安全採取アセンブリ
【課題】製造が簡便で、かつ操作が容易で、必要以上の廃棄スペースを占有せず、針先を安全に保護するとともに、針アセンブリに対して使用可能な針ホルダを提供する。
【解決手段】針ホルダは、血液採取チューブとの係合によって、針アセンブリに対し第1位置と第2位置との間を軸線方向へ変位する作動機構を有する針アセンブリに使用される。針ホルダは、針アセンブリに取り付けられる第1端と、内側開口部を有する第2端とを有する外装体を備えている。針ホルダは、さらに、第1待避位置と第2作動位置との間で作動機構を軸線方向へ変位させる変位機構を有し、外装体に対し摺動可能な内装体を備えている。内装体は、外装体に対し軸線方向に変位する筒体、あるいは、ユーザによって指操作可能なタブを有し、外装体に設けられた通路内を伸長するアーム部材であってもよい。
【解決手段】針ホルダは、血液採取チューブとの係合によって、針アセンブリに対し第1位置と第2位置との間を軸線方向へ変位する作動機構を有する針アセンブリに使用される。針ホルダは、針アセンブリに取り付けられる第1端と、内側開口部を有する第2端とを有する外装体を備えている。針ホルダは、さらに、第1待避位置と第2作動位置との間で作動機構を軸線方向へ変位させる変位機構を有し、外装体に対し摺動可能な内装体を備えている。内装体は、外装体に対し軸線方向に変位する筒体、あるいは、ユーザによって指操作可能なタブを有し、外装体に設けられた通路内を伸長するアーム部材であってもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に血液採取作業に使用される二重端部を備えた針アセンブリに使用されるホルダに関するものである。より詳しくは、本発明は、患者から血液を採取するための安全針に使用され、針の安全機構を作動させる機構を有する針ホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液採取針、流体処理針、及びこれらのアセンブリなど、穿刺部材を有する廃棄可能な医療用具は、一般的に、薬剤投与または流体採取などに使用される。現行の医療行為では、このようなシステムに使用される流体採取容器及び針アセンブリとして、安価で即座に廃棄可能なものが要求される。したがって、現行の血液採取システムでは、例えば、脱着及び廃棄可能な針及び流体採取チューブが取り付け可能な、耐久性ある再利用可能なホルダが使用されるのが一般的である。この種の血液採取システムは、使用前に組み立て、使用後に分解が可能である。したがって、これらの血液採取システムでは、比較的安価な針及び/または流体採取チューブを交換するという前提の下に、比較的高価なホルダが繰り返し使用されることとなる。これらの血液採取システムによれば、血液サンプルの採取に係るコストが低減されるのに加えて、危険な医療廃棄物の生成を最小限に抑えることができる。
【0003】
従来の血液採取システムの典型的な例として、二重端針を備えた針アセンブリと、真空採取チューブと、該針アセンブリと該採取チューブとを固定保持するホルダとを備えたものが挙げられる。二重端針を備えた針アセンブリ(以下、「カニューレ」と呼ぶことがある)には、内部を貫通する細孔が形成され、その中央領域近傍にハブが設けられている。真空流体採取チューブは、その一端に被穿孔ストッパを有する。この種の血液採取システムにおいて、ホルダは、その一端に針アセンブリを受け入れるためのハウジングを有するのが一般的である。また、ホルダの反対側の端部には、採取チューブを受け入れるための開口部を備えた中空体が設けられている。針の第1端によって患者の静脈を穿刺するように、針アセンブリはホルダの前方に延びた状態でホルダのハウジング内に確実に収納される。針の反対側の端部、すなわち、第2端は、ホルダの中空体内に延びている。血液採取システムが組み立てられると、針アセンブリは、ハウジング内に挿入され、採取チューブは、針の第2端が採取チューブの被穿孔ストッパを穿刺するまで、中空体の開口端内に挿入され、その結果、採取チューブの内部と、針アセンブリ内に延びる細孔との間の流体連通が可能となる。このような血液採取システムのひとつを使用して患者の血液サンプルを採取する場合、真空採取チューブをホルダの一端に部分的に挿入し、針の第1端を患者の静脈に穿刺した後、採取チューブをホルダ内に充分深く挿入することにより、血液が針アセンブリの細孔に、次いで、流体採取チューブ内に流れることとなる。血液サンプル採取後、採取された血液を分析するために採取チューブを外し、次いで、針アセンブリを外してこれを廃棄する。
【0004】
流体移送システムの中には、血液採取チューブが収納可能となるだけでなく、患者に投与すべき流体を保持する流体保持容器と互換性のあるホルダがある。このようなホルダを使用すれば、患者の血液サンプルを採取するだけでなく、流体の投与が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
偶発的な針の突き刺しによる傷の発生の危険性を抑えるためには、使用後の針先を保護するのが肝要である。血液採取の際の感染及び疾病に関しては、使用後の廃棄可能な針を包囲する方法及び装置の開発が重要であり、またそのような方法、装置の開発の要望は大きい。使用後の針先保護に関して多くの発明が行われてきた。例えば、米国特許第5,951、520号(Burzynski特許)には、棒あるいはプローブ状の鈍端(blunt)部材が、患者の皮膚組織を穿刺するのに適した穿刺端部を有する針状カニューレの孔に装着された、自己保護針が開示されている。装置の使用後の偶発的な針の突き刺しによる傷の発生を防ぐために、針を患者の皮膚組織に穿刺する場合、穿刺端部の後部に待避するように設けられた鈍端部材が、針状カニューレの穿刺端部を越えて延びるような構成を採ることによって、穿刺端部を効果的に保護し、これによって、偶発的な針の突き刺しの危険性を除去する、あるいは最小限に抑えるようにすることができる。
【0006】
米国特許第5,810,775号(Shaw特許)には、患者側に設けられた針アセンブリの静脈針が待避可能な流体採取アセンブリが開示されている。同特許には、さらに、ホルダのハウジングの開口端にヒンジ止めされたキャップが開示されている。血液サンプルを採取チューブに収めた後、採取チューブを取り外し、次いで、ヒンジ止めされたキャップでホルダの開口部を閉じる。すると、針が待避し、非患者側に設けられたその第2端へのアクセスが阻止される。しかしながら、ヒンジ止めされたキャップと待避機構を作動させるには、実質的にユーザの手動動作が必要であり、放血医療行為においては、この操作を片手で行うのが理想的ではあるが、実際は、片手では容易に行い得ない動作である。さらに、装置のサイズが比較的大きくなり、針の待避機構によって使用後の針先の待避動作が加速され、その結果、血液の飛散が生じ、医療従事者が血液に起因する病原体と接触する恐れが生じる。
【0007】
したがって、製造が簡便で、かつ操作が容易で、必要以上の廃棄スペースを占有せず、針先を安全に保護(safety blunting)するとともに、針アセンブリに対して使用可能な針ホルダの開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、針アセンブリに対し第1位置と第2位置との間で軸線方向へ変位する作動機構を有する針アセンブリと組み合わせて使用される針ホルダに関するものである。針ホルダには、針アセンブリに取り付けられる第1端と、内側開口部を有する第2端とを有する外装体が設けられている。針ホルダは、さらに、外装体に対して摺動可能に構成され、第1待避位置と第2作動位置との間で作動機構を軸線方向へ変位させる変位機構を備えた内装体を有している。
【0009】
内装体は外装体と同心状の筒体であるのが好ましい。筒体は、第1端と、これと反対側の第2端とを有し、第1端には、第1待避位置と第2作動位置との間で針アセンブリの作動機構を軸線方向へ変位させる変位機構が設けられている一方、第2端には、血液採取チューブを収納するための内側開口部が設けられている。また、内装体の筒体の第1端に、針アセンブリの穿刺端部を収納する開口部を設けてもよい。
【0010】
さらなる実施態様として、外装体にその軸線方向に延びる通路を設ける一方、内装体は、外装体の通路から突出するとともに、外装体に対して軸線方向に変位可能となるように、上記通路内に軸線方向へ摺動可能に配設されたアーム部材を備えていてもよい。このような構成によれば、アーム部材を軸線方向へ変位させることによって、変位機構が、第1待避位置と第2作動位置との間で作動機構を軸線方向へ変位させることが可能となる。第2作動位置から第1待避位置への作動機構が軸線方向へ変位するのを防止する係止機構をアーム部材に設けることが好ましい。また、アーム部材にタブを設け、ユーザがタブを指操作することによって、外装体に対し内装体を軸線方向へ変位させることができるような構成を採ってもよい。
【0011】
本発明の別の態様によれば、本発明は、針アセンブリと、針アセンブリに取り付けられた針ホルダとを備えた血液採取アセンブリに関するものである。すなわち、静脈穿刺端部と、非患者穿刺端部と、鈍端部を有する鈍端部材とを備えた安全針アセンブリを有する安全採取アセンブリにおいて、鈍端部材は、静脈穿刺端部が鈍端部を超えて延びる第1待避位置と、鈍端部が静脈穿刺端部を超えて延びる第2作動位置との間で、静脈穿刺端部に対して軸線方向に変位する。針アセンブリには針ホルダが取り付けられており、針ホルダには、針アセンブリに取り付けられる第1端と、内側開口部を有する第2端とを有する外装体が設けられている。針ホルダには、また、外装体内を摺動可能であり、静脈穿刺端部に対して鈍端部材を軸線方向へ変位させる鈍端部材と係合する係合機構を有する内装部材が設けられている。さらに、針アセンブリに、非患者穿刺端部に隣接する第2鈍端部を設ける一方、鈍端部に、第1鈍端部を構成する第1端と、これと反対側で、非患者穿刺端部を構成する第2端とを設けて、第1待避位置と第2作動位置との間で鈍端部材を静脈穿刺端部に対して軸線方向に変位させることによって、非患者穿刺端部が第2鈍端部を超えて延びる第1待避位置と、第2鈍端部が非患者穿刺端部を超えて延びる第2作動位置との間で、非患者穿刺端部が第2鈍端部に対して軸線方向に変位するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明の針ホルダによれば、外装体内に摺動自在に配設され、針アセンブリを第1待避位置と第2作動位置との間で変位可能な内装体を備えているため、当該内装体を外装体に対して相対変位させることにより、容易に針アセンブリに対する針先保護を実現することができる。
【0013】
また、上記のように針ホルダは、針アセンブリの針先保護を行うために、外装体と、内装体とを含む比較的に簡易的な構成とすることができるため、針ホルダの製造を簡便化することができる。
【0014】
さらに、上記針ホルダと針アセンブリとを着脱可能に構成することにより、使用後に針ホルダの取り外された針アセンブリのみを廃棄すればよく、廃棄スペースを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】血液サンプル採取のため待避位置にある本発明に係る二重鈍端針付き針アセンブリの斜視図である。
【図2】図1の二重鈍端針付き針アセンブリの断面図である。
【図3】作動位置にある図1の二重鈍端針付き針アセンブリの斜視図である。
【図4】図3に示す作動中の針アセンブリの断面図である。
【図5】針ホルダと真空採取チューブと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図6】針ホルダと真空採取チューブと併せて使用される作動位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図7】他の実施態様である針ホルダと併せて使用される本発明の針アセンブリの斜視図である。
【図8】図7の針ホルダと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図9】図7の針ホルダと併せて使用される作動位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図10】他の実施態様である針ホルダと併せて使用される本発明の針アセンブリの斜視図である。
【図11】図10の針ホルダと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面斜視図である。
【図12】更なる他の実施態様である針ホルダと併せて使用される本発明の針アセンブリの斜視図である。
【図13】図12の針ホルダと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図14】図12の針ホルダと併せて使用される作動位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図15】更なる他の実施態様である針ホルダと併せて使用される本発明の針アセンブリの斜視図である。
