説明

太陽電池集電電極形成用導電性組成物および太陽電池セル

【課題】シリコン基板やTCOとの接着性にも優れた電極を形成することができる太陽電池集電電極形成用導電性組成物およびそれを用いた太陽電池セルの提供。
【解決手段】銀粉(A)と、下記式(I)で表されるシラン化合物(B)とを含有する太陽電池集電電極形成用導電性組成物。


(式中、R1およびR2はそれぞれ独立にアルキル基を表し、R3はヘテロ原子を有してもよい2価のアルカンを表し、mは1〜3の整数を表す。複数のR1およびR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池集電電極形成用導電性組成物および太陽電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀粒子などの導電性粒子に熱可塑性樹脂(例えば、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等)や熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等)などからなるバインダ、有機溶剤、硬化剤、触媒等を添加し混合して得られる銀ペースト(導電性組成物)を、合成樹脂基材上(例えば、ポリエステルフィルム等)に所定の回路パターンとなるように印刷し、これらを加熱して導体回路をなす導電性配線を形成し、回路基板を製造する方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「導電性粒子、溶剤、バインダ樹脂及び導電性粒子100重量部に対して、SiO2換算で0.1〜3重量部のテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を含む、導電性ペースト。」が記載され([請求項1])、導電性微粒子として銀粒子が記載されている([請求項4])。
【0004】
また、特許文献2には、「バインダー樹脂、溶剤、ガラスフリット、および、銀または銀化合物を主成分とする導電性粉末を含有する太陽電池用導電性ペーストであって、Si系有機化合物を含有することを特徴とする太陽電池用導電性ペースト。」が記載されている([請求項1])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−135203号公報
【特許文献2】特開2010−87251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者が、特許文献1および2に記載されたペースト材料について検討したところ、200℃以下の低温焼成によって電極を形成した場合においては、シリコン基板や透明導電酸化膜(Transparent Conducting Oxide)(以下、「TCO」ともいう。)に対する接着性が充分に発揮されないことが明らかとなった。
【0007】
そこで、本発明は、シリコン基板やTCOとの接着性にも優れた電極を形成することができる太陽電池集電電極形成用導電性組成物およびそれを用いた太陽電池セルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、銀粉および特定のシラン化合物を含有する太陽電池集電電極形成用導電性組成物が、シリコン基板やTCOとの接着性にも優れた電極を形成することができることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記(1)〜(13)を提供する。
【0009】
(1)銀粉(A)と、下記式(I)で表されるシラン化合物(B)とを含有する太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【化1】

(式中、R1およびR2はそれぞれ独立にアルキル基を表し、R3はヘテロ原子を有してもよい2価のアルカンを表し、mは1〜3の整数を表す。複数のR1およびR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0010】
(2)上記銀粉(A)の少なくとも一部が、平均粒子径が0.5〜10μmの球状の銀粉末である上記(1)に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【0011】
(3)上記シラン化合物(B)が、上記式(I)中、R1およびR2がそれぞれ独立にメチル基またはエチル基で表され、R3が炭素数2〜10のアルキレン基で表され、mが2または3で表される化合物である上記(1)または(2)に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【0012】
(4)上記シラン化合物(B)の含有量が、上記銀粉(A)100質量部に対して0.05〜1.0質量部である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【0013】
(5)更に、エポキシ樹脂(C)を含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【0014】
(6)更に、脂肪酸銀塩(D)を含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【0015】
(7)上記エポキシ樹脂(C)が、少なくとも、エポキシ当量が1500〜4000g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂(C1)およびエポキシ当量が1000g/eq以下の多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂(C2)である上記(5)または(6)に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【0016】
(8)上記脂肪酸銀塩(D)が、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩(D1)、および/または、カルボキシ銀塩基(−COOAg)を3個以上有するポリカルボン酸銀塩(D2)である上記(6)または(7)に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【0017】
(9)上記脂肪酸銀塩(D1)が、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩および/または2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩である上記(8)に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【0018】
