説明

姿勢修正装置及びPTPシートの製造装置

【課題】確実な錠剤の姿勢修正を可能とし、しかも、姿勢修正による錠剤の損傷を抑制可能な姿勢修正装置及び当該姿勢修正装置を具備するPTPシートの製造装置を提供する。
【解決手段】PTPシートの製造に際して、ニードルバルブ43を介して凹部42aにて形成される内部空間へエアが常時供給される構成とし、本体部42の下方を移動するポケット部2内へ噴射孔42bからエアが噴射されるようにする。そして、錠剤5とポケット部2との当接部分(記号S1で示す部分)に作用する摩擦力が低減された状態において、
本体部42の下部のガイド面42cが、ポケット部2の開口側から錠剤5に当接するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTPシートの製造に際し、錠剤投入装置にて包装用フィルムのポケット部に投入された錠剤の姿勢を修正するための姿勢修正装置、及び、当該姿勢修正装置を具備するPTPシートの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、PTPシートは、帯状の包装用フィルムを移送させつつポケット部を形成する工程、形成されたポケット部に錠剤を投入する工程、包装用フィルムに対してアルミニウム製のカバーフィルムを貼着する工程、及び、PTPシート単位に打ち抜く工程等を経て製造される。
【0003】
ところで、ポケット部に錠剤が投入された後、例えば錠剤が起立状態となって、その錠剤が包装用フィルムのポケット部から外側へ突出した状態となってしまう場合がある。この突出状態のまま次の工程へと供された場合には、カバーフィルムの貼着に支障を来すこととなる。このため、錠剤がポケット部に投入された後、カバーフィルム貼着の前段階において、錠剤の姿勢を修正することが行われている。
【0004】
従来、ゴム製の板等のガイド部材をポケット部の開口側から錠剤に当接させることで、錠剤を押し倒して、ポケット部内に錠剤を収容するようにした姿勢修正装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−315703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のごとく錠剤を押し倒して上記ポケット部内に収容しようとした場合、錠剤の種類によっては、ポケット部の内面と錠剤との間に、少なからず摩擦力が発生することになる。そのため、このような摩擦力に抗して上記ガイド部材で錠剤を無理に押し倒そうとすると、錠剤を損傷してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、確実な錠剤の姿勢修正を可能とし、しかも、姿勢修正による錠剤の損傷を抑制可能な姿勢修正装置及び当該姿勢修正装置を具備するPTPシートの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.帯状の包装用フィルムに形成された複数のポケット部内に投入された錠剤の姿勢を修正するための姿勢修正装置であって、
前記ポケット部内に投入された前記錠剤と前記ポケット部との当接部分に作用する摩擦力を低減する摩擦力低減手段を備え、
前記摩擦力低減手段による前記摩擦力の低減を利用することで、前記包装用フィルムの前記ポケット部の開口から一部が突出した突出状態にある錠剤の姿勢を修正し、当該錠剤を正規の姿勢にてポケット部内に収容することを特徴とする姿勢修正装置。
【0009】
ポケット部から突出した錠剤は、ポケット部内に収容された正規の姿勢と比べ、例えば起立状態等の不安定な状態となっている。そして、このような不安定な状態が維持される要因として、錠剤とポケット部との当接部分に作用する摩擦力が挙げられる。
【0010】
そこで、手段1では、錠剤とポケット部との当接部分に作用する摩擦力を低減してやることで、少なくとも一時的に上記起立状態よりも不安定な状態を作り出し、その後、安定状態への移行、すなわち正規の姿勢への移行を促進するようにした。これにより、確実な錠剤の姿勢修正が可能となる。また、錠剤を損傷させる要因である当接部分の摩擦力が低減されることで無理のない姿勢修正が実現されるため、錠剤の損傷を抑制することができる。
【0011】
手段2.手段1に記載の姿勢修正装置において、
前記突出状態にある前記錠剤に対し前記ポケット部の開口側から当接して前記錠剤をポケット部内へガイドするガイド手段を備えていることを特徴とする姿勢修正装置。
【0012】
