説明

字幕検出装置、字幕検出方法、字幕検出プログラム、および記録媒体

【課題】番組放送の映像に含まれる速報字幕を検出すること。
【解決手段】字幕検出装置100は、受信部101と、検出部102と、出力部103と、を備える。受信部101は、番組放送を受信する。検出部102は、受信部101によって受信された番組放送の映像に含まれる速報字幕を検出する。出力部103は、検出部102によって速報字幕が検出された場合に、速報字幕が検出された番組放送、速報字幕が検出された旨の通知、および速報字幕の少なくともいずれかを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、番組放送の映像に含まれる速報字幕を検出する字幕検出装置、字幕検出方法、字幕検出プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報端末の中には、その情報端末の本来の機能に加えて、様々な情報を出力する機能を備えるものが存在する。たとえばカーナビゲーション装置は、目的地点までの経路案内をおこなう他に、テレビ放送などを受信して再生したり、CDやDVDに記録された映像や音声を再生する機能を備えている。
【0003】
また、地震や津波のような緊急の番組放送があった場合に、当該放送情報に緊急度を示す属性情報を付加することにより、情報端末側で緊急の当該番組放送の検出をおこなう技術が用いられている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−146377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の技術では番組放送毎に緊急度を示す属性情報を付加する必要があり、放送局側で手間がかかるという問題が一例として挙げられる。また、番組放送に属性情報を付加するので、通信資源の有効利用上好ましくないという問題が一例として挙げられる。また、属性情報の付加されていない番組放送は一切検出できず、このような番組放送をユーザが見逃してしまう可能性があるという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる字幕検出装置は、番組放送を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記番組放送の映像に含まれる速報字幕を検出する検出手段と、前記検出手段によって前記速報字幕が検出された場合に、前記速報字幕が検出された前記番組放送、前記速報字幕が検出された旨の通知、および当該速報字幕の少なくともいずれかを出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項4の発明にかかる字幕検出方法は、番組放送を受信する受信工程と、前記受信工程によって受信された前記番組放送の映像に含まれる速報字幕を検出する検出工程と、前記検出工程によって前記速報字幕が検出された場合に、前記速報字幕が検出された前記番組放送、前記速報字幕が検出された旨の通知、および当該速報字幕の少なくともいずれかを出力する出力工程と、を含んだことを特徴とする。
【0008】
また、請求項7に記載の字幕検出プログラムは、請求項4〜6のいずれか一つに記載の字幕検出方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項8に記載のコンピュータに読み取り可能な記録媒体は、請求項7に記載の字幕検出プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる字幕検出装置、字幕検出方法、字幕検出プログラム、および記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
(字幕検出装置の機能的構成)
まず、図1を用いて、本実施の形態にかかる字幕検出装置の機能的構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる字幕検出装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図1において、字幕検出装置100は、受信部101と、検出部102と、出力部103と、を含み構成されている。
【0012】
受信部101は、番組放送を受信する。ここでいう番組とは、たとえばテレビ放送番組などである。番組放送の映像には、速報字幕が含まれることがある。たとえば、地震や津波のような緊急ニュースがあった場合に、放送中の番組の映像の上部にこれらのニュースを伝える白文字の速報字幕が表示される。
【0013】
検出部102は、受信部101によって受信された番組放送の映像に含まれる速報字幕を検出する。速報字幕を検出するため、たとえば検出部102は、この映像の所定の領域を解析し、この領域に所定の白色部分が所定数以上存在するか否かの判断をおこなう。所定の領域とは、たとえばこの映像の上から4分の1程度の領域である。速報字幕はこの領域に表示される場合がほとんどを占めるからである。検出部102は、たとえばこの所定の領域から1若しくは複数ライン分の映像信号を取得して解析することで速報字幕を検出する。
