説明

安定性に優れた還元型補酵素Q10結晶及び還元型補酵素Q10結晶を含有する組成物

本発明は、安定性に優れた還元型補酵素Q10の結晶及び還元型補酵素Q10結晶を含有する組成物の提供を目的とする。本発明によれば、還元型補酵素Q10を、油脂に溶解させた後、冷却することにより、通常の還元型補酵素Q10結晶とはCu−Kα線によるX線回折パターンを異にし、安定性に優れた還元型補酵素Q10結晶を取得することができる。また、当該結晶は、生体吸収性にも優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体吸収性、酸化安定性に優れた還元型補酵素Q10の結晶及び還元型補酵素Q10の結晶を含有する組成物に関する。還元型補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10に比べて高い経口吸収性を示し、優れた食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
補酵素Qは、細菌から哺乳動物まで広く生体に分布する必須成分であり、生体内の細胞中におけるミトコンドリアの電子伝達系構成成分として知られている。補酵素Qは、ミトコンドリア内において酸化と還元を繰り返すことで、電子伝達系における伝達成分としての機能を担っているほか、還元型補酵素Qは抗酸化作用を持つことが知られている。ヒトでは補酵素Qの側鎖が繰り返し構造を10個持つ補酵素Q10が主成分であり、生体内においては、通常、40〜90%程度が還元型として存在している。補酵素Qの生理的作用としては、ミトコンドリア賦活作用によるエネルギー生産の活性化、心機能の活性化、細胞膜の安定化効果、抗酸化作用による細胞の保護効果等が挙げられている。
【0003】
補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10が、欧米では健康食品として、日本では鬱血性心不全薬として用いられており、近年では、日本でも栄養機能食品としても用いられてきている。
【0004】
一方、還元型補酵素Qはそれ自身でも強い抗酸化作用を持つため、血中に十分量の還元型補酵素Qを送り込むことにより、血中の抗酸化作用活性を効果的に増加させることが可能となる。血中の抗酸化活性を増加させることは、虚血再還流時の血管障害、動脈硬化の再狭窄防止、脳梗塞後の再血管障害の防止、動脈硬化の予防、糖尿病の合併症の予防等、活性酸素種によって増悪が示唆されている多くの疾患に対して幅広い有用性が考えられる。
【0005】
還元型補酵素Q10は、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により補酵素Q10を得た後、クロマトグラフィーにより流出液中の還元型補酵素Q10区分を濃縮する方法等により得られることが知られている(特許文献1参照)。この場合には、上記還元型補酵素Q10中に含まれる酸化型補酵素Q10を、水素化ホウ素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム(次亜硫酸ナトリウム)等の一般的な還元剤を用いて還元した後、クロマトグラフィーによる濃縮を行っても良いこと、また、還元型補酵素Q10は、既存の高純度補酵素Q10に上記還元剤を作用させる方法によっても得られることが、該特許公報中に記載されている。
【0006】
さらに、本発明者らは、鋭意検討の結果、高品質の還元型補酵素Q10を得るための製法を確立し、特許出願した(特許文献2〜8参照)。
【0007】
しかしながら、還元型補酵素Q10は、分子酸素によって酸化型補酵素Q10に酸化されやすい。上記酸化は、難除去性の酸化型補酵素Q10の副生及び製品への混入といった品質面の問題に直結する。高純度の還元型補酵素Q10結晶を得るためには、さらに、取得した還元型補酵素Q10の結晶を安定に保持するためには、上記酸化から好適に防護することが重要である。
【0008】
【特許文献1】特開平10−109933号公報
【特許文献2】WO03/06408
【特許文献3】WO03/06409
【特許文献4】WO03/06410
【特許文献5】WO03/06411
【特許文献6】WO03/06412
【特許文献7】WO03/08363
【特許文献8】WO03/32967
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、安定性の改善された還元型補酵素Q10の結晶及び還元型補酵素Q10の結晶を含有する組成物、ならびに、還元型補酵素Q10の安定性を改善する方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記に鑑み、鋭意検討した結果、還元型補酵素Q10を油脂から結晶化することにより、安定性に優れた還元型補酵素Q10結晶が得られること、及び、当該結晶はCu−Kα線によるX線回折において、通常の溶媒から結晶化させた還元型補酵素Q10結晶とは異なる特徴を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、Cu−Kα線によるX線回折法において回折角(2θ)3.1°に中間強度のピーク、20.2°、23.0°に強いピーク、18.7°、19.0°に特に強いピークを有することを特徴とする還元型補酵素Q10の結晶である。
【0012】
また、本発明は、前記還元型補酵素Q10の結晶と油脂が共存してなる、還元型補酵素Q10の結晶を含有する組成物でもある。
また、本発明は、前記還元型補酵素Q10の結晶又は前記組成物を含有してなる経口投与剤でもある。
【0013】
さらに、本発明は、還元型補酵素Q10を添加した油脂を加熱して還元型補酵素Q10を溶解させた還元型補酵素Q10と油脂の混合物、及び/又は、加熱融解した還元型補酵素Q10を加熱した油脂に添加した還元型補酵素Q10と油脂の混合物を冷却し、還元型補酵素Q10を結晶化させることを特徴とする還元型補酵素Q10の結晶の製造方法でもある。
【0014】
本発明によれば、安定性の改善された還元型補酵素Q10の結晶を得ることができる。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、補酵素Q10とのみ記載した場合は、酸化型、還元型を問わず、両者が混在する場合には混合物全体を表すものである。
【0016】
本発明の還元型補酵素Q10の結晶は、還元型補酵素Q10を添加した油脂を加熱して還元型補酵素Q10を溶解させた還元型補酵素Q10と油脂の混合物、及び/又は、加熱融解した還元型補酵素Q10を加熱した油脂に添加した還元型補酵素Q10と油脂の混合物を冷却し、結晶化させることにより製造することができる。
【0017】
本発明の結晶とする還元型補酵素Q10は、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により得ることができる。還元型補酵素Q10は単独でも良く、又、酸化型補酵素Q10との混合物であっても良い。好ましくは、既存の高純度補酵素Q10等の酸化型補酵素Q10、あるいは酸化型補酵素Q10と還元型補酵素Q10の混合物を、一般的な還元剤、例えば、ハイドロサルファイトナトリウム(次亜硫酸ナトリウム)、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸等を用いて還元することにより得ることができる。
【0018】
補酵素Q10の総量(即ち、還元型補酵素Q10及び酸化型補酵素Q10の総量)に占める還元型補酵素Q10の割合は、特に制限されないが、普通20重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは96重量%以上である。上限は100重量%であり、特に限定されないが、普通99.9重量%以下である。
【0019】
使用する油脂としては、動植物からの天然油脂であってもよく、合成油脂や加工油脂であってもよい。より好ましくは、食用又は医薬用に許容されるものである。例えば、植物油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、落花生油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ヒマワリ種子油、カポック油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ゴマ油、サフラワー油、オリーブ油等を挙げることができ、動物油脂としては、例えば、豚脂、乳脂、魚油、牛脂等を挙げることができ、さらに、これらを分別、水素添加、エステル交換等により加工した油脂(例えば、硬化油等)も挙げることができる。言うまでもなく、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、脂肪酸の部分グリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、リン脂質等も使用しうる。また、これらの混合物を使用しても良い。
【0020】
中鎖脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、脂肪酸の炭素数が各々6〜12、好ましくは8〜12のトリグリセリド等を挙げることができる。
脂肪酸の部分グリセリドとしては、例えば、脂肪酸の炭素数が各々6〜18、好ましくは6〜12のモノグリセリドやジグリセリド等を挙げることができる。
プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、例えば、脂肪酸の炭素数が各々6〜18、好ましくは6〜12のモノグリセリドやジグリセリド等を挙げることができる。
【0021】
リン脂質としては、例えば、卵黄レシチン、精製大豆レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン、ジセチルリン酸、ステアリルアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトールアミン、カルジオリピン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール、及び、これらの混合物等を挙げることができる。
【0022】
上記油脂のうち、取り扱い易さ、臭気等の面から植物油脂、合成油脂や加工油脂、リン脂質が好ましい。これらは油脂の価格、還元型補酵素Q10の安定性や補酵素Q10の溶解性等を考慮して選定するのが好ましい。例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、菜種油、米油、大豆油、綿実油、オリーブ油、MCT、リン脂質等が好ましく、米油、大豆油、菜種油、MCT、リン脂質等が特に好ましい。
