説明

学習機能付き流量計測装置および流量計測システム

【課題】ガス遮断条件が学習機能によって再設定されることを事前にガス事業者、ガス消費者に通報可能な学習機能付き流体流量装置を提案すること。
【解決手段】学習機能付きマイコンガスメーター8は、その学習制御部20において使用時間遮断設定値を増加する方向に変更する増加再学習が成立する前の段階において、当該増加再学習が開始されると、通信制御部21から「増加再学習予告」通報を通信部14、伝送装置9を介して中央監視装置2に送信する。この通報を受けた管理者(ガス事業者)は、ガス使用状態が異常であるか否かをガス消費者に対して確認することにより、事故を未然に防止することができる。また、ガス消費者は増加再学習の状態においてガス使用時間を抑制することで、増加再学習が成立して遮断条件の上限が緩和されてしまうことを回避することも可能であり、必要以上にガスが使用されることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス、水道水などの流体の実際の使用状態に応じて、流体供給を遮断する遮断条件を再設定する学習機能を備えた流量計測装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
流量計測装置、例えば住宅などにおけるガス使用量を計測するためのガスメーターには遮断弁が内蔵されており、ガス使用状態の異常(ガス漏れ、ガス使用器具の消し忘れ等の異常)が検出されると遮断弁を閉じてガスの供給を強制的に遮断している。このようなガスメーターとして、マイクロコンピュータによる自動学習機能を備えたマイコンガスメーターが知られている。自動学習機能(以下、単に「学習機能」と呼ぶ場合もある。)はガスの実際の使用状況に応じてガス供給の遮断条件を設定する初期設定機能、一旦設定された遮断条件を実際の使用状況の変化に応じて見直す再設定機能を備えている。遮断条件として、単位時間当たり(例えば1時間当たり)の合計ガス流量が異常に増加した場合にガス供給を遮断する合計流量遮断設定値、単位時間当たりの増加ガス流量が異常に増加した場合にガス供給を遮断する増加流量遮断設定値、および、ガスの継続使用時間が異常に長い場合にガス供給を遮断する使用時間遮断設定値が知られている。
【0003】
特許文献1には、ガス供給の遮断条件を実際のガス使用状況を学習して再設定するガスメーターが提案されている。この特許文献1においては、学習機能が起動して遮断条件(遮断設定値)が再設定されたときに、センター(ガス事業者)に向けて遮断条件が再設定された旨を通知するようになっている。
【0004】
ガスメーターにおける合計流量遮断、増加流量遮断、使用時間遮断の遮断条件として用いる遮断設定値は、住宅などのガス消費地において例えば14日間の実際のガス使用状況に基づき初期設定される。初期設定された遮断設定値を見直す再設定機能には、再学習により増加させる増加再学習機能および再学習により減少させる減少再学習機能が含まれている。増加再学習機能は、最初の学習によって遮断設定値が設定された後において、合計流量、増加流量、使用時間がそれぞれについて設定されている監視レベル(監視レベル1)を所定期間、例えば7日以内で2回超えた場合に遮断設定値を増加させる機能である。減少再学習機能は、逆に、合計流量、増加流量、使用時間がそれぞれについて設定されている監視レベル(監視レベル2)未満のガス使用状況が所定期間、例えば28日間連続した場合に遮断設定値を減少させる機能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−74532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、増加再学習機能が起動した状態は、たとえば、使用時間が監視レベルを超えて通常以上にガスを長時間使用している状態であり、ガスの消し忘れなどの可能性があるのでいち早くガス消費者に確認を促すことが望ましい。また、増加再学習が成立すると、合計流量遮断、増加流量遮断、使用時間遮断の遮断設定値が増加して使用ガス量の上限が緩和されるので、遮断設定値の再設定後においては使用ガス量が全体として増加する。よって、危険防止、ガスの節約のためには、増加再学習が成立する前にガス消費者に対してその旨を予告できることが望ましい。
【0007】
従来においては、センターの側においてガスメーターからの通報により、ガスメーターの状態変化の結果を知ることができる。しかし、近いうちに再学習が成立して遮断条件が再設定される可能性があることを事前に知ることができない。
【0008】
このため、ガスメーターが増加再学習の状態に入った時点で、ガス消費者および管理者(ガス事業者)に注意を喚起することができない。換言すると、増加再学習の成立を阻止して遮断条件の上限が緩和されないように、ガス消費者に対してガス消費行動を抑制するよう事前に注意を促すなどの対策を講ずることができない。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、ガスメーター、水道メーターなどの学習機能付き流量計測装置において、遮断条件が再設定されてしまう前の時点でガス事業者、ガス消費者に再設定が行われることを予告できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の学習機能付き流量計測装置は、