(10)上記ポリカルボン酸銀塩(D2)が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩である上記(8)または(9)に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【0019】
(11)上記エポキシ樹脂(C)の含有量が、上記銀粉(A)100質量部に対して2〜20質量部である上記(5)〜(10)のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【0020】
(12)上記脂肪酸銀塩(D)の含有量が、上記銀粉(A)100質量部に対して0.1〜10質量部である上記(6)〜(11)のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【0021】
(13)受光面側の表面電極、半導体基板および裏面電極を具備し、
上記表面電極および/または上記裏面電極が、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物を用いて形成される太陽電池セル。
【発明の効果】
【0022】
以下に示すように、本発明によれば、シリコン基板やTCOとの接着性にも優れた電極を形成することができる太陽電池集電電極形成用導電性組成物およびそれを用いた太陽電池セルを提供することができる。
特に、本発明の太陽電池集電電極形成用導電性組成物は、ヘテロ接合太陽電池の製造過程において、200℃以下の低温焼成によってもTCOとの接着性に優れた電極を形成することができるため、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は太陽電池セルの好適な実施態様の一例を示す断面図である。
【図2】図2は接着性の評価に用いたせん断試験片を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の太陽電池集電電極形成用導電性組成物(以下、「本発明の導電性組成物」と略す。)は、銀粉(A)と、上記式(I)で表されるシラン化合物(B)とを含有する太陽電池集電電極形成用の導電性組成物である。
以下に、銀粉(A)およびシラン化合物(B)ならびに所望により含有してもよい他の成分等について詳述する。
【0025】
<銀粉(A)>
本発明の導電性組成物で用いる銀粉(A)は特に限定されず、従来公知の導電性ペーストで配合されているものを使用することができる。
【0026】
上記銀粉(A)は、印刷性が良好となり、体積抵抗率の小さい電極を形成することができる理由から、その少なくとも一部として平均粒子径が0.5〜10μmの球状の銀粉末を用いるのが好ましい。
ここで、球状とは、長径/短径の比率が2以下の粒子の形状をいう。
また、平均粒子径とは、球状の銀粉末の粒子径の平均値をいい、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定された50%体積累積径(D50)をいう。なお、平均値を算出する基になる粒子径は、球状の銀粉末の断面が楕円形である場合はその長径と短径の合計値を2で割った平均値をいい、正円形である場合はその直径をいう。
【0027】
また、上記銀粉(A)の平均粒子径は、印刷性がより良好となる理由から、0.7〜5μmであるのが好ましく、焼結速度が適当となり作業性に優れる理由から、1〜3μmであるのがより好ましい。
【0028】
更に、上記銀粉(A)は、上述した球状の銀粉末とともに、フレーク状の銀粉末を併用することができる。
ここで、フレーク状の銀粉末を併用する場合、上述した球状の銀粉末の含有量は、上記銀粉(A)の総質量のうち60質量%以上であるのが好ましい。
【0029】
本発明においては、このような銀粉(A)として市販品を用いることができ、その具体例としては、AgC−102(形状:球状、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔粉工業社製)、AgC−103(形状:球状、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔粉工業社製)、AG4−8F(形状:球状、平均粒子径:2.2μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG2−1C(形状:球状、平均粒子径:1.0μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG3−11F(形状:球状、平均粒子径:1.4μm、DOWAエレクトロニクス社製)、EHD(形状:球状、平均粒子径:0.5μm、三井金属社製)、AgC−2011(形状:フレーク状、平均粒子径:2〜10μm、福田金属箔粉工業社製)、AgC−301K(形状:フレーク状、平均粒子径:3〜10μm、福田金属箔粉工業社製)等が挙げられる。
【0030】
<シラン化合物(B)>
本発明の導電性組成物で用いるシラン化合物(B)は、下記式(I)で表される化合物である。
【0031】
【化2】

【0032】
式中、R1およびR2はそれぞれ独立にアルキル基を表し、R3はヘテロ原子を有してもよい2価のアルカンを表し、mは1〜3の整数を表す。複数のR1およびR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
ここで、上記式(I)中、R1およびR2のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基であるのが好ましい。
また、上記式(I)中、R3のアルカンとしては、例えば、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数2〜10のアルキル基が挙げられ、具体的には、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デンカン−1,10−ジイル基、N,N−ジプロピルアミン−3,3′−ジイル基(−H63−NH−C36−)等が挙げられる。
また、上記式(I)中、mは、2または3であるのが好ましい。
【0034】
