状導電材112の上下面に山形に膨らんだ形状で凝固した溶融はんだめっき層113が形成される。球状になるはずのはんだが球状にならないのは、はんだに帯板状導電材112との界面の相互作用力(はんだと帯板状導電材112の界面張力)がかかっているからである。
【0074】
これに対し、本発明の太陽電池用リード線11は、はんだが凝固した後にロール間に通すことで、溶融はんだめっき層13を平坦に形成することができる。
【0075】
原料を帯板状導電材に加工する加工方法としては、圧延加工、スリット加工のいずれも適用可能である。圧延加工とは、丸線を圧延して平角化する方式である。圧延加工により帯板状導電材を形成すると、長尺で長手方向に幅が均一なものが形成できる。スリット加工は、種々の幅の材料に対応できる。つまり、原料導電材の幅が長手方向に均一でなくても、幅が異なる多様な原料導電材を使用する場合でも、スリット加工によって長尺で長手方向に幅が均一なものが形成できる。
【0076】
導電材12を熱処理することにより、導電材12の軟らかさを向上させることができる。導電材12の軟らかさを向上させることは、0.2%耐力を低減させるのに有効である。熱処理方法としては、連続通電加熱、連続式加熱、バッチ式加熱がある。連続して長尺にわたって熱処理するには、連続通電加熱、連続式加熱が好ましい。安定した熱処理が必要な場合には、バッチ式加熱が好ましい。酸化を防止する観点から、窒素などの不活性ガス雰囲気あるいはタフピッチ銅以外の酸素の少ない銅では水素還元雰囲気の炉を用いるのが好ましい。
【0077】
不活性ガス雰囲気あるいは水素還元雰囲気の炉は、連続通電加熱炉又は連続式加熱炉又はバッチ式加熱設備により提供される。
【0078】
次に、本発明の太陽電池用リード線11を用いた太陽電池について詳しく説明する。
【0079】
図5(a)及び図5(b)に示されるように、本発明の太陽電池51は、これまで説明した太陽電池用リード線11を溶融はんだめっき層13のはんだによって半導体基板52の表面電極54及び裏面電極55にはんだ付けしたものである。
【0080】
太陽電池用リード線11と表面電極54及び裏面電極55との接合面となる溶融はんだめっき層13が平坦であるため、半導体基板52の表裏において太陽電池用リード線11の位置が安定し、位置ずれが防止されている。
【0081】
本発明の太陽電池51によれば、太陽電池用リード線11と半導体基板との接合強度が高く、かつ、接合時のセル割れを抑制することができるので、太陽電池の歩留まりの向上が図れる。
【実施例】
【0082】
(実施例1)
原料導電材であるCu材料を圧延加工して幅2.0mm、厚さ0.16mmの平角線状の導電材12を形成する。この導電材12をバッチ式加熱設備(高周波熱源)で熱処理(再結晶が可能な800℃で60sec)する。図2に示す溶融めっき設備21により、この導電材21の周囲にSn−3%Ag−0.5%Cuはんだめっきを施す。このとき、溶融はんだめっき線25は、図4(a)に示されるように、導電材21の周囲にめっきされたはんだ41は、断面輪郭が円形となる。導電材12の上下面における溶融はんだめっき層13は、中央部のめっき厚が20μmである。
【0083】
この溶融はんだめっき線25を、50℃の空気を吹き付けることによって冷却する。このとき、溶融はんだめっき線25は、図4(b)に示されるように、導電材21の周囲にめっきされたはんだ41は、断面輪郭が円形である。その後、圧延ロールによりロール圧延することで溶融はんだめっき線25を図4(c)に示されるように、平坦に形成する。なお、導電材12は熱処理Cuである。
【0084】
その後、溶融はんだめっき線25を、図4(d)に示されるように、はんだの融点以下(150℃)で10sec高周波加熱して、図1(a)の太陽電池用リード線11を得た。
【0085】
(実施例2)
