説明

姿勢検出装置、姿勢検出方法、姿勢検出プログラムおよび姿勢検出プログラムを格納した記録媒体

【課題】例えば、使用環境による影響が少なく、かつ、フォーカスやトラッキングのサーボをクローズした前に検出することができる姿勢検出装置、姿勢検出方法、姿勢検出プログラムおよび姿勢検出プログラムを格納した記録媒体を提供する。
【解決手段】内周方向のトラッキングキックを行ってTE信号を二値化した信号の周波数である第1の周波数Foutを取得し、外周方向のトラッキングキックを行ってTE信号を二値化した信号の周波数である第2の周波数Finを取得し、第1の周波数Foutと第2の周波数Finとの差が予め定めた閾値Ftより大きい場合は、垂直置きとして判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光ディスク装置などの光ピックアップを有する機器における姿勢を検出する姿勢検出装置、姿勢検出方法、姿勢検出プログラムおよび姿勢検出プログラムを格納した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置などの光ピックアップを有する機器は回転しているディスクの記録面にレーザ光を対物レンズで微小スポットに絞って照射し、記録面にデータを記録し、あるいは記録面からデータを読み出す。そして、光ディスク装置は、一般的にディスクが水平面内で回転する水平置きとディスクが垂直面内で回転する垂直置きなどの複数の姿勢で使用できるように設計されているものが多い。
【0003】
この種の光ディスク装置では、装置の姿勢により、光ディスクの再生制御ソフト(制御方法)が異なる。その為、再生制御ソフトを搭載している基板ユニットも、それぞれの姿勢専用の基板ユニットが必要であった。
【0004】
しかし、予め姿勢検出が可能であれば、姿勢に応じた再生制御ソフトを自動的に選択することが可能であり基板ユニットは1種類で対応が可能となる。光ピックアップを有する装置の姿勢検出方法としては、例えば、特許文献1に記載の傾き検出装置が提案されている。
【0005】
特許文献1に記載の傾き検出装置は、携帯型CDプレーヤの製造時にフォーカス傾き角度α及びトラッキング傾き角度βに傾けたときのフォーカス駆動値Vf及びトラッキング駆動値Vtを測定し、これらを基にフォーカス感度定数Λ及びトラッキング感度定数Σとを算出して不揮発性メモリに予め記憶させておき、当該携帯型CDプレーヤが光ディスクを再生する際に、サーボ制御部から取得したフォーカス駆動値Vf及びトラッキング駆動値Vtとフォーカス感度定数Λ及びトラッキング感度定数Σとを用いて光学ピックアップのフォーカス傾き角度α及びトラッキング傾き角度βをそれぞれ算出し、これを基に当該携帯型CDプレーヤの傾き状態を認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−40483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された傾き検出装置は、装置を製造する際に測定されたフォーカス傾き角度α及びトラッキング傾き角度βに傾けたときのフォーカス駆動値Vf及びトラッキング駆動値Vtに基づいて実使用時の光学ピックアップのフォーカス傾き角度α及びトラッキング傾き角度βをそれぞれ算出しているが、この場合、製造時と同じ条件で使用する場合は問題ないが、製造時と異なる条件であることが多い実使用時には、正確な傾きを算出することは以下の問題点により困難である。
【0008】
まず、フォーカス傾き角度α及びトラッキング傾き角度βを算出する際に必要なパラメータであるフォーカス感度aやトラッキング感度bは、実際は温度環境によって変動する値である。また、フォーカス駆動値Vfは、実質的に光ディスクと光ピックアップとの距離を示しているため光ディスクの反りによって変動してしまう。以上のような問題から、製造時に測定された値を基準に実使用時における傾きを正確に算出することは困難であった。
【0009】
さらに、特許文献1に記載された傾き検出装置は、フォーカスやトラッキングのサーボをクローズした後に姿勢を検出するので、姿勢に応じた特性で予めセットアップし、動作させることができないという問題もある。
【0010】
そこで、本発明は、例えば、使用環境による影響が少なく、かつ、フォーカスやトラッキングのサーボをクローズした前に検出することができる姿勢検出装置、姿勢検出方法、姿勢検出プログラムおよび姿勢検出プログラムを格納した記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の姿勢検出装置は、光ディスクから情報を読み出すための光を発生する光源と、前記光源が発生した光を前記光ディスクに合焦させる対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を受光して電気信号を生成する受光手段と、前記対物レンズを弾性部材によって支持して前記光ディスクに対してフォーカス方向およびトラッキング方向に移動させるアクチュエータと、を備えた光ピックアップを有する機器の姿勢を検出する姿勢検出装置において、前記アクチュエータに前記対物レンズを前記フォーカス方向または前記トラッキング方向の一方端から他方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合に前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第1の周波数を取得し、前記アクチュエータに前記対物レンズを前記第1の周波数を取得した際と同方向の前記他方端から前記一方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合の前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第2の周波数を取得する周波数取得手段と、前記周波数取得手段が取得した前記第1の周波数と前記第2の周波数との比較値に基づいて前記機器の姿勢を検出する姿勢検出手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の姿勢検出方法は、光ディスクから情報を読み出すための光を発生する光源