説明

安定化免疫調節オリゴヌクレオチド

【課題】CpG含有核酸の免疫賦活活性を増大または低減するための方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのCpGジヌクレオチドおよび5'または3'末端に二次構造を有する免疫賦活オリゴヌクレオチド。これらのオリゴヌクレオチドは免疫賦活特性を低減するか、または改善する。さらに、5'末端二次構造が3'末端のそれらよりも有意に免疫賦活活性に影響することを確証した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
関連出願
本願は、2003年6月11日提出の米国仮出願No. 60/477,608、2003年8月29日提出の米国仮出願No. 60/499,038、および2003年9月18日提出の米国仮出願60/504,279の利益を請求し、これらの全体は参照として組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、分子生物学、免疫学および医薬の分野に関する。より詳細には、本発明は、免疫賦活(immunostimulatory)オリゴヌクレオチドおよびそれらの治療的使用に関する。
【0003】
関連技術の概要
免疫系は、細菌やウイルスなどの病原体のDNAに一般的に生じる非メチル化CpGジヌクレオチドモチーフを含むDNAを特異的に認識するように進化してきた。結果として、非メチル化CpG含有DNAは、脊椎動物の免疫系の強力な賦活因子(stimulator)である。DNAによる免疫賦活の最初の報告は、細菌のDNAおよび回文配列を含むDNAの短い断片を用いた研究に発し、これら両方ともホスホジエステル骨格を有する二本鎖構造であった。Tokunaga, T., et al., (J Natl. Cancer Inst. 72: 955-962 (1984))は、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)BCGから単離されたDNAに対して強力な抗腫瘍活性を示した。Kataoka, T, et al., (Jpn. J. Cancer Res. 83: 244-247 (1992))、Hartmann et al. (European. Journal of Immunology 33: 1673-1641 (2003))、Marshall et al. Journal of Leukocyte Biology 73: 781-792 (2003)は、ウシ型結核菌BCGのcDNA配列に基づいて設計した、合成オリゴデオキシヌクレオチドに対して同種の抗腫瘍活性を示した。
【0004】
Sato, Y, et al., (Science 273: 352-354 (1996))は、DNAワクチンの適用においてCpG含有DNAの重要性を示した(Gurunathan S., et al. (Annu. Rev. Immunol. 18 : 927-974 (2000)も参照)。Pisetsky, D. S., et al., (Mol. Biol. Rep. 18: 217-221 (1993))およびKrieg, A. M., et al., (Nature 374: 546-549 (1995))は、特定の配列のコンテクストにおけるDNA含有非メチル化CpGジヌクレオチド(CpG DNA)が、脊椎動物の免疫系を活性化し、B細胞の増殖並びにマクロファージ、単球、NK細胞および樹状細胞の活性化を導くことを示した。CpG DNA活性化に応じて、免疫細胞が、IL-12、IFN-γ、INF-α、IL-6およびTNF-αを含む多数のサイトカインを分泌し、いくつかの共賦活(co-stimulatory)分子を発現する(例えば、前掲Pisetsky, D. S., et al.およびKrieg, A. M., et al.参照)。
【0005】
Kandimalla, E. R., et al., (Curr. Opin. Mol. Ther. 4 122-129 (2002))は、CpGジヌクレオチドの存在および位置並びにそれに隣接する配列が、免疫賦活活性に重大な意味をもつことを示した。Agrawal, S., et al. (Current Cancer Drug Targets 1: 197-209 (2001))は、CpGオリゴヌクレオチドの隣接配列(flanking sequences)におけるリボースの修飾による有意な効果を開示した。これらの効果は、2'-O-メトキシエトキシおよび2'-または3'-O-メチル基を含む置換基の位置と性質に依存する。Yu, D., et al. (Bioorg. Med. Chem. 9: 2803-2808 (2001))は、ホスフェート修飾が、その位置に依存する免疫賦活活性を増大または低減することもできることを示した。Yu D., et al. (Bioorg. Med. Chem. Lett. 11: 2263-2267 (2001))およびYu D., et al. (Bioorg. Med Chem. 11: 459-464 (2003))は、ある核酸塩基の欠失によって活性が増大し得ることを開示した。加えて、Yu D., et al. (Bioorg. Med Chem. 11: 459-464 (2003))は、ある隣接ヌクレオチドを非ヌクレオチドリンカーと置換することによって、免疫賦活活性が増大しうることを開示した。
【0006】
Yu D., et al. (Bioorg. Med. Chem. Lett. 10: 2585-2588 (2000))、Yu D., et al. (Nucleic Acids Res. 30: 4460-4469 (2002))、Yu D., et al. (Biochem. Biophys. Res. Commun. 297: 83-90 (2002))、Bhagat L., et al. (Biochem. Biophys. Res. Commun. 300: 853-861 (2003))およびKandimalla E. R., et al. (Nucleic Acids Res. 31: 2393-2400 (2003)は、既に、5'末端がレセプター認識に含まれること、およびこの末端の近接性(accessibility)が活性に重要な意味をもつことを示している。Kandimalla E. R., et al. (Bioconj. Chem. 13: 966-974 (2002))は、フルオレセインまたは5'-5'連鎖ジヌクレオチドよりも大きなリガンドの5'末端接合に続く免疫賦活活性の損失を開示した。3'接合は効果がないので、取り込みの変化によって結果を説明することはできない(前掲)。しかしながら、結果として起きる免疫反応においてDNAの二次構造の役割を解明するための組織的な研究は全くなかった。ここで本発明は、5'-および3'-ヘアピンループまたは二重に形成し得る付着末端を有する免疫賦活DNAによる免疫賦活における情報を提供する。
【0007】
Thlサイトカイン産生を誘導するためおよび増強したイムノグロブリン産生とのCTL反応を促進するための免疫賦活DNAの能力は、癌、ウイルス性および細菌性感染症、炎症性疾患を含む広範囲の疾患の兆候の処置のために、そして免疫治療において、アジュバントとして用いられている。したがって、免疫賦活DNA活性を改善することまたは調節することの利益は明らかであり、そして改善した免疫賦活核酸を開発するため、当該分野における必要性が未だ存在する。
【0008】
発明の概要
本発明は、増大または低減した免疫賦活特性を備えた免疫賦活オリゴヌクレオチドを含む内容の新規組成物を提供する。本発明はまた、増大または低減した免疫賦活特性を備えた、または増大した代謝安定性を備えた免疫賦活オリゴヌクレオチドの設計を可能にする方法を提供する。本発明者らは、驚くべきことに、免疫賦活オリゴヌクレオチドの3'末端または5'末端への二次構造の導入によって、免疫賦活活性およびこれらのオリゴヌクレオチドの安定性に有意な影響が与えられることを見出した。
【0009】
第1の面において、本発明は免疫賦活核酸を提供する。該免疫賦活核酸は、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を含み、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、シチジン、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、2'-ジデオキシ-5-ニトロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他のピリミジンヌクレオシド類縁体であり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他のプリンヌクレオシド類縁体であり、
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖である。ある好ましい態様において、オリゴヌクレオチド配列は、該オリゴヌクレオチド配列の3'末端に二次構造を有する。ある好ましい態様において、免疫賦活ジヌクレオチドは、CpGではない。
【0010】
ある態様において、免疫賦活核酸は、約2〜約50ヌクレオチド長である。ある態様において、免疫賦活核酸は、約12〜約26ヌクレオチド長である。ある態様において、オリゴヌクレオチドは夫々、約3〜約35のヌクレオシド残基を有し、好ましくは、約4〜約30のヌクレオシド残基を有し、より好ましくは、約4〜約20のヌクレオシド残基を有する。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、約5〜約18または約5〜約14のヌクレオシド残基を有する。ここで用いたように、「約」との用語は、厳密な数字が重要な意味を持たないことを含意する。したがって、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオシド残基の数は、重要な意味を持たず、1または数個少ないヌクレオシド残基または1〜数個付加的なヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、前記の各態様の均等物として考慮される。ある態様において、1または2以上のオリゴヌクレオチドは、11ヌクレオチド有している。
【0011】
ある態様において、免疫賦活核酸は、3'末端ステムループ二次構造を有している。ある態様において、免疫賦活核酸は、相補配列との水素結合によって、3'末端において二次構造を有する。ある態様において、免疫賦活核酸は、配列番号2、3、4、9、12、13、14、18、19、20、21、24、25、26、27、28、29、30、32、33、34、35、36、37および38からなる群から選択される。
【0012】
第2の面において、本発明は、低減した免疫賦活活性を有する核酸を提供する。この面において、該核酸は、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を含み、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、2'-ジデオキシ-5-ニトロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他のピリミジンヌクレオシド類縁体であり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他のプリンヌクレオシド類縁体であり、
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖である。ある好ましい態様において、オリゴヌクレオチド配列は、該オリゴヌクレオチド配列の3'末端に二次構造を有する。ある好ましい態様において、免疫賦活ジヌクレオチドはCpGではない。
【0013】
ある態様において、免疫賦活核酸は、約2〜約50ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド配列である。ある態様において、免疫賦活核酸は、約12〜約26ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド配列である。
【0014】
ある態様において、低減された免疫賦活活性を有する核酸は、5'末端ステムループ二次構造を形成する。ある態様において、低減された免疫賦活活性を有する核酸は、相補配列との水素結合によって、5'末端において二次構造を有する。ある態様において、低減された免疫賦活活性を有する核酸は、配列番号5、6、7、10、15、16および17からなる群から選択される。
【0015】
第3の面において、本発明は、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む免疫賦活核酸であって、該免疫賦活核酸は二次構造を有する、前記免疫賦活核酸を提供する。この面において、該免疫賦活核酸は式(I)に記載の構造を含む。
DomainA−DomainB−DomainC (I)
各Domainは、約2〜約12ヌクレオチド長であってもよい。DomainAは、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドであって、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、2'-ジデオキシ-5-ニトロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他のピリミジンヌクレオシド類縁体であり、
は、グアノシンまたは2-デオキシグアノシン、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他のプリンヌクレオシド類縁体であり、
前記ジヌクレオチドを含んでいるか、または含んでない、回文または自己相補的なドメインを有しているか、有していない5'-3'または3'-5'または2'-5'DNA、RNA、RNA−DNA、DNA−RNAであってもよい。ある態様において、DomainAは、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される2以上のジヌクレオチドを有する。
【0016】
DomainB(以下、「X」と示す)は、DomainAおよびCを結びつけるリンカーで、3'-5'連鎖、2'-5'連鎖、3'-3'連鎖、ホスフェート基、ヌクレオシドまたは、脂肪族、芳香族、アリール、環状、キラル、アキラル、ペプチド、炭水化物、脂質、脂肪酸、モノ−、トリ−もしくはヘキサポリエチレングリコールまたは複素環部分であってもよい非ヌクレオシドリンカーである。ある態様において、DomainBは、好ましくは、DomainAおよびDomainCのオリゴヌクレオチドを連鎖する非ヌクレオチドリンカーであり、「イムノマー(immunomers)」という。
【0017】
DomainCは、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択されるジヌクレオチドであって、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他のピリミジンヌクレオシド類縁体であり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他のプリンヌクレオシド類縁体であり、
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖である、前記ジヌクレオチドを有することができ、または有することができず、回文または自己相補的な配列を有するか、または有しない5'-3'または3'-5'、2'-5'DNA、RNA、RNA−DNA、DNA−RNA Poly I-Poly Cであってもよい。ある好ましい態様において、免疫賦活ジヌクレオチドは、CpGではない。ある好ましい態様において、DomainCは、ジヌクレオチドCpG、CpG、CpGまたはCpGを有さない。
【0018】
ある態様において、式(I)に含まれるオリゴヌクレオチドは、約2〜約50ヌクレオチド長である。ある態様において、式(I)に含まれるオリゴヌクレオチドは、約12〜約26ヌクレオチド長である。
【0019】
限定的でない例によって、この面のある態様において、免疫賦活核酸は、式(II)に記載の構造を有する。
【数1】

当業者が認めるであろうとおり、分子内ステムループの形状で分子の3'末端に二次構造要素がある。
【0020】
限定的でない例によって、この面のある態様において、免疫賦活核酸は、式(III)に記載の構造を有する。
【数2】

式(III)に示した構造は、2つの3'末端の配列が相補的で、分子間水素結合を可能にし、2つの分子の3'末端がブロックされているので、本明細書で「ターミナルダイマー(terminal dimmer)」という。さらに、DomainAおよびA’は同一であってもなくてもよく、DomainBおよびB’は同一であってもなくてもよく、DomainCおよびC’は同一であってもなくてもよい。
【0021】
限定的でない例によって、この面のある態様において、免疫賦活核酸は、式(IV)に記載の構造を有する。
【数3】

当業者が認めるであろうとおり、3'末端の相補配列がこの領域と水素結合しているので、示した分子の3'末端は二次構造を有する。
【0022】
ある態様において、本発明の免疫賦活核酸は、配列番号1〜38からなる群から選択される配列を有する。ある態様において、本発明の免疫賦活核酸は、配列番号39〜68からなる群から選択される配列を有する。
【0023】
第4の面において、本発明は、オリゴヌクレオチドの免疫賦活活性を低減または消失する方法を提供する。該方法は、オリゴヌクレオチドの5'末端に、二次構造を含む核酸配列を導入することを含む。この面のある態様において、二次構造は、ステムループ構造である。この面のある態様において、二次構造は、オリゴヌクレオチド配列の5'末端へ相補配列を水素結合することによって得られる。
【0024】
第5の面において、本発明は、免疫賦活オリゴヌクレオチドの安定性を増大するための方法を提供する。該方法は、免疫賦活オリゴヌクレオチドの3'末端に、二次構造を含む核酸配列を導入することを含む。この面のある態様において、二次構造はステムループ構造である。この面のある態様において、二次構造は、オリゴヌクレオチド配列の3'末端に相補配列を水素結合することによって得られる。
【0025】
第6の面において、本発明は、免疫賦活オリゴヌクレオチドの免疫賦活活性の調節方法を提供する。該方法は、免疫賦活オリゴヌクレオチドの3'末端または5'末端に二次構造を含む核酸配列を導入することを含む。この面のある態様において、二次構造は、ステムループ構造である。この面のある態様において、二次構造は、オリゴヌクレオチド配列の3'末端または5'末端に相補配列を水素結合することによって得られる。
【0026】
第7の面において、本発明は、医薬組成物を提供する。これらの組成物は、本発明の第1、第2、第3、第4、第5および第6の面に開示した組成物のいずれか1つを単独で、または組み合わせて、そして薬学的に許容し得る担体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1Aは、1.0μg/mLの濃度で、BALB/cマウス脾臓細胞培養において、オリゴ1、2および5によって誘導された細胞増殖を示す概略図である。 図1Bは、BALB/cマウスに5 mg/kgの用量で腹腔内投与したオリゴ1、2および5によって誘導された脾腫を示す概略図である。
【図2】図2は、3μg/mLの濃度で、オリゴヌクレオチド1〜7とのインキュベーションの24時間後のBALB/cマウス脾臓細胞培養におけるサイトカインIL-12およびIL-6の誘導を示す概略図である。
【図3】図3は、3μg/mLの濃度で、オリゴヌクレオチド8〜10とのインキュベーションの24時間後のBALB/cマウス脾臓細胞培養におけるサイトカインIL-12およびIL-6の誘導を示す概略図である。
【図4】図4は、10μg/mLのオリゴ1〜8で賦活後1時間のJ774マクロファージにおけるNF-κB経路の活性を示す図である。Mは、培地で処理した対照を表し、Cは、非CpGオリゴで処理した細胞である。
【図5】図5は、オリゴ1〜7の10μg/mLの濃度で、J774マクロファージ細胞培養におけるサイトカインIL-12およびIL-6の誘導を示す概略図である。Mは、PBSで処理した対照を表す。NDは検出なしを示す。
【図6】図6は、10μg/mLで、オリゴ11、12、14、15および17に曝した後の形質細胞様樹状細胞におけるインターフェロンα(IFN-α)の誘導を示す概略図である。
【図7】図7は、10μg/mlで、オリゴ18、19、20および21に曝した後の形質細胞様樹状細胞におけるインターフェロンα(IFN-α)の誘導を示す概略図である。
【図8】図8は、10μg/mlで、オリゴ41、44、45および21に曝した後の形質細胞様樹状細胞におけるインターフェロンα(IFN-α)の誘導を示す概略図である。
【図9】図9は、本発明のイムノマーのパラレル合成の合成スキームである。DMTr=4,4'-ジメトキシトリチル;CE=シアノエチル。
【図10】図10は、本発明のイムノマーのリニア合成に適した典型的な低分子リンカーのグループを示す。
【図11】図11は、本発明のイムノマーのリニア合成の合成スキームである。DMTr=4,4'-ジメトキシトリチル;CE=シアノエチル。
【図12】図12は、本発明のイムノマーのパラレル合成に適した典型的な低分子リンカーのグループを示す。
【図13】図13 自己安定化CpG DNAは、(A)ヒトpDCによるIFN-αの分泌および(B)培養中のヒトB細胞増殖を誘導する。(A)pDCは、5〜8人の健康なドナーから得られたヒトPBMCから単離し、24時間、10μg/mLのCpG DNAで賦活化し、上清をELISAによってIFN-αの分泌を分析した。(B)B細胞は、4〜7人の健康なドナーから得られたヒトPBMCから単離し、1μg/mLのCpG DNAで72時間賦活化し、[3H]-チミジンの取り込みを測定した。符号は、各ドナーから得られたデータを表し、プラス記号は両パネルで全てのドナーの平均値を表す。
【図14】図14 ヒトB細胞増殖のCpG DNA濃度依存性。B細胞は、4〜6人の健康なドナーから得られたヒトPBMCから単離し、異なる濃度のCpG DNAで72時間賦活化した。示したデータは、平均±SDである。
【図15】図15(A)CpGモチーフおよび二次構造の存在が、ヒトpDCによるINF-αの分泌の誘導に要求される。示したデータは、10μg/mLの濃度のCpG DNAで、6〜8人のヒトドナーの平均±SDである。(B)ヒトB細胞増殖は、CpG賦活化モチーフを要求するが、DNAの二次構造は要求しない。示したデータは、1μg/mLの濃度のCpG DNAで、5〜8人のドナーの平均±SDである。
【図16】図16 ヘアピン二次構造における2'-O-メチルリボヌクレオチドセグメントの、(A)ヒトpDCによるIFN-α分泌および(B)ヒトB細胞増殖に対する影響。示したデータは、pDC培養における10μg/mLの濃度のCpG DNAで、6〜8人のヒトドナーの平均±SDであり、B細胞培養における1μg/mLの濃度のCpG DNAで、5〜8人のドナーの平均±SDである。
【0028】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、増大または低減した免疫賦活特性を備えた免疫賦活オリゴヌクレオチドを含む内容の新規組成物を提供する。本発明はまた、増大または低減した免疫賦活特性を備えた、または増大した代謝安定性を備えた免疫賦活オリゴヌクレオチドの設計を可能にする方法を提供する。本発明者らは、驚くべきことに、免疫賦活オリゴヌクレオチドの3'末端または5'末端への二次構造の導入によって、免疫賦活活性およびこれらのオリゴヌクレオチドの安定性に有意な影響が与えられることを見出した。
発行済みの特許公報、特許出願および文献として本明細書に挙げたものは、参照によって組み込まれるところ、その程度は、それぞれが詳細に、別個に参照によって本明細書に組み込まれることが示された場合と同一である。本明細書に述べたいかなる文献のいかなる教示と本明細書との間が矛盾する場合、発明の目的のために本明細書が優先される。
【0029】
第1の面において、本発明は免疫賦活核酸を提供する。該免疫賦活核酸は、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を含み、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、2'-ジデオキシ-5-ニトロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他のピリミジンヌクレオシド類縁体であり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他のプリンヌクレオシド類縁体であり、
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖であり、ここでオリゴヌクレオチド配列は、該オリゴヌクレオチド配列の3'末端に二次構造を有する。ある好ましい態様において、免疫賦活ジヌクレオチドは、CpGではない。
【0030】
ある態様において、免疫賦活核酸は、約2〜約50ヌクレオチド長である。ある態様において、免疫賦活核酸は、約12〜約26ヌクレオチド長である。ある態様において、オリゴヌクレオチドは夫々、約3〜約35のヌクレオシド残基を有し、好ましくは、約4〜約30のヌクレオシド残基を有し、より好ましくは、約4〜約20のヌクレオシド残基を有する。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、約5〜約18または約5〜約14のヌクレオシド残基を有する。ここで用いたように、「約」との用語は、厳密な数字が重要な意味を持たないことを含意する。したがって、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオシド残基の数は、重要な意味を持たず、1または数個少ないヌクレオシド残基または1〜数個付加的なヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、前記の各態様の均等物として考慮される。ある態様において、1または2以上のオリゴヌクレオチドは、11ヌクレオチド有している。
【0031】
ある態様において、免疫賦活核酸は、3'末端ステムループ二次構造を有している。ある態様において、免疫賦活核酸は、相補配列との水素結合によって、3'末端において二次構造を有する。ある態様において、免疫賦活核酸は、配列番号2、3、4、9、12、13、14、18、19、20、21、24、25、26、27、28、29、30、32、33、34、35、36、37および38からなる群から選択される。
【0032】
本発明のためには「オリゴヌクレオチド」とは、複数の連鎖したヌクレオシド単位から形成されるポリヌクレオシドをいう。前記オリゴヌクレオチドはゲノムDNAまたはcDNAを含む既存の核酸源から得ることができるが、好ましくは合成方法により産生される。好ましい態様においては、各ヌクレオシド単位は複素環塩基および、ペントフラノシル、2'−デオキシペントフラノシル、トレハロース、アラビノース、2'−デオキシ−2'−置換アラビノース、2'-O-置換アラビノースまたは六単糖基を含む。ヌクレオシド残基は多くの知られたヌクレオシド間連鎖によって互いに結合され得る。前記ヌクレオシド間連鎖は限定されることなく、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、シロキサン、カーボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホルアミデート、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート、およびスルホンヌクレオシド間連鎖を含む。用語「オリゴヌクレオチド」はまた1または2以上の立体特異的ヌクレオシド間連鎖(例えば、(RP)−または(SP)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、あるいはホスホトリエステル連鎖)を有するポリヌクレオシドをも含む。ここでいう用語「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」は、いずれの前記ヌクレオシド間連鎖を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを明確に意味し、前記連鎖はホスフェート基を含むか含まないかを問わない。ある好ましい態様においては、これらヌクレオシド間連鎖はホスホジエステル、ホスホロチオエート、あるいはホスホロジチオネート連鎖、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0033】