【0014】
また、所定の白色部分とは、たとえば白信号(輝度が100%に近い信号)で幅が所定の距離以下のものである。速報字幕が表示されている部分から1若しくは複数ライン分の映像信号を取得すると、幅の狭い白信号が断続的に現れるからである。検出部102は、たとえばこの取得した1若しくは複数ライン分の映像信号に所定の距離以下の白信号が所定数以上(たとえば10個以上)含まれていた場合に、速報字幕が表示されたと判断する。
【0015】
出力部103は、検出部102によって速報字幕が検出された場合に、速報字幕が検出された番組放送、速報字幕が検出された旨の通知、および当該速報字幕の少なくともいずれかを出力する。番組放送を出力するとは、当該番組放送を図示しないユーザインターフェース部を介して再生することをいう。
【0016】
また、番組放送を出力する態様としては、ユーザインターフェース部で何も再生されていない状態から番組放送を再生したり、ユーザインターフェース部で他ソースが再生されている状態からソースを切り替えて番組放送を再生したり、ユーザインターフェース部で速報字幕が検出された番組放送とは異なるチャンネルの番組放送を再生していた場合に、この速報字幕が検出された番組放送のチャンネルに切り替えたりすることなどが挙げられる。
【0017】
速報字幕が検出された旨の通知とは、速報字幕が検出部102によって検出された旨を、ユーザインターフェース部を介してユーザに伝えることをいう。ユーザはこの通知を受けることにより、速報字幕が検出された番組放送を再生するか否かを任意に選択し、再生する場合には手動操作により速報字幕が検出された番組放送を再生することができる。
【0018】
ここで、ユーザインターフェース部は出力部103と一体的に構成してもよいし、出力部103とは別に構成してもよい。また、このユーザインターフェース部は、速報字幕検出が検出された番組放送あるいは速報字幕が検出された旨の通知を映像または音声の少なくともいずれかによって出力する。
【0019】
(字幕検出装置の処理の内容)
つぎに、図2を用いて、本実施の形態にかかる字幕検出装置の処理の内容について説明する。図2は、本実施の形態にかかる字幕検出装置の処理の内容の一例を示すフローチャートである。図2において、まず、受信部101が、番組放送を受信する(ステップS201)。ここでいう番組とは、たとえばテレビ放送番組などである。番組放送の映像には、速報字幕が含まれることがある。たとえば、地震や津波のような緊急ニュースがあった場合に、放送中の番組の映像の上部にこれらのニュースを伝える白文字の速報字幕が表示される。
【0020】
つぎに、検出部102が、受信部101によって受信された番組放送の映像に含まれる速報字幕を検出する(ステップS202)。速報字幕を検出するため、たとえば検出部102は、この映像の所定の領域を解析し、この領域に所定の白色部分が所定数以上存在するか否かの判断をおこなう。所定の領域とは、たとえばこの映像の上から4分の1程度の領域である。速報字幕はこの領域に表示される場合がほとんどを占めるからである。検出部102は、たとえばこの所定の領域から1若しくは複数ライン分の映像信号を取得して解析することで速報字幕を検出する。
【0021】
また、所定の白色部分とは、たとえば白信号(輝度が100%に近い信号)で幅が所定の距離以下のものをいう。速報字幕が表示されている部分から1若しくは複数ライン分の映像信号を取得すると、幅の狭い白信号が断続的に現れるからである。検出部102は、たとえばこの取得した1若しくは複数ライン分の映像信号に所定の距離以下の白信号が所定数以上(たとえば10個以上)含まれていた場合に、速報字幕が表示されたと判断する。
【0022】
ステップS202において、速報字幕を検出しなかった場合は速報字幕の検出を待つ(ステップS202:No)。一方、速報字幕を検出した場合(ステップS202:Yes)は、速報字幕が検出された番組放送、速報字幕が検出された旨の通知、および当該速報字幕の少なくともいずれかを出力し(ステップS203)、一連の処理を終了する。番組放送を出力するとは、当該番組放送を図示しないユーザインターフェース部を介して再生することをいう。
【0023】
また、番組放送を出力する態様としては、ユーザインターフェース部で何も再生されていない状態から番組放送を再生したり、ユーザインターフェース部で他ソースが再生されている状態からソースを切り替えて番組放送を再生したり、ユーザインターフェース部で速報字幕が検出された番組放送とは異なるチャンネルの番組放送を再生していた場合に、この速報字幕が検出された番組放送のチャンネルに切り替えたりすることなどが挙げられる。
【0024】
