説明

孔閉塞用埋込栓および該孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法

【課題】極めて簡単かつ経済的な構造で確実かつ簡単に構造体に設けられた孔を閉塞する。
【解決手段】ねじ部材103を締め付けて、弾性体からなる埋栓部材101を座金部材105と締付用平板部材107との間で圧縮して、埋栓部材101を膨張させ、この膨張により構造体に設けられた孔を閉塞する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば中空のコンクリート製電柱の外周側壁やマンホール、ハンドホール等の隔壁などの構造体に設けられた孔に挿入され、当該孔を確実かつ簡単に閉塞し得る孔閉塞用埋込栓および該孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上に立設されたばかりの中空のコンクリート製電柱において、まだ内部に補強用のモルタルなどが充填されていない電柱は、その外周側壁に穿設された穴、例えば地気線取出口(アース孔)や金物取付孔(足場ボルト装着用の穴)が多々開けられている。
【0003】
また、通信や電力用のケーブルを地中に埋設する場合には、その中継点検所として、ケーブルの途中の地中内にマンホールやハンドホールを設けるが、このようなマンホールやハンドホールの隔壁にも、ケーブルを通すための孔が多々開けられている。
【0004】
このような孔のうち使用しない孔、例えばコンクリート製電柱では足場ボルトなどを装着しない穴、マンホールやハンドホールではケーブルを通さない孔は、完全に閉塞する必要がある。
【0005】
このような孔を閉塞する従来技術として、例えば特許文献1に開示されているような孔閉塞用埋込栓がある。この従来の孔閉塞用埋込栓は、同公報の図1、5などから分かるように、筒体51、溝穴53、4本の上部腕部55a、4本の下部腕部55b、ナット部57からなる比較的複雑なファスナー部5を備えている。
【0006】
また、特許文献2に開示されるケーブル管路を封止するための従来の管路封止構造は、弾性体を圧縮するために特殊な締付金具13を使用している。この締付金具13は、同公報の図1などから分かるように、シャフト16の矩形状の頭部である他端取付部16aにほぼL字形の特殊な締付操作片18を装着し、この締付操作片18を操作して、弾性体12を圧縮すべく締め付けている。
【特許文献1】特開2007-151386号公報
【特許文献2】特開平8-331742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来技術は、比較的複雑なファスナー部5や特殊な締付金具12を必要としていて、構造的にも簡単でなく、非経済的であるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、極めて簡単かつ経済的な構造で確実かつ簡単に構造体に設けられた孔を閉塞し得る孔閉塞用埋込栓および該孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するため、請求項1記載の孔閉塞用埋込栓は、構造体に設けられた孔に挿入され、当該孔を閉塞する孔閉塞用埋込栓であって、孔閉塞用埋込栓が孔に挿入される場合の挿入方向に圧縮されたとき、該挿入方向に直交する方向に膨張する弾性体からなる埋栓部材と、該埋栓部材を前記挿入方向に貫通するように埋栓部材に形成された小径の穴と、前記埋栓部材の挿入方向における第1の端面に密接して配設され、埋栓部材を貫通する小径の穴に該当する部分に小径の穴が形成された座金部材と、前記埋栓部材を座金部材との間で締め付けるべく埋栓部材の挿入方向における前記第1の端面と反対の第2の端面に密接して配設され、埋栓部材を貫通する小径の穴に該当する部分に小径のねじ穴が形成され、面積が埋栓部材の第2の端面の面積よりも小さい締付用平板部材と、前記座金部材の小径の穴から埋栓部材の小径の穴を貫通し、前記締付用平板部材のねじ穴に螺合するねじ部材であって、該ねじ部材を締め付けることにより埋栓部材が座金部材と締付用平板部材との間に挟まれて挿入方向に圧縮され、挿入方向に直交する方向に埋栓部材を膨張させるねじ部材とを有することを要旨とする。
【0010】
請求項1記載の孔閉塞用埋込栓では、ねじ部材を締め付けることにより弾性体からなる埋栓部材を座金部材と締付用平板部材との間で圧縮して、挿入方向に直交する方向に埋栓部材を膨張させ、この膨張により構造体に設けられた孔を閉塞するため、極めて簡単かつ安価な構造で簡単に手際良く、迅速かつ確実に孔を閉塞することができる。
【0011】
請求項2記載の孔閉塞用埋込栓は、前記埋栓部材の第1の端面に密接して前記座金部材と埋栓部材の第1の端面との間に配設され、埋栓部材を貫通する小径の穴に該当する部分に形成された小径のねじ穴を有し、面積が前記座金部材の面積よりも大きく、埋栓部材の第1の端面の面積よりも小さい別の締付用平板部材を有し、前記ねじ部材を締め付けたとき埋栓部材が座金部材を介して前記別の締付用平板部材と前記締付用平板部材との間に挟まれて挿入方向に圧縮され、挿入方向に直交する方向に埋栓部材を膨張させることを要旨とする。
【0012】
請求項2記載の孔閉塞用埋込栓では、座金部材と埋栓部材の第1の端面との間に別の締付用平板部材が配設されているため、座金部材が小さい場合でも、埋栓部材の大きさに合った大きさの別の締付用平板部材を選択して用いることにより埋栓部材を別の締付用平板部材と締付用平板部材307との間で適確に締め付けることができる。
【0013】
請求項3記載の孔閉塞用埋込栓は、前記締付用平板部材が、埋栓部材の第2の端面に密接した部分に形成され、前記ねじ部材が締め付けられたとき、埋栓部材に対して空回りしないで埋栓部材の第2の端面に食い入るように突出して形成された掛止部を有することを要旨とする。
【0014】
請求項3記載の孔閉塞用埋込栓では、ねじ部材が締め付けられたとき、締付用平板部材の掛止部が埋栓部材の第2の端面に食い入るため、締付用平板部材は埋栓部材に対して空回りすることなく、埋栓部材を確実に締め付けることができる。
【0015】
請求項4記載の孔閉塞用埋込栓は、前記別の締付用平板部材が、埋栓部材の第1の端面に密接した部分に形成され、前記ねじ部材が締め付けられたとき、埋栓部材に対して空回りしないで埋栓部材の第1の端面に食い入るように突出して形成された掛止部を有することを要旨とする。
【0016】
請求項4記載の孔閉塞用埋込栓では、ねじ部材が締め付けられたとき、別の締付用平板部材の掛止部が埋栓部材の第1の端面に食い入るため、別の締付用平板部材は埋栓部材に対して空回りすることなく、埋栓部材を確実に締め付けることができる。
【0017】
請求項5記載の孔閉塞用埋込栓は、前記締付用平板部材が、埋栓部材の第2の端面に密接する面と反対側の面に前記小径のねじ穴を中心に中央部が円弧状に膨出した平板部材膨出部が形成されていることを要旨とする。