用語「オリゴヌクレオチド」はまた、限定なく、タンパク質基、親油性基、インターカレート剤、ジアミン、葉酸、コレステロール、およびアダマンタンを含む付加的置換基を有するポリヌクレオシドを包含する。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、限定なくペプチド核酸(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックド核酸(LNA)、モルホリノ骨格オリゴヌクレオチドおよびアルキルリンカーやアミノリンカーをもつ骨格部分を有するオリゴヌクレオチドを含む、ポリマーを包含する他のいかなる核酸塩基をも含む。
【0034】
本発明のオリゴヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオシド、修飾ヌクレオシドまたはこれらの混合物を含むことができる。ここでいう用語「修飾ヌクレオシド」とは、修飾複素環塩基、修飾糖部分またはそれらの組み合わせを含むヌクレオシドである。ある態様において、修飾ヌクレオシドは、ここで述べるような非天然ピリミジンまたはプリンヌクレオシドである。ある態様おいては、修飾ヌクレオシドは2'−置換リボヌクレオシド、アラビノヌクレオシドまたは2'−デオキシ−2'−置換アラビノシドである。
【0035】
本発明のためには、用語「2'−置換リボヌクレオシド」または「2'−置換アラビノシド」は、ペントース部分の2’位におけるヒドロキシル基が置換されて2'−置換または2'-O-置換リボヌクレオシドとなるリボヌクレオシドを含む。好ましくは、そのような置換は、1〜6の飽和または不飽和炭素原子を含む低級アルキル基、あるいは、6〜10の炭素原子を有するアリール基によりなされ、そのようなアルキルまたはアリール基は置換されていなくてもよく、あるいは、例えばハロ(halo)、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシロキシ、アルコキシ、カルボキシル、カルボアルコキシ、またはアミノ基に置換されていてもよい。そのような2'-O-置換リボヌクレオシドまたは2'-O-置換アラビノシドの例は、限定なく2'-O-メチルリボヌクレオシドまたは2'-O-メチルアラビノシドおよび2'-O-メトキシエチルリボヌクレオシドまたは2'-O-メトキシエチルアラビノシドを含む。
【0036】
用語「2'−置換リボヌクレオシド」または「2'−置換アラビノシド」はまた、2'−ヒドロキシル基が1〜6個の飽和または不飽和炭素原子を含む低級アルキル基、または、アミノもしくはハロ基により置換されているリボヌクレオシドまたはアラビノヌクレオシドを含む。そのような2'−置換リボヌクレオシドまたは2'−置換アラビノシドの例は、限定なく2'−アミノ、2'−フルオロ、2'−アリル、および2'−プロパルジルリボヌクレオシドまたはアラビノシドを含む。
【0037】
用語「オリゴヌクレオチド」はハイブリッドまたはキメラオリゴヌクレオチドを含む。「キメラオリゴヌクレオチド」は、1種以上のヌクレオシド間連鎖を有するオリゴヌクレオチドである。そのようなキメラオリゴヌクレオチドの好ましい例は、ホスホロチオエート、ホスホジエステル、またはホスホロジチオネート部位およびアルキルホスホネートまたはアルキルホスホノチオエート連鎖などの非イオン連鎖を含む(例えばPederson et al. U.S. Patent No. 5,635,377および5,366,878などを参照)。
【0038】
「ハイブリッドオリゴヌクレオチド」は、1種以上のヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドである。そのようなハイブリッドオリゴヌクレオチドの好ましい例は、リボヌクレオチド、または2'−置換リボヌクレオチド部位、およびデオキシリボヌクレオチド部位を含む(例えばMetelevおよびAgrawal、U. S. Patent No. 5,652,355、6,346,614および6,143,881を参照)。
【0039】
ここで用いたとおり、用語「二次構造」は、分子内および分子間水素結合を意味する。分子内水素結合によって、ステムループ構造が形成される。分子間水素結合によって、二本鎖核酸分子が形成される。
【0040】
ここで用いたとおり、用語「約」は、厳密な数字が重要な意味を持たないことを含意する。したがって、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオシド残基の数は、重要な意味を持たず、1または数個少ないヌクレオシド残基または1〜数個付加的なヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、本発明の目的のため、前記の各態様の均等物として考慮される。
【0041】
ここで用いたとおり、用語「相補」は、核酸とハイブリダイズする可能性を有することを意味する。このようなハイブリダイゼーションは、通常、相補鎖間の水素結合の結果であり、水素結合の他の様式ではあるが、好ましくは、Watson-CrickまたはHoogsteen塩基対を形成し、また塩基スタッキング(base stacking)もまたハイブリダイゼーションを導き得る。
【0042】
第2の面において、本発明は、低減した免疫賦活活性を有する核酸を提供する。この面において、該核酸は、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を含み、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ニトロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他のピリミジンヌクレオシド類縁体であり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他のプリンヌクレオシド類縁体であり、
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖であり、ここで、オリゴヌクレオチド配列は、該オリゴヌクレオチド配列の5'末端に二次構造を有する。ある好ましい態様において、免疫賦活ジヌクレオチドはCpGではない。
【0043】
ある態様において、免疫賦活核酸は、約2〜約50ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド配列である。ある態様において、免疫賦活核酸は、約12〜約26ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド配列である。ある態様において、オリゴヌクレオチドは夫々約3〜約35ヌクレオシド残基、好ましくは約4〜約30ヌクレオシド残基、より好ましくは約4〜約20ヌクレオシド残基を有する。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、約5〜約18、または約5〜約14ヌクレオシド残基を有する。ここで用いたように、「約」との用語は、厳密な数字が重要な意味を持たないことを含意する。したがって、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオシド残基の数は、重要な意味を持たず、1または数個少ないヌクレオシド残基または1〜数個付加的なヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、前記の各態様の均等物として考慮される。ある態様において、1または2以上のオリゴヌクレオチドは、11ヌクレオチド有している。
【0044】
ある態様において、低減された免疫賦活活性を有する核酸は、5'末端ステムループ二次構造を形成する。ある態様において、低減された免疫賦活活性を有する核酸は、相補配列との水素結合によって、5'末端において二次構造を有する。ある態様において、低減された免疫賦活活性を有する核酸は、配列番号5、6、7、10、15、16および17からなる群から選択される。
【0045】
第3の面において、本発明は、少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む免疫賦活核酸であって、該免疫賦活核酸は二次構造を有する、前記免疫賦活核酸を提供する。この面において、該免疫賦活核酸は式(I)に記載の構造を含む。
DomainA−DomainB−DomainC (I)
【0046】
各Domainは、約2〜約12ヌクレオチド長であってもよい。DomainAは、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドであって、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、2'-ジデオキシ-5-ニトロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他のピリミジンヌクレオシド類縁体であり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他のプリンヌクレオシド類縁体であり、
前記ジヌクレオチドを含んでいるか、または含んでない、回文または自己相補的なドメインを有しているか、有していない5'-3'または3'-5'または2'-5'DNA、RNA、RNA−DNA、DNA−RNAであってもよく、
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖である。ある好ましい態様において、免疫賦活ジヌクレオチドはCpGでない。
【0047】
ある態様において、DomainAは、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される2以上のジヌクレオチドを有する。
【0048】
DomainB(以下、「X」と示す)は、DomainAおよびCを結びつけるリンカーで、3'-5'連鎖、2'-5'連鎖、3'-3'連鎖、ホスフェート基、ヌクレオシドまたは、脂肪族、芳香族、アリール、環状、キラル、アキラル、ペプチド、炭水化物、脂質、脂肪酸、モノ−、トリ−もしくはヘキサポリエチレングリコールまたは複素環部分であってもよい非ヌクレオシドリンカーである。
【0049】
DomainCは、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択されるジヌクレオチドであって、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他のピリミジンヌクレオシド類縁体であり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他のプリンヌクレオシド類縁体であり、
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖である、前記ジヌクレオチドを有することができ、または有することができず、回文または自己相補的な配列を有するか、または有しない5'-3'または3'-5'、2'-5'DNA、RNA、RNA−DNA、DNA−RNA Poly I-Poly Cであってもよい。ある好ましい態様において、免疫賦活ジヌクレオチドは、CpGではない。ある態様において、DomainBは、好ましくは、DomainAおよびDomainCのオリゴヌクレオチドを連鎖する非ヌクレオチドリンカーであり、「イムノマー(immunomers)」という。ある好ましい態様において、DomainCは、ジヌクレオチドCpG、CpG、CpGまたはCpGを有さない。
【0050】
ある態様において、式(I)に含まれるオリゴヌクレオチドは、約2〜約50ヌクレオチド長である。ある態様において、式(I)に含まれるオリゴヌクレオチドは、約12〜約26ヌクレオチド長である。ある態様において、オリゴヌクレオチドは夫々、約3〜約35ヌクレオシド残基、好ましくは約4〜約30ヌクレオシド残基、より好ましくは約4〜約20ヌクレオシド残基を有する。ある態様において、オリゴヌクレオチドは、約5〜約18または約5〜約14のヌクレオシド残基を有する。ここで用いたように、「約」との用語は、厳密な数字が重要な意味を持たないことを含意する。したがって、オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオシド残基の数は、重要な意味を持たず、1または数個少ないヌクレオシド残基または1〜数個付加的なヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、前記の各態様の均等物として考慮される。ある態様において、1または2以上のオリゴヌクレオチドは、11ヌクレオチド有している。
【0051】
限定的でない例によって、この面のある態様において、免疫賦活核酸は、式(II)に記載の構造を有する。
【数4】