原料導電材であるCu材料を圧延加工して幅2.0mm、厚さ0.16mmの平角線状の導電材12を形成する。実施例1との相違はこの時点においてこの導電材12には高周波熱源による熱処理を施さない点にある。この導電材12を図2に示す溶融めっき設備21により、この導電材12の周囲にSn−3%Ag−0.5%Cuはんだめっきを施す。このとき、溶融はんだめっき線25は図4(a)に示されるように、導電材12の周囲にめっきされたはんだ41は断面輪郭が円形となる。導電材12の上下面における溶融はんだめっき層13は、中央部のめっき厚が20μmである。この溶融はんだめっき線25を、50℃の空気を吹き付けることによって冷却する。このとき、溶融はんだめっき線25は、図4(b)に示されるように、導電材21の周囲にめっきされたはんだ41は断面輪郭が円形となる。圧延ロールによりロール圧延することで溶融はんだめっき線25を図4(c)に示されるように、平坦に形成する。なお、導電材12は熱処理Cuである。その後、溶融はんだめっき線25を図4(d)に示されるように、導電材及びはんだめっき層の歪みを除去して溶融はんだめっき線の0.2%耐力を90MPa以下に下げるために、はんだの融点以上(500℃で10sec)の高周波加熱する。さらに溶融はんだめっき線25に0.8%加工度で圧延を施す。
【0086】
以上により、図1(a)の太陽電池用リード線10を得た。
【0087】
(実施例3)
原料導電材であるCu材料を圧延加工して上面に凹部を有する幅2.0mm、厚さ0.16mmの導電材12を形成する。この導電材12をバッチ式加熱設備(高周波熱源)で熱処理(800℃で60sec)する。図2に示す溶融めっき設備21において、この導電材12にはんだめっきを施して導電材12の上下面に溶融はんだめっき層13(中央部のめっき厚20μm)を得る。冷却(50℃の空気を吹き付ける)の後、圧延ロールによりロール圧延することで溶融はんだめっき線25を平坦に形成する。導電材12は熱処理Cuである。その後、溶融はんだめっき線25を高周波加熱して、図1(b)の太陽電池用リード線10を得た。
【0088】
この構成であれば、凹み14が溶融はんだめっきを収納する構造になっているため、溶融はんだめっき層13を平坦に形成したとしても、十分なはんだ充填量を備えることができ接合性に寄与しうる。
【0089】
(実施例4)
原料導電材であるCu材料を圧延加工して上面に凹部を有する幅2.0mm、厚さ0.16mmの導電材12を形成する。実施例3との相違はこの時点においてこの導電材12には高周波熱源による熱処理を施さない点にある。図2に示す溶融めっき設備21において、この導電材12にはんだめっきを施して導電材12の上下面に溶融はんだめっき層13(中央部のめっき厚20μm)を得る。冷却(50℃の空気を吹き付ける)の後、圧延ロールによりロール圧延することで溶融はんだめっき線25を平坦に形成する。その後、溶融はんだめっき線25をはんだの融点以上(500℃で10sec)の高周波加熱し、さらに0.8%の加工度で圧延を施す。以上により、図1(b)の太陽電池用リード線10を得た。
【0090】
(実施例5)
原料導電材であるCu材料を圧延加工して上下面に凹部を有する幅2.0mm、厚さ0.16mmの導電材12を形成する。この導電材12をバッチ式加熱設備(高周波熱源)で熱処理(800℃で60sec)する。図2に示す溶融めっき設備21において、この導電材12にはんだめっきを施して導電材12の上下面に溶融はんだめっき層13(中央部のめっき厚20μm)を得る。その後、溶融はんだめっき線25を平坦に形成する。その後、溶融はんだめっき線を図4(d)に示されるように、はんだの融点以下(150℃で10sec)で高周波加熱して、図1(a)の太陽電池用リード線10を得た。
【0091】
(実施例6)
原料導電材であるCu材料を圧延加工して上下面に凹部を有する幅2.0mm、厚さ0.16mmの導電材12を形成する。図2に示す溶融めっき設備21において、この導電材12にはんだめっきを施して導電材12の上下面に溶融はんだめっき層13(中央部のめっき厚20μm)を得る。その後、溶融はんだめっき層13を平坦に形成する。その後、はんだの融点以上(500℃で10sec)の高周波加熱をし、さらに0.8%の加工度で圧延を施す。端部のめっき厚は5μmになるようにめっき条件を調整する。
