説明

媒体処理装置

【課題】ロール状媒体は製造から使用までの間に長い時間が経過しており、その間に生じたカール癖は強固なものとなり、上述したような従来技術では、そのカール癖の除去効果は確実なものにはならないというという問題がある。
【解決手段】ロール状媒体2Aのカール癖と反対の方向に湾曲する形状とした外側ガイド10の内側に内側ガイド11を設けて媒体案内部13を構成し、この媒体案内部13を排出ローラ7と繰出しローラ6の間に配置し、ロール状媒体2Aを所望の長さに切断した後にその切断された紙葉状媒体を、前記媒体案内部13を通過させるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状の媒体をカットして用いることができるようにする媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の媒体処理装置を図6を用いて説明する。図において、21はロール紙、22はこのロール紙収納部、23はカール癖を直すガイド、24はロール紙を繰り出すプラテンローラ、5は印字記録装置である。
このような構成によると、プラテンローラ24によってロール紙21を繰り出す際に、ガイド23によってロール状態によって生じるカール癖の方向と反対の方向にカールさせることによりカール癖を直すようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平5−85652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ロール状媒体は製造から使用までの間に長い時間が経過しており、その間に生じたカール癖は強固なものとなり、上述したような従来技術では、そのカール癖の除去効果は確実なものにはならないというという問題がある。
また、上記従来技術ではロール状媒体は長いままの状態で使用されるために媒体に多少のカールがあっても大した障害にならないが、切断された紙葉状媒体の場合にはカール癖は取扱上大きな障害となるという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、ロール状媒体のカール癖と反対の方向に湾曲する形状とした外側ガイドの内側に間隔をあけて内側ガイドを設けて媒体案内部を構成し、この媒体案内部を排出ローラと繰出しローラの間に配置し、ロール状媒体を所望の長さに切断した後にその切断された紙葉状媒体を、前記媒体案内部を通過させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、ロール状媒体を切断した後にロール状に巻かれていたことによって生じるカール癖のある紙葉状媒体を、強制的に逆方向にカールさせて矯正した紙葉状媒体とすることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による実施例を説明する。
【実施例】
【0008】
図1は実施例を示す説明図である。図において、1はロール状媒体2Aを所定の長さで切断して紙葉状媒体2Bとして繰り出し、その繰り出した紙葉状媒体2Bを媒体集積部14に集積する媒体処理装置である。
3はロール状媒体2Aの収納部、4はプリンタユニット、5はカッタ部であり、ロール状媒体2Aを繰り出しプリンタユニット4で印字した後、カッタ部5で所定の長さの紙葉状媒体2Bに切断する。
【0009】
6は切断された紙葉状媒体2Bの繰出しローラ、7は排出ローラであり、この排出ローラ7の回転速度は繰出しローラ6の回転速度より速く設定してある。
8は前記繰出しローラ6と排出ローラ7を駆動するモータ、9はこのモータ8の動力を前記繰出しローラ6と排出ローラ7に伝達するベルトである。
10は切断された紙葉状媒体2Bのカール癖と反対の方向に湾曲する外側ガイドであり、繰出しローラ6と排出ローラ7間に配置されている。
【0010】
11は前記外側ガイド10の湾曲の内側に間隔をあけて配置した凸曲面状や両端部間を直線状や曲線状に形成した内側ガイドであり、排出ローラ7側に曲率の小さい凸部12が突出するように形成してある。この内側ガイド11と前記外側ガイド10とによって媒体案内部13が構成される。なお、この内側ガイド11の凸部12の位置は図に示す如く、排出ローラ7に近い箇所に設けるとよいが、必ずしもその箇所に限定されるものではなく、図5に示す如く、排出ローラ7から離れた位置であってもよい。
【0011】
14はカール癖が矯正された紙葉状媒体2Bを集積する媒体集積部であり、カール癖が矯正された紙葉状媒体2Bの元のカール癖が戻らないように逆カールの状態を保つように底部15に凹状に形成されている。
なお、上記説明では図示もなく、構成でも説明していないが、ロール状媒体2Aとプリンタユニット4との間やプリンタユニット4と繰出しローラ6の間等には媒体の搬送を案内するための媒体案内用のガイドが設けてある。
【0012】
上述した構成の作用について図2、図3を用いて説明する。
図示しない媒体発行指示により、プリンタユニット4でロール状媒体2Aを所定の長さを搬送し、プリンタユニット4で印字した後、カッタ部5で所定の長さの紙葉状媒体2Bに切断する。
切断された紙葉状媒体2Bは、繰出しローラ6によって外側ガイド10と内側ガイド11とにより形成される媒体案内部13に案内されて搬送される。
【0013】
排出ローラ7が紙葉状媒体2Bをクランプすると、内側ガイド11に接触して繰出しローラ6と排出ローラ7との両方のローラにクランプされた状態となる。
そこで、排出ローラ7の回転速度の方が繰出しローラ6の回転速度より速くしてあるために、排出ローラ7に引かれる紙葉状媒体2Bは引っ張られた状態で内側ガイド11の少なくとも両端部に密着した状態で滑りながら搬送され、これによってカール癖が矯正されると共にさらに曲率の小さい凸部12によってしごくように搬送されることによりカール癖は強制的に矯正される。したがって、排出ローラ7と繰出しローラ6の回転速度の違いの程度によって紙葉状媒体2Bが凸部12によりしごかれる具合が変わることになり、この回転速度の違いの具合の設定によって矯正のレベルを設定することができる。
【0014】
このようにロール状媒体2Aを切断した後に、カール癖が強制的に矯正された紙葉状媒体2Bは、図4、図5に示す如く、元のカール癖が戻らないように矯正した逆カールの状態を保つようにした媒体集積部14の凹状の底部15に集積される。
以上によってカール癖を直す逆カールが経時変化することによって平坦な紙葉状媒体2Bとすることができることになる。
【0015】
以上説明した実施例はロール状媒体のカール癖を直す場合で説明したが、ロール状媒体に限らず、紙葉状媒体でカール癖がある場合にそのカール癖を直す場合等にも適用が可能である。
以上説明した本実施例によると、ロール状媒体を切断した後にロール状によって生じるカール癖を、強制的に逆方向にカールさせ、しかも媒体集積部において、逆カール状態を保つようにしたことにより元のカール癖が戻ることがなく矯正された紙葉状媒体とすることができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例を示す説明図
【図2】作用状態の説明図
【図3】作用状態の説明図
【図4】作用状態の説明図
【図5】作用状態の説明図
【図6】従来例を示す説明図
【符号の説明】
【0017】
1 媒体処理装置
2A ロール状媒体
2B 紙葉状媒体
3 収納部
4 プリンタユニット
5 カッタ部
6 繰出しローラ
7 排出ローラ
8 モータ
9 ベルト
10 外側ガイド
11 内側ガイド
12 凸部
13 媒体案内部
14 媒体集積部
15 底部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状媒体のカール癖と反対の方向に湾曲する形状とした外側ガイドの内側に間隔をあけて内側ガイドを設けて媒体案内部を構成し、この媒体案内部を排出ローラと繰出しローラの間に配置し、ロール状媒体を所望の長さに切断した後にその切断された紙葉状媒体を、前記媒体案内部を通過させて媒体集積部に排出するようにしたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1において、排出ローラの回転速度を繰出しローラの回転速度より速くしたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
請求項1において、内側ガイドに曲率の小さい凸部を突出形成したことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項4】
請求項1において、媒体集積部の底部を凹状にしたことを特徴とする媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−70377(P2010−70377A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243012(P2008−243012)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】