当業者が認めるであろうとおり、分子内ステムループの形状で分子の3'末端に二次構造要素がある。
【0052】
限定的でない例によって、この面のある態様において、免疫賦活核酸は、式(III)に記載の構造を有する。
【数5】

式(III)に示した構造は、2つの3'末端の配列が相補的で、分子間水素結合を可能にし、2つの分子の3'末端がブロックされているので、本明細書で「ターミナルダイマー(terminal dimmer)」という。さらに、DomainAおよびA’は同一であってもなくてもよく、DomainBおよびB’は同一であってもなくてもよく、DomainCおよびC’は同一であってもなくてもよい。
【0053】
限定的でない例によって、この面のある態様において、免疫賦活核酸は、式(IV)に記載の構造を有する。
【数6】

当業者が認めるであろうとおり、3'末端の相補配列がこの領域と水素結合しているので、示した分子の3'末端は二次構造を有する。ある態様において、リガンドなどの分子は、細胞の取り込みを促進するためまたは分子の安定性を改善するために3'末端に着けられていてもよい。
【0054】
本発明のいくつかの核酸分子の限定的でない例を表1に示す。
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
【表4】

:大文字-PS;小文字-PO;太字-2'-O-メチル-リボヌクレオチド(26および27中);G-2'-デオキシ-7-デアザ-G(28中);G-araG(29中);X-C3-リンカー(37および38中)。
【0058】
代替的に、本発明の核酸分子は、非ヌクレオチドリンカーによって結合した2つのイムノマーであり得る。これら分子の限定されない例を表2に示す。
【表5】

【0059】
【表6】

大文字-PS;小文字-PO、X-C3-リンカー;Y-テトラエチレングリコールリンカー;Z-ヘキサエチレングリコールリンカー、太字-2'-O-メチルリボヌクレオチド(44および57中);G-2'-デオキシ-7-デアザ-G(45中)。
【0060】
ある態様において、本発明の免疫賦活核酸は、配列番号1〜38からなる群から選択される配列を有する。ある態様において、本発明の免疫賦活核酸は、配列番号39〜68からなる群から選択される配列を有する。
【0061】
ある態様において、イムノマーの少なくとも1つの免疫賦活オリゴヌクレオチドは、式:5'-Pyr-Pur-3'で表される免疫賦活ジヌクレオチドを含み、式中、Pyrは天然ピリミジンヌクレオシドまたはその類縁体であり、Purは天然プリンヌクレオシドまたはその類縁体である。本明細書において、用語「ピリミジンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分がピリミジン塩基であるヌクレオシドをいう。同様に、用語「プリンヌクレオシド」は、ヌクレオシドの塩基成分がプリン塩基であるヌクレオシドをいう。本発明のためには、「合成」ピリミジンまたはプリンヌクレオシドは、天然に存在しないピリミジンまたはプリン塩基、天然に存在しない糖部分、またはこれらの組み合わせを含む。
【0062】
本発明による方法において用いられる免疫賦活オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーにおける好ましいピリミジンヌクレオシドは、構造(I):
【化1】

式中、
Dは、水素結合供与体(hydrogen bond donor)であり;
D’は、水素、水素結合供与体、水素結合受容体(hydrogen bond acceptor)、親水基、疎水基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択され;
Aは、水素結合受容体または親水基であり;
A’は、水素結合受容体、親水基、疎水基、電子求引基および電子供与基からなる群から選択され;
Xは、炭素または窒素であり;そして
S’は、ペントースもしくはヘキソース糖環、または天然に存在しない糖である、
を有する。
【0063】
好ましくは、糖環は、ホスフェート部分、修飾ホスフェート部分、またはピリミジンヌクレオシドを他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類縁体に結合するのに好適な他のリンカー部分により誘導体化されている。
好ましい水素結合供与体は、限定なく、−NH−、−NH、−SHおよび−OHを含む。好ましい水素結合受容体は、限定なく、C=O、C=S、および芳香族複素環の環窒素原子、例えばシトシンのN3を含む。
【0064】
ある態様において、(I)の塩基部分は、天然に存在しないピリミジン塩基である。天然に存在しない好ましいピリミジン塩基の例は、限定なく、5−ヒドロキシシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、好ましくはN4−エチルシトシンおよび4−チオウラシルを含む。ある態様において(I)の糖部分S’は、天然に存在しない糖部分である。本発明のためには、「天然に存在する糖部分」は、例えばリボースおよび2’−デオキシリボースなどの、核酸の一部として天然に存在する糖部分であり、「天然に存在しない糖部分」は、核酸の一部として天然に存在しない任意の糖であるが、ヘキソースなどのオリゴヌクレオチドの骨格において用いることのできるものである。アラビノースおよびアラビノース誘導体は、好ましい糖部分の例である。
【0065】
本発明による方法において用いられる免疫賦活オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーにおける、好ましいプリンヌクレオシド類縁体は、構造(II):
【化2】