【0092】
以上により、図1(c)の太陽電池用リード線11を得た。
【0093】
この構成であれば、導電材12の上下両面の凹み14a、14bが溶融はんだめっきを収納する構造になっているため、溶融はんだめっき層13を平坦に形成したとしても、導電材12の上下両面を接合面として使用したとき、十分なはんだ充填量を備えることができ接合性に寄与しうる。
【0094】
(比較例1)
原料導電材であるCu材料を圧延加工して幅2.0mm、厚さ0.16mmの平角線状の帯板状導電材112を形成した。この帯板状導電材112をバッチ式加熱設備で熱処理し、さらに、この帯板状導電材112の周囲にはんだめっきを施して帯板状導電材112の平坦な上下面に山形に膨らんだ溶融はんだめっき層113(中央部のめっき厚20μm)を形成した。帯板状導電材112は熱処理Cuである。
【0095】
以上により、図7の太陽電池用リード線103を得た。
【0096】
(比較例2)
原料導電材であるCu材料を圧延加工して幅2.0mm、厚さ0.16mmの平角線状の導電材12を形成した。この帯板状導電材をバッチ式加熱設備(高周波熱源)で熱処理する。図2に示す溶融めっき設備21において、この導電材12の周囲にSn−3%Ag−0.5%Cuはんだめっきを施す。導電材12の上下面の溶融はんだめっき層13が溶融状態のまま、圧延ロールによりロール圧延することで溶融はんだめっき層13を平坦に形成する。導電材12は熱処理Cuである。その後、高周波加熱し、さらに0.8%の加工度で圧延を施す。
【0097】
以上により、図1(a)の太陽電池用リード線11を得た。
【0098】
これら実施例1〜6及び比較例1、2の太陽電池用リード線の断面を観察した結果、実施例1〜6は半導体基板に接合するべき上下面がいずれも平坦であることが確認された。
【0099】
比較例1は、半導体基板に接合するべき上下面がいずれも中央部で膨らんだ山形の断面であった。
【0100】
これら実施例1〜6及び比較例1、2の太陽電池用リード線にロジン系フラックスを適量塗布し、それぞれの太陽電池用リード線を銅板上に設置し、ホットプレート加熱(260℃で30秒間保持)し、太陽電池用リード線を銅板にはんだ付けした。さらに、これら銅板にはんだ付けした太陽電池用リード線の銅板に対する接合力を評価するために、90°剥離試験を行った。また、これらの太陽電池用リード線を縦150mm×横150mm×厚み180μmの半導体基板(Siセル)の両面の電極部位に設置して、10gの錘を載せた状態で同様にホットプレート加熱(260℃で30秒間保持)し、はんだ付けした。そのはんだ付けの際に生じるセル割れの状況を調べた。比較例2については、上面を接合する場合と下面を接合する場合を行ってそれぞれの場合についてセル割れの状況を調べた。
【0101】
実施例1〜6及び比較例1、2の評価結果を表2に示す。
【0102】
【表2】

【0103】
表2の「断面形状」の欄は、どの図に示した断面形状であったかを示す。
【0104】
表2の「接合力」の欄は、90°剥離試験により銅板と太陽電池用リード線を引っ張り、どのくらいの引張力で引っ張ったときに接合が剥がれるか試験を行った結果を示し、◎は引張力20N以上、○は引張力10〜20Nを、×は引張力が10Nを示す。
【0105】
表2の「セル割れ」の欄は、はんだ付け試験によってセル両面に平角線を接合しセル割れの有無を調べたときに、目視で確認可能な程度のセル割れが1箇所以上あればセル割れ有りと判定、それ以外ではセル割れ無しと判定し、全接合箇所におけるセル割れ無しの割合が90%以上の場合を○、セル割れ無しの割合が70%以上90%未満の場合を△、セル割れ無しの割合が70%未満の場合を×とした。なお、セル割れ無しの割合は下記の式により算出した。