【図16】図15の針ホルダと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図17】図15の針ホルダと併せて使用される作動位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図18】更なる他の実施態様である針ホルダと併せて使用される本発明の針アセンブリの斜視図である。
【図19】図18の針ホルダのタブ機構を示す斜視図である。
【図20】図18の針ホルダと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図21】図18の針ホルダと併せて使用される作動位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は多くの異なる実施態様によって満足されるものである。本発明の好ましい実施態様は、図面及び本明細書に詳細に説明する通りであるが、本発明の開示内容は、本発明の原理の一例として考慮されるべきであり、例示した実施態様に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で、当業者がさまざまな他の実施態様に変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物によって評価されるものである。
【0017】
図面において、同じ参照符号は同じ部材を表すものであり。図1〜図4に、本発明にしたがった二重鈍端針付き針アセンブリ及びこれに関連した構成部材を示す。本発明の針アセンブリは、例えば、血液サンプルを採取するように、針ホルダと組み合わせて使用される二重端部を備えた針を有している。本発明は針アセンブリによって説明するが、後で詳述するとおり、針ホルダと組み合わせた針アセンブリを備えた安全装置付きアセンブリなどの針アセンブリをも包含するものである。
【0018】
本発明の針アセンブリ12を図1〜図4を参照して説明する。針アセンブリ12は、従来技術に示すとおり、別部材の針ホルダに取り付けられるカニューレアセンブリを構成している。針アセンブリ12には、針ホルダのねじ部と係合する取り付け用ねじ部14など、針ホルダを取り付けるための取り付け手段を設けてもよい。このような構成によれば、針アセンブリ12は、再使用可能なホルダと併せて使用される廃棄可能なユニットとして使用することができる。
【0019】
針アセンブリ12は、部分的に、針アセンブリ12を収納するための略筒状のハウジングを構成するハブアセンブリ20を備えている。ハブアセンブリ20は、その第1端から延びる第1外側カニューレ22と、第1外側カニューレ22の該端部に設けられた静脈穿刺端部24とを有する。ハブアセンブリ20は、さらに、第1端に対向する第2端から延びる第2外側カニューレ26と、第2外側カニューレ26の該端部に設けられた外側鈍端部28とを有する。中心細孔または内側ルーメン30は、ハブアセンブリ20内を、静脈穿刺端部24から外側鈍端部28まで延び、流体通路を構成している。内側ルーメン30は、後で詳述する通り、内側カニューレ50を摺動可能に収納するものである。外側鈍端部28は、通常の指圧力を付与しても人肌または他の生体の組織を容易に穿刺しない程度に、その先端部が鈍角に設定されている。静脈穿刺端部24は、例えば、血液採取作業など、患者の静脈への挿入に使用される。したがって、静脈穿刺端部24は、添付図面や公知技術に示す通り、テーパー状の尖った先端部を有し、静脈穿刺中、挿入を容易にし、また、患者への不快感を最小限に抑えるような形状にするのが望ましい。
【0020】
第1外側カニューレ22及び第2外側カニューレ26は、例えば、医療用接着剤などを使用して、ハブアセンブリ20に固着される個別の部材として設けるのが好ましい。第1外側カニューレ22は、口輪(ferrule)46内を通ってハブアセンブリ20に取り付けられる。口輪46は、第1外側カニューレ22に直接取り付けられ、ハブアセンブリ20の第1端部内に嵌入している。
【0021】
上述したとおり、ハブアセンブリ20は、その第2端部から延びる第2外側カニューレ26を備えている。図1に最も良く示すとおり、ハブアセンブリ20は、アーム部材32、34を有し、これらアーム部材は、針アセンブリ12の長さ方向、すなわち、軸線方向に延びている。アーム部材32、34は、ハブアセンブリ20の略筒状体の延長部を構成する個別の突起である。アーム部材32、34は、互いに別部材で構成されており、後で詳述するとおり、これらアーム部材によって駆動部材(carriage)70と内部係合する通路が形成される。
【0022】
ブリッジ部材42は、ハブアセンブリ20の第2端部においてアーム部材32、34間に延びている。このようなブリッジ部材42は、さらに、ハブアセンブリ20の略筒体を構成しており、第2外側カニューレ26をハブアセンブリ20に取り付けるための領域を構成している。特に第2外側カニューレ26は、内側ルーメン30内において、ブリッジ部材42が設けられた位置で、ハブアセンブリ20と固着しており、これによってハブアセンブリ20の延長部としての第2外側カニューレ26が形成されている。変形例として、ハブアセンブリ20にアーム部材32を設け、アーム部材34は省略してもよい。また、ハブアセンブリ20を複数の部材で構成してもよい。いずれの実施態様においても、装置の組み立ては容易である。
【0023】
針アセンブリ12には、さらに、内側カニューレ50が設けられている。内側カニューレ50は、ハブアセンブリ20の内側ルーメン30内で、これと同心状に延びている。内側カニューレ50には、第1端部52が設けられ、第1端部52には内側鈍端部54が設けられている。内側鈍端部54は、通常の指圧力を付与しても人肌または他の生体の組織を容易に穿刺しない程度にその先端部が鈍角に設定されている。内側カニューレ50には、さらに、第2端部56が設けられ、第2端部56の先端には非患者側穿刺端部58が設けられている。非患者穿刺端部58は、例えば、血液採取作業中、真空チューブを穿刺するためのものである。中心細孔あるいは内側ルーメン60は、内側鈍端部54から非患者穿刺端部58まで、内側カニューレ50内を延び、流体通路を構成している。
【0024】
図2に最も良く示すとおり、内側カニューレ50の第1端部52は、ハブアセンブリ20の第1外側カニューレ22に隣接しており、内側カニューレ50の第2端部56は、ハブアセンブリ20の第2外側カニューレ26に隣接している。内側カニューレ50は、内側鈍端部54が第1外側カニューレ22内を摺動し、非患者穿刺端部58が第2外側カニューレ26内を摺動するように、ハブアセンブリ20の内側ルーメン30内を軸線方向に摺動するように構成されている。第1外側カニューレ22の内径は、内側カニューレ50の第1端部52の外径と略同一に設定され、第2外側カニューレ26の内径は、内側カニューレ50の第2端部56の外径と略同一に設定されている。このような構成によれば、後で詳述するとおり、針アセンブリ12が図3、図4に示す作動位置にある時、静脈穿刺端部24が内側カニューレ50の第1端部52の外面に対し平らに配置され、非患者穿刺端部58が内側ルーメン30内において、第2外側カニューレ26の内面に抗して平らに配置されるように、内側カニューレ50の外径がハブアセンブリ20の内径と密着するように寸法設定された状態で、内側カニューレ50およびハブアセンブリ20が構成されている。
【0025】
ハブアセンブリ20の第1、第2外側カニューレ22,26と、内側カニューレ50とのかみ合い面を滑らかにすると同時に、気泡の発生を防止するために、これらかみ合い面を密閉するのが好ましい。具体的には、これらかみ合い面にワセリン(petroleum )など粘性を有する密閉可能な潤滑剤を塗布するのが好ましい。
【0026】
内側カニューレ50は、ハブアセンブリ20の内側ルーメン30内において、静脈穿刺端部24、非患者穿刺端部58が、それぞれ、内側鈍端部54、外側鈍端部28を越えて延びる第1待避位置と、内側鈍端部54、外側鈍端部28が、それぞれ、静脈穿刺端部24、非患者穿刺端部58を越えて伸びる第2作動位置との間を、軸線方向に移動するように構成されている。すなわち、内側カニューレ50を、ハブアセンブリ20の内側ルーメン30内、矢印100の方向に示す軸線方向に動かすことによって、内側カニューレ50の第1端部52は、第1外側カニューレ22に対して軸線方向に変位し、これによって、内側鈍端部54は、第1外側カニューレ22の静脈穿刺端部24を越えて延びることとなる。さらに、このように軸線方向へ変位することによって、内側カニューレ50の第2端部58は、第2外側カニューレ26に対して軸線方向に変位し、これによって、図3、図4に示すとおり、外側鈍端部28は、非患者穿刺端部58を越えて延びるように、第2外側カニューレ26内を摺動する。このような構成によって、静脈穿刺端部24及び非患者穿刺端部58は同時に保護(blunt)される。
【0027】
内側カニューレ50とハブアセンブリ20との摺動係合は、駆動部材(carriage)70によって行うことも可能である。駆動部材70は、内側カニューレ50と同心状であり、ハブアセンブリ20と摺動係合するためのものである。駆動部材70は、内側カニューレ50と一体に形成してもよいし、接着剤などを使用して、内側カニューレ50に固着するような別部材であってもよい。駆動部材70は、結節部材80に接合するために、その軸線方向に延びるアーム部材72,74を備えた略筒体によって構成される。駆動部材70のアーム部材72,74と、ハブアセンブリ20のアーム部材32,34における針アセンブリ12の側面形状は、略円筒状あるいは筒状になるように(その形状、構成については、当業者にとって自明である限り、他の形状、構成であってもよい)、アーム部材72,74は、ハブアセンブリ20のアーム部材32,34と摺動係合する。変形例として、駆動部材70にアーム部材72を設け、アーム部材74を省略してもよい。また、駆動部材70を複数の部材で構成してもよい。いずれの実施態様においても、装置の組み立ては容易である。
【0028】
駆動部材70の結節部材80には、組み立て時、ハブアセンブリ20の内側部分に位置決めされる前方部86が設けられている。駆動部材70の前方部86には、ハブアセンブリ20の肩部38と干渉係合するように、結節部材80の周辺に延びる係合面78が形成されている。このような干渉係合によって、組み立て後、駆動部材70、つまり、駆動部材70に取り付けられた内側カニューレ50がハブアセンブリ20から取外されることが防止される。また、結節部材80には、その周面に沿って延びるテーパー面82が形成されている。テーパー面82は、後で詳述するとおり、ハブアセンブリ20との干渉係合の役目を果たすものであり、そのような干渉係合の結果、外力が加わらない限り、ハブアセンブリ20に対する駆動部材70の軸線方向の位置ずれが防止される。
【0029】
さらに、結節部材80には、使用中に、血液採取チューブの上面と当接する後面88が設けられている。針アセンブリ12の使用及び操作に関して説明するとおり、後面88は、針アセンブリ12を作動させる機構として作用し、第1待避位置と第2作動位置との間でハブアセンブリ20に対し内側カニューレ50を軸線方向へ変位させる。
【0030】
内側カニューレ50とハブアセンブリ20は、第1待避位置から第2作動位置へと、あるいは、第2作動位置から第1待避位置へと、内側カニューレ50がハブアセンブリ20に対し変位するように、互いに軸線方向逆向きに変位可能に構成してもよい。しかしながら、内側カニューレ50は、内側カニューレ50を第1待避位置から第2作動位置の一方向へのみ、ハブアセンブリ20に対して軸線方向に変位するように構成されていることが好ましい。すなわち、針アセンブリ12が一旦作動すると、内側カニューレ50が第2作動位置から第1待避位置へと軸線方向に変位するのを防止する手段、例えば、係止機構を針アセンブリ12に設けるのが好ましい。この係止機構としては、例えば、第1待避位置から第2作動位置へと針アセンブリ12が作動した後、ハブアセンブリ20の肩部38と干渉係合するように、結節部材80の周面に延びる係合面84を結節部材80に設けてもよい。このような干渉係合によって、第1待避位置から第2作動位置へと変位した後、ハブアセンブリ20に対し駆動部材70が矢印100と逆方向へ向けて軸線方向に変位するのが防止される。
【0031】
また、針アセンブリ12には、ハブアセンブリ20内において、第1待避位置と第2伸長(作動)位置との間を変位する内側カニューレ50の動きを表示する表示手段を設けてもよい。このような表示手段として、ハブアセンブリ20内において、第1待避位置と第2伸長位置との間を変位する内側カニューレ50の動きを識別するための、可視、可聴および/または触知方式の表示装置が挙げられる。例えば、ハブアセンブリ20に、その本体を貫通する通路36を設けてもよい。通路36は、ハブアセンブリ20内に設けられ、針アセンブリ12の外部とつながる壁面まで延びている。駆動部材70には、ハブアセンブリ20の通路36内で、結節部材80の前方部86から延びるフィンガー部76が設けられている。ハブアセンブリ20に対し駆動部材70が軸線方向へ変位すると、フィンガー部76は、ハブアセンブリ20の通路36内を軸線方向に摺動する。図1〜図2に示した第1待避位置から図3〜図4に示した第2作動位置まで駆動部材70が軸線方向に変位すると、フィンガー部76は、通路36内、次いで、ハブアセンブリ20の壁面内を伸長し、その結果、針アセンブリ12が作動した、あるいは、保護された旨を表示することとなる。
