説明

安定剤としての液体ホスフィットブレンド

構造式(I)(式中、R、R及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基である)で表される少なくとも2種の異なるホスフィットの、周囲条件で液体であるブレンドを含む組成物を開示する。該組成物は、熱可塑性樹脂及びエラストマーを安定させるのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条のもと、2006年6月20日に出願した、「安定剤としての液体ホスフィットブレンド」という表題の米国仮特許出願第60/815819号への利益を主張する。
【0002】
本発明は、ポリマー樹脂組成物のためのホスフィット抗酸化剤の新規な混合物に関する。本発明はまた、ホスフィット抗酸化剤の前記の新規な液体混合物を含む、安定化樹脂組成物及び安定剤濃縮物にも関する。
【背景技術】
【0003】
有機ホスフィット(亜リン酸エステル)は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、及びエラストマーための二次抗酸化剤として当分野で知られている。そのような既知のホスフィットの例は、H. Zweifel(編集)のPlastics Additives Handbook、第5版、Hanser Publishers、ミュンヘン2000の中で挙げられている。最も広く使用されている有機ホスフィットの1つが、トリスノニルフェニルホスフィット(TNPP)であり、これは室温で液体である。しかし、ノニルフェノールはエストロゲン様作用を有することが疑われているため、TNPPを切り換える必要がある。さらに、TNPPは周囲条件で液体であるため、TNPPは、同様に周囲条件で液体であるホスフィットに切り換える必要がある。
【0004】
ホスフィット安定剤のブレンドは、液体及び固体の両方が当分野で知られている。
【0005】
米国特許第3948801号は、少なくとも1種のトリアリールホスフィット、トリアルキルホスフィット又はその混合物と、少なくとも1種の変性リグニンとを含み、ホスフィットと変性リグニンとの重量比が97/3〜10/90である、安定化組成物を開示している。変性リグニンは、求核剤の存在下でリグニンを加熱処理して、元のグアイアシル構造の一部分が、脱メチル反応を介してカテコールへと変換されることによって生成される。安定化組成物のエラストマー100部につき0.01〜5.0重量部を添加することによって、大気での劣化からエラストマーを保護すると言われている。
【0006】
米国公開特許出願第2003/0001136号及び米国特許第6824711号は、アリールホスフィット、アルキルホスフィット、アリール/アルキルホスフィット、ビスフェノール−Aホスフィット、ジアルキレングリコールホスフィット及びポリジアルキレングリコールホスフィット、ペンタエリスリトールホスフィット、p−クミルフェノールホスフィット、及びこれらのブレンドからなる群から選択される少なくとも1種のホスフィットエステルと、樹脂100部につき約50以上800ppm以下の亜鉛とを含む液体ポリマー添加剤組成物を開示している。安定剤は、毒性のある金属を含有する抗酸化安定化添加剤に対する完全な代替品又は部分的代替品のいずれかとして使用されている。
【0007】
米国公開特許出願第2004/0183054号は、アリールホスフィット、アルキルホスフィット、アリール/アルキルホスフィット、ビスフェノール−Aホスフィット、ジアルキレングリコールホスフィット及びポリジアルキレングリコールホスフィット、ペンタエリスリトールホスフィット、p−クミルフェノールホスフィットからなる群から選択されるホスフィットエステルと、樹脂100部につき50以上800ppm以下の亜鉛とのブレンドを含む液体ポリマー添加剤組成物を開示している。安定剤は、毒性のある金属を含有する抗酸化安定化添加剤に対する完全な代替品又は部分的代替品のいずれかとして使用されている。
【0008】
米国公開特許出願第2007/0021537は、溶融加工、熱老化及び天然ガスの燃焼生成物への曝露による有害な影響に対しポリオレフィン組成物を安定させるための方法であって、式I
【化1】


(式中、各Rは同じであるか又は異なり、炭素原子1〜8個の直鎖又は分枝鎖アルキルである)のトリス−(モノ−アルキル)フェニルホスフィットエステル又は式Iのホスフィットエステルの混合物で、25℃及び気圧1atmで液体であるホスフィットエステル又はホスフィットエステルの混合物の、安定させる有効量を、ポリオレフィンに組み込むか又は適用させる工程を含む方法を開示している。ポリオレフィン及び存在するホスフィットエステル又はホスフィットエステルの混合物並びにトリス−(モノ−アルキル)フェニルホスフィットの特定の混合物を含む安定化組成物も開示されている。このような液体ホスフィットエステル安定剤は、低密度ポリエチレンと特に相容性であると言われている。
【0009】
CA2464551号は、ポリエチレンフィルムをフェノールなしで安定させるための、それぞれが固体であるホスフィット成分の固体混合物を開示している。
【0010】
CZ280072号は、プロピレンポリマー用安定剤としてのホスフィット及びホスホニットの混合物を開示している。
【0011】
DE90−4001397号は、ポリマー用の熱安定剤としてのホスホニットエステル及びホスフィットエステルを開示している。
【0012】
JP05202236号は、耐熱性ポリオレフィン組成物の生成に有用であると言われているホスフィット及びホスホニットを含むブレンドを開示している。
【0013】
JP59030842号は、ポリオレフィン組成物の安定化に有用であると言われている固体ホスフィットを含む固体ホスフィットブレンドを開示している。
【0014】
RO112871号は、式(RRO)P(式中、R、R、R=CMePh、又はR=H、R、R=CMePh、又はR=R=H、R=CMePhである)の化合物を、フェノールのトリホスフィットと、4±0.3%のP及び0.5%のClを含有し、屈折率が1.5992であり、dが1.1400g/cmである流動性の黄色の液体からなる、モノ−、ジ−及びトリアリールアルキル化フェノールとの混合物として開示し、これはポリマー及びエラストマー用安定剤として有用であると言われている(データ無し)。該混合物は、フェノールと、分子量中央値300を有するモノ−、ジ−及びトリアリールアルキル化フェノールとの混合物により、PClを、アリールアルキルフェノールとフェノールとのモル比1:1〜1.5及びアリールアルキルフェノール+フェノールとPClとのモル比1:0.3〜0.4で、25〜40℃で0.5〜1.5時間の間撹拌しながら溶媒及び触媒なしに無水状態でエステル化し、次いで温度を90〜150℃へとゆっくりと上昇させ、温度を150〜180℃で2〜6時間維持し、150〜180℃で、2〜5時間、反応集合物に窒素をバブリングさせることによって、反応により形成したHClを除去し、次いで、不活性な窒素雰囲気中、10mmHg、175℃での蒸留で未反応の出発物質を除去することにより調製する。与えられた実施例の中では、α−メチルスチレンでフェノールをアルキル化することにより生成した989グラムの(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール混合物と、475グラムのフェノールとを25℃で撹拌しながら溶融し、383グラムのPClを1時間かけて滴加し、その後混合物を90℃にゆっくりと加熱し、90℃で1時間維持し、次いで150℃に加熱し、そのまま5時間維持し、その後、150℃で5時間、混合物に窒素をバブリングさせることにより、形成したHClを飛ばし、その後、175℃で10mmHgの気圧の窒素下での蒸留により、未反応のフェノールを取り除くことにより、4.14%のP及び0.5%のClを含有し、屈折率が1.5992であり、dが1.1400g/cmである黄色の液体である、トリフェニルホスフィット及び2−(α,α−ジメチルベンジル)フェノール、4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノール、2,6−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェノール及び2,4,6−トリス(α,α−ジメチルベンジル)フェノールのトリホスフィットとを含有する混合生成物1460グラムを得る。
【0015】
WO02070625号は、添加剤組成物として液体ホスフィット混合物を開示している。
【0016】
WO2001/062832号は、回転成形用ポリマー粒子への安定化添加剤の添加を開示している。
【0017】
WO2001062833号は、回転成形用ポリマー粒子のための安定化添加剤の添加に有用である有機ホスフィットとホスホニットの混合物を開示している。
【0018】
WO9303092号は、耐熱性ポリエステルポリカーボネートの成形組成物として、それぞれが固体であるホスフィット成分の固体混合物の使用を開示している。
【0019】
前述の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
樹脂用途での液体ホスフィット抗酸化剤への需要が継続して存在する。本発明は、抗酸化特性を有し、周囲条件すなわち大気圧及び室温において、液体の物理的形態で存在するホスフィットブレンド、好ましくはアリールホスフィットブレンドに関する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
新しい液体ホスフィットブレンドを構成する個々のアリールホスフィット成分は、室温で固体である。したがって、本発明は、このような個々が固体であるアリールホスフィット成分が本発明のホスフィットブレンドを構成する場合、このブレンドは周囲条件で液体の物理的形態であるという自明でない驚くべき発見に関する。
【0022】
本発明は、上述の液体ホスフィットブレンドを、三ハロゲン化リンと対応するアルキル化フェノールのブレンドとの直接反応により調製することができる方法にさらに関する。
【0023】
本発明は、このような液体ホスフィットブレンドの、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマー用の安定剤/抗酸化剤としての使用にも関する。
【0024】
より詳細には、本発明は、以下の構造式
【化2】