【0106】
(セル割れ無しの割合)=[(割れが生じないセル枚数)/(はんだ付け試験を行ったセル枚数)]×100
表2の「上下めっき膜厚の均一性」の欄は、上下面の溶融はんだめっき層の幅方向中央部のめっき厚さをそれぞれ測定してその差が10μm以上である場合には×とし、それ以下であれば○とした。
【0107】
また、実施例2、実施例3については、凹部以外の部分の両面における溶融はんだめっき厚さを比較して同様の基準により実施した。
【0108】
帯板状導電材の両面においてはんだめっき層の厚さが異なると、溶融量が異なるので、歪の発生の程度が異なり、はんだめっき層の製造時の割れ、歪の発生頻度の変化につながる。また、溶融量が少ない面については接合強度が低くなってしまう。
【0109】
表2の「めっき面の平坦性」の欄は、太陽電池用リード線の断面写真を撮影し、溶融はんだめっき層の平坦面(比較例1の場合は最も突出した部分)を基準として絶対値で±7μmまでを許容範囲とし、○とした。この許容範囲を超えるものについては×とした。
【0110】
表2に示されるように、実施例1〜3の太陽電池用リード線は、上下面に溶融はんだを供給してロールによって溶融はんだめっき層を平坦に形成したので、優れた接合力が得られることが確認された。
【0111】
特に、実施例1の太陽電池用リード線11は、上下面に溶融はんだを中央部から端部にわたり十分に供給して溶融はんだめっき層13を平坦に形成したので、接合に寄与するはんだが十分に供給され、良好なフィレットの形成されたことが高い接合力に繋がっている。
【0112】
実施例1の太陽電池用リード線11は、半導体基板との接合面がフラットなため、従来の太陽電池(図6)のような点接触ではなく、本発明の太陽電池(図5)のような面接触が可能であり、さらに、中央部から端部にわたり十分に溶融はんだを供給して接合に寄与するはんだが多いので、良好なはんだフィレットが形成される。これにより、接合性(強度及び導電性)が向上する。
【0113】
また、表2に示されるように、実施例1〜3の太陽電池用リード線11は、ロールめっきによって上下面に溶融はんだめっき層13を平坦に形成したので、セル割れが抑制されることが確認された。
【0114】
これに対し、めっき後にロール圧延加工を行わない比較例1では、めっき面の平坦性が悪くセル割れがみられ、接合力は本発明に比べてやや劣る。
【0115】
はんだめっき層が溶融している状態で圧延加工を施す比較例2では、帯板状導電材が偏芯するため、帯板状導電材の両面に存在する溶融はんだめっき層の厚さに差が生じ、下面の接合力が本発明に比べて劣っていた。
【0116】
以上のように、実施例1〜6及び比較例1、2の評価結果から、本発明はセル割れ抑制効果が高いことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】(a)、(b)、(c)は、それぞれ本発明の一実施形態を示す太陽電池用リード線の横断面図である。
【図2】本発明の太陽電池用リード線の製造方法に用いる溶融はんだめっき層形成用設備の概略図である。
【図3】図2の溶融はんだめっき層形成用設備の部分拡大図である。
【図4】(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の太陽電池用リード線の製造過程における溶融はんだめっき線の横断面図である。
【図5】本発明の太陽電池用リード線が用いられる太陽電池を示し、(a)は横断面図、(b)は上面図である。
【図6】従来の太陽電池用リード線が用いられる太陽電池を示し、(a)は横断面図、(b)は上面図である。
【図7】従来の太陽電池用リード線の横断面図である。
【符号の説明】
【0118】
11 太陽電池用リード線
12 導電材(帯板状導電材)
13 溶融はんだめっき層
14、14a、14b 凹み
21 溶融めっき設備
22 送り出しリール
23 はんだ浴(溶融はんだめっき槽)
24 反転ローラ
25 溶融はんだめっき線