手段2によれば、ガイド手段が突出状態にある錠剤にポケット部の開口側から当接して錠剤をポケット部内へガイドするため、上記摩擦力の低減と相俟って、より確実に錠剤の姿勢を修正することができる。また、ガイド手段の存在により、摩擦力の低減によって不安定な状態となった錠剤がポケット部の外部へ飛び出してしまうといった事態も抑制できる。
【0013】
手段3.手段1又は2に記載の姿勢修正装置において、
前記摩擦力低減手段は、前記錠剤の投入された前記ポケット部を振動させることで、前記摩擦力を低減することを特徴とする姿勢修正装置。
【0014】
手段3では、上記摩擦力低減手段による摩擦力の低減が、錠剤の投入されたポケット部を振動させることによって実現される。例えば、包装用フィルムの搬送路となるレール部材を振動させることで、ポケット部を振動させるという具合である。また例えば、包装用フィルムに対して空気等の気体を噴射することで、ポケット部を振動させるようにしてもよい。つまり、振動によって生じるポケット部との当接部分からの抗力によって、少なくとも一時的に当接部分に作用する摩擦力が低減されるのである。手段3によれば、比較的簡単な構成によって、錠剤とポケット部との当接部分に作用する摩擦力を低減することができる。
【0015】
なお、上述した気体を噴射するという思想は、次に示すような構成として実現することもできる。
【0016】
手段4.手段1乃至3のいずれかに記載の姿勢修正装置において、
前記摩擦力低減手段は、前記錠剤の投入された前記ポケット部内へ気体を噴射することで、前記摩擦力を低減することを特徴とする姿勢修正装置。
【0017】
手段4では、上記摩擦力低減手段による摩擦力の低減が、錠剤の投入されたポケット部内への気体の噴射によって実現される。この場合、ポケット部内に気体の流れが生じ、例えばポケット部内から開口へ向かう気体の流れ等により、錠剤に対して当該錠剤を浮き上がらせる方向の力が作用する。手段4によっても、手段3と同様、比較的簡単な構成によって、錠剤とポケット部との当接部分に作用する摩擦力を低減することができる。
【0018】
なお、例えば気体を常時噴射させる構成とすることにより、摩擦力が低減された状態を持続することができるため、より確実に錠剤の損傷を抑制することができる。この意味において、「前記摩擦力低減手段は、前記包装用フィルムの搬送に際し、気体を常時噴射すること」としてもよい。
【0019】
手段5.帯状の包装用フィルムに形成された複数のポケット部内に投入された錠剤の姿勢を修正するための姿勢修正装置であって、
前記錠剤が投入された前記ポケット部を振動させる振動手段を備え、
前記振動手段による振動を利用することで、前記包装用フィルムの前記ポケット部の開口から一部が突出した突出状態にある錠剤の姿勢を修正し、当該錠剤を正規の姿勢にてポケット部内に収容することを特徴とする姿勢修正装置。
【0020】
手段5によれば、上記手段3と同様の効果が奏される。
【0021】
手段6.帯状の包装用フィルムに形成された複数のポケット部内に投入された錠剤の姿勢を修正するための姿勢修正装置であって、
前記錠剤が投入された前記ポケット部内へ気体を噴射する噴射孔を有する噴射手段を備え、
前記噴射手段による前記気体の噴射を利用することで、前記包装用フィルムの前記ポケット部の開口から一部が突出した突出状態にある錠剤の姿勢を修正し、当該錠剤を正規の姿勢にてポケット部内に収容することを特徴とする姿勢修正装置。
【0022】
手段6によれば、上記手段4と同様の効果が奏される。なお、「前記噴射手段は、前記包装用フィルムの搬送に際し、前記噴射孔から気体を常時噴射すること」としてもよい。
【0023】
手段7.手段6に記載の姿勢修正装置において、
前記噴射手段は、前記包装用フィルムの搬送方向に複数の噴射孔を有しており、当該噴射孔は、前記ポケット部の開口よりも狭い間隔で配列されていることを特徴とする姿勢修正装置。
【0024】
手段7によれば、包装用フィルムの搬送方向にポケット部の開口よりも狭い間隔で噴射孔が配列されている。そのため、包装用フィルムの搬送に伴って移動するポケット部に対して、フィルム搬送方向に配列された噴射孔のうち少なくともいずれか一つが対応することになる。したがって、移動するポケット部内へ継続的に気体を噴射することができる。その結果、摩擦力が低減された状態を持続することができるため、より確実に錠剤の損傷を抑制することができる。
【0025】
手段8.手段6又は7に記載の姿勢修正装置において、
前記噴射手段は、前記ポケット部内の側部へ前記気体を噴射することを特徴とする姿勢修正装置。
【0026】
手段8によれば、ポケット部内の側部へ気体が噴射されるため、ポケット部の内面に沿った気体の流れが作られ易く、より確実に錠剤とポケット部との当接部分に作用する摩擦力を低減することができる。
【0027】
手段9.手段5乃至8のいずれかに記載の姿勢修正装置において、