流体通路と、前記流体通路を遮断する遮断機構と、前記流体通路を流れる流体流量を計測する流量計測部と、外部機器との間で情報の送受を行うための通信部と、前記流量計測部の計測結果が予め設定されている遮断条件を満たすと前記遮断機構により前記流体通路を遮断する遮断機能、前記流量計測部の前記計測結果に基づき前記遮断条件を変更する学習機能、および、前記通信部を介して予め定めた通信先との間で情報の送受を行う通信機能を備えている制御部とを有しており、
前記遮断機能には、前記流体が連続して流れている流体使用時間が予め設定した使用時間遮断設定値を超えると前記遮断機構によって前記流体通路を遮断する第1遮断機能と、単位時間当たりの合計流量が予め設定した合計流量遮断設定値を超えると前記遮断機構によって前記流体通路を遮断する第2遮断機能と、単位時間当たりの増加流量が予め設定した増加流量遮断設定値を超えると前記遮断機構によって前記流体通路を遮断する第3遮断機能とが含まれており、
前記学習機能には、前記使用時間遮断設定値を増加する方向に再設定する第1増加再学習機能と、前記合計流量遮断設定値を増加する方向に再設定する第2増加再学習機能と、前記増加流量遮断設定値を増加する方向に再設定する第3増加再学習機能とが含まれており、
前記通信機能には第1予告通信機能、第2予告通信機能および第3予告通信機能のうち、少なくとも前記第1予告通信機能が含まれており、
前記第1増加再学習機能は、予め設定した第1増加再学習期間に亘って計測流量を監視し、前記計測流量が予め定めた流量区分内の流量の状態で予め定めた使用流量監視レベルを超える時間に亘って連続した回数がL回(L:2以上の整数)あった場合に、L回目の時点で、前記第1増加再学習期間における前記使用時間の最大値に基づき、前記使用時間遮断設定値を所定量だけ増加した値に再設定する機能であり、
前記第2増加再学習機能は、予め設定した第2増加再学習期間に亘って前記計測流量を監視し、前記計測流量が予め定めた合計流量監視レベルを超える回数がM回(M:2以上の整数)あった場合に、M回目の時点で、前記第2増加再学習期間における前記合計流量の最大値に基づき、前記合計流量遮断設定値を所定量だけ増加した値に再設定する機能であり、
前記第3増加再学習機能は、予め設定した第3増加再学習期間に亘って前記計測流量を監視し、前記計測流量が予め定めた増加流量監視レベルを超える回数がN回(N:2以上の整数)あった場合に、N回目の時点で、前記第3増加再学習期間における前記増加流量の最大値に基づき、前記増加流量遮断設定値を所定量だけ増加した値に再設定する機能であり、
前記第1予告通信機能は、前記第1増加再学習機能による前記第1増加再学習期間において、前記使用時間が前記使用時間監視レベルを超える1回目から(L−1)回目の各時点のうちの少なくとも1つの時点で、前記使用時間遮断設定値が再学習によって増加する可能性があることを予告するための第1増加再学習予告を前記通信部を介して前記通信先に送信する機能であり、
前記第2予告通信機能は、前記第2増加再学習機能による前記第2増加再学習期間において、前記合計流量が前記合計流量監視レベルを超える1回目から(M−1)回目の各時点のうちの少なくとも1つの時点で、前記合計流量遮断設定値が再学習によって増加する可能性があることを予告するための第2増加再学習予告を前記通信部を介して予め定めた通信先に送信する機能であり、
前記第3予告通信機能は、前記第3増加再学習機能による前記第3増加再学習期間において、前記増加流量が前記増加流量監視レベルを超える1回目から(N−1)回目の各時点のうちの少なくとも1つの時点で、前記増加流量遮断設定値が再学習によって増加する可能性があることを予告するための第3増加再学習予告を前記通信部を介して前記通信先に送信する機能であることを特徴としている。
【0011】
本発明の学習機能付き流量計測装置は、当該流量計測装置が増加再学習の状態に入った時点、あるいは、増加再学習が成立する前の時点において、当該増加再学習が成立して遮断条件が緩和される可能性があることを示す「増加再学習予告」を事前に外部に通報する。管理者(ガス事業者)およびガス消費者は、かかる予告通報を受け取ると、ガス使用状態が異常であるか否かを確認するので、事故を未然に防止することができる。また、ガス消費者は増加再学習の状態においてガス使用量を抑制することで、増加再学習が成立して遮断条件の上限が緩和されてしまうことを回避することも可能であり、これにより、必要以上のガスなどの流体の使用を節約することができる。
【0012】
ここで、本発明の流量計測装置において、
前記制御部は、前記計測流量に基づき前記流体通路の下流側に接続されている下流側流体経路における流体漏れの発生を検出する流体漏れ検出機能を備えており、
前記制御部の前記通信機能には、前記流体漏れの発生が検出されると、流体漏れ警報を、前記通信部を介して、前記流体通路を経由した後の流体が消費される流体消費地に設置されている流体漏れ警報器に送信する流体漏れ警報機能が含まれており、
前記第1〜第3増加再学習予告の前記通信先には、前記流体漏れ警報器と、前記流体消費地から離れた位置にある中央監視装置とが含まれていることを特徴としている。