26 冷却部
27、28、29 圧延ロール
30 加熱部
31 圧延ロール
32 引き上げローラ
33 巻取りリール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材の周囲にはんだめっき層を有する太陽電池用リード線において、前記はんだめっき層が圧延により平坦に形成されていることを特徴とする太陽電池用リード線。
【請求項2】
前記平坦に形成された太陽電池用リード線であって、前記導電材の表面に形成された前記はんだめっき層の厚さが前記導電材の裏面に形成された前記はんだめっき層の厚さと同等であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池用リード線。
【請求項3】
前記導電材の片面に、前記はんだめっき層を収納するための凹みを有することを特徴とする請求項1記載の太陽電池用リード線。
【請求項4】
前記導電材が平角導体であって、該平角導体の断面水平方向の中心線に対して線対称である位置に前記はんだめっき層を収納するための凹みをそれぞれ有することを特徴とする請求項1記載の太陽電池用リード線。
【請求項5】
前記はんだめっき層は、Sn−Pb系はんだ又はPbを含まないはんだのいずれかからなることを特徴とする請求項1記載の太陽電池用リード線。
【請求項6】
前記導電材は、純銅からなることを特徴とする請求項1記載の太陽電池用リード線。
【請求項7】
送り出しリールから平角導体又は丸線導体からなる長尺の導電材を送り出し、該導電材を溶融はんだめっき槽に浸漬した後、冷却して溶融はんだめっき層を有するめっき線を形成し、該めっき線を巻取りリールに巻き取る太陽電池用リード線の製造方法において、
前記冷却しためっき線の溶融はんだめっき層が凝固した後に圧延することにより、前記めっき線を平坦に形成することを特徴とする太陽電池用リード線の製造方法。
【請求項8】
前記冷却しためっき線の溶融はんだめっき層が凝固した後に圧延することにより、前記めっき線を平坦に形成され、かつ、前記導電材の表面に形成された前記はんだめっき層の厚さが前記導電材の裏面に形成された前記はんだめっき層の厚さと同等であることを特徴とする請求項7記載の太陽電池用リード線の製造方法。
【請求項9】
前記導電材の片面に、あらかじめ前記溶融はんだめっき層を収納するための凹みを形成しておくことを特徴とする請求項7記載の太陽電池用リード線の製造方法。
【請求項10】
前記導電材が平角導体であって、該平角導体の断面水平方向の中心線に対して線対称である位置にあらかじめ前記溶融はんだめっき層を収納するための凹みをそれぞれ設けておくことを特徴とする請求項7記載の太陽電池用リード線の製造方法。
【請求項11】
前記導電材に、あらかじめ加熱処理を施すことにより、前記導電材に90MPa以下の0.2%耐力を付与しておくことを特徴とする請求項7記載の太陽電池用リード線の製造方法。
【請求項12】
前記溶融はんだめっき線の溶融はんだめっき層が凝固した後に圧延し、該溶融はんだめっき線にはんだの融点以下の温度で加熱処理を施すことにより、前記圧延時に生じた該溶融はんだめっき層の加工歪みを除去することを特徴とする請求項7記載の太陽電池用リード線の製造方法。
【請求項13】
前記溶融はんだめっき線の溶融はんだめっき層が凝固した後に圧延し、該溶融はんだめっき線にはんだの融点以上の温度で加熱処理を施すことにより、前記圧延時に生じた該導電材及び該溶融はんだめっき層の加工歪みを除去することを特徴とする請求項7記載の太陽電池用リード線の製造方法。
【請求項14】
該溶融はんだめっき線にはんだの融点以上の温度で加熱処理を施した後、さらに圧延することで平坦に仕上げることを特徴とする請求項8記載の太陽電池用リード線の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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