と、前記光源が発生した光を前記光ディスクに合焦させる対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を受光して電気信号を生成する受光手段と、前記対物レンズを弾性部材によって支持して前記光ディスクに対してフォーカス方向およびトラッキング方向に移動させるアクチュエータと、を備えた光ピックアップを有する機器の姿勢を検出する姿勢検出方法において、前記アクチュエータに前記対物レンズを前記フォーカス方向または前記トラッキング方向の一方端から他方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合に前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第1の周波数を取得し、前記アクチュエータが前記対物レンズを前記第1の周波数を取得した際と同方向の前記他方端から前記一方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合の前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第2の周波数を取得し、前記第1の周波数と前記第2の周波数と比較値に基づいて前記機器の姿勢を検出することを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の姿勢検出プログラムは、光ディスクから情報を読み出すための光を発生する光源と、前記光源が発生した光を前記光ディスクに合焦させる対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を受光して電気信号を生成する受光手段と、前記対物レンズを弾性部材によって支持して前記光ディスクに対してフォーカス方向およびトラッキング方向に移動させるアクチュエータと、を備えた光ピックアップを有する機器のコンピュータが前記機器の姿勢を検出する姿勢検出プログラムにおいて、前記アクチュエータに前記対物レンズを前記フォーカス方向または前記トラッキング方向の一方端から他方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合に前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第1の周波数を取得し、前記アクチュエータに前記対物レンズを前記第1の周波数を取得した際と同方向の前記他方端から前記一方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合の前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第2の周波数を取得する周波数取得手段と、前記周波数取得手段が取得した前記第1の周波数と前記第2の周波数との比較値に基づいて前記機器の姿勢を検出する姿勢検出手段と、して前記コンピュータを機能させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施例にかかる姿勢検出装置を備えた光ディスク再生装置のブロック図である。
【図2】図1に示された光ディスク再生装置の光ピックアップの要部斜視図である。
【図3】図2に示されたアクチュエータ装置の要部斜視図である。
【図4】図2に示されたアクチュエータ装置のホルダベースとレンズホルダ及びプリントコイル部分を示した斜視図である。
【図5】トラッキングエラー信号の二値化の説明図である。
【図6】水平に設置されている場合の対物レンズと線状弾性部材をフォーカス方向のバネとトラッキング方向のバネに分けて示した模式図である。
【図7】垂直に設置されている場合の対物レンズと線状弾性部材をフォーカス方向のバネとトラッキング方向のバネに分けて示した模式図である。
【図8】水平に設置されている場合の内周方向のトラッキングキック時のフォーカスエラー信号と外周方向のトラッキングキック時のトラッキングエラー信号の波形図である。
【図9】垂直に設置されている場合の内周方向のトラッキングキック時のフォーカスエラー信号と外周方向のトラッキングキック時のトラッキングエラー信号の波形図である。
【図10】図1に示された姿勢制御装置における姿勢検出動作を示したフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施例にかかる姿勢検出装置における、フォーカスエラー信号の二値化の説明図である。
【図12】水平に設置されている場合の対物レンズを合焦点より上側へ移動させるようにフォーカスアクチュエータが駆動し、その後、駆動を解除した際のフォーカスエラー信号の波形図である。
【図13】水平に設置されている場合の対物レンズを合焦点より下側へ移動させるようにフォーカスアクチュエータが駆動し、その後、駆動を解除した際のフォーカスエラー信号の波形図である。
【図14】本発明の第2の実施例にかかる姿勢制御装置における姿勢検出動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態にかかる姿勢検出装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる姿勢検出装置は、周波数取得手段が、アクチュエータに対物レンズをフォーカス方向またはトラッキング方向の一方端から他方端へ弾性部材の弾性力で移動させた際に受光手段が生成する電気信号の周波数である第1の周波数を取得し、アクチュエータに対物レンズを第1の周波数を取得した際と同方向の他方端から一方端へ弾性部材の弾性力で移動させた際の受光手段が生成する電気信号の周波数である第2の周波数を取得して、姿勢検出手段が、周波数取得手段が取得した第1の周波数と第2の周波数との比較値に基づいて機器の姿勢を検出するので、対物レンズが弾性力で移動している際に重力の影響を受け第1の周波数と第2の周波数との差分や比などの比較値が大きくなることを検出することにより姿勢を検出できる。そのため、温度などの使用環境による影響が小さく、また、フォーカスやトラッキングのサーボをクローズする前に姿勢検出が可能となる。
【0016】