(式中、R、R、及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基である)で表される少なくとも2種の異なるホスフィットの、周囲条件で液体であるブレンドを含む組成物を対象とする。
【0025】
別の態様において、本発明は、
(A)ポリマー樹脂と、
(B)以下の構造式
【化3】


(式中、R、R、及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基である)で表される少なくとも2種の異なるホスフィットの、周囲条件で液体であるブレンドの、安定させる量
を含む安定化組成物を対象とする。
【0026】
別の態様において、本発明は、
(A)ポリマー樹脂と、
(B)以下の構造式
【化4】


(式中、R、R、及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基である)で表される少なくとも2種の異なるホスフィットの、周囲条件で液体であるブレンドの、安定させる量
を含む安定化組成物を含む製造物品を対象とする。
【0027】
さらに別の態様において、本発明は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーを安定させるための方法であって、前記熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーに、以下の構造式
【化5】


(式中、R、R、及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基である)で表される少なくとも2種の異なるホスフィットの、周囲条件で液体であるブレンドの、安定させる量を添加する工程を含む方法を対象とする。
【0028】
さらなる別の態様において、本発明は、以下の構造式
【化6】


(式中、R、R、及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基である)で表される少なくとも2種の液体ホスフィットの液体混合物を合成するための方法であり、PZ(式中、Zはハロゲンである)と、約5〜約95重量パーセントの固体のp−アルキル化フェノール、及びこれに対応して約95〜約5重量パーセントの固体のo,p−ジアルキル化フェノールを含む混合物とを反応させる工程を含む方法を対象とする。好ましくは、Zは塩素又は臭素であり、フェノール混合物とPZとのモル比は3:1であり、アルキル化フェノールのアルキル基は、炭素原子1〜6個の、直鎖又は分枝鎖アルキルである。より好ましくは、アルキル化フェノールのアルキル基は、炭素原子4〜5個の、直鎖又は分枝鎖アルキルであり、最も好ましくは、tert−ブチル又はtert−ペンチルである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
上述のように、本発明は、以下の構造式
【化7】


(式中、R、R、及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基である)で表される少なくとも2種の異なるホスフィットの、周囲条件で液体であるブレンドを含む組成物を対象とする。
【0030】
本発明の化合物に存在するアリール部分は、好ましくは炭素原子6〜18個の芳香族部分、例えば、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラシル、ビフェニル、テルフェニルなどであり、好ましくはフェニルである。そのような芳香族部分は、アルキル基の少なくとも1つで置換されていて、本発明の化合物の物理的特性及び安定させる特性に有意に不利な影響を与えない任意の置換基(複数可)によってさらに置換されていてもよい。
【0031】
アルキル置換基又はアリール部分の置換基は、炭素原子1〜18個のアルキル部分、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、前述の異性体などからなる群から選択される。好ましくは、そのようなアルキルの部分は、直鎖又は分枝であってよく、炭素原子1〜6個、より好ましくは炭素原子4又は5個を含む。最も好ましいのは、ブチル特にtert−ブチル及びペンチル基、特にtert−ペンチルである。
【0032】
好ましい実施形態において、R、R、及びRは、以下の構造式
【化8】


(式中、R、R及びRは、水素及びC〜Cのアルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びその異性体、例えば、イソプロピル、tert−ブチル、ネオペンチルなどからなる群から独立して選択されるが、但しR、R及びRのうちの少なくとも1つは水素でないものとする)で表される、独立して選択されるアルキル化アリール基である。R、R及びRは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びその異性体からなる群から選択されることが好ましいが、但しこの場合もやはりR、R及びRのうちの少なくとも1つは水素でないものとする。より好ましくは、R、R及び/又はRは、C又はCのアルキル、最も好ましくはtert−ブチル又はtert−ペンチルである。
【0033】
したがって、好ましい実施形態において、本発明は、以下の構造式
【化9】


[式中、R、R、及びRは、以下の構造式
【化10】


(式中、R、R及びRは、水素及びC〜Cのアルキルからなる群から独立して選択されるが、但しR、R及びRのうちの少なくとも1つは水素でないものとする)で表される、独立して選択されるアルキル化アリール基である]で表される
少なくとも2種の異なるホスフィットの、周囲条件で液体であるブレンドを含む組成物を対象とする。
【0034】
同様に、別の好ましい実施形態において、本発明は、
(A)ポリマー樹脂と、
(B)以下の構造式
【化11】


[式中、R、R、及びRは、以下の構造式
【化12】


(式中、R、R及びRは、水素及びC〜Cのアルキルからなる群から独立して選択されるが、但しR、R及びRのうちの少なくとも1つは水素ではないものとする)で表される、独立して選択されるアルキル化アリール基である]で表される
少なくとも2種の異なるホスフィットの、周囲条件で液体であるブレンドの、安定させる量
を含む安定化組成物を対象とする。
【0035】
さらなる別の好ましい実施形態において、本発明は、
(A)ポリマー樹脂と、
(B)以下の構造式
【化13】


(式中、R、R、及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基であり、
ホスフィットに存在するアルキル化アリール基のアリール部分は、炭素原子6〜18個の芳香族部分からなる群から独立して選択され、
アルキル化アリール基の各アリール基は、少なくとも1つの炭素原子1〜18個のアルキル基で置換されている)で表される
少なくとも2種の異なるホスフィットの、周囲条件で液体であるブレンドの、安定させる量
を含む安定化組成物を含む製造物品を対象とする。
【0036】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーを安定させるための方法であって、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーに、以下の構造式
【化14】


[式中、R、R、及びRは、以下の構造式
【化15】


(式中、R、R及びRは、水素及びC〜Cのアルキルからなる群から独立して選択されるが、但し、R、R及びRのうちの少なくとも1つは水素ではないものとする)で表される、独立して選択されるアルキル化アリール基である]で表される
少なくとも2種の異なるホスフィットの、周囲条件で液体であるブレンドを含む組成物の、安定させる量を添加する工程を含む方法を対象とする。
【0037】
上記の実施形態において、ブレンドは、記載した構造の少なくとも3種の異なるホスフィットを含むことが好ましく、少なくとも4種のそのような異なるホスフィットを含むことがより好ましい。
【0038】
本発明は、三ハロゲン化リンと対応するアルキル置換フェノール混合物とを、触媒を用いても用いなくても、直接反応させることにより液体ホスフィット混合物を作製できる方法にも関する。この方法の結果として得た反応生成物は、さらなる変更を行う必要なく本発明の液体ホスフィットブレンドを混合する代わりに、そのまま使用することができる。好ましい実施形態において本発明は、以下の構造式
【化16】