【0023】
結晶化前の還元型補酵素Q10を含有する油脂は、既存の還元型補酵素Q10結晶を還元型補酵素Q10の融点(49℃)以上に加熱・融解した後、加熱した油脂に加える、もしくは、既存の還元型補酵素Q10結晶を油脂に加えた後、加熱・溶解、例えば、50〜90℃に加熱することにより得ることができる。さらには、酸化型補酵素Q10を含む油脂の溶液を、アスコルビン酸等の還元剤を用いて還元させ、還元型補酵素Q10を含有する油脂としても良い。
【0024】
上記加熱・融解若しくは加熱・溶解の温度は、特に制限されないが、普通約50℃以上、好ましくは約55℃以上、より好ましくは約60℃以上である。上限は、普通約90℃以下、好ましくは約85℃以下、より好ましくは約80℃以下である。通常約50〜90℃、好ましくは約55〜85℃、より好ましくは約55〜80℃、さらに好ましくは約60〜80℃で好適に実施できる。
【0025】
還元型補酵素Q10の結晶化は、上述した還元型補酵素Q10を含有する油脂を冷却することにより行われる。
【0026】
還元型補酵素Q10の結晶化に際しては、上記油脂のほかに、他の素材が適宜添加されていてもよい。このようなものとしては、特に制限されず、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、酸化防止剤、着色剤、凝集防止剤、吸収促進剤、有効成分の溶解補助剤、安定化剤、粘度調整剤等が挙げられる。言うまでもなく、補酵素Q10以外の他の活性成分を共存させることを妨げないし、上記素材は還元型補酵素Q10の結晶を析出させた後に添加しても良い。
【0027】
上記賦形剤としては特に制限されないが、例えば、白糖、乳糖、ブドウ糖、コーンスターチ、マンニトール、結晶セルロース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等を挙げることができる。
上記崩壊剤としては特に制限されないが、例えば、でんぷん、寒天、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、デキストリン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、トラガント等を挙げることができる。
【0028】
上記滑沢剤としては特に制限されないが、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、シリカ等を挙げることができる。
上記結合剤としては特に制限されないが、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トラガント、シェラック、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ソルビトール等を挙げることができる。
【0029】
上記酸化防止剤としては特に制限されないが、例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、ビタミンA、β−カロチン、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、クエン酸等を挙げることができる。
上記着色剤としては特に制限されないが、例えば、医薬品、食品に添加することが許可されているもの等を挙げることができる。
【0030】
上記凝集防止剤としては特に制限されないが、例えば、ステアリン酸、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ酸等を挙げることができる。
上記吸収促進剤としては特に制限されないが、例えば、高級アルコール類;高級脂肪酸類;ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤等を挙げることができる。
【0031】
上記有効成分の溶解補助剤としては特に制限されないが、例えば、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸等を挙げることができる。
上記安定化剤としては特に制限されないが、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エチル、蜜蝋等を挙げることができる。
上記粘度調整剤としては特に制限されないが、例えば、蜜蝋等を挙げることができる。
【0032】
上記補酵素Q10以外の活性成分としては、例えば、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、ポリフェノール、有機酸、糖類、ペプチド、タンパク質等を挙げることができる。
【0033】
還元型補酵素Q10の結晶化温度(結晶化時の冷却温度)は、特に制限されないが、結晶析出率等の観点から、普通30℃以下、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは15℃以下、特に好ましくは10℃以下である。下限は系の固化温度である。通常、0℃〜25℃で好適に実施できる。