【0018】
請求項5記載の孔閉塞用埋込栓では、締付用平板部材の中央部が円弧状に膨出して平板部材膨出部を形成しているため、ねじ部材の締め付けにより、締付用平板部材と別の締付用平板部材を強く締め付けても破損しにくくなり、その強度を増大することができる。
【0019】
請求項6記載の孔閉塞用埋込栓は、前記別の締付用平板部材が、埋栓部材の端面に密接する面と反対側の面に前記小径の穴を中心に中央部が円弧状に膨出した平板部材膨出部が形成されていることを要旨とする。
【0020】
請求項6記載の孔閉塞用埋込栓では、別の締付用平板部材の中央部が円弧状に膨出して平板部材膨出部を形成しているため、ねじ部材の締め付けにより、締付用平板部材と別の締付用平板部材を強く締め付けても破損しにくくなり、その強度を増大することができる。
【0021】
請求項7記載の孔閉塞用埋込栓は、前記締付用平板部材が、前記平板部材膨出部の円弧状の頂部から締付用平板部材内に向けて埋め込まれたナット部材を有し、このナット部材のねじ穴には、埋栓部材の小径の穴を貫通したねじ部材の先端が螺合するようになっていることを要旨とする。
【0022】
請求項7記載の孔閉塞用埋込栓では、平板部材膨出部の円弧状の頂部にナット部材が埋め込まれ、このナット部材のねじ穴に埋栓部材の小径の穴を貫通したねじ部材の先端が螺合するため、ねじ部材を強く締め付けても、破損しにくくなり、その強度を増大することができる。
【0023】
請求項8記載の孔閉塞用埋込栓は、前記ねじ部材が、ねじ穴に螺合する先端寄りの部分のみに雄ねじ部が形成されていることを要旨とする。
【0024】
請求項8記載の孔閉塞用埋込栓では、ねじ部材は先端寄りの部分のみに雄ねじ部が形成されているため、埋栓部材内ではねじ部が埋栓部材の内周面に引っ掛かることがなくなるとともに、経済化を図ることができる。
【0025】
請求項9記載の孔閉塞用埋込栓は、前記ねじ部材が、六角穴付きボルトまたはプラスねじであることを要旨とする。
【0026】
請求項9記載の孔閉塞用埋込栓では、前記ねじ部材が六角穴付きボルトまたはプラスねじであるため、六角穴付きボルトを用いた場合には、六角棒レンチを用いて強く締め付けることができ、またプラスねじを用いた場合には、通常のプラスドライバで簡単に締め付けることができる。
【0027】
請求項10記載の孔閉塞用埋込栓は、前記埋栓部材が天然ゴム、合成ゴム、またはそれらの混合物で形成されることを要旨とする。
【0028】
請求項10記載の孔閉塞用埋込栓では、埋栓部材が天然ゴム、合成ゴム、またはそれらの混合物で形成されるため、圧縮による埋栓部材の膨張および該膨張による孔の閉塞を効率的かつ確実に行うことができる。
【0029】
請求項11記載の孔閉塞用埋込栓は、前記締付用平板部材がプラスチックで形成されることを要旨とする。
【0030】
請求項11記載の孔閉塞用埋込栓では、締付用平板部材がプラスチックであるため、軽量化および経済化を図ることができる。
【0031】
請求項12記載の孔閉塞用埋込栓は、前記別の締付用平板部材が、プラスチックで形成されることを要旨とする。
【0032】
請求項12記載の孔閉塞用埋込栓では、別の締付用平板部材がプラスチックであるため、軽量化および経済化を図ることができる。
【0033】
請求項13記載の孔閉塞用埋込栓は、前記埋栓部材が、第1の端面の面積が第2の端面の面積よりも大きい切頭錐体であることを要旨とする。
【0034】
請求項13記載の孔閉塞用埋込栓では、埋栓部材が切頭錐体であるため、構造体の孔に押圧して挿入する場合に、容易に挿入することができる。
【0035】
請求項14記載の孔閉塞用埋込栓は、前記埋栓部材が、第1の端面側から第2の端面側までの断面が同じ筒体であることを要旨とする。
【0036】
請求項14記載の孔閉塞用埋込栓では、埋栓部材が断面が同じ筒体であるため、埋栓部材の膨張による埋栓部材の孔に対する押圧力を均等化でき、孔を確実に閉塞することができる。
【0037】
請求項15記載の孔閉塞用埋込栓は、前記埋栓部材が、前記挿入方向に直交する断面の形状が構造体に設けられた孔の形状と相似形であり、該断面の面積は、前記孔に対して圧入により挿入し得る程度に孔の断面積よりも若干大きいことを要旨とする。
【0038】
請求項15記載の孔閉塞用埋込栓では、埋栓部材は断面の形状が孔の形状と相似形であり、断面積は、孔に対して圧入により挿入し得る程度に孔の断面積よりも若干大きいため、孔を確実に閉塞することができる。
【0039】
請求項16記載の孔閉塞用埋込栓は、前記埋栓部材が、構造体に設けられた孔の断面積および形状に応じた種類設けられることを要旨とする。
【0040】
請求項16記載の孔閉塞用埋込栓では、埋栓部材が孔の断面積および形状に応じた種類設けられるため、孔の形状および断面積に応じた適確な埋栓部材を使用して、孔を確実かつ簡単に閉塞することができる。
【0041】
請求項17記載の孔閉塞方法は、請求項1に記載の孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法であって、構造体に設けられた孔に孔閉塞用埋込栓の埋栓部材が孔を貫通しない位置まで埋栓部材を第2の端面側から圧入する工程と、前記ねじ部材を締め付けて、埋栓部材を座金部材と締付用平板部材との間で挿入方向に圧縮し、埋栓部材を挿入方向に直交する方向に膨張させて前記孔を閉塞する工程とを有することを要旨とする。
【0042】
請求項17記載の孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法では、埋栓部材を孔を貫通しない位置まで第2の端面側から圧入し、ねじ部材を締め付け、埋栓部材を座金部材と締付用平板部材との間で挿入方向に圧縮し、埋栓部材を膨張させて孔を閉塞するため、極めて簡単、迅速かつ確実に孔を閉塞することができる。
【0043】
請求項18記載の孔閉塞方法は、請求項2乃至16のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法であって、構造体に設けられた孔に孔閉塞用埋込栓の埋栓部材が孔を貫通しない位置まで埋栓部材を第2の端面側から圧入する工程と、前記ねじ部材を締め付けて、埋栓部材を別の締付用平板部材と締付用平板部材との間で挿入方向に圧縮し、埋栓部材を挿入方向に直交する方向に膨張させて前記孔を閉塞する工程とを有することを要旨とする。
【0044】
請求項18記載の孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法では、埋栓部材を孔を貫通しない位置まで第2の端面側から圧入し、ねじ部材を締め付け、埋栓部材を別の平板部材と締付用平板部材との間で挿入方向に圧縮し、埋栓部材を膨張させて孔を閉塞するため、極めて簡単、迅速かつ確実に孔を閉塞することができる。
【0045】
