説明

孔開きヘッドレスト

【課題】 複雑な貫通孔を有する孔開きヘッドレストを提供する。
【手段】 乗員の頭部が当接する前支持部2と、この前支持部2に一体に結合する後支持部1とから構成し、
前記後支持部1はフレーム30周りに一体成形し前後方向に貫通した貫通孔H、Hを装飾孔部としてその内部域に有する正面略U形状の軟質樹脂成形品であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用シートに備える孔開きヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
中央部に前後方向に貫通する貫通孔を有するヘッドレストには袋状に縫製したトリムカバー内に芯材を架設したフレームを挿入後、カバー内にパッド成形用の発泡液を注入して、トリムカバーと一体にパッドを発泡成形しているもの(例えば、特開2001−314271号公報)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−314271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、従来品は、例えば、貫通孔を上下に設けた孔明きヘッドレストなど、貫通孔の形状が複雑のものには、全く製造できない。
また、ヘッドレストの外面全体が同一のトリムカバーと、このトリムカバー内に発泡成形された均一のクッション性を有するパッドとから構成されている。
そのため、ヘッドレスト全体の外観着色が一色であり、またヘッドレスト全体の硬度
(クッション性)が一様である。
従って、ヘッドレストの外観品質が悪く、また、例えば、乗員の頭部が当接部分のみの感触を良好にすることができない不具合があった。
【0005】
そこで、本発明は孔開きヘッドレストにおいて、前記貫通孔の形状についてその設計自由度を向上して外観品質を良好にし、また、感触などに優れたものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するための本請求項1の発明に係る孔開きヘッドレストは、前後方向に貫通孔を略中央に有する孔開きヘッドレストであって、
乗員の頭部が当接する前支持部と、この前支持部に一体に結合する後支持部とから構成し、
前記前支持部が、ステーと一体のフレーム周りに一体成形された、前後方向に貫通した前記貫通孔を装飾孔部としてその内部域に有する正面略逆U形状の軟質樹脂成形品としてなり、この前記後支持部の前面に、パッド材とカバー材との組み合わせによりなる弾性体を前記前支持部として一体的に結合してなることを特徴とする。
【0007】
この孔開きヘッドレストにおいては、後支持部がフレームと一体成形した軟質樹脂成形品であるため、貫通孔の形状如何に関係なくヘッドレストを提供できる。即ち、例えば、貫通孔を上下に設けたものなど、貫通孔の形状についての設計自由度があり、意匠的に優れたものができる。
【0008】
また、前記貫通孔が、左右間に架設された梁を複数本有してなることにより、孔明きヘッドレストの外観を向上させることができる。
【0009】
更に、前記前支持部は表面にトリムカバーを有する発泡体で、前記後支持部は外面にスキン層を有する軟質発泡体で形成するのが望ましい。このようにすることにより、後支持部の縫製が不要となり、前支持部の外観品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば、意匠的に優れた貫通孔を複数有するヘッドレストなど製造可能となる。又、前支持部と、後支持部をクッション性が異なるように形成することにより、乗員の頭部に感触が良く、また、乗員の頭部の支持性に優れたヘッドレストを提供できる。
【0011】
更に、前支持部と後支持部の外表面の着色を変えることができ、外観品質に優れたものを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るヘッドレストの斜視図である。
【図2】分解斜視図である。
【図3】図2のIII―III線断面図である。
【図4】図2のIV―IV線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る孔開きヘッドレストAの好適な一実施例を図面に基づいて説明する。
図中1は後支持部、2は後支持部1に一体に結合し乗員の頭部が当接する前支持部、H、Hは貫通孔を各々示す。
【0014】
後支持部1は外面にスキン層11を有する軟質樹脂成形品として成形され、内部にシートバック側に支持されるステー31、31と一体のフレーム30が一体成形されている。
【0015】
この後支持部1はモールド内にフレーム30をインサートして、例えばインテグラルスキン法などに発泡成形している。その際、装飾孔部として貫通孔H、Hを形成するように、正面略逆U形状の本体内に上、下二段状に架設された梁1A、1Bを設けている。
【0016】
以上の成形によって、外面にスキン層11を有する軟質発泡体10がフレーム30周りに一体に成形され、前記貫通孔H、Hを装飾孔部としてその内部域に有する正面略逆U形状の軟質樹脂成形品となる。
【0017】
図示する前記前支持部2は弾性体で、表皮材からなる袋状のカバー材21とこのカバー材21内に、パッド成形用成形液を注入して正面略逆U形状にパッド材20との組み合わせより成る。
【0018】
このパッド材20は前記軟質発泡体10に対して異硬度でも同一硬度のものでも良いが、好ましくは軟質発泡体10に対して、感触、クッション性などに優れたものにするのが望ましい。
【0019】
また、前記後支持部1を構成する軟質発泡体10はフレーム30に対する一体性に優れ、前支持部2に加わる衝撃を吸収するような発泡体で成形するのが好ましい。
なお、後支持部1は袋状に縫製したトリムカバー内にフレーム30をインサートした後、トリムカバー内に発泡液を注入してパッドを発泡成形するようにしても良い。
【0020】
そして、後支持部1と前支持部2の外面を構成するスキン層11、トリムカバー21の着色は同一でも良いが、好ましくは異色にして、ヘッドレストAの外観品質を向上するようにするのが良い。
【0021】
以上の後支持部1をインテグラルスキン法で成形することにより、貫通孔H、Hを有するヘッドレストAにおいて、内部にフレーム30を埋設してフレームを一体成形し易くなるし、また、装飾孔部により、ヘッドレストAの外観が一層向上する。
【0022】
以上のように、後支持部1と前支持部2とを別体に成形した後、この両者を一体に結合することにより、図1に示すヘッドレストAが形成される。
【0023】
なお、この両者を一体に結合する方法として、例えば接着、或いは、前支持部2を構成するトリムカバー21の端末を、後支持部に、ファスナーなどを結着することにより、前支持部2と後支持部を一体に結合するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1…後支持部、2…前支持部、30…フレーム、H…貫通孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に貫通孔を略中央に有する孔開きヘッドレストであって、
乗員の頭部が当接する前支持部と、この前支持部に一体に結合する後支持部とから構成し、
前記前支持部が、ステーと一体のフレーム周りに一体成形された、前後方向に貫通した前記貫通孔を装飾孔部としてその内部域に有する正面略逆U形状の軟質樹脂成形品としてなり、この前記後支持部の前面に、パッド材とカバー材との組み合わせによりなる弾性体を前記前支持部として一体的に結合してなる孔開きヘッドレスト。
【請求項2】
前記貫通孔が、左右間に架設された梁を複数本有してなる請求項1記載の孔開きヘッドレスト。
【請求項3】
前記前支持部は表面にトリムカバーを有する発泡体で、前記後支持部は外面にスキン層を有する軟質発泡体である請求項1、2記載の孔開きヘッドレスト。















【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate