説明

安全ネット用、特に落石または雪崩防止柵用のリングを製造する方法および安全ネット

【課題】製造が容易で、負荷にさらによく耐え、ワイヤの輪がリングとしてより強固に保持される安全ネットを製造する方法を提供する。
【解決手段】相互連結リング(1)からなる安全ネットを製造する方法。ワイヤ(2)がほぼ軸線方向に挿入され、いくつかの巻線を有するリング(1)へと曲げることによって成形される。供給される間、ワイヤ(2)は、各々に貫通孔(4’)が設けられ完全に閉じられた2つの部材(3、4)を通され、ほぼリング(1)になるように曲げられ、これらの部材(3、4)の貫通孔(4’)がほぼワイヤ(2)で充填されるまで各巻線がこれらの部材(3、4)に通される。このリング(1)は、よく荷重に耐え、同時に製造が容易であり、さらにワイヤ・ループがリング内で強固に一緒に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤまたはストランドが、ほぼその軸線方向に挿入され、曲げによっていくつかの巻線を有するリングへと形成される、安全ネット用、特に落石または雪崩防止柵用のリングを製造する方法および安全ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、落石または雪崩防止柵用の環状部材から作られた前述のタイプの安全ネットは、特許EP−B−0679457に開示されており、このような安全ネットを作るための方法と装置が説明されている。個々の環状部材は一本のワイヤからなり、このワイヤはいくつかのゆるい巻線へと形成され、その後いくつかのC形状のクランプが、リングの周囲で巻線を一緒に保持するように取り付けられ、閉じ部材によって変形させられる。リングの周囲には、このようなクランプが少なくとも3つ配置される。安全ネットに引張負荷がかかった場合、例えば一塊の落石が落下してきた場合、ネットの延びる限度いっぱいまで負荷がかかり、その結果クランプがはじけてリング部材がもはや一緒に保持できなくなることが起こる。一方、これらのクランプの耐食保護が、ゆがみ、クランプの端部の接合部分、または他の影響によって不適当となることも起こり得る。
【特許文献1】EP−B−0679457
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、安全ネットの製造が容易となり、負荷にさらによく耐え、ワイヤ・ループをリングとしてより確実に保持できるように安全ネットを製造することの問題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この問題は、本発明により、ワイヤまたはストランドが、少なくとも1つの部材を通されてほぼリングになるように曲げられ、その部材は、貫通孔を備え、完全に閉鎖され、前記部材の貫通孔がワイヤまたはストランドでほぼ充填されるまで、この部材中を各巻線ごとに通されることを特徴とする方法およびいくつかのゆるい巻線へと形成される少なくとも1つのワイヤまたはストランドを各々が有する相互連結リングを有し、巻線を一緒に半径方向に保持する少なくとも1つの手段を設け、その手段は、貫通孔を備え完全に閉じられた部材で形成され、この部材中を各巻線ごとにワイヤまたはストランドが通されることを特徴とする安全ネットによって解決される。
【0005】
本発明の環状部材のさらに好ましい実施態様は従属請求項の対象を形成する。
【0006】
巻線へと形成されるときにワイヤまたはストランドが通される貫通孔が設けられ、巻線の半径方向の密着のために完全に閉じられた少なくとも1つの部材の使用により、リングの製造が簡単になるだけでなく、動的な負荷の下で巻線のさらによい密着が保証される。また、個々の巻線はリングによって均等に負荷がかけられ、リングの全断面が丸いままであるという事実もある。驚くべきことに、結果として25%〜40%の引張り強度の分散が、ほんの数パーセントにまで減少することが分かった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、図面を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0008】
図1は、安全ネット用、特にいくつかのゆるい巻線に形成されたワイヤ2で形成された落石または雪崩防止柵用のリング1を示している。ワイヤ2は、高温亜鉛メッキまたは耐食加工されたロッド材あるいはステンレス・スチールからなる。このワイヤの太さは1〜6mmが好ましい。リング1は、通常、3〜20本の巻線を含んでいる。ワイヤの代わりに、巻かれたスチール・ワイヤのストランドを使用することもできる。
【0009】
ワイヤ2を所望の直径のリングへと成形するために、例えばEP−B−0679457に示され説明されているような曲げ装置が使用される。またこの特許明細書は、相互連結された環状部材から安全ネットがどのように製造されるかを網羅的に説明しており、そこでは1つの環状部材の巻線が少なくとも1つの予め製造された環状部材に通される。
【0010】
巻線を一緒に保持するために、本発明によれば、ワイヤ2を巻線へと形成させるので、それぞれに貫通孔4’が設けられて完全に取り囲む2つの部材3、4に通される。これは、部材3、4の各貫通孔4’がワイヤ2でほぼ充填されるまで行われる。
【0011】
ワイヤ2の端部2a、2bは、この部材4の両側で、リングとして形成された2つの部材3、4に隣接する領域にあることが望ましい。明らかに、2つよりも多くのこのような部材を巻線の周囲上に設けることもできるが、経験から2つの部材3、4だけで十分である。
【0012】