【0032】
装置の操作使用中、このような表示装置がユーザに目視可能になるように、通路36は、ねじ部14など、針ホルダとの取り付け地点を越えた位置まで、ハブアセンブリ20内に延びている。さらに、フィンガー部76に、針アセンブリ12の作動を表示するための色コードあるいは舌部(verbiage)などの視覚識別部材を設けてもよい。
【0033】
また、ハブアセンブリ20に、その第1端部に設けられた肩部16などの針カバーを取り付ける取り付け手段を設けてもよい。肩部16は、針カバー(図示せず)との係合のために使用されるものであり、この針カバーは、針アセンブリ12を患者の静脈穿刺に使用する前に、第1外側カニューレ22の静脈穿刺端部24をカバーするものである。このような針カバーは、公知技術に示すように、剛性のポリマー材料で構成するのが好ましい。針カバーが肩部16と摩擦係合し、位置決めされるような形状に肩部16を構成するのが好ましい。このような構成によって、装置が組み立て、使用されるまで、第1外側カニューレ22と静脈穿刺端部24がカバーされ、保護される。
【0034】
また、針アセンブリ12と針ホルダを組み立てる前に、第2外側カニューレ26の非患者穿刺端部58をカバーする第2針カバー(図示せず)を針アセンブリ12に設けてもよい。このような第2針カバーは、剛性のポリマー材料で形成するのが好ましい。この第2針カバーは、例えば、ハブアセンブリ20回りに設けられた外ねじ部14と螺合させることによって針ホルダ12に取り付け可能である。公知技術に示すように、外ねじ部14から針カバーを外し、次いで、針ホルダの内ねじと外ねじ部14とを螺合させることによって、針ホルダと針アセンブリ12との組み立て前に、第2針カバーを針アセンブリ12から外すことができる。
【0035】
また、公知技術に示すとおり、第2外側カニューレ26と、内側カニューレ50の第2端部56回りに設けられ、非患者穿刺端部58を被覆するエラストマースリーブ90を針アセンブリ12に設けてもよい。エラストマースリーブ90はブリッジ部材42に接合される。これらの部材を接合する接合手段としては、スナップ係合部材、接着剤、あるいは他の類似手段などの干渉機構が挙げられる。
【0036】
さらに、本発明の他の実施態様として、図5、6に示すように、針ホルダ110と接続使用される針アセンブリ12を含む安全装置付きアセンブリが挙げられる。針ホルダ110は、公知技術に示したような、血液採取用2重端針に接続して使用される従来の針ホルダであってもよい。針ホルダ110は、例えば、第1端部114と第2端部118とを有する中空体112によって形成される。針ホルダ110の第1端部114には、その内部を貫通する開口部116が設けられ、第2端部118には、フランジ部122が設けられ、略開口端となっている。このような構成によって、針ホルダ110には、その内部を貫通する内側開口部120を有する中空体112が形成されている。内側開口部120は、公知技術に示すとおり、真空採血管などの、血液サンプル採取用チューブ130を収納するものである。
【0037】
第1端部114に設けられた内側開口部116内には、針アセンブリ12を針ホルダ110に取り付けるための取り付け手段が設けられている。このような取り付けは、例えば、スナップ係合、より好ましくは、針アセンブリ12の外ねじ14と、開口部116内に設けられた内ねじとの螺合によって行うのが好ましい。
【0038】
本発明の針アセンブリの操作及び使用について、図1〜図4に示す実施態様を参照して説明する。使用の際、針アセンブリ12には、第1外側カニューレ22を越えて延びる第1針カバー(図示せず)と、第2外側カニューレ26を越えて延びる第2針カバー(図示せず)が設けられている。血液採取作業を行うため針アセンブリを準備する際、第2針カバーを第2外側カニューレ25から外し、次いで、外ねじ14と針ホルダ110の開口部116内に設けられた内ねじとを螺合させるなどによって、針アセンブリ12を針ホルダ110に取り付ける。
【0039】
次いで、第1外側カニューレ22を越えて延びる第1針カバーを外して、公知の方法で静脈穿刺を行う。このような操作によって、静脈穿刺端部24は患者の静脈に挿入され、採取チューブ130の被穿孔閉塞部132が、第2外側カニューレ26回りに設けられたスリーブ90と接触するように、穿刺可能な閉塞部132を有する採取チューブ130が針ホルダ内に挿入される。採取チューブ130に僅かな押圧力を加えると、スリーブ90と接触している被穿孔閉塞部132によって、スリーブ90が変位し、その結果、非患者穿刺端部58はスリーブ90を、次いで、被穿孔閉塞部132を穿刺する。その結果、採取チューブ130の内側と、内側カニューレ50の内側ルーメン60との間は流体連通可能な状態となる。採取チューブの内側は負の圧力下にあるので、血液は、患者の静脈から、第1外側カニューレ22の内側ルーメン30内、内側カニューレ50の内側ルーメン60内を通過し、次いで採取チューブ130へと導出される。
【0040】
すべての所望の血液サンプル採取後、二重鈍端針付き針アセンブリの保護機能を作動する。針先保護(blunting)に先立って針による偶発的な突き刺しを防止するため、静脈穿刺動作が保持される間、すなわち、第1外側カニューレ22の静脈穿刺端部24が患者の静脈内に保持される間に二重鈍端針付き針アセンブリの保護機構を作動させるのが好ましい。針アセンブリ12の保護(blunting)は、駆動部材70の後面88に対し、矢印100方向に押圧力を加えることによって行われる。
【0041】
特に、サンプル採取の間、採取チューブ130の穿刺可能な閉塞部132の上面はホルダ内において駆動部材70の後面88と接触している。採取チューブ130に対して矢印100方向に外圧を加えると、後面88は矢印100方向に押される。このような力が加わると、ハブアセンブリ20と、結節部材80のテーパー面82との間に干渉係合が生じる。ハブアセンブリ20には、互いに相対する壁面に溝40が形成されているので、テーパー面82がハブアセンブリ20内を通過するにつれて、ハブアセンブリ20は径方向に変形する。その結果、駆動部材70はハブアセンブリ20に対して軸線方向に変位する。さらに、駆動部材70のアーム部材72,74は、ハブアセンブリ20のアーム部材32,34と内部係合するので、駆動部材70はハブアセンブリ20に対して軸線方向に摺動可能となる。
【0042】
駆動部材70は内側カニューレ50に取り付けられているので、ハブアセンブリ20に対して駆動部材70が軸線方向に変位することによって、内側カニューレ50はハブアセンブリ20に対して軸線方向へ変位する。さらに、第1外側カニューレ22と第2外側カニューレ26はハブアセンブリ20に取り付けられているので、ハブアセンブリ20に対する内側カニューレ50の軸線方向への変位によって、第1端部52と第2端部56は、それぞれ第1外側カニューレ22と第2外側カニューレ26に対して軸線方向に変位する。内側鈍端部54と外側鈍端部28は、それぞれ、内側穿刺端部24、非患者穿刺端部58の手前に位置決めされるので、第1外側カニューレ22、第2外側カニューレ26に対する第1端部52、第2端部56の軸線方向への変位によって、内側鈍端部54、外側鈍端部28は、それぞれ、静脈穿刺端部24、非患者穿刺端部58を越えて延びる位置まで軸線方向に変位する。さらに、内側カニューレ50が矢印100に示す軸線方向へ変位すると、内側鈍端部54は静脈穿刺端部24を越えて第1外側カニューレ22の端部から突出し、外側鈍端部28は、図3,図4に示すように、非患者穿刺端部58を越えて延びるように、第2外側カニューレ26内へ摺動する。すなわち、静脈穿刺端部24と非患者穿刺端部58の両方が同時に保護(blunt)される。その後、針アセンブリ10は患者の静脈から外され、適宜廃棄される。
【0043】
上述したとおり、本発明の安全装置付きアセンブリは、針ホルダ110と接続使用される針アセンブリ12を備えている。針ホルダ110は、血液採取用の従来の二重端針付きアセンブリと併せて使用される公知の標準針ホルダであってもよい。安全装置付きアセンブリは、本発明の針アセンブリ12のような、第1待避位置と第2作動位置、あるいは保護(blunt)位置との間を軸線方向に変位する保護部材などの作動機構を有する針アセンブリと接続可能に使用されるように設計された針ホルダを備えているのが望ましい。特に、ハブアセンブリ20の内側ルーメン30内で内側カニューレ50に対して軸線方向に変位する機構を針ホルダ110に設けるのが好ましい。
【0044】
例えば、図7〜図11に示すとおり、安全装置付きアセンブリは、針アセンブリ12を選択的に作動させるレバーを備えた針ホルダを含んでいてもよい。特に本実施形態では、図7〜図9に示すとおり、針ホルダ110aが設けられている。針ホルダ110aは、第1端部114aと第2端部118aとを有する略筒状の中空体112aを備えている。針ホルダ110aの第1端部114aには、内部を貫通する開口部116aが設けられ、第2端部118aには、フランジ部122aが設けられ、略開口端となっている。このような構成によって、内部を貫通する内側開口部120aを有する中空体112aを備えた針ホルダ110aが形成される。このような内側開口部120aには、公知技術に示すとおり、真空採取チューブなど、サンプル採取作業に使用される血液採血管130が収納される。
【0045】
第1端部114aに設けられた内側開口部116a内などに、針アセンブリ12を針ホルダ110aに取り付けるための取り付け手段が設けられている。このような取り付け作業は、例えば、スナップ係合、より好ましくは、針アセンブリ12の外ねじ14と、開口部116a内に設けられた内ねじとの螺合によって行うのが好ましい。
【0046】
さらに、針ホルダ110aには、中空体112aの一部に沿って延びるレバー140aが設けられている。レバー140aは、中空体112aの外側部分に沿って軸線方向に延びる略伸長部として設けられている。レバー140aは、その一端から延びる延長アーム部142aを有する。延長アーム部142aは、針ホルダ110aの中空体112aの壁から、針ホルダ110aの内側開口部120a内へ延設されている。延長アーム部142aには、被穿孔閉塞部132などの採取チューブ130の上面と干渉係合するための係合面148aが設けられている。
【0047】
レバー140aは、第1係止位置と第2解除位置との間を移動可能である。より詳しくは、レバー140aは、針ホルダ110aの中空体112aの外面が連続するように、針ホルダ110aの中空体112aの外面と面一になる第1位置に配設されている。レバー140aがこのような第1位置にあるとき、延長アーム部材142aは、内側開口部120a内に挿入された採取チューブ130の被穿孔閉塞部132と干渉あるいは係止係合するように、内側開口部120a内に延びている。レバー140aがこのような第1位置にあるとき、駆動部材70が軸線方向へ変位するのを妨げるように、採取チューブ130と駆動部材70との係合が阻止される結果、第1待避位置と第2作動位置との間でのハブアセンブリ20に対する内側カニューレ50の軸線方向への変位が防止されている。
【0048】
レバー140aは、針ホルダ110aの中空体112aの外面から突出する第2解除位置へ変位するために、矢印102a方向に移動可能である。レバー140aがこのような第2位置にあるとき、内側開口部120a内において、延長アーム部142aと採取チューブ130の被穿孔閉塞部132との干渉、すなわち、係止係合が解除される。言い換えれば、採取チューブ130は、駆動部材70と係合可能になる。針ホルダ110aの内側開口部120a内へとさらに採取チューブ130を押し進めるなど、採取チューブ130に外力を加えると、駆動部材70の後面88と被穿孔閉塞部132とが係合する。このような係合によって、駆動部材70はハブアセンブリ20に対して軸線方向に変位し、その結果、上述したとおり、内側カニューレ50は第1待避位置と第2作動位置との間でハブアセンブリ20に対して軸線方向に変位する。すなわち、レバー140aは、ハブアセンブリ20に対する内側カニューレ50の軸線方向への変位を防止する係止機構として作用し、その結果、所望の時間、針アセンブリ12の針先保護(blunt)が阻止される。
【0049】
第1係止位置と第2解除位置との間のレバー140aのシフト動作は、ヒンジ部146aによって行うようにしてもよい。ヒンジ部146aは、図7〜図9に示すとおり、針ホルダ110aの第1端部114aに設けられている。レバー140aは、ヒンジ部146aの取り付け位置に対応する、針ホルダ110aの中空体112aの所定位置に取り付けられた別個の部材としてもよい。しかしながら、レバー140aは、針ホルダ110aの中空体112aと一体形成するのが好ましい。例えば、レバー140aは、レバー140aと中空体112aがヒンジ部146aを介して連結されるように、中空体112aの切り欠き部材として形成してもよい。
【0050】