請求項19記載の孔閉塞用埋込栓は、前記締付用平板部材が、線材の取り付けを容易にする通線取り付け部を有することを要旨とする。
【0046】
請求項19記載の孔閉塞用埋込栓では、締付用平板部材が、通線取り付け部を有していることから線材の取り付けを容易にすることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明の孔閉塞用埋込栓および該孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法によれば、極めて簡単かつ安価な構造で簡単に手際良く、迅速かつ確実に孔を閉塞することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0049】
図1(a)、(b)は、それぞれ本発明の第1の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓の正面図およびその断面図であり、図2(a)、(b)は、それぞれ図1に示す孔閉塞用埋込栓の左側面図および後方から見た斜視図である。
【0050】
図1(a)、(b)および図2(a)、(b)に示す第1の実施形態の孔閉塞用埋込栓100は、例えば天然ゴム、合成ゴム、またはそれらの混合物などで構成される弾性体からなる埋栓部材101を有する。この埋栓部材101は、切頭円錐体の形状を有し、一方の端面である第1の端面101aの面積が他方の端面である第2の端面101bの面積よりも大きく形成されている。
【0051】
また、図1(b)の断面図から分かるように、埋栓部材101の中心には、第1の端面101aから第2の端面101bに向かって、すなわち後述するように孔閉塞用埋込栓100を構造体の孔に挿入する場合の挿入方法に、埋栓部材101を貫通する小径の穴101cが形成されている。この小径の穴101cの中には、ねじ部材103の雄ねじ部103aが緩挿されている。
【0052】
このねじ部材103は、図2(a)から分かるように、プラスねじであり、そのねじ頭は、符号103bで示すように、埋栓部材101の第1の端面101aに座金部材105を挟んで密接に配設され、露出している。
【0053】
更に、埋栓部材101の第2の端面101bには、例えばプラスチックからなる締付用平板部材107が第2の端面101bに密接して配設されている。この締付用平板部材107の中心には、すなわち埋栓部材101の小径の穴101cに該当する部分には、小径のねじ穴107aが形成され、このねじ穴107aにはねじ部材103の雄ねじ部103aの先端が螺合している。
【0054】
また、締付用平板部材107は、図1(b)から分かるように、埋栓部材101の第2の端面101bに密接する面に該第2の端面101bに食い込むように突出して形成された掛止部107bを有し、これにより後述するようにねじ部材103が締め付けられたとき、締付用平板部材107が埋栓部材101に対して空回りしないように埋栓部材101の第2の端面101bに食い込むようになっている。
【0055】
以上のように構成される孔閉塞用埋込栓100を用いて、例えば中空のコンクリート製電柱の外周側壁やマンホール、ハンド゛ホール等の隔壁などの構造体に設けられた孔を閉塞するには、図3(a)に示すように、構造体199に設けられた孔199aの前方に本実施形態の孔閉塞用埋込栓100をその締付用平板部材107が孔199aに対向するように手などで孔閉塞用埋込栓100を把持しながら持っていく。そして、矢印97で示す挿入方向に、締付用平板部材107側から、すなわち切頭円錐体の埋栓部材101の細い第2の端面101bの側から孔199a内に孔閉塞用埋込栓100を圧入し、図3(b)に示すように、孔199aの中程まで、すなわち埋栓部材101が孔199aを貫通しない位置まで孔閉塞用埋込栓100を挿入する。
【0056】
すなわち、図3(a)、(b)に示した孔閉塞用埋込栓100は、構造体199の孔199aを完全に閉塞するために、埋栓部材101の断面積が孔199aの断面積よりも若干大きいもの、詳しくは少なくとも埋栓部材101の第1の端面101aの断面積が孔199aの断面積よりも若干大きいものが選ばれている。そして、この断面積が若干大きい孔閉塞用埋込栓100のねじ頭103bを指などで強く押したり、またはねじ頭103bにドライバを嵌合させ、ハンマーなどで打ち込むなどして、図3(b)に示すように、埋栓部材101を孔199a内に仮圧入する。
【0057】
この仮圧入とは、まだ孔199aは孔閉塞用埋込栓100により完全かつ十分に閉塞されておらず、単に孔閉塞用埋込栓100が孔199a内に圧入されただけであり、十分強く固定されていないし、孔199aを完全に閉塞してもいない。そこで、このように孔閉塞用埋込栓100が孔199a内に仮圧入された後、ねじ部材103のねじ頭103bにドライバを嵌合させて回転し、ねじ部材103を締め付ける。
【0058】
このようにねじ部材103を回転して締め付けると、締付用平板部材107がねじ部材103の回転で座金部材105の方に引き寄せられ、埋栓部材101は、締付用平板部材107と座金部材105との間で挿入方向に圧縮される。この結果、埋栓部材101は、弾性体で構成されているため、挿入方向に直交する方向に膨張しようとし、すなわち埋栓部材101は締付用平板部材107と座金部材105との間で挟まれて孔199aの内周面に向かう方向以外の逃げ場がなくなるため、埋栓部材101は孔199aの内周面に向かう方向に膨張しようとして、孔199aの内周面を強く押圧する。この結果、孔199aは、膨張しようとする埋栓部材101により完全に閉塞される。
【0059】
図3(b)は、このように膨張しようとする埋栓部材101により孔199aが完全に閉塞された状態を示しているが、構造体199は例えばコンクリートなどの堅固な部材で構成されているため、埋栓部材101が孔199a内で膨張しようとしても、孔199aは、変形しないため、図3(b)では、埋栓部材101は、孔199aの内周面を膨張力により押圧しながらも、孔199aの内周面で抑えられ、埋栓部材101の側面は、孔199aの内周面に沿って平行になっている。
【0060】
上述したように、本実施形態の孔閉塞用埋込栓100は、埋栓部材101を座金部材105と締付用平板部材107で挟んでねじ部材103を締め付けるだけというように極めて簡単かつ安価な構造で簡単に手際良く、迅速かつ確実に孔199aを閉塞することができる。
【0061】
図4(a)、(b)は、それぞれ本発明の第2の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓の正面図およびその断面図である。図5(a)、(b)は、それぞれ図4に示す孔閉塞用埋込栓の左側面図および後方から見た斜視図である。
【0062】