上記式(I)で表されるシラン化合物(B)としては、具体的には、例えば、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,7−ビス(トリメトキシシリル)ヘプタン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリメトキシシリル)ノナン、1,10−ビス(トリメトキシシリル)デカンなどのビス(トリアルコキシシリル)アルカン;N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル)]アミン、N,N−ビス[(3−トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[(3−トリプロポキシシリル)プロピル]アミンなどのビス(アルコキシシリルアルキル)アミン;等が挙げられる。
これらのうち、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、N,N−ビス[(3−トリメトキシシリル)プロピル)]アミンであるのが好ましい。
【0035】
本発明の導電性組成物は、上記シラン化合物(B)を含有することにより、シリコン基板やTCOとの接着性にも優れた電極を形成することができる。
これは、詳細には明らかではないが、後述する比較例で使用したヘキシルトリメトキシシランでは接着性の改善効果が不十分であることを考慮すると、上記シラン化合物(B)がアルコキシシリル基を2個有していることにより、形成される電極とシリコン基板やTCOとの間で架橋が形成されるためと考えられる。
【0036】
本発明においては、上記シラン化合物(B)の含有量は、形成される電極の体積抵抗率と、シリコン基板やTCOに対する接着性とバランスが良好になる理由から、上記銀粉(A)100質量部に対して0.05〜1.0質量部であるのが好ましく、0.1〜0.7質量部であるのがより好ましい。
【0037】
<エポキシ樹脂(C)>
本発明の導電性組成物は、必要に応じて、更に、造膜性樹脂としてエポキシ樹脂(C)を含有するのが好ましい。
【0038】
上記エポキシ樹脂(C)としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。
具体的には、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型などのビスフェノール型エポキシ樹脂;
エチレングリコールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ポリペンタエリスリトールポリグリシジル、トリメチルプロパンジグリシジルエーテル、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシ)メタンなどの多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂;
ダイマー酸等の合成脂肪酸のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;
N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン(TGDDS)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(TGMXDA)、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(TG1,3−BAC)、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
本発明においては、上記エポキシ樹脂(C)は、半田付け性が良好な電極を形成することができる理由から、エポキシ当量が1500〜4000g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂(C1)およびエポキシ当量が1000g/eq以下の多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂(C2)を併用するのが好ましい。
【0040】
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C1))
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C1)は、エポキシ当量が1500〜4000g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C1)のエポキシ当量が上記範囲であると、本発明の導電性組成物の硬化後の硬度が良好となり、硬化物(電極)に対する優れた半田付け性を維持することができる。
また、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂(C1)のエポキシ当量は、電極に対する半田付け性がより良好となり、硬化収縮の割合が小さく太陽電池セル基板の反りを抑えることができる理由から、2000〜4000g/eqであるのが好ましく、2000〜3500g/eqであるのがより好ましい。
【0041】
(多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂(C2))
上記多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂(C2)は、エポキシ当量が1000g/eq以下の多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂である。
上記多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂(C2)のエポキシ当量が上記範囲であると、本発明の導電性組成物の粘度が良好となり、印刷性がより良好となる。
また、上記多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂(C2)のエポキシ当量は、スクリーン印刷をする際の粘度が適当になる理由から、100〜400g/eqであるのが好ましく、100〜300g/eqであるのがより好ましい。
【0042】
また、本発明においては、上記エポキシ樹脂(C)は、シリコン基板やTCOとの接着性がより良好な電極を形成することができる理由から、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加されたエポキシ樹脂(C3)であるのが好ましい。
ここで、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドによる付加は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等)をエピクロロヒドリンと反応させてエポキシ樹脂を調製する際に、エチレンおよび/またはプロピレンを添加することにより付加(変性)することができる。