【0013】
このように、流量計測装置において増加再学習が成立する可能性があることを、中央監視装置(管理者であるガス事業者)および、住宅などのガス消費地のガス消費者に通報することにより、ガスの消し忘れなどの流体の異常使用状態を速やかに解消でき、増加再学習の成立を阻止できる。
【0014】
また、本発明の流量計測装置において、
前記制御部の前記通信機能には、前記中央監視装置からの要求に応じて、再設定後の前記使用時間遮断設定値および再設定前の前記使用時間遮断設定値と、再設定後の前記合計流量遮断設定値および再設定前の前記合計流量遮断設定値と、再設定後の前記増加流量遮断設定値および再設定前の前記増加流量遮断設定値とを、前記中央監視装置に送信する通報機能が含まれていることが望ましい。
【0015】
さらに、前記制御部の前記通信機能には、前記使用時間遮断設定値、前記合計流量遮断設定値あるいは前記増加流量遮断設定値の再設定が行われると、前記中央監視装置に対して、再設定が行われた旨の通報を行う通報機能が含まれていることが望ましい。
【0016】
次に、前記流量計測装置から前記流体漏れ警報を受信すると音声メッセージによる警告を出力する音声警報機能付きの流体漏れ警報器を備えている場合には、当該流体漏れ警報器は、前記第1〜第3増加再学習予告を受信すると、前記音声警報機能を起動して、音声メッセージによる警告を出力することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用したガスメーターが備わっているガス検針システムを示す概略構成図である。
【図2】図1のガス検針システムのガスメーターおよびアンサ対応ガス漏れ警報器を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して本発明を適用した学習機能付き流量計測装置の実施の形態を説明する。以下の実施の形態は、本発明を学習機能付きマイコンガスメーターに適用した例であるが、本発明は学習機能付きの水道メーターにも同様に適用可能である。
【0019】
図1は本発明を適用した学習機能付きマイコンガスメーターを備えたガス検針システムを示す概略構成図である。ガス検針システム1は、ガス事業者などが運営するコンピュータを中心に構成されている中央監視装置2と、住宅などのガス消費場所3(1)、3(2)、3(3)・・・のそれぞれに設置されている消費地側装置4と、中央監視装置2および各消費地側装置4を結ぶインターネットなどの通信回線網5とから構成されている。各消費地側装置4は、不図示のガス供給元からガスストーブ6(1)、給湯器6(2)などのガス器具にガスを供給するガス供給管7と、ガス供給管7を介して供給されるガス流量を計測する学習機能付きマイコンガスメーター8(以下、単に「ガスメーター」と呼ぶ場合もある。)と、ガスメーター8との間で通信を行う伝送装置(NCU)9と、ガスメーター8からガス漏れ警報を受け取ると音声メッセージでガス漏れ警報を行うアンサ対応ガス漏れ警報器10を備えている。
【0020】
ガスメーター8では、ガス流量を計測し、これに基づき、単位時間毎、例えば1時間毎の合計ガス流量、増加ガス流量などを算出する。また、ガス消費量区分(13区分)毎に、連続したガス使用時間を算出する。ガスメーター8による検針結果は、定期的に、あるいは、中央監視装置2からの要求に応じて、伝送装置9に読み込まれ当該伝送装置9から通信回線網5を経由して中央監視装置2に送信される。中央監視装置2では受信した検針結果に基づき、例えば月毎の各ガス消費地3(1)、3(2)、3(3)・・・でのガス使用量、ガス料金の算出、ガス料金の請求処理などを行う。
【0021】
図2はガスメーター8およびアンサ対応ガス漏れ警報器10の機能ブロック図である。ガスメーター8は、ガス供給管7に介挿されたガス通路11、ガス通路11を遮断する遮断弁12aを備えた遮断機構12、ガス通路11を流れるガスの流量を計測する流量計測部13、外部機器(伝送装置9、アンサ対応ガス漏れ警報器10等)との間で情報の送受を行うための通信用端子14aを備えた通信部14、液晶表示器などの表示部15、リセットボタン等の各種の操作ボタン、スイッチを備えた入力部16などを備えている。また、ガスメーター8は、これらの各部分を駆動制御するために、CPU、ROM、RAMを中心に構成した制御部17を備えている。
【0022】
制御部17は、ROM内に格納されている制御プログラムを実行することにより、以下に述べる各制御部として機能する。すなわち、制御部17は、流量計測部13の計測値から単位時間当たりの合計流量、増加流量、各ガス消費量区分における使用時間などを算出する計測制御部18、流量計測部13の計測結果が予め設定されている遮断条件を満たすと遮断機構12によりガス通路11を遮断する遮断制御部19、流量計測部13の計測結果に基づき遮断条件の初期設定、再設定を行う学習制御部20、通信部14を介して予め定めた通信先(伝送装置9、アンサ対応ガス漏れ警報器10)との間で情報の送受を行う通信制御部21、表示部15を駆動して各種の情報を表示する表示制御部22、および、入力部16からの入力指令に基づき所定の処理動作を行う入力制御部23として機能する。
【0023】