図4(a)、(b)および図5(a)、(b)に示す第2の実施形態の孔閉塞用埋込栓200は、図1(a)、(b)、図2(a)、(b)に示した第1の実施形態の孔閉塞用埋込栓100において埋栓部材101を直径の大きな埋栓部材201に変更した以外は第1の実施形態のものと同じである。従って、その詳細な説明は、省略する。
【0063】
なお、第2の実施形態において、寸法が少し大きくなったことを除いて、第1の実施形態のものと同じ機能を有する構成要素には、第1の実施形態で使用されている符号の百番台の数字のみを「1」から「2」に変更し、十番台および一番台は同じとした符号を用いて、第2の実施形態の各構成要素を特定する。例えば、第1の実施形態における孔閉塞用埋込栓100、埋栓部材101、ねじ部材103、座金部材105、締付用平板部材107は、第2の実施形態においてはそれぞれ孔閉塞用埋込栓200、埋栓部材201、ねじ部材203、座金部材205、締付用平板部材207となるという具合である。
【0064】
第2の実施形態の孔閉塞用埋込栓200の埋栓部材201のように直径を大きくすることにより、図6に示すように、構造体299に大きな孔299aが開けられている場合に、有効である。
【0065】
なお、図6は、孔閉塞用埋込栓200のねじ部材203を回転して締め付けた結果、埋栓部材201が締付用平板部材207と座金部材205との間で圧縮されて挿入方向に直交する方向に膨張し孔199aの内周面を強く押圧して閉塞するも、例えばコンクリートなどの堅固な部材で構成された構造体299に穿設された孔299aは変形しないため、埋栓部材201の側面は、孔299aの内周面に沿って平行である状態を示している。
【0066】
なお、第1、第2の実施形態では、孔閉塞用埋込栓100、200は、埋栓部材201、101の断面が円形である場合について説明しているが、本発明は、これに限定されるものでなく、埋栓部材101、201は、断面の形状が孔199a、299aの形状と相似形であり、該断面の面積が孔199a、299aに対して圧入により挿入し得るように孔199a,299aの断面積よりも若干大きいものであればよいものであり、その断面形状は例えば矩形でもよいものである。
【0067】
また、第1、第2の実施形態では、埋栓部材101、201は、断面積が先細に変化する切頭錐体(錐体(第1、第2の実施形態では円錐体)の先端部分を削除した軸方向の断面が台形の立体)であるが、本発明は、これに限定されるものでなく、軸方向に垂直な方向の断面積が変化しない筒体でもよいものである。
【0068】
更に、第1、第2の実施形態では、ねじ部材103、203は、プラスねじであるが、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば六角穴付きボルトやマイナスねじでもよいものである。
【0069】
また更に、第1、第2の本実施形態では、締付用平板部材107、207は、プラスチックで構成されているが、本発明は、これに限定されるものでなく、ねじ穴を形成することができる堅固な材質ものであればよいものであり、例えばステンレス鋼や鉄などの金属などでもよいものである。
【0070】
図7(a)、(b)、(c)は、それぞれ本発明の第3の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓の斜視図、断面図および底面図である。
【0071】
図7(a)、(b)、(c)に示す第3の実施形態の孔閉塞用埋込栓300は、図4(a)、(b)、図5(a)、(b)に示した第2の実施形態の孔閉塞用埋込栓200において切頭円錐形の埋栓部材201を円筒形の埋栓部材301に変更し、その直径をほんの僅か大きくするとともに、ねじ部材203をプラスねじから六角穴付きボルト303に変更することに加えて、座金部材205と埋栓部材201の第1の端面201aとの間に別の締付用平板部材309を新たに設け、この別の締付用平板部材309が埋栓部材301の第1の端面301aに密接する面において該第1の端面301aに食い込むように突出して形成され、六角穴付きボルト303が締め付けられたとき、別の締付用平板部材309が埋栓部材301に対して空回りしないように埋栓部材301の第1の端面301aに食い入る掛止部309bが形成されている点が異なるものであり、その他の構成は第2の実施形態のものと同じである。従って、その詳細な説明は、省略する。
【0072】
なお、第3の実施形態において、第2の実施形態のものと同じ機能を有する構成要素には、第2の実施形態で使用されている符号の百番台の数字のみを「2」から「3」に変更し、十番台および一番台は同じとした符号を用いて、第3の実施形態の各構成要素を特定する。例えば、第2の実施形態における孔閉塞用埋込栓200、埋栓部材201、ねじ部材203、座金部材205、締付用平板部材207は、第3の実施形態においてはそれぞれ孔閉塞用埋込栓300、埋栓部材301、六角穴付きボルト(ねじ部材)303、座金部材305、締付用平板部材307となるという具合である。
【0073】
第3の実施形態の孔閉塞用埋込栓300のように、ねじ部材として六角穴付きボルト303を使用し、この六角穴付きボルト303を図示しないが通常の六角棒レンチを用いて回転し締め付けることにより、より強く締め付けることができ、構造体に形成された孔をより確実に閉塞することができる。
【0074】
また、第3の実施形態の孔閉塞用埋込栓300のように、座金部材305と埋栓部材301の第1の端面301aと間に別の締付用平板部材309を設け、この別の締付用平板部材309の面積を第2の実施形態の座金部材205に比較して大きくし、埋栓部材301の第1の端面301aの面積に十分近づけた大きさにすることにより、六角穴付きボルト303の締め付けによる締付用平板部材307と別の締付用平板部材309との間における埋栓部材301に対する圧縮力を大きくすることができる。この結果、埋栓部材301を更に大きく膨張させて、構造体に設けられた孔を更に完全に閉塞することができる。
【0075】
図8(a)、(b)は、図7(a)、(b)、(c)に示す第2の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓300の膨張圧縮状態、具体的には孔閉塞用埋込栓300を構造体の孔に挿入しないそのままの状態において、六角穴付きボルト303を締め付けて、締付用平板部材307と別の締付用平板部材309との間を狭めて埋栓部材301を圧縮し、これにより埋栓部材301の側面、すなわち埋栓部材301の外周面を外側に太鼓状に膨張された埋栓部材301の圧縮膨張状態を示す斜視図および正面図である。
【0076】
すなわち、図8(a)、(b)に示すように、孔閉塞用埋込栓300を構造体の孔に挿入せずに、六角穴付きボルト303を締め付けて、埋栓部材301を圧縮膨張させた場合には、通常真直ぐな埋栓部材301の側面である外周面は、膨張により外側に少し膨れ上がり、僅かな円弧状になっていることがわかる。
【0077】
