説明

媒体処理装置

【課題】カセットの装填、取り出しの操作性がよく、かつ搬送路の紙幣受渡部とカセットの紙幣受渡部を精度よく位置決めすることができる媒体処理装置を実現する。
【解決手段】カセット装填フレーム4は、カセット操作側の側面板の高さを各媒体収納カセットの高さの半分以下として、下部に各カセット収納位置を仕切る複数の仕切り板を設け、搬送路3は媒体受渡部が露出するように搬送路フレーム36内に配置して、各カセット5〜9と搬送路フレーム36の対向面に互いに嵌合して各カセット5〜9側の媒体受渡部と前記搬送路3側の媒体受渡部の位置決めを行う位置決めピンと位置決め孔を設けた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣入出金機等の媒体処理装置に関するもので、特に紙幣等の媒体を収納する着脱可能な媒体収納カセットを備えた媒体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の媒体処理装置として、例えば、特許文献1に示される装置がある。
【0003】
図14はこの特許文献1に示される従来装置の内部構造を示す側面図、図15は紙幣収納カセットを装置から引出した状態を示す側面図である。
【0004】
図14、図15に示したようにこの装置は上部に接客部31、鑑別部32、一時保留部33、搬送路34a、34b、34c、34d、34e、振分け手段を有する搬送路(振分け搬送路)3を備えており、下部には複数の紙幣収納カセット(媒体収納カセット)5〜8及び媒体収納カセット(集積庫一体型)9が装置手前側から奥側に向かって1列に並ぶように装填されている。
【0005】
ここで搬送路34a、34b、34cは接客部31から鑑別部32、一時保留部33を経て接客部31に戻るループ状の経路を成すように設けられ、搬送路3は紙幣収納カセット5〜8及び媒体収納カセット9の列に沿って直線状に設けられていて、更に鑑別部32の手前側の位置と奥側の位置で搬送路34dは搬送路34aと搬送路3とを、搬送路34eは搬送路34bと搬送路3とを結ぶように設けられている。
【0006】
この構成において紙幣(媒体)の入金処理と出金処理が以下のように行われる。まず入金処理の場合、顧客により接客部31に投入された紙幣は1枚ずつ分離されて搬送路34aにより鑑別部32に搬送され、この鑑別部32で金種等の鑑別と計数及び搬送異常等の検知が行われる。その結果入金可能な紙幣は搬送路34bにより一時保留部33に搬送されて一時保留され、金種不明や異常等が検知されたが入金不可の紙幣は搬送路34b、34cにより接客部31に搬送されて顧客に返却される。
【0007】
そして投入された紙幣がすべて鑑別されると、その鑑別された紙幣の金額が図示しない表示部に表示され、その金額を顧客が確認して取引を承認すると、一時保留部33に一時保留されていた紙幣が1枚ずつ繰出されて搬送路34bにより鑑別部32に逆送され、鑑別部32で再び金種鑑別が行われる。鑑別後の紙幣は搬送路34aから搬送路34dを経て搬送路3に送り込まれ、鑑別金種に応じて搬送路3の振分け手段により振分けられて紙幣収納カセット5〜8に金種別に収納される。
【0008】
出金処理では、顧客により図示しない操作部で入力された金種、金額に応じて紙幣収納カセット5〜8の少なくとも1つから紙幣が繰出され、繰出された紙幣は搬送路3、搬送路34d、搬送路34aにより鑑別部32に搬送される。そして鑑別部32で金種等の鑑別と計数が行われた後、紙幣は搬送路34b、34cにより接客部31に搬送されて集積され、そして顧客により入力された金種、金額の紙幣が接客部31に集積されると、接客部31のシャッタが開いて顧客に払出される。
【0009】
紙幣収納カセット5〜8に対する紙幣の補充、回収は媒体収納カセット9を使用して行われるがその説明は省略する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−098835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来の装置では、以下の問題がある。
【0012】
