説明

姿勢判定機能付き加速度センサモジュール

【課題】 装着される装置の姿勢を比較的安価に且つ簡単に検出することができる姿勢判定機能付き加速度センサモジュールを提供する。
【解決手段】 X軸加速度レベル判定部9が、三軸加速度センサ3から出力されたX軸加速度信号が所定の正の閾値レベル(+VRx)以上の値であるか、所定の負の閾値レベル(−VRx)以下の値であるか、正の閾値レベル(+VRx)と負の閾値レベル(−VRx)との間の値であるかを判定する。またY軸加速度レベル判定部11も三軸加速度センサ3から出力されるY軸加速度信号について、同様の判定を行う。そして姿勢判定部13は、X軸加速度レベル判定部9及びY軸加速度レベル判定部11の判定結果に基づいて、三軸加速度センサ3が取り付けられた装置のZ軸を中心とした回転姿勢を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着された装置の姿勢を判定することができる姿勢判定機能付き加速度センサモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平10−173984号公報(特許文献1)には、天地検出センサにより、カメラの姿勢の変更を検出し、検出した姿勢の変更に応じて画像を常に正立状態で見ることができるようにした電子スチルカメラが開示されている。また特開2004−240478号公報(特許文献2)には、ジャイロチップにより携帯型電子機器の姿勢を判定して、機器の姿勢の変更に応じて画像を常に正立状態で見ることができるようにする発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−173984号公報
【特許文献2】特開2004−240478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像を常に正立状態で表示する従来の画像表示装置で使用されている従来の姿勢検出センサは、構造が複雑で且つ高価なものが多い。
【0005】
本発明の目的は、装着される装置の姿勢を比較的安価に且つ簡単に検出することができる姿勢判定機能付き加速度センサモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の姿勢判定機能付き加速度センサモジュールは、互いに直交するX,Y及びZ軸方向の加速度を検出する三軸加速度センサと、X軸加速度レベル判定部と、Y軸加速度レベル判定部と、姿勢判定部とが1つのユニットとして構成されている。X軸加速度レベル判定部は、三軸加速度センサから出力されるX軸加速度信号が所定の正の閾値レベル以上の値であるか、所定の負の閾値レベル以下の値であるか、正の閾値レベルと0レベルとの間の値であるか、0レベルと前記負の閾値レベルとの間の値であるかを判定する。Y軸加速度レベル判定部は、三軸加速度センサから出力されるY軸加速度信号が所定の正の閾値レベル以上の値であるか、所定の負の閾値レベル以下の値であるか、正の閾値レベルと0レベルとの間の値であるか、0レベルと前記負の閾値レベルとの間の値であるかを判定する。そして姿勢判定部は、X軸加速度レベル判定部及びY軸加速度レベル判定部の判定結果に基づいて加速度センサが取り付けられた装置のZ軸を中心とした回転姿勢を判定する。
【0007】
本発明の姿勢判定機能付き加速度センサモジュールは、既存の三軸加速度センサと一つのユニットを構成しているので、装置への実装が容易である。また加速度センサの出力を閾値レベルと比較した結果に基づいて、簡単に装置の姿勢を判定することができる。
【0008】
X軸加速度レベル判定部及びY軸加速度レベル判定部を、それぞれ2ビット値で判定結果を出力し、姿勢判定部を2ビット値で姿勢判定結果を出力するように構成すると、姿勢の判定動作に必要なビット数を少なくして、簡単に判定結果を得ることができる。また姿勢判定部も、前回の姿勢判定結果の2ビット値と、X軸加速度レベル判定部から出力される2ビット値とY軸加速度レベル判定部から出力される2ビット値との組合せに基づいて現在の姿勢を判定するのが好ましい。このようにすると三軸加速センサの信号処理に使用する演算素子を利用して、姿勢判定をすることも十分に可能である。
【0009】
またX軸加速度レベル判定部及びY軸加速度レベル判定部で使用する閾値レベルを変更可能に設定する第1及び第2の閾値レベル設定部をさらに備えているのが好ましい。このような第1及び第2の閾値レベル設定部を設ければ、モジュールの用途に適した閾値を設定できるので、モジュールの汎用性が増す利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の姿勢判定機能付き加速度センサモジュールの実施の形態の構成の一例を示す図である。