さらに、レバー140aにはタブ144aが設けられている。タブ144aは、第1係止位置と第2解除位置との間でレバー140aを移動させるためのものである。タブ144aは、中空体112aから、針ホルダ110aと針アセンブリ12との接続個所に隣接した位置まで延びており、針ホルダ110aの第1端部114aに隣接する位置に設けられている。このような構成によって、タブ144aを反らせるように矢印102aの方向に押圧力を付与することによって、タブ144aを作動させることができ、その結果、レバー140aは図9に示した第1係止位置と第2解除位置との間で作動可能となる。
【0051】
さらなる実施態様を図10〜図11に示す。この実施態様において、針ホルダ110bは、開口部116bが形成された第1端部114bと、フランジ部122bとその内部を貫通する内側開口部120bとが形成された第2端部118bとを有する中空体112bを備えている。針ホルダ110bには、図7〜図9に示した実施態様のレバー140aと同様に、一対のレバー150b、160bが設けられている。特に、第1レバー150bと第2レバー160bには、それぞれ、タブ154b、164b、延長アーム部152b、162b、及び係止面158b、168bが設けられている。第1レバーアーム150bと第2レバーアーム160bは、それぞれ、通路124b、126b内において、針ホルダ110bの中空体112bの両側面に沿って延びている。このような構成によって、第1レバー150b、第2レバー160bは、それぞれ、タブ158b、168bが針ホルダ110bの第2端部118bに隣接した位置に位置決めされた状態で、中空体112bから末広がりに延びている。
【0052】
矢印170b、172b方向に押圧力を加えて、タブ154b、164bを作動させることによって、第1レバー150b、第2レバー160bを第1係止位置と第2解除位置との間で移動させることができる。すなわち、外圧が加わるとタブ154b、164bが変形し、その結果、延長アーム部152b、162bは、それぞれ、矢印174b、176bの方向、外向きに反り返ることとなる。このような変形によって、第1レバー150b、第2レバー160bは、第1係止位置、第2解除位置の間を移動し、その結果、採取チューブ130を係止位置から解除することができる。すなわち、採取チューブ130を矢印178b方向で前方に移動させる結果、上述したとおり、穿刺可能な閉塞部132と駆動部材70とを係合させることによって、針アセンブリ12を作動させることができる。変形例として、針ホルダ160bにレバー150bを設け、レバー160bを省略してもよい。
【0053】
更なる実施態様として、内側ルーメン内において第1待避位置と第2作動位置との間で内側カニューレを軸線方向へ変位させるなど、針アセンブリの針先保護(blunt)を行う機構を針ホルダに設けてもよい。例えば、針ホルダに、針アセンブリの静脈穿刺端部を保護する内側カムアセンブリを有する回転機構を設けてもよい。このような機構は、内側カニューレを軸線方向へ変位させるように、駆動部材と係合するような構成とするのが好ましい。
【0054】
このような針ホルダの特に好ましい実施態様のいくつかを図12〜図21に例示する。図12〜図17に示した実施態様において、針ホルダには、上述したような針アセンブリ12などの針アセンブリを取り付けるための外装体180cが設けられている。外装体180cは、針アセンブリ12を取り付けるための第1端部182cと、開口端を有する第2端部184cとを備えており、外装体180c内には、第1端部182cから第2端部184cまで延びる内側スペース186cが形成されている。針ホルダ110cは、さらに、針アセンブリ12の駆動部材70と係合するために外装体180cの内側スペース186c内に延びる機構を有し、これによって、第1待避位置と第2作動位置との間を内側カニューレ50が軸線方向へ変位するようになっている。このような機構は、図12〜図14に示すように、第2端部184c内において、外装体180cの内側スペース186cに嵌入され、これと同心に配設された内装体190cによって実現してもよい。
【0055】
内装体190cは、外装体180cと摺動係合するように構成されている。内装体190cは、外装体180cの内側スペース186c内に延びる第1端部192cと、外装体180cの第2端部184cから突出する第2端部194cとを有する。内装体190cには、さらに、内側スペース196cが設けられ、これは、上述した血液サンプル採取用の真空採血管を収納するためのものである。
【0056】
上述した実施態様において、内装体190cを外装体180cに対して矢印200の方向に摺動可能となるように設計された構成によって針アセンブリ12の保護を行うことができる。このような摺動力が付与されると、内装体190cの第1端部192cは、駆動部材70の後面88と係合し、その結果、駆動部材70は、矢印200の方向に移動し、上述した針アセンブリ12の保護機構を作動させることができる。外装体180c内に対する内装体190cの摺動は、ユーザが矢印200の方向に内装体190cの第2端部194cに対し僅かな圧力を加えることによって容易に行うことができる。
【0057】
また、内装体190cの外面と外装体180cの内面に形成されたねじ部の螺合などによって、内装体180cと外装体180cを回転係合させることも可能である。すなわち、螺合しているねじ部を締めるなどによって、外装体180cに対し内装体190cを回転可能に取り付けることによって本発明の保護機構を作動させることができる。すなわち、矢印200の方向に外装体180cに対し内装体190cは締め付け螺合される。
【0058】
図12〜図14に明示するとおり、外装体180cは、その壁面を貫通する開口部188cを備えていてもよい。また、内装体190cに、フィンガー部198cなどの突起を設けてもよい。フィンガー部198cは、内装体190cが矢印200の方向に摺動するとき、外装体180cの開口部188cと係合するように構成されている。このようなフィンガー部198cと開口部188cとの係合によって、一旦、矢印200の方向に移動した内装体190cが外装体180cに対して逆方向に摺動するのを禁止する係止機構を有するホルダ100cが形成される。すなわち、内装体190cは外装体180cに対し位置決め固定され、これによって、針アセンブリ12の駆動部材70は位置決め固定される。このようにして、針アセンブリ12を第2伸長(作動)位置に効果的に固定し、針先の保護(blunting)が行われる。
【0059】
さらに、針アセンブリ12の針先保護は、内装体190cと外装体180cとの協働係合、すなわち、外装体180cに対し内装体190cを摺動させることによって行うことができる。たとえば、図15〜図17に示すように、外装体180cは、その外面軸線方向に延びる通路202cを備えている。通路202cには、外装体180cの第1端部182cに設けられた末広がりの開口部204cを形成するのが望ましい。第1縁部206cは、通路202c内第1位置に延びており、第2縁部208cは、通路202cと開口部204cとの継ぎ目において延びている。内装体190cは、その外面から延びるタブ210cを有する。たとえば、外力が付与されると撓む可撓性の切り欠き部212cを内装体190cに設けてもよい。あるいは、タブ210cと切り欠き部212cを一体的に形成し、肩部214cがその間に延びるようにしてもよい。
【0060】
通路202cは、タブ210cの摺動係合を調整するものである。サンプル採取作業中など、針アセンブリが第1位置にあるとき、肩部214cは第1縁部206cと干渉係合している。針アセンブリ12の針先保護機構を作動させたいときは、タブ210cを押下する。すると、切り欠き部212cが内装体190cの内側スペース196c内に撓み、その結果、肩部214cと第1縁部206cとの干渉係合が解除される。次いで、タブ210cを動かすと、内装体190cが外装体180cに対して前方へ摺動することとなる。タブ210cを開口部204cに隣接した位置まで移動させると、タブ210cは、開口部204cより外側に延びるように、上向きに撓むこととなる。すると、肩部214cは第2縁部208cと干渉係合し、その結果、内装体190cが外装体180c内における逆向きに摺動するのを禁止する係止機構が作動する。
【0061】
さらなる針ホルダの実施態様を図18〜図21に示す。針ホルダ110dは、図5〜図6に関して説明した筒状中空体112と同様な筒状中空体に形成され、その内部を貫通する長穴220dを備えている。針ホルダ110dには、長穴220d内に延びる機構222dが設けられている。機構222dは、上述したとおり、針アセンブリの内側カニューレを軸線方向へ変位させるように、針アセンブリの駆動機構70と係合するような構成となっている。
【0062】
機構222dには、ユーザによって指操作されるタブ224dが設けられている。さらに、機構222dには、タブ224dから長穴220d内に延びる延長部226dが設けられている。延長部226dには、針アセンブリの駆動機構70と係合する係合面228dが形成されている。この実施態様において、針アセンブリ12の針先保護は、機構222dを矢印300方向に摺動させることによって行うことができる。このように、機構222dの係合面228dと駆動機構70の後面88が係合するように係合面228dに摺動力を付与することによって、駆動機構70は矢印300の方向に押されることとなる。これによって、上述したとおり、針アセンブリ12の針先保護機構が作動する。機構222dは、ユーザがタブ224dに対し矢印300の方向に僅かな押圧力を加えることによって容易に摺動させることができる。
【0063】
図21に明示する通り、一旦矢印300方向に移動した機構222dが逆方向に摺動するのを禁止する係止機構を針ホルダ110dに設けても良い。これは、開口部230dを設け、さらに、機構222dの下面にフィンガー部232dを設けることによって実現される。このようなフィンガー部232dを設けることによって、開口部230dの縁部と機構222dとが干渉係合し、その結果、機構222dの逆向き摺動が防止される。
【0064】
特に、図11〜図21に関して、上述した針ホルダは、第1待避位置と第2作動または保護位置との間を軸線方向に変位する保護(blunting member)部材などの作動機構を備えた如何なる種類の針アセンブリにも使用可能である。このような針ホルダは、上述した針アセンブリ12などの二重鈍端部を有する針アセンブリだけでなく、一端のみに保護(blunt)針を有する針アセンブリにも使用可能である。
【0065】
本発明の針アセンブリは、たとえば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポリスチレンなどを含むさまざまな種類の材料から大量生産される成形可能な部品で構成することができる。材料は、本発明の構造をその使用において適切に支持し、かつ、部品の相対的協働作用が与えられるように、ある程度の弾性力が付与されるような材料から選択するのが好ましい。
【0066】
本発明の針アセンブリは、血液採取システムに関して使用される一実施態様として説明したが、従来の針アセンブリと組み合わせて使用される従来技術に示すように、従来の静脈注射キットと組み合わせるなど、他の医療業務にも適用される。
【符号の説明】
【0067】
12 針アセンブリ
70 駆動部材(作動機構)
110c、110d 針ホルダ
180c 外装体
182c 第1端部
184c 第2端部
190c 内装体
192c 第1端部
194c 第2端部
196c 内側スペース(内側開口部)
202c 通路
210c タブ
214c 肩部
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に血液採取作業に使用される二重端部を備えた針アセンブリに使用されるホルダに関するものである。より詳しくは、本発明は、患者から血液を採取するための安全針に使用され、針の安全機構を作動させる機構を有する針ホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液採取針、流体処理針、及びこれらのアセンブリなど、穿刺部材を有する廃棄可能な医療用具は、一般的に、薬剤投与または流体採取などに使用される。現行の医療行為では、このようなシステムに使用される流体採取容器及び針アセンブリとして、安価で即座に廃棄可能なものが要求される。したがって、現行の血液採取システムでは、例えば、脱着及び廃棄可能な針及び流体採取チューブが取り付け可能な、耐久性ある再利用可能なホルダが使用されるのが一般的である。この種の血液採取システムは、使用前に組み立て、使用後に分解が可能である。したがって、これらの血液採取システムでは、比較的安価な針及び/または流体採取チューブを交換するという前提の下に、比較的高価なホルダが繰り返し使用されることとなる。これらの血液採取システムによれば、血液サンプルの採取に係るコストが低減されるのに加えて、危険な医療廃棄物の生成を最小限に抑えることができる。
【0003】