上記エポキシ樹脂(C3)としては市販品を用いることができ、その具体例としては、エチレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(BEO−60E、新日本理化社製)、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(BPO−20E、新日本理化社製)、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−4010S、ADEKA社製)、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−4000S、ADEKA社製)等が挙げられる。
【0043】
更に、本発明においては、上記エポキシ樹脂(C)を含有する場合の含有量は、シリコン基板やTCOとの接着性がより良好な電極を形成することができる理由から、上記銀粉(A)100質量部に対して、2〜20質量部であるのが好ましく、2〜10質量部であるのがより好ましい。
【0044】
<脂肪酸銀塩(D)>
本発明の導電性組成物は、200℃以下の低温焼成であっても体積抵抗率の低い電極を形成することができる理由から、更に脂肪酸銀塩(D)を含有するのが好ましい。
【0045】
上記脂肪酸銀塩(D)は、有機カルボン酸の銀塩であれば特に限定されず、例えば、特開2008−198595号公報の[0063]〜[0068]段落に記載された脂肪酸金属塩(特に3級脂肪酸銀塩)、特許第4482930号公報の[0030]段落に記載された脂肪酸銀、特開2010−92684号公報の[0029]〜[0045]段落に記載された水酸基を1個以上有する脂肪酸銀塩、同公報の[0046]〜[0056]段落に記載された2級脂肪酸銀塩等を用いることができる。
これらのうち、より低温(150〜180℃程度)の焼成でも体積抵抗率の低い電極を形成することができる理由から、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩(D1)、および/または、カルボキシ銀塩基(−COOAg)を3個以上有するポリカルボン酸銀塩(D2)を用いるのが好ましい。
具体的には、例えば、上記脂肪酸銀塩(D1)としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩、2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩を好適に用いることができ、上記ポリカルボン酸銀塩(D2)としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩を好適に用いることができる。
【0046】
本発明においては、上記脂肪酸銀塩(D)の含有量は、印刷性がより良好となる理由から、上記銀粉(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部であるのが好ましく、1〜10質量部であるのがより好ましい。
【0047】
<カチオン系硬化剤(E)>
本発明の導電性組成物は、所望により上記エポキシ樹脂(C)を含有する場合、エポキシ樹脂の硬化剤としてカチオン系硬化剤(E)を含有するのが好ましい。
上記カチオン系硬化剤(E)は、特に限定されず、アミン系、スルホニウム系、アンモニウム系、ホスホニウム系の硬化剤が好ましい。
上記カチオン系硬化剤(E)としては、具体的には、例えば、三フッ化ホウ素エチルアミン、三フッ化ホウ素ピペリジン、三フッ化ホウ素フェノール、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルイオドニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラフェニルスルホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエート、下記式(I)で表されるスルホニウム塩等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、硬化時間が短くなるという理由から、下記式(II)で表されるスルホニウム塩を用いるのが好ましい。
【0048】
【化3】

(式中、R4は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を表し、R5は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいベンジル基またはα−ナフチルメチル基を表し、R6は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、Qは、下記式(a)〜(c)のいずれかで表される基を表し、Xは、SbF6、PF6、CF3SO3、(CF3SO22N、BF4、B(C654またはAl(CF3SO34を表す。)
【化4】

(式(a)中、Rは、水素原子、アセチル基、メトキシカルボニル基またはベンジルオキシカルボニル基を表す。)
【0049】
上記式(II)で表されるスルホニウム塩のうち、半田付け性が良好な電極を形成することができる理由から、上記式(II)中のXがSbF6で表されるスルホニウム塩であるのが好ましく、その具体例としては、下記式(1)および(2)で表される化合物が挙げられる。
【0050】
【化5】

【0051】
また、本発明においては、上記カチオン系硬化剤(E)の含有量は、熱により活性化してエポキシ基の開環反応を十分に進行させることができるという理由から、上記エポキシ樹脂(C)100質量部に対して1〜10質量部であるのが好ましく、1〜5質量部であるのがより好ましい。
【0052】
<溶媒(F)>
本発明の導電性組成物は、印刷性等の作業性の観点から、更に溶媒(F)を含有するのが好ましい。
上記溶媒(F)は、本発明の導電性組成物を基材上に塗布することができるものであれば特に限定されず、その具体例としては、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、イソホロン、α−テルピネオール等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、上記溶媒(F)を含有する場合の含有量は、上記銀粉(A)100質量部に対して、2〜20質量部であるのが好ましく、5〜15質量部であるのがより好ましい。
【0053】
<添加剤>