また、周波数取得手段が、アクチュエータに対物レンズを一方端へ移動するように駆動した後に駆動解除し、そして、アクチュエータに対物レンズを他方端へ移動するように駆動した後に駆動解除するように動作させてもよい。このようにすることにより、対物レンズの往復運動時に第1の周波数と第2の周波数を取得するよりも、重力による影響を検出し易くなり、正確に姿勢検出することができる。
【0017】
また、周波数取得手段が、対物レンズが一方端から他方端へ移動した際の最大周波数を第1の周波数とし、対物レンズが他方端から一方端へ移動した際の最大周波数を第2の周波数として取得してもよい。このようにすることにより、弾性力と重力の影響を最も受けている時点の周波数で比較することができ、更に検出精度を向上させることができる。
【0018】
また、姿勢検出手段が、予め設定された複数の閾値に基づいて機器の姿勢を検出してもよい。このようにすることにより、閾値を複数設定しているので、単に水平が垂直かの違いだけでなく、水平が垂直の中間の角度も検出することができる。
【0019】
また、本発明の一実施形態にかかる姿勢検出方法は、アクチュエータに対物レンズをフォーカス方向またはトラッキング方向の一方端から他方端へ弾性部材の弾性力で移動させた際に受光手段が生成する電気信号の周波数である第1の周波数を取得し、アクチュエータに対物レンズを第1の周波数を取得した際と同方向の他方端から一方端へ弾性部材の弾性力で移動させた際の受光手段が生成する電気信号の周波数である第2の周波数を取得して、周波数取得手段が取得した第1の周波数と第2の周波数との比較値に基づいて機器の姿勢を検出するので、対物レンズが弾性力で移動している際に重力の影響を受け第1の周波数と第2の周波数との差分や比などの比較値が大きくなることを検出することにより姿勢を検出できる。そのため、温度などの使用環境による影響が小さく、また、フォーカスやトラッキングのサーボをクローズする前に姿勢検出が可能となる。
【0020】
また、本発明の一実施形態にかかる姿勢検出プログラムは、周波数取得手段が、アクチュエータに対物レンズをフォーカス方向またはトラッキング方向の一方端から他方端へ弾性部材の弾性力で移動させた際に受光手段が生成する電気信号の周波数である第1の周波数を取得し、アクチュエータに対物レンズを第1の周波数を取得した際と同方向の他方端から一方端へ弾性部材の弾性力で移動させた際の受光手段が生成する電気信号の周波数である第2の周波数を取得して、姿勢検出手段が、周波数取得手段が取得した第1の周波数と第2の周波数との比較値に基づいて機器の姿勢を検出するので、対物レンズが弾性力で移動している際に重力の影響を受け第1の周波数と第2の周波数との差分や比などの比較値が大きくなることを検出することにより姿勢を検出できる。そのため、温度などの使用環境による影響が小さく、また、フォーカスやトラッキングのサーボをクローズする前に姿勢検出が可能となる。
【0021】
また、上述した姿勢検出プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の第1の実施例にかかる姿勢検出装置を備えた光ディスク再生装置1を、図1ないし図10に基づいて説明する。光ディスク再生装置1は、図1に示したように、スピンドルモータ2と、ターンテーブル3と、光ピックアップ4と、信号処理部5と、キャリッジモータ6と、キャリッジ機構7と、再生部8と、を備えている。
【0023】
スピンドルモータ2は、信号処理部5からの制御によりターンテーブル3を回転駆動する。ターンテーブル3は、円盤状に形成され、その中心がスピンドルモータ2の回転軸と接続されている。ターンテーブル3は、その表面上に光ディスク10が載置され、光ディスク10を係止して光ディスク10を回転させる。
【0024】
光ピックアップ4は、対物レンズ45と、フォーカスアクチュエータ4aと、トラッキングアクチュエータ4bと、光学部品4cと、受光素子4dと、を備えている。対物レンズ45は、図示しない光源から発せられ光学部品4cを経由してきた光を光ディスク10に照射することおよび光ディスク10から反射された光を光学部品4cへ出力するためのレンズである。フォーカスアクチュエータ4aは、対物レンズ45をフォーカス方向、即ち、光ディスク10に焦点を合わせる方向に移動させるアクチュエータである。トラッキングアクチュエータ4bは、対物レンズ45をトラッキング方向、即ち、光ディスク10のトラックと平行な方向に移動させるアクチュエータである。光学部品4cは、プリズム、コリメータレンズ、ビームスプリッタなどから構成され、光源から出射された光を対物レンズ45に導いたり、対物レンズ45に入射した光ディスク10からの反射光を受光素子4dに導いたりする。受光素子4dは、光ディスク10からの反射光を電気信号に変換し、信号処理部5に出力する。
【0025】
図2ないし図4に光ピックアップ4の実際の構成例の斜視図を示す。光ピックアップ4は、図2に示したように、ピックアップケース41と、アクチュエータ装置42と、を備えている。
【0026】
ピックアップケース41は、アクチュエータ装置42が固定されるとともに、図示しないCD/DVD用の光源およびBD用の光源、受光素子4e、光学部品4cなどが収容されている。また、ピックアップケース41は、後述するキャリッジモータ6とキャリッジモータ6からの駆動力を伝達するリードスクリュー7aなどによって、図2に示す軸7b上を光ディスク10の径方向に沿って移動可能となっている。
【0027】
アクチュエータ装置42は、図3に示すように、アクチュエータケース43と、アクチュエータ可動部44と、を備えている。
【0028】
アクチュエータケース43は、アクチュエータ可動部44の後述するレンズホルダ48をフォーカスやトラッキング方向に移動させるためのマグネット51が含まれ、アクチュエータ可動部44のうち後述するホルダサスペンション47のサスペンションベース部49が固定されている。
【0029】
また、アクチュエータケース43には、アクチュエータ可動部44のレンズホルダ48のフォーカス方向およびトラッキング方向への移動を制限するストッパ52が設けられている。
【0030】
アクチュエータ可動部44は、図4に示すように、対物レンズ45と、プリントコイル46と、ホルダサスペンション47と、を備えている。
【0031】