速報字幕が検出された旨の通知とは、速報字幕が検出部102によって検出された旨を、ユーザインターフェース部を介してユーザに伝えることをいう。ユーザはこの通知を受けることにより、速報字幕が検出された番組放送を再生するか否かを任意に選択し、再生する場合には手動操作により速報字幕が検出された番組放送を再生することができる。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態によれば字幕検出装置100は、番組放送で速報字幕が表示された場合に、当該番組放送を再生し、あるいは速報字幕があった旨を通知し、あるいは当該速報字幕を表示することができる。これにより、速報字幕が表示された番組放送を再生していなかったとしても、ユーザは当該速報字幕を見逃すことなく視聴することが可能となる。
【実施例】
【0026】
以下に、この実施の形態にかかる字幕検出装置を車載のナビゲーション装置に適用した場合を例示して説明する。
【0027】
(ナビゲーション装置の周辺機器構成)
まず、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置が搭載された車両内部について説明する。図3は、本実施例にかかるナビゲーション装置が搭載された車両の内部の一例を示す説明図である。
【0028】
図3において、車両内部は、運転席シート301と、助手席シート302と、後部座席シート303と、を有しており、運転席シート301と助手席シート302との周囲には、ナビゲーション装置300および音響装置304が設けられている。また、助手席シート302には、後部座席シート303の搭乗者に向けてナビゲーション装置300が設けられており、後部座席シート303の後方には図示しない音響装置が設けられている。また、ナビゲーション装置300には、表示部300aが設けられている。
【0029】
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
つぎに、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成について説明する。図4は、本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
図4において、ナビゲーション装置300は、車両などの移動体に搭載されており、CPU401と、ROM402と、RAM403と、磁気ディスクドライブ404と、磁気ディスク405と、光ディスクドライブ406と、光ディスク407と、音声I/F(インターフェース)408と、マイク409と、スピーカ410と、入力デバイス411と、映像I/F412と、ディスプレイ413と、カメラ414と、通信I/F415と、GPSユニット416と、各種センサ417と、を備えている。また、各構成部401〜417はバス420によってそれぞれ接続されている。
【0031】
まず、CPU401は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM402には、ブートプログラム、現在位置算出プログラム、経路探索プログラム、経路誘導プログラム、音声生成プログラム、地図情報表示プログラム、通信プログラム、データベース作成プログラム、データ解析プログラムなどのプログラムが記録されている。また、RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。
【0032】
ここで、現在位置算出プログラムは、たとえば、後述するGPSユニット416および各種センサ417の出力情報に基づいて、車両の現在位置(ナビゲーション装置300の現在位置)を算出させる。
【0033】
また、経路探索プログラムは、後述する光ディスク407に記録されている地図情報などを利用して、出発地点から目的地点までの最適な経路を探索させる。ここで、最適な経路とは、目的地点までの最短(あるいは最速)経路やユーザが指定した条件に最も合致する経路などである。経路探索プログラムを実行することによって探索された誘導経路は、CPU401を介して音声I/F408や映像I/F412へ出力される。
【0034】
また、経路誘導プログラムは、経路探索プログラムを実行することによって探索された誘導経路情報、現在位置算出プログラムを実行することによって算出された車両の現在位置情報、光ディスク407から読み出された地図情報に基づいて、リアルタイムな経路誘導情報の生成をおこなわせる。経路誘導プログラムを実行することによって生成された経路誘導情報は、CPU401を介して音声I/F408や映像I/F412へ出力される。
【0035】
また、音声生成プログラムは、パターンに対応したトーンと音声の情報を生成させる。すなわち、経路誘導プログラムを実行することによって生成された経路誘導情報に基づいて、案内ポイントに対応した仮想音源の設定と音声ガイダンス情報の生成をおこない、CPU401を介して音声I/F408へ出力する。
【0036】