【0034】
結晶化時の還元型補酵素Q10の濃度は、使用油脂の重量に対する還元型補酵素Q10の重量の割合として、好ましくは約75重量%以下、より好ましくは約50重量%以下、さらに好ましくは約30重量%以下、特に好ましくは約20重量%以下である。下限は、普通約0.1重量%、好ましくは約1重量%、より好ましくは約3重量%である。通常、約0.1〜75重量%、好ましくは約1〜50重量%、より好ましくは約3〜30重量%で好適に実施できる。
このようにして得られた還元型補酵素Q10結晶は分離して使用しても良いし、油脂と混合されたままで還元型補酵素Q10結晶を含有する組成物として使用しても良い。
【0035】
結晶化させた後に還元型補酵素Q10結晶を分離する場合、結晶化時の還元型補酵素Q10の濃度は、使用油脂の重量に対する還元型補酵素Q10の重量の割合として、普通約30重量%以下、好ましくは約20重量%以下、より好ましくは約15重量%以下、さらに好ましくは約12重量%以下、特に好ましくは約10重量%以下である。上記濃度を維持することにより、工業的規模においても好適に結晶化ならびに結晶の分離を行うことができる。この場合、濃度の下限は、生産性の観点から、普通約1重量%であり、好ましくは約2重量%である。通常、約1〜30重量%で好適に実施できる。
【0036】
結晶化に際しては、過飽和の形成を抑制し、スムースに核化・結晶成長を行うために、種晶を添加することも好ましく行われる。
また、結晶化に際して、強制流動下にて実施することもできる。過飽和の形成を抑制し、スムースに核化・結晶成長を行うために、及び、高品質化の観点から、単位容積当たりの撹拌所要動力として、通常約0.01kW/m以上、好ましくは約0.1kW/m以上、より好ましくは約0.3kW/m以上の流動が好ましい。上記の強制流動は、通常、撹拌翼の回転により与えられるが、上記流動が得られれば必ずしも撹拌翼を用いる必要はなく、例えば、液の循環による方法等を利用しても良い。
【0037】
結晶化時には、単位時間当たりの結晶の晶出量を制御して、過飽和の形成を制御するのが好ましい。好ましい単位時間当たりの晶出量は、例えば、単位時間当たり全晶出量の約50重量%量が晶出する速度以下(即ち、最大で50重量%量/時間)であり、好ましくは、単位時間当たり全晶出量の約25重量%量が晶出する速度以下(即ち、最大で25重量%量/時間)である。
また、冷却速度としては、普通、約40℃/時間以下、好ましくは約20℃/時間以下である。
【0038】
上記のように結晶化した後、必要に応じて、還元型補酵素Q10結晶を分離、取得してもよい。この場合、例えば、結晶化後、遠心分離、加圧濾過、減圧濾過等による固液分離、さらに、必要に応じてケーキ洗浄を行い、湿体として取得することができる。また、さらに不活性ガスで内部を置換した減圧乾燥器(真空乾燥器)に湿体を仕込み、減圧下、乾燥し、乾体として取得することができる。
【0039】
上記のようにして得られた本発明の還元型補酵素Q10の結晶は、Cu−Kα線を用いたX線回折において、通常の溶媒から結晶化された還元型補酵素Q10結晶とは異なる特徴を示し、安定性に優れており、さらに、生体吸収性に優れていることもわかった。
【0040】
本発明の還元型補酵素Q10結晶は、Cu−Kα線によるX線回折法において、回折角(2θ)3.1°に中間強度のピーク、20.2°、23.0°に強いピーク、18.7°、19.0°に特に強いピークを有し、通常の溶媒から結晶化された還元型補酵素Q10結晶と区別される。
【0041】
還元型補酵素Q10結晶としては、好ましくは、上記Cu−Kα線によるX線回折法において、
(a)19.0°のピーク強度を100として、3.1°のピーク強度が25以下、好ましくは20以下、
(b)19.0°のピーク強度を100として、18.7°のピーク強度が80以上、好ましくは85以上、
(c)20.2°のピークと23.0°のピークの強度比が、20.2°のピーク強度/23.0°のピーク強度として0.7以上、好ましくは0.75以上、
のうち、少なくとも一つの特徴を有する結晶である。より好ましくは、上記(a)〜(c)の任意の2つの特徴を併せ持つ結晶であり、さらに好ましくは、上記(a)〜(c)の3つの特徴を併せ持つ結晶である。
なお、回折角度の表示においては、使用機器等による誤差も起こり得るため、±0.2°程度の誤差は本発明の範疇である。
また、結晶中に残存する非晶質等の影響により、X線回折図のベースラインが乱れる場合には、ベースラインを補正し、非晶質等の影響を排除するのが好ましい。
【0042】
還元型補酵素Q10の結晶化後は、還元型補酵素Q10結晶と油脂が共存する組成物として、そのまま用いても良いし、還元型補酵素Q10結晶を分離して、使用しても良い。
分離した還元型補酵素Q10結晶は、前述した所望の油脂等に添加し、還元型補酵素Q10結晶を含有する組成物としても良い。言うまでもなく、当該組成物には、還元型補酵素Q10結晶と油脂以外に、前述した賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、酸化防止剤、着色剤、凝集防止剤、吸収促進剤、有効成分の溶解補助剤、安定化剤、粘度調整剤、補酵素Q10以外の活性物質が含まれることを妨げない。