式中、
Dは、水素結合供与体であり;
D’は、水素、水素結合供与体、および親水基からなる群から選択され;
Aは、水素結合受容体または親水基であり;
Xは、炭素または窒素であり;
各Lは、独立してC、O、NおよびSからなる群から選択され;そして、
S’は、ペントースもしくはヘキソース糖環、または天然に存在しない糖である、
を有する。
【0066】
好ましくは、糖環は、ホスフェート部分、修飾ホスフェート部分、またはピリミジンヌクレオシドを他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類縁体に結合するのに好適な他のリンカー部分により誘導体化されている。
好ましい水素結合供与体は、限定なく、−NH−、−NH、−SHおよび−OHを含む。好ましい水素結合受容体は、限定なく、C=O、C=S、−NO、および芳香族複素環の環窒素原子、例えばグアニンのN1を含む。
【0067】
ある態様において、(VI)の塩基部分は、天然に存在しないプリン塩基である。天然に存在しない好ましいプリン塩基の例は、限定なく、6−チオグアニンおよび7−デアザグアニンを含む。ある態様において、(II)の糖部分S’は、構造(I)について上記したように、天然に存在する糖部分である。
【0068】
第4の面において、本発明は、オリゴヌクレオチドの免疫賦活活性を低減または消失する方法を提供する。該方法は、CpG含有オリゴヌクレオチドの5'末端に、二次構造を含む核酸配列を導入することを含む。この面のある態様において、二次構造は、ステムループ構造である。この面のある態様において、二次構造は、オリゴヌクレオチド配列の5'末端へ相補配列を水素結合することによって得られる。
【0069】
第5の面において、本発明は、免疫賦活オリゴヌクレオチドの安定性を増大するための方法を提供する。該方法は、免疫賦活オリゴヌクレオチドの3'末端に、二次構造を含む核酸配列を導入することを含む。この面のある態様において、二次構造はステムループ構造である。この面のある態様において、二次構造は、オリゴヌクレオチド配列の3'末端に相補配列を水素結合することによって得られる。
【0070】
第6の面において、本発明は、免疫賦活オリゴヌクレオチドの免疫賦活活性の調節方法を提供する。該方法は、免疫賦活オリゴヌクレオチドの3'末端または5'末端に二次構造を含む核酸配列を導入することを含む。この面のある態様において、二次構造は、ステムループ構造である。この面のある態様において、二次構造は、オリゴヌクレオチド配列の3'末端または5'末端に相補配列を水素結合することによって得られる。
【0071】
ここで用いたとおり、用語「調節」または「調節する」は、元の(parent)免疫賦活核酸の免疫賦活活性に比べて、免疫賦活核酸の免疫賦活活性を増大するかまたは低減することを意味する。
【0072】
第7の面において、本発明は、医薬組成物を提供する。これらの組成物は、本発明の第1、第2および第3の面に開示した組成物のいずれか1つを単独で、または組合わせて、そして薬学的に許容し得る担体を含む。
【0073】
ここで用いたとおり、用語「薬学的に許容される」は、本発明の第1、第2または第3の面の組成物の効能を妨げず、細胞、細胞培養物、組織または生物などの生体システムと親和性のある物質をいう。好ましくは、前記生体システムは、脊椎動物などの生きた生物である。
【0074】
ここで用いたとおり、用語「担体」は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、脂質、または医薬処方における用途の分野においてよく知られた他の物質を含む。担体、賦形剤または希釈剤の特徴は、特定用途への投与ルートに依存するものと理解される。これらの物質を含む薬学的に許容される処方の調製は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co. , Easton, PA, 1990, ISBN: 0-912734- 04-3に記載されている。
【0075】
本発明の医薬組成物はまた、EFG、抗イディオタイプ癌ワクチン、Gp75抗原、GMKメラノーマワクチン、MGVガングリオシド結合ワクチン、Her2/new、Ovarex、M-Vax、O-Vax、L-Vax、STn-KHL theratope、BLP25 (MUC-1)、リポソームイディオタイプワクチン、Melacine、ペプチド抗原ワクチン、毒素/抗原ワクチン、MVAに基づくワクチン、PACIS、BCGワクチン、TA-HPV、TA-CIN、DISC-ウイルスおよびImmunCyst/TheraCysからなる群から選択される癌ワクチンを含む癌ワクチンを含み得る。
【0076】
本発明の種々の態様において、本発明の第1、第2、第3、第4、第5または第6の面の組成物は、抗原または抗原に作動可能に結合する他のものと共有結合していてもよい。ここで用いたとおり、用語「作動可能に結合する」は、本発明の第1、第2または第3の面の組成物と抗原との両方の活性を維持する任意の結合をいう。かかる作動的結合の限定的でない例には、同じリポソームの部分または他のこのようなデリバリービヒクルまたは試薬になることを含む。本発明の第1、第2または第3の面の組成物が抗原に共有結合している態様において、かかる共有結合は、好ましくは、免疫賦活オリゴヌクレオチドのアクセス可能な5'末端以外で、本発明の第1、第2または第3の面の組成物の任意の位置である。例えば、抗原は、細胞間連鎖に付着し得るか、または非ヌクレオチドリンカーに付着し得る。代替的に、抗原は、それ自体、非ヌクレオチドリンカーであり得る。
【0077】
本発明の種々の態様において、本発明の第1、第2、第3、第4、第5または第6の面の組成物は、アンチセンス活性を備えたオリゴヌクレオチドを含み得る。ここで用いたとおり、「アンチセンス活性」は、細胞または動物の中へ導入された場合に、オリゴヌクレオチドによって、それに対し相補的である遺伝子の発現における低減をもたらす。
【0078】
本発明の種々の態様において、本発明の第1、第2、第3、第4、第5または第6の面の組成物は、アプタマーであるオリゴヌクレオチド配列を含んでいてもよい。アプタマーは、他の分子と結合する能力に基づいてランダムプール(random pools)から選択される核酸分子である。アプタマーは、核酸、タンパク質、小さな有機化合物および完全な生物にさえも結合するものが選択される。これらの新規な分子は、医薬およびテクノロジーにおいて多くの潜在的な用途を有する(例えば、Burgstaller P., et al. Curr Opin Drug Discov Devel. 5: 690- 700 (2002)参照)。
【0079】
本発明の医薬組成物は、限定されないが、非経口、経口、舌下、経皮、局所、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、を含む任意の好適なルートで、遺伝子銃や皮膚パッチにより、または、目薬またはうがい薬の形で投与され得る。該医薬組成物は、既知の手順で、例えば、癌の処置、感染症の処置および自己免疫疾患の処置などの所望の効果を得る有効期間および用量で供給することができる。全身に投与する場合、医薬組成物は、好ましくは、本発明の第1、第2および/または第3の面の組成物の血中レベルが約0.0001μM〜約10μMに達するのに十分な用量で投与される。局所投与には、これよりもはるかに低い濃度が効果的である可能性があり、また、はるかに高い濃度も容認され得る。好ましくは、免疫賦活オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーのの総用量は、1日あたり患者一人あたり約0.0001mg〜1日あたり体重1kgあたり約200mgの範囲である。同時にまたは連続して治療に有効な量の1または2以上の本発明の治療用組成物を単一の処置症状の個々に投与することが好ましい。
【0080】
さらに、免疫賦活オリゴヌクレオチドをイムノマーとして創出する場合、次のプロトコールが合成のために用いられる。本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーは、図9および11に概略的に示したように、自動シンセサイザーおよびホスホルアミデートアプローチを用いて、簡便に合成し得る。いくつかの態様において、免疫賦活オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーは、リニア合成アプローチによって合成される(図9)。この合成のための典型的なリンカーを図10に示す。ここで用いるように、「リニア合成」との用語は、イムノマーの一端から始まり、他端へ直線的に進行する合成を意味する。リニア合成は、(長さ、塩基組成および/または取り込まれた化学修飾において)同一または同一でないモノマーユニットを免疫賦活オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーへ取り込むことを可能にする。
【0081】
イムノマーに対する代替的な合成法は、「パラレル合成」であり、これは中心のリンカー部分から外側に合成が進む(図11参照)。この合成方法のための典型的なリンカーを図12に示す。リンカーに付着する固体支持体は、米国特許第5,912,332号に記載のとおり、パラレル合成のために用いることができる。代替的に、制御された多孔性ガラス支持体に付着するホスフェートなどの一般的な固体支持体が用いられ得る。
【0082】
イムノマーのパラレル合成はリニア合成に対し、いくつかの利点を有する:(1)パラレル合成は同一のモノマーユニットを取り込むことができる;(2)リニア合成と異なり、両方(または全ての)モノマーユニットが同時に合成され、これにより合成ステップ数および合成に要する時間がモノマーユニットのそれらと同じである;および(3)合成ステップの低減によって、最終イムノマー製品の純度および収量を改善する。
【0083】
リニア合成またはパラレル合成プロトコールによる合成の最後に、本発明の免疫賦活オリゴヌクレオチドまたはイムノマーは簡便に、濃アンモニア溶液で、または、修飾されたヌクレオシドが取り込まれている場合は、ホスホルアミデートの供給者により勧められているもので脱保護し得る。得られた免疫賦活オリゴヌクレオチドおよび/またはイムノマーは、好ましくは、逆相HPLCで精製し、脱トリチル化し、脱塩し、そして透析した。
【0084】
CpG DNA18〜21の賦活化ドメインは、ヒト特異的「GTCGTT」モチーフを5'末端に含む。構造ドメイン領域において、7、11、15または19塩基対(bp)のヘアピンステムループ構造を形成する相補配列は、賦活化ドメインの3'末端の近傍に取り込まれている(表3)。自己安定化CpG DNAは、賦活化ドメインがいかなる構造モチーフをも含まず(塩基対化)、CpG賦活化モチーフが構造ドメインに存在しないようにデザインされる。CpG DNAにおける賦活化モチーフおよび二次構造の両方が、pDC活性化に要求される。CpG DNAは、培養中、ヒトB細胞の強い濃度依存的増殖を誘導する。しかしながら、B細胞の増殖は、ヘアピン二重鎖の長さには依存しない。自己安定化CpG DNAがpDCおよびB細胞の両方を活性化できることによって、癌、喘息、アレルギーおよび感染症に対して用いる治療剤およびB細胞またはpDCを賦活化するものより強力なアジュバントの開発を可能にすることができる。
【0085】
配列22は、賦活化ドメインを有するが、その3'末端にヘアピン構造(構造ドメイン)を形成するために要求される相補性を含まない。これに対し、CpG DNA30はヘアピン構造(構造ドメイン)を形成するが、賦活化モチーフは有していない(表3)。配列69、配列19の類縁体は、ヘアピン配列の1つの鎖に2'-O-メチル−リボヌクレオチドを含む。
【0086】
CpG DNAによる安定したヘアピン構造の形成は、熱融解およびEMSAの調査によって確認した(表3)。予測どおり、CpG DNA18〜21は、異なる長さのオリゴヌクレオチドマーカーと比較した非変性ポリアクリルアミドゲルにおける要求される移動性でバンドを示し、構造がヘアピン構造形成であることを確認した(データ示さず)。
【0087】
ヒトpDCはTLR9を発現し、CpG DNA誘導IFN−αの主なソースであると信じられている。CpG DNA18〜21は、図13に示すように、ヒトpDC培養において、IFN−αの産生を誘導する。IFN−αの分泌のレベルは、ヘアピン二重鎖構造の長さに依存する。19bpの二重鎖を形成するCpG DNA21は、IFN−αを最も高いレベルで誘導した(図13)。応答はドナーからドナーへ変化するが、傾向はCpG DNAの間で一貫していた(図13)。ポリ(dG)配列を含む回文のCpGオリゴで、ヒトpDCを賦活化することが知られているCpG DNA70を、ポジティブコントロールとして用いた。
【0088】
全4つのCpG DNAは、培養におけるヒトB細胞の強い濃度依存的増殖を誘導する(図14)。しかしながら、B細胞の増殖は、ヘアピン二重鎖の長さに依存しなかった(図13)。
【0089】
CpG DNA18、19、22および30によるIFN−αを誘導するヒトpDCの活性を調査した。前の実験においてみられたように、18および19の両方ともIFN−αの産生を誘導した(図15)。賦活化モチーフを備えるが二次構造をもたない配列22および賦活化モチーフをもたず二次構造を備えた配列30は、pDC培養においてIFN−α産生を誘導しなかった(図15)。これらの結果は、CpG DNAにおいて賦活化モチーフと二次構造との両方がpDC活性化に必要であることを示唆している。
【0090】
図4Bに示したB細胞増殖のデータは、二次構造を形成するCpG DNA18および19並びに形成しないCpG DNA22が強いB細胞増殖を誘導したことを示している。賦活化モチーフをもたない配列30は、最小限の増殖を誘導し、CpGモチーフは活性化に要求されるが、二次構造は要求されないことが示唆された。
【0091】
TLR9は、CpG DNAを特異的に認識するが、RNAは特異的に認識しない。しかしながら、フランキング配列のCpGジヌクレオチドに遠位の2'-O-アルキルリボヌクレオチドの部位特異的な取り込みは許容される。本発明者らは、ループ領域を含み3'末端に近接するステム配列が、2'-O-メチルリボヌクレオチドで置換されたCpG DNA19の類縁体を合成した。CpG DNA69および19の両方は、ヒトpDC培養において(図16)およびヒトB細胞増殖において(図16)、同様のレベルのIFN−α分泌を誘導した。これらの結果は、2'-O-メチルリボヌクレオチド置換またはこれらの置換によって生じたコンホメーション変化は、pDCまたはB細胞の活性化を阻害しないことを示した。
【0092】
トール様レセプター9(TLR9)は、非メチル化CpG DNAを認識し、ストレス−キナーゼおよびNF−κB経路を含むいくつかのシグナル経路を活性化し、インビトロおよびインビボでのIFN−α/β、IFN−γ、IL−12、IL−6およびTNF−αを含む多くのケモカインおよびサイトカインの分泌を導く。しかしながら、CpG DNAおよびそのレセプターTLR9の間の直接的な相互作用は、未だ立証されていない。CpG DNA免疫賦活化において、代替レセプターまたはコレセプターの果たし得る役割が提案されてきた。異なる骨格、配列および構造を有するCpG DNAが細胞特異的であるがTLR9依存した形で免疫系を活性化する。
【0093】
CpG DNAの3'末端での二次構造の最適配置によって、異なるサイトカインプロフィールを誘導することができる。ヒト特異的モチーフを備えたCpG DNA構造は、ヒトpDC培養において高いレベルのIFN−αを誘導し、二次構造がpDC活性化に必要であり得ることが示された。
【0094】
本CpG DNAは、5'末端にCpGモチーフを備えた賦活化ドメインおよび3'末端にヘアピン二重鎖の構成を可能にする配列を含む構造ドメインの2つの明確なドメインを含むようにデザインされる。これらCpG DNAの分子内二次構造を形成することができることによって、ユビキタスな3'−ヌクレアーゼに対して、さらなる安定性が提供され、自己安定化CpG DNAと名付けられる。自己安定化CpG DNAは、構造ドメイン領域においてCpGモチーフを有さないことにより、早くに報告されている分子間二重構造を形成する回文CpG DNAと異なる。
【0095】
CpGジヌクレオチドを含む回文配列は、IFN−α/βおよびγを産生するように免疫細胞を活性化する。ここに述べる自己安定化CpG DNAにより、本発明者らは、ヒトB細胞およびpDCの両方により認識されたCpG DNAの賦活化および構造の特徴を分析することができた。CpG DNA18〜21は、ヘアピン二重鎖の長さに依存する形でpDCを活性化する。構造ドメインのないコントロールDNA分子22および賦活化ドメインのないDNA分子30の両方とも、IFN−αの分泌を誘導せず、賦活化ドメインおよび構造ドメインの両方がpDC活性化に要求されることを示した。これに対し、B細胞の活性化には、賦活化ドメインだけが要求され、構造ドメインは要求されない。CpG DNA20および21のより低い活性化は、CpG DNAの二次構造が、B細胞活性化を阻害し得ることを示している。実際、構造ドメインをもたず、CpG DNA18と同じヌクレオチド長のCpG DNA30は、CpG DNA19と同じレベルでB細胞を活性化し、一本鎖DNAがB細胞の活性化には好ましいことを示した。CpG DNA30と観察したB細胞のより低い活性化は、非特異的活性に関係する可能性がある。
【0096】
CpG DNA69での本結果は、DNA/RNAハイブリッドへテロ二重鎖がpDCまたはB細胞活性を妨げないことを示している。これらの結果は、構造ドメイン領域での2'-O-メチルリボヌクレオチド置換によるBからAへのコンホメーション変化が、免疫賦活化にほとんどまたは全く影響しないことを示しており、したがって、これらの位置での置換が許容される。
【0097】
結論として、これらの調査において、本発明者らは、ヒト免疫細胞、pDCおよびB細胞のTLR9−ポジティブ部分の最適活性のために、CpG DNAの賦活化ドメインおよび構造ドメインの合理的な組み合わせを提供する。ここに示す調査により、pDCおよびB細胞の活性化に要求されるCpG DNAの特異的な特徴を決定することができる。CpG賦活化モチーフは、ヒトB細胞の活性化に要求され、また賦活化モチーフおよびさらなる構造ドメインの両方がヒトpDCの活性化に要求される。同じTLR9レセプターが、2つの異なる細胞増殖における賦活化のためのリガンドの異なる構造特性を要求する理由は明確でない。pDCおよびB細胞でのTLR9シグナリングにおいて異なるアダプター分子の関与を示すことができたことは事実である。
【0098】
自己安定化CpG DNAがpDCおよびB細胞の両方を活性化することができることによって、癌、喘息、アレルギーおよび感染症に用いる治療剤およびB細胞またはpDCを賦活化するものより強力なアジュバントの開発が可能である。
【0099】
【表7】

