説明

孔版原紙穿孔装置

【課題】孔版原紙穿孔装置の多値制御において、良好な階調表現を実現する。
【解決手段】主走査方向に並ぶ複数の画素に対応する穿孔データDの各列DATをN個(N≧2)の穿孔データグループGに分割して各グループGが、複数の画素に対応する穿孔データDを含むとともに、互いに隣接する画素に対応する穿孔データDは含まないように構成する。所定の穿孔周期LSTで穿孔データグループG毎に穿孔するように制御し、孔版原紙Mをサーマルヘッド23に対して基準速度の1/Nの速度で副走査方向に搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は孔版原紙に穿孔を施す孔版原紙穿孔装置に関する。より詳しくは、異なる穿孔サイズで孔版原紙に穿孔を施すことが可能な孔版原紙穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナやコンピュータ等から出力された画像データに基づいて、各画素に対応する穿孔を施すか否かを示す二値の穿孔データを作成し、サーマルヘッドの各発熱素子を二値制御することにより、孔版原紙に穿孔を施す孔版原紙穿孔装置が利用されている。
【0003】
そして、近年では多値の穿孔データを作成し、サーマルヘッドの各発熱素子を多値制御することにより、各画素に対応する穿孔サイズを制御して階調表現が可能な孔版原紙穿孔装置が注目されている。各発熱素子の多値制御として、各発熱素子の制御信号のパルス幅や印加エネルギーを制御する方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−90748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、穿孔データに基づく、各発熱素子の多値制御は、図16の上図が示すように、互いに隣接する画素に対する穿孔データが同値の場合に、各穿孔が所定サイズとなるように制御されることが多いため、図16の下図が示すように、互いに隣接する画素に対する穿孔データが異なる場合があると、隣接する発熱素子の発熱条件が異なって、各穿孔が所定の穿孔サイズを満たさない可能性があり、良好な階調表現を実現できない虞がある。
【0006】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、良好な階調表現を実現できる孔版原紙穿孔装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明による孔版原紙穿孔装置は、主走査方向に複数の発熱素子が列設されたサーマルヘッドと、このサーマルヘッドに対して副走査方向に孔版原紙を搬送する原紙搬送手段と、主走査方向および副走査方向に並ぶ複数の画素のそれぞれに対応する穿孔データに基づいてサーマルヘッドを駆動するサーマルヘッド駆動手段とを備えた孔版原紙穿孔装置において、主走査方向に並ぶ複数の画素に対応する穿孔データの各列をN個(N≧2)の穿孔データグループに分割する穿孔データ分割手段と、所定の穿孔周期で穿孔データグループ毎に穿孔するようサーマルヘッド駆動手段を制御するサーマルヘッド制御手段と、孔版原紙をサーマルヘッドに対して基準速度の1/Nの速度で副走査方向に搬送するように原紙搬送手段を制御する搬送制御手段を備え、穿孔データグループは、それぞれのグループが、複数の画素に対応する穿孔データを含むとともに、互いに隣接する画素に対応する穿孔データは含まないように構成されていることを特徴とする。
【0008】
ここで、本発明の孔版原紙穿孔装置における「基準速度」とは、所定の穿孔周期で施された各穿孔の副走査方向のピッチが所定の解像度を満たし、且つ同じ穿孔周期で施された各穿孔が主走査方向に同一直線上に並ぶ速度を意味する。
【0009】