対物レンズ45は、光源から発せられ光学部品を経由してきた光を光ディスク10に照射することおよび光ディスク10から反射された光を光学部品へ出力するためのレンズであり、図2ないし図4の例ではCD/DVD用のレンズ45aとBD用レンズ45bの2種類が並列に設けられている。
【0032】
プリントコイル46は、ホルダサスペンション47のレンズホルダ48を挟んでレンズホルダ48の箱部48hの長手方向の側面に一対が接着剤などで固定される。プリントコイル46は、基板上にコイルの配線パターンが形成されたものであり、フォーカス制御用のコイルとトラッキング制御用のコイルが夫々形成されている。また、プリントコイル46には、後述する線状弾性部材50とはんだ付けにて電気的に接続するためのランドが該線状弾性部材50の接続部50bに対応する位置に設けられている。
【0033】
ホルダサスペンション47は図4に示すようにレンズホルダ48と、サスペンションベース部49と、線状弾性部材50と、を備えている。
【0034】
レンズホルダ48は、例えばLCP(液晶ポリマ)等の樹脂によって略箱型に成形され、略箱型の箱部48hと、箱部48hの端部から突出した固定アーム部48dと凸部48e等から構成されている。箱部48hの天面部48aの略中央には対物レンズ45を設置するための開口孔48bが設けられている。固定アーム部48dは、厚み方向に一対が並んで箱部48hの両端部に、計4つ設けられている。凸部48eも固定アーム部48dと同様に、厚み方向に一対が並んで箱部48hの両端部に、計4つ設けられている。
【0035】
サスペンションベース部49は、レンズホルダ48と同様に例えばLCP(液晶ポリマ)等の樹脂によって略箱型に成形されている。サスペンションベース部49の両端部には線状弾性部材50を固定するための線状弾性部材固定部49bが設けられている。
【0036】
線状弾性部材50は、例えば銅合金などの弾性力を備えるとともに導電性の良い部材で形成されサスペンションベース部49の線状弾性部材固定部49bとレンズホルダ48の固定アーム部48dとを結びレンズホルダ48を移動可能に支持した線状部50aと、線状部50aから分岐しプリントコイル46と電気的に接続される接続部50bと、を備えている。また、線状弾性部材50は、サスペンションベース部49の線状弾性部材固定部49bに貫通するように固定され、線状弾性部材50の貫通した部分は、外部からフォーカス制御やトラッキング制御のための電流が供給される。つまり、線状弾性部材50は、レンズホルダ48に対するサスペンション機能の他に、プリントコイル46に電流を供給する配線の機能も合わせて持つ。
【0037】
レンズホルダ48とサスペンションベース部49と線状弾性部材50は、インサート成形によりレンズホルダ48とサスペンションベース部49を成形する際に一体に成形される。即ち、図4に示すように線状弾性部材50の線状部50aの一端がサスペンションベース部49の線状弾性部材固定部49bに内包され、線状部50aの他端および接続部50bの一部がレンズホルダ48の固定アーム部48d、凸部48eなどに内包されるとともに、線状弾性部材50の他の部分は露出した状態で固定される。
【0038】
レンズホルダ48に取り付けられたプリントコイル46は、線状断性部材50の接続部50bとはんだ付けされることで電気的に接続される。また、プリントコイル46はレンズホルダ48の側面に接着剤で固定されているが、線状断性部材50はレンズホルダ48と一体に成型されるため、はんだまたは接着剤のいずれか一方のみで固定しても良い。
【0039】
このように構成されたアクチュエータ装置42は、線状弾性部材50を介してプリントコイル46のフォーカス制御用コイルに電流を流すことで、マグネット51との間に生じる電磁力を駆動力としてレンズホルダ48がフォーカス方向に移動する。また、線状弾性部材50を介してプリントコイル46のトラッキング制御用コイルに電流を流すことで、マグネット51との間に生じる電磁力を駆動力としてレンズホルダ48がトラッキング方向に移動する。即ち、アクチュエータ装置42は、図1のフォーカスアクチュエータ4aおよびトラッキングアクチュエータ4bとして機能する。
【0040】
信号処理部5は、TE信号生成回路5aと、ゼロクロス検出回路5bと、周波数検出回路5cと、制御回路5dと、を備えている。TE信号生成回路5aは、受光素子4dからの電気信号から周知の方法によりトラッキングエラー信号(TE信号)を生成し、ゼロクロス検出回路5bに出力する。即ち、受光素子4dとTE信号生成回路とで、光ディスク10からの反射光を受光して電気信号としてのTE信号を生成する受光手段として機能する。ゼロクロス検出回路5bは、TE信号生成回路5aから入力されたTE信号のゼロクロス点を検出しTE信号を二値化して周波数検出回路5cに出力する。TE信号の二値化は図5に示すように、光ディスク10のトラックを跨ぐ際に発生するTE信号がオントラック、オフトラック時にはゼロクロス点を通過するため、このゼロクロス点を検出し、検出する毎にHighとLowを切り替えることで二値化することができる。
【0041】
周波数取得手段としての周波数検出回路5cは、ゼロクロス検出回路5bで二値化されたTE信号の周波数を検出して制御回路5dに検出した周波数を出力する。姿勢検出手段としての制御回路5dは、周波数検出回路5cから入力された周波数に基づいて光ディスク再生装置1が水平に設置されているか垂直に設置されているかを判断し、判断された姿勢に応じてスピンドルモータ2や光ピックアップ4やキャリッジモータ6などの制御を変更する。
【0042】
また、信号処理部5では、受光素子4dからの電気信号に基づいて光ディスク10から読み出した情報を含むRF信号を生成し、再生部8へ出力する。
【0043】
キャリッジモータ6は、キャリッジ機構7を駆動するためのモータであり、信号処理部5によって制御される。キャリッジ機構7は、光ピックアップ4を光ディスク10の径方向に移動させるための機構であり、例えば、キャリッジモータ6の駆動力が伝達されるとともに、光ディスク10の径方向に延在しているリードスクリュー7aや、リードスクリュー7aと平行に設けられたガイド部材7b(図2に示す)等により構成されている。
【0044】