すなわち、従来の装置では、上面側を開口面とした箱型のカセット装填フレーム35が設けられていて、このカセット装填フレーム35内に複数の紙幣収納カセット(媒体収納カセット)5〜8及び媒体収納カセット9が装填されている。また、装置内部において上部と下部が搬送路3と各カセット5〜9の間の紙幣受渡部(媒体受渡部)で分割されていて、カセット5〜9は上面側を開口面とした箱型のカセット装填フレーム35と共に図15に示したように装置の前方側に引出せるようになっており、更に各カセット5〜9は上方に持ち上げることによりカセット装填フレーム35から取出せるようになっている。
【0013】
一方、各カセット5〜9はカセット装填フレーム35と共に装置内部に装着したときに、それぞれの紙幣受渡部を搬送路3側の紙幣受渡部に一致させる必要があり、そのためカセット装填フレーム35は高さhをできるだけ高くとって、その上端部側で図示しない位置決め手段により各カセット5〜9の位置決めを行うようにし、これにより各カセット5〜9の振れを抑える構造としている。
【0014】
このように従来の装置においては、カセット装填フレームは高さを大きくとっているために、各カセット5〜9をカセット装填フレーム35から取出すには、重量の大きい各カセット5〜9を上方に高く持ち上げる必要があり、操作性が非常に悪く、各カセット5〜9を取出す際に落下の危険を伴うという問題があった。
【0015】
そこで、カセット装填フレーム35の高さhを低くして、各カセット5〜9を取出し易くすると、各カセット5〜9の位置決めをカセット装填フレーム35の上部で行っていることから、位置決め手段と各カセット5〜9に設けられている紙幣受渡部の距離が大きくなり、その結果各カセット5〜9の振れが生じて、カセット装填フレーム35と共に各カセット5〜9を装置内に装着したときに、搬送路3の紙幣受渡部と各カセット5〜9の紙幣受渡部との間にずれを生じ、それにより紙幣ジャム(媒体ジャム)が発生することになる。
【0016】
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そのため、本発明は、媒体を収納する複数の媒体収納カセットと、各該媒体収納カセットへ収納する媒体を搬送して、搬送した媒体を各該媒体収納カセットへ振分けると共に、各媒体収納カセットから繰り出される媒体を搬送する搬送路と、各該媒体収納カセット側と前記搬送路側に設けられ、各該媒体収納カセットへ収納する媒体及び各媒体収納カセットから繰り出される媒体の受渡を行う媒体受渡部と、前記各媒体収納カセットを装填するカセット装填フレームを備えた媒体処理装置において、前記カセット装填フレームは、カセット操作側の側面板の高さを各媒体収納カセットの高さの半分以下として、下部に各カセット収納位置を仕切る複数の仕切り板を設けた構造とし、前記搬送路を前記媒体受渡部が露出するように搬送路フレーム内に配置して、この搬送路フレームを前記カセット装填フレームに開閉可能に取り付けることにより、該搬送路フレームを前記カセット装填フレームと共に引出し可能な構造とし、かつ、前記各媒体収納カセットと搬送路フレームのそれぞれの対向面に互いに嵌合して前記各媒体収納カセット側の媒体受渡部と前記搬送路側の媒体受渡部の位置決めを行う位置決め手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このようにした本発明は、カセット装填フレームのカセット操作側の側面板の高さを低くし、また搬送路の紙幣受渡部と各カセットの紙幣受渡部の近傍に互いに嵌合する位置決め手段を設けているため、重量のある媒体収納カセットでもカセット装填フレームに対する媒体収納カセットの装填、取り出しの操作性がよくなり、かつ搬送路側の紙幣受渡部と媒体収納カセット側の紙幣受渡部を精度よく位置決めすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】カセットを装置から引出した状態を示す実施例の側面図
【図2】第1の実施例で搬送路フレームを開いたカセット装填フレームの斜視図
【図3】第1の実施例で搬送路フレームを閉じたカセット装填フレームの斜視図
【図4】第1の実施例で搬送路フレーム開いた紙幣収納カセットの要部斜視図
【図5】第1の実施例で搬送路フレームを閉じたときの要部背面図
【図6】図5のX−X船断面図
【図7】第1の実施例の作用を示す斜視図
【図8】第2の実施例で搬送路フレームを開いたカセット装填フレームの斜視図
【図9】第3の実施例で搬送路フレームを開いたカセット装填フレームの斜視図
【図10】第3の実施例の作用を示すカセット装填フレームの背面図