(式中、R、R、及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基である)で表される少なくとも2つの液体ホスフィットの液体混合物を合成するための方法であって、
(A)酸触媒の存在下で、フェノール化合物をアルケンでアルキル化する工程と、
(B)生成したアルキル化フェノールを触媒から分離する工程と、
(C)PZ(式中、Zはハロゲンである)と、約5〜約95重量パーセントの固体のp−アルキル化フェノール及びこれに応じて約95〜約5重量パーセントの固体のo,p−ジアルキル化フェノールを含む生成した混合物とを反応させる工程
を含む方法を対象とする。「フェノール化合物」とは、少なくとも1つのOH基を有するアリール部分、例えばフェニル、などであり、望ましい特性に不利な影響を与えない1種又は複数の追加の基でさらに置換されていてもよく、例えば、クレゾール、キシレノールなどを意味する。
【0039】
したがって、本発明の実施において用いられる、アリールホスフィット安定剤を調製するための好ましい手段は、三ハロゲン化リン、PZ、例えば、三塩化リン又は三臭化リンと、適切なアルキル化フェノール混合物とを反応させることによる。
【0040】
アルキル化フェノール混合物とPZとの間の反応は、溶媒を用いても用いなくても実施し得る。通常、PZをアルキル化フェノール混合物に添加しても、又はアルキル化フェノール混合物をPZに添加してもよい。好ましくは、PZを、約5〜150℃の温度を維持しながら、アルキル化フェノール混合物に添加する。これに続いて、反応混合物を1〜10時間の間保持する。この時間の間、HZガスが生成するが、その除去は気圧を減少させるか又は窒素などの不活性ガスを反応混合物上にスイープさせるかのいずれかによって行うことができる。典型的な減圧は、50mbarである。例えばHClに対しては、Clの全含有量が50ppm未満になるまで、この工程を遂行することになるであろう。通常、次に、5mbarの真空を維持しながら、温度を230℃まで、好ましくは約200℃までさらに上げることにより、任意の未反応のアルキル化フェノールを、反応混合物から除去できる。
【0041】
利用し得る望ましい溶媒は、中性溶媒である。典型的な溶媒は、トルエン、ヘプタン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、及びベンゼンである。好ましい溶媒は、塩化メチレン、ヘプタン、又はキシレンである。
【0042】
したがって、本発明の液体ホスフィットブレンドは直接の化学反応において得ることが好ましく、この反応においてアルキル置換されたフェノールの比はしかるべく調整される。反応方法の概略図は、以下の通りである
【化17】


(式中、m=3及びn=2である)。
【0043】
本発明の好ましい実施形態において、上記R基はすべて、tert−ブチル基又はtert−ペンチル基であり、したがって、そのようなブレンドの化合物は、トリス4−tert−ブチルフェニルホスフィット、トリス2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−tert−ブチルフェニルホスフィット、トリス4−tert−ペンチルフェニルホスフィット、トリス2,4−ジ−tert−ペンチルフェニルホスフィット、ビス(4−tert−ペンチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ペンチルフェニルホスフィット、及びビス(2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル)−4−tert−ペンチルフェニルホスフィットからなる群から選択される。
【0044】
上述のように、ホスフィット抗酸化剤の混合物が、室温で液体の物理的形態であることが本発明の特徴である。従来技術で教示されたいくつかの例では、ホスフィット安定剤はそれ自体が室温で固体であり、その混合物もまた固体である(JP59030842号、WO9303092号、CA2464551号を参照)ことから考えると、これは明らかに驚くべきことである。本発明において、ホスフィット安定剤のブレンドは、個々の成分は固体として知られているにもかかわらず液体を形成する。
【0045】
したがって、上記の概略図において、液体ホスフィットブレンドは、4つの主なホスフィット成分、トリス4−tert−ブチルフェニルホスフィット、トリス2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、及びビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−tert−ブチルフェニルホスフィットを含むことができる。しかし、例えば、トリスtert−ブチルフェニルホスフィット成分は、融点が75〜76℃(Kosalopoff、「有機リン化合物(Organic Phosphorus Compounds)」、Wiley Interscience、Vol. 5、pg 163)であることが当分野で知られている。同様に、トリス2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィットは、mp=181〜184℃(Aldrich catalog #441791)の固体であることが当分野で知られている。同様に、ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィットの融点は63〜65℃である。同様に、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−tert−ブチルフェニルホスフィットの融点は、100〜103℃である。
【0046】
本明細書に参照により組み込まれているHechenbleiknerらの米国特許第3056823号に開示されているようなエステル交換方法を使用することもできる。具体的には、Hechenbleiknerらにより記載された方法は、少量ではあるが触媒として有効な量の金属アルコレート又は金属フェノレートの存在下で、トリアリールホスフィットを、モノヒドロキシ炭化水素でエステル交換することを含む。
【0047】
汚染を回避するため、エステル交換する特定のアルコールのアルコレートを利用する。予め形成させたアルコレートを使用する代わりに、トリアリールホスフィットを添加する前に、例えば、ナトリウム、カリウム又はリチウムなどの金属を、アルコールに添加することにより、アルコレートをその場で形成させることができる。モノアルコールとトリアリールホスフィットとは、モル比で3モルのアルコールと、1モルのトリアリールホスフィットとを反応させる。
【0048】
本発明は、アルキル化フェノールの適切な混合物を作製するための方法にも関する。したがって、多くの知られた触媒のうちの任意のもの(酸粘土、カチオンイオン交換樹脂、硫酸などのブレンステッド酸、BFなどのルイス酸)を用いて、フェノール(又はクレゾール又はp−tert−ブチルフェノールのようにすでにアルキル化されたフェノール)と、好ましくはより低いアルケン(C〜C、より好ましくはC〜C)とを反応させることにより、混合したアルキル化フェノールを得るが、この混合物の組成物はアルキル化、温度などの度合いを変えることにより修正することができる。
【0049】
本発明はさらに、フェノールがより低いアルケンの混合物で、平行して(アルケンA及びBを同時に供給)又は連続的に(すなわちアルケンA、続いてアルケンBでアルキル化)のいずれかでアルキル化されている、混合したアルキル化フェノールの供給原料(前記ホスフィットブレンドの合成用)を提供することにも関する。
【0050】
本発明は、安定化熱可塑性樹脂又はエラストマー樹脂にさらに関連し、これら樹脂においては、一成分は、液体のアリールホスフィットブレンドを含み、もう一方の成分は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルなどのポリマーを含む。
【0051】
本発明のアルキル化アリールホスフィットブレンドで安定させたポリマーは、当分野で知られている任意の熱可塑性の、例えば、ポリオレフィンのホモポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、スチレン系ポリマー及びコポリマー、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、ポリアミド、ポリアセタール及びハロゲン化物含有ポリマーであってよい。異なるポリマーの混合物、例えばポリフェニレンエーテル/スチレン系樹脂のブレンド、ポリ塩化ビニル/ABS又は他の強化ポリマー、例えばメタクリロニトリル及びα−メチルスチレン含有ABSなど、及びポリエステル/ABS又はポリカーボネート/ABS及びポリエステルに他の強化剤を加えたものも使用し得る。そのようなポリマーは市販されているものでも、当分野で周知の手段で作製してもよい。しかし、本発明の安定剤組成物は、熱可塑性ポリマーが極度な温度で加工及び/又は使用されることが多いため、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル及びスチレン系ポリマーなどの熱可塑性ポリマーに特に有用である。
【0052】
モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン−1、ポリイソプレン、又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィンのポリマー、例えばシクロペンテン又はノルボルネン、ポリエチレン(任意選択で架橋していてもよい)のポリマー、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及び線状低密度ポリエチレン(LLDPE)などを使用し得る。このようなポリマーの混合物、例えば、ポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)及び異なる種類のポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)も使用し得る。モノオレフィン及びジオレフィン相互のコポリマー、又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレン、LLDPE及びこれとLDPEとの混合物、プロピレン/ブテン−1、エチレン/ヘキセン、エチレン/エチルペンテン、エチレン/ヘプテン、エチレン/オクテン、プロピレン/イソブチレン、エチレン/ブタン−1、プロピレン/ブタジエン、イソブチレン、イソプレン、エチレン/アルキルアクリレート、エチレン/アルキルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル(EVA)又はエチレン/アクリル酸コポリマー(EAA)及びそれらの塩(イオノマー)、並びにエチレンとプロピレンとジエン、例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデンノルボルネンなどとのターポリマー、さらにそのようなコポリマーの混合物及びこれらと上述のポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレンプロピレンコポリマー、LDPE/EVA、LDPE/EAA、LLDPE/EVA、及びLLDPE/EAAも有用である。
【0053】
オレフィンポリマーは、例えば、チーグラーナッタ触媒の存在下で、任意選択で、例えば、MgCl、クロム塩及びその錯体、シリカ、シリカアルミナなどの支持体上でオレフィンを重合することによって生成し得る。オレフィンポリマーは、クロム触媒又は単一部位の触媒、例えば、メタロセン触媒、例えば、Ti及びZrなどの金属のシクロペンタジエン錯体などを利用することによっても生成し得る。当業者であれば容易に認識するように、本明細書中で使用するポリエチレンポリマー、例えば、LLDPEは、様々なコモノマー、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンのコモノマーなどを含有できる。
【0054】
ポリマーは、スチレン系ポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリ−(p−メチルスチレン)、ポリ−(α−メチルスチレン)など、スチレン又はα−メチルスチレンとジエン又はアクリル系誘導体とのコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/マレイミド、スチレン/ブタジエン/エチルアクリレート、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレートなど、スチレンコポリマーと他のポリマー、例えば、ポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンのターポリマーなどとの耐衝撃性混合物、スチレンのブロックコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレンスチレンなども含み得る。
【0055】
スチレン系ポリマーは、追加的又は代替的にスチレン又はα−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエン上のスチレン、ポリブタジエン−スチレン又はポリブタジエン−アクリロニトリル上のスチレン;ポリブタジエン及びそのコポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエン上のスチレン及び無水マレイン酸又はマレイミド;ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸又はマレイミド;ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート、ポリブタジエン上のスチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレート、エチレン/プロピレン/ジエンのターポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル、ポリアクリレート又はポリメタクリレート上のスチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンのコポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル、並びに上に示したスチレン系コポリマーとの混合物を含んでもよい。
【0056】
ニトリルポリマーも本発明のポリマー組成物に有用である。これらは、アクリロニトリル及びその類似体のホモポリマー及びコポリマー、例えば、ポリメタクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル/ブタジエンポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートポリマー、アクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンポリマー、及びスチレン系ポリマーに関して上述した様々なABS組成物を含む。
【0057】
アクリル酸系、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリル酸及びエタクリン酸並びにそのエステルをベースにしたポリマーも使用し得る。このようなポリマーは、ポリメチルメタクリレート、及びアクリロニトリル系モノマーの全部又は一部がアクリル酸エステル又はアクリル酸アミドによって置き換えられたABS型グラフトコポリマーを含む。アクロレイン、メタアクロレイン、アクリルアミド及びメタクリルアミドなどの他のアクリル系モノマーを含めたポリマーも使用し得る。
【0058】
ハロゲン含有ポリマーもまた有用である。これらは、ポリクロロプレン、エピクロロヒドリンのホモポリマー及びコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、フッ化ポリビニリデン、臭素化ポリエチレン、塩素化ゴム、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル/エチレンコポリマー、塩化ビニル/プロピレンコポリマー、塩化ビニル/スチレンコポリマー、塩化ビニル/イソブチレンコポリマー、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル/スチレン/無水マレイン酸ターポリマー、塩化ビニル/スチレン/アクリロニトリルコポリマー、塩化ビニル/ブタジエンコポリマー、塩化ビニル/イソプレンコポリマー、塩化ビニル/塩素化プロピレンコポリマー、塩化ビニル/塩化ビニリデン/酢酸ビニルターポリマー、塩化ビニル/アクリル酸エステルコポリマー、塩化ビニル/マレイン酸エステルコポリマー、塩化ビニル/メタクリル酸エステルコポリマー、塩化ビニル/アクリロニトリルコポリマー及び内部で可塑化したポリ塩化ビニルなどの樹脂を含む。
【0059】
他の有用なポリマーは、環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はこれらとビス−グリシジルエーテルのコポリマー;ポリアセタール、例えば、ポリオキシメチレン及びエチレンオキシドをコモノマーとして含有するポリオキシメチレンなど;熱可塑性のポリウレタン、アクリレート又はメタクリロニトリル含有のABSで変性したポリアセタール;ポリフェニレンオキシド及びポリフェニレンスルフィド、並びにポリフェニレンオキシドとポリスチレン又はポリアミドとの混合物;ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン;ジカルボン酸及びジオールから、ならび/又はヒドロキシカルボン酸又は相当するラクトンから誘導されるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4ジメチルオール−シクロヘキサンテレフタレート、ポリ−2(2,2,4(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン)テレフタレート及びポリヒドロキシベンゾエートなど、さらにヒドロキシル末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロックコポリエーテルエステルを含む。
【0060】
ビスアミン及びジカルボン酸から、並びに/又はアミノカルボン酸又はそれに相当するラクタムから誘導されるポリアミド及びコポリアミド、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12及び4/6、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンビスアミン及びアジピン酸の縮合によって得た芳香族ポリアミドなど;ヘキサメチレンビスアミン及びイソフタル酸又は/及びテレフタル酸並びに任意選択で変性剤としてのエラストマーから調製するポリアミド、例えば、ポリ−2,4,4トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミドなどが有用であり得る。さらに上述のポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー又は化学的に結合若しくはグラフトしたエラストマーとのコポリマー、又は上述のポリアミドとポリエーテル、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール若しくはポリテトラメチレングリコールなどとのコポリマー、並びにEPDM又はABSで変性したポリアミド又はコポリアミドも使用し得る。
【0061】
ポリオレフィン、ポリアルキレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル及びスチレン系樹脂、並びにこの混合物がより好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテルホモポリマー及びコポリマー、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネート及びABS型グラフトコポリマー及びこれらの混合物が特に好ましい。
【0062】
本明細書で使用する場合、本発明のホスフィットブレンドの「安定させる量」又は「有効量」は、本発明のホスフィットを含有するポリマー組成物が、本発明のホスフィットを含まない類似のポリマー組成物と比較して、物理的又は色のいかなる特性においても改善した安定性を示すことを意味する。改善した安定性の例は、例えば、溶融加工、風化、並びに/又は長期の現場での熱、光、及び/若しくは他の要素への曝露による、例えば、分子量の低下、色の劣化などに対し、安定化が改善されたことを含む。一例において、改善した安定性とは、例えば、最初の黄色度指数(YI)又は黄変及び変色に対する抵抗で測定した場合、安定化添加剤なしの組成物と比較して、最初の色がより低いか又は風化への抵抗が増しているかのうちの1つ又は両方を意味する。
【0063】
本発明は、安定化熱可塑性樹脂にさらに関し、このような樹脂は、一成分が液体アリールホスフィットブレンドを含み、もう一方の成分がポリオレフィンなどのポリマーを含み、前記液体ホスフィットブレンドが補助安定剤、例えば、フェノール類、芳香族アミン、ヒドロキシルアミン、アルキルアミン−N−オキシド、ラクトン、及びチオエーテルなどと共に使用される。
【0064】
したがって、本発明のホスフィットブレンドにより安定化した熱可塑性樹脂は、フェノールの抗酸化剤、ヒンダードアミン安定剤、紫外線吸収体、ホスフィット、ホスホニット、脂肪酸のアルカリ金属塩、ヒドロタルサイト、金属酸化物、エポキシ化した大豆油、ヒドロキシルアミン、三級アミンオキシド、ラクトン、三級アミンオキシドの熱反応生成物及びチオ相乗剤からなる群から選択される追加の安定剤又は安定剤の混合物を任意選択で含有してもよい。
【0065】
したがって、出来上がった安定化ポリマー樹脂組成物は、以下のような様々な従来の添加剤も任意選択で含有する。
【0066】
抗酸化剤:抗酸化剤は、アルキル化モノフェノール、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6ジメチルフェノール、2,6−ジ−オクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6,−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノールを含み得る。アルキル化ヒドロキノン、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミル−ヒドロキノン、2,6ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノールなども抗酸化剤として使用し得る。
【0067】
使用する抗酸化剤は、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば、2,2’−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオ−ビス−(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、及び4,4’−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)も含み得る。
【0068】
アルキリデン−ビスフェノール、例えば2,2’−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニル−フェノール)。2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、4,4’メチレン−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェノール)ブタン、2,6−ジ−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ2−メチルフェニル)−3−ドデシル−メルカプトブタン、エチレングリコール−ビス−(3,3−ビス−(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−ブチレート)−ジ−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−ジシクロペンタジエン、ジ−(2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル)テレフタレート、及びビスフェノールのモノアクリレートエステルなどの他のフェノール、例えば、エチリジエンビス−2,4−ジ−t−ブチルフェノールモノアクリレートエステル及び3−5ジブチルヒドロキシフェニルプロピオン酸のエステルなどを抗酸化剤として使用し得る。特に興味深いフェノール抗酸化剤は、n−オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、ジ−n−オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、チオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,6−ジオキサオクタメチレンビス(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、3,5−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシトール、ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、1−(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキシアニリノ)−3,5−ジ(オクチルチオ)−s−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナムアミド)、カルシウムビス(エチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート)、エチレンビス[3,3−ジ(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、オクチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジド、及びN,N’−ビス−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ)エチル]−オキサミドからなる群から選択される。
【0069】
使用し得る他の抗酸化剤は、ベンジル化合物、例えば1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−メルカプトアセテート、ビス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオール−テレフタレート、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4,10ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ジオクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、モノエチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸塩のカルシウム塩及び1,3,5−トリス−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートを含む。
【0070】
アシルアミノフェノールは、例えば、4−ヒドロキシ−ラウリン酸アニリド、4−ヒドロキシ−ステアリン酸アニリド、2,4−ビス−オクチルメルカプト−6−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−s−トリアジン、及びオクチル−N−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメートなどを抗酸化剤として使用し得る。
【0071】
β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロピオン酸と一価アルコール又は多価アルコールとのエステル、例えば、メタノール、ジエチレングリコール、オクタデカノール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、チオジエチレングリコール、及びジヒドロキシエチルシュウ酸ジアミドも抗酸化剤として使用し得る。
【0072】
抗酸化剤は、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4ヒドロキシフェノール)−プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、及び N,N’−ジ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヒドラジンも含み得る。
【0073】
UV吸収剤及び光安定剤は、2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、例えば、5’−メチル−、3’5’−ジ−tert−ブチル−、5’−tert−ブチル−、5’(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−、5−クロロ−3’、5’−ジ−tert−ブチル−、5−クロロ−3’−tert−ブチル−5’−メチル−3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチル−、4’−オクトキシ、3’,5’−ジ−tert−アミル−3’,5’−ビス−(α、α−ジメチルベンジル)−誘導体を含み得る。2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン、例えば、4−ヒドロキシ−4−メトキシ−、4−オクトキシ、4−デシルオキシ−、4ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ、4,2’,4’−トリヒドロキシ−及び2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体もUV吸収剤及び光安定剤として使用し得る。UV吸収剤及び光安定剤は、置換及び非置換の安息香酸のエステル、例えば、フェニルサリチレート、4−tert−ブチルフェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス−(4−tert−ブチルベンゾイル)−レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−tert−ブチル−フェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、及びヘキサデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートも含む。
【0074】
アクリレート、例えば、α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリル酸−エチルエステル又は−イソオクチルエステル、α−カルボメトキシ−桂皮酸メチルエステル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−桂皮酸−メチルエステル又は−ブチルエステル、α−カルボメトキシ−p−メトキシ−桂皮酸メチルエステル、及びN−(β−カルボメトキシ−β−シアノ−ビニル)−2−メチル−インドリンをUV吸収剤及び光安定剤として使用し得る。
【0075】
UV吸収剤及び光安定剤の他の例は、ニッケル化合物、例えば、2,2’−チオ−ビス(4−(1,1,1,3−テトラメチルブチル)−フェノール)のニッケル錯体など、例えば任意選択でn−ブチルアミン、トリエタノールアミン又はN−シクロヘキシル−ジエタノールアミンなどの追加の配位子を有する1:1又は1:2の錯体、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスホン酸のメチル、エチル、又はブチルのエステルなどのモノアルキルエステルのニッケル塩、2−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルウンデシルケトキシムなどのケトキシムのニッケル錯体、任意選択で追加の配位子を有する1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシ−ピラゾールのニッケル錯体を含む。
【0076】
立体障害性アミン、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−セバケート、ビス−5(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−セバケート、n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロン酸ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジル)エステル、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N’−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−s−トリアジンとの縮合生成物、トリス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−ニトリロトリアセテート、テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラ−アルボン酸、1,1’(1,2−エタンジイル)−ビス−(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)をUV吸収剤及び光安定剤として使用し得る。このようなアミンは、通常HALS(Hindered Amine Light Stabilizers;ヒンダードアミン光安定剤)と呼ばれ、ブタンテトラカルボン酸2,2,6,6−テトラメチルピペリジノルエステルを含む。そのようなアミンは、ヒンダードアミン、例えば、ジ(1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾキシピペリジン、1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ)−ピペルジン(piperdine)、及びN−(1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−εカプロラクタムなどから誘導されたヒドロキシルアミンを含む。
【0077】
UV吸収剤及び光安定剤は、シュウ酸ジアミド、例えば、4,4’−ジ−オクチルオキシ−オキサニリド、2,2’−ジ−オクチルオキシ−5’,5’−ジtert−ブチルオキサニリド、2,2’−ジ−ドデシルオキシ−5’,5’ジ−tert−ブチル−オキサニリド、2−エトキシ−2’−エチル−オキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−オキサルアミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エチルオキサニリド及び2−エトキシ−2’−エチル−5,4−ジ−tert−ブチルオキサニリドとのその混合物及びオルト−及びパラ−メトキシ−二置換オキサニリド、並びにo−及びp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物も含み得る。
【0078】
UV吸収剤及び光安定剤は、例えば2,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−4−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン、2,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−s−トリアジン;5 2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−6−フェニル−s−トリアジン;2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−6−(4−ブロモ−フェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル)−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1−s−トリアジンのようなヒドロキシフェニル−s−トリアジンも含む。
【0079】
例えば、N,N’−ジフェニルシュウ酸ジアミド、N−サリチラル−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ハイドロフェニルプロピオニル)−2−ヒドラジン、サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、及びビス−ベンジリデン−シュウ酸ジヒドラジドのような金属不活性化剤も使用し得る。
【0080】
例えば、トリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニル−フェニル)ホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリスリトールジホスフィット、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスフィット、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−クミル)ペンタエリトリトールジホスフィット、トリステアリルソルビトールトリホスフィット、及びテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニルエンジホスホニットのようなホスフィット及びホスホニットを、本発明のホスフィットに加えて本発明の一部の実施形態において使用し得る。
【0081】
例えば、β−チオジプロピオン酸のエステル、例えば、ラウリル、ステアリル、ミリスチル又はトリデシルのエステル、メルカプトベンズイミダゾール又は2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、亜鉛ジブチルジチオカルバメート、ジオクタデシルジスルフィド、及びペンタエリスリトールテトラキス−(β−ドデシルメルカプト)−プロピオネートのような過酸化物捕捉剤を使用し得る。
【0082】
ヒドロキシルアミン、例えば、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、及び水素化牛脂アミンから誘導されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンも本発明の一部の実施形態において使用し得る。
【0083】
ニトロン、例えば、N−ベンジル−α−フェニルニトロン、N−エチル−α−メチルニトロン、N−オクチル−α−ヘプチルニトロン、N−ラウリル−α−ウンデシルニトロン、N−テトラデシル−α−トリデシルニトロン、N−ヘキサデシル−α−ペンタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−ヘキサデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ペンタデシルニトロン、N−ヘプタデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ヘキサデシルニトロン、及び水素化牛脂アミンから誘導されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンから誘導されたびニトロンも使用し得る。
【0084】
ポリアミド安定剤、例えば、銅塩とヨウ化物及び/又はリン化合物の組合せ及び2価のマンガン塩。
【0085】
塩基性補助安定剤、例えば、メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属塩とアルカリ土類金属塩、例えば、ステアリン酸Ca、乳酸ステアロイルカルシウム、乳酸カルシウム、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、例えば、リシノール酸Na及びパルミチン酸K、ピロカテコール酸アンチモン又はピロカテコール酸亜鉛、さらに中和剤、例えばヒドロタルサイト及び合成のヒドロタルサイト、並びにLi、Na、Mg、Ca、及びAlのヒドロキシ炭酸塩なども含めて、本発明の他の実施形態において使用してもよく、MgZnのヒドロキシ炭酸塩、MgAlのヒドロキシ炭酸塩及びAlZnのヒドロキシ炭酸塩、並びにZnO、MgO、及びCaOなどの金属酸化物も使用し得る。
【0086】
核剤、例えば、4−tert−ブチル安息香酸、アジピン酸、ジフェニル酢酸、メチレンビス−2,4−ジブチルフェニルのナトリウム塩、環状リン酸エステル、ソルビトールトリス−ベンズアルデヒドアセタール、及びビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸のナトリウム塩又はエチリデンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸のNa塩も一部の実施形態において使用し得る。
【0087】
充填剤及び強化剤は、例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物と水酸化物、カーボンブラック及びグラファイトを含み得る。
【0088】
他の添加剤は、例えば、可塑剤、エポキシ化大豆油などのエポキシ化植物油、潤滑剤、乳化剤、顔料、蛍光増白剤、防炎加工剤、帯電防止剤、発泡剤及び、例えばジラウリルチオジプロピオナート又はジステアリルチオジプロピナートなどのチオ相乗剤であってよい。
【0089】
本明細書に記載されている添加剤及び安定剤は、組成物の安定性を改善するのに有効な量で存在するのが好ましい。上述の添加剤及び安定剤の1つを利用する場合、その量は一般的に樹脂の重量に対して約5重量パーセント未満であり、好ましくは樹脂の重量に対して少なくとも約50ppmである。本発明の安定剤の組合せは、ポリマーにいくつかの押出し成形を行ったとしても、樹脂を特に高温処理の間安定させ、メルトインデックス及び/又は色には比較的ほとんど変化が生じない。樹脂から造形品を製造する前の都合のよい任意の段階で、従来の技法により、樹脂に即効性の安定剤を容易に取り込むことができる。例えば安定剤は、乾燥粉末の形態の樹脂と混合してもよいし、又は安定剤の懸濁液若しくは乳濁液をポリマーの溶液、懸濁液、又は乳濁液に混合してもよい。本発明の安定化組成物は、約0.001〜約5%、好ましくは約0.0025〜約2%、特に約0.005%〜約1%の重量の様々な従来の添加剤、例えばこれまで記載してきたもの又はその混合物も任意選択で含有し得る。
【0090】
本発明の安定剤は、ポリマー樹脂にいくつかの押出し成形を行ったとしても、特に高温処理においてのメルトインデックス及び/又は色の変化に対して、ポリマー樹脂組成物の安定化を都合よく補助する。樹脂から造形品を製造する前の都合のよい任意の段階で、従来の技法により、樹脂組成物に本発明の安定剤を容易に取り込むことができる。例えば安定剤は、乾燥粉末の形態の樹脂と混合してもよいし、又は安定剤の懸濁液若しくは乳濁液をポリマーの溶液、懸濁液、又は乳濁液に混合してもよい。
【0091】
本発明の組成物は、成分と、配合物に所望される任意の追加材料とを密に混合することを含む方法など、様々な方法で調製することができる。適切な手順は、溶液ブレンド及び溶融ブレンドを含む。商業的なポリマー加工施設においては溶融ブレンド装置が利用可能であるため、溶融加工手順が一般に好ましい。このような溶融混合方法に使用される装置の例は、共回転型及び逆方向回転型の押出機、単軸スクリュー押出機、ディスク−パックプロセッサ及び様々な他の種類の押出し成形装置を含む。いくつかの例において、混ぜ合わせた材料は、ダイの中の小さな射出穴を介して押出機から射出され、生成した溶融した樹脂のストランドは、水浴を通過させることにより冷却する。冷却したストランドは、小さなペレットに切断され、包装及びさらなる処理が行われる。
【0092】
すべての成分は、加工システムの最初に加えてもよいし、さもなければ特定の添加剤を互いに、若しくはポリマー樹脂の一部分に事前に混ぜ合わせることによって安定剤の濃縮物を作製してもよい。さらに少なくとも1つの空気流通口を利用することによって、溶融物を通気させる(大気又は真空のいずれかで)ことが有利な場合もある。当業者は、不当な追加実験を行うことなしにブレンドの時間及び温度、並びに成分の添加位置及び順序を調整することができるであろう。
【0093】
本発明の安定剤は、樹脂を造形品へと成形加工する前に、従来の技法によって、ポリマー樹脂に有利に取り込み得る一方で、即効性の安定剤を局所的な適用により完成品に適用することも可能である。製品は、即効性の安定剤の化合物及び樹脂を含んでもよく、例えば、ヘッドランプカバー、屋根板、電話機カバー、航空機の内装、ビル内装、コンピュータ及び事務機器の筺体、自動車パーツ、並びに家庭電化製品へと作製してもよい。製品は、押出し成形、射出成形、回転成形、圧縮、及び他の方法によって作製し得る。これは、ファイバーへの用途に特に有用であり得るが、この用途においては、即効性の安定剤が局所的に、例えば、溶融スピン加工の最中にスピン仕上げによりファイバーに適用される。
【0094】
さらなる詳細なしに、当業者は本明細書中の記述を用いて、本発明を最大限に利用することができると考えられている。以下の例は、権利が主張されているこの発明を当業者が実施するための追加的指導を提供するために含まれている。提供された例は、単に本出願の教示に寄与する代表的な作業でしかない。したがって、このような実施例は、付随する特許請求の範囲に定義されているように、いかなる方法によっても、本発明を限定することを意図していない。
【実施例】
【0095】
(例1)
ブチル化フェノールアルキレートの合成
フェノール(188.4グラム、2.00モル)及びFulcat22B触媒(1.41グラム)をオイルジャケット付きフラスコに仕込み、窒素下で110℃に加熱した。イソブチレン(180.5グラム、3.21モル)を、焼結ガラスフリットを介してフェノールの表面下に4.5時間かけて均一速度で加えた。その添加が完了した後、反応集合物は、1時間の間ジャケット温度110℃で維持した。反応集合物を濾過し、フェノールの濾液を採取した。ブチル化フェノールアルキレートを減圧蒸留することにより、フェノール含有量を0.25%未満に、含水量を50ppm未満に減少させた。収量=290.3グラム。
【0096】
(例2)
例1により得たブチル化フェノールアルキレートからのホスフィットの合成
ブチル化フェノールアルキレート(152.4グラム、0.971モル)をオイルジャケット付きフラスコに仕込み、窒素下で85℃に加熱した。PCl(40.4グラム、0.294モル)をフェノールの表面下に3時間かけて均一速度で加えた。添加の間温度を150℃に上げた。HClの発生が停止するまで反応集合物を150℃で維持し、次いで1時間以上200℃に加熱し、一方で気圧を1000から50mbarに下げた。Clの総含有量が50ppm未満になるまで反応物を200℃/50mbarで維持した。フェノール過剰分を、気圧1mbar及び内部温度250℃(蒸気温度145℃)の下で、蒸留で取り除いた。収量=115.9グラム。
【0097】
例2により得たホスフィット混合物の温度対粘度の分析結果
【表1】