再生部8は、信号処理部5から出力されたRF信号から光ディスク10から読み出した情報を再生し外部に出力する。
【0045】
上述した、光ピックアップ4と、信号処理部5と、で本発明の第1の実施例にかかる姿勢検出装置100を構成する。
【0046】
ここで、上述した構成の光ディスク再生装置1における姿勢検出の動作について図6ないし図9を参照して説明する。図6および図7は、光ピックアップ4のうち、対物レンズ45と、線状弾性部材50をフォーカス方向のバネ50Fとトラッキング方向のバネ50Tに分けて示した模式図である。
【0047】
図6は、光ディスク再生装置1が水平に設置されている(水平置き)場合の光ピックアップ4の対物レンズ45とバネ50Fとバネ50Tの状態を示している。水平置きの場合には、フォーカス方向へ重力がかかり、自重垂れを起こしている状態である。そして、このときにトラッキング方向の内周方向(一方端)に対物レンズ45を移動させるようにトラッキングアクチュエータ4bが駆動し、その後、駆動を解除して、バネ50Tのバネ力(弾性力)で内周端から外周端(他方端)へ移動する動作(内周方向のトラッキングキック)を行うと、TE信号は図8の内周→外周に示すような波形になる。次に、トラッキング方向の外周方向に対物レンズ45を移動させるようにトラッキングアクチュエータ4bが駆動し、その後、駆動を解除して、バネ50Tのバネ力で外周端から内周端へ移動する動作(外周方向のトラッキングキック)を行うと、TE信号は図8の外周→内周に示すような波形になる。したがって図8に示したように、内周方向にトラッキングキックした場合の二値化信号の周波数と、外周方向にトラッキングキックした場合の二値化信号の周波数は、同じ周波数となる。
【0048】
図7は、光ディスク再生装置1が垂直に設置されている(垂直置き)場合の光ピックアップ4の対物レンズ45とバネ50Fとバネ50Tの状態を示している。垂直置きの場合には、トラッキング方向へ重力がかかり、自重垂れを起こしている状態である。そして、このときに内周方向のトラッキングキックを行うと、対物レンズ45は重力に引っ張られながらバネ50Tのバネ力にて外周方向へ戻るので、TE信号は図9の内周→外周に示すような波形になり、二値化信号の周波数は水平置きの場合よりも遅くなる。次に、外周方向のトラッキングキックを行うと、対物レンズ45は重力とバネ50Tのバネ力にて内周方向へ戻るので、TE信号は図9の外周→内周に示すような波形になり、二値化信号の周波数は水平置きの場合よりも速くなる。したがって図9に示したように、内周方向にトラッキングキックした場合の二値化信号の周波数と、外周方向にトラッキングキックした場合の二値化信号の周波数は、異なる周波数となる。
【0049】
このように、垂直置きでは、内周方向のトラッキングキックを行った場合と、外周方向のトラッキングキックを行った場合とでTE信号の二値化信号の周波数が異なるので、それを検出することで水平置きか垂直置きかを検出することができる。
【0050】
次に、上述した動作の詳細について図10のフローチャートを参照して説明する。図10に示されたフローチャートは制御回路5dで実行される。
【0051】
まず、ステップS101において、外周方向のトラッキングキックを行いステップS102に進む。
【0052】
次に、ステップS102において、ステップS101の結果得られる二値化信号の周波数を第1の周波数Foutとして記録し、ステップS103に進む。この第1の周波数Foutは、外周端から内周端へ移動する際の最大周波数とする。トラッキングキックによる対物レンズ45の移動では、移動範囲の両端(外周端と内周端)で速度が低下するため、両端とその中間では周波数が異なる。そのため、本実施例では、より重力の影響が表れ易くなるように最大速度(最大周波数)の値を記録する。
【0053】
次に、ステップS103において、内周方向のトラッキングキックを行いステップS104に進む。
【0054】
次に、ステップS104において、ステップS103の結果得られる二値化信号の周波数を第2の周波数Finとして記録し、ステップS105に進む。この第2の周波数Finも第1の周波数Foutと同様に、内周端から外周端へ移動する際の最大周波数とする。
【0055】
次に、ステップS105において、第1の周波数Foutと第2の周波数Finとの差(絶対値)が予め定めた閾値であるFtより大きいか否かを判断し、大きい場合はステップS106に進み、大きくない場合はステップS109に進む。即ち、第1の周波数Foutと第2の周波数Finとの差を比較値としている。第1の周波数Foutと第2の周波数Finは水平置きでも部品の個体差や製造工程などによって差が生じる場合があるため、この閾値Ftは、垂直置きの際に発生する周波数の差を検出できる値に設定し、閾値Ftを超えた場合は垂直置きであると判定する。
【0056】
次に、ステップS106において、ステップS105で垂直置きと判断されたので、垂直置きの再生制御ソフトを呼び出してステップS107に進む。垂直置きの再生制御ソフトは、例えば信号処理部5の図示しないメモリ等に格納されている。
【0057】
次に、ステップS107において、各種設定処理を行いステップS108に進む。即ち、ステップS106で呼び出された再生制御ソフトの動作にしたがって、光ピックアップ4などのセットアップを行う。そして、ステップS108において、再生を開始する。
【0058】
一方、ステップS109においては、ステップS105で水平置きと判断されたので、水平置きの再生制御ソフトを呼び出してステップS110に進む。水平置きの再生制御ソフトは、例えば信号処理部5の図示しないメモリ等に格納されている。
【0059】
次に、ステップS110において、各種設定処理を行いステップS111に進む。即ち、ステップS109で呼び出された再生制御ソフトの動作にしたがって、光ピックアップ4などのセットアップを行う。そして、ステップS111において、再生を開始する。
【0060】
本実施例によれば、内周方向のトラッキングキックを行ってTE信号を二値化した信号の周波数である第1の周波数Foutを取得し、外周方向のトラッキングキックを行ってTE信号を二値化した信号の周波数である第2の周波数Finを取得し、第1の周波数Foutと第2の周波数Finとの差が予め定めた閾値Ftより大きい場合は、垂直置きとして判断しているので、重力の影響の有無により判断をするために、温度などの使用環境による影響が小さく、また、フォーカスやトラッキングのサーボをクローズする前に姿勢検出が可能となる。