:主要な賦活化ドメインおよび構造ドメインを示す新規なCpG DNAデザイン(ボックス)の概略図。賦活化ドメインは適切なCpGモチーフを含むが、構造ドメインは含まない;
:全ての配列は70を除いてホスホロチオエート修飾した。69においてイタリックで示したヌクレオチドは、2'-O-メチルリボヌクレオチドを示し、70において下線のヌクレオチドは、ホスホジエステル骨格を示す;
c:ND−測定せず
【0100】
以下の例は、本発明のある好ましい態様をさらに示そうとするものであり、本発明の範囲を限定する意図のものではない。
【0101】

例1:オリゴヌクレオチド合成、精製および末端融解プロフィール
CpGオリゴは、シアノエチルホスホルアミデートをPerSeptive Biosystem's 8909 Expedite DNA synthesizer (PerSeptive Biosystem, Boston, MA)を用いて、1〜2μmolのスケールで合成した。dA、dG、dCおよびTのホスホルアミデートは、PE Biosystems (Foster City, CA)から得た。Iyer R. P., et al. (J. Am. Chem. Soc. 112: 1253-1254 (1990))に記載のように、イオジン酸化剤をホスホロチオエート骨格の修飾を得るために用いた。全てのオリゴを、標準のプロトコールを用いて脱保護し、HPLCによって精製し、そして洗浄のためUSP品質の滅菌水に対して透析した。オリゴを凍結乾燥し、蒸留水に再び溶解し、そして濃度を260nmでのUV吸光度から測定した。すべてのオリゴは、純度および分子量の夫々をCGEおよびMALDI−TOF質量分析計(Applied Biosystem's Voyager-DETM STR BiospectrometryTM Workstation)によって特徴付けた。全長のオリゴの純度は90〜96%の範囲であり、残りは、CGEおよび/または変性PAGEによって測定すると、1または2ヌクレオチド短い(n−1およびn−2)。全てのオリゴは、Limulus assay (Bio-Whittaker now known as Cambrex Bio Science Walkersville, Inc., Walkersville, MD)によって測定し、<0.1EU/mLよりも少ないエンドトキシンを含んでいた。
【0102】
熱融解(thermal melting)の調査は、150mM NaClおよび2mM MgClを含むpH7.2±0.2の10mM リン酸水素二ナトリウムの1mLにおいて行った。該溶液を95℃で10分間加熱し、ゆっくりと室温になるように放置して、4℃で一晩貯蔵した。オリゴヌクレオチド鎖の終濃度は、2.0μMであった。UV熱融解測定は、ペルチェ熱コントローラーとパーソナルコンピュータの付属したPerkin-Elmer Lambda 20 Spectrophotometerによって260nmで、1cm経路長石英キュベットを用いて、加熱速度0.5℃/分にて行った。融点(Tm)を半解離の温度として取り、一次導関数のプロットを得た。各Tm値は、2または3つの独立した実験の平均であり、値は±1.0℃以内である。
【0103】
'GACGTT'のヘキサマーモチーフを含む17マーのホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(1)をポジティブコントロールとして用いた(表1)。オリゴヌクレオチド2〜7は、オリゴヌクレオチド1の部分に相補的な5、11または17のヌクレオチドの付加配列を含む(表1)。伸張は3'末端(2〜4)または5'末端(5〜7)に結合し、Hirao,I.,et al.(Nucleic Acids Res. 22: 576-582 (1994))に記載のとおり、安定なステムループを形成可能なGAAトリマーを含む。オリゴヌクレオチド2〜7のヘアピンの形成は、UV熱融解実験で測定した。150mM NaClおよび2mM MgClを含むpH7.2の10mMリン酸ナトリウム中、40〜66℃のTm値は、オリゴヌクレオチド2〜7が実験条件下で安定な二次構造を形成したことを示している(表1)。かかる条件は、形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cells)におけるインターフェロンα(IFN−α)を10μg/mlでオリゴ18、19、20および21に曝した後の条件である。
【0104】
例2:細胞培養条件および試薬
4〜8週齢のBALB/c、C57BL/6またはC3H/HeJマウス由来の脾臓細胞を、Zhao,Q.,et al.(Biochem Pharmacol. 51: 173-182 (1996))およびBranda,R.F.,etal.(Biochem. Pharmacol. 45: 2037-2043 (1993))に記載のとおり、RPMI完全培地にて培養した。マウスJ774マクロファージ(American Type Culture Collection, Manassas, VA)を10%(v/v)ウシ胎仔血清および抗生物質(ペニシリンG/ストレプトマイシン 100IU/mL)を添加したダルベッコ改変イーグル培地で培養した。他のすべての試薬は、Mediatech (Gaithersburg, MD)から入手した。
【0105】
例3:脾臓細胞増殖アッセイ
典型的には、マウス(Balb-C)脾臓細胞を、0.1、1.0および10.0μg/mlの濃度のCpGオリゴと共に48時間培養し、細胞増殖をZhao,Q.,et al.(Biochem Pharmacol. 51: 173-182 (1996))に記載のとおり、3H−ウリジン取り込みにより測定される。
【0106】
はじめに、オリゴ1、2および5を、それらの培養中におけるBALB/cマウス脾臓細胞の増殖を誘導する能力について試験した。オリゴ1および2は、用量依存的な脾臓細胞増殖を誘導した。ステムループをもたない、もとの(parent)オリゴ1は、1.0μg/mLの濃度で、増殖指数6.0±0.3を示した(図1A)。3'末端でステムループ構造を形成するオリゴ2は、同じ濃度で、増殖指数9.0±2.5を示した。しかしながら、5'末端にステムループを形成するオリゴ5は、同じ濃度で、より低い増殖指数1.5±0.3を示し、これはPBSコントロールのそれと同様であった(図1A)。
【0107】
例4:サイトカイン誘導アッセイ
マウス脾臓細胞またはJ774細胞を、それぞれ5×10または1×10細胞/mLを用いて、24ウェルディッシュに播いた。TEバッファー(10mM Tris−HCl、pH7.5、1mM EDTA)に溶解したCpGオリゴを、細胞培養に対し、終濃度0.03、0.1、0.3、1.0、3.0または10.0μg/mLで添加した。次いで細胞を37℃で24時間インキュベートし、上清をELISAアッセイ用に集めた。実験は、各CpGオリゴに対し2または3回行い、各濃度で3回行った。IL−2およびIL−6の分泌は、Bhagat L., et al. (Biochem. Biophys. Res. Commun. 300: 853-861 (2003))に記載のとおり、サンドイッチELISAで測定した。サイトカイン抗体および標品を含む必要な試薬は、BD Biosciences Pharmingen (San Diego, CA)から入手した。
【0108】
CpGオリゴは、IL−12およびIL−6を含む多数のサイトカインを誘導する。BALB/cマウス脾臓細胞培養において、試験化合物1および2は、濃度依存メカニズムによって、IL−12およびIL−6を誘導した。もとのオリゴ1は、3.0μg/mLの濃度で、1514±113pg/mLのIL−12および7681±839pg/mLのIL−6を誘導した(図2)。3'ヘアピンを含むオリゴ2は、わずかに多くのIL−12(1771±286pg/mL)および少ないIL−6(2582±300pg/mL)を誘導した。しかしながら、5'ヘアピンを有するオリゴ5は、サイトカイン分泌を誘導しなかった。これらの結果は、3'末端ではなく5'末端の安定的なヘアピンループによって、免疫賦活活性がブロックされることが示された。
【0109】
CpG DNA3および4は、GACGTTモチーフに広がるかまたは5'末端まで伸張する3'ヘアピンステムを有する。この結果、それらは2つのCpGモチーフ、トップ鎖にGACGTT、その相補配列AACGTCを下に含む(表1)。オリゴ6および7は同様の長い5'ヘアピンを有する。2つのCpGモチーフを有するにもかかわらず、オリゴ3および4は、オリゴ1に比べ、より少ないIL−12を誘導し、IL−6を最小限誘導するかまたは全く誘導しない(図2)。5'ヘアピンを備えたオリゴ6および7の両方が、同じ実験条件下でサイトカイン分泌を誘導しなかった。オリゴ4による最小限のサイトカインの誘導によって、5'末端へのステム構造の伸張が有害で、おそらく認識と続く免疫賦活化を阻害することが示される。これらの結果は、5'末端に伸張する二重鎖のステム構造が免疫賦活化を阻害することを示している。
【0110】
オリゴ4の5'末端での塩基対化は免疫賦活化を抑制するので、両末端での二重鎖形成をCpG DNA8〜10を用いて調査した。オリゴ8は18ヌクレオチドを含み、オリゴ1と同じGACGTTモチーフを含む。オリゴ9および10の自己相補的3'伸張または5'伸張は、付着末端のように、8塩基対のダイマーを形成するように作用する(表1)。