部材3、4は、好ましくはアルミニウムまたは精錬されたアルミニウム合金、銅、精錬された銅合金、あるいはスチールもしくは他の金属または合成させた材料からなる。
【0013】
図2によれば、リングの形態のこれらの部材3、4は、所定のワイヤ巻線数のワイヤ・コイルが部材に形成された貫通孔4’を充填するが、最後のワイヤ・ループを通すときに詰まりが生じないような内径を有する。必要ならば、リングが形成された後で、部材3、4をわずかにその半径方向に圧縮させてもよい。また、貫通孔4’を完全に充填するために、この部材3、4にインターライニングを使用することも可能である。その場合、これは部材の一体部分となる。
【0014】
図3は、例えばスロープ上に設置され、落石、木材またはそれと同様のもの、あるいは雪崩を安全に捕捉することを保証する安全ネット10の概略図である。本発明のリング1の一部のみが示された安全ネット10は、地面に据え付けられた対応する支持体11によってケーブル15を介して保持され、支持体11は保持ケーブル12によって固定される。保持ケーブル12には、当技術分野で知られている衝撃吸収緩衝部材13を結合させておくことが好ましい。各リング1は、4つの隣接するリング1’が周囲に巻かれることが想定されている。
【0015】
本発明は、提示した実施形態によって十分に説明されている。ワイヤを通す数、またリングの寸法が変更できることは明らかである。
【0016】
同様に、部材は、ワイヤ・ループ・パッケージを包囲する楕円、または異なる形状の円形部分であってもよい。また、リングの一方の側でのみこのような部材を使用するか、一方の側でそれを使用して他方の側でワイヤ・ループ結束材またはそれと同様のものを使用することも可能である。理論的には、ワイヤ・ループまたはストランド用のワイヤとして1つよりも多いワイヤを設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】4つの別のリングによって周囲が巻かれた、安全ネットの一部としての本発明のリングの平面図である。
【図2】図1からの1つのリングのみのII−IIの断面図である。
【図3】相互連結リングからなる安全ネットを示す概略図である。
【符号の説明】
【0018】
1 リング、2 ワイヤ、2a、2b 端部、3、4 部材、10 安全ネット、11 支持体、12 保持ケーブル、13 衝撃吸収緩衝部材、15 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤまたはストランド(2)が、ほぼその軸線方向に挿入され、曲げることによっていくつかの巻線を有するリング(1)へと形成される、安全ネット用、特に落石または雪崩防止柵用のリングを製造する方法であって、
挿入されるとき、前記ワイヤまたはストランド(2)が、少なくとも1つの部材(3、4)を通され、その部材(3、4)は、貫通孔(4’)を備え、完全に閉鎖され、ほぼリング(1)になるように曲げられ、前記部材(3、4)の貫通孔(4’)がワイヤまたはストランド(2)でほぼ充填されるまで、この部材中を各巻線ごとに通されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ワイヤまたはストランド(2)は、互いに一定の間隔に、好ましくは互いに反対側に配置される2つの部材(3、4)を通されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワイヤまたはストランド(2)は、少なくとも1つの部材(3、4)を通すとともに、製造される安全ネット(10)のすでに製造されたいくつかのリング(1’)を通されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの部材(3、4)は、ワイヤ(2)が完全に通された後で圧縮されることを特徴とする請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項5】
いくつかのゆるい巻線へと形成される少なくとも1つのワイヤまたはストランド(2)を各々が有する相互連結リング(1)を有し、前記巻線を一緒に半径方向に保持する少なくとも1つの手段を設けた、特に落石または雪崩防止柵用の安全ネットであって、前記手段は、貫通孔(4’)を備え完全に閉じられた部材(3、4)から形成され、この部材中を各巻線ごとに前記ワイヤ(2)またはストランドが通されることを特徴とする安全ネット。
【請求項6】
前記1つの部材(3、4)に隣接する領域内の前記ワイヤまたはストランド(2)の端部(2a、2b)が、この部材(4)の両側にあることを特徴とする請求項5に記載の安全ネット。
【請求項7】
リングまたは同様の形状の形態をした前記少なくとも1つの部材(3、4)は、アルミニウムまたは精錬されたアルミニウム合金から作られることを特徴とする請求項5または6に記載の安全ネット。
【請求項8】
前記少なくとも1つの部材(3、4)は、銅、精錬された銅合金、あるいは別の金属または合成させた材料から作られることを特徴とする請求項5または6に記載の安全ネット。
【請求項9】
前記少なくとも1つの部材(3、4)は、ワイヤ・コイルが所定のワイヤ巻線数で内側スペース(4’)をほぼ充填するような内径を有することを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の安全ネット。
【請求項10】
各リング(1)は、いくつか、好ましくは4つの隣接したリング(1’)によって周辺が取り囲まれることを特徴とする請求項5から9のいずれか一項に記載の安全ネット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate