説明

女性用一体型下着製品の編成工程

【解決手段】本発明は、下着製品を一体型の管状ニット編地に編成する方法に関し、前記製品が、製品のカップ(16、18)の下側部分に沿って延びる胴部中央バンド(24)と共に編成される。前記方法は、前記胴部中央バンド(24)を編成し、同時に、前記カップ(16、18)に面する領域内に、複数の連続した編目が実質的に横糸の方向に並んだ状態を維持しながら、アンダーワイヤ(26)を形成するために、前記連続した編目を外すことにより、前記領域内に前記胴部中央バンド(24)と実質的に平行な少なくとも1つのひだを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状ニットウェアの女性用一体型下着製品の編成工程、及び、前記工程によって得られる製品に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の編成工程により、円筒形で対称的な製品を一体型に作成することが可能である。このような工程は、針が環状に配置された円形編機を用いて実行され、給糸が、編地及び針の長手方向に対して垂直に向いている。
【0003】
これらの工程を用いることにより、実質的に円筒形である編物製品の胴部分を容易に作成できる。
【0004】
その一方で、管状製品と比べて比較的非対称な形状であるブラジャータイプの女性用下着製品は、後で他の構成要素を追加して完成するため、円形編機では部分的にしか作成することができない。
【0005】
クロップトトップ又は「ボディ」タイプの女性用ニットウェアの製品によっては、他の構成要素を追加する必要がなく、管状のニットウェアから比較的容易に一体型に作成できるものもある。
【特許文献1】仏国特許発明第2783532号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に特許文献1を参照すると、折り畳み部分又はバスクによって分けられ、一体型に編成された2枚の同軸層と、特に胸部の高さに調整すべく適合された補強部を形成するために、より引き締めて編成した部分を有する内層とを設けた女性用下着製品について説明している。
【0007】
しかし、この女性用下着製品を作成すべく実施されるこの工程では、例えば、ブラジャーのカップを縁取るマチ内に供給された、硬性を追加した構成要素によってのみ得られるステーと共にブラジャーを作成することができない。
【0008】
そのため、本発明の1つの目的は、ステーを形成するために硬性を呈する構成要素を追加する必要のない、単一の層から成る一体型の女性用下着製品を作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明の第1の目的は、管状ニットウェアの女性用一体型下着製品の編成工程を提案することであり、前記製品は、前記製品のカップの下側部分を縁取りながら、延びたバスクと共に編成され、前記バスクは、前記製品の前記カップに面した領域内で、実質的に横糸の方向に並んだ複数の連続した編目を保持して編成され、前記連続した編目を外すことによって、ステーを作成すべく、前記領域内で前記バスクとほぼ平行な少なくとも1つのビードを形成する。
【0010】
そのため、本発明の1つの特徴は、ステーを形成するビードが作成される、前記カップの基部に位置するバスクの領域を編成する方法にある。こうすることで、ステー形成の際に硬性を呈する構成要素を追加する必要がなく、つまり、この女性用下着製品は、すぐに着用可能な状態の一体型に作成することができる。この工程を用いることにより、前記製品を有利なコストで製造することが可能になる。
【0011】
本発明を実行する特に有利な方法によれば、前記領域の中心部分の両側を変化させるために、横糸の方向に保持された編目数が徐々に作成され、また、前記中心部分から離れるにつれて断面が変化するビードを形成するために、前記保持された編目が外される。
【0012】
こうすることで、ステーが、より厚手でより硬性を呈する中心部分を有する、カップに対応する領域に形成され、前記中心部分は両側に延びる程減少する。これにより、本願明細書の以降の記述により詳細に説明しているように、一方で、中心部分から離れるにつれて、前記バスク領域が平坦に押圧され、延びた第1可撓部分を形成し、身体胴部の側方部分に対する支持を目的とし、他方で、別のカップに面して配置されるバスク領域を接合すべく適合された第2部分を形成する。
【0013】
従来の実行方法に基づいた本発明の特定の実施形態によれば、最初に、1列目の第1数の保持された編目から第1部分が編成され、前記保持された編目が、前記第1数の両端部から始まり、前記中心部分に向かって、2列目まで徐々に外され、前記2列目に第1数より少ない第2数の編目が保持され、前記2列目から前記第2数の保持された編目が外される。次に、3列目の第3数の保持された編目から第2部分が編成され、編目が、前記第3数の両側に、前記中心部分に対し広がりながら、4列目まで徐々に固定され、前記4列目に前記第3数より多い第4数の編目が保持され、前記4列目から前記第4数の編目が外される。
【0014】
従って、この特定の実施形態を用いることで、以下の本願明細書でより詳細に説明するように、有利なことには、実質的に円形の断面を有する、より厚手でより硬性を呈するステーを作成可能な、互いに対称である2つの連続したビードが作成される。
【0015】