従来の血液採取システムの典型的な例として、二重端針を備えた針アセンブリと、真空採取チューブと、該針アセンブリと該採取チューブとを固定保持するホルダとを備えたものが挙げられる。二重端針を備えた針アセンブリ(以下、「カニューレ」と呼ぶことがある)には、内部を貫通する細孔が形成され、その中央領域近傍にハブが設けられている。真空流体採取チューブは、その一端に被穿孔ストッパを有する。この種の血液採取システムにおいて、ホルダは、その一端に針アセンブリを受け入れるためのハウジングを有するのが一般的である。また、ホルダの反対側の端部には、採取チューブを受け入れるための開口部を備えた中空体が設けられている。針の第1端によって患者の静脈を穿刺するように、針アセンブリはホルダの前方に延びた状態でホルダのハウジング内に確実に収納される。針の反対側の端部、すなわち、第2端は、ホルダの中空体内に延びている。血液採取システムが組み立てられると、針アセンブリは、ハウジング内に挿入され、採取チューブは、針の第2端が採取チューブの被穿孔ストッパを穿刺するまで、中空体の開口端内に挿入され、その結果、採取チューブの内部と、針アセンブリ内に延びる細孔との間の流体連通が可能となる。このような血液採取システムのひとつを使用して患者の血液サンプルを採取する場合、真空採取チューブをホルダの一端に部分的に挿入し、針の第1端を患者の静脈に穿刺した後、採取チューブをホルダ内に充分深く挿入することにより、血液が針アセンブリの細孔に、次いで、流体採取チューブ内に流れることとなる。血液サンプル採取後、採取された血液を分析するために採取チューブを外し、次いで、針アセンブリを外してこれを廃棄する。
【0004】
流体移送システムの中には、血液採取チューブが収納可能となるだけでなく、患者に投与すべき流体を保持する流体保持容器と互換性のあるホルダがある。このようなホルダを使用すれば、患者の血液サンプルを採取するだけでなく、流体の投与が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
偶発的な針の突き刺しによる傷の発生の危険性を抑えるためには、使用後の針先を保護するのが肝要である。血液採取の際の感染及び疾病に関しては、使用後の廃棄可能な針を包囲する方法及び装置の開発が重要であり、またそのような方法、装置の開発の要望は大きい。使用後の針先保護に関して多くの発明が行われてきた。例えば、米国特許第5,951、520号(Burzynski特許)には、棒あるいはプローブ状の鈍端(blunt)部材が、患者の皮膚組織を穿刺するのに適した穿刺端部を有する針状カニューレの孔に装着された、自己保護針が開示されている。装置の使用後の偶発的な針の突き刺しによる傷の発生を防ぐために、針を患者の皮膚組織に穿刺する場合、穿刺端部の後部に待避するように設けられた鈍端部材が、針状カニューレの穿刺端部を越えて延びるような構成を採ることによって、穿刺端部を効果的に保護し、これによって、偶発的な針の突き刺しの危険性を除去する、あるいは最小限に抑えるようにすることができる。
【0006】
米国特許第5,810,775号(Shaw特許)には、患者側に設けられた針アセンブリの静脈針が待避可能な流体採取アセンブリが開示されている。同特許には、さらに、ホルダのハウジングの開口端にヒンジ止めされたキャップが開示されている。血液サンプルを採取チューブに収めた後、採取チューブを取り外し、次いで、ヒンジ止めされたキャップでホルダの開口部を閉じる。すると、針が待避し、非患者側に設けられたその第2端へのアクセスが阻止される。しかしながら、ヒンジ止めされたキャップと待避機構を作動させるには、実質的にユーザの手動動作が必要であり、放血医療行為においては、この操作を片手で行うのが理想的ではあるが、実際は、片手では容易に行い得ない動作である。さらに、装置のサイズが比較的大きくなり、針の待避機構によって使用後の針先の待避動作が加速され、その結果、血液の飛散が生じ、医療従事者が血液に起因する病原体と接触する恐れが生じる。
【0007】
したがって、製造が簡便で、かつ操作が容易で、必要以上の廃棄スペースを占有せず、針先を安全に保護(safety blunting)するとともに、針アセンブリに対して使用可能な針ホルダの開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、針アセンブリに対し第1位置と第2位置との間で軸線方向へ変位する作動機構を有する針アセンブリと組み合わせて使用される針ホルダに関するものである。針ホルダには、針アセンブリに取り付けられる第1端と、内側開口部を有する第2端とを有する外装体が設けられている。針ホルダは、さらに、外装体に対して摺動可能に構成され、第1待避位置と第2作動位置との間で作動機構を軸線方向へ変位させる変位機構を備えた内装体を有している。
【0009】
内装体は外装体と同心状の筒体であるのが好ましい。筒体は、第1端と、これと反対側の第2端とを有し、第1端には、第1待避位置と第2作動位置との間で針アセンブリの作動機構を軸線方向へ変位させる変位機構が設けられている一方、第2端には、血液採取チューブを収納するための内側開口部が設けられている。また、内装体の筒体の第1端に、針アセンブリの穿刺端部を収納する開口部を設けてもよい。
【0010】
さらなる実施態様として、外装体にその軸線方向に延びる通路を設ける一方、内装体は、外装体の通路から突出するとともに、外装体に対して軸線方向に変位可能となるように、上記通路内に軸線方向へ摺動可能に配設されたアーム部材を備えていてもよい。このような構成によれば、アーム部材を軸線方向へ変位させることによって、変位機構が、第1待避位置と第2作動位置との間で作動機構を軸線方向へ変位させることが可能となる。第2作動位置から第1待避位置への作動機構が軸線方向へ変位するのを防止する係止機構をアーム部材に設けることが好ましい。また、アーム部材にタブを設け、ユーザがタブを指操作することによって、外装体に対し内装体を軸線方向へ変位させることができるような構成を採ってもよい。
【0011】
本発明の別の態様によれば、本発明は、針アセンブリと、針アセンブリに取り付けられた針ホルダとを備えた血液採取アセンブリに関するものである。すなわち、静脈穿刺端部と、非患者穿刺端部と、鈍端部を有する鈍端部材とを備えた安全針アセンブリを有する安全採取アセンブリにおいて、鈍端部材は、静脈穿刺端部が鈍端部を超えて延びる第1待避位置と、鈍端部が静脈穿刺端部を超えて延びる第2作動位置との間で、静脈穿刺端部に対して軸線方向に変位する。針アセンブリには針ホルダが取り付けられており、針ホルダには、針アセンブリに取り付けられる第1端と、内側開口部を有する第2端とを有する外装体が設けられている。針ホルダには、また、外装体内を摺動可能であり、静脈穿刺端部に対して鈍端部材を軸線方向へ変位させる鈍端部材と係合する係合機構を有する内装部材が設けられている。さらに、針アセンブリに、非患者穿刺端部に隣接する第2鈍端部を設ける一方、鈍端部に、第1鈍端部を構成する第1端と、これと反対側で、非患者穿刺端部を構成する第2端とを設けて、第1待避位置と第2作動位置との間で鈍端部材を静脈穿刺端部に対して軸線方向に変位させることによって、非患者穿刺端部が第2鈍端部を超えて延びる第1待避位置と、第2鈍端部が非患者穿刺端部を超えて延びる第2作動位置との間で、非患者穿刺端部が第2鈍端部に対して軸線方向に変位するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明の針ホルダによれば、外装体内に摺動自在に配設され、針アセンブリを第1待避位置と第2作動位置との間で変位可能な内装体を備えているため、当該内装体を外装体に対して相対変位させることにより、容易に針アセンブリに対する針先保護を実現することができる。
【0013】
また、上記のように針ホルダは、針アセンブリの針先保護を行うために、外装体と、内装体とを含む比較的に簡易的な構成とすることができるため、針ホルダの製造を簡便化することができる。
【0014】
さらに、上記針ホルダと針アセンブリとを着脱可能に構成することにより、使用後に針ホルダの取り外された針アセンブリのみを廃棄すればよく、廃棄スペースを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】血液サンプル採取のため待避位置にある本発明に係る二重鈍端針付き針アセンブリの斜視図である。
【図2】図1の二重鈍端針付き針アセンブリの断面図である。
【図3】作動位置にある図1の二重鈍端針付き針アセンブリの斜視図である。
【図4】図3に示す作動中の針アセンブリの断面図である。
【図5】針ホルダと真空採取チューブと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図6】針ホルダと真空採取チューブと併せて使用される作動位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図7】他の実施態様である針ホルダと併せて使用される本発明の針アセンブリの斜視図である。
【図8】図7の針ホルダと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図9】図7の針ホルダと併せて使用される作動位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図10】他の実施態様である針ホルダと併せて使用される本発明の針アセンブリの斜視図である。
【図11】図10の針ホルダと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面斜視図である。
【図12】更なる他の実施態様である針ホルダと併せて使用される本発明の針アセンブリの斜視図である。
【図13】図12の針ホルダと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図14】図12の針ホルダと併せて使用される作動位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図15】更なる他の実施態様である針ホルダと併せて使用される本発明の針アセンブリの斜視図である。
【図16】図15の針ホルダと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図17】図15の針ホルダと併せて使用される作動位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図18】更なる他の実施態様である針ホルダと併せて使用される本発明の針アセンブリの斜視図である。
【図19】図18の針ホルダのタブ機構を示す斜視図である。
【図20】図18の針ホルダと併せて使用される待避位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【図21】図18の針ホルダと併せて使用される作動位置にある本発明の針アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は多くの異なる実施態様によって満足されるものである。本発明の好ましい実施態様は、図面及び本明細書に詳細に説明する通りであるが、本発明の開示内容は、本発明の原理の一例として考慮されるべきであり、例示した実施態様に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲で、当業者がさまざまな他の実施態様に変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物によって評価されるものである。
【0017】
図面において、同じ参照符号は同じ部材を表すものであり。図1〜図4に、本発明にしたがった二重鈍端針付き針アセンブリ及びこれに関連した構成部材を示す。本発明の針アセンブリは、例えば、血液サンプルを採取するように、針ホルダと組み合わせて使用される二重端部を備えた針を有している。本発明は針アセンブリによって説明するが、後で詳述するとおり、針ホルダと組み合わせた針アセンブリを備えた安全装置付きアセンブリなどの針アセンブリをも包含するものである。
【0018】
本発明の針アセンブリ12を図1〜図4を参照して説明する。針アセンブリ12は、従来技術に示すとおり、別部材の針ホルダに取り付けられるカニューレアセンブリを構成している。針アセンブリ12には、針ホルダのねじ部と係合する取り付け用ねじ部14など、針ホルダを取り付けるための取り付け手段を設けてもよい。このような構成によれば、針アセンブリ12は、再使用可能なホルダと併せて使用される廃棄可能なユニットとして使用することができる。
【0019】
針アセンブリ12は、部分的に、針アセンブリ12を収納するための略筒状のハウジングを構成するハブアセンブリ20を備えている。ハブアセンブリ20は、その第1端から延びる第1外側カニューレ22と、第1外側カニューレ22の該端部に設けられた静脈穿刺端部24とを有する。ハブアセンブリ20は、さらに、第1端に対向する第2端から延びる第2外側カニューレ26と、第2外側カニューレ26の該端部に設けられた外側鈍端部28とを有する。中心細孔または内側ルーメン30は、ハブアセンブリ20内を、静脈穿刺端部24から外側鈍端部28まで延び、流体通路を構成している。内側ルーメン30は、後で詳述する通り、内側カニューレ50を摺動可能に収納するものである。外側鈍端部28は、通常の指圧力を付与しても人肌または他の生体の組織を容易に穿刺しない程度に、その先端部が鈍角に設定されている。静脈穿刺端部24は、例えば、血液採取作業など、患者の静脈への挿入に使用される。したがって、静脈穿刺端部24は、添付図面や公知技術に示す通り、テーパー状の尖った先端部を有し、静脈穿刺中、挿入を容易にし、また、患者への不快感を最小限に抑えるような形状にするのが望ましい。