また、地図情報表示プログラムは、映像I/F412によってディスプレイ413に表示する地図情報の表示形式を決定させ、決定された表示形式によって地図情報をディスプレイ413に表示させる。
【0037】
磁気ディスクドライブ404は、CPU401の制御にしたがって磁気ディスク405に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク405には、磁気ディスクドライブ404の制御で書き込まれたデータが記録される。磁気ディスク405としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0038】
光ディスクドライブ406は、CPU401の制御にしたがって光ディスクに対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク407は、光ディスクドライブ406の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク407は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱可能な記録媒体として、光ディスク407のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0039】
磁気ディスク405、光ディスク407に記録される情報の一例として、後述するカメラ414やマイク409で得られた車内外の映像や音声、後述するGPSユニット416、各種センサ417からの出力値などが挙げられる。これらの情報は、ナビゲーション装置300が有するドライブレコーダ機能によって記録され、事故発生時の検証用資料などとして用いることができる。
【0040】
その他、磁気ディスク405、光ディスク407に記録される情報の他の一例として、経路探索・経路誘導などに用いる地図情報が挙げられる。地図情報は、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)を表す背景データと、道路の形状を表す道路形状データとを有しており、ディスプレイ413の表示画面において2次元または3次元に描画される。
【0041】
道路形状データは、さらに交通条件データを有する。交通条件データには、たとえば、各ノードについて、信号や横断歩道などの有無、高速道路の出入口やジャンクションの有無、各リンクについての長さ(距離)、道幅、進行方向、道路種別(高速道路、有料道路、一般道路)などの情報が含まれている。
【0042】
また、交通条件データには、過去の渋滞情報を、季節・曜日・大型連休・時刻などを基準に統計処理した過去渋滞情報を記憶している。ナビゲーション装置300は、後述する通信I/F415によって受信される道路交通情報によって現在発生している渋滞の情報を得るが、過去渋滞情報により、指定した時刻における渋滞状況の予想をおこなうことが可能となる。
【0043】
なお、本実施例では地図情報を磁気ディスク405、光ディスク407に記録するようにしたが、これらに限るものではない。地図情報は、ナビゲーション装置300のハードウェアと一体に設けられているものに限って記録されているものではなく、ナビゲーション装置300の外部に設けられていてもよい。その場合、ナビゲーション装置300は、たとえば、通信I/F415を通じて、ネットワークを介して地図情報を取得する。取得された地図情報はRAM403などに記憶される。
【0044】
また、音声I/F408は、音声入力用のマイク409および音声出力用のスピーカ410に接続される。マイク409に受音された音声は、音声I/F408内でA/D変換される。また、スピーカ410からは音声が出力される。なお、マイク409から入力された音声は、音声データとして磁気ディスク405あるいは光ディスク407に記録可能である。
【0045】
また、入力デバイス411は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。
【0046】
映像I/F412は、ディスプレイ413およびカメラ414と接続される。映像I/F412は、具体的には、たとえば、ディスプレイ413全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ413を表示制御する制御ICなどによって構成される。
【0047】
ディスプレイ413には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ413は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。ディスプレイ413は、たとえば、図3の表示部300aのような態様で設置される。また、ディスプレイ413は、車両に複数備えられていてもよく、たとえば、運転者に対するものと後部座席に着座する搭乗者に対するものなどである。
【0048】