特に有利な方法では、1又は複数のビードを巻着させてステーを形成するためには、前記複数の連続した編目を保持する前に固定された編目が保持され、前記複数の連続した編目を外した後に前記固定された編目が外される。このように、バスク及び前記領域の編成中に、実質的に編成の開始部に相当するバスクの自由縁が、前記固定された編目によって針に保持される。ビードが作成されると、前記ビードを1つの構成要素として巻着してステーを形成するために、前記固定された編目が外される。
【0016】
前記バスクは、前記領域では、前記領域を硬化するために、少なくとも1つの追加の糸により編成されることが好ましい。そのため、前記領域内でバスクに与えられた輪郭に加えて、好ましくはより硬化するために選択した追加の糸によって、より硬性を呈するステーを形成できる。
【0017】
本発明の第2の目的は、管状ニットウェアの女性用一体型下着製品の編成工程を提案することであり、前記製品は、前記製品のカップの下側部分を縁取りながら、延びたバスクと共に編成され、前記バスクは、前記製品の前記カップに面した領域内で、実質的に横糸の方向に並んだ複数の連続した編目を保持して編成され、前記連続した編目を外すことによって、ステーを作成すべく、前記領域内で前記バスクとほぼ平行な少なくとも1つのビードを形成する。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、例証及び非限定的な方法による、以下の本発明の特定の実施形態での説明を読むことで明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明に係る工程により、“Santoni”ブランドの“SM8”タイプの円形編機を使用して一体型に形成したブラジャー10を示す。このタイプの編機は周知であり、既に、ステー無しで、「身体」の「上半身」の製品、「トップ」又はクロップトトップタイプを製造することができる。
【0020】
ブラジャー10は、前部11及び2つの側方部12、13を備え、これら側方部は、各々自由端14、15によって終端とする。2つの自由端14、15には、後部で互いに接続するための固定手段が取り付けてあるため、胸部上に前記前部11を側方に維持することができる。前部11は2つのカップ16、18を備えており、これらのカップから肩紐20、22が延び、前記カップ16、18を垂直に維持すべく前記側方部分12、13と接続する。
【0021】
まず、ブラジャー10の作成前の段階で、2つの自由端を互いに接続し、製品を一体型の管状のニットウェアとして作成する。これを、ブラジャー10を製造するための公知の方法により切断してある。
【0022】
一方で、下側部分には折り畳み部分又はバスク24が設けてあり、本発明に係る工程により編成されており、これにより、ステー26を、カップ16、18を縁取るバスク24の領域内に配置できるようになる。
【0023】
図1に示すバスク24は2層の形状であり、図2は、一致する部分を展開した形で示す。
【0024】
図2は、前記領域と一致するバスク24のニットウェア部分を示し、下側部分28は編成の開始部分に相当し、上側部分30はバスク24の編成の終了部分に相当する。
【0025】
次に、図2及び図3を参照して本発明に係る編成工程を説明するが、これらの図では、バスク24の下側部分28は1列目の編目32と一致し、バスク24の上側部分30は中間列の編目34と一致する。
【0026】
この工程は、上述した円形編機で、1列目の編目32から編成を開始し、この場合、バスク24の第1の長さは数列の編目に相当し、次に、バスクの全周にかけて、編目は互いに均等に離間して保持され、その後、以下に説明するように、ニットウェアを折り畳めるようになるまでバスク24の編成が完全に終了した場合にのみ外される。図3に示すように、この折り畳みは保持された編目36によって可能になる。
【0027】
次に、図2及び図3に示すように、1列目の編目38まで第2の長さが編成され、ここから、カップ16、18の下側部分の縁取りを目的とした領域に相当する幅l1にかけて、第1数の連続した編目が互いに均等に離間して保持される。
【0028】
編成は第3の長さL3まで続き、その間、前記1列目の編目38から、前記第1数の連続した編目の第1端部42、44から保持された連続した編目が各領域で徐々に外される。これは、図2及び図3で確認される2列目の編目47まで、中心部分46に対して対称に実施される。この編目を外す効果により、2つのニットウェア部分を交差させることができる。
【0029】
前記第3の長さL3の編成後、第1数より少ない第2数の保持された編目が幅l2に相当し、各領域で、幅l1に関連して中心決めされる。前記幅l1にわたる1列目の編目38を、2列目の編目47と交差させるため、また、2つの折り畳み50、51で構成された第1ビード48を形成するために、この第3の長さL3から、前記1列目38から保持された第2数の編目が外される。このビードは、幅l2にかけて比較的均一な断面を有し、両側が、幅l1まで実質的に円錐形状に延びる。
【0030】
その後、少なくとも1列の編目を編成した後に、3列目の第2数の連続した編目52が、再び前記領域内で、幅l2にかけ互いに離間した形で、また、1列目の編目38から外された第2数の編目に面して保持される。
【0031】
次に、編成が第4の長さL4にかけて対称に継続され、その間、各領域で、前記3列目の編目52から開始して、第2数の連続した編目の2つの端部54、56から編目が徐々に固定される。長さL3の編成と同様に、編目は、図2及び図3で確認できる4列目の編目58まで、中心部46に対して対称に徐々に固定される。
【0032】
また、編物の長さL4は実質的にL3と等しく、その結果、前記4列目の編目58は、前記第1数の編目及び前記幅l1に実質的に相当する。
【0033】
その後、前記3列目52の第2数の保持された編目と、長さL4の編成中のこれ以外の4列目58までの全ての保持された編目とが、実質的に幅l1に相当する幅にかけて4列目58の編目と交差するように、対称に外される。
【0034】
このようにして、横糸の方向に第1ビードと完全に対称であり、2つの折り畳み60、62を設けた第2ビードが形成される。
【0035】
次に、図3に示す第5の長さL5が編成され、その後、図3に示す編目36に適合し、バスク24の全周にかけて均等に離間している前記保持された編目が外される。
【0036】
こうすることにより、一方で、図3に断面的に示されている、ビードが作成された、カップ16、18の縁取りを目的とするバスク24の領域内にステー26が形成され、他方で、バスク24の側方部分に互いに適用する形で2つの折り畳みが形成される。
【0037】
バスク24の後には、カップ16、18及びブラジャーのその他の構成部分を従来の方法で作成すべく、編成が続けられる。
【0038】
特に有利な方法では、ポリアミド糸及びポリアミドを被覆したエラステーン(elastane)糸を使用して、本発明によるブラジャーを作成する。
【0039】
これにより、特に有利な実行方法によれば、バスク編成時に、ステーに相当する領域に、例えば塩化ポリビニール製の糸を追加する。こうすることで、より硬性を呈するステーが形成される。
【0040】
更に、ステー26を形成するバスク24の領域間に位置したバスク部分を、他のバスク部分とは異なる特定の編目タイプにより編成することができる。
【0041】
1枚の管状ニットウェアの、周知の方法による特定の美的又は機械的効果を望むその他の部分についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る工程によって得られた女性用下着製品の正面図である。
【図2】図1に示した製品の、展開した部分詳細図である。
【図3】図1に示した製品の、III−IIIに沿った断面の部分斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状ニットウェアの女性用一体型下着製品を、前記製品のカップ(16、18)の下側部分を縁取りながら、延びたバスク(24)と共に編成する編成工程において、
前記バスク(24)は、前記製品の前記カップ(16、18)に面した領域内で、実質的に横糸の方向に並んだ複数の連続した編目を保持して編成され、前記連続した編目を外すことによって、ステー(26)を作成すべく、前記領域内で前記バスク(24)とほぼ平行な少なくとも1つのビードを形成することを特徴とする編成工程。
【請求項2】
前記領域の中心部分(46)の両側を変化させるために、横糸の方向に保持された編目数が徐々に作成され、また、前記中心部分(46)から離れるにつれて断面が変化するビードを形成するために、前記保持された編目が外されることを特徴とする請求項1に記載の編成工程。
【請求項3】
第1部分が1列目(38)の第1数の保持された編目から編成され、前記保持された編目が、前記第1数の両端部(42、44)から始まり、前記中心部分(46)に向かって、2列目(47)まで徐々に外され、前記2列目に前記第1数より少ない第2数の編目が保持され、前記2列目から前記第2数の保持された編目が外され、
第2部分が3列目(52)の第3数の保持された編目から編成され、編目が、前記第3数の両側に、前記中心部分(46)に対し広がりながら、4列目(58)まで徐々に固定され、前記4列目に前記第3数より多い第4数の編目が保持され、前記4列目から前記第4数の編目が外されることを特徴とする請求項2に記載の編成工程。
【請求項4】
前記複数の編目が保持される前に固定された編目が保持され、前記ビードを巻着させるべく前記連続した編目が外された後に、前記固定された編目が外されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の編成工程。
【請求項5】
前記バスク(24)が、前記領域に、少なくとも1つの追加の糸を用いて、前記領域を硬化する方法により編成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の編成工程。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の編成工程によって得られることを特徴とするブラジャータイプの女性用下着製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−509249(P2007−509249A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536114(P2006−536114)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002636
【国際公開番号】WO2005/040472
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(504208658)サラ リー コーポレーション (8)
【氏名又は名称原語表記】SARA LEE CORPORATION
【Fターム(参考)】