図9は、この第3の実施形態の孔閉塞用埋込栓300を図3(a)、(b)で説明したように構造体399に設けられた孔399aに圧入し、六角穴付きボルト303を六角棒レンチで回転して締め付けた結果、埋栓部材301が締付用平板部材307と別の締付用平板部材309との間で圧縮されて挿入方向すなわち圧入方向に直交する方向に膨張し孔399aの内周面を強く押圧して閉塞するも、例えばコンクリートなどの堅固な部材で構成された構造体399に穿設された孔399aは変形しないため、埋栓部材301の側面は、孔399aの内周面に沿って平行である状態を示している。
【0078】
なお、第3の実施形態では、孔閉塞用埋込栓300は、埋栓部材301の断面が円形である場合について説明しているが、本発明は、これに限定されるものでなく、埋栓部材301は、断面の形状が孔399aの形状と相似形であり、該断面の面積が孔399aに対して圧入により挿入し得るように孔399aの断面積よりも若干大きいものであればよいものであり、その断面形状は例えば矩形でもよいものである。
【0079】
また、第3の実施形態では、埋栓部材301は、断面積が同じの筒体であるが、本発明は、これに限定されるものでなく、断面積が先細に変化する切頭錐体でもよいものである。
【0080】
更に、第3の実施形態では、六角穴付きボルト303を使用しているが、本発明は、これに限定されるものでなく、例えばプラスねじやマイナスねじでもよいものである。
【0081】
また、第3の本実施形態では、締付用平板部材307は、プラスチックで構成されているが、本発明は、これに限定されるものでなく、ねじ穴を形成することができる堅固な材質ものであればよいものであり、例えばステンレス鋼や鉄などの金属などでもよいものであるし、更に締付用平板部材307は、そのねじ穴307aのところにナット部材を埋め込んでもよいもである。
【0082】
第3の実施形態では、六角穴付きボルト303のボルト軸部の全体に渡って雄ねじ部303aが形成されているが、本発明は、これに限定されるものではなく、六角穴付きボルト303の先端寄りの部分のみに雄ねじ部303aが形成されてもよいものである。
【0083】
図10(a)、(b)は、それぞれ本発明の第4の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓の斜視図および正面図であり、図11(a)、(b)は、それぞれ図10に示した孔閉塞用埋込栓の断面図および底面図である。
【0084】
図10(a)、(b)および図11(a)、(b)に示す第4の実施形態の孔閉塞用埋込栓400は、図7(a)、(b)、(c)に示した第3の実施形態の孔閉塞用埋込栓300において締付用平板部材307および別の締付用平板部材309をそれぞれ中央部が円弧状に膨出した平板部材膨出部407cおよび平板部材膨出部409cをそれぞれ有する締付用平板部材407および別の締付用平板部材409に変更するとともに、締付用平板部材307の中央に形成されたねじ穴307aの代わりに締付用平板部材307に対応する締付用平板部材407の平板部材膨出部407cの中央部の頂部から内部に途中までにナット部材411を埋め込み、このナット部材411が途中まで埋め込まれた部分から先の締付用平板部材407には図11(a)から分かるように小径の穴407dが形成され、更に第3の実施形態ではボルト軸の全体に渡って雄ねじ部303aを形成されている六角穴付きボルト303がボルト軸の先端寄りの約三分の一の部分のみ雄ねじ部403aが図11(a)に示すように形成され、ねじ頭403b寄りの残りの約三分の二の部分には雄ねじがないボルト軸部403dが形成されている六角穴付きボルト403に変更されている点が異なるものであり、その他の構成は第3の実施形態のものと同じである。従って、その詳細な説明は、省略する。
【0085】
なお、第4の実施形態において、第3の実施形態のものと同じ機能を有する構成要素には、第3の実施形態で使用されている符号の百番台の数字のみを「3」から「4」に変更し、十番台および一番台は同じとした符号を用いて、第4の実施形態の各構成要素を特定する。例えば、第3の実施形態における孔閉塞用埋込栓300、埋栓部材301、六角穴付きボルト303、座金部材305、締付用平板部材307、別の締付用平板部材309は、第4の実施形態においてはそれぞれ孔閉塞用埋込栓400、埋栓部材401、六角穴付きボルト403、座金部材405、締付用平板部材407、別の締付用平板部材409となるという具合である。
【0086】
第4の実施形態の孔閉塞用埋込栓400においては、締付用平板部材407および別の締付用平板部材409は、それぞれ中央部が円弧状に膨出した平板部材膨出部407cおよび平板部材膨出部409cを有しているが、このように平板部材膨出部407cおよび平板部材膨出部409cを設けることにより、六角穴付きボルト403を締め付けて、締付用平板部材407と別の締付用平板部材409との間で埋栓部材401を圧縮したとき、この圧縮力が平板部材膨出部407cおよび平板部材膨出部409cを介して締付用平板部材407および別の締付用平板部材409にかかるため、締付用平板部材407および別の締付用平板部材409は、強く締め付けられても破損しにくくなり、その強度が増大することになる。
【0087】
また、本第4の実施形態のように、締付用平板部材407の中央部に、すなわち締付用平板部材407の中央の膨出している平板部材膨出部407cの中央部の頂部から内部にナット部材411を埋め込んだということは、第3の実施形態のようにプラスチック製の締付用平板部材307の中央部に形成したねじ穴に比較して、強度を著しく増大することができ、六角穴付きボルト403を強く締め付けても破損することがなく、信頼性を向上することができる。
【0088】
更に、第4の実施形態のように、六角穴付きボルト403の雄ねじ部403aを先端寄りの約三分の一の部分のみに形成し、ねじ頭403b寄りの残りの約三分の二の部分には雄ねじを形成しないボルト軸部403dで構成し、このボルト軸部403dが図11(a)から分かるように埋栓部材401の小径の穴401cの中のほとんどを占めるように挿入されることにより、六角穴付きボルト403を締め付けて、締付用平板部材407と別の締付用平板部材409との間で埋栓部材401を圧縮したとき、六角穴付きボルト403の雄ねじ部403aが埋栓部材401の小径の穴401cの内周面に引っ掛かることなどがなくなり、六角穴付きボルト403を円滑に締め付けることができる。
【0089】
図12は、第4の実施形態の孔閉塞用埋込栓400を図3(a)、(b)で説明したように構造体499に設けられた孔499aに圧入し、六角穴付きボルト403を六角棒レンチなどで回転して締め付けた結果、埋栓部材401が締付用平板部材407と別の締付用平板部材409との間で圧縮されて挿入方向すなわち圧入方向に直交する方向に膨張し孔499aの内周面を強く押圧して閉塞するも、例えばコンクリートなどの堅固な部材で構成された構造体499に穿設された孔499aは変形しないため、埋栓部材401の側面は、孔499aの内周面に沿って平行である状態を示している。