【0043】
本発明の還元型補酵素Q10結晶を含有する組成物において、使用する油脂の重量に対する還元型補酵素Q10の重量の割合としては、好ましくは約75重量%以下、より好ましくは約50重量%以下、さらに好ましくは約30重量%以下、特に好ましくは約20重量%以下である。濃度の下限は、普通約0.1重量%、好ましくは約1重量%、より好ましくは約3重量%である。通常、約0.1〜75重量%、好ましくは約1〜50重量%、より好ましくは約3〜30重量%で好適に実施できる。
【0044】
本発明により、安定性に優れた還元型補酵素Q10の結晶又は還元型補酵素Q10の結晶を含有する組成物を得ることができる。このようにして得られた結晶又は当該結晶を含有する組成物は、生体吸収性にも優れている。
【0045】
上述のようにして得られた還元型補酵素Q10の結晶又は還元型補酵素Q10の結晶を含有する組成物は、そのまま使用することができるが、それらをカプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセル)、錠剤、シロップ、飲料等の経口投与剤の形態にさらに加工して好ましく使用しうるし、クリーム、坐薬、練り歯磨き等のための形態にさらに加工しても使用しうる。好ましくは経口投与剤であり、特に好ましくはカプセル剤であり、とりわけソフトカプセルが好ましい。
言うまでもなく、油脂に溶解させた還元型補酵素Q10(還元型補酵素Q10を添加した油脂を加熱して還元型補酵素Q10を溶解させた還元型補酵素Q10と油脂の混合物、及び/又は、加熱融解した還元型補酵素Q10を加熱した油脂に添加した還元型補酵素Q10と油脂の混合物)を、還元型補酵素Q10が溶解した状態でカプセル化した後、冷却することにより還元型補酵素Q10の結晶を析出させた、還元型補酵素Q10の結晶を含有するカプセル剤も本発明の範疇である。
【0046】
カプセル剤の作製に用いるカプセル基材としては特に制限されず、牛骨、牛皮、豚皮、魚皮等を由来とするゼラチンをはじめとして、他の基材(例えば、食品添加物として使用しうる、カラギーナン、アルギン酸等の海藻由来品、ローカストビーンガム、グアーガム等の植物種子由来品等の増粘安定剤;セルロース類を含む製造用剤等)も使用しうる。
【0047】
また、本発明の還元型補酵素Q10の結晶又は還元型補酵素Q10の結晶を含有する組成物や上記カプセル剤は、例えば、パン、パスタ、雑炊、米飯、ケーキ、菓子等の調理時に適宜添加して用いることもできる。言うまでもなく、他の食品形態として利用することも妨げない。
【0048】
本発明の還元型補酵素Q10の結晶又は還元型補酵素Q10の結晶を含有する組成物の製造及び保管は、脱酸素雰囲気下で実施することにより、酸化防止効果を高めることができる。脱酸素雰囲気は、不活性ガスによる置換、減圧、沸騰や、これらを組み合わせることにより達成できる。少なくとも、不活性ガスによる置換、即ち、不活性ガス雰囲気を用いるのが好適である。上記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、水素ガス、炭酸ガス等を挙げることができ、好ましくは窒素ガスである。
【0049】
上述した還元型補酵素Q10の結晶、還元型補酵素Q10の結晶を含有する組成物や経口投与剤においては、所定期間の保存後、還元型補酵素Q10を、還元型補酵素Q10/(還元型補酵素Q10+酸化型補酵素Q10)の重量割合として90重量%以上、好ましくは95重量%以上維持することが期待できる。上記保存期間は、例えば、1日以上、好ましくは1週間以上、より好ましくは1ヶ月以上、さらに好ましくは半年以上、特に好ましくは1年以上、最も好ましくは2年以上である。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、安定性に優れた還元型補酵素Q10の結晶、当該結晶を含有する組成物を簡便に製造することができる。また、当該還元型補酵素Q10の結晶及びそれを含有する組成物は、生体吸収性が優れており、食用や医薬用等の組成物や経口投与剤としての利用にも適する等、広範に利用でき、その利点は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下に実施例を揚げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また、実施例中の還元型補酵素Q10の純度、還元型補酵素Q10と酸化型補酵素Q10との重量比は、下記HPLC分析により求めたが、得られた還元型補酵素Q10の純度は、本発明における純度の限界値を規定するものではなく、また、同様に、還元型補酵素Q10と酸化型補酵素Q10との重量比も、その上限値を規定するものではない。
【0052】
(HPLC分析条件)
カラム:SYMMETRY C18(Waters製)、250mm(長さ)、4.6mm(内径)
移動相:エタノール/メタノール=4/3(v/v)
検出波長:210nm
流速:1ml/min
還元型補酵素Q10の保持時間:9.1min
酸化型補酵素Q10の保持時間:13.3min。
【0053】
また、実施例中のCu−Kα線によるX線回折法は、以下のようにして行った。
装置:回転対陰極型X線回折装置 ガイガーフレックスRAD−rA[理学電気(株)]