【図11】第4の実施例で搬送路フレームを開いたカセット装填フレームの斜視図
【図12】第4の実施例の要部斜視図
【図13】カセット装填フレームの他の例を示す斜視図
【図14】従来装置の内部構造を示す側面図
【図15】カセットを引出した状態を示す従来装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明による媒体処理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は実施例の内部構造を示す側面図で、ここでは紙幣入出金機を例にして、紙幣収納カセットを装置から引出した状態を示している。図において1は上部ユニットで、この上部ユニット1には接客部31、鑑別部32、一時保留部33、搬送路34a、34b、34c、34d、34e、搬送路3が設けられている。
【0022】
2は下部ユニットで、この下部ユニット2には搬送路3と、上面を開口したカセット装填フレーム4、このカセット装填フレーム4内に装置手前側から奥側に向かって1列に並ぶようにセットされた紙幣収納カセット(媒体収納カセット)5〜8及び媒体収納カセット9が含まれ、振分け手段を有する搬送路(振分け搬送路)3は上面を開口した箱状の搬送路フレーム36内に収納配置されていて、この搬送路フレーム36はカセット装填フレーム4に開閉可能に取付けられているが、それについてはあとで説明する。
【0023】
カセット装填フレーム4の底部には装置側の図示しないスライドレールに係合したスライドレールが設けられ、この両スライドレールによりカセット装填フレーム4、カセット5〜9及び搬送路フレーム36を含む下部ユニット2は装置の前方側に引出したり、装置内に押込んだりできるようになっている。
【0024】
尚、上記接客部31、鑑別部32、一時保留部33、搬送路34a、34b、34c、34d、34e、搬送路3、紙幣収納カセット5〜8及び媒体収納カセット9は、図14、図15に示した従来ものと同じ構成要素である。
【0025】
図2〜図6は第1の実施例を示す図で、図2は搬送路フレーム36を開いたときのカセット装填フレーム4の斜視図、図3は搬送路フレーム36を閉じたときのカセット装填フレーム4の斜視図、図4は搬送路フレーム36を開いたときの紙幣収納カセット6の要部斜視図、図5は搬送路フレーム36を閉じたときの要部背面図、図6は図5のX−X線断面図である。
【0026】
図2及び図3に示したようにカセット装填フレーム4は、カセット操作側となる一側の側面板4aの高さhをカセット5〜9の高さの半分以下、好ましくは3分の1程度の高さとし、カセット操作側と反対側となる他側の側面板4bの高さをカセット5〜9の高さと同程度の高さとして、前面板4cと後面板4dとの間に各カセット収納位置を仕切る複数枚の下部仕切り板21〜24をカセット装填フレーム4の下部に設けたものとなっており、この下部仕切り板21〜24は側面板4aの高さと同程度の高さを有し、カセット5〜9の前後方向の寸法の間隔で配置されている。
【0027】
搬送路フレーム36は、図2に示したようにカセット装填フレーム4の側面板4bの上端部に支点31、32を中心に回転して開閉するように取付けられている。この搬送路フレーム36の下面側に紙幣搬送方向と直行する方向の紙幣幅より長いガイド孔10〜15が平行に設けられ、各ガイド孔10〜15に図6に示す搬送路3の各紙幣受渡部(受渡ガイド)37aがカセット側に露出するように設けられていて、この紙幣受渡部37aに対応する紙幣受渡部37bが各カセット5〜9の上面に搬送路フレーム36側に露出するように設けられている。また、搬送路フレーム36の上面側には搬送路34b、34cの紙幣受渡部に対応したガイド孔16、17が設けられていて、このガイド孔16、17にも紙幣受渡部37aと同様の紙幣受渡部が設けられている。
【0028】
また、搬送路フレーム36の下面には図4及び図5に示したように例えばガイド孔11の近傍つまり紙幣受渡部37aの近傍に位置するように位置決めピン(位置決め手段)43、44が所定の間隔で設けられており、この位置決めピン43、44に対応する位置決め孔(位置決め手段)41,42が紙幣収納カセット6の上面側に設けられている。つまり位置決めピン43、44と位置決め孔(位置決め手段)41,42は搬送路フレーム36と紙幣収納カセット6の互いの対向面に設けられている。
【0029】