カメラ414は、車両内部あるいは外部の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、たとえば、カメラ414によって車両内部の搭乗者の挙動を撮影し、撮影した映像を映像I/F412を介してCPU401あるいは磁気ディスク405や光ディスク407などの記録媒体に出力する。
【0049】
また、カメラ414によって車両外部の状況を撮影し、撮影した映像を映像I/F412を介して磁気ディスク405や光ディスク407などの記録媒体に出力する。CPU401に出力された映像は、たとえば、搭乗者の特定挙動の判断に用いられる。また、記録媒体に出力された映像は、ドライブレコーダ用画像として上書き記録や保存がおこなわれる。
【0050】
通信I/F415は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300とCPU401とのインターフェースとして機能する。通信I/F415は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU401とのインターフェースとしても機能する。また、通信I/F415は、テレビ放送やラジオ放送を受信する。
【0051】
通信網には、LAN、WAN、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信I/F415は、たとえば、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバ、無線ナビゲーション装置、およびその他のナビゲーション装置によって構成され、VICSセンターから配信される渋滞や交通規則などの道路交通情報を取得する。なお、VICSは登録商標である。
【0052】
GPSユニット416は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を算出する。GPSユニット416の出力情報は、後述する各種センサ316の出力値とともに、CPU401による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図情報上の1点を特定する情報である。
【0053】
ここで、GPSユニット416を用いた現在位置の特定方法について説明する。まず、GPSにおいては、地球の周りの6つの軌道面に4個ずつ、合計24個のGPS衛星が配置されている。これらの衛星は、毎日同じ時刻に同じ衛星が位置するように軌道が調整され、地球上のどの地点からも(ただし、見通しのよい場所である必要がある)常に5ないし6個の衛星が見える。
【0054】
GPS衛星には、セシウム(Cs)の原子時計(発信器)が搭載されており、各衛星の時刻と同期を受けつつ正確な時刻を刻んでいる。さらに、各衛星には予備としてセシウム発信器が1台、ルビジウム(Rb)発信器が2台搭載されている。これは、GPSによる位置計測には正確な時刻が不可欠なためである。
【0055】
GPS衛星からは1575.42MHz(L1)および1227.60MHz(L2)の2つの周波数の電波(以下、GPS信号という)が送信されている。この電波は疑似ランダム符号(Pseudo Random Noise Code)と呼ばれる乱数符号で変調されており、GPSユニット416などで受信した場合には、乱数表に相当するコードを参照し信号内容を解読する。
【0056】
GPSユニット416は、解読したコードと自装置内の時計によって、GPS衛星からGPS信号が発射された時刻と、自装置がGPS信号を受信した時刻との信号の時間差を計測する。そして、時間差に電波の伝搬速度を掛け合わせ、GPS衛星から自装置までの距離を算出する(距離=速度×時間)。なお、この時刻は協定世界時(UTC)に同期されている。
【0057】
GPS衛星からは、軌道の正確な情報が送られてくるため、GPS衛星の現在位置は正確に知ることができる。したがって、GPS衛星からの距離が分かれば、自装置の現在位置はGPS衛星を中心として、求めた距離を半径とする球面上のいずれかの地点となる。なお、GPS信号の符号列は約1msの間隔で繰り返し送られる。GPS信号の伝播速度は、400,000km/sであるため、最大測定距離は、400,000×0.001=400kmとなる。したがって、100km程度の精度においては、あらかじめ自装置の現在位置を知っておく必要がある。
【0058】
このように、各GPS衛星のうち3つの衛星からの距離を算出すれば、自装置の現在位置は3つの球面が交わる2点のうちいずれか一方となる。また、2点のうち一方は、予測できる地点からかけ離れているため、原理的には1点が決定されることとなる。しかしながら、実際には算出される現在位置の候補点(3つの面の交点)は2点にならない。これは、主にGPSユニット416に搭載された時計の精度が、GPS衛星に搭載された原子時計に比べて低いため、計算結果に誤差が生じてしまうためである。
【0059】