【0061】
なお、上述した実施例では、内周方向のトラッキングキックと外周方向のトラッキングキックを行って第1の周波数Foutと第2の周波数Finを取得していたが、トラッキングキックを行うと、対物レンズ45は内周端と外周端との往復運動を行うため、いずれか一方のトラッキングキックを行い、往路と復路における二値化信号の周波数をそれぞれ、第1の周波数Fout、第2の周波数Finとして、その差を閾値と比較するようにしてもよい。但し、この場合、対物レンズ45が往復運動を繰り返すにしたがって、対物レンズ45の移動速度が低下するため、閾値Ftは、その点を考慮して設定する必要がある。
【0062】
また、上述した実施例では、比較値としてTE信号の周波数の差で判断していたが、周波数の比で判断してもよい。また、TE信号に限らず、RF信号で行ってもよい。RF信号もトラックを横切ることで波形が表れるため、トラッキングキックによる周波数の差により垂直置き、水平置き検出が可能となる。
【実施例2】
【0063】
次に、本発明の第2の実施例にかかる光ディスク再生装置1を図11ないし図14を参照して説明する。なお、前述した第1の実施例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
本実施例では、TE信号に代わりフォーカスエラー信号(FE信号)を用いて垂直置きか水平置きかを検出する点が第1の実施例と異なる。そのため、図1のTE信号生成回路5aではなく受光素子4dの電気信号から周知の方法によりFE信号を生成するFE信号生成回路が必要となり、ゼロクロス検出回路5bは、FE信号生成回路が生成したFE信号の二値化を行う。
【0065】
次に、本実施例における姿勢検出の動作について説明する。光ディスク10に対して、光ピックアップ4(対物レンズ45)をフォーカス方向へ駆動することにより、記録面と焦点が合うポイントを合焦点といい、この合焦点付近を対物レンズ45から出射した光が横切る際には、FE信号が発生する。そして、このフォーカスエラー信号は、図11に示したように、絶対値を取り所定の閾値で二値化することが可能である。
【0066】
光ディスク再生装置1が水平置きの場合は、フォーカス方向は、図6より上下方向となる。この際に、対物レンズ45を合焦点より上側(一方端)へ移動させるようにフォーカスアクチュエータ4aが駆動し、その後、駆動を解除すると、重力に引っ張られながらバネ50Fのバネ力にて下側(他方端)へ戻るので、図12に示すように二値化信号の周波数は速くなる。次に、対物レンズ45を合焦点より下側へ移動させるようにフォーカスアクチュエータ4aが駆動し、その後、駆動を解除すると、重力に逆らってバネ50Fのバネ力によって上側へ戻るので、図13に示すように二値化信号の周波数は遅くなる。つまり、水平置きの場合は、上側に駆動して解除した場合と、下側に駆動して解除した場合とで、周波数に差が発生する。
【0067】
一方、光ディスク再生装置1が水平置きの場合は、フォーカス方向は、図7より左右方向となる。この場合は、重力の影響を受けないため、左側(一方端)に駆動して解除した場合と、右側(他方端)に駆動して解除した場合とで、周波数に差は発生しない。
【0068】
次に、上述した動作の詳細について図14のフローチャートを参照して説明する。図14に示されたフローチャートは制御回路5dで実行される。
【0069】
まず、ステップS201において、対物レンズ45を光ディスク10に近づく方向に駆動を行いステップS102に進む。本ステップでは、水平置きの場合は、対物レンズ45を合焦点より上側へ移動させるようにフォーカスアクチュエータ4aが駆動し、その後、駆動を解除する動作、垂直置きの場合は、対物レンズ45を合焦点より右側または左側へ移動させるようにフォーカスアクチュエータ4aが駆動し、その後、駆動を解除する動作を示している。
【0070】
次に、ステップS202において、ステップS201の結果得られる二値化信号の周波数を第1の周波数Fupとして記録し、ステップS203に進む。この第1の周波数Fupは、ステップS102と同様に、一方端(例えば上側)から他方端(例えば下側)へ移動する際の最大周波数とする。
【0071】
次に、ステップS203において、対物レンズ45を光ディスク10から離れる方向に駆動を行いステップS204に進む。本ステップでは、水平置きの場合は、対物レンズ45を合焦点より下側へ移動させるようにフォーカスアクチュエータ4aが駆動し、その後、駆動を解除する動作、垂直置きの場合は、対物レンズ45を合焦点よりステップS201の逆側へ移動させるようにフォーカスアクチュエータ4aが駆動し、その後、駆動を解除する動作を示している。
【0072】
次に、ステップS204において、ステップS203の結果得られる二値化信号の周波数を第2の周波数Fdownとして記録し、ステップS205に進む。この第2の周波数Fdownも第1の周波数Fupと同様に、内周から外周へ移動する際の最大周波数とする。
【0073】
次に、ステップS205において、第1の周波数Fupと第2の周波数Fdownとの差(絶対値)が予め定めた閾値であるFfより大きいか否かを判断し、大きい場合はステップS206に進み、大きくない場合はステップS209に進む。第1の周波数Fupと第2の周波数Fdownは垂直置きでも部品の個体差や製造工程などによって差が生じる場合があるため、この閾値Ffは、水平置きの際に発生する周波数の差を検出できる値に設定し、閾値Ffを超えた場合は水平置きであると判定する。
【0074】
次に、ステップS206において、ステップS205で水平置きと判断されたので、水平置きの再生制御ソフトを呼び出してステップS207に進む。水平置きの再生制御ソフトは、例えば信号処理部5の図示しないメモリ等に格納されている。
【0075】
次に、ステップS207において、各種設定処理を行いステップS208に進む。即ち、ステップS206で呼び出された再生制御ソフトの動作にしたがって、光ピックアップ4などのセットアップを行う。そして、ステップS208において、再生を開始する。