ここで位置決めピン43、44の先端は円錐形に設けられ、搬送路フレーム36の回転支点から遠いほうの位置決めピン43に対応する位置決め孔41は、位置決めピン43の径より若干大きい径で、孔の入り口はテーパ状に広げられており、更に、搬送路フレーム36の回転支点に近いほうの位置決めピン44に対応する位置決め孔41は、支点31、32を中心に搬送路フレーム36を回転させて開閉したとき位置決めピン44の動作軌跡を許容できるような長孔で左右をテーパ状に広げた形状に形成されている。
【0030】
尚、図示していないが搬送路フレーム36のガイド孔10、12〜15の近傍つまり紙幣受渡部37aの近傍にも同様に位置するように位置決めピン43、44が所定の間隔で設けられており、同様にこの位置決めピン43、44に対応する位置決め孔41,42が紙幣収納カセット5、7、8及び媒体収納カセット9に設けられている。
【0031】
上述した構成による第1の実施例の作用について説明する。図7は第1の実施例の作用を示す斜視図で、カセット装填フレーム4に各カセット5〜9を装填する場合、図示したように支点31、32を中心に搬送路フレーム36を回転させて開き、例えば紙幣収納カセット6を持ち上げてカセット装填フレーム4の下部仕切り板21、22間に下ろす。このときカセット装填フレーム4のカセット操作側の側面板4aの高さhは各カセット5〜9の高さの半分以下、例えばカセット5〜9の3分の1程度の高さとしてあるので、紙幣収納カセット6を持ち上げてカセット装填フレーム4の下部仕切り板21、22間に下ろして装填する操作を容易に行うことができる。また、紙幣収納カセット6を持ち上げてカセット装填フレーム4から取出す場合も、側面板4aの高さhが低いので、取出し操作を容易に行うことができる。その他のカセット5,7〜9についても同様にカセット装填フレーム4に装填、取出しを行うことが可能である。
【0032】
カセット装填フレーム4に各カセット5〜9を装填した後、図3に示したように支点31、32を中心に搬送路フレーム36を回転させて閉じると、図5及び図6に示したように、搬送路フレーム36の位置決めピン43、44が紙幣収納カセット6の位置決め孔41,42に嵌合する。その際、紙幣収納カセット6が矢印アで示した左右方向、及び矢印イで示した前後方向にずれていても、位置決めピン43、44の先端が円錐形になっていること及び位置決め孔41,42の入り口はテーパ状に広げられていることから、カセット装填フレーム4内でのずれ分が吸収され、そして位置決めピン43、44と位置決め孔41,42は搬送路3の紙幣受渡部37aと各カセット5〜9の紙幣受渡部37bの近傍に設けられているので、位置決めピン43、44が位置決め孔41,42に嵌合することで互いの紙幣受渡部37aと37bを精度よく位置決めすることができる。
【0033】
このようにした後、下部ユニット2を装置内に押込むことで搬送路フレーム36、カセット装填フレーム4、紙幣収納カセット5〜8及び媒体収納カセット9が装置に装着され、搬送路フレーム36のガイド孔16、17に設けられている紙幣受渡部と搬送路34b、34cの紙幣受渡部が接続される。
【0034】
この状態で紙幣の入金処理と出金処理が従来と同様に行われるが、搬送路3の紙幣受渡部37aと各カセット5〜9の紙幣受渡部37bがそれぞれ精度よく位置決めされているので、この部分でのジャムの発生を防止することができる。
【0035】
以上説明したように、第1の実施例では、カセット装填フレームのカセット操作側の側面板の高さを低くし、また搬送路の紙幣受渡部と各カセットの紙幣受渡部の位置決めを行う位置決め手段を各カセットと搬送路フレームの対向面に設けているため、カセット装填フレームに対するカセットの装填、取り出しの操作性がよく、かつ搬送路の紙幣受渡部とカセットの紙幣受渡部を精度よく位置決めすることができる媒体処理装置が得られ、また構成も簡単であることから安価に実現できるという効果が得られる。
【実施例2】
【0036】
図8は第2の実施例を示す図で、搬送路フレーム36を開いたときのカセット装填フレーム4の斜視図である。この第2の実施例は、カセット装填フレーム4内に設ける下部仕切り板21〜24の左右の高さを異ならせたもので、具体的にはカセット装填フレーム4の側面板4b側の下部仕切り板21〜24の高さをカセット装填フレーム4のカセット操作側の側面板4a側の高さより高くして直角三角形状のガイド部21a〜24aを形成したものとなっている。