【0098】
(例3)
フェノール成分から構成される2:1 4−tert−ブチルフェノール/2,4−ジ−tert−ブチルフェノール混合物からのホスフィットの合成
4−tert−ブチルフェノール(176.6グラム、1.18モル)及び2,4−ジ−tert−ブチルフェノール(121.3グラム、0.59モル)をオイルジャケット付きフラスコに仕込み、窒素下で80℃に加熱した。PCl(73.4グラム、0.53モル)をフェノールの表面下に、2時間かけて均一速度で加えた。添加の間温度を150℃に上げた。HClの発生が停止するまで反応集合物を150℃で維持し、次いで1時間以上200℃に加熱し、一方で気圧を1000から70mbarに下げた。Clの総含有量が50ppm未満になるまで反応物を200℃/70mbarで維持した。次いでフェノール過剰分を、気圧8mbar及び内部温度200℃の下で、蒸留で取り除いた。収量=279.3グラム。この生成物を本明細書ではこれより以下液体ホスフィットP−2と呼ぶことにする。
【0099】
例3により得たホスフィット混合物の温度対粘度の分析結果
【表2】

【0100】
(例4)
混合したアミル/ブチルフェノールの合成
フェノール(105グラム、1.12モル)及びFulcat22B触媒(2.25グラム)をオイルジャケット付きフラスコに仕込み、窒素下で130℃に加熱した。イソブチレン(64.6グラム、1.15モル)を焼結したガラスフリットを介して、フェノールの表面下に、30分かけて均一速度で加えた。添加の間内部温度を140℃に上げた。その添加が完了した後、反応集合物は、1時間の間ジャケット温度130℃で維持した。次いでアミレン(39.2グラム、0.56モル)をフェノールの表面下に、1.25時間かけて均一速度で加えた。添加後、この反応集合物は、2時間の間ジャケット温度130℃で維持した。次いで反応物を濾過し、フェノールの濾液を採取した。混合したブチル化/アミル化したフェノールアルキレートを減圧蒸留することによりフェノール含有量を0.25%未満に、含水量を50ppm未満に減少させた。収量=161.8グラム。
【0101】
(例5)
例4において得たアルキレートのホスフィットへの変換
混合したブチル化/アミル化したフェノールアルキレート(148.7グラム、0.86モル)をオイルジャケット付きフラスコに仕込み、窒素下で80℃に加熱した。PCl(35.8グラム、0.26モル)をフェノールの表面下に、3時間かけて均一速度で加えた。添加の間温度を150℃に上げた。HClの発生が停止するまで反応集合物を150℃で維持し、次いで1時間以上200℃に加熱し、一方で気圧を1000から50mbarに下げた。Clの総含有量が50ppm未満になるまで反応物を200℃/50mbarで維持した。次いでフェノール過剰分を、気圧1mbar及び内部温度240℃(蒸気温度140℃)の下で、蒸留で取り除いた。収量=123.1グラム。
【0102】
例5により得たホスフィット混合物の温度対粘度の分析結果
【表3】