【0076】
一方、ステップS209においては、ステップS205で垂直置きと判断されたので、垂直置きの再生制御ソフトを呼び出してステップS210に進む。垂直置きの再生制御ソフトは、例えば信号処理部5の図示しないメモリ等に格納されている。
【0077】
次に、ステップS210において、各種設定処理を行いステップS211に進む。即ち、ステップS209で呼び出された再生制御ソフトの動作にしたがって、光ピックアップ4などのセットアップを行う。そして、ステップS211において、再生を開始する。
【0078】
本実施例によれば、対物レンズ45を光ディスク10に近づく方向に駆動を行ってFE信号を二値化した信号の周波数である第1の周波数Fupを取得し、対物レンズ45を光ディスク10から離れる方向に駆動を行ってFE信号を二値化した信号の周波数である第2の周波数Fdownを取得し、第1の周波数Fupと第2の周波数Fdownとの差が予め定めた閾値Ffより大きい場合は、水平置きとして判断しているので、重力の影響の有無により判断をすることから、温度などの使用環境による影響が小さく、また、フォーカスやトラッキングのサーボをクローズする前に姿勢検出が可能となる。
【0079】
また、上述した2つの実施形態では、垂直置きか水平置きかの2種類の判定のみを行っていたが、閾値FtやFfを複数設けることで、水平が垂直の中間の角度を検出することができる。例えば、ほぼ垂直であることを示す閾値と、垂直未満〜60°までの角度であることを示す閾値と、60°未満〜30°までの角度であることを示す閾値と、30°未満〜水平であることを示す閾値と、を設定すれば、光ディスク再生装置1のある程度の角度が判定でき、その角度に応じたパラメータで光ディスク再生装置1を動作させることができる。
【0080】
また、上述した信号処理部5の機能をコンピュータで動作するプログラムとして構成することで、本発明を姿勢検出プログラムとして構成することができる。
【0081】
前述した実施例によれば、以下の姿勢検出装置100が得られる。
【0082】
(付記1)光ディスク10から情報を読み出すための光を発生する光源と、光源が発生した光を光ディスク10に合焦させる対物レンズ45と、光ディスク10からの反射光を受光してトラッキングエラー信号を生成する受光素子4d、TE信号生成回路5aと、対物レンズ45を線状弾性部材50によって支持して光ディスク10に対してフォーカス方向およびトラッキング方向に移動させるフォーカスアクチュエータ4a、トラッキングアクチュエータ4bと、を備えた光ピックアップ4を有する光ディスク再生装置1の姿勢を検出する姿勢検出装置100において、
トラッキングアクチュエータ4bに対物レンズ45を外周方向のトラッキングキックを行わせて得られるTF信号の周波数である第1の周波数Foutと、トラッキングアクチュエータ4bに対物レンズ45を内周方向のトラッキングキックを行わせて得られるTF信号の周波数である第2の周波数Finと、を取得する周波数検出回路5cと、
周波数検出回路5cが取得した第1の周波数Foutと、第2の周波数Finと、の差が閾値Ftより大きいか否かに基づいて光ディスク再生装置1の姿勢を検出する制御回路5dと、
を備えたことを特徴とする姿勢検出装置100。
【0083】
(付記2)光ディスク10から情報を読み出すための光を発生する光源と、光源が発生した光を光ディスク10に合焦させる対物レンズ45と、光ディスク10からの反射光を受光して電気信号を生成する受光素子4dと、対物レンズ45を線状弾性部材50によって支持して光ディスク10に対してフォーカス方向およびトラッキング方向に移動させるフォーカスアクチュエータ4a、トラッキングアクチュエータ4bと、を備えた光ピックアップ4を有する光ディスク再生装置1の姿勢を検出する姿勢検出方法において、
トラッキングアクチュエータ4bに対物レンズ45を外周方向のトラッキングキックを行わせて得られるTF信号の周波数である第1の周波数Foutと、トラッキングアクチュエータ4bに対物レンズ45を内周方向のトラッキングキックを行わせて得られるTF信号の周波数である第2の周波数Finと、を取得し、周波数検出回路5cが取得した第1の周波数Foutと、第2の周波数Finと、の差が閾値Ftより大きいか否かに基づいて光ディスク再生装置1の姿勢を検出することを特徴とする姿勢検出方法。
【0084】
(付記3)光ディスク10から情報を読み出すための光を発生する光源と、光源が発生した光を光ディスク10に合焦させる対物レンズ45と、光ディスク10からの反射光を受光してトラッキングエラー信号を生成する受光素子4d、TE信号生成回路5aと、対物レンズ45を線状弾性部材50によって支持して光ディスク10に対してフォーカス方向およびトラッキング方向に移動させるフォーカスアクチュエータ4a、トラッキングアクチュエータ4bと、を備えた光ピックアップ4を有する光ディスク再生装置1のコンピュータが光ディスク再生装置1の姿勢を検出する姿勢検出装置100において、
トラッキングアクチュエータ4bに対物レンズ45を外周方向のトラッキングキックを行わせて得られるTF信号の周波数である第1の周波数Foutと、トラッキングアクチュエータ4bに対物レンズ45を内周方向のトラッキングキックを行わせて得られるTF信号の周波数である第2の周波数Finと、を取得する周波数検出回路5cと、
周波数検出回路5cが取得した第1の周波数Foutと、第2の周波数Finと、の差が閾値Ftより大きいか否かに基づいて光ディスク再生装置1の姿勢を検出する制御回路5dと、
して前記コンピュータを機能させることを特徴とする姿勢検出装置100。
【0085】
この姿勢検出装置100、姿勢検出方法、姿勢検出プログラムによれば、対物レンズが弾性力で移動している際に重力の影響を受け第1の周波数Foutと第2の周波数Finとの差分が閾値Ft大きくなることを検出することにより姿勢を検出できる。そのため、温度などの使用環境による影響が小さく、また、フォーカスやトラッキングのサーボをクローズする前に姿勢検出が可能となる。
【0086】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 光ディスク再生装置
4 光ピックアップ