【0037】
このほかの構造は第1の実施例と同様であり、図示はしていないが各ガイド孔10〜15に図6に示す搬送路3の各紙幣受渡部(受渡ガイド)37aが設けられていて、この紙幣受渡部37aに対応する紙幣受渡部37bが各カセット5〜9の上面側に設けられている。また、搬送路フレーム36の上面側には搬送路34b、34cの紙幣受渡部に対応したガイド孔16、17が設けられていて、このガイド孔16、17にも紙幣受渡部37aと同様の紙幣受渡部が設けられている。
【0038】
また、搬送路フレーム36の下面には図4及び図5に示したように例えばガイド孔11の近傍つまり紙幣受渡部37aの近傍に位置するように位置決めピン43、44が所定の間隔で設けられており、この位置決めピン43、44に対応する位置決め孔41,42が紙幣収納カセット6に設けられていることも第1の実施例と同様である。
【0039】
このようにした第2の実施例では、カセット装填フレーム4に各カセット5〜9を装填する際、各カセット5〜9を個々にカセット装填フレーム4の側面板4aの高さまで持ち上げ、そのまま側面板4b側に押込むと、カセット5〜9はそれぞれ下部仕切り板21〜24のガイド部21a〜24aにより位置が規制されつつガイドされるため、カセット5〜9をそれぞれ装填すべき位置に収めることができ、またカセット5〜9をカセット装填フレーム4から取出す際も、各カセット5〜9の下端がガイド部21a〜24aにより位置が規制されるので、取出すカセットが隣のカセットに当たって損傷するのを防ぐことができる。
【0040】
尚、この実施例においても搬送路フレーム36を回転させて閉じると、搬送路フレーム36の位置決めピン43、44がカセット5〜9の位置決め孔41,42に嵌合して位置決めされることは無論である。
【0041】
以上説明した第2の実施例では、第1の実施例と同様の効果が得られる他、下部仕切り板に形成したガイド部により、カセット装填フレームにカセットを装填する際、及びカセットをカセット装填フレーム4から取出す際の位置規制とガイドを行うようにしているため、各カセットの装填時、取出し時の操作性をより向上させることができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0042】
図9は第3の実施例を示す図で、搬送路フレーム36を開いたときのカセット装填フレーム4の斜視図であり、図10は第3の実施例の作用を示す搬送路フレーム36とカセット装填フレーム4の背面図である。この第3の実施例は、搬送路フレーム36の下面にカセット装填フレーム4内に設けられた下部仕切り板21〜24と対応するように上部仕切り板81〜84を設けたもので、各上部仕切り板81〜84はほぼ直角三角等の形状に形成されていて、先端(下端)に突起81a〜84aを有し、この突起81a〜84aが逃げる逃げ孔85〜88がカセット装填フレーム4の側面板4bに設けられている。
【0043】
このほかの構造は第2の実施例と同様であり、この第3の実施例においても、図示はしていないが各ガイド孔10〜15に図6に示す搬送路3の各紙幣受渡部(受渡ガイド)37aが設けられていて、この紙幣受渡部37aに対応する紙幣受渡部37bが各カセット5〜9の上面側に設けられている。また、搬送路フレーム36の上面側には搬送路34b、34cの紙幣受渡部に対応したガイド孔16、17が設けられていて、このガイド孔16、17にも紙幣受渡部37aと同様の紙幣受渡部が設けられている。
【0044】
また、搬送路フレーム36の下面には図4及び図5に示したように例えばガイド孔11の近傍つまり紙幣受渡部37aの近傍に位置するように位置決めピン43、44が所定の間隔で設けられており、この位置決めピン43、44に対応する位置決め孔41,42が紙幣収納カセット6に設けられていることも第1、第2の実施例と同様である。
【0045】
このようにした第3の実施例では、第2の実施例と同様にカセット装填フレーム4に各カセット5〜9を装填した後、支点31,32を中心に搬送路フレーム36を回転させて閉じると、搬送路フレーム36の位置決めピンがカセット5〜9の位置決め孔41,42に嵌合して位置決めされるが、その際、図10(a)、(b)に示したように搬送路フレーム36が閉じるに従って上部仕切り板81〜84がカセット5〜9の上部を規制するように働くため位置決めピンを位置決め孔41,42にスムーズに嵌合させることが可能になる。搬送路フレーム36が閉じた状態では、各上部仕切り板81〜84の突起81a〜84aがカセット装填フレーム4の側面板4cに設けられた逃げ孔85〜88に入り込み、外部振動等による搬送路フレーム36の振れが抑えられる。