【0020】
第1外側カニューレ22及び第2外側カニューレ26は、例えば、医療用接着剤などを使用して、ハブアセンブリ20に固着される個別の部材として設けるのが好ましい。第1外側カニューレ22は、口輪(ferrule)46内を通ってハブアセンブリ20に取り付けられる。口輪46は、第1外側カニューレ22に直接取り付けられ、ハブアセンブリ20の第1端部内に嵌入している。
【0021】
上述したとおり、ハブアセンブリ20は、その第2端部から延びる第2外側カニューレ26を備えている。図1に最も良く示すとおり、ハブアセンブリ20は、アーム部材32、34を有し、これらアーム部材は、針アセンブリ12の長さ方向、すなわち、軸線方向に延びている。アーム部材32、34は、ハブアセンブリ20の略筒状体の延長部を構成する個別の突起である。アーム部材32、34は、互いに別部材で構成されており、後で詳述するとおり、これらアーム部材によって駆動部材(carriage)70と内部係合する通路が形成される。
【0022】
ブリッジ部材42は、ハブアセンブリ20の第2端部においてアーム部材32、34間に延びている。このようなブリッジ部材42は、さらに、ハブアセンブリ20の略筒体を構成しており、第2外側カニューレ26をハブアセンブリ20に取り付けるための領域を構成している。特に第2外側カニューレ26は、内側ルーメン30内において、ブリッジ部材42が設けられた位置で、ハブアセンブリ20と固着しており、これによってハブアセンブリ20の延長部としての第2外側カニューレ26が形成されている。変形例として、ハブアセンブリ20にアーム部材32を設け、アーム部材34は省略してもよい。また、ハブアセンブリ20を複数の部材で構成してもよい。いずれの実施態様においても、装置の組み立ては容易である。
【0023】
針アセンブリ12には、さらに、内側カニューレ50が設けられている。内側カニューレ50は、ハブアセンブリ20の内側ルーメン30内で、これと同心状に延びている。内側カニューレ50には、第1端部52が設けられ、第1端部52には内側鈍端部54が設けられている。内側鈍端部54は、通常の指圧力を付与しても人肌または他の生体の組織を容易に穿刺しない程度にその先端部が鈍角に設定されている。内側カニューレ50には、さらに、第2端部56が設けられ、第2端部56の先端には非患者側穿刺端部58が設けられている。非患者穿刺端部58は、例えば、血液採取作業中、真空チューブを穿刺するためのものである。中心細孔あるいは内側ルーメン60は、内側鈍端部54から非患者穿刺端部58まで、内側カニューレ50内を延び、流体通路を構成している。
【0024】
図2に最も良く示すとおり、内側カニューレ50の第1端部52は、ハブアセンブリ20の第1外側カニューレ22に隣接しており、内側カニューレ50の第2端部56は、ハブアセンブリ20の第2外側カニューレ26に隣接している。内側カニューレ50は、内側鈍端部54が第1外側カニューレ22内を摺動し、非患者穿刺端部58が第2外側カニューレ26内を摺動するように、ハブアセンブリ20の内側ルーメン30内を軸線方向に摺動するように構成されている。第1外側カニューレ22の内径は、内側カニューレ50の第1端部52の外径と略同一に設定され、第2外側カニューレ26の内径は、内側カニューレ50の第2端部56の外径と略同一に設定されている。このような構成によれば、後で詳述するとおり、針アセンブリ12が図3、図4に示す作動位置にある時、静脈穿刺端部24が内側カニューレ50の第1端部52の外面に対し平らに配置され、非患者穿刺端部58が内側ルーメン30内において、第2外側カニューレ26の内面に抗して平らに配置されるように、内側カニューレ50の外径がハブアセンブリ20の内径と密着するように寸法設定された状態で、内側カニューレ50およびハブアセンブリ20が構成されている。
【0025】
ハブアセンブリ20の第1、第2外側カニューレ22,26と、内側カニューレ50とのかみ合い面を滑らかにすると同時に、気泡の発生を防止するために、これらかみ合い面を密閉するのが好ましい。具体的には、これらかみ合い面にワセリン(petroleum )など粘性を有する密閉可能な潤滑剤を塗布するのが好ましい。
【0026】
内側カニューレ50は、ハブアセンブリ20の内側ルーメン30内において、静脈穿刺端部24、非患者穿刺端部58が、それぞれ、内側鈍端部54、外側鈍端部28を越えて延びる第1待避位置と、内側鈍端部54、外側鈍端部28が、それぞれ、静脈穿刺端部24、非患者穿刺端部58を越えて伸びる第2作動位置との間を、軸線方向に移動するように構成されている。すなわち、内側カニューレ50を、ハブアセンブリ20の内側ルーメン30内、矢印100の方向に示す軸線方向に動かすことによって、内側カニューレ50の第1端部52は、第1外側カニューレ22に対して軸線方向に変位し、これによって、内側鈍端部54は、第1外側カニューレ22の静脈穿刺端部24を越えて延びることとなる。さらに、このように軸線方向へ変位することによって、内側カニューレ50の第2端部58は、第2外側カニューレ26に対して軸線方向に変位し、これによって、図3、図4に示すとおり、外側鈍端部28は、非患者穿刺端部58を越えて延びるように、第2外側カニューレ26内を摺動する。このような構成によって、静脈穿刺端部24及び非患者穿刺端部58は同時に保護(blunt)される。
【0027】
内側カニューレ50とハブアセンブリ20との摺動係合は、駆動部材(carriage)70によって行うことも可能である。駆動部材70は、内側カニューレ50と同心状であり、ハブアセンブリ20と摺動係合するためのものである。駆動部材70は、内側カニューレ50と一体に形成してもよいし、接着剤などを使用して、内側カニューレ50に固着するような別部材であってもよい。駆動部材70は、結節部材80に接合するために、その軸線方向に延びるアーム部材72,74を備えた略筒体によって構成される。駆動部材70のアーム部材72,74と、ハブアセンブリ20のアーム部材32,34における針アセンブリ12の側面形状は、略円筒状あるいは筒状になるように(その形状、構成については、当業者にとって自明である限り、他の形状、構成であってもよい)、アーム部材72,74は、ハブアセンブリ20のアーム部材32,34と摺動係合する。変形例として、駆動部材70にアーム部材72を設け、アーム部材74を省略してもよい。また、駆動部材70を複数の部材で構成してもよい。いずれの実施態様においても、装置の組み立ては容易である。
【0028】
駆動部材70の結節部材80には、組み立て時、ハブアセンブリ20の内側部分に位置決めされる前方部86が設けられている。駆動部材70の前方部86には、ハブアセンブリ20の肩部38と干渉係合するように、結節部材80の周辺に延びる係合面78が形成されている。このような干渉係合によって、組み立て後、駆動部材70、つまり、駆動部材70に取り付けられた内側カニューレ50がハブアセンブリ20から取外されることが防止される。また、結節部材80には、その周面に沿って延びるテーパー面82が形成されている。テーパー面82は、後で詳述するとおり、ハブアセンブリ20との干渉係合の役目を果たすものであり、そのような干渉係合の結果、外力が加わらない限り、ハブアセンブリ20に対する駆動部材70の軸線方向の位置ずれが防止される。
【0029】
さらに、結節部材80には、使用中に、血液採取チューブの上面と当接する後面88が設けられている。針アセンブリ12の使用及び操作に関して説明するとおり、後面88は、針アセンブリ12を作動させる機構として作用し、第1待避位置と第2作動位置との間でハブアセンブリ20に対し内側カニューレ50を軸線方向へ変位させる。
【0030】
内側カニューレ50とハブアセンブリ20は、第1待避位置から第2作動位置へと、あるいは、第2作動位置から第1待避位置へと、内側カニューレ50がハブアセンブリ20に対し変位するように、互いに軸線方向逆向きに変位可能に構成してもよい。しかしながら、内側カニューレ50は、内側カニューレ50を第1待避位置から第2作動位置の一方向へのみ、ハブアセンブリ20に対して軸線方向に変位するように構成されていることが好ましい。すなわち、針アセンブリ12が一旦作動すると、内側カニューレ50が第2作動位置から第1待避位置へと軸線方向に変位するのを防止する手段、例えば、係止機構を針アセンブリ12に設けるのが好ましい。この係止機構としては、例えば、第1待避位置から第2作動位置へと針アセンブリ12が作動した後、ハブアセンブリ20の肩部38と干渉係合するように、結節部材80の周面に延びる係合面84を結節部材80に設けてもよい。このような干渉係合によって、第1待避位置から第2作動位置へと変位した後、ハブアセンブリ20に対し駆動部材70が矢印100と逆方向へ向けて軸線方向に変位するのが防止される。
【0031】
また、針アセンブリ12には、ハブアセンブリ20内において、第1待避位置と第2伸長(作動)位置との間を変位する内側カニューレ50の動きを表示する表示手段を設けてもよい。このような表示手段として、ハブアセンブリ20内において、第1待避位置と第2伸長位置との間を変位する内側カニューレ50の動きを識別するための、可視、可聴および/または触知方式の表示装置が挙げられる。例えば、ハブアセンブリ20に、その本体を貫通する通路36を設けてもよい。通路36は、ハブアセンブリ20内に設けられ、針アセンブリ12の外部とつながる壁面まで延びている。駆動部材70には、ハブアセンブリ20の通路36内で、結節部材80の前方部86から延びるフィンガー部76が設けられている。ハブアセンブリ20に対し駆動部材70が軸線方向へ変位すると、フィンガー部76は、ハブアセンブリ20の通路36内を軸線方向に摺動する。図1〜図2に示した第1待避位置から図3〜図4に示した第2作動位置まで駆動部材70が軸線方向に変位すると、フィンガー部76は、通路36内、次いで、ハブアセンブリ20の壁面内を伸長し、その結果、針アセンブリ12が作動した、あるいは、保護された旨を表示することとなる。
【0032】
装置の操作使用中、このような表示装置がユーザに目視可能になるように、通路36は、ねじ部14など、針ホルダとの取り付け地点を越えた位置まで、ハブアセンブリ20内に延びている。さらに、フィンガー部76に、針アセンブリ12の作動を表示するための色コードあるいは舌部(verbiage)などの視覚識別部材を設けてもよい。
【0033】
また、ハブアセンブリ20に、その第1端部に設けられた肩部16などの針カバーを取り付ける取り付け手段を設けてもよい。肩部16は、針カバー(図示せず)との係合のために使用されるものであり、この針カバーは、針アセンブリ12を患者の静脈穿刺に使用する前に、第1外側カニューレ22の静脈穿刺端部24をカバーするものである。このような針カバーは、公知技術に示すように、剛性のポリマー材料で構成するのが好ましい。針カバーが肩部16と摩擦係合し、位置決めされるような形状に肩部16を構成するのが好ましい。このような構成によって、装置が組み立て、使用されるまで、第1外側カニューレ22と静脈穿刺端部24がカバーされ、保護される。
【0034】
また、針アセンブリ12と針ホルダを組み立てる前に、第2外側カニューレ26の非患者穿刺端部58をカバーする第2針カバー(図示せず)を針アセンブリ12に設けてもよい。このような第2針カバーは、剛性のポリマー材料で形成するのが好ましい。この第2針カバーは、例えば、ハブアセンブリ20回りに設けられた外ねじ部14と螺合させることによって針ホルダ12に取り付け可能である。公知技術に示すように、外ねじ部14から針カバーを外し、次いで、針ホルダの内ねじと外ねじ部14とを螺合させることによって、針ホルダと針アセンブリ12との組み立て前に、第2針カバーを針アセンブリ12から外すことができる。
【0035】
また、公知技術に示すとおり、第2外側カニューレ26と、内側カニューレ50の第2端部56回りに設けられ、非患者穿刺端部58を被覆するエラストマースリーブ90を針アセンブリ12に設けてもよい。エラストマースリーブ90はブリッジ部材42に接合される。これらの部材を接合する接合手段としては、スナップ係合部材、接着剤、あるいは他の類似手段などの干渉機構が挙げられる。
【0036】
さらに、本発明の他の実施態様として、図5、6に示すように、針ホルダ110と接続使用される針アセンブリ12を含む安全装置付きアセンブリが挙げられる。針ホルダ110は、公知技術に示したような、血液採取用2重端針に接続して使用される従来の針ホルダであってもよい。針ホルダ110は、例えば、第1端部114と第2端部118とを有する中空体112によって形成される。針ホルダ110の第1端部114には、その内部を貫通する開口部116が設けられ、第2端部118には、フランジ部122が設けられ、略開口端となっている。このような構成によって、針ホルダ110には、その内部を貫通する内側開口部120を有する中空体112が形成されている。内側開口部120は、公知技術に示すとおり、真空採血管などの、血液サンプル採取用チューブ130を収納するものである。