前記突出状態にある前記錠剤に対し前記ポケット部の開口側から当接して前記錠剤をポケット部内へガイドするガイド手段を備えていることを特徴とする姿勢修正装置。
【0028】
手段9によれば、上記手段2と同様の効果が奏される。
【0029】
以上は、姿勢修正装置の発明として説明してきたが、次に示すようなPTPシートの製造装置の発明として実現することもできる。
【0030】
手段10.手段1乃至9のいずれかに記載の姿勢修正装置を具備してなるPTPシートの製造装置。
【0031】
手段10に示すPTPシートの製造装置においても、上記各構成の姿勢修正装置と同様の効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0033】
まず、図1に基づいて、検査対象としてのPTPシート1について説明する。PTPシート1は、複数のポケット部2の形成された包装用フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして包装用フィルム3に取着されたアルミニウム製のカバーフィルム4とを有している。そして、各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている。この錠剤5は、縦断面略楕円形状であり、横断面略円形状となっている。本実施の形態では、PTPシート1は、帯状の包装用フィルム3及びカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6が打ち抜かれることで、シート状に製造される。PTPフィルム6(包装用フィルム3)には、幅方向に10個のポケット部2が形成されている。したがって、この幅方向において、2枚のPTPシート1が打ち抜かれる。
【0034】
上記のように構成されてなるPTPシート1は、図2に示す「PTPシートの製造装置」としてのPTP包装機10にて製造される。
【0035】
図2に示すように、包装用フィルム3は、フィルム送りローラ11とテンションローラ12,13とにより、加熱装置21及び成形装置22に送り込まれる。そして、加熱装置21及び成形装置22において、錠剤5が収容されるポケット部2(図1参照)が包装用フィルム3に形成される。加熱装置21及び成形装置22の下流側には、錠剤5を包装用フィルム3に投入するための投入装置30が配設されている。これにより、上記ポケット部2が形成された包装用フィルム3が搬送され、上記ポケット部2が投入装置30の下まで来ると、投入装置30により各ポケット部2に対して錠剤5が自動的に投入される。
【0036】
また、投入装置30の下流側には、姿勢修正装置40が配設されている。この姿勢修正装置40により、上記投入装置30により各ポケット部2に投入された錠剤5の姿勢が修正され、正規の姿勢で各ポケット部2に収容される。姿勢修正装置30による錠剤5の収容後、各ポケット部2における錠剤5の有無、収容された錠剤5の欠損、異物の混入等を見付け出すために検査が行われる。該検査は、CCDカメラ81、照明装置82などから構成される検査装置により行われる。
【0037】
さらに、各ポケット部2に錠剤5が収容された包装用フィルム3の上に、アルミ製のカバーフィルム4が、テンションローラ14,15を介して送り込まれる。そして、包装用フィルム3とカバーフィルム4とが、一対のシールローラ16A,16Bによって固着される。これによって、錠剤5の充填されたPTPフィルム18が製造される。かかるPTPフィルム18は、フィルム送りローラ17により下流側へ搬送され、図示しない打抜装置によってシート状(図1(a)参照)に打ち抜かれる。打ち抜かれたPTPシート1は、その後、図示しない不良シート排出機構やPTPシート集積機構などへ順に送られる。
【0038】
以上がPTP包装機10の概略であるが、本実施形態は、主として、上記姿勢修正装置40に特徴を有するものである。そこで次に、姿勢修正装置40の構成について、図3乃至図5を参照しつつ説明する。
【0039】
図3は、姿勢修正装置30の正面図であり、包装用フィルム3の搬送方向における下流側から見たものである。図4は、図3のA−A線断面図である。図5は、図3の部分拡大図である。
【0040】
図3に示すように、姿勢修正装置40は、包装用フィルム3の搬送路であるレール50に対して取り付けられている。この姿勢修正装置40は、基部41、本体部42、及び、ニードルバルブ43等を備えている。
【0041】
基部41は、ポリアセタール樹脂(POM)で形成されており、包装用フィルム3の幅方向(図3中の左右方向)を長手方向とする板状の部材である。基部41の中央部には、ニードルバルブ43を取り付けるための貫通孔41aが設けられている。そして、この基部41が、その長手方向の両端部において、ネジ61により、包装用フィルム3を搬送するためのレール50に対して螺着固定されている。また、この螺着部分において、基部41とレール50との間には、上記ネジ61を貫通させるスペーサ62が介在させられており、基部41は、レール50に対して一定距離だけ離間して固定されている。
【0042】
ニードルバルブ43は、エア流入口43a及びエア流出口43bを備えるバルブであり、エア流出口43bを、上記基部41の貫通孔41aに貫通させた状態で固定されている。エア流入口43aは、図示しないエア供給装置に連結されている。
【0043】
本体部42は、基部41と同様、POMで形成され、上記幅方向を長手方向とする部材である。また、包装用フィルム3の搬送方向において、基部41と同様の長さを有している(図4参照)。この本体部42には、略直方体形状の凹部42aが包装用フィルム3の幅方向に渡って形成されている。
【0044】
この本体部42は、上記基部41の下面に当接した状態でネジ63にて螺着固定されており、本体部42の下方において、包装用フィルム3の搬送が可能となっている。本体部42の高さは、上記基部41とレール50とを離間させるスペーサ62によって調整可能となっている。
【0045】
また、本体部42が基部41に螺着固定されることで、上記凹部42aの上部開口が、上記基部41にて閉塞される。さらに、本体部42の下部には、噴射孔42bが略鉛直方向に形成されており、この噴射孔42bにより、凹部42aにより形成される内部空間と外部とが連通されている。かかる構成の下、PTPシート1の製造に際しては、上記ニードルバルブ43を介して凹部42aにて形成される内部空間へエアが常時供給されるようになっており、これにより、噴射孔42bから鉛直方向へエアが常時噴射される。その結果、包装用フィルム3の搬送に伴い移動するポケット部2の開口が噴射孔42bの下方へ来ると、当該ポケット部2内へエアが噴射されることになる。
【0046】
この噴射孔42bは、図3に示すように、上記幅方向の各ポケット部2に対応して設けられている。詳しくは、図5に示すように、各ポケット部2の内側部へエアが噴射されるように、各ポケット部2の中央位置からずれた位置に噴射孔42bが設けられている。かかる構成により、ポケット部2の内面に沿って一方向へ向かうエアの流れ(同図中に記号Gで例示するようなエアの流れ)が作られ易くなっている。
【0047】
また、図4に示すように、上記搬送方向に沿って複数(本実施形態では3つ)の噴射孔42bが配列されている。これら搬送方向に沿って配列された複数の噴射孔42bは、ポケット部2の開口よりも狭い間隔で配列されている。すなわち、同図に示すように、噴射孔42bの間隔Dが、ポケット部2の開口幅Wよりも短くなっている。かかる構成により、本体部42の下方を移動するポケット部2に対し、少なくともいずれか一つの噴射孔42bが対応することになるため、継続的にエアが噴射されることになる。
【0048】
図4に示すように、本体部42の下部には、テーパ状のガイド面42cが形成されており、搬送方向の下流側へ進むにつれて、本体部42下面と包装用フィルム3との距離が小さくなるようになっている。かかる構成により、包装用フィルム3の搬送に伴ってポケット部2が移動すると、ポケット部2の開口から突出した錠剤5にガイド面42cが当接し、当該錠剤5がポケット部内へガイドされるようになっている。
【0049】
かかる構成の姿勢修正装置40では、上述したように、PTPシート1の製造に際して、ニードルバルブ43を介して凹部42aにて形成される内部空間へエアが常時供給され、噴射孔42bからポケット部2内へエアが噴射される。これにより、ポケット部2の内部から開口(ポケット部2の外部)へ向かうエアの流れが生じ、錠剤5に対し当該錠剤5を浮き上がらせる方向の力が作用する。その結果、錠剤5とポケット部2との当接部分(例えば、図4中に記号S1で示す部分)に作用する摩擦力が低減される。例えば、同図中に記号J1で示す錠剤5のように、ポケット部2内に浮き上がった状態では、当然ながら摩擦力は「0」になる。そして、摩擦力が低減された状態において、同図中に記号S2で示すごとく、上記ガイド面42cがポケット部2の開口側から錠剤5に当接し、同図中に記号J2で示すごとく、錠剤5が正規の姿勢にてポケット部2内へ収容される。
【0050】
なお、本実施形態における姿勢制御装置40自体、すなわち基部41、本体部42、及び、ニードルバルブ43による噴射機構が「摩擦力低減手段」及び「噴射手段」を構成する。また、ガイド面42cを有する本体部42が「ガイド手段」を構成する。
【0051】