また、本発明による孔版原紙穿孔装置において、穿孔データは複数の異なる径の穿孔にそれぞれ対応する複数のサイズ対応データから構成されるものであり、サーマルヘッド駆動手段が、1つの穿孔周期において、互いに異なる径の穿孔に対応するサイズ対応データは互いに異なるタイミングで穿孔するように、サーマルヘッドを駆動するものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の孔版原紙穿孔装置によれば、主走査方向に並ぶ複数の画素に対応する穿孔データの各列をN個(N≧2)の穿孔データグループに分割する穿孔データ分割手段と、所定の穿孔周期で穿孔データグループ毎に穿孔するようサーマルヘッド駆動手段を制御するサーマルヘッド制御手段と、孔版原紙をサーマルヘッドに対して基準速度の1/Nの速度で副走査方向に搬送するように原紙搬送手段を制御する搬送制御手段を備え、穿孔データグループは、それぞれのグループが、複数の画素に対応する穿孔データを含むとともに、互いに隣接する画素に対応する穿孔データは含まないように構成されていることにより、搬送速度を基準速度よりも遅くして、且つ異なる穿孔周期で互いに隣接する画素に対応する穿孔を孔版原紙に施すため、孔版原紙の穿孔状態は、互いに隣接する画素に対応する各穿孔が副走査方向に所定の間隔を空けた状態となる。
【0011】
したがって、隣接する発熱素子の蓄熱の影響による穿孔サイズのバラツキが低減され、各穿孔の穿孔サイズが異なる場合であっても、各穿孔が所定の穿孔サイズとなるように制御し易くなり、良好な階調表現を実現できる。
【0012】
また、本発明の孔版原紙穿孔装置によれば、孔版原紙の穿孔状態は、互いに隣接する画素に対応する各穿孔が副走査方向に所定の間隔を空けた状態となるため、1つの穿孔周期内において、異なる穿孔サイズは異なるタイミングで穿孔を施す孔版原紙穿孔装置であっても、良好な階調表現を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】孔版原紙穿孔システムの概略構成図
【図2】サーマルヘッドユニットの概略構成図
【図3】各穿孔サイズを示す図
【図4】穿孔データ群を示す図
【図5】2グループに分割した穿孔データ群を示す図
【図6】3グループに分割した穿孔データ群を示す図
【図7】1穿孔周期の各信号のタイミングチャート
【図8】2グループに分割した場合の各信号のタイミングチャート
【図9】穿孔データに応じたストローブ信号を示す図
【図10】穿孔サイズに応じた発熱条件を示す図
【図11】分割しない穿孔データ群による穿孔状態を示す図
【図12】2グループに分割した穿孔データ群による穿孔状態を示す図
【図13】3グル―プに分割した穿孔データ群による穿孔状態を示す図
【図14】分割しない穿孔データ群による実施例
【図15】2グループに分割した穿孔データ群による実施例
【図16】従来の多値制御による穿孔状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態である孔版原紙穿孔装置を含む孔版原紙穿孔システムを示す図、図2はサーマルヘッドユニットの構成図を示す。なお、本実施形態においては、主走査方向をY方向、副走査方向をX方向として説明する。
【0015】
孔版原紙穿孔システム100は、孔版原紙穿孔装置1、孔版原紙穿孔装置1に接続された画像処理装置5から構成される。孔版原紙穿孔装置1は、画像処理装置5が作成した、原稿Pの画像データPDを用いて、各画素の濃淡に応じて画素毎に穿孔データDを作成し、この穿孔データDに基づいて、穿孔サイズの異なる穿孔を孔版原紙Mに施すものである。
【0016】
孔版原紙穿孔装置1は、図1に示す通り、サーマルヘッドユニット2、サーマルヘッドユニット2に対して孔版原紙MをX方向に搬送する原紙搬送手段3、画像データPDの取得、サーマルヘッドユニット2の制御および原紙搬送手段3の制御を行う制御装置4から構成されている。
【0017】