【0090】
なお、第4の実施形態では、孔閉塞用埋込栓400は、埋栓部材401の断面が円形である場合について説明しているが、本発明は、これに限定されるものでなく、埋栓部材401は、断面の形状が孔499aの形状と相似形であり、該断面の面積が孔499aに対して圧入により挿入し得るように孔499aの断面積よりも若干大きいものであればよいものであり、その断面形状は例えば矩形でもよいものである。
【0091】
また、第4の実施形態では、埋栓部材401は、断面積が同じである筒体であるが、本発明は、これに限定されるものでなく、断面積が先細に変化する切頭錐体でもよいものである。
【0092】
更に、第4の実施形態では、六角穴付きボルト403を使用しているが、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば六角ボルト、プラスねじやマイナスねじまたはその他のものでもよいものである。
【0093】
また、第4の本実施形態では、締付用平板部材407は、平板部材膨出部407cの中央部の頂部から小径の穴407aの内部に締付用平板部材407の板厚方向の途中までナット部材411が埋め込まれているが、本発明は、これに限定されるものでなく、このナット部材411は、平板部材膨出部407cを含む締付用平板部材407の全厚さを貫通するように埋め込まれてもよいものである。
【0094】
第4の実施形態では、六角穴付きボルト303の先端寄りの部分のみに雄ねじ部303aが形成されているが、本発明は、これに限定されるものなく、六角穴付きボルト303のボルト軸部403dの全体に渡って雄ねじ部403aが形成されてもよいものである。
【0095】
図13は本発明の第5の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓の斜視図であり、図14及び図15は、それぞれ図13に示した孔閉塞用埋込栓を構成する締付用平板部材の断面図と裏面図であり、図16は図13に示す第5の実施形態の孔閉塞用埋込栓の使用状態を示す断面図である。
【0096】
図13乃至図16に示す第5の実施形態の孔閉塞用埋込栓500は、図10乃至図12に示した第4の実施形態の孔閉塞用埋込栓400に対して、さらに締付用平板部材407に通線507eの取り付け用のフックである通線取り付け部507dを2箇所に立設したものである。この通線取り付け部507dの大きさ、形状、向き及び取り付け位置は特に限定されるものでは無いが、図13に示すように六角ボルト503を中心に対向して配置すると強度的にも取扱上でも好ましい。
【0097】
このように第5の実施形態の孔閉塞用埋込栓500は、第4の実施形態の孔閉塞用埋込栓400に対して、通線取り付け部507dが取り付けられている以外の構成は第4の実施形態のものと同じである。従って、その詳細な説明は、省略する。
【0098】
なお、第5の実施形態において、第4の実施形態のものと同じ機能を有する構成要素には、第4の実施形態で使用されている符号の百番台の数字のみを「4」から「5」に変更し、十番台および一番台は同じとした符号を用いて、第5の実施形態の各構成要素を特定する。例えば、第4の実施形態における孔閉塞用埋込栓400、埋栓部材401、六角ボルト403、座金部材405、締付用平板部材407、別の締付用平板部材409は、第5の実施形態においてはそれぞれ孔閉塞用埋込栓500、埋栓部材501、六角ボルト503、座金部材505、締付用平板部材507、別の締付用平板部材509となるという具合である。
【0099】
第5の実施形態の孔閉塞用埋込栓500においては、締付用平板部材507および別の締付用平板部材509は、それぞれ中央部が円弧状に膨出した平板部材膨出部507cおよび平板部材膨出部509cを有しているが、このように平板部材膨出部507cおよび平板部材膨出部509cを設けることにより、六角ボルト503を締め付けて、締付用平板部材507と別の締付用平板部材509との間で埋栓部材501を圧縮したとき、この圧縮力が平板部材膨出部507cおよび平板部材膨出部509cを介して締付用平板部材507および別の締付用平板部材509にかかるため、締付用平板部材507および別の締付用平板部材509は、強く締め付けられても破損しにくくなり、その強度が増大することになる。
【0100】
また、本第5の実施形態のように、締付用平板部材507の中央部に、すなわち締付用平板部材507の中央の膨出している平板部材膨出部507cの中央部の頂部から内部にナット部材411を埋め込んだということは、第3の実施形態のようにプラスチック製の締付用平板部材307の中央部に形成したねじ穴に比較して、強度を著しく増大することができ、六角ボルト503を強く締め付けても破損することがなく、信頼性を向上することができる。
【0101】
更に、第5の実施形態のように、六角ボルト503の雄ねじ部503aを先端寄りの約三分の一の部分のみに形成し、ねじ頭503b寄りの残りの約三分の二の部分には雄ねじを形成しないボルト軸部503dで構成し、このボルト軸部503dが図11(a)から分かるように埋栓部材501の小径の穴501cの中のほとんどを占めるように挿入されることにより、六角ボルト503を締め付けて、締付用平板部材507と別の締付用平板部材509との間で埋栓部材501を圧縮したとき、六角ボルト503の雄ねじ部503aが埋栓部材501の小径の穴501cの内周面に引っ掛かることなどがなくなり、六角ボルト503を円滑に締め付けることができる。
【0102】
また、図15の孔閉塞用埋込栓500を構成する締付用平板部材507の裏面図に示すように、締付用平板部材507の裏面には、ゴム製弾性体である埋栓部材501と一体化をより強固にするための掛止部507bが設けられる。図15に示す掛止部507bは三角柱を横にした形状であるが、その形状や大きさは任意であり埋栓部材501に食い込む様な形状であればなお良く、またその配置も 図15に示すように十字状に限らず、米の字状、あるいは全体に散在するように配置しても良い。なお、この掛止部の形状、大きさ、配置等については上述した第1の実施形態から第4の実施形態においても、全て同様である。
【0103】
図16は、第5の実施形態の孔閉塞用埋込栓500を図3(a)、(b)で説明した孔399aと同様であり、構造体599に設けられた孔599aに対し、まず孔599a内に予め挿通される通線507eの一端を通線取り付け部507dに通し、結束した後に、通線507eを孔599a内に押し入れながら、孔閉塞用埋込栓500を孔599a内に圧入し、六角ボルト503をレンチなどで回転して締め付ける。その結果、埋栓部材501が締付用平板部材507と別の締付用平板部材509との間で圧縮されて挿入方向すなわち圧入方向に直交する方向に膨張し、孔499aの内周面を強く押圧して閉塞する。但し、例えばコンクリートなどの堅固な部材で構成された構造体499に穿設された孔499aは変形しないため、埋栓部材501の側面は、孔499aの内周面に沿って平行であり、図16ではその状態が示されている。