ここで、遮断制御部19による遮断機能には、ガスが連続して流れている時間、すなわち、使用時間が予め設定した使用時間遮断設定値を超えると遮断機構12によってガス通路11を遮断する第1遮断機能19aと、単位時間当たり、例えば1時間当たりの合計流量が予め設定した合計流量遮断設定値を超えると遮断機構12によってガス通路11を遮断する第2遮断機能19bと、単位時間当たり、例えば1時間当たりの増加流量が予め設定した増加流量遮断設定値を超えると遮断機構12によってガス通路11を遮断する第3遮断機能19cとが含まれている。
【0024】
また、学習制御部20による学習機能には、使用時間遮断設定値を増加する方向に再設定する第1増加再学習機能20aと、合計流量遮断設定値を増加する方向に再設定する第2増加再学習機能20bと、増加流量遮断設定値を増加する方向に再設定する第3増加再学習機能20cとが含まれている。また、使用時間遮断設定値を減少する方向に再設定する第1減少再学習機能と、合計流量遮断設定値を減少する方向に再設定する第2減少再学習機能と、増加流量遮断設定値を減少する方向に再設定する第3減少再学習機能とが含まれている。
【0025】
第1増加再学習機能20aは、予め設定した第1増加再学習期間、例えば7日間に亘ってガス流量を監視し、ガス流量がガス消費量区分(13区分)における各区分内の流量の状態で予め定めた使用時間監視レベルを超える時間に亘って連続した場合の回数がL回(L:2以上の整数)あった場合に、L回目の時点で、第1増加再学習期間における使用時間の最大値に基づき使用時間遮断設定値を所定量だけ増加した値に再設定する機能である。
【0026】
第2増加再学習機能20bは、予め設定した第2増加再学習期間、例えば7日間に亘ってガス流量を監視し、ガス流量が予め定めた合計流量監視レベルを超える回数がM回(M:2以上の整数)あった場合に、M回目の時点で、第2増加再学習期間における合計流量の最大値に基づき、合計流量遮断設定値を所定量だけ増加した値に再設定する機能である。同様に、第3増加再学習機能20cは、予め設定した第3増加再学習期間、例えば7日間に亘ってガス流量を監視し、ガス流量が予め定めた増加流量監視レベルを超える回数がN回(N:2以上の整数)あった場合に、N回目の時点で、第3増加再学習期間における増加流量の最大値に基づき、増加流量遮断設定値を再設定する機能である。
【0027】
一方、通信制御部21の機能には、第1予告通信機能、第2予告通信機能および第3予告通信機能のうち、少なくとも第1予告通信機能が含まれている。第1予告通信機能は、第1増加再学習機能による第1増加再学習期間において、使用時間が使用時間監視レベルを超える1回目から(L−1)回目の各時点のうちの少なくとも1つの時点で、使用時間遮断設定値が再学習によって増加する可能性があることを予告するための第1増加再学習予告を通信部14を介して通信先の中央監視装置2およびアンサ対応ガス漏れ警報器10に送信する機能である。
【0028】
第2予告通信機能は、第2増加再学習機能による第2増加再学習期間において、合計流量が合計流量監視レベルを超える1回目から(M−1)回目の各時点のうちの少なくとも1つの時点で、合計流量遮断設定値が再学習によって増加する可能性があることを予告するための第2増加再学習予告を通信部14を介して通信先の中央監視装置2、アンサ対応ガス漏れ警報器10に送信する機能であり、第3予告通信機能は、第3増加再学習機能による第3増加再学習期間において、増加流量が増加流量監視レベルを超える1回目から(N−1)回目の各時点のうちの少なくとも1つの時点で、増加流量遮断設定値が再学習によって増加する可能性があることを予告するための第3増加再学習予告を通信部14を介して通信先の中央監視装置2、アンサ対応ガス漏れ警報器10に送信する機能である。
【0029】
また、本例の通信制御部21の機能には警報器アンサ出力機能が備わっている。この警報器アンサ出力機能は、ガスメーター8の遮断中、入力部16を介して遮断状態から通常状態に復帰させた場合における復帰安全確認中、および、使用時間遮断を行う時点の8分または5分前の「使用時間遮断予告」時に、アンサ対応ガス漏れ警報器10に対して信号を出力する機能である。
【0030】
アンサ対応ガス漏れ警報器10は、ガスメーター8から信号を受け取る通信部26、表示部27およびスピーカー28を介して警報の出力制御を行う出力制御部29を備えている。アンサ対応ガス漏れ警報器10は、ガスメーター8から使用時間遮断を行う時点の前の時点で供給される「使用時間遮断予告」信号を受け取ると、スピーカー28を駆動して、「ガスを使いすぎていませんか?」などの音声メッセージにより、使用時間遮断が行われることを予告する。また、上記の第1増加再学習予告を受信した場合においても、同様な音声メッセージを発生することで、ガス消費者がガスが長く使用されていることに気付くことができ、消し忘れや、ガス節減の迅速な対応を可能にしている。勿論、第2、第3増加再学習予告を受信した場合にも同様に音声メッセージを発生させるようにしてもよいことは勿論である。
【0031】
(学習機能および予告通信機能)
次に、学習制御部20の学習機能および通信制御部21の通信機能について更に詳しく説明する。
【0032】
(1)初期学習