このため、GPSユニット416では、合計4つのGPS衛星からのGPS信号を受信する。これは、GPSユニット416側の時計の誤差分を別の未知数として、新たな情報(方程式)を導入することで解を得ると考えることができる。このように、GPSユニット416は、4つのGPS衛星からのGPS信号を受信することによって、1点に収束するほぼ正確な現在位置を求めることができる。
【0060】
各種センサ417は、車速センサや加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断することが可能な情報を出力する。各種センサ417の出力値は、CPU401による現在位置の算出や、速度や方位の変化量の測定などに用いられる。また、各種センサ417は、運転者による車両の各操作を検知するセンサなども含む。車両の各操作の検知は、たとえば、ハンドル操作やウインカーの入力やアクセルペダルの踏み込みやブレーキペダルの踏み込みなどを検知する構成としてもよい。また、各種センサ417の出力値を、ドライブレコーダ機能で記録するデータとしてもよい。
【0061】
さらに、各種センサ417は、搭乗者の心身状態を検知するものであってもよい。心身状態の検知は、たとえば、皮膚接地型センサによって、搭乗者の脈拍や血圧を検知してもよい。あるいは、その他人体センサで搭乗者の発汗を検知するものであってもよい。
【0062】
なお、図1に示した実施の形態にかかる字幕検出装置100の取得部101および受信部101は通信I/F415によって、検出部102はCPU401およびRAM403によって、出力部103は音声I/F408、スピーカ410、映像I/F412およびディスプレイ413によって、それぞれの機能を実現することができる。
【0063】
(ナビゲーション装置の字幕検出処理手順)
つぎに、本発明の実施例にかかるナビゲーション装置の字幕検出処理手順の一例について説明する。図5は、実施例にかかるナビゲーション装置の字幕検出処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、ここではナビゲーション装置によって目的地点までの経路案内をおこなっているときに、速報字幕が検出された場合を想定して説明する。
【0064】
図5のフローチャートにおいて、まず、通信I/F415が、番組放送を受信する(ステップS501)。ここでいう番組とは、たとえばテレビ放送番組などである。番組放送の映像には、速報字幕が含まれることがある。たとえば、地震や津波のような緊急ニュースがあった場合に、放送中の番組の映像の上部に白文字でこれらのニュースを伝える速報字幕が表示される。
【0065】
つぎに、受信された番組放送の映像に含まれる速報字幕が検出されたか否かを判断する(ステップS502)。速報字幕を検出するため、たとえばCPU401は、この映像の所定の領域を解析し、この領域に所定の白色部分が所定数以上存在するか否かの判断をおこなう。所定の領域とは、たとえばこの映像の上から4分の1程度の領域である。速報字幕はこの領域に表示される場合がほとんどを占めるからである。CPU401は、たとえばこの所定の領域から1若しくは複数ライン分の映像信号を取得して解析する。
【0066】
また、所定の白色部分とは、たとえば白信号(輝度が100%に近い信号)で幅が所定の距離以下のものをいう。速報字幕が表示されている部分から1若しくは複数ライン分の映像信号を取得すると、幅の狭い白信号が断続的に現れるからである。検出部102は、たとえばこの取得した1若しくは複数ライン分の映像信号に所定の距離以下の白信号が所定数以上(たとえば10個以上)含まれていた場合に、速報字幕が表示されたと判断する。
【0067】
ここで、番組放送の映像に含まれる速報字幕の検出について詳細に説明する。図6は、実施例にかかるナビゲーション装置が番組放送の映像に含まれる速報字幕を検出する場合の一例を示す説明図である。図6に示すように、ここでは、ナビゲーション装置300がサッカー番組の放送を受信し、当該サッカー番組を再生しているときに地震に関する速報字幕601が表示されたこととする。
【0068】
この場合、CPU300は、番組放送の映像の上述した領域の1ライン分の映像信号602を取得する。図7は、映像から取得した1ライン分の映像信号の信号レベルの一例を示す説明図である。図7に示すように、1ライン分の映像信号602の中に、所定の幅B以下の白信号(輝度が100%に近い信号)が所定の数C個以上(たとえば10個以上)存在した場合に、当該映像には速報字幕が表示されていると判断する。
【0069】
図5のフローチャートの説明に戻り、ステップS502において、速報字幕が検出されなかった場合は、速報字幕の検出を待つ(ステップS502:No)。一方、速報字幕が検出された場合(ステップS502:Yes)は、速報字幕が検出された番組放送を再生するか否かを判断する(ステップS503)。再生すると判断した場合(ステップS503:Yes)は、当該番組放送をディスプレイ413およびスピーカ410を介して再生し(ステップS504)、一連の処理を終了する。