使用X線:Cu・Kα線
X線強度:40kV、100mA
角度域:2θ=2〜60°
走査速度:2°/分
サンプリング間隔:0.02秒
ダイバージェンススリット:1°
レシーピングスリット:0.60°
スキャッタスリット:1°
【0054】
(参考例1)
1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q10、60gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、還元反応を行った。30時間後、50℃まで冷却し、同温を保持しながらエタノールを400g、水を100g添加した。このエタノール溶液を攪拌(攪拌所要動力0.3kW/m)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜35℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95gを得た(有姿収率95モル%)。なお、減圧乾燥を除くすべての操作は、窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5であった。
【実施例1】
【0055】
参考例1で取得した10gの還元型補酵素Q10(還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5)を25℃にて190gのナタネ油に添加し、60℃にて撹拌(攪拌所要動力0.3kw/m)しながら還元型補酵素Q10を完全に溶解させた。攪拌(攪拌所要動力0.3kw/m)しながら、10℃/時間の冷却速度で5℃まで冷却し、結晶を析出させた。なお、以上の操作はすべて窒素雰囲気下にて実施した。得られたスラリーを減圧ろ過し、ヘキサンを用いて十分に洗浄した後、湿結晶を減圧乾燥(20〜35℃、1〜30mmHg)することにより、Cu−Kα線によるX線回折法におけるX線回折図が図1に示すような、還元型補酵素Q10結晶を8.7g得た。この結晶は、上記X線回折図において、回折角(2θ)3.1°に中間強度のピーク、20.2°、23.0°に強いピーク、18.7°、19.0°に特に強いピークを有していた。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.3/0.7であった。
【実施例2】
【0056】
参考例1で取得した10gの還元型補酵素Q10(還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5)を25℃にて190gの中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT、炭素数8:炭素数10=6:4)に添加し、60℃にて撹拌(攪拌所要動力0.3kw/m)しながら還元型補酵素Q10を完全に溶解させた。攪拌(攪拌所要動力0.3kw/m)しながら、10℃/時間の冷却速度で5℃まで冷却し、結晶を析出させた。なお、以上の操作はすべて窒素雰囲気下にて実施した。得られたスラリーを減圧ろ過し、ヘキサンを用いて十分に洗浄した後、湿結晶を減圧乾燥(20〜35℃、1〜30mmHg)することにより、還元型補酵素Q10結晶を6.5g得た。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.3/0.7であった。
【0057】
(比較例1)
参考例1で取得した10gの還元型補酵素Q10(還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5)を25℃にて150gの6%含水エタノールに添加し、60℃にて撹拌しながら還元型補酵素Q10を完全に溶解させた。攪拌(攪拌所要動力0.3kw/m)しながら、10℃/時間の冷却速度で5℃まで冷却し、結晶を析出させた。なお、以上の操作はすべて窒素雰囲気下にて実施した。得られたスラリーを減圧ろ過し、エタノール、水、エタノールの順で十分に洗浄した後、湿結晶を減圧乾燥(20〜35℃、1〜30mmHg)することにより、Cu−Kα線によるX線回折法におけるX線回折図が図2に示すような、還元型補酵素Q10結晶を9.6g得た。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.3/0.7であった。
【実施例3】
【0058】
実施例1、実施例2、及び、比較例1で得られた還元型補酵素Q10結晶を、30℃、空気中、遮光条件下に4日間保存した。4日後の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を測定した結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
この結果より、還元型補酵素Q10を油脂から結晶化して得られた本発明の還元型補酵素Q10結晶は、通常の溶媒から結晶化させた還元型補酵素Q10結晶に比べて、安定性に優れることがわかる。
【0061】
(参考例2)
実施例1で取得した還元型補酵素Q10と、比較例1で取得した還元型補酵素Q10を用いて、ラットに経口投与した場合の補酵素Q10血中濃度を測定した。
