説明

安全柵

【課題】ロック装置の解錠を行うキャップが取り付けられたまま、人が安全柵内に立ち入ることを確実に防止することができる安全柵を提供する。
【解決手段】解除操作部12に取り外し可能なキャップ10が設けられ、キャップ10を操作して解錠が可能なロック装置8Aにて出入口3を開閉する開閉扉4をロック可能な安全柵1において、開閉扉4Aのフレーム5に開閉可能に支持されるドア部6には、開閉扉4Aが閉じた状態においてキャップ10の周囲に配置され、解除操作部12にキャップ10が取り付けられたままドア部6が開けられるとキャップ10に引っかかるフック11Aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロック装置にて出入口を開閉する開閉扉をロック可能な安全柵に関する。
【背景技術】
【0002】
稼働中の装置に人が近付けないようにその装置の周囲に設けられる安全柵が知られている。このような安全柵には、メンテナンス時などに人が装置の周囲に立ち入ることが可能なように出入口が設けられ、その出入口にはインターロック装置でロックすることが可能な開閉扉が設けられている。このようなインターロック装置として、例えば、取り外し可能な持込みキーにより開閉扉のロックとロックの解除とを行い、開閉扉がロックされた状態では、持込みキーが取り外し不可、かつ、安全柵内の装置の起動が可能になり、開閉扉のロックが解除された状態では、持込みキーが取り外し可、かつ、安全柵内の装置の起動が不可となるインターロック装置が知られている(特許文献1参照)。また、取り外し可能なキャップ状のプラグにて開閉扉のロックを制御可能な安全装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献3が存在する。
【0003】
【特許文献1】特許第3668850号公報
【特許文献2】特許第3326542号公報
【特許文献3】特開平11−264269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置のようなロック装置は、持込みキーが装置本体に有るか否かで安全柵内に人が入っているか否かを判断可能なように安全柵内に人が入る場合はその人がロック装置の持込みキーを取り外してから安全柵内に入るようにルールを定めて使用されることがある。特許文献1の装置では、持込みキーにて開閉扉のロックを解除した後は、その持込みキーをロック装置本体に差したままで開閉扉を開閉できてしまう。そのため、ロック装置本体に持込みキーを取り付けたまま人が安全柵内に入ってしまう場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、ロック装置の解錠を行うキャップが取り付けられたまま、人が安全柵内に立ち入ることを確実に防止することができる安全柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の安全柵は、解除操作部(12)に取り外し可能なキャップ(10)が設けられ、前記キャップを操作して解錠が可能なロック装置(8A、8B)にて出入口(3)を開閉する開閉扉(4A、4B)をロック可能な安全柵において、前記開閉扉のフレーム(5)又は前記フレームに開閉可能に支持されるドア部(6)のいずれか一方には、前記開閉扉が閉じた状態において前記キャップの周囲に配置され、前記解除操作部に前記キャップが取り付けられたまま前記ドア部が開けられると前記キャップに引っかかるフック(11A、11B)が設けられている。
【0007】
この安全柵によれば、キャップが取り付けられたままドア部が開けられるとフックがキャップに引っかかるので、ドア部を開いた者にキャップが取り外されていないことを確実に気づかせることができる。このため、キャップが解除操作部に取り付けられたまま、人が安全柵内に立ち入ることを確実に防止することができる。また、このようにキャップが取り付けられたまま安全柵内に人が入ることが防止されるので、キャップが取り付けられているか否かで安全柵内に人がいるか否かを判断することができる。
【0008】
この安全柵の一態様において、前記キャップは、前記フックが引っかかると落下するように前記解除操作部に取り付けられていてもよい。この場合、確実にキャップの取り外しもれを防止できる。
【0009】
本発明の安全柵に設けられる開閉扉としては、例えば、前記開閉扉は、前記ドア部が前記フレームにヒンジ(7)で支持された開き戸であってもよいし、前記開閉扉は、前記ドア部が前記フレームにスライド可能に支持された引き戸であってもよい。
【0010】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、キャップが取り付けられたままドア部が開けられるとフックがキャップに引っかかるので、ドア部を開いた者にキャップが取り外されていないことを確実に気づかせることができる。このため、ロック装置の解錠を行うキャップが取り付けられたまま、人が安全柵内に立ち入ることを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の形態)
図1は本発明の第1の形態に係る安全柵1Aが周囲に設けられた機械装置2を示している。安全柵1Aは、稼働している機械装置2の周囲に人が立ち入ることを禁止するために設けられている。安全柵1Aには内部に人が出入りするための出入口3が設けられており、その出入口3には、開閉可能な開閉扉4Aが設けられている。開閉扉4Aは、フレーム5にドア部6がヒンジ7で前後に開閉可能に支持された開き戸として構成されている。また、出入口3には開閉扉4Aを閉じた状態にロックするためのロック装置8Aが取り付けられている。