【0103】
(例6)
アミルアルキレートの合成
フェノール(150グラム、1.59モル)及びFulcat22B触媒(3.36グラム)をオイルジャケット付きフラスコに仕込み、窒素下で130℃に加熱した。次いでアミレン(167.7グラム、2.39モル)をフェノールの表面下に、4時間かけて均一速度で加えた。添加後、この反応集合物は、2時間の間ジャケット温度130℃で維持した。次いで反応物を濾過し、フェノールの濾液を採取した。アミル化したフェノールのアルキレートを、蒸留により精製し、その主要部分を120〜146℃の間(蒸気温度=120〜140℃)で、気圧5−7mbarで採取した。収量=227.3グラム。
【0104】
(例7)
アミル化したフェノールアルキレートからのホスフィットの調製
アミル化したフェノールアルキレート(214.7グラム)及びN,N−ジメチルドデシルアミン(0.65mL)をオイルジャケット付きフラスコに仕込み、窒素下で80℃に加熱した。PCl(51.9グラム、0.38モル)をフェノールの表面下に、3時間かけて均一速度で加えた。添加の間温度を150℃に上げた。HClの発生が停止するまで反応集合物を150℃で維持し、次いで1時間以上200℃に加熱し、一方で気圧を1000から130mbarに下げた。Clの総含有量が50ppm未満になるまで反応物を200℃/130mbarで維持した。次いでフェノール過剰分を、気圧3mbar及び内部温度195℃の下で、蒸留で取り除いた。収量=223.7グラム。この生成物を、本明細書ではこれより以下液体ホスフィットP−4と呼ぶことにする。
【0105】
例7により得たホスフィット混合物の温度対粘度の分析結果
【表4】

【0106】
(例8)
ポリ(プロピレン)のマルチパス押出し成形による性能評価
本例は、ポリ(プロピレン)のマルチパス押出し成形を行う際の本発明の液体ホスフィット混合物の安定化の有効性を例示する。
【0107】
ベースポリマーは、メルトフローインデックス(MFI)が12グラム/10分である、Basell HF500N Spheripolホモポリマーポリ(プロピレン)粉末であった。このベース配合物は、酸捕捉剤として500ppmのステアリン酸カルシウムも含有した。すべての配合物は、ベースポリマーに、それぞれ500ppmのAnox20(テトラキス[メチレン{3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ桂皮酸}]メタン)及び相当する本発明の液体ホスフィット混合物を添加することによって作製した。このようにして安定させた樹脂配合物を、直径19mmのブラベンダー一軸スクリュー押出機から60rpmで押し出し、4つの加熱ゾーンを酸素下で以下の温度:200℃、225℃、250℃及び270℃に設定した。
【0108】
押出物を氷水浴を通過させることにより冷却し、次いでペレット化した。これらのペレットを再び押し出した。第3の押出し成形を通過後、メルトフローレート(g/10分)を230℃/2.16kgで測定した。メルトフローインデックスの比較的に小さな増加は、わずかなポリマーの劣化、又は優れた安定化を意味する。結果を表1に示す。
【0109】
表1 MFIの結果
【表5】

【0110】
液体ホスフィットP−2:例3に示す通りに得た。
【0111】
液体ホスフィットP−3:ブチル化p−クレゾールアルキレートから得たホスフィット混合物を、例2で示す通り、ブチル化フェノールアルキレートの代わりにブチル化p−クレゾールアルキレートを用いて合成した。
【0112】
液体ホスフィットP−4:例7に示す通りに得た。
【0113】
この研究結果により、本発明の液体ホスフィット混合物P−2〜P−4は、対照と比較して優れた溶融安定性を付与することが示された。したがって、液体ホスフィット混合物を含有する配合物は、対照と比較してメルトフローレートの増加が小さかった。
【0114】
(例9)
高密度ポリ(エチレン)の性能評価
本例は、プラスチコーダー試験における本発明の液体ホスフィット混合物の安定化の有効性を例示する。
【0115】
ベース配合物は、Solvay HP−54−60高密度ポリ(エチレン)ポリマーの薄片及び300ppmのAnox20(テトラキス[メチレン{3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ桂皮酸}]メタン)を含んでいた。試験配合物は、1000ppmの相当する本発明の液体ホスフィット混合物をベース配合物に添加することによって作製した。
【0116】
プラスチコーダー試験用にベース対照物を含めた各配合物を、220℃/60rpmで、60cc混合ヘッドを装着したブラベンダープラストグラフに加えた。混合ヘッド内の試験配合物を混練する間、トルクを継続的に測定及び記録した。誘導期間後、ポリマーは架橋し始め、これはトルクの著しい増加と見なすことができた。表2は、トルク開始前の誘導期間を分単位の時間で表すものである。比較的に長い誘導時間は、優れた安定化を示している。
【表6】

【0117】
この試験結果は、液体ホスフィットブレンドP−2〜P−4が、対照物と比較して、HDPEポリマーに対しより優れた溶融安定化をもたらしたことを示した。したがって、P−2〜P−4を含有する配合物は、ホスフィットなしの対照物と比較して、プラスチコーダー試験において比較的に長い誘導時間をもたらした。
【0118】
本発明の基礎をなす原理から逸脱することなしに行うことのできる多くの変更及び修正を考慮して、本発明に与えられるべき保護の範囲を理解するために、付随する特許請求の範囲を参照されたい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式
【化1】


(式中、R、R、及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基であり、
ホスフィットに存在するアルキル化アリール基のアリール部分は、炭素原子6〜18個の芳香族部分からなる群から独立して選択され、
アルキル化アリール基の各アリール基は、炭素原子1〜18個のアルキル基の少なくとも1つで置換されている)で表される少なくとも2種の異なるホスフィットのブレンドを含む組成物であって、
前記ブレンドは周囲条件で液体である、組成物。
【請求項2】
以下の構造式
【化2】