【0046】
以上説明した第3の実施例では、第2の実施例と同様の効果が得られる他、搬送路フレームに上部仕切り板を設けて、搬送路フレームが閉じる際に上部仕切り板がカセットの上部を規制するようにしているため、位置決めピンを位置決め孔にスムーズに嵌合させることが可能になり、結果として搬送路の紙幣受渡部とカセットの紙幣受渡部の精度よい位置決めを安定して行うことが可能になるという効果が得られる。
【実施例4】
【0047】
図11は第4の実施例を示す図で、搬送路フレーム36を開いたときのカセット装填フレーム4の斜視図であり、図12は第4の実施例の要部斜視図である。この第4の実施例は、図11に示したようにカセット装填フレーム4をカセット操作側と反対側となる側面板4bにカセット5〜9の前後方向の寸法の間隔で仕切り板92〜97を設けた構成とし、この側面板4bの上端部に搬送路フレーム36を支点31、32を中心に回転して開閉するように取付けたものとなっている。
【0048】
この第4の実施例では、各仕切り板92と93の間、仕切り板93と94の間、・・・仕切り板96と97の間に各カセット5〜9の上部をそれぞれ挿入することで、各カセット5〜9を装填するが、各カセット5〜9を吊り下げるために各仕切り板92〜97の両面に所定の長さの凸部98を設け、各カセット5〜9の前後の面に凸部98とスライド可能に嵌合する溝部99を設けている。
【0049】
また、各カセット5〜9の上面と搬送路フレーム36の下面には互いに嵌合するジャックインコネクタの形式の電気接点90,91が設けられており、更にカセット装填フレーム4の側面板のカセット装着面と反対側の面に、カセット装填フレーム4、カセット5〜9及び搬送路フレーム36を含む下部ユニット2は装置の前方側に引出したり、装置内に押込んだりするためのスライドレール110が設けられていて、このスライドレール110は装置側の図示しないスライドレールに係合している。
【0050】
この他の構造は第1、第2の実施例と同様であり、この第4の実施例においても図示はしていないが各ガイド孔10〜15に図6に示す搬送路3の各紙幣受渡部(受渡ガイド)37aが設けられていて、この紙幣受渡部37aに対応する紙幣受渡部37bが各カセット5〜9の上面側に設けられている。また、搬送路フレーム36の上面側には搬送路34b、34cの紙幣受渡部に対応したガイド孔16、17が設けられていて、このガイド孔16、17にも紙幣受渡部37aと同様の紙幣受渡部が設けられている。
【0051】
また、搬送路フレーム36の下面には図4及び図5に示したように例えばガイド孔11の近傍つまり紙幣受渡部37aの近傍に位置するように位置決めピン43、44が所定の間隔で設けられており、この位置決めピン43、44に対応する位置決め孔41、42が紙幣収納カセット6に設けられていることも第1、第2の実施例と同様である。
【0052】
このようにした第4の実施例では、各カセット5〜9を少し持ち上げて各仕切り板92〜97の凸部98に各カセット5〜9の溝部99を嵌合させ、各カセット5〜9をカセット装填フレーム4の側面板4bに押込むことで仕切り板92〜97間に各カセット5〜9を装填した後、支点31,32を中心に搬送路フレーム36を回転させて閉じると、搬送路フレーム36の位置決めピンがカセット5〜9の位置決め孔41,42に嵌合して位置決めされる。その際、各カセット5〜9の上面に設けられた電気接点90と,搬送路フレーム36の下面に設けられた電気接点91が嵌合して接続されるため、カセット装填フレーム4、カセット5〜9及び搬送路フレーム36を含む下部ユニット2を装置内に押込んだとき、例えば搬送路フレーム36側の電気接点91が装置の電源に接続されることで、各カセット5〜9側に設けられている紙幣の繰出し手段や収納手段の駆動用電力を供給することが可能となる。
【0053】
各カセット5〜9をカセット装填フレーム4から取外す場合は、搬送路フレーム36を開いて各カセット5〜9を手前に引出せば容易に取外すことができる。
【0054】