まず、ガス消費地3(1)、3(2)、3(3)・・・にガスメーター8が設置された後においては、当該ガスメーター8の学習制御部20は初期学習を行い、各種の遮断設定値(使用時間遮断設定値、合計流量遮断設定値、増加流量遮断設定値)を、ガス消費者のガス消費パターンに基づき設定する。例えば、初期学習においては、学習開始スタンバイモードにおいて、21リットル/時間以上のガス流量を検出した後に、初期学習のタイマカウントをスタートする。初期学習が開始されると、その旨を示す通報が、学習制御部20から通信制御部21に送られ、通信制御部21は通信部14および伝送装置9を介して、中央監視装置2に向けて初期学習が開始された旨の通報を行う。
【0033】
初期学習期間である14日間を、前期3日間、後期11日間に区分し、遮断設定値をガス消費者の消費パターンに合わせて設定する。また、合計流量遮断区分が増加流量遮断区分以上になるように学習結果を比較し、初期学習終了時に補正を行う。初期学習期間中の遮断設定値の変化および判断条件は表1に示す通りである。使用時間遮断区分の制限時間の設定は、流量監視区分毎に個別で設定される。
【0034】
【表1】

【0035】
なお、遮断設定値を超えた流量が計測された場合には遮断機構12によりガスの供給を遮断する。遮断情報も通信制御部21によって中央監視装置2に通報される。また、ガス流量が無い場合、および、外部機器などにおいてガス供給が遮断中の場合であっても初期学習期間を計測するためのタイマカウントは継続する。さらに、学習期間中に遮断が発生した場合には、学習開始スタンバイモードに戻る。
【0036】
ここで、遮断設定値の設定は次のように行われる。まず、学習前期3日間終了後に、遮断設定値は、前期3日間に発生した最大値に「安全率2.6」を乗じた値に仮設定される。次に、学習14日間終了後に、遮断設定値は、前期3日間、後期11日間には発生した最大値に「安全率2.2」を乗じた値に本設定される。また、最大値とは、合計流量遮断の場合には合計流量の最大値であり、増加流量遮断の場合には個別流量の最大値であり、使用時間遮断の場合には、流量監視区分(ガス消費量13区分)毎の最長ガス使用時間であり、流量監視区分に流量が発生しない区分は「遮断設定値の下限値」に設定される。
【0037】
初期学習が終了すると、その旨の通報が通信制御部21から中央監視装置2に向けて送信される。
【0038】
(2)増加再学習
ガス消費者に合わせた遮断設定値が設定された後に、消費パターンが変動しガスの消費量が増加した時には、消費パターンを再学習して遮断設定値を再設定する増加再学習が行われる。増加再学習の流れを以下に示す。
【0039】
a)合計流量遮断設定値、増加流量遮断設定値の増加再学習
イ)ガス消費パターンの変化の有無を判断するために、設定されている遮断設定値の55%の点に「監視レベル1」を設ける。「監視レベル1」の55%は、比例制御方式等の燃焼機器でガス消費量が20%増加した時に増加再学習が作動するレベルとしてある。すなわち、1.2/2.2=0.545から55%としてある。
【0040】
ロ)監視レベル1を超え遮断設定値以下の流量が観測された時点で、この観測データに「安全率2.6」を乗じた値の流量を、仮の遮断設定値(「仮設定値」)に変更する。
【0041】
ハ)仮設定値の変更と同時に、「出現率観測期間1」(データ監視モード)を直ちに開始させる。ただし、観測データが設定されている遮断仮設定値を超えた場合はガス供給を遮断する。ここで、「出現率観測期間1」とは、ガスの消費パターンが変化したかどうかを判断する期間であり、「監視レベル1」を超えるデータが観測された時点から始まり、7日間に設定されている。この出現率観測期間1のカウントは、監視レベル1を超えた流量が観測された時点から開始する。
【0042】
ここで、学習制御部20は監視レベル1を超え遮断設定値以下の流量が観測された時点で、通信制御部21に対してその旨の信号を出力する。通信制御部21は、当該信号を受け取ると、「増加再学習予告」通報を表す信号を発生し、これを通信部14から伝送装置9に送信する。伝送装置9は受信した「増加再学習予告」通報をガス消費地情報と共に、中央監視装置2に転送する。中央監視装置2は、「増加再学習予告」通報を受け取ると、ガスの消し忘れの確認、必要以上のガス使用の節減などを促すメール通報を、ガス消費者によって予め登録されているメールアドレス宛てに送信する。
【0043】
ニ)出現率観測期間1の監視レベル1は変更前の状態を維持する。
【0044】
ホ)観測データに安全率2.6を乗じた値が、遮断設定値の上限値を超える場合は、上限値を「仮設定値」とする。
【0045】
ヘ)出現率観測期間1における各日において、7日間で2日(2回)、仮設定値以下で監視レベル1を超えるデータが観測された否かをチェックする。
【0046】
ト)観測データとして、出現率観測期間1に対して、観測された仮設定値以下の最大値を対応付けして保持する。
【0047】
チ)監視レベル1を超えるデータが次の条件で観測された時、すなわち、データ監視モードのカウントが開始した時の1回を含めて、1日1回以上、7日間で2回観測された時に、ガスの消費パターンが変化したと判断し、出現率観測期間1で観測された最大値に安全率2.2を乗じた遮断設定値に変更(本設定)する。ただし、観測データに安全率2.2を乗じた値が遮断設定値の上限値を超える場合は、最大遮断条件を遮断設定値とする。