各サンプルは、重量比で還元型補酵素Q10:ナタネ油=1:2となるように、これらを0.2%Tween80水溶液に加え、懸濁し、胃ゾンデを用いて、30mg(還元型補酵素Q10)/kg(ラット体重)となるように、1群6匹のSDラット(雄)に強制経口投与した。その後、経時的に血液を採取して、血漿中の補酵素Q10濃度をHPLCにて測定した。
血漿中補酵素Q10濃度の測定結果を表2に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
表2のように、実施例1で取得した還元型補酵素Q10結晶と、比較例1で取得した還元型補酵素Q10結晶を、動物に投与した場合に補酵素Q10の血漿中濃度を測定し比較したところ、本発明の還元型補酵素Q10の生体利用能は、溶媒中で晶析した還元型補酵素Q10に比べて明らかに高かった。従って、本発明の還元型補酵素Q10を用いると、極めて高い生体吸収性を示すことが明らかとなった。
【実施例4】
【0064】
160gのナタネ油、10gの硬化油、5gのレシチン、5gの蜜蝋を70℃にて混合した。同温にて、参考例1で取得した20gの還元型補酵素Q10(還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5)を添加し、撹拌(攪拌所要動力0.3kw/m)しながら還元型補酵素Q10を完全に溶解させた。溶解後、上記撹拌を維持しながら、10℃/時間の冷却速度で5℃まで冷却し、結晶を析出させた。以上の操作はすべて窒素雰囲気下にて実施した。この還元型補酵素Q10結晶を含有した組成物を20℃まで戻した後、定法により、還元型補酵素Q10結晶を含有する組成物を1カプセル当たり300mg(還元型補酵素Q10 30mg相当)となるようなゼラチンのソフトカプセル製剤とした。
【実施例5】
【0065】
160gのナタネ油、10gの硬化油、5gのレシチン、5gの蜜蝋を70℃にて混合した。同温にて、参考例1で取得した20gの還元型補酵素Q10(還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5)を添加し、撹拌(攪拌所要動力0.3kw/m)しながら還元型補酵素Q10を完全に溶解させた。以上の操作はすべて窒素雰囲気下にて実施した。この還元型補酵素Q10結晶を含有した組成物を20℃まで冷却した後、定法により、還元型補酵素Q10結晶を含有する組成物を1カプセル当たり300mg(還元型補酵素Q10 30mg相当)となるようなゼラチンのソフトカプセル製剤とした。このソフトカプセル製剤を5℃にて24時間静置すると、ソフトカプセル内にて還元型補酵素Q10の結晶が析出した。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、安定性に優れた還元型補酵素Q10の結晶、当該結晶を含有する組成物を簡便に製造することができる。また、当該還元型補酵素Q10の結晶及びそれを含有する組成物は、生体吸収性が優れており、食用や医薬用等の組成物や経口投与剤としての利用にも適する等、広範に利用でき、その利点は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】還元型補酵素Q10をナタネ油に溶解させた後、冷却して結晶化させた還元型補酵素Q10結晶のCu−Kα線によるX線回折法におけるX線回折図を示す。
【図2】還元型補酵素Q10を6%含水エタノールに溶解させた後、冷却して結晶化させた還元型補酵素Q10結晶のCu−Kα線によるX線回折法におけるX線回折図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu−Kα線によるX線回折法において回折角(2θ)3.1°に中間強度のピーク、20.2°、23.0°に強いピーク、18.7°、19.0°に特に強いピークを有することを特徴とする還元型補酵素Q10の結晶。
【請求項2】
Cu−Kα線によるX線回折法において、下記(a)〜(c)の少なくとも一つの特徴を有する請求項1記載の還元型補酵素Q10の結晶:
(a)19.0°のピーク強度を100として、3.1°のピーク強度が25以下である、
(b)19.0°のピーク強度を100として、18.7°のピーク強度が80以上である、
(c)20.2°のピークと23.0°のピークの強度比が、20.2°のピーク強度/23.0°のピーク強度として0.7以上である。
【請求項3】
還元型補酵素Q10を添加した油脂を加熱して還元型補酵素Q10を溶解させた還元型補酵素Q10と油脂の混合物、及び/又は、加熱融解した還元型補酵素Q10を加熱した油脂に添加した還元型補酵素Q10と油脂の混合物を冷却した後、還元型補酵素Q10の結晶を分離することにより得られる請求項1又は2記載の還元型補酵素Q10の結晶。
【請求項4】
結晶化の際の、油脂の重量に対する還元型補酵素Q10の重量の割合が、1〜30重量%である請求項3記載の還元型補酵素Q10の結晶。
【請求項5】