【0013】
図2及び図3はロック装置8Aの拡大斜視図である。図2に示すように、ロック装置8Aは、装置本体9と、キャップ10と、フック11Aと、を備えている。なお、図2は装置本体9にキャップ10が取り付けられた状態を、図3は装置本体9からキャップ10が取り外された状態を、それぞれ示している。装置本体9は、フレーム5のヒンジ7が取り付けられている側の反対側、つまり、フレーム5の開閉される側に取り付けられている。図3に示すように、装置本体9には開閉扉4Aをロックするロック状態とそのロックを解除して開閉扉4Aを解錠する解錠状態との切り替えを操作する解除操作部12が設けられている。ロック装置8Aは、解錠状態では安全柵1A内の機械装置2を起動不可能とし、ロック状態では機械装置2を起動可能とするように構成されている。つまり、ロック装置8Aが解錠状態で出入口3から安全柵1A内に人の出入りが行える状態では機械装置2の稼働ができず、ロック装置8Aがロック状態で安全柵1A内に人の出入りが出来ない状態では機械装置2の稼働が可能となるように構成されている。解除操作部12の上部には凸部13が設けられている。
【0014】
キャップ10は、解除操作部12に着脱が可能であり、解除操作部12を操作するキーとして機能する。キャップ10は、解除操作部12に装着された状態で、右に回されるとロック装置8Aがロック状態となり、左に回されるとロック装置8Aが解錠状態となる。キャップ10には、解除操作部12に装着した場合に上部となる部分に解除操作部12の凸部13と係合する案内通路14と、案内通路14の先端から延びる係合溝15とが設けられている。案内通路14は凸部13が解除操作部12への着脱の妨げとならないようにキャップ10が解除操作部12に着脱される方向に延びている。また、係合溝15はロック装置8Aをロック状態にする操作の妨げとならないように案内通路14の先端からキャップ10の回転方向でキャップ10がロック装置8Aをロック状態にする方向に延びている。このため、凸部13が係合溝15に位置する状態、つまり、ロック装置8Aがロック状態の場合には凸部13が係合溝15に引っかかり、キャップ10の着脱方向への移動が阻止される。これにより、ロック装置8Aがロック状態の場合にはキャップ10の着脱方向への移動が阻止されるので、キャップ10は解除操作部12から取り外し不可となる。一方、ロック装置8Aが解錠状態の場合には解除操作部12の凸部13は案内通路14に位置し、着脱の妨げにならないので、キャップ10は解除操作部12から取り外し可能となる。また、キャップ10にはキャップ10を操作しやすくするためのノブ16が設けられている。
【0015】
フック11Aは、ドア部6に設けられており、その位置は装置本体9と対応している。フック11Aは、ドア部6の開閉動作にともなってドア部6と一体的に移動する。図4は、ロック装置8Aの要部の断面模式図である。図4に示すように、フック11Aには、ドア部6が閉じられた状態において解除操作部12の位置と一致する位置に孔17Aが設けられており、この孔17Aの径D1は解除操作部12の径Dsより大きい。このため、ドア部6が閉じられた状態では解除操作部12が孔17Aを通りぬけ解除操作部12の周りにフック11Aが配置される。また、フック11Aの孔17Aの径D1はキャップ10の径Dcより小さく形成されている。このため、キャップ10が解除操作部12に装着されている状態ではフック11Aがキャップ10に引っかかりドア部6を閉じることができない。つまり、フック11Aは、ドア部6がロックされる際には、解除操作部12に装着されたキャップと装置本体9との間に必ず介在し、キャップ10の周囲に配置されるように構成されている。
【0016】
この形態によれば、ドア部6がロックされる際には必ずキャップ10の周囲にフック11Aが配置される。また、フック11Aの孔17Aの径D1はキャップ10の径Dcより小さいので、キャップ10が解除操作部12に装着された状態でドア部6が開けられるとフック11Aもドア部6とともに移動しようとし、キャップ10に引っかかる。これにより、ドア部6を開けようとした人にキャップ10が取り外されていないことを確実に気づかせることができるので、キャップ10が取り付けられたまま人が安全柵1内に立ち入ることを確実に防止することができる。このため、キャップ10の取り外し忘れによって安全柵1A内に人がいる状態にもかかわらず機械装置2の起動がされることを防止することができる。
【0017】
また、ロック装置8Aがロック状態でありキャップ10が取り外し不可となっている場合、つまり、安全柵1A内に人の出入りが出来ない状態ではフック11Aがキャップ10に引っかかりドア部6を開くことができない。一方、ロック装置8Aが解錠状態でありキャップ10が取り外し可能な状態、つまり、安全柵1A内に人の出入りが可能な状態では、キャップ10が引っかかった状態でさらにドア部6を開く動作がされるとフック11Aの移動にともなってキャップ10が解除操作部12から取り外され、落下する。このため、キャップ10が解除操作部12に装着されたままドア部6が開かれることがない。従って、キャップ10の装着状態により安全柵1A内に人がいるか否かを判断することができる。
【0018】
尚、上記本発明の第1の形態では、フック11Aに設けられた孔17Aの径D1がキャップ10の径Dcより小さく形成されているが、このような構成に限定されるものではない。フック11Aに設けられた孔の径がキャップ10の径より大きくても、ドア部6を開く動作にともなって解除操作部12に取り付けられたキャップ10にフック11Aが引っかかる構成であればよい。例えば、ドア部6が開かれる動作でフック11Aがキャップ10の側面に引っかかる構成であっても、キャップ10に設けられたノブ16に引っかかる構成であってもよい。