サーマルヘッドユニット2は、1792個の発熱素子21がY方向に列設した、4個の発熱素子ブロック22から構成されるサーマルヘッド23と、サーマルヘッド23を各発熱素子ブロック22毎に制御するサーマルヘッド駆動回路24とから構成される。サーマルヘッド駆動回路24は、後述するサーマルヘッド制御手段43からの各信号によって駆動されるものであり、AND回路25、ラッチ回路26およびシフトレジスタ27から構成される。
【0018】
各シフトレジスタ27は、クロック信号CLK0〜3、主走査方向に並ぶ各画素の穿孔データDを画素番号順に連続的に並べて構成した穿孔データ群DAT0〜3が入力されると、クロック信号CLK0〜3に同期して穿孔データ群DAT0〜3を各穿孔データDに並列化し、ラッチ回路26に出力する。
【0019】
各ラッチ回路26は、ラッチ信号LAT0〜3が入力されると、穿孔データDをセットしてAND回路25に出力する。各AND回路25は、穿孔データDとストローブ信号STB0〜3に基づいて、発熱素子21を発熱させる。この各発熱素子21には電源電圧VHが印加されている。なお、穿孔サイズに応じた各発熱素子21の制御に関する詳細は後述する。
【0020】
原紙搬送手段3は、孔版原紙Mを1走査ライン毎にX方向に搬送するものであり、孔版原紙Mを搬送するプラテンローラ31、このプラテンローラ31を回転駆動させる駆動モータ32、プラテンローラ31と駆動モータ32との間のギア33から構成される。
【0021】
制御装置4は、画像データPDに基づいて、穿孔データDを作成する穿孔データ形成手段41、穿孔データ群DATをN個(N≧2)のグループに分割する穿孔データ分割手段42、サーマルヘッドユニット2を制御するサーマルヘッド制御手段43、原紙搬送手段3を制御する搬送制御手段44から構成されている。
【0022】
穿孔データ形成手段41は、各画素の濃淡を256階調に分解した後、多値誤差拡散処理によって8階調の穿孔データDを作成する。穿孔データDには、目標の穿孔サイズを示す階調番号1〜7が格納されている。
【0023】
図3は各穿孔サイズを示すものである。図3において、階調番号は穿孔サイズの大きさを示す白丸内に記載されている。図3に示すように、階調番号7は開口面積が550μm、階調番号6は開口面積が300μm、階調番号5は開口面積が240μm、階調番号4は開口面積が200μm、階調番号3は開口面積が140μm、階調番号2は開口面積が100μmおよび階調番号1は開口面積が70μmを目標穿孔サイズとする。また、未穿孔の場合の階調番号は0とする。
【0024】
穿孔データ分割手段42は、穿孔データ群DAT0〜3を、それぞれのグループが、穿孔データ群DAT0〜3を、主走査方向に並ぶ各画素に対応する穿孔データDを含むとともに、互いに隣接する画素に対応する穿孔データDは含まないN個の穿孔データグループGに分割するものである。
【0025】
図4は各発熱素子21に対応する画素番号0〜1791の穿孔データDからなる穿孔データ群DAT0を示す図である。この穿孔データ群DAT0を2個の穿孔データグループG1〜2に分割すると、図5に示すように、画素番号が偶数の穿孔データDは穿孔データグループG1に格納され、画素番号が奇数の穿孔データDは穿孔データグループG2に格納される。穿孔データグループG1における奇数の画素番号の穿孔データDおよび穿孔データグループG2における偶数の画素番号の穿孔データDにはそれぞれ0が格納される。図6は穿孔データ群DAT0を3個の穿孔データグループG1〜3に分割したものである。なお、図6についての詳細な説明は省略する。
【0026】
サーマルヘッド制御手段43は、穿孔周期LSTで穿孔データグループG毎に穿孔するようサーマルヘッド駆動回路24を制御するものである。図7は1穿孔周期LSTにおけるサーマルヘッド制御手段43の各信号のタイミングチャートを示すものである。図7に示すように、サーマルヘッド制御手段43は、1穿孔周期LST内で穿孔サイズの階調数に応じて異なるタイミングで階調数分の各信号を送信する。たとえば、本実施形態では図7に示すように各信号を7回送信する。なお、サーマルヘッド制御手段43は、穿孔データ群DAT0を穿孔データグループGに分割せずに、1穿孔周期LSTで穿孔データ群DAT0の穿孔することも可能である。