油脂が、ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、落花生油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ヒマワリ種子油、カポック油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ゴマ油、サフラワー油、オリーブ油、豚脂、乳脂、魚油、牛脂、これらを分別、水素添加、及び/又は、エステル交換により加工した油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸の部分グリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、リン脂質のうちから選ばれる少なくとも1種である請求項3又は4記載の還元型補酵素Q10の結晶。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の還元型補酵素Q10の結晶と油脂が共存してなる、還元型補酵素Q10の結晶を含有する組成物。
【請求項7】
還元型補酵素Q10を添加した油脂を加熱して還元型補酵素Q10を溶解させた還元型補酵素Q10と油脂の混合物、及び/又は、加熱融解した還元型補酵素Q10を加熱した油脂に添加した還元型補酵素Q10と油脂の混合物を冷却して得られる、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
請求項1記載の還元型補酵素Q10の結晶を油脂に添加することにより得られる請求項6記載の組成物。
【請求項9】
油脂の重量に対する還元型補酵素Q10の重量の割合が、0.1〜75重量%である請求項6〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
油脂が、ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、落花生油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ヒマワリ種子油、カポック油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ゴマ油、サフラワー油、オリーブ油、豚脂、乳脂、魚油、牛脂、これらを分別、水素添加、及び/又は、エステル交換により加工した油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸の部分グリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、リン脂質のうちから選ばれる少なくとも1種である請求項6〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
請求項1〜5のいずれかに記載の還元型補酵素Q10の結晶、又は、請求項6〜10のいずれかに記載の組成物を含有してなる経口投与剤。
【請求項12】
カプセル剤である請求項11記載の経口投与剤。
【請求項13】
還元型補酵素Q10を添加した油脂を加熱して還元型補酵素Q10を溶解させた還元型補酵素Q10と油脂の混合物、及び/又は、加熱融解した還元型補酵素Q10を加熱した油脂に添加した還元型補酵素Q10と油脂の混合物を、還元型補酵素Q10が溶解状態でカプセル化した後、冷却し、還元型補酵素Q10を結晶化させてなるカプセル剤である請求項12記載の経口投与剤。
【請求項14】
還元型補酵素Q10を添加した油脂を加熱して還元型補酵素Q10を溶解させた還元型補酵素Q10と油脂の混合物、及び/又は、加熱融解した還元型補酵素Q10を加熱した油脂に添加した還元型補酵素Q10と油脂の混合物を冷却し、還元型補酵素Q10を結晶化させることを特徴とする還元型補酵素Q10の結晶の製造方法。
【請求項15】
結晶化の際の、油脂の重量に対する還元型補酵素Q10の重量の割合が、0.1〜75重量%である請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
油脂が、ヤシ油、パーム油、パーム核油、アマニ油、つばき油、玄米胚芽油、菜種油、米油、落花生油、コーン油、小麦胚芽油、大豆油、エゴマ油、綿実油、ヒマワリ種子油、カポック油、月見草油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ゴマ油、サフラワー油、オリーブ油、豚脂、乳脂、魚油、牛脂、これらを分別、水素添加、及び/又は、エステル交換により加工した油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸の部分グリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、リン脂質のうちから選ばれる少なくとも1種である請求項14又は15記載の製造方法。
【請求項17】
脱酸素雰囲気下に還元型補酵素Q10の結晶を製造する請求項14〜16のいずれかに記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【国際公開番号】WO2005/033054
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【発行日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514380(P2005−514380)
【国際出願番号】PCT/JP2004/013150
【国際出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】