4a フォーカスアクチュエータ(アクチュエータ)
4b トラッキングアクチュエータ(アクチュエータ)
4e 受光素子(受光手段)
5 信号処理部
5a TE信号生成回路(受光手段)
5c 周波数検出回路(周波数取得手段)
5d 制御回路(姿勢検出手段)
45 対物レンズ
10 光ディスク
100 姿勢検出装置
Fout、Fup 第1の周波数
Fin、Fdown 第2の周波数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクから情報を読み出すための光を発生する光源と、前記光源が発生した光を前記光ディスクに合焦させる対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を受光して電気信号を生成する受光手段と、前記対物レンズを弾性部材によって支持して前記光ディスクに対してフォーカス方向およびトラッキング方向に移動させるアクチュエータと、を備えた光ピックアップを有する機器の姿勢を検出する姿勢検出装置において、
前記アクチュエータに前記対物レンズを前記フォーカス方向または前記トラッキング方向の一方端から他方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合に前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第1の周波数を取得し、前記アクチュエータに前記対物レンズを前記第1の周波数を取得した際と同方向の前記他方端から前記一方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合の前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第2の周波数を取得する周波数取得手段と、
前記周波数取得手段が取得した前記第1の周波数と前記第2の周波数との比較値に基づいて前記機器の姿勢を検出する姿勢検出手段と、
を備えたことを特徴とする姿勢検出装置。
【請求項2】
前記周波数取得手段が、前記アクチュエータに前記対物レンズを前記一方端へ移動するように駆動した後に駆動解除し、そして、前記アクチュエータに前記対物レンズを前記他方端へ移動するように駆動した後に駆動解除するように動作させることを特徴とする請求項1に記載の姿勢検出装置。
【請求項3】
前記周波数取得手段が、前記対物レンズが前記一方端から前記他方端へ移動した際の最大周波数を前記第1の周波数とし、前記対物レンズが前記他方端から前記一方端へ移動した際の最大周波数を前記第2の周波数として取得することを特徴とする請求項1または2に記載の姿勢検出装置。
【請求項4】
前記姿勢検出手段が、予め設定された複数の閾値に基づいて前記機器の姿勢を検出することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の姿勢検出装置。
【請求項5】
光ディスクから情報を読み出すための光を発生する光源と、前記光源が発生した光を前記光ディスクに合焦させる対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を受光して電気信号を生成する受光手段と、前記対物レンズを弾性部材によって支持して前記光ディスクに対してフォーカス方向およびトラッキング方向に移動させるアクチュエータと、を備えた光ピックアップを有する機器の姿勢を検出する姿勢検出方法において、
前記アクチュエータに前記対物レンズを前記フォーカス方向または前記トラッキング方向の一方端から他方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合に前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第1の周波数を取得し、前記アクチュエータが前記対物レンズを前記第1の周波数を取得した際と同方向の前記他方端から前記一方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合の前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第2の周波数を取得し、前記第1の周波数と前記第2の周波数と比較値に基づいて前記機器の姿勢を検出することを特徴とする姿勢検出方法。
【請求項6】
光ディスクから情報を読み出すための光を発生する光源と、前記光源が発生した光を前記光ディスクに合焦させる対物レンズと、前記光ディスクからの反射光を受光して電気信号を生成する受光手段と、前記対物レンズを弾性部材によって支持して前記光ディスクに対してフォーカス方向およびトラッキング方向に移動させるアクチュエータと、を備えた光ピックアップを有する機器のコンピュータが前記機器の姿勢を検出する姿勢検出プログラムにおいて、
前記アクチュエータに前記対物レンズを前記フォーカス方向または前記トラッキング方向の一方端から他方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合に前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第1の周波数を取得し、前記アクチュエータに前記対物レンズを前記第1の周波数を取得した際と同方向の前記他方端から前記一方端へ前記弾性部材の弾性力で移動させた場合の前記受光手段が生成する前記電気信号の周波数である第2の周波数を取得する周波数取得手段と、
前記周波数取得手段が取得した前記第1の周波数と前記第2の周波数との比較値に基づいて前記機器の姿勢を検出する姿勢検出手段と、
して前記コンピュータを機能させることを特徴とする姿勢検出プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の姿勢制御プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−146366(P2012−146366A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4503(P2011−4503)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】