【図2】本実施の形態の姿勢判定機能付き加速度センサモジュールを搭載したでデジタルカメラで画像を再生中に、デジタルカメラの姿勢をZ軸を中心にして回転させたときの、三軸加速度センサの出力とデジタルカメラの姿勢と画像の関係を示す図である。
【図3】X軸加速度レベル判定部及びY軸加速度レベル判定部の判定結果と、姿勢判定部の判定結果の関係を示す図である。
【図4】図3の「a」の画面から「b」または「d」の画面に切り替わる条件を示す図である。
【図5】図3の「b」の画面のままである条件が成立する領域を、領域Bと同じ色調で表示する図である。
【図6】図3の「c」の画面のままである条件が成立する領域を、領域Cと同じ色調で表示する図である。
【図7】図3の「d」の画面のままである条件が成立する領域を、領域Dと同じ色調で表示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面を参照して本発明の姿勢判定機能付き加速度センサモジュールの実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の姿勢判定機能付き加速度センサモジュール1の実施の形態の構成の一例を示している。この加速度センサモジュール1は、一つのユニットとして構成されている。そして加速度センサモジュール1は、半導体加速度センサ、静電容量型加速度センサ等のように重力加速度を含めた加速度を常時検出して出力することができる三軸加速度センサ3を備えている。三軸加速度センサ3からは、互いに直交するX,Y及びZ軸方向の加速度が検出され、これらの方向の加速度に相当するアナログのX,Y及びZ軸方向の加速度信号が出力される。A/D変換器5は、アナログのX,Y及びZ軸方向の加速度信号をX,Y及びZ軸方向のデジタル信号に変換する。そしてフィルタ7は、X,Y及びZ軸方向のデジタル信号からノイズ等を除去する。本実施の形態では、フィルタ7から出力されたデジタル信号からなるX軸加速度信号がX軸加速度レベル判定部9に入力され、デジタル信号からなるY軸加速度信号がY軸加速度レベル判定部11に入力される。X軸加速度レベル判定部9に対して、後述する負の閾値レベルと正の閾値レベルを変更可能に設定する第1の閾値レベル設定部10が設けられており、Y軸加速度レベル判定部11に対して、後述する負の閾値レベルと正の閾値レベルを変更可能に設定する第2の閾値レベル設定部12が設けられている。このような第1及び第2の閾値レベル設定部10及び12を設けると、用途に適した閾値レベルを設定できるので、モジュールの汎用性を高めることができる。
【0012】
X軸加速度レベル判定部9は、三軸加速度センサ3から出力されたX軸加速度信号が所定の正の閾値レベル(+VRx)以上の値であるか、所定の負の閾値レベル(−VRx)以下の値であるか、正の閾値レベル(+VRx)と負の閾値レベル(−VRx)との間の値であるかを、デジタル信号処理に基づいて判定する。またY軸加速度レベル判定部11は、三軸加速度センサ3から出力されるY軸加速度信号が所定の正の閾値レベル(+VRy)以上の値であるか、所定の負の閾値レベル(−VRy)以下の値であるか、正の閾値レベル(+VRy)と0レベルとの間の値であるか、0レベルと負の閾値レベル(−VRy)との間の値であるかをデジタル信号処理により判定する。そして姿勢判定部13は、X軸加速度レベル判定部9及びY軸加速度レベル判定部11の判定結果に基づいて三軸加速度センサ3が取り付けられた装置のZ軸を中心とした回転姿勢を判定する。
【0013】
図2は、本実施の形態の姿勢判定機能付き加速度センサモジュール1を搭載したでデジタルカメラDC(携帯画像表示装置)で画像を再生中に、デジタルカメラDCの姿勢をZ軸を中心にして回転させたときの、三軸加速度センサ3の出力(X軸加速度信号及びY軸加速度信号)とデジタルカメラDCの姿勢と画像の関係を示す図である。この例では、X軸加速度信号に対する所定の正の閾値レベル(+VRx)を0.5Gとし、所定の負の閾値レベル(−VRx)を−0.5Gとしている。またY軸加速度信号に対する所定の正の閾値レベル(+VRy)を0.5Gとし、所定の負の閾値レベル(−VRy)を−0.5Gとしている。図2に示したデジタルカメラDCの図には、加速度センサモジュール1の配置位置も併せて●で示してある。
【0014】