【0037】
第1端部114に設けられた内側開口部116内には、針アセンブリ12を針ホルダ110に取り付けるための取り付け手段が設けられている。このような取り付けは、例えば、スナップ係合、より好ましくは、針アセンブリ12の外ねじ14と、開口部116内に設けられた内ねじとの螺合によって行うのが好ましい。
【0038】
本発明の針アセンブリの操作及び使用について、図1〜図4に示す実施態様を参照して説明する。使用の際、針アセンブリ12には、第1外側カニューレ22を越えて延びる第1針カバー(図示せず)と、第2外側カニューレ26を越えて延びる第2針カバー(図示せず)が設けられている。血液採取作業を行うため針アセンブリを準備する際、第2針カバーを第2外側カニューレ25から外し、次いで、外ねじ14と針ホルダ110の開口部116内に設けられた内ねじとを螺合させるなどによって、針アセンブリ12を針ホルダ110に取り付ける。
【0039】
次いで、第1外側カニューレ22を越えて延びる第1針カバーを外して、公知の方法で静脈穿刺を行う。このような操作によって、静脈穿刺端部24は患者の静脈に挿入され、採取チューブ130の被穿孔閉塞部132が、第2外側カニューレ26回りに設けられたスリーブ90と接触するように、穿刺可能な閉塞部132を有する採取チューブ130が針ホルダ内に挿入される。採取チューブ130に僅かな押圧力を加えると、スリーブ90と接触している被穿孔閉塞部132によって、スリーブ90が変位し、その結果、非患者穿刺端部58はスリーブ90を、次いで、被穿孔閉塞部132を穿刺する。その結果、採取チューブ130の内側と、内側カニューレ50の内側ルーメン60との間は流体連通可能な状態となる。採取チューブの内側は負の圧力下にあるので、血液は、患者の静脈から、第1外側カニューレ22の内側ルーメン30内、内側カニューレ50の内側ルーメン60内を通過し、次いで採取チューブ130へと導出される。
【0040】
すべての所望の血液サンプル採取後、二重鈍端針付き針アセンブリの保護機能を作動する。針先保護(blunting)に先立って針による偶発的な突き刺しを防止するため、静脈穿刺動作が保持される間、すなわち、第1外側カニューレ22の静脈穿刺端部24が患者の静脈内に保持される間に二重鈍端針付き針アセンブリの保護機構を作動させるのが好ましい。針アセンブリ12の保護(blunting)は、駆動部材70の後面88に対し、矢印100方向に押圧力を加えることによって行われる。
【0041】
特に、サンプル採取の間、採取チューブ130の穿刺可能な閉塞部132の上面はホルダ内において駆動部材70の後面88と接触している。採取チューブ130に対して矢印100方向に外圧を加えると、後面88は矢印100方向に押される。このような力が加わると、ハブアセンブリ20と、結節部材80のテーパー面82との間に干渉係合が生じる。ハブアセンブリ20には、互いに相対する壁面に溝40が形成されているので、テーパー面82がハブアセンブリ20内を通過するにつれて、ハブアセンブリ20は径方向に変形する。その結果、駆動部材70はハブアセンブリ20に対して軸線方向に変位する。さらに、駆動部材70のアーム部材72,74は、ハブアセンブリ20のアーム部材32,34と内部係合するので、駆動部材70はハブアセンブリ20に対して軸線方向に摺動可能となる。
【0042】
駆動部材70は内側カニューレ50に取り付けられているので、ハブアセンブリ20に対して駆動部材70が軸線方向に変位することによって、内側カニューレ50はハブアセンブリ20に対して軸線方向へ変位する。さらに、第1外側カニューレ22と第2外側カニューレ26はハブアセンブリ20に取り付けられているので、ハブアセンブリ20に対する内側カニューレ50の軸線方向への変位によって、第1端部52と第2端部56は、それぞれ第1外側カニューレ22と第2外側カニューレ26に対して軸線方向に変位する。内側鈍端部54と外側鈍端部28は、それぞれ、内側穿刺端部24、非患者穿刺端部58の手前に位置決めされるので、第1外側カニューレ22、第2外側カニューレ26に対する第1端部52、第2端部56の軸線方向への変位によって、内側鈍端部54、外側鈍端部28は、それぞれ、静脈穿刺端部24、非患者穿刺端部58を越えて延びる位置まで軸線方向に変位する。さらに、内側カニューレ50が矢印100に示す軸線方向へ変位すると、内側鈍端部54は静脈穿刺端部24を越えて第1外側カニューレ22の端部から突出し、外側鈍端部28は、図3,図4に示すように、非患者穿刺端部58を越えて延びるように、第2外側カニューレ26内へ摺動する。すなわち、静脈穿刺端部24と非患者穿刺端部58の両方が同時に保護(blunt)される。その後、針アセンブリ10は患者の静脈から外され、適宜廃棄される。
【0043】
上述したとおり、本発明の安全装置付きアセンブリは、針ホルダ110と接続使用される針アセンブリ12を備えている。針ホルダ110は、血液採取用の従来の二重端針付きアセンブリと併せて使用される公知の標準針ホルダであってもよい。安全装置付きアセンブリは、本発明の針アセンブリ12のような、第1待避位置と第2作動位置、あるいは保護(blunt)位置との間を軸線方向に変位する保護部材などの作動機構を有する針アセンブリと接続可能に使用されるように設計された針ホルダを備えているのが望ましい。特に、ハブアセンブリ20の内側ルーメン30内で内側カニューレ50に対して軸線方向に変位する機構を針ホルダ110に設けるのが好ましい。
【0044】
例えば、図7〜図11に示すとおり、安全装置付きアセンブリは、針アセンブリ12を選択的に作動させるレバーを備えた針ホルダを含んでいてもよい。特に本実施形態では、図7〜図9に示すとおり、針ホルダ110aが設けられている。針ホルダ110aは、第1端部114aと第2端部118aとを有する略筒状の中空体112aを備えている。針ホルダ110aの第1端部114aには、内部を貫通する開口部116aが設けられ、第2端部118aには、フランジ部122aが設けられ、略開口端となっている。このような構成によって、内部を貫通する内側開口部120aを有する中空体112aを備えた針ホルダ110aが形成される。このような内側開口部120aには、公知技術に示すとおり、真空採取チューブなど、サンプル採取作業に使用される血液採血管130が収納される。
【0045】
第1端部114aに設けられた内側開口部116a内などに、針アセンブリ12を針ホルダ110aに取り付けるための取り付け手段が設けられている。このような取り付け作業は、例えば、スナップ係合、より好ましくは、針アセンブリ12の外ねじ14と、開口部116a内に設けられた内ねじとの螺合によって行うのが好ましい。
【0046】
さらに、針ホルダ110aには、中空体112aの一部に沿って延びるレバー140aが設けられている。レバー140aは、中空体112aの外側部分に沿って軸線方向に延びる略伸長部として設けられている。レバー140aは、その一端から延びる延長アーム部142aを有する。延長アーム部142aは、針ホルダ110aの中空体112aの壁から、針ホルダ110aの内側開口部120a内へ延設されている。延長アーム部142aには、被穿孔閉塞部132などの採取チューブ130の上面と干渉係合するための係合面148aが設けられている。
【0047】
レバー140aは、第1係止位置と第2解除位置との間を移動可能である。より詳しくは、レバー140aは、針ホルダ110aの中空体112aの外面が連続するように、針ホルダ110aの中空体112aの外面と面一になる第1位置に配設されている。レバー140aがこのような第1位置にあるとき、延長アーム部材142aは、内側開口部120a内に挿入された採取チューブ130の被穿孔閉塞部132と干渉あるいは係止係合するように、内側開口部120a内に延びている。レバー140aがこのような第1位置にあるとき、駆動部材70が軸線方向へ変位するのを妨げるように、採取チューブ130と駆動部材70との係合が阻止される結果、第1待避位置と第2作動位置との間でのハブアセンブリ20に対する内側カニューレ50の軸線方向への変位が防止されている。
【0048】
レバー140aは、針ホルダ110aの中空体112aの外面から突出する第2解除位置へ変位するために、矢印102a方向に移動可能である。レバー140aがこのような第2位置にあるとき、内側開口部120a内において、延長アーム部142aと採取チューブ130の被穿孔閉塞部132との干渉、すなわち、係止係合が解除される。言い換えれば、採取チューブ130は、駆動部材70と係合可能になる。針ホルダ110aの内側開口部120a内へとさらに採取チューブ130を押し進めるなど、採取チューブ130に外力を加えると、駆動部材70の後面88と被穿孔閉塞部132とが係合する。このような係合によって、駆動部材70はハブアセンブリ20に対して軸線方向に変位し、その結果、上述したとおり、内側カニューレ50は第1待避位置と第2作動位置との間でハブアセンブリ20に対して軸線方向に変位する。すなわち、レバー140aは、ハブアセンブリ20に対する内側カニューレ50の軸線方向への変位を防止する係止機構として作用し、その結果、所望の時間、針アセンブリ12の針先保護(blunt)が阻止される。
【0049】
第1係止位置と第2解除位置との間のレバー140aのシフト動作は、ヒンジ部146aによって行うようにしてもよい。ヒンジ部146aは、図7〜図9に示すとおり、針ホルダ110aの第1端部114aに設けられている。レバー140aは、ヒンジ部146aの取り付け位置に対応する、針ホルダ110aの中空体112aの所定位置に取り付けられた別個の部材としてもよい。しかしながら、レバー140aは、針ホルダ110aの中空体112aと一体形成するのが好ましい。例えば、レバー140aは、レバー140aと中空体112aがヒンジ部146aを介して連結されるように、中空体112aの切り欠き部材として形成してもよい。
【0050】
さらに、レバー140aにはタブ144aが設けられている。タブ144aは、第1係止位置と第2解除位置との間でレバー140aを移動させるためのものである。タブ144aは、中空体112aから、針ホルダ110aと針アセンブリ12との接続個所に隣接した位置まで延びており、針ホルダ110aの第1端部114aに隣接する位置に設けられている。このような構成によって、タブ144aを反らせるように矢印102aの方向に押圧力を付与することによって、タブ144aを作動させることができ、その結果、レバー140aは図9に示した第1係止位置と第2解除位置との間で作動可能となる。
【0051】
さらなる実施態様を図10〜図11に示す。この実施態様において、針ホルダ110bは、開口部116bが形成された第1端部114bと、フランジ部122bとその内部を貫通する内側開口部120bとが形成された第2端部118bとを有する中空体112bを備えている。針ホルダ110bには、図7〜図9に示した実施態様のレバー140aと同様に、一対のレバー150b、160bが設けられている。特に、第1レバー150bと第2レバー160bには、それぞれ、タブ154b、164b、延長アーム部152b、162b、及び係止面158b、168bが設けられている。第1レバーアーム150bと第2レバーアーム160bは、それぞれ、通路124b、126b内において、針ホルダ110bの中空体112bの両側面に沿って延びている。このような構成によって、第1レバー150b、第2レバー160bは、それぞれ、タブ158b、168bが針ホルダ110bの第2端部118bに隣接した位置に位置決めされた状態で、中空体112bから末広がりに延びている。
【0052】
矢印170b、172b方向に押圧力を加えて、タブ154b、164bを作動させることによって、第1レバー150b、第2レバー160bを第1係止位置と第2解除位置との間で移動させることができる。すなわち、外圧が加わるとタブ154b、164bが変形し、その結果、延長アーム部152b、162bは、それぞれ、矢印174b、176bの方向、外向きに反り返ることとなる。このような変形によって、第1レバー150b、第2レバー160bは、第1係止位置、第2解除位置の間を移動し、その結果、採取チューブ130を係止位置から解除することができる。すなわち、採取チューブ130を矢印178b方向で前方に移動させる結果、上述したとおり、穿刺可能な閉塞部132と駆動部材70とを係合させることによって、針アセンブリ12を作動させることができる。変形例として、針ホルダ160bにレバー150bを設け、レバー160bを省略してもよい。
【0053】
更なる実施態様として、内側ルーメン内において第1待避位置と第2作動位置との間で内側カニューレを軸線方向へ変位させるなど、針アセンブリの針先保護(blunt)を行う機構を針ホルダに設けてもよい。例えば、針ホルダに、針アセンブリの静脈穿刺端部を保護する内側カムアセンブリを有する回転機構を設けてもよい。このような機構は、内側カニューレを軸線方向へ変位させるように、駆動部材と係合するような構成とするのが好ましい。
【0054】