本発明の導電性組成物は、必要に応じて、上述した銀粉(A)以外の金属粉、還元剤等の添加剤を含有していてもよい。
上記金属粉としては、具体的には、例えば、銅、アルミニウム等が挙げられ、中でも、銅であるのが好ましい。また、0.01〜10μmの粒径の金属粉であるのが好ましい。
上記還元剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコール類等が挙げられる。
一方、アスペクト比をより高くすることができ、また、上述したエポキシ樹脂(C)の分解を抑制する理由から、酸化銀の含有量は上述した溶媒(F)100質量部に対して5質量部以下であるのが好ましく、1質量部以下であるのがより好ましく、実質的に酸化銀を含有していない態様が最も好ましい。
【0054】
本発明の導電性組成物の製造方法は特に限定されず、上記銀粉(A)および上記シラン化合物(B)ならびに所望により含有してもよい上記エポキシ樹脂(C)、上記脂肪酸銀塩(D)、上記カチオン系硬化剤(E)、上記溶媒(F)および添加剤を、ロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機等により混合する方法が挙げられる。
【0055】
〔太陽電池セル〕
本発明の太陽電池セルは、受光面側の表面電極、半導体基板および裏面電極を具備し、上記表面電極および/または上記裏面電極が、上述した本発明の導電性組成物を用いて形成される太陽電池セルである。
ここで、本発明の太陽電池セルは、上述した本発明の導電性組成物が全裏面電極型(いわゆるバックコンタクト型)太陽電池の裏面電極の形成にも適用することができるため、全裏面電極型の太陽電池にも適用することができる。
以下に、本発明の太陽電池セルの好適な実施態様の一例について、図1を用いて説明する。なお、図1では、薄膜系のアモルファスシリコン太陽電池を例に挙げて、本発明の太陽電池セルを説明するが、これに限られることはなく、例えば、ハイブリッド型(HIT)太陽電池等であってもよい。
【0056】
図1は、太陽電池セルの好適な実施態様の一例を示す断面図である。
太陽電池セル1は、集電極である表面電極2と、透明導電酸化膜(TCO)3と、p型アモルファスシリコン層4、i型アモルファスシリコン層5およびn型アモルファスシリコン層6が積層されたシリコン基板7と、金属電極である裏面電極8とを、プラスチックフィルム基板9上に具備するものである。
また、太陽電池セル1は、その表裏面に、保護フィルム10を具備するのが好ましい。
【0057】
シリコン基板7を構成するアモルファスシリコンは、その原子配列が不規則であるため、結晶シリコンに比べて光と格子の相互作用が大きく、光をより多く吸収することができる。したがって、太陽電池1は、薄膜化が可能となり、1μm以下の膜厚でも発電することができる。
【0058】
透明導電酸化膜3は、絶縁体であるガラスの表面に、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(TO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の半導体セラミックスの薄層を形成することにより導電性を付与したものであり、透明であるにも関わらず電気を流す性質を有する。
【0059】
<表面電極/裏面電極>
本発明の太陽電池セルが具備する表面電極および裏面電極は、いずれか一方または両方が本発明の導電性組成物を用いて形成されていれば、電極の配置(ピッチ)、形状、高さ、幅等は特に限定されない。
ここで、表面電極および裏面電極は、通常、複数個有するものであるが、本発明においては、例えば、複数の表面電極の一部のみが本発明の導電性組成物で形成されたものであってもよく、複数の表面電極の一部と複数の裏面電極の一部が本発明の導電性組成物で形成されたものであってもよい。
【0060】
本発明の太陽電池セルの製造方法は特に限定されないが、本発明の導電性組成物をシリコン基板および/またはTCOに塗布して配線を形成する配線形成工程と、得られた配線を熱処理して電極(表面電極および/または裏面電極)を形成する電極形成工程とを有する方法が挙げられる。
以下に、配線形成工程、熱処理工程について詳述する。
【0061】
<配線形成工程>
配線形成工程は、本発明の導電性組成物をシリコン基板および/またはTCOに塗布して配線を形成する工程である。
ここで、塗布方法としては、具体的には、例えば、インクジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷等が挙げられる。
【0062】
<熱処理工程>
熱処理工程は、上述した配線形成工程で得られた塗膜を熱処理して導電性の配線(電極)を得る工程である。
ここで、上記熱処理の条件は特に限定されないが、本発明の導電性組成物を用いているため、低温(150〜200℃以下)であっても、良好な熱処理(焼成)を施すことができる。
【0063】
なお、上述した配線形成工程で得られた配線は、紫外線または赤外線の照射でも電極を形成することができるため、本発明における熱処理工程は、紫外線または赤外線の照射によるものであってもよい。
【実施例】
【0064】
以下、実施例を用いて、本発明の導電性組成物について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0065】
(実施例1〜9、比較例1〜3)
ボールミルに、下記第1表に示す銀粉等を下記第1表中に示す組成比となるように添加し、これらを混合することにより導電性組成物を調製した。
調製した各導電性組成物を、アルカリエッチング液に浸漬し表面酸化膜を除去したシリコン基板(単結晶シリコンウェハー、LS−25TVA、156mm×156mm×200μm、信越化学工業社製)上に、スクリーン印刷で塗布して、25mm×25mmのベタ塗りであるテストパターンを形成した。
また、同様に、調製した各導電性組成物を、TCOであるITO蒸着ガラス基板上に、スクリーン印刷で塗布して、25mm×25mmのベタ塗りであるテストパターンを形成した。
【0066】
<体積抵抗率(比抵抗)>
テストパターンを形成したシリコン基板を、オーブンにて100℃で2分間乾燥した後に200℃で30分間焼成することで、体積抵抗率測定用の試験片を作製した。
作製した体積抵抗率測定用の試験片について、体積抵抗率を抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製)を用いた4端子4探針法により測定した。この結果を下記第1表に示す。
なお、テストパターンを形成したITO蒸着ガラス基板から同様にして作製した試験片についても、体積抵抗率を同様に測定したところ、下記第1表に示す結果と同じ値を示した。