これらの二重鎖はホスホジエステル連鎖を含み、免疫賦活化への任意の長さ依存的ホスホロチオエート効果を低減する。オリゴ9は、3'末端でダイマー化し、もとのオリゴ8と同様のIL−12およびIL−6の誘導を示した(図3)。しかしながら、5'二重鎖を形成するオリゴ10は最小限のIL−12およびIL−6を誘導した(図3)。したがって、5'二重鎖を形成するという特徴は、免疫賦活の消失と強い相関がある。これらの結果は、3'末端ではなく5'末端での二重鎖が、免疫賦活化を阻害することを示している。
【0111】
J774細胞培養においてサイトカイン分泌を誘導するオリゴ1〜7の能力もまた調査した。オリゴ濃度10μg/mLで得たIL−12およびIL−6のデータ(図5)は、脾細胞培養アッセイで得た結果を補足する。これらの結果によってさらに、レセプターがCpG DNA配列を、その5'末端から読み、アクセス可能な5'末端がCpG DNA活性には要求されることが確認された。CpGオリゴの5'末端に伸張する二次構造の存在は、レセプターの読み込みとそれによる免疫賦活活性を阻害し得る。
【0112】
本発明のオリゴヌクレオチドの、形質樹状細胞におけるインターフェロンα(INF−α)の産生する能力についても調べた。これらの細胞の単離および培養のため、Krug, A., et al. (Eur. J. Immunol, 31: 2154- 2163 (2001)を参照せよ。結果を図6、7および8に示す。これらのデータは、3'ヘアピン構造を備えた本発明の核酸分子が、インターフェロンαの産生を賦活化し、5'末端ヘアピン構造が免疫賦活活性、すなわちこれら分子のインターフェロンαの産生を阻害することを示す。
【0113】
例5:マウス脾腫アッセイ
雌BALB/cマウス(4〜6週齢、19〜21gm)を3匹のマウスのグループに分けた。CpGオリゴを滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解し、マウスに5mg/kgの用量で皮下(SC)投与した。Zhao,Q.,et al.(BiochemPharmacol. 51: 173-182 (1996))およびBranda, R.F.,et al.(Biochem. Pharmacol. 45: 2037-2043 (1993))に記載のとおり、マウスを48時間後に安楽死させ、脾臓を回収し、重さを量った。
【0114】
オリゴヌクレオチド1、2および5をBALB/cマウスに5mg/kgの用量で投与し、それらがインビボで脾腫肥大を誘導するかについて測定した。PBSを注射したコントロール群に比較し、オリゴ処置に応答した脾臓の重量の増大は、CpGオリゴの免疫賦活活性の結果であると考えられる(Zhao, Q., et al. Biochem Pharmacol. 51: 173-182 (1996); Branda, R. F., et al. Biochem. Pharmacol. 45: 2037-2043 (1993))。インビボでの調査の結果を図1Bに示す。ステムループ構造をもたないオリゴ1および5'末端にステムループ形成配列を有するオリゴ5は、PBSを受けたコントロール群と比べ、それぞれ約29%および約15%の脾臓の重量が増加した。これに対し、3'末端にステムループ構造を有するオリゴ2は、コントロール群に比べ、脾臓の重量の約48%の増大を引き起こした。
【0115】
例6:NF−κB経路の活性化
トール様レセプター9(TLR9)は、細菌のプラスミドおよび合成DNAで非メチル化CpGジヌクレオチド(Hemmi H. , et al. Nature 408 : 740-745 (2000))、および活性ストレスキナーゼ(Yi A. K., et al. J. Immunol. 161: 4493- 4497 (1998))、およびNF−κB経路(Stacey K. J., et al. J. Immunol. 157: 2116-2122 (1996))を認識することが示されてきた。CpG DNAで処理したJ774細胞におけるNF−κB活性は、Yu D., et al. (Biochem. Biophys. Res. Commun. 297: 83-90 (2002))およびBhagat L., et al. (Biochem. Biophys. Res. Commun. 300: 853-861 (2003))に記載のとおり、EMSAで行われ、分析された。
【0116】
J774におけるNF−κB経路のオリゴ1〜7による活性化は、EMSAを用いて、マウスマクロファージ細胞核抽出物において調査した。図4は、得られた結果を示す。もとのオリゴ1および8の両方が、複合体の存在により示されたとおり、NF−κBを活性化した。3'末端にループを有するオリゴ2〜4もまた適当な複合体の存在により示されるように、NF−κBを活性化した。これに対し、5'末端ループオリゴ5〜7は、J774細胞において転写因子NF−κBを活性化しなかった(図4)。コントロールの非CpGオリゴは、同じ実験条件下でNF−κBを活性化しなかった(レーンC)。これらの結果は、マウス脾臓細胞培養アッセイにおいて得られたデータと一致する。
【0117】
例7:電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)
約0.2ODのCpG DNAおよび他のマーカーを25μLの100mM NaCl、10mMリン酸ナトリウムpH7.2バッファーに溶解し、90℃で15分間加熱し、室温まで放置し、ゲルで分析するまで4℃で貯蔵した。調製したDNAサンプルをグリセロールバッファーと混合し、15%非変性ポリアクリルアミドゲルに溶解した。ゲルを260nmUV光で可視化した。
【0118】
例8:ヒトB細胞および形質樹状細胞(pDC)の単離
新鮮に採取された健常なボランティアの血液のPBMC(CBR Laboratories, Boston, MA)をフィコール密度勾配遠心分離法(Histopaque-1077, Sigma)で単離し、PBMCからB細胞を、製造者の説明書にしたがいCD19細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いて、ポジティブ選択によって単離した。
【0119】
例9:B細胞増殖アッセイ
1×10B細胞/200μlの全量を0.3、1.0、3.0または10.0μg/mLのCpG DNA濃度で64時間賦活化し、次いで0.75μCiの[3H]−チミジンを添加し、8時間後に回収した。放射線の取り込みを液体シンチレーションカウンターを用いて測定した。表4は、終濃度10.0μg/mLでの6CpG DNAに対するB細胞増殖の平均±SDを示す。
【0120】
表4 イムノマー構造およびヒトB細胞増殖アッセイにおける免疫賦活活性(72時間)
【表8】

普通字はホスホロチオエート連鎖を示す;下線は2'-OMeリボヌクレオチドを示す;XはC3-リンカーを示す。
【0121】
例10:ヒトpDC培養およびIFN−αのELISA
pDCは、BDCA-4細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用い、製造者の説明書にしたがい、ヒトPBMCから単離した。pDCを1×106細胞/mLを用いて200μL/ウェルで、96ウェルプレートに播いた。オリゴヌクレオチドは、終濃度0.3、1.0、3.0または10.0μg/mLで細胞培養に添加し、37℃で24時間インキュベートした。次いで上清を回収し、IFN−α、IL−6およびIL−10をELISAキット(PBL)を用いてアッセイした。表5Aおよび5Bは、10.0μg/mLの濃度での6オリゴヌクレオチドに対する平均±SDを示す。
【0122】
表5A イムノマー構造およびヒト樹状細胞アッセイにおける免疫賦活活性(24時間)
【表9】

【0123】
【表10】

【0124】
【表11】

普通字はホスホロチオエート連鎖を示す;下線は2'-OMeリボヌクレオチドを示す;XはC3-リンカーを示す
R=2'-デオキシ-7-デアザグアノシン
【0125】
表5B イムノマー構造およびヒト樹状細胞アッセイにおける免疫賦活活性(24時間)
【表12】