このような針ホルダの特に好ましい実施態様のいくつかを図12〜図21に例示する。図12〜図17に示した実施態様において、針ホルダには、上述したような針アセンブリ12などの針アセンブリを取り付けるための外装体180cが設けられている。外装体180cは、針アセンブリ12を取り付けるための第1端部182cと、開口端を有する第2端部184cとを備えており、外装体180c内には、第1端部182cから第2端部184cまで延びる内側スペース186cが形成されている。針ホルダ110cは、さらに、針アセンブリ12の駆動部材70と係合するために外装体180cの内側スペース186c内に延びる機構を有し、これによって、第1待避位置と第2作動位置との間を内側カニューレ50が軸線方向へ変位するようになっている。このような機構は、図12〜図14に示すように、第2端部184c内において、外装体180cの内側スペース186cに嵌入され、これと同心に配設された内装体190cによって実現してもよい。
【0055】
内装体190cは、外装体180cと摺動係合するように構成されている。内装体190cは、外装体180cの内側スペース186c内に延びる第1端部192cと、外装体180cの第2端部184cから突出する第2端部194cとを有する。内装体190cには、さらに、内側スペース196cが設けられ、これは、上述した血液サンプル採取用の真空採血管を収納するためのものである。
【0056】
上述した実施態様において、内装体190cを外装体180cに対して矢印200の方向に摺動可能となるように設計された構成によって針アセンブリ12の保護を行うことができる。このような摺動力が付与されると、内装体190cの第1端部192cは、駆動部材70の後面88と係合し、その結果、駆動部材70は、矢印200の方向に移動し、上述した針アセンブリ12の保護機構を作動させることができる。外装体180c内に対する内装体190cの摺動は、ユーザが矢印200の方向に内装体190cの第2端部194cに対し僅かな圧力を加えることによって容易に行うことができる。
【0057】
また、内装体190cの外面と外装体180cの内面に形成されたねじ部の螺合などによって、内装体180cと外装体180cを回転係合させることも可能である。すなわち、螺合しているねじ部を締めるなどによって、外装体180cに対し内装体190cを回転可能に取り付けることによって本発明の保護機構を作動させることができる。すなわち、矢印200の方向に外装体180cに対し内装体190cは締め付け螺合される。
【0058】
図12〜図14に明示するとおり、外装体180cは、その壁面を貫通する開口部188cを備えていてもよい。また、内装体190cに、フィンガー部198cなどの突起を設けてもよい。フィンガー部198cは、内装体190cが矢印200の方向に摺動するとき、外装体180cの開口部188cと係合するように構成されている。このようなフィンガー部198cと開口部188cとの係合によって、一旦、矢印200の方向に移動した内装体190cが外装体180cに対して逆方向に摺動するのを禁止する係止機構を有するホルダ100cが形成される。すなわち、内装体190cは外装体180cに対し位置決め固定され、これによって、針アセンブリ12の駆動部材70は位置決め固定される。このようにして、針アセンブリ12を第2伸長(作動)位置に効果的に固定し、針先の保護(blunting)が行われる。
【0059】
さらに、針アセンブリ12の針先保護は、内装体190cと外装体180cとの協働係合、すなわち、外装体180cに対し内装体190cを摺動させることによって行うことができる。たとえば、図15〜図17に示すように、外装体180cは、その外面軸線方向に延びる通路202cを備えている。通路202cには、外装体180cの第1端部182cに設けられた末広がりの開口部204cを形成するのが望ましい。第1縁部206cは、通路202c内第1位置に延びており、第2縁部208cは、通路202cと開口部204cとの継ぎ目において延びている。内装体190cは、その外面から延びるタブ210cを有する。たとえば、外力が付与されると撓む可撓性の切り欠き部212cを内装体190cに設けてもよい。あるいは、タブ210cと切り欠き部212cを一体的に形成し、肩部214cがその間に延びるようにしてもよい。
【0060】
通路202cは、タブ210cの摺動係合を調整するものである。サンプル採取作業中など、針アセンブリが第1位置にあるとき、肩部214cは第1縁部206cと干渉係合している。針アセンブリ12の針先保護機構を作動させたいときは、タブ210cを押下する。すると、切り欠き部212cが内装体190cの内側スペース196c内に撓み、その結果、肩部214cと第1縁部206cとの干渉係合が解除される。次いで、タブ210cを動かすと、内装体190cが外装体180cに対して前方へ摺動することとなる。タブ210cを開口部204cに隣接した位置まで移動させると、タブ210cは、開口部204cより外側に延びるように、上向きに撓むこととなる。すると、肩部214cは第2縁部208cと干渉係合し、その結果、内装体190cが外装体180c内における逆向きに摺動するのを禁止する係止機構が作動する。
【0061】
さらなる針ホルダの実施態様を図18〜図21に示す。針ホルダ110dは、図5〜図6に関して説明した筒状中空体112と同様な筒状中空体に形成され、その内部を貫通する長穴220dを備えている。針ホルダ110dには、長穴220d内に延びる機構222dが設けられている。機構222dは、上述したとおり、針アセンブリの内側カニューレを軸線方向へ変位させるように、針アセンブリの駆動機構70と係合するような構成となっている。
【0062】
機構222dには、ユーザによって指操作されるタブ224dが設けられている。さらに、機構222dには、タブ224dから長穴220d内に延びる延長部226dが設けられている。延長部226dには、針アセンブリの駆動機構70と係合する係合面228dが形成されている。この実施態様において、針アセンブリ12の針先保護は、機構222dを矢印300方向に摺動させることによって行うことができる。このように、機構222dの係合面228dと駆動機構70の後面88が係合するように係合面228dに摺動力を付与することによって、駆動機構70は矢印300の方向に押されることとなる。これによって、上述したとおり、針アセンブリ12の針先保護機構が作動する。機構222dは、ユーザがタブ224dに対し矢印300の方向に僅かな押圧力を加えることによって容易に摺動させることができる。
【0063】
図21に明示する通り、一旦矢印300方向に移動した機構222dが逆方向に摺動するのを禁止する係止機構を針ホルダ110dに設けても良い。これは、開口部230dを設け、さらに、機構222dの下面にフィンガー部232dを設けることによって実現される。このようなフィンガー部232dを設けることによって、開口部230dの縁部と機構222dとが干渉係合し、その結果、機構222dの逆向き摺動が防止される。
【0064】
特に、図11〜図21に関して、上述した針ホルダは、第1待避位置と第2作動または保護位置との間を軸線方向に変位する保護(blunting member)部材などの作動機構を備えた如何なる種類の針アセンブリにも使用可能である。このような針ホルダは、上述した針アセンブリ12などの二重鈍端部を有する針アセンブリだけでなく、一端のみに保護(blunt)針を有する針アセンブリにも使用可能である。
【0065】
本発明の針アセンブリは、たとえば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポリスチレンなどを含むさまざまな種類の材料から大量生産される成形可能な部品で構成することができる。材料は、本発明の構造をその使用において適切に支持し、かつ、部品の相対的協働作用が与えられるように、ある程度の弾性力が付与されるような材料から選択するのが好ましい。
【0066】
本発明の針アセンブリは、血液採取システムに関して使用される一実施態様として説明したが、従来の針アセンブリと組み合わせて使用される従来技術に示すように、従来の静脈注射キットと組み合わせるなど、他の医療業務にも適用される。
【符号の説明】
【0067】
12 針アセンブリ
70 駆動部材(作動機構)
110c、110d 針ホルダ
180c 外装体
182c 第1端部
184c 第2端部
190c 内装体
192c 第1端部
194c 第2端部
196c 内側スペース(内側開口部)
202c 通路
210c タブ
214c 肩部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全採取アセンブリであって、
a)静脈穿刺端部と、非患者穿刺端部と、第1鈍端部を有する鈍端部材とを備え、該鈍端部材は、該静脈穿刺端部が該第1鈍端部を超えて延びる第1待避位置と、該第1鈍端部が該静脈穿刺端部を超えて延びる第2作動位置との間で該静脈穿刺端部に対して軸線方向へ変位自在に構成された駆動部材を有する安全針アセンブリと、
b)上記針アセンブリに取り付けられる第1端と、内側開口部を有する第2端とを有する外装体と、該外装体の内部で摺動可能に構成され、該静脈穿刺端部に対して該鈍端部材を軸線方向へ変位させるように駆動部材と係合する係合部を有する内装体とを含む針ホルダとを備え、
該内装体は、該外装体の一部を超えて外側へ突出する操作部と、採血管を収納するための内側開口部とを備えていることを特徴とする安全採取アセンブリ。
【請求項2】
針アセンブリは、該非患者穿刺端部に隣接した第2鈍端部をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の安全採取アセンブリ。
【請求項3】
該鈍端部材は、上記第1鈍端部を構成する第1端と、これと反対側で非患者穿刺端部を構成する第2端とを備え、上記第1待避位置と第2作動位置との間で該静脈穿刺端部に対して該鈍端部材が軸線方向に変位することによって、非患者穿刺端部が該第2鈍端部を超えて延びる第1待避位置と、該第2鈍端部が該非患者穿刺端部を超えて延びる第2作動位置との間で第2鈍端部に対して軸線方向に変位するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の安全採取アセンブリ。
【請求項4】
該内装体及び該外装体は、該駆動部材が第2作動位置とされた後に、外装体に対する内装体の移動を規制するように互いに係合する係合要素を備えていることを特徴とする請求項1に記載の安全採取アセンブリ。
【請求項1】
安全採取アセンブリであって、
a)静脈穿刺端部と、非患者穿刺端部と、第1鈍端部を有する鈍端部材とを備え、該鈍端部材は、該静脈穿刺端部が該第1鈍端部を超えて延びる第1待避位置と、該第1鈍端部が該静脈穿刺端部を超えて延びる第2作動位置との間で該静脈穿刺端部に対して軸線方向へ変位自在に構成された駆動部材を有する安全針アセンブリと、
b)上記針アセンブリに取り付けられる第1端と、内側開口部を有する第2端とを有する外装体と、該外装体の内部で摺動可能に構成され、該静脈穿刺端部に対して該鈍端部材を軸線方向へ変位させるように駆動部材と係合する係合部を有する内装体とを含む針ホルダとを備え、
該内装体は、該外装体の一部を超えて外側へ突出する操作部と、採血管を収納するための内側開口部とを備えていることを特徴とする安全採取アセンブリ。
【請求項2】
針アセンブリは、該非患者穿刺端部に隣接した第2鈍端部をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の安全採取アセンブリ。
【請求項3】
該鈍端部材は、上記第1鈍端部を構成する第1端と、これと反対側で非患者穿刺端部を構成する第2端とを備え、上記第1待避位置と第2作動位置との間で該静脈穿刺端部に対して該鈍端部材が軸線方向に変位することによって、非患者穿刺端部が該第2鈍端部を超えて延びる第1待避位置と、該第2鈍端部が該非患者穿刺端部を超えて延びる第2作動位置との間で第2鈍端部に対して軸線方向に変位するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の安全採取アセンブリ。
【請求項4】
該内装体及び該外装体は、該駆動部材が第2作動位置とされた後に、外装体に対する内装体の移動を規制するように互いに係合する係合要素を備えていることを特徴とする請求項1に記載の安全採取アセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−227616(P2010−227616A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147160(P2010−147160)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【分割の表示】特願2003−118849(P2003−118849)の分割
【原出願日】平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【分割の表示】特願2003−118849(P2003−118849)の分割
【原出願日】平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
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