【0067】
<接着性:シリコン基板>
テストパターンを形成したシリコン基板を、体積抵抗率測定用の試験片と同様に乾燥および焼成することで、試験片を作製した。
次いで、図2に示すように、エポキシ系接着剤(アラルダイト AR−R30、ハンツマン社製)11を用いて、作製した試験片12(符号13:テストパターン、符号14:シリコン基板)を2枚のステンレス板(長さ:100mm、幅:25mm、厚さ:1.5mm)15の間に固定し、接着性評価用の試験片を作製した。なお、エポキシ系接着剤11によるステンレス板15とテストパターン13との間の接着面積は312.5mm2であった。
作製した接着性評価用の試験片をせん断剥離試験機(RTC−1310A、ORIENTEC社製)にセットし、一方のステンレス板に矢印方向に力を加え、せん断剥離強度を測定し、剥離面を目視で観察した。これらの結果を下記第1表に示す。なお、下記第1表中、「Si/SUS」とは、シリコン基板とステンレス板との剥離を表し、「Si/Ag」とは、シリコン基板とテストパターンとの剥離を表す。
【0068】
<接着性:ITO蒸着ガラス>
テストパターンを形成したITO蒸着ガラスを、体積抵抗率測定用の試験片と同様に乾燥および焼成することで、試験片を作製した。
次いで、作製した試験片のテストパターンに、1mmピッチで切り込みを入れ、基盤目を100個(10×10)作り、基盤目上にセロハン粘着テープを完全に付着させ、指の腹で10回こすった後、テープの一端を直角に保った状態で瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った基盤目の数を調べた。この結果を下記第1表に示す。
なお、碁盤目の全数100個(下記第1表中の分母)に対して残った基盤目の数(下記第1表中の分子)が、80個以上であれば、TCOに対する接着性に優れていると評価することができる。
【0069】
<半田付け性(半田濡れ性)>
テストパターンを形成したシリコン基板およびITO蒸着ガラス基板のテストパターン上に半田フラックスを塗布した後、150℃のホットプレート上で20秒間乾燥させた。
次いで、270℃の半田槽中に3秒間浸漬させ後に引き上げ、テストパターン上の半田の濡れ性(被覆%)から半田付け性を評価した。
テストパターン上の半田の被覆面積が100%であるものを半田付け性が極めて良好なものとして「○」と評価し、テストパターン上の半田の被覆面積が80%以上100%未満であるものを半田付け性が良好なものとして「△」と評価し、テストパターン上の半田の被覆面積が80%未満であるものを半田付け性が劣るものとして「×」と評価した。これらの結果を下記第1表に示す。なお、シリコン基板およびITO蒸着ガラス基板に対する半田付け性はいずれも同評価であったため、下記第1表中においては基板ごとの評価を省略している。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
第1表中の各成分は、以下のものを使用した。
・銀粉:AgC−103(形状:球状、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔粉工業社製)
・1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン:KBM−3066(信越化学工業社製)
・1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン:KBM−6026(信越化学工業社製)
・6−ヘキシルトリメトキシシラン:KBM−3063(信越化学工業社製)
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:KBM−403(信越化学工業社製)
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂:YD−019(エポキシ当量:2400〜3300g/eq、新日鐵化学社製)
・多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(EX−821、エポキシ当量:185g/eq、ナガセケムテックス社製)
・硬化剤:上記式(1)で表される芳香族スルホニウム塩(Sl−100L、三新化学工業社製)
・α−テルピネール:溶媒
【0074】
・2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩:まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸(東京化成社製)64gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることにより、白色の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩を調製した。
【0075】
・1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩:まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸(新日本理化社製)25.29gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることによって、白色の1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩を調製した。
【0076】
・イソ酪酸銀塩:まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、イソ酪酸(関東化学社製)38gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることにより、白色のイソ酪酸銀塩を調製した。
【0077】
・2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩:まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、2−ヒドロキシイソ酪酸(東京化成社製)45gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることにより、白色の2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩を調製した。
【0078】