【0027】
前述の通り、サーマルヘッド制御手段43は、穿孔周期LST毎に1穿孔データグループGを穿孔するものであるため、穿孔データ分割手段42が穿孔データ群DATを2個の穿孔データグループG1〜2に分割した場合は、図8に示すように2穿孔周期LSTに各信号を送信する。したがって、3個の穿孔データグループG1〜3に分割した場合は、3穿孔周期LSTで各信号を送信する。
【0028】
次に、穿孔サイズに応じたストローブ信号STB0〜3について説明する。このストローブ信号が穿孔サイズを制御する制御信号となる。図9は穿孔サイズに応じたストローブ信号を示す。図9には、0データを含む8階調の穿孔データDに応じた穿孔サイズ1〜7を黒丸印で示しており、その穿孔サイズ1〜7の穿孔を施すために用いられるストローブ信号STBをそれぞれ穿孔サイズの右横に示している。なお、図7においては、0データは示していない。そして、図9に示すストローブ信号STBは、1つの発熱素子21が1つの孔を穿孔するために用いられるものであり、ストローブ信号STBがオフの時に発熱素子21がオンして発熱し、ストローブ信号STBがオンの時には発熱素子21がオフして発熱しないものとする。
【0029】
そして、ストーブ信号STBは、図9に示すように、穿孔サイズが小さいほど発熱時間が長くなるように設定されるとともに、穿孔サイズが小さいほどデューティ比が小さくなるように設定される。ここで、本実施形態において発熱時間とは、発熱素子21が1つの孔を穿孔するのに要する発熱時間であり、図9に示すように、発熱素子21がオフしている時間も含むものとする。
【0030】
また、デューティ比とは、ストローブ信号STBのオンオフの1周期の時間bに対するオフの時間aの割合のことをいう。そして、穿孔サイズが小さいほどデューティ比a/bが小さくなるように設定しているのは、穿孔サイズが小さいほど発熱体の発熱温度を低くするためである。なお、穿孔サイズ1〜2に対応するストローブ信号STBについては、発熱素子21の発熱温度が孔版原紙Mの融点よりも低くなるようにデューティ比を設定することが望ましい。
【0031】
また、図10には、各穿孔サイズを施す際の発熱時間、デューティ比および印加エネルギーを示している。印加エネルギーmJとは、印加パワーW/dot×発熱時間msものである。ここで、発熱時間msはオフ時間を含まないものである。また、図の印加パワーは、電圧15.45V、発熱体の抵抗値4371Ωとして0.55W/dotとした。
【0032】
再び図1に戻り説明する。搬送制御手段44は孔版原紙Mをサーマルヘッドユニット2に対して基準速度の1/Nの速度でX方向に搬送するように原紙搬送手段3を制御するものである。
【0033】
基準速度とは、穿孔周期LSTで施された各穿孔の副走査方向のピッチが所定の解像度ピッチを満たし、且つ同じ穿孔周期で施された各穿孔が主走査方向に同一直線上に並ぶ速度である。たとえば、穿孔周期が20ms、解像度が600dpiの場合、基準速度は2.12mm/s程度である。
【0034】
次に孔版原紙穿孔装置1の作用について説明する。穿孔データ形成手段41が画像データPDの各画素の濃淡に応じて画素毎の穿孔データDを形成する。次に、穿孔データ分割手段42が副走査方向に並ぶ各画素の穿孔データDを連続的に並べた穿孔データ群DATを、それぞれのグループが、副走査方向に並ぶ各画素に対応する穿孔データDを含むとともに、互いに隣接する画素の穿孔データDを含まないように、N個(N≧2)のグループに分割する。
【0035】
そして、サーマルヘッド制御手段43が、N個の穿孔周期LSTに亘って各信号をサーマルヘッド駆動回路24に送信する。この時、1穿孔周期内で送信する穿孔データ群DATは階調数に応じて7回である。また、搬送制御手段44は原紙搬送速度3の搬送速度を基準速度に対して1/Nにする。