【0070】
ここで、ナビゲーション装置300が目的地点までの経路案内をおこなっているときに速報字幕を検出し、速報字幕が検出された番組放送を再生する場合について説明する。図8は、実施例にかかるナビゲーション装置が速報字幕が検出された番組放送を再生している状況の一例を説明する説明図である。図8のように、ナビゲーション装置300は速報字幕を検出すると、表示部300aに速報字幕が検出された番組放送を再生する。
【0071】
図5のフローチャートの説明に戻り、ステップS503で、速報字幕が検出された番組放送を再生しないと判断した場合(ステップS503:No)は、速報字幕が検出された旨を通知するか否かを判断する(ステップS505)。通知すると判断した場合(ステップS505:Yes)は、当該通知を映像出力で出力するか否かを判断する(ステップS506)。映像出力で出力すると判断した場合(ステップ506:Yes)は、速報字幕が検出された旨をディスプレイ413を介してユーザに通知し(ステップS507)、一連の処理を終了する。
【0072】
ここで、ナビゲーション装置300が目的地点までの経路案内をおこなっているときに速報字幕を検出し、速報字幕が検出された旨をディスプレイ413を介してユーザに通知する場合について説明する。図9は、実施例にかかるナビゲーション装置が速報字幕が検出された旨をディスプレイを介してユーザに通知している状況の一例を説明する説明図である。図9のように、ナビゲーション装置300は速報字幕を検出すると、たとえば表示部300aに「速報有り」と表示する。
【0073】
図5のフローチャートの説明に戻り、ステップS506で、速報字幕が通知された旨の通知を映像出力で出力しないと判断した場合(ステップS506:No)は、当該通知をスピーカ410を介して音声出力でユーザに通知し(ステップS508)、一連の処理を終了する。
【0074】
ステップS505で速報字幕を検出した旨を通知しないと判断した場合(ステップS505:No)は、速報字幕が検出された番組放送の速報字幕部分を映像出力で出力するか否かを判断する(ステップS509)。映像出力で出力すると判断した場合(ステップS509:Yes)は、速報字幕が検出された番組放送の速報字幕部分をディスプレイ413を介して映像出力で出力し(ステップS510)、一連の処理を終了する。
【0075】
ここで、ナビゲーション装置300が目的地点までの経路案内をおこなっているときに速報字幕を検出し、速報字幕が検出された番組放送の速報字幕部分をディスプレイ413を介して映像出力で出力する場合について説明する。図10は、実施例にかかるナビゲーション装置が速報字幕が検出された番組放送の速報字幕部分をディスプレイを介して出力している状況の一例を示す説明図である。図10のように、ナビゲーション装置300は速報字幕を検出すると、表示部300aに表示している経路案内図に上書きして速報字幕が検出された番組放送の速報字幕部分のみを表示する。
【0076】
図5のフローチャートの説明に戻り、ステップS509で、速報字幕が検出された番組放送の速報字幕部分を映像出力で出力しないと判断した場合(ステップS509:No)は、当該字幕部分について既存の画像処理技術などを用いて文字認識をおこない、スピーカ410を介して音声で読み上げ(ステップS511)、一連の処理を終了する。
【0077】
ここで、ステップS503の速報字幕が検出された番組放送を再生するか否かの判断、ステップS505の速報字幕が検出された旨の通知をおこなうか否かをの判断、およびステップS506ならびにステップS509の映像出力で出力するか否かの判断はその都度おこなってもよいが、当該再生あるいは当該通知を自動的におこなうために、製品設計またはユーザ操作によってあらかじめ判断基準を設定しておくとよい。
【0078】
また、ここでは速報字幕が検出された番組放送の再生をスピーカ410およびディスプレイ413によっておこなうとしたが、スピーカ410による音声だけの再生あるいはディスプレイ413による映像だけの再生をおこなってもよい。また、速報字幕が検出された旨の通知は映像出力または音声出力でおこなうとしたが、これらを適宜組み合わせておこなってもよい。また、速報字幕が検出された番組放送の速報字幕部分の出力に関しても、当該部分をディスプレイ413に表示し、または当該部分の音声読み上げをおこなうとしたが、これらを適宜組み合わせておこなってもよい。
【0079】
また、ここではナビゲーション装置によって目的地点までの経路案内をおこなっているときに速報字幕が検出された場合を想定して説明したが、本発明は経路案内をおこなっているときだけでなく、速報字幕が検出された番組放送とは異なるチャンネルのテレビ番組放送あるいはラジオ番組放送を再生しているとき、ナビゲーション装置のその他の機能を実行しているとき、ディスプレイ413やスピーカ410から何も出力されていないときなどに速報字幕を検出した場合にも適用可能である。