以上詳述したように本実施形態によれば、錠剤5とポケット部2との当接部分(例えば、図4中の記号S1等)に作用する摩擦力が低減され、ポケット部2から突出する錠剤5がさらに不安定な状態とされることで、安定状態への移行、すなわち正規の姿勢への移行が促進される。しかも、本実施形態では、ポケット部2の開口から突出した錠剤5にガイド面42cが当接するため(図4中の記号S2参照)、上記摩擦力の低減と相俟って、より確実に錠剤の姿勢を修正することができる。また、摩擦力が低減された状態でガイド面42cが当接するため、ガイド面42cの当接による錠剤5の損傷を抑制することができる。さらに、摩擦力の低減によって不安定となった錠剤5がポケット部2の外部へ飛び出してしまうこともない。
【0052】
また、本実施形態によれば、包装用フィルム3の搬送方向に沿って配列された複数の噴射孔42bがポケット部2の開口よりも狭い間隔で配列されているため(図4参照)、本体部42の下方を移動するポケット部2に少なくともいずれか一つの噴射孔42bが対応することになり、ポケット部2内へ継続的にエアが噴射される。これにより、摩擦力が低減された状態を持続することができ、より確実に錠剤5の損傷を抑制することができる。
【0053】
さらにまた、錠剤5の損傷を抑制するという観点から、本実施形態では本体部42をPOMで形成している。これにより、本体部42のガイド面42cの摩擦力が小さくなり、錠剤5の損傷の抑制に寄与する。
【0054】
また、本実施形態によれば、図5に示したように幅方向において各ポケット部2の側部へエアが噴射されるため、ポケット部2の内面に沿って一方向へ向かうエアの流れ(同図中に記号Gで例示するような流れ)が作られ易い。これにより、より確実に錠剤5とポケット部2との当接部分に作用する摩擦力を低減することができる。
【0055】
以上、一実施形態について説明してきたが、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の形態で実施可能であることは言うまでもない。すなわち、以下に例示するような態様で実施することも可能であるし、また、以下に例示しない態様で実施することももちろん可能である。
【0056】
(a)上記実施形態では、本体部42がガイド面42cを有しており(図4参照)、「ガイド手段」を構成していたが、ガイド手段を省略することも可能である。
【0057】
すなわち、図6に示すような、姿勢修正装置70を採用することとしてもよい。姿勢修正装置70は、基部71、本体部72、及び、ニードルバルブ73で構成されている。上記実施形態と同様、本体部72には、凹部72a及び噴射孔72bが形成されている。そして、ニードルバルブ73を介したエアの供給により、噴射孔72bからポケット部2へエアが噴射されるようになっている。ただし、本体部72の下面は略水平面となっており、上記実施形態のようなガイド面が形成されていない。
【0058】
このような構成においても、錠剤5とポケット部2との当接部分(例えば、図6中の記号Tに示す部分)に作用する摩擦力が低減され、ポケット部2から突出する錠剤5がさらに不安定な状態(例えば記号K1で示すような浮き上がった状態)とされることで、安定状態への移行、すなわち正規の姿勢への移行が促進される。結果として、同図中に記号K2で示す如く錠剤5がポケット部2内へ収容される。
【0059】
(b)上記実施形態は、ポケット部2内へエアを噴射することによって、ポケット部2と錠剤5との当接部分に作用する摩擦力を低減するものであった。
【0060】
これに対し、例えばポケット部2を振動させることによって、ポケット部2と錠剤5との当接部分に作用する摩擦力を低減させる構成としてもよい。具体的には、レール50を振動させる振動機構を設ける構成としたり、包装用フィルム3に対しエアを噴射してエアの圧力によりポケット部2を振動させる構成としたりすることができる。
【0061】
もちろん、ポケット部2内へのエアの噴射と共にポケット部2を振動させる構成としてもよい。
【0062】
(c)上記実施形態では、エアを噴射するようにしているが、エア以外の気体を用いても差し支えない。ただし、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】(a)はPTPシートを示す斜視図であり、(b)は裁断前のPTPフィルムを示す斜視図であり、(c)は、PTPシートを示す部分拡大断面図である。
【図2】実施形態におけるPTP包装機の概略構成を示す模式図である。
【図3】姿勢修正装置の概略構成を示す側面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3の側面図の部分拡大図である。