【0104】
このように、通線507eを通線取り付け部507dに結び付けることにより、六角ボルト503をレンチなどで逆回転して埋栓部材501の圧縮状態を解放して、孔閉塞用埋込栓500を引き出した際に、通線507eも引き出されることから、作業性を大幅に改善することが可能となる。
【0105】
なお、図16では構造体599に設けられた孔599aは、壁に設けた孔であっても良いが、通常は数mから数百mの長さの管路であり、通線507eは例えばマンホールとマンホールとの間をつなぐ管路内を仮設されるものである。
【0106】
また、第5の実施形態では、孔閉塞用埋込栓500は、埋栓部材501の断面が円形である場合について説明しているが、本発明は、これに限定されるものでなく、埋栓部材501は、断面の形状が孔499aの形状と相似形であり、該断面の面積が孔499aに対して圧入により挿入し得るように孔499aの断面積よりも若干大きいものであればよいものであり、その断面形状は例えば矩形でもよいものである。
【0107】
また、第5の実施形態では、埋栓部材501は、断面積が同じである筒体であるが、本発明は、これに限定されるものでなく、断面積が先細に変化する切頭錐体でもよいものである。
【0108】
更に、第5の実施形態では、より施工現場での汎用性を考慮して六角ボルト503を使用しているが、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば六角穴付きボルトやプラスねじ、マイナスねじあるいはその他のものでもよいものである。
【0109】
また、第5の本実施形態では、締付用平板部材507は、平板部材膨出部507cの中央部の頂部から小径の穴507aの内部に締付用平板部材507の途中までナット部材411が埋め込まれているが、本発明は、これに限定されるものでなく、このナット部材411は、平板部材膨出部507cを含む締付用平板部材507の全厚さを貫通するように埋め込まれてもよいものである。
【0110】
第5の実施形態では、六角ボルト303の先端寄りの部分のみに雄ねじ部303aが形成されているが、本発明は、これに限定されるものなく、六角ボルト303のボルト軸部503dの全体に渡って雄ねじ部503aが形成されてもよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ本発明の第1の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓の正面図およびその断面図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ図1に示す第1の実施形態の孔閉塞用埋込栓の左側面図および後方から見た斜視図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ図1,2に示す第1の実施形態の孔閉塞用埋込栓の使用方法および使用状態を示す断面図である。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ本発明の第2の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓の正面図およびその断面図である。
【図5】(a)、(b)はそれぞれ図4に示す孔閉塞用埋込栓の左側面図および後方から見た斜視図である。
【図6】図4、5に示す第2の実施形態の孔閉塞用埋込栓の使用状態を示す断面図である。
【図7】(a)、(b)、(c)はそれぞれ本発明の第3の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓の斜視図、断面図および底面図である。
【図8】(a)、(b)はそれぞれ図7(a)、(b)、(c)に示す第3の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓の膨張圧縮状態を示す斜視図および正面図である。
【図9】図7、8に示す第3の実施形態の孔閉塞用埋込栓の使用状態を示す断面図である。
【図10】(a)、(b)はそれぞれ本発明の第4の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓の斜視図および正面図である。
【図11】(a)、(b)はそれぞれ図10に示した孔閉塞用埋込栓の断面図および底面図である。
【図12】図10、11に示す第4の実施形態の孔閉塞用埋込栓の使用状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る孔閉塞用埋込栓の斜視図である。
【図14】図13に示した孔閉塞用埋込栓を構成する締付用平板部材の断面図である。
【図15】図13に示した孔閉塞用埋込栓を構成する締付用平板部材の裏面図である。
【図16】図13に示す第5の実施形態の孔閉塞用埋込栓の使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0112】
100、200、300、400、500 孔閉塞用埋込栓
101、201、301、401、501 埋栓部材
101c、201c、301c、401c 小径の穴
103、203、503 ねじ部材
103a、203a 雄ねじ部
105、205、305、405 座金部材
107、207、307、407、507 締付用平板部材
107a、207a、307a、507a ねじ穴
107b、207b、307b、309b、407b、409b、507b 掛止部
407c、409c、507c 平板部材膨出部
507d 通線取り付け部
303、403 六角穴付きボルト
303a、403a 雄ねじ部
309、409、509 別の締付用平板部材
403d ボルト軸部
407c、507c 平板部材膨出部
409c、509c 平板部材膨出部
411、511 ナット部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に設けられた孔に挿入され、当該孔を閉塞する孔閉塞用埋込栓であって、
孔閉塞用埋込栓が孔に挿入される場合の挿入方向に圧縮されたとき、該挿入方向に直交する方向に膨張する弾性体からなる埋栓部材と、
該埋栓部材を前記挿入方向に貫通するように埋栓部材に形成された小径の穴と、
前記埋栓部材の挿入方向における第1の端面に密接して配設され、埋栓部材を貫通する小径の穴に該当する部分に小径の穴が形成された座金部材と、
前記埋栓部材を座金部材との間で締め付けるべく埋栓部材の挿入方向における前記第1の端面と反対の第2の端面に密接して配設され、埋栓部材を貫通する小径の穴に該当する部分に小径のねじ穴が形成され、面積が埋栓部材の第2の端面の面積よりも小さい締付用平板部材と、