【0126】
【表13】

普通字はホスホロチオエート連鎖を示す;イタリック字はホスホジエステル連鎖を示す。
下線=2'-OMe-リボヌクレオシドを示す
R=2'-デオキシ-7-デアザグアノシン G1=2'-デオキシ-7-デアザグアノイス
X=グリセロールリンカー
【0127】
例11:サイトカインアッセイ
脊椎動物細胞、好ましくはBALB/cマウス脾臓細胞またはヒトPBMCにおけるINF−2およびIL−6の分泌は、サンドイッチELISAにより測定した。サイトカイン抗体およびサイトカイン標品を含む必要な試薬は、PharMingen, San Diego, CAから入手した。ELISAプレート(Costar)を、PBSNバッファー(PBS/0.05%アジ化ナトリウム、pH9.6)中、5μg/mLの適当な抗体と4℃で一晩インキュベートし、次いで、37℃で30分間PBS/1%BSAでブロックした。細胞培養上清およびサイトカイン標品をPBS/10%FBSで適当に希釈し、3つプレートに添加し、そして25℃で2時間インキュベートした。1μg/mLで適当なビオチン化抗体を重ね、25℃で1.5時間インキュベートした。次いで、プレートをPBS−Tバッファー(PBS/0.05% Tween 20)で広範に洗浄し、ペルオキシダーゼ(Sigma, St. Louis, MO)を結合したストレプトアビジンを添加後、さらに25℃で1.5時間インキュベートした。プレートを発色試薬を含むSure Blue(登録商標)(Kirkegaard and Perry)で現像し、反応を停止液(Kirkegaard and Perry)を添加することにより止まった。色の変化をCeres 900 HDI Spectrophotometer (Bio-Tek Instruments)で測定した。
【0128】
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)は、健常なボランティアの末梢血から、Ficoll-Paque密度勾配遠心分離(Histopaque-1077, Sigma, St. Louis, MO)によって単離した。簡単には、ヘパリン処理した血液をHistopaque-1077(等容量)にコニカル遠心管において積層し、400×gで30分間、室温で遠心分離した。単核細胞を含む軟膜を慎重に除去し、等張のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で250×gで10分間遠心分離することにより2回洗浄した。次いで、得られた細胞ペレットをL−グルタミンを含むin RPMI 1640培地(MediaTech, Inc., Herndon, VA)に再懸濁し、10%加熱不活性化FCSおよびペニシリン−ストレプトマイシン(100U/ml)を添加した。細胞を1×10細胞/ml/ウェルで24ウェルプレートで、オリゴヌクレオチドの存在下または非存在下で種々の期間培養した。インキュベーション期間の終わりに、上清を回収し、サンドイッチELISAでIL−6(BD Pharmingen, San Diego, CA)およびIFN−α(BioSource International)を含む種々のサイトカインをアッセイするまで、−70℃で貯蔵した。結果を以下の表6Aおよび6Bに示す。
【0129】
全ての場合に、細胞培養上清におけるIFN−2およびIL−6のレベルは、IFN−2およびIL−6のそれぞれ同じ実験条件下で作成した標準曲線から計算した。
【0130】
表6A イムノマー構造およびヒトPBMCアッセイにおける免疫賦活活性(24時間)
【表14】

普通字はホスホロチオエート連鎖を示す;下線は2'-OMe-リボヌクレオチドを示す;XはC3-リンカーを示す
R=2'-デオキシ-7-デアザグアノシン
【0131】
表6B イムノマー構造およびヒトPBMCアッセイにいおける免疫賦活活性(24時間)
【表15】

【0132】
【表16】

普通字はホスホロチオエート連鎖を示す;イタリック字はホスホジエステル連鎖を示す。
下線=2'-OMe-ヌクレオシド
R=2'-デオキシ-7-デアザグアノシン G1=2'-デオキシ-7-デアザグアノイス
X=グリセロールリンカー
【0133】
例12:B細胞アッセイ
B細胞を、1×10細胞/mL、200μL/ウェルで96ウェルプレートに播いた。オリゴヌクレオチドを終濃度0.3、1.0、3.0または10.0μg/mLで細胞培養物に添加し、37℃で24時間インキュベートした。次いで、上清を採取し、ELISAキット(PBL提供)を用いてIL−6に対してアッセイした。表7は、終濃度10.0μg/mLでオリゴヌクレオチドを加えたドナー5〜10に対する平均±SDを示す。
【0134】
表7 イムノマー構造およびヒトB細胞アッセイにおける免疫賦活活性(24時間)
【表17】

普通字はホスホロチオエート連鎖を示す;下線は2'-OMeリボヌクレオチドを示す;XはC3-リンカーを示す R=2'-デオキシ-7-デアザグアノシン
【0135】
フローサイトメトリーアッセイ
細胞表面マーカーのCD69およびCD86をBD Pharmingen (San Diego, USA)から購入した抗ヒトCD69−FitcおよびCD86−Fitcを用いて、Coulter Epics- XL Flow Cytometerで検出した。染色方法を次に簡単に示す。活性化した培養細胞を、染色バッファー(1%BSAおよび0.1%NaNのPBS)中、10%ヒトAB血清(Sigma)で、4℃1時間ブロックし、抗体で4℃一晩染色した。PBMC(4×10)をCD69−FitcおよびCD86−Fitcで染色した。PDC(2×10)をCD86−Fitcで染色した。細胞染色データは、Coulter System IIソフトウェアで取得し、分析した。
【0136】
表8 イムノマー構造およびヒトPBMCからのBCの発現(24時間)
【表18】

【0137】
【表19】

【0138】
【表20】

普通字はホスホロチオエート連鎖を示す;イタリック字はホスホジエステル連鎖を示す。
下線=2'-OMe-ヌクレオシド
R=2'-デオキシ-7-デアザグアノシン G1=2'-デオキシ-7-デアザグアノイス
X=グリセロールリンカー
【0139】
表9 イムノマー構造およびヒトPBMCからのDCの発現(24時間)
【表21】

【0140】
【表22】

普通字はホスホロチオエート連鎖を示す;イタリック字はホスホジエステル連鎖を示す。
下線=2'-OMe-ヌクレオシド
R=2'-デオキシ-7-デアザグアノシン G1=2'-デオキシ-7-デアザグアノイス
X=グリセロールリンカー
【0141】
均等
前述の発明を、明確さと理解のためにある程度詳細に記述したが、この開示を読んだ当業者には、本発明の真の範囲および付属のクレームから乖離することなく、形態および詳細についての種々の改変が可能であることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を含む、免疫賦活核酸であって、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、2'-ジデオキシ-5-ニトロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシドであり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖であり、
ここで前記オリゴヌクレオチド配列は、該オリゴヌクレオチド配列の3'末端に二次構造を有する、前記免疫賦活核酸。
【請求項2】
オリゴヌクレオチド配列が、約12〜約50ヌクレオチド長である、請求項1に記載の免疫賦活核酸。
【請求項3】
オリゴヌクレオチド配列が、約12〜約26ヌクレオチド長である、請求項1に記載の免疫賦活核酸。
【請求項4】
オリゴヌクレオチド配列が、3'末端ステムループ二次構造を形成する、請求項1に記載の免疫賦活核酸。
【請求項5】
オリゴヌクレオチド配列が、3'末端に回文配列または相補配列を有する、請求項1に記載の免疫賦活核酸。
【請求項6】
配列番号2、3、4、9、12、13、14、18、19、20、21、24、25、26、27、28、29、30、32、33、34、35、36、37および38からなる群から選択される、請求項1に記載の免疫賦活核酸。
【請求項7】
CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を含む、低減された免疫賦活活性を有する免疫賦活核酸であって、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、2'-ジデオキシ-5-ニトロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシドであり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖であり、
ここで前記オリゴヌクレオチド配列は、該オリゴヌクレオチド配列の5'末端に二次構造を有する、前記免疫賦活核酸。
【請求項8】
オリゴヌクレオチド配列が、約12〜約50ヌクレオチド長である、請求項7に記載の免疫賦活核酸。
【請求項9】
オリゴヌクレオチド配列が、約12〜約26ヌクレオチド長である、請求項7に記載の免疫賦活核酸。
【請求項10】
オリゴヌクレオチド配列が、5'末端ステムループ二次構造を形成する、請求項7に記載の免疫賦活核酸。
【請求項11】
オリゴヌクレオチド配列が、5'末端に回文配列または相補配列を有する、請求項1に記載の免疫賦活核酸。
【請求項12】
配列番号5、6、7、10、15、16および17からなる群から選択される、請求項7に記載の免疫賦活核酸。
【請求項13】
CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドの免疫賦活活性を低減または消失する方法であって、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、2'-ジデオキシ-5-ニトロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシドであり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、そして
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖であり、
前記オリゴヌクレオチド配列の5'末端に、二次構造を含む核酸配列を導入することを含む、前記方法。
【請求項14】
二次構造が、ステムループ構造である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
二次構造が、回文配列または相補配列との水素結合である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の免疫賦活核酸および薬学的に許容し得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項17】
請求項7に記載の免疫賦活核酸および薬学的に許容し得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項18】
少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む免疫賦活核酸であって、該免疫賦活核酸は二次構造を有し、そして該免疫賦活核酸は一般構造:
DomainA−DomainB−DomainC (I)
を含み、
式中、DomainAは、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択される少なくとも1つのジヌクレオチドであって、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、2'-ジデオキシ-5-ニトロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシドであり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖である、前記ジヌクレオチドを含んでいるか、または含んでない、回文または自己相補的なドメインを有しているか、有していない5'-3'または3'-5'または2'-5'DNA、RNA、RNA−DNA、DNA−RNAであってもよく、
DomainBは、DomainAおよびCを結びつけるリンカーで、3'-5'連鎖、2'-5'連鎖、3'-3'連鎖、ホスフェート基、ヌクレオシドまたは、脂肪族、芳香族、アリール、環状、キラル、アキラル、ペプチド、炭水化物、脂質、脂肪酸、モノ−、トリ−もしくはヘキサポリエチレングリコールまたは複素環部分であってもよい非ヌクレオシドリンカーであり、
DomainCは、CpG、CpG、CpGおよびCpGからなる群から選択されるジヌクレオチドであって、
式中、Cは、シチジンまたは2'-デオキシシチジンであり、
Gは、グアノシンまたは2-デオキシグアノシンであり、
は、2'-デオキシチミジン、1-(2'-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-2-オキソ-7-デアザ-8-メチル-プリン、2'-ジデオキシ-5-ハロシトシン、2'-ジデオキシ-5-ニトロシトシン、アラビノシチジン、2'-デオキシ-2'-置換アラビノシチジン、2'-O-置換アラビノシチジン、2'-デオキシ-5-ヒドロキシシチジン、2'-デオキシ-N4-アルキル-シチジン、2'-デオキシ-4-チオウリジンまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシドであり、
は、2'-デオキシ-7-デアザグアノシン、2'-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2'-デオキシ-2'-置換-アラビノグアノシン、2'-O-置換-アラビノグアノシン、2'-デオキシイノシンまたは他の非天然プリンヌクレオシドであり、
pは、ホスホジエステル、ホスホロチオエートからなる群から選択されるヌクレオシド間連鎖である、前記ジヌクレオチドを有することができ、または有することができず、回文または自己相補的な配列を有するか、または有しない5'-3'または3'-5'、2'-5'DNA、RNA、RNA−DNA、DNA−RNA Poly I-Poly Cであってもよい、前記免疫賦活核酸。
【請求項19】
配列番号1〜38からなる群から選択される配列を有する、請求項18に記載の免疫賦活核酸。
【請求項20】
配列番号39〜68からなる群から選択される配列を有する、請求項18に記載の免疫賦活核酸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−200248(P2011−200248A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122456(P2011−122456)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【分割の表示】特願2006−533760(P2006−533760)の分割
【原出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】Idera Pharmaceuticals, Inc.
【Fターム(参考)】