尚、この第4の実施例では、カセット装填フレーム4をカセット操作側と反対側となる側面板4bのみで構成するものとしたが、図13に示した構造としてもよい。図13はカセット装填フレーム4の他の例を示す斜視図で、この側面板4bと底板4eによりカセット装填フレーム4を構成している。
【0055】
このように底板4eを設けることで各カセット5〜9を装填する際、各カセット5〜9を底板4eに載せて各仕切り板92〜97の凸部98に各カセット5〜9の溝部99を嵌合させた後、各カセット5〜9をカセット装填フレーム4の側面板4bに押込むことで仕切り板92〜97間に各カセット5〜9を容易に装填することが可能となる。
【0056】
また、第4の実施例では、各カセット5〜9の上面と搬送路フレーム36の下面には互いに嵌合するジャックインコネクタの形式の電気接点90,91を設けるものとしたが、図12に示したように電気接点91を各仕切り板92〜97間に位置するようにカセット装填フレーム4の側面板4bに設け、この側面板4bと対向する各カセット5〜9の側面に電気接点90を設けることで、カセット装填フレーム4に各カセット5〜9を装填したとき電気接点90と91が嵌合して接続されるようにすることができる。
【0057】
更に、図12に示したようにカセット装填フレーム4の側面板のカセット装着面と反対側の面に、カセット装填フレーム4、カセット5〜9及び搬送路フレーム36を含む下部ユニット2は装置の前方側に引出したり、装置内に押込んだりするためのスライドレール110を上下2段に設けることで、装置からの引出し、押込みの操作性も安定させることができる。
【0058】
以上説明したように第4の実施例では、カセット装填フレームを少なくとも1つの側面板に各カセットの前後方向の寸法の間隔で仕切り板を設けた構成とし、そして各仕切り板に所定の長さの凸部を設けると共に、各カセットの前後の面に前記凸部とスライド可能に嵌合する溝部を設け、この凸部と溝部を嵌合わせて各カセットをカセット装填フレームの側面板側に押込んだり、引出したりすることで、各カセットの装填、取出しを行えるようにしているため、各カセットの装填、取出し時には各カセットを少し持ち上げるだけですみ、操作性がより優れたものになるという効果が得られる。
【0059】
無論、この第4の実施例においても、搬送路の紙幣受渡部と各カセットの紙幣受渡部の近傍に互いに嵌合する位置決め手段を設けているため、第1〜第3の実施例と同様に搬送路の紙幣受渡部とカセットの紙幣受渡部を精度よく位置決めすることができる。
【0060】
尚、上述した各実施例では、搬送路の紙幣受渡部と各カセットの紙幣受渡部を位置決めする位置決めピン43、44を搬送路フレーム36に設け、この位置決めピン43、44に対応する位置決め孔41,42をカセット5〜9に設けるものとしたが、位置決めピン43、44をカセット5〜9に設け、位置決め孔41,42を搬送路フレーム36に設けるものとしてもよい。
【0061】
また、位置決めピンと位置決め孔は複数設ける必要はなく、長方形の1つの位置決めピンと長方形の1つの位置決め孔を位置決め手段とすることも可能であり、更に位置決めピンと位置決め孔に代えて、小片状の板とスリットを位置決め手段として備えることも可能である。
【0062】
更に、上述した第1〜第3の実施例においても、第4の実施例と同様に電気接点90、91を設けるものとする。
【0063】
更にまた、上述した各実施例は紙幣入出金機を一例にして説明したが、複数の媒体収納カセットと搬送路を備える媒体処理装置であれば、各種の装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 上部ユニット
2 下部ユニット
3 搬送路
4 カセット装填フレーム
5〜8 紙幣収納カセット
9 媒体収納カセット
10〜17 ガイド孔
21〜24 下部仕切り板
21a〜24a ガイド部
31、32 支点
36 搬送路フレーム
37a、37b 紙幣受渡部
41、42 位置決め孔
43、44 位置決めピン
81〜84 上部仕切り板
90、91 電気接点
92〜97 仕切り板
98 凸部
99 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を収納する複数の媒体収納カセットと、
各該媒体収納カセットへ収納する媒体を搬送して、搬送した媒体を各該媒体収納カセットへ振分けると共に、各媒体収納カセットから繰り出される媒体を搬送する搬送路と、