[式中、R、R、及びRが以下の構造式
【化3】


(式中R、R及びRが水素及びC〜Cアルキルからなる群から独立して選択されるが、但し、R、R及びRのうちの少なくとも1つは水素でないものとする)で表される、独立して選択されるアルキル化アリール基である]で表される少なくとも2種の異なるホスフィットのブレンドを含む組成物であって、
前記ブレンドは周囲条件で液体である、組成物。
【請求項3】
以下の構造式で表される少なくとも3種の異なるホスフィットのブレンドを含む、請求項2に記載の組成物。
【化4】

【請求項4】
以下の構造式で表される少なくとも4種の異なるホスフィットのブレンドを含む、請求項2に記載の組成物。
【化5】

【請求項5】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
ホスフィットが、トリス4−tert−ブチルフェニルホスフィット、トリス2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−tert−ブチルフェニルホスフィット、トリス4−tert−ペンチルフェニルホスフィット、トリス2,4−ジ−tert−ペンチルフェニルホスフィット、ビス(4−tert−ペンチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ペンチルフェニルホスフィット、及びビス(2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル)−4−tert−ペンチルフェニルホスフィットからなる群から独立して選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
(A)ポリマー樹脂と、
(B)以下の構造式
【化6】


(式中、R、R及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基であり、
ホスフィットに存在するアルキル化アリール基のアリール部分は、炭素原子6〜18個の芳香族部分からなる群から独立して選択され、
アルキル化アリール基の各アリール基は、少なくとも1つの炭素原子1〜18個のアルキル基で置換されている)で表される少なくとも2種の異なるホスフィットのブレンドの、安定させる量、
を含む安定化組成物であって、
前記ブレンドは周囲条件で液体である、組成物。
【請求項10】
(A)ポリマー樹脂と、
(B)以下の構造式
【化7】


[式中、R、R及びRが、以下の構造式
【化8】


(式中R、R及びRが水素及びC〜Cアルキルからなる群から独立して選択されるが、但し、R、R及びRのうちの少なくとも1つは水素ではないものとする)で表される、独立して選択されるアルキル化アリール基である]で表される少なくとも2種の異なるホスフィットのブレンドの、安定させる量、
を含む安定化組成物であって、
前記ブレンドは周囲条件で液体である、組成物。
【請求項11】
以下の構造式の少なくとも3種の異なるホスフィットのブレンドを含む、請求項10に記載の組成物。
【化9】

【請求項12】
以下の構造式の少なくとも4種の異なるホスフィットのブレンドを含む、請求項10に記載の組成物。
【化10】

【請求項13】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
ホスフィットが、トリス4−tert−ブチルフェニルホスフィット、トリス2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−tert−ブチルフェニルホスフィット、トリス4−tert−ペンチルフェニルホスフィット、トリス2,4−ジ−tert−ペンチルフェニルホスフィット、ビス(4−tert−ペンチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ペンチルフェニルホスフィット、及びビス(2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル)−4−tert−ペンチルフェニルホスフィットからなる群から独立して選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
(A)ポリマー樹脂と、
(B)以下の構造式
【化11】


(式中、R、R及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基であり、
ホスフィットに存在するアルキル化アリール基のアリール部分は、炭素原子6〜18個の芳香族部分からなる群から独立して選択され、
アルキル化アリール基の各アリール基は、炭素原子1〜18個のアルキル基の少なくとも1つで置換されている)で表される少なくとも2種の異なるホスフィットのブレンドの、安定させる量、
を含む安定化組成物を含む製造物品であって、
前記ブレンドは周囲条件で液体である、製造物品。
【請求項18】
(A)ポリマー樹脂と、
(B)以下の構造式
【化12】


[R、R及びRは、以下の構造式
【化13】


(式中R、R及びRは、独立して水素及びC〜Cアルキルからなる群から独立して選択されるが、但し、R、R及びRのうちの少なくとも1つは水素でないものとする)で表される、独立して選択されるアルキル化アリール基である]で表される少なくとも2種の異なるホスフィットのブレンドの、安定させる量、
を含む安定化組成物を含む製造物品であって、
前記ブレンドは周囲条件で液体である、製造物品。
【請求項19】
組成物が、以下の構造式で表される少なくとも3種の異なるホスフィットのブレンドを含む、請求項18に記載の物品。
【化14】

【請求項20】
組成物が、以下の構造式で表される少なくとも4種の異なるホスフィットのブレンドを含む、請求項18に記載の物品。
【化15】

【請求項21】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項18に記載の物品。
【請求項22】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項19に記載の物品。
【請求項23】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項20に記載の物品。
【請求項24】
ホスフィットが、トリス4−tert−ブチルフェニルホスフィット、トリス2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−tert−ブチルフェニルホスフィット、トリス4−tert−ペンチルフェニルホスフィット、トリス2,4−ジ−tert−ペンチルフェニルホスフィット、ビス(4−tert−ペンチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ペンチルフェニルホスフィット、及びビス(2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル)−4−tert−ペンチルフェニルホスフィットからなる群から独立して選択される、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
熱可塑性樹脂又はエラストマーを安定させるための方法であって、
前記熱可塑性樹脂又はエラストマーに、
以下の構造式
【化16】


(式中R、R及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基であり、
ホスフィットに存在するアルキル化アリール基のアリール部分は、炭素原子6〜18個の芳香族部分からなる群から独立して選択され、
アルキル化アリール基の各アリール基は、炭素原子1〜18個のアルキル基の少なくとも1つで置換されている)で表される少なくとも2種の異なるホスフィットのブレンド、を含む組成物の、安定させる量を添加する工程を含む方法であって、
前記ブレンドは周囲条件で液体である、方法。
【請求項26】
熱可塑性樹脂又はエラストマーを安定させるための方法であって、
前記熱可塑性樹脂又はエラストマーに、
以下の構造式
【化17】


[式中、R、R及びRが、以下の構造式
【化18】


(式中R、R及びRが、水素及びC〜Cアルキルからなる群から独立して選択され、但し、R、R及びRのうちの少なくとも1つが水素でないものとする)で表される、独立して選択されるアルキル化アリール基である]で表される少なくとも2種の異なるホスフィットのブレンドを含む組成物の、安定させる量を添加する工程を含む方法であって、
前記ブレンドは周囲条件で液体である、方法。
【請求項27】
組成物が、以下の構造式で表される少なくとも3種の異なるホスフィットのブレンドを含む、請求項26に記載の方法。
【化19】

【請求項28】
組成物が、以下の構造式で表される少なくとも4種の異なるホスフィットのブレンドを含む、請求項26に記載の方法。
【化20】

【請求項29】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
各ホスフィットのR、R及びRのうちの少なくとも1つが、tert−ブチル及びtert−ペンチルからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
ホスフィットが、トリス4−tert−ブチルフェニルホスフィット、トリス2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、ビス(4−tert−ブチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスフィット、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−tert−ブチルフェニルホスフィット、トリス4−tert−ペンチルフェニルホスフィット、トリス2,4−ジ−tert−ペンチルフェニルホスフィット、ビス(4−tert−ペンチルフェニル)−2,4−ジ−tert−ペンチルフェニルホスフィット、及びビス(2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル)−4−tert−ペンチルフェニルホスフィットからなる群から独立して選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
以下の構造式
【化21】


(式中、R、R及びRは、独立して選択されるアルキル化アリール基である)で表される少なくとも2種の液体ホスフィットの液体混合物を合成するための方法であって、
(A)酸触媒の存在下で、フェノール化合物をアルケンでアルキル化する工程と、
(B)生成したアルキル化フェノールを触媒から分離する工程と、
(C)得られた、約5〜約95重量パーセントの固体のp−アルキル化フェノールとこれに応じた約95〜約5重量パーセントの固体のo,p−ジアルキル化フェノールを含む混合物と、PZ(式中Zはハロゲンである)を反応させる工程、
を含む方法。


【公表番号】特表2009−541526(P2009−541526A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516481(P2009−516481)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/009690
【国際公開番号】WO2007/149143
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】