【0036】
孔版原紙Mの搬送速度を基準速度のままにして穿孔データ群DAT0〜3を分割せずに1穿孔周期LSTに亘って穿孔を施すと、図11に示すように、主走査方向に並ぶ各画素に対応する穿孔は副走査方向の同一な直線上に配置される。
【0037】
また、搬送速度を基準速度の1/2にして穿孔データ群DAT0〜3を2個の穿孔データグループG1〜2に分割して2穿孔周期に亘って穿孔を施すと、主走査方向に並ぶ各画素に対応する穿孔は、図12に示すように、隣接する画素同士が副走査方向に解像度ピッチの2分の1の間隔だけ空けて施される。
【0038】
また、搬送速度を3分の1にして穿孔データ群DAT0〜3を3個に穿孔データグループG1〜3に分割して3穿孔周期に亘って穿孔を施すと、主走査方向に並ぶ各画素に対応する穿孔は、図13に示すように、隣接する画素同士が副走査方向に解像ピッチの3分の1の間隔だけ空けて施される。
【0039】
以上述べたように、本発明の一実施形態である孔版原紙穿孔装置1によれば、穿孔データ分割手段42が穿孔データ群DATを、N個の穿孔データグループGに分割して各グループが、複数の画素に対応する穿孔データDを含むとともに、互いに隣接する画素に対応する穿孔データDは含まないように構成し、サーマルヘッド制御手段43が穿孔周期LSTで穿孔データグループGにサーマルヘッド駆動回路24を制御するとともに、搬送制御手段44が原紙搬送手段3の搬送速度を基準速度の1/Nに減速するため、孔版原紙Mの穿孔状態は、互いに隣接する画素に対応する各穿孔が副走査方向に所定の間隔だけ空けた状態となり、隣接する発熱素子21の蓄熱の影響による穿孔サイズのバラツキが低減され、各穿孔の穿孔サイズが異なる場合であっても、各穿孔が所定の穿孔サイズとなるように制御し易くなり、良好な階調表現を実現できる。
【0040】
また、互いに隣接する画素に対応する各穿孔が副走査方向に所定の間隔を空けた状態とすることにより、孔版原紙穿孔装置1のような1つの穿孔周期LSTにおいて、互いに異なる階調番号が格納された穿孔データDは異なるタイミングでサーマルヘッドユニット2を駆動させるものであっても、良好な階調表現を実現できる。
【0041】
なお、本実施形態においては、孔版原紙穿孔装置1は穿孔データDを穿孔データ形成手段41によって形成するものとして説明したが、画像処理装置5が形成したものを取得してもよい。また、孔版原紙穿孔装置1は、画像処理装置5を内蔵するものであってもよい。
【実施例1】
【0042】
以下、孔版原紙穿孔装置1による実施例を説明する。以下に説明する実施例は、穿孔周期LSTを20ms、解像度600dpi、基準速度を2.12mm/s、印加パワー0.061W/dotで行ったものである。
【0043】
図14は穿孔データ群DATを分割しないで穿孔した状態を示す図であり、図14の上図は副走査方向に隣接する画素に対応する各穿孔データDが階調番号5および6を含む場合の穿孔状態を示す。穿孔データ群DATを分割しないで穿孔した場合、図14の上図に示すような未穿孔の箇所が発生するとともに、階調番号5に対応する平均穿孔サイズが200μmで目標穿孔サイズ240μmに対して83パーセント程度で開口し、階調番号6に対応する平均穿孔サイズが250μmで目標穿孔サイズ300μmに対して83パーセント程度で開口することが確認された。ここで、平均穿孔サイズは、各階調番号に対応する穿孔をランダムに1000個程度抜き取り、各穿孔サイズの平均を算出したものである。良好な階調表現を実現するためには、各階調番号に対応する平均穿孔サイズが目標穿孔サイズに対して、±10パーセント程度となることが望ましい。
【0044】