図2からは、Z軸を中心してデジタルカメラDCを回転させた場合に、90度間隔でX軸加速度信号及びY軸加速度信号の一方が、閾値レベル(+VRx,+VRy,−VRx,−VRy)以上または以下になっているのが判る。そこで本実施の形態では、閾値レベルを基準にして、閾値レベルとの対比結果を2ビット値で出力する。具体的には、X軸加速度レベル判定部9及びY軸加速度レベル判定部11は、それぞれ2ビット値で判定結果を出力する。より具体的には、X軸加速度レベル判定部9及びY軸加速度レベル判定部11は、三軸加速度センサ3から出力されたX軸加速度信号及びY軸加速度信号が、正の閾値レベル(+0.5G)以上の値である場合には、判定結果を2ビット値の「01」で表し、負の閾値レベル以下(−0.5G)の値である場合には、判定結果を2ビット値の「10」で表し、正の閾値レベル(+0.5G)と0レベルとの間の値である場合には、2ビット値の「00」で表し、0レベルと負の閾値レベル(−0.5G)との間の値である場合には、2ビット値の「11」で表す。
【0015】
また本実施の形態では、姿勢判定部13も2ビット値で姿勢判定結果を出力するように構成している。具体的には、図3に示すように、X軸加速度レベル判定部9及びY軸加速度レベル判定部11の判定結果(2ビット値)に従って、姿勢判定部13は画像の方向を判定する。図3の例では、X軸加速度レベル判定部9の判定結果(2ビット値)が「01」で、Y軸加速度レベル判定部11の判定結果(2ビット値)が「00」または「11」の場合には、姿勢判定結果(2ビット値)が「00」となって正立画像が画面に表示される。次にX軸加速度レベル判定部9の判定結果(2ビット値)が「00」または「11」の場合で、Y軸加速度レベル判定部11の判定結果(2ビット値)が「01」の場合には、姿勢判定結果(2ビット値)が「01」となって、右横向き画像が画面に表示される。次にX軸加速度レベル判定部9の判定結果(2ビット値)が「10」の場合で、Y軸加速度レベル判定部11の判定結果(2ビット値)が「00」または「11」の場合には、姿勢判定結果(2ビット値)が「10」となって、倒立画像が画面に表示される。さらにX軸加速度レベル判定部9の判定結果(2ビット値)が「00」または「11」の場合で、Y軸加速度レベル判定部11の判定結果(2ビット値)が「10」の場合には、姿勢判定結果(2ビット値)が「11」となって、左横向き画像が画面に表示される。
【0016】
本実施の形態で、姿勢判定結果に従って画面を変更すると、図3の例に示す正立画像から右横向き画像の間、右横向き画像から倒立画像の間、倒立画像から左横向き画像の間、左横向き画像から正立画像の間の画像は表示されない。すなわち図3に示した画像判定方向「00」、「01」、「10」及び「11」の姿勢判定結果のうちのいずれかの結果が、姿勢判定部13から出力されるまでは、その前の姿勢判定結果に従って決定された画像が表示される。
【0017】
図4は、図3の「a」の画面から「b」または「d」の画面に切り替わる条件を示している。図4において、符号Aで示した範囲の条件が、「a」の画面に切り替わる条件であり、符号Bで示した範囲の条件が、「b」の画面に切り替わる条件であり、符号Cで示した範囲の条件が、「c」の画面に切り替わる条件であり、符号Dで示した範囲の条件が、「d」の画面に切り替わる条件である。図4において、領域A〜D以外の領域(領域Aと同じ色調で表示されている領域)の条件では、すべて「a」の画面のままである。デジタルカメラを普通に回転させる場合、図4の状態では、領域Aの条件から領域B及びDの条件に変わりやすい。
【0018】
図5は、図3の「b」の画面のままである条件が成立する領域を、領域Bと同じ色調で表示している。
【0019】
図6は、図3の「c」の画面のままである条件が成立する領域を、領域Cと同じ色調で表示している。
【0020】
図7は、図3の「d」の画面のままである条件が成立する領域を、領域Dと同じ色調で表示している。
【0021】
デジタルカメラDCにおいて本実施の形態の加速度センサモジュール1を利用する場合に、図3に示すように画像を変更したのでは、姿勢を検出しない場合と比べて画像表示の効果上の差はない。そこで具体的に姿勢判定部13が判定した姿勢判定結果をデジタルカメラDC側で利用する場合には、姿勢判定部13の姿勢判定結果を利用して、デジタルカメラDCの姿勢が変わったときに、姿勢の変更にかかわらず、画像を正立状態で表示できるように画像表示するように、画像処理をする。この画像処理は、画面方向が図3の「a」の状態から、図3の「b」の状態に変わったときであっても、画像を正立状態で表示するものである。すなわちこの画像処理では、姿勢判定部13の判定結果で、画面方向が図3の「a」の状態から、図3の「b」の状態に変わったことが判ると、画像を姿勢の変更方向とは逆に姿勢の変更角度分だけ回転させる画像処理を行うことになる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の姿勢判定機能付き加速度センサモジュールによれば、既存の三軸加速度センサを含んで一つのユニットを構成しているので、装置への実装が容易である。また加速度センサの出力を閾値レベルと比較した結果に基づいて、簡単に装置の姿勢を判定することができる利点がある。