前記座金部材の小径の穴から埋栓部材の小径の穴を貫通し、前記締付用平板部材のねじ穴に螺合するねじ部材であって、該ねじ部材を締め付けることにより埋栓部材が座金部材と締付用平板部材との間に挟まれて挿入方向に圧縮され、挿入方向に直交する方向に埋栓部材を膨張させるねじ部材と
を有することを特徴とする孔閉塞用埋込栓。
【請求項2】
前記埋栓部材の第1の端面に密接して前記座金部材と埋栓部材の第1の端面との間に配設され、埋栓部材を貫通する小径の穴に該当する部分に形成された小径のねじ穴を有し、面積が前記座金部材の面積よりも大きく、埋栓部材の第1の端面の面積よりも小さい別の締付用平板部材を有し、前記ねじ部材を締め付けたとき埋栓部材が座金部材を介して前記別の締付用平板部材と前記締付用平板部材との間に挟まれて挿入方向に圧縮され、挿入方向に直交する方向に埋栓部材を膨張させることを特徴とする請求項1記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項3】
前記締付用平板部材は、埋栓部材の第2の端面に密接した部分に形成され、前記ねじ部材が締め付けられたとき、埋栓部材に対して空回りしないで埋栓部材の第2の端面に食い入るように突出して形成された掛止部を有することを特徴とする請求項1または2記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項4】
前記別の締付用平板部材は、埋栓部材の第1の端面に密接した部分に形成され、前記ねじ部材が締め付けられたとき、埋栓部材に対して空回りしないで埋栓部材の第1の端面に食い入るように突出して形成された掛止部を有することを特徴とする請求項2または3に記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項5】
前記締付用平板部材は、埋栓部材の第2の端面に密接する面と反対側の面に前記小径のねじ穴を中心に中央部が円弧状に膨出した平板部材膨出部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項6】
前記別の締付用平板部材は、埋栓部材の端面に密接する面と反対側の面に前記小径の穴を中心に中央部が円弧状に膨出した平板部材膨出部が形成されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項7】
前記締付用平板部材は、前記平板部材膨出部の円弧状の頂部から締付用平板部材内に向けて埋め込まれたナット部材を有し、このナット部材のねじ穴には、埋栓部材の小径の穴を貫通したねじ部材の先端が螺合するようになっていることを特徴とする請求項5または6記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項8】
前記ねじ部材は、ねじ穴に螺合する先端寄りの部分のみに雄ねじ部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項9】
前記ねじ部材は、六角穴付きボルトまたはプラスねじであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項10】
前記埋栓部材は、天然ゴム、合成ゴム、またはそれらの混合物で形成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項11】
前記締付用平板部材は、プラスチックで形成されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項12】
前記別の締付用平板部材は、プラスチックで形成されることを特徴とする請求項2乃至11のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項13】
前記埋栓部材は、第1の端面の面積が第2の端面の面積よりも大きい切頭錐体であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項14】
前記埋栓部材は、第1の端面側から第2の端面側までの断面が同じ筒体であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項15】
前記埋栓部材は、前記挿入方向に直交する断面の形状が構造体に設けられた孔の形状と相似形であり、該断面の面積は、前記孔に対して圧入により挿入し得る程度に孔の断面積よりも若干大きいことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項16】
前記埋栓部材は、構造体に設けられた孔の断面積および形状に応じた種類設けられることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓。
【請求項17】
請求項1に記載の孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法であって、
構造体に設けられた孔に孔閉塞用埋込栓の埋栓部材が孔を貫通しない位置まで埋栓部材を第2の端面側から圧入する工程と、
前記ねじ部材を締め付けて、埋栓部材を座金部材と締付用平板部材との間で挿入方向に圧縮し、埋栓部材を挿入方向に直交する方向に膨張させて前記孔を閉塞する工程と
を有することを特徴とする孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法。
【請求項18】
請求項2乃至16のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法であって、
構造体に設けられた孔に孔閉塞用埋込栓の埋栓部材が孔を貫通しない位置まで埋栓部材を第2の端面側から圧入する工程と、
前記ねじ部材を締め付けて、埋栓部材を別の締付用平板部材と締付用平板部材との間で挿入方向に圧縮し、埋栓部材を挿入方向に直交する方向に膨張させて前記孔を閉塞する工程と
を有することを特徴とする孔閉塞用埋込栓を用いた孔閉塞方法。
【請求項19】
前記締付用平板部材は、線材の取り付けを容易にする通線取り付け部を有することを特徴とする請求項1、3、5、7、11のいずれかに記載の孔閉塞用埋込栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−299746(P2009−299746A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153470(P2008−153470)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(504239984)
【出願人】(506385667)通信土木コンサルタント株式会社 (10)
【Fターム(参考)】