図14の下図は副走査方向に隣接する画素に対応する各穿孔データDが階調番号6および7を含む場合の穿孔状態を示す。図14の下図に示す通り、穿孔サイズのバラツキ、未穿孔の箇所が発生することが確認された。また、階調番号6に対応する平均穿孔サイズが230μmで目標穿孔サイズ300μmに対して76パーセント程度で開口し、階調番号7に対応する平均穿孔サイズが480μmで目標穿孔サイズ550μmに対して87パーセント程度で開口していることが確認された。このように、階調番号6に対応する平均穿孔サイズと目標穿孔サイズとの差が大きく、良好な階調表現が困難であることが確認された。
【0045】
図15は穿孔データ群DATを2分割して穿孔した状態を示す図であり、図15の上図は副走査方向に隣接する画素に対応する各穿孔データDが階調番号5および6を含む場合の穿孔状態を示す。穿孔データ群DATを2分割して穿孔した場合、図15の上図に示すように、未穿孔の回避が確認された。また、階調番号5に対応する平均穿孔サイズが240μmで目標穿孔サイズ240μmに対して100パーセント程度で開口し、階調番号6に対応する平均穿孔サイズが310μmで目標穿孔サイズ300μmに対して103パーセント程度で開口していることが確認された。
【0046】
図15の下図は副走査方向に隣接する画素に対応する各穿孔データDが階調願望6および7を含む場合の穿孔状態を示す。図15の下図に示す通り、未穿孔の回避が確認された。また、階調番号6に対応する平均穿孔サイズが310μmで目標穿孔サイズ300μmに対して103パーセント程度で開口し、階調番号7に対応する平均穿孔サイズが480μmで目標穿孔サイズ550μmに対して87パーセント程度で開口していることが確認された。
【符号の説明】
【0047】
D 穿孔データ
DAT 穿孔データ群
G 穿孔データグループ
LST 穿孔周期
M 孔版原紙
1 孔版原紙穿孔装置
3 原紙搬送手段
21 発熱素子
23 サーマルヘッド
24 サーマルヘッド駆動回路
42 穿孔データ分割手段
43 サーマルヘッド制御手段
44 搬送制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に複数の発熱素子が列設されたサーマルヘッドと、該サーマルヘッドに対して副走査方向に孔版原紙を搬送する原紙搬送手段と、主走査方向および副走査方向に並ぶ複数の画素のそれぞれに対応する穿孔データに基づいて前記サーマルヘッドを駆動するサーマルヘッド駆動手段とを備えた孔版原紙穿孔装置において、
前記主走査方向に並ぶ複数の画素に対応する穿孔データの各列をN個(N≧2)の穿孔データグループに分割する穿孔データ分割手段と、
所定の穿孔周期で前記穿孔データグループ毎に穿孔するよう前記サーマルヘッド駆動手段を制御するサーマルヘッド制御手段と、
前記孔版原紙を前記サーマルヘッドに対して基準速度の1/Nの速度で副走査方向に搬送するように前記原紙搬送手段を制御する搬送制御手段を備え、
前記穿孔データグループは、それぞれのグループが、前記複数の画素に対応する穿孔データを含むとともに、互いに隣接する画素に対応する穿孔データは含まないように構成されていることを特徴とする孔版原紙穿孔装置。
【請求項2】
前記穿孔データが、複数の異なる径の穿孔にそれぞれ対応する複数のサイズ対応データから構成されるものであり、
前記サーマルヘッド駆動手段が、1つの前記穿孔周期において、互いに異なる径の穿孔に対応する前記サイズ対応データは互いに異なるタイミングで穿孔するように、前記サーマルヘッドを駆動するものであることを特徴とする請求項1記載の孔版原紙穿孔装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−71442(P2012−71442A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216638(P2010−216638)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【復代理人】
【識別番号】100152401
【弁理士】
【氏名又は名称】我妻 慶一
【Fターム(参考)】