【符号の説明】
【0023】
1 姿勢判定機能付き加速度センサモジュール
3 三軸加速度センサ
5 A/D変換器
7 フィルタ
9 X軸加速度レベル判定部
11 Y軸加速度レベル判定部
13 姿勢判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交するX,Y及びZ軸方向の加速度を検出する三軸加速度センサと、
前記三軸加速度センサから出力されるX軸加速度信号が所定の正の閾値レベル以上の値であるか、所定の負の閾値レベル以下の値であるか、前記正の閾値レベルと0レベルとの間の値であるか、0レベルと前記負の閾値レベルとの間の値であるかを判定するX軸加速度レベル判定部と、
前記三軸加速度センサから出力されるY軸加速度信号が所定の正の閾値レベル以上の値であるか、所定の負の閾値レベル以下の値であるか、前記正の閾値レベルと0レベルとの間の値であるか、0レベルと前記負の閾値レベルとの間の値であるかを判定するY軸加速度レベル判定部と、
前記X軸加速度レベル判定部及び前記Y軸加速度レベル判定部の判定結果に基づいて前記加速度センサが取り付けられた装置のZ軸を中心とした回転姿勢を判定する姿勢判定部とが、1つのユニットとして構成されており、
前記X軸加速度レベル判定部及び前記Y軸加速度レベル判定部は、それぞれ2ビット値で判定結果を出力し、前記姿勢判定部は2ビット値で姿勢判定結果を出力するように構成され、
前記姿勢判定部が、前回の姿勢判定結果の2ビット値と、前記X軸加速度レベル判定部から出力される前記2ビット値と前記Y軸加速度レベル判定部から出力される前記2ビット値との組合せに基づいて現在の姿勢を判定するように構成されていることを特徴とする姿勢判定機能付き加速度センサモジュール。
【請求項2】
互いに直交するX,Y及びZ軸方向の加速度を検出する三軸加速度センサと、
前記三軸加速度センサから出力されるX軸加速度信号が所定の正の閾値レベル以上の値であるか、所定の負の閾値レベル以下の値であるか、前記正の閾値レベルと0レベルとの間の値であるか、0レベルと前記負の閾値レベルとの間の値であるかを判定するX軸加速度レベル判定部と、
前記三軸加速度センサから出力されるY軸加速度信号が所定の正の閾値レベル以上の値であるか、所定の負の閾値レベル以下の値であるか、前記正の閾値レベルと0レベルとの間の値であるか、0レベルと前記負の閾値レベルとの間の値であるかを判定するY軸加速度レベル判定部と、
前記X軸加速度レベル判定部及び前記Y軸加速度レベル判定部の判定結果に基づいて前記加速度センサが取り付けられた装置のZ軸を中心とした回転姿勢を判定する姿勢判定部とが、1つのユニットとして構成されていることを特徴とする姿勢判定機能付き加速度センサモジュール。
【請求項3】
前記X軸加速度レベル判定部及び前記Y軸加速度レベル判定部は、それぞれ2ビット値で判定結果を出力し、前記姿勢判定部は2ビット値で姿勢判定結果を出力するように構成されている請求項2に記載の姿勢判定機能付き加速度センサモジュール。
【請求項4】
前記姿勢判定部は、前回の姿勢判定結果の2ビット値と、前記X軸加速度レベル判定部から出力される前記2ビット値と前記Y軸加速度レベル判定部から出力される前記2ビット値との組合せに基づいて現在の姿勢を判定する請求項2に記載の姿勢判定機能付き加速度センサモジュール。
【請求項5】
前記X軸加速度レベル判定部及び前記Y軸加速度レベル判定部で使用する前記閾値レベルを変更可能に設定する第1及び第2の閾値レベル設定部をさらに備えている請求項1または2に記載の加速度センサモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−41187(P2011−41187A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189170(P2009−189170)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000242633)北陸電気工業株式会社 (49)
【Fターム(参考)】