第1表に示す結果から、アルコキシシリル基を1個のみ有するシラン化合物を用いて調製した比較例1および2の導電性組成物は、体積抵抗率は低いものの、シラン化合物を用いずに調製した比較例3の導電性組成物と比較してもせん断剥離強度の向上効果が殆どみられず、シリコン基板およびITO蒸着ガラス基板との接着性に劣ることが分かった。
これに対し、アルコキシシリル基を2個以上有する所定のシラン化合物を用いて調製した実施例1〜9の導電性組成物は、体積抵抗率が低く、かつ、シリコン基板およびITO蒸着ガラス基板との接着性に優れることが分かった。
特に、シラン化合物を銀粉100質量部に対して0.1〜0.5質量部配合して調製した実施例1〜3および6〜9の導電性組成物は、体積抵抗率と、シリコン基板およびITO蒸着ガラス基板に対する接着性とのバランスに優れることが分かった。
また、エポキシ当量が所定の範囲のビスフェノールA型エポキシ樹脂および多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂を併用して調製した実施例1〜6ならびに8および9の導電性組成物は、半田付け性も極めて良好となることが分かった。
更に、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩またはカルボキシ銀塩基(−COOAg)を3個以上有するポリカルボン酸銀塩を用いて調製した実施例1〜7および9の導電性組成物を用いた場合も体積抵抗率が低く、シリコン基板およびITO蒸着ガラス基板との接着性により優れることが分かった。
【符号の説明】
【0079】
1 太陽電池セル
2 表面電極
3 透明導電酸化膜(TCO)
4 p型アモルファスシリコン層
5 i型アモルファスシリコン層
6 n型アモルファスシリコン層
7 シリコン基板
8 裏面電極
9 プラスチックフィルム基板
10 保護フィルム
11 エポキシ系接着剤
12 試験片
13 テストパターン(導電性組成物)
14 シリコン基板またはITO蒸着ガラス基板
15 ステンレス板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀粉(A)と、下記式(I)で表されるシラン化合物(B)とを含有する太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【化1】

(式中、R1およびR2はそれぞれ独立にアルキル基を表し、R3はヘテロ原子を有してもよい2価のアルカンを表し、mは1〜3の整数を表す。複数のR1およびR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記銀粉(A)の少なくとも一部が、平均粒子径が0.5〜10μmの球状の銀粉末である請求項1に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【請求項3】
前記シラン化合物(B)が、前記式(I)中、R1およびR2がそれぞれ独立にメチル基またはエチル基で表され、R3が炭素数2〜10のアルキレン基で表され、mが2または3で表される化合物である請求項1または2に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【請求項4】
前記シラン化合物(B)の含有量が、前記銀粉(A)100質量部に対して0.05〜1.0質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【請求項5】
更に、エポキシ樹脂(C)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【請求項6】
更に、脂肪酸銀塩(D)を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂(C)が、少なくとも、エポキシ当量が1500〜4000g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂(C1)およびエポキシ当量が1000g/eq以下の多価アルコール系グリシジル型エポキシ樹脂(C2)である請求項5または6に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【請求項8】
前記脂肪酸銀塩(D)が、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩(D1)、および/または、カルボキシ銀塩基(−COOAg)を3個以上有するポリカルボン酸銀塩(D2)である請求項6または7に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【請求項9】
前記脂肪酸銀塩(D1)が、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩および/または2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩である請求項8に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【請求項10】
前記ポリカルボン酸銀塩(D2)が、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩である請求項8または9に記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【請求項11】
前記エポキシ樹脂(C)の含有量が、前記銀粉(A)100質量部に対して2〜20質量部である請求項5〜10のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【請求項12】
前記脂肪酸銀塩(D)の含有量が、前記銀粉(A)100質量部に対して0.1〜10質量部である請求項6〜11のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物。
【請求項13】
受光面側の表面電極、半導体基板および裏面電極を具備し、
前記表面電極および/または前記裏面電極が、請求項1〜12のいずれかに記載の太陽電池集電電極形成用導電性組成物を用いて形成される太陽電池セル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−178456(P2012−178456A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40513(P2011−40513)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】