【0080】
以上説明したように、字幕検出装置、字幕検出方法、字幕検出プログラム、および記録媒体によれば、番組放送で速報字幕が表示された場合に当該番組放送を再生していなかったとしても、ユーザは当該速報字幕を見逃すことなく視聴することが可能となる。
【0081】
なお、本実施の形態で説明した字幕検出方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本実施の形態にかかる字幕検出装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかる字幕検出装置の処理の内容の一例を示すフローチャートである。
【図3】本実施例にかかるナビゲーション装置が搭載された車両の内部の一例を示す説明図である。
【図4】本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】実施例にかかるナビゲーション装置の字幕検出処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】実施例にかかるナビゲーション装置が番組放送の映像に含まれる速報字幕を検出する場合の一例を示す説明図である。
【図7】映像から取得した1ライン分の映像信号の信号レベルの一例を示す説明図である。
【図8】実施例にかかるナビゲーション装置が速報字幕が検出された番組放送を再生している状況の一例を説明する説明図である。
【図9】実施例にかかるナビゲーション装置が速報字幕が検出された旨をディスプレイを介してユーザに通知している状況の一例を説明する説明図である。
【図10】実施例にかかるナビゲーション装置が速報字幕が検出された番組放送の速報字幕部分をディスプレイを介して出力している状況の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0083】
100 字幕検出装置
101 受信部
102 検出部
103 出力部
300 ナビゲーション装置
300a 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
番組放送を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記番組放送の映像に含まれる速報字幕を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記速報字幕が検出された場合に、前記速報字幕が検出された前記番組放送、前記速報字幕が検出された旨の通知、および当該速報字幕の少なくともいずれかを出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする字幕検出装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記映像の所定の領域を解析し、当該領域に所定の白色部分が所定数以上存在するか否かを判断することにより前記速報字幕を検出することを特徴とする請求項1に記載の字幕検出装置。
【請求項3】
前記出力手段は、映像出力および音声出力の少なくともいずれかによって出力することを特徴とする請求項1または2に記載の字幕検出装置。
【請求項4】
番組放送を受信する受信工程と、
前記受信工程によって受信された前記番組放送の映像に含まれる速報字幕を検出する検出工程と、
前記検出工程によって前記速報字幕が検出された場合に、前記速報字幕が検出された前記番組放送、前記速報字幕が検出された旨の通知、および当該速報字幕の少なくともいずれかを出力する出力工程と、
を含んだことを特徴とする字幕検出方法。
【請求項5】
前記検出工程では、前記映像の所定の領域を解析し、当該領域に所定の白色部分が所定数以上存在するか否かを判断することにより前記速報字幕を検出することを特徴とする請求項4に記載の字幕検出方法。
【請求項6】
前記出力工程では、映像出力および音声出力の少なくともいずれかによって出力することを特徴とする請求項4または5に記載の字幕検出方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一つに記載の字幕検出方法をコンピュータに実行させることを特徴とする字幕検出プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の字幕検出プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−259146(P2007−259146A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−81666(P2006−81666)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】