【0048】
このようにして、遮断設定値が変更されると、その旨および増加再学習が終了した旨を表す通報が、通信制御部21から中央監視装置2に送信される。なお、本例では、7日間で2回条件が満たされた場合に本設定を行うようにしているが、3回以上の回数に亘って条件が満たされた場合に本設定を行うようにしてもよい。この場合には、本設定が行われる前において、条件を満たすいずれかの時点において、「増加再学習予告」通報を発生するようにすればよい。
【0049】
リ)遮断設定値が本設定されるタイミングは前項チ)の条件が成立した時点とする。
【0050】
ヌ)7日間で2日の条件が成立しなかった場合は、データ監視モードを停止し、遮断設定値を前の値に戻す。
【0051】
ル)遮断設定値を超えた流量が観測された時はガス供給を遮断する。
【0052】
b)使用時間遮断設定値の増加再学習
イ)ガス消費パターンの変化の有無を判断するため、流量監視区分毎に設定されている遮断設定値に、例えば次のように、監視レベル1を設ける。
流量監視区分2−1:設定されている遮断設定値の53%
流量監視区分2−2:設定されている遮断設定値の37%
流量監視区分2−3〜4:設定されている遮断設定値の55%
なお、流量監視区分2−1ではストーブ燃焼とコンロの燃焼時間を区別するために監視レベルを変更した。また、流量監視区分2−2〜4は、ストーブの燃焼時間を考慮して37%としてある。
【0053】
ロ)監視レベル1を超える遮断設定値以下の時間が観測された時点で、遮断設定値を次式によって規定される仮設定値に変更する。なお、仮設定値の下限値は表2の通りとされる。
[仮設定値]=[監視レベル1を超え遮断設定値以下の時間]×[安全率2.6]
【0054】
【表2】

【0055】
ここで、学習制御部20は監視レベル1を超え遮断設定値以下の時間が観測された時点で、通信制御部21に対してその旨の信号を出力する。通信制御部21は、当該信号を受け取ると、「増加再学習予告」通報を表す信号を発生し、これを通信部14から伝送装置9に送信する。伝送装置9は受信した「増加再学習予告」通報を当該ガス消費地情報と共に、中央監視装置2に転送する。中央監視装置2は、「増加再学習予告」通報を受け取ると、ガスの消し忘れの確認、必要以上のガス使用の節減などを促すメール通報を、ガス消費者によって予め登録されているメールアドレス宛てに送信する。
【0056】
ハ)仮設定値の変更と同時に、出現率観測期間1(データ監視モード)を直ちに開始させる。ただし、観測データが設定されている遮断仮設定値を超えた場合はガス供給を遮断する。ここで、「出現率観測期間1」とは、ガスの消費パターンが変化したかどうかを判断する期間であり、「監視レベル1」を超えるデータが観測された時点から始まり、7日間に設定されている。この出現率観測期間1のカウントは、監視レベル1を超えた流量が観測された時点から開始する。
【0057】
ニ)出現率観測期間1の監視レベル1は変更前の状態を維持する。
【0058】
ホ)観測データに安全率2.6を乗じた値が、遮断設定値の上限値を超える場合は、上限値を「仮設定値」とする。
【0059】
ヘ)出現率観測期間1の各日において、7日間で2日(2回)、仮設定値以下で監視レベル1を超えるデータが観測された否かをチェックする。
【0060】
ト)観測データとして、出現率観測期間1に対して、観測された仮設定値以下の最大値を対応付けして保持する。
【0061】
チ)監視レベル1を超えるデータが上記のヘ)の条件で観測された時、ガスの消費パターンが変化したと判断し、出現率観測期間1の期間中に観測された最大値に安全率2.2を乗じた遮断設定値に変更(本設定)する。ただし、観測データに安全率2.2を乗じた値が遮断設定値の上限値を超える場合は、最大遮断条件を遮断設定値とする。また、観測データに安全率2.2を乗じた値が仮設定に入る前の遮断設定値より小さい場合は、元の遮断設定値を保持する。
【0062】
リ)遮断設定値が本設定されるタイミングは出現率観測期間1が開始してから7日間以内で2回出現した後である。
【0063】
ヌ)7日間で2回、監視レベル1を超えるデータが発生しなかった場合は、仮設定を止めて前の値に戻す。
【0064】
このようにして、遮断設定値が変更されると、その旨および増加再学習が終了した旨を表す通報が、通信制御部21から中央監視装置2に送信される。なお、本例では、7日間で2回条件が満たされた場合に本設定を行うようにしているが、3回以上の回数に亘って条件が満たされた場合に本設定を行うようにしてもよい。この場合には、本設定が行われる前において、条件を満たすいずれかの時点において、「増加再学習予告」通報を発生するようにすればよい。
【0065】
ル)遮断設定値を超えた時間が観測された時はガス供給を遮断する。この場合にも、通信制御部21を介してガスを強制遮断した旨の通報が中央監視装置2に送信される。
【0066】
(3)減少再学習
ガス消費者に合わせた遮断設定値が設定された後に、消費パターンが変わり、ガスの消費量が減少した時には、消費パターンを再学習して遮断設定値を再設定する機能である。ガス消費パターンの変化の有無を判断するために、遮断設定値に所定の「係数」を乗じた所に「監視レベル2」を設ける。監視レベル2は次のように設定する。