【0019】
(第2の形態)
次に、本発明の第2の形態に係る安全柵について図5〜図7を参照して説明する。以下では、第1の形態と共通の構成には図5〜図7に同一符号を付して説明を省略する。図5は、本発明の第2の形態に係る安全柵1Bが周囲に設けられた機械装置2を示している。図5に示すように、第2の形態の出入口3に設けられた開閉扉4Bは、ドア部6がフレーム5に図5の矢印O方向及び矢印C方向にスライド可能に支持された引き戸として構成されている。
【0020】
図6及び図7は本発明の第2の形態に係る安全柵1Bのロック装置8Bの拡大図である。尚、図6はキャップ10が取り外された状態を、図7はキャップ10が取り付けられた状態を、それぞれ示している。図6に示すように、フック11Bは、ドア部6の開閉動作を妨げることがないように、開閉扉4Bが閉じられた状態において解除操作部12から一定の距離L1を保つように取り付けられている。このため、キャップ10が解除操作部12から取り外されている状態ではドア部6の開閉が可能である。フック11Bはドア部6から開閉方向と直交する方向に一定の距離L1延びた後、開閉方向に延びるL字状に形成されている。
【0021】
フック11Bの孔17Bの径D2はキャップ10の径Dcよりやや大きめに形成されており、図7に示したように開閉扉4Bが閉じられた状態において孔17Bを通してキャップ10が解除操作部12に装着されるように構成されている。キャップ10の解除操作部12に対して取り付けを行う方向の長さL2は、装置本体9とフック11Bとの間の距離L1よりも長い。このため、図7に示すように、開閉扉4Bが閉じられて解除操作部12にキャップ10が装着された状態では、フック11Bに対してキャップ10の一部が突出している。
【0022】
この形態によれば、開閉扉4Bが閉じられた状態で孔17Bを通してキャップ10が解除操作部12に装着された状態では、フック11Bに対してキャップ10の一部が突出している。このため、解除操作部12にキャップ10が装着された状態でドア部6を開く動作がされるとフック11Bがキャップ10に引っかかり、ドア部6を開くことができない。これにより、キャップ10の取り外しもれを確実に気づかせることができるので、キャップ10が解除操作部12に装着されたまま安全柵1内に人が入ることを確実に防止することができる。
【0023】
但し、本発明は上述の形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の形態にて実施できる。上記各形態では、出入口3のフレーム5に装置本体9が、ドア部6にフック11A、11Bが設けられているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、フレームにフックが、ドア部に装置本体が設けられる構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の形態に係る安全柵が周囲に設けられた機械装置を示す図。
【図2】本発明の第1の形態に係るロック装置のキャップが取り付けられた状態における拡大斜視図。
【図3】本発明の第1の形態に係るロック装置のキャップが取り外された状態における拡大斜視図。
【図4】本発明の第1の形態に係るロック装置の要部の断面模式図。
【図5】本発明の第2の形態に係る安全柵が周囲に設けられた機械装置を示す図。
【図6】本発明の第2の形態に係るロック装置の拡大図であってキャップが取り外された状態を示す図。
【図7】本発明の第2の形態に係るロック装置の拡大図であってキャップが取り付けられた状態を示す図。
【符号の説明】
【0025】
1A、1B 安全柵
3 出入口
4A、4B 開閉扉
5 フレーム
6 ドア部
8A、8B ロック装置
10 キャップ
11A、11B フック
12 解除操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解除操作部に取り外し可能なキャップが設けられ、前記キャップを操作して解錠が可能なロック装置にて出入口を開閉する開閉扉をロック可能な安全柵において、
前記開閉扉のフレーム又は前記フレームに開閉可能に支持されるドア部のいずれか一方には、前記開閉扉が閉じた状態において前記キャップの周囲に配置され、前記解除操作部に前記キャップが取り付けられたまま前記ドア部が開けられると前記キャップに引っかかるフックが設けられていることを特徴とする安全柵。
【請求項2】
前記キャップは、前記フックが引っかかると落下するように前記解除操作部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の安全柵。
【請求項3】
前記開閉扉は、前記ドア部が前記フレームにヒンジで支持された開き戸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の安全柵。
【請求項4】
前記開閉扉は、前記ドア部が前記フレームにスライド可能に支持された引き戸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の安全柵。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−156104(P2010−156104A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333672(P2008−333672)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)
【Fターム(参考)】