各該媒体収納カセット側と前記搬送路側に設けられ、各該媒体収納カセットへ収納する媒体及び各媒体収納カセットから繰り出される媒体の受渡を行う媒体受渡部と、
前記各媒体収納カセットを装填するカセット装填フレームを備えた媒体処理装置において、
前記カセット装填フレームは、カセット操作側の側面板の高さを各媒体収納カセットの高さの半分以下として、下部に各カセット収納位置を仕切る複数の仕切り板を設けた構造とし、
前記搬送路を前記媒体受渡部が露出するように搬送路フレーム内に配置して、この搬送路フレームを前記カセット装填フレームに開閉可能に取り付けることにより、該搬送路フレームを前記カセット装填フレームと共に引出し可能な構造とし、
かつ、前記各媒体収納カセットと搬送路フレームのそれぞれの対向面に互いに嵌合して前記各媒体収納カセット側の媒体受渡部と前記搬送路側の媒体受渡部の位置決めを行う位置決め手段を設けたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の媒体処理装置において、
前記各下部仕切り板を、カセット操作側が低くかつカセット操作側と反対側が高い形状にすることでガイド部を形成し、前記各媒体収納カセットを前記カセット装填フレームに対して装填、取り出しを行う際に前記ガイド部によりガイドされるようにしたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の媒体処理装置において、
前記搬送路フレームに前記下部仕切り板に対応するように上部仕切り板を設けたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項4】
媒体を収納する複数の媒体収納カセットと、
各該媒体収納カセットへ収納する媒体を搬送して、搬送した媒体を各該媒体収納カセットへ振分けると共に、各媒体収納カセットから繰り出される媒体を搬送する搬送路と、
各該媒体収納カセット側と前記搬送路側に設けられ、各該媒体収納カセットへ収納する媒体及び各媒体収納カセットから繰り出される媒体の受渡を行う媒体受渡部と、
前記各媒体収納カセットを装填するカセット装填フレームを備えた媒体処理装置において、
前記カセット装填フレームは、少なくとも1つの側面板とこの側面板に各カセット収納位置を仕切るように設けられた複数の仕切り板を備えた構造とし、
前記搬送路を前記媒体受渡部が露出するように搬送路フレーム内に配置して、この搬送路フレームを前記カセット装填フレームに開閉可能に取り付けることにより、該搬送路フレームを前記カセット装填フレームと共に引出し可能な構造とし、
かつ、前記各媒体収納カセットと搬送路フレームのそれぞれの対向面に互いに嵌合して前記各媒体収納カセット側の媒体受渡部と前記搬送路側の媒体受渡部の位置決めを行う位置決め手段を設けたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の媒体処理装置において、
各仕切り板に所定の長さの凸部を設けると共に、前記各媒体収納カセットに前記凸部とスライド可能に嵌合する溝部を設け、この凸部と溝部を嵌合わせて前記各媒体収納カセットを前記カセット装填フレームの側面板側に押込んだり、引出したりすることで、前記各媒体収納カセットの装填、取出しを行えるようにしたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の媒体処理装置において、
前記各媒体収納カセットと前記搬送路フレームに前記電気接点を設け、前記搬送路フレームを閉じたとき互いの電気接点が接続するようにしたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の媒体処理装置において、
前記各媒体収納カセットと前記カセット装填フレームに前記電気接点を設け、前記各媒体収納カセットを前記カセット装填フレームに装填したとき互いの電気接点が接続するようにしたことを特徴とする媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−118699(P2011−118699A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275854(P2009−275854)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】