合計流量遮断:設定されている遮断設定値の36%
増加流量遮断:設定されている遮断設定値の36%
使用時間遮断:流量監視区分の全区分において、設定されている遮断設定値の36%
(なお、監視レベル2の36%は、季節変動で未使用燃焼器具があり、ガス消費量が20%減少した時、減少再学習が作動するレベルとしてある。すなわち、
0.8/2.2=0.363であるので、36%としてある。
【0067】
a)遮断設定値が「本設定」された直後より「出現率観測期間2」のカウントを開始する。本設定されると、通信制御部21を介して減少再学習が開始された旨の通報が中央監視装置2に送信される。
【0068】
b)出現率観測期間2のカウントを開始した後、監視レベル2を超えたデータが観測された時点でタイマカウントをリセットする。再び監視レベル2を超えるデータが観測されなくなった時点からタイマカウントを開始する(すなわち、監視レベル2を超えるデータが無くなった時点から再計測を開始する。)。ここで、「出現率観測期間2」は、ガスの消費パターンが変化したか否かを判断する期間であり、監視レベル2以下のデータが観測された時点から開始し、28日間とする。
【0069】
c)出現率観測期間2のタイマカウントの開始点から、1日(24時間)ステップで、状態観測し、各ステップの1日中で21リットル/時間未満の流量しか観測されなかった日は、出現率観測期間の28日間のタイマカウントに加算しない。すなわち、計測期間の一時中断とみなす。
【0070】
d)出現率観測期間2のタイマカウントが28日間連続して観測されたとき、ガス消費量が減少したと判断して遮断設定値を変更する。遮断設定値の下げ幅としては、出現率観測期間中に発生した監視レベル2以下の流量または時間の観測データに安全率2.2を乗じた値に再設定する。
【0071】
e)計算した遮断設定値がその下限値を下回った場合は、下限値を遮断設定値として設定する。
【0072】
ここで、減少再学習が終了した旨、遮断設定値が変更された旨の通報が、通信制御部21から中央監視装置2の側に送信される。
【0073】
f)合計流量/増加流量の減少再学習は独立で適用する。ただし、合計流量遮断値が常に増加流量遮断設定値以上の値となるように学習結果を比較して合計流量遮断値を補正する。
【0074】
(アンサ対応ガス漏れ警報器への信号出力)
次に、ガスメーター8の制御部17は、先に述べたように、警報器アンサ出力機能を備えている。本例では、監視レベル1を超えた「増加再学習予告」通報時に、「使用時間遮断予告」の場合に出力される警告信号をアンサ対応ガス漏れ警報器10に1回出力する。この結果、ガス消費者は通常以上にガスを長く使用していることに気が付くことができ、ガスの消し忘れ防止や、ガス使用の節減が喚起される。
【0075】
(再学習成立時の前回設定値と新規設定値の読み出し機能)
一方、ガスメーター8においては、中央監視装置2の側から、増加再学習および減少再学習が成立したときの前回設定値と新規設定値の読み出しが可能となっている。従来においては、前回設定値と新規設定値は特殊電文(長電文)の形態でガスメーター8から読み出すことが可能であったが、特殊電文は中央監視装置2の側で読み込むことができない。本例では、中央監視装置2の側で読み込み可能な通報データにして設定値を通報するようにしている。この結果、中央監視装置2の側において設定値の変化から、ガス使用量の増減が分かり、ガス増減量から二酸化炭素削減量を算出し、ガス消費者に電子メールなどの通信手段によって連絡することが可能になる。
【符号の説明】
【0076】
1 ガス検針システム
2 中央監視装置
3(1)、3(2)、3(3) ガス消費場所
4 消費地側装置
5 通信回線網
6(1)、6(2) ガス器具
7 ガス供給管
8 ガスメーター
9 伝送装置
10 アンサ対応ガス漏れ警報器
11 ガス通路
12 遮断機構
12a 遮断弁
13 流量計測部
14 通信部
14a 通信用端子
15 表示部
16 入力部
17 制御部
18 計測制御部
19 遮断制御部
20 学習制御部
21 通信制御部
22 表示制御部
23 入力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路と、前記流体通路を遮断する遮断機構と、前記流体通路を流れる流体流量を計測する流量計測部と、外部機器との間で情報の送受を行うための通信部と、前記流量計測部の計測結果が予め設定されている遮断条件を満たすと前記遮断機構により前記流体通路を遮断する遮断機能、前記流量計測部の前記計測結果に基づき前記遮断条件を変更する学習機能、および、前記通信部を介して予め定めた通信先との間で情報の送受を行う通信機能を備えている制御部とを有しており、
前記遮断機能には、前記流体が連続して流れている流体使用時間が予め設定した使用時間遮断設定値を超えると前記遮断機構によって前記流体通路を遮断する第1遮断機能と、単位時間当たりの合計流量が予め設定した合計流量遮断設定値を超えると前記遮断機構によって前記流体通路を遮断する第2遮断機能と、単位時間当たりの増加流量が予め設定した増加流量遮断設定値を超えると前記遮断機構によって前記流体通路を遮断する第3遮断機能とが含まれており、