【図6】別実施形態の姿勢修正装置の概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0064】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…包装用フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、6…PTPフィルム、10…PTP包装機、40,70…姿勢修正装置、41,71…基部、41a…貫通孔、42,72…本体部、42a,72a…凹部、42b,72b…噴射孔、42c…ガイド面、43,73…ニードルバルブ、43a…エア流出口、43b…エア流出口、50…レール、61,63…ネジ、62…スペーサ、S1,T…当接部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の包装用フィルムに形成された複数のポケット部内に投入された錠剤の姿勢を修正するための姿勢修正装置であって、
前記ポケット部内に投入された前記錠剤と前記ポケット部との当接部分に作用する摩擦力を低減する摩擦力低減手段を備え、
前記摩擦力低減手段による前記摩擦力の低減を利用することで、前記包装用フィルムの前記ポケット部の開口から一部が突出した突出状態にある錠剤の姿勢を修正し、当該錠剤を正規の姿勢にてポケット部内に収容することを特徴とする姿勢修正装置。
【請求項2】
請求項1に記載の姿勢修正装置において、
前記突出状態にある前記錠剤に対し前記ポケット部の開口側から当接して前記錠剤をポケット部内へガイドするガイド手段を備えていることを特徴とする姿勢修正装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の姿勢修正装置において、
前記摩擦力低減手段は、前記錠剤の投入された前記ポケット部を振動させることで、前記摩擦力を低減することを特徴とする姿勢修正装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の姿勢修正装置において、
前記摩擦力低減手段は、前記錠剤の投入された前記ポケット部内へ気体を噴射することで、前記摩擦力を低減することを特徴とする姿勢修正装置。
【請求項5】
帯状の包装用フィルムに形成された複数のポケット部内に投入された錠剤の姿勢を修正するための姿勢修正装置であって、
前記錠剤が投入された前記ポケット部を振動させる振動手段を備え、
前記振動手段による振動を利用することで、前記包装用フィルムの前記ポケット部の開口から一部が突出した突出状態にある錠剤の姿勢を修正し、当該錠剤を正規の姿勢にてポケット部内に収容することを特徴とする姿勢修正装置。
【請求項6】
帯状の包装用フィルムに形成された複数のポケット部内に投入された錠剤の姿勢を修正するための姿勢修正装置であって、
前記錠剤が投入された前記ポケット部内へ気体を噴射する噴射孔を有する噴射手段を備え、
前記噴射手段による前記気体の噴射を利用することで、前記包装用フィルムの前記ポケット部の開口から一部が突出した突出状態にある錠剤の姿勢を修正し、当該錠剤を正規の姿勢にてポケット部内に収容することを特徴とする姿勢修正装置。
【請求項7】
請求項6に記載の姿勢修正装置において、
前記噴射手段は、前記包装用フィルムの搬送方向に複数の噴射孔を有しており、当該噴射孔は、前記ポケット部の開口よりも狭い間隔で配列されていることを特徴とする姿勢修正装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の姿勢修正装置において、
前記噴射手段は、前記ポケット部内の側部へ前記気体を噴射することを特徴とする姿勢修正装置。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれかに記載の姿勢修正装置において、
前記突出状態にある前記錠剤に対し前記ポケット部の開口側から当接して前記錠剤をポケット部内へガイドするガイド手段を備えていることを特徴とする姿勢修正装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の姿勢修正装置を具備してなるPTPシートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−261645(P2007−261645A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90247(P2006−90247)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】