前記学習機能には、前記使用時間遮断設定値を増加する方向に再設定する第1増加再学習機能と、前記合計流量遮断設定値を増加する方向に再設定する第2増加再学習機能と、前記増加流量遮断設定値を増加する方向に再設定する第3増加再学習機能とが含まれており、
前記通信機能には第1予告通信機能、第2予告通信機能および第3予告通信機能のうち、少なくとも前記第1予告通信機能が含まれており、
前記第1増加再学習機能は、予め設定した第1増加再学習期間に亘って計測流量を監視し、前記計測流量が予め定めた流量区分内の流量の状態で予め定めた使用流量監視レベルを超える時間に亘って連続した回数がL回(L:2以上の整数)あった場合に、L回目の時点で、前記第1増加再学習期間における前記使用時間の最大値に基づき、前記使用時間遮断設定値を所定量だけ増加した値に再設定する機能であり、
前記第2増加再学習機能は、予め設定した第2増加再学習期間に亘って前記計測流量を監視し、前記計測流量が予め定めた合計流量監視レベルを超える回数がM回(M:2以上の整数)あった場合に、M回目の時点で、前記第2増加再学習期間における前記合計流量の最大値に基づき、前記合計流量遮断設定値を所定量だけ増加した値に再設定する機能であり、
前記第3増加再学習機能は、予め設定した第3増加再学習期間に亘って前記計測流量を監視し、前記計測流量が予め定めた増加流量監視レベルを超える回数がN回(N:2以上の整数)あった場合に、N回目の時点で、前記第3増加再学習期間における前記増加流量の最大値に基づき、前記増加流量遮断設定値を所定量だけ増加した値に再設定する機能であり、
前記第1予告通信機能は、前記第1増加再学習機能による前記第1増加再学習期間において、前記使用時間が前記使用時間監視レベルを超える1回目から(L−1)回目の各時点のうちの少なくとも1つの時点で、前記使用時間遮断設定値が再学習によって増加する可能性があることを予告するための第1増加再学習予告を前記通信部を介して前記通信先に送信する機能であり、
前記第2予告通信機能は、前記第2増加再学習機能による前記第2増加再学習期間において、前記合計流量が前記合計流量監視レベルを超える1回目から(M−1)回目の各時点のうちの少なくとも1つの時点で、前記合計流量遮断設定値が再学習によって増加する可能性があることを予告するための第2増加再学習予告を前記通信部を介して予め定めた通信先に送信する機能であり、
前記第3予告通信機能は、前記第3増加再学習機能による前記第3増加再学習期間において、前記増加流量が前記増加流量監視レベルを超える1回目から(N−1)回目の各時点のうちの少なくとも1つの時点で、前記増加流量遮断設定値が再学習によって増加する可能性があることを予告するための第3増加再学習予告を前記通信部を介して前記通信先に送信する機能であることを特徴とする学習機能付き流量計測装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記計測流量に基づき前記流体通路の下流側に接続されている下流側流体経路における流体漏れの発生を検出する流体漏れ検出機能を備えており、
前記制御部の前記通信機能には、前記流体漏れの発生が検出されると、流体漏れ警報を、前記通信部を介して、前記流体通路を経由した後の流体が消費される流体消費地に設置されている流体漏れ警報器に送信する流体漏れ警報機能が含まれており、
前記第1〜第3増加再学習予告の前記通信先には、前記流体漏れ警報器と、前記流体消費地から離れた位置にある中央監視装置とが含まれていることを特徴とする学習機能付き流量計測装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記制御部の前記通信機能には、前記中央監視装置からの要求に応じて、再設定後の前記使用時間遮断設定値および再設定前の前記使用時間遮断設定値と、再設定後の前記合計流量遮断設定値および再設定前の前記合計流量遮断設定値と、再設定後の前記増加流量遮断設定値および再設定前の前記増加流量遮断設定値とを、前記中央監視装置に送信する通報機能が含まれていることを特徴とする学習機能付き流量計測装置。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記制御部の前記通信機能には、前記使用時間遮断設定値、前記合計流量遮断設定値あるいは前記増加流量遮断設定値の再設定が行われると、前記中央監視装置に対して、再設定が行われた旨の通報を行う通報機能が含まれていることを特徴とする学習機能付き流量計測装置。
【請求項5】
請求項2に記載の流量計測装置と、
前記流量計測装置から、前記流体漏れ警報、および、前記第1〜第3増加再学習予告のうちの少なくとも前記第1増加再学習予告が送信される流体漏れ警報器とを有し、
前記流体漏れ警報器は、前記第1〜第3増加再学習予告のうちの少なくとも前記第1増加再学習予告を受信した場合に音声メッセージによる警告を出力する音声警報機能を備えていることを特徴とする流量計測システム。

【図1】
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【図2】
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