説明

安眠を促進する作用を有する飲料

【課題】 うつ病という、場合によっては、自殺という悲劇的な状況に至るのを未然に回避する為に精神が安定せず、スムースに眠りにつけない人にとって、安らかな眠りに入ることを促進する飲料、低アルコール飲料を提供する。
【解決手段】 香料を含有しており、安眠を促す作用を有することを特徴とする、飲料または低アルコール飲料。香料が、アプリコット、ペアー、ユズ、ラベンター、ジャスミン、バラ、ジュニパーベリー、ジンシャー由来のものであることを特徴とする、飲料または低アルコール飲料。その飲料または低アルコール飲料が、紅茶であることを特徴とする、飲料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、うつ病の前兆的症状の一つである「なんとなく不安感があって、よく眠れない」という症状を改善する作用を有する飲料、低アルコール飲料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代社会は、高度情報化社会、高齢化社会、実力主義社会等々、いろいろと表現されるように、一例として、会社内では、成果主義が導入されているように、いろいろとストレスの蓄積される環境になってきており、実際、自殺者も年間3万人を超えるという悲劇的な一面を有する社会になってきた。そして、その中には、うつ病であったり、うつ病であることを認知することなく死に至る人も多い。うつ病と診断された経験のある人は、日本人では、成人の10%〜20%とされているが、うつ病と診断される機会を持たなかった人を含めるとその数は、さらに大きいものと推察される。ところで、うつ病に至る前の前兆的症状としては、まず、なんとなく不安感があると感じる人が多い。これは、うつ病になる人は、気まじめな人が多いとされ、それらの人は、仕事上の悩みについて、深刻に考えすぎる傾向があるからである。そこで、うつ病に至るのを未然に防ぐには、まず最も多い前兆的症状である、なんとなく不安感を感じるという症状を少しでも改善することが、肝要である。
【0003】
特開2004−123655号公報(特許文献1)には、リナロールを有効成分とすることを特徴とする抗不安、緊張緩和、精神安定剤。ラベンダー・オイルを有効成分とすることを特徴とする抗不安、緊張緩和、精神安定剤。香料であることを特徴とする抗不安、緊張緩和、精神安定剤について開示されている。この出願発明のリナロールはラベンダーの花から得られた精油に含まれる主要成分である。フォーゲル型コンフリクト試験では、絶水を施したマウスに水を飲むと電気ショックを与えることにより葛藤(コンフリクト)状態を設定する。抗不安作用を有する薬物を与えるとそのマウスは電気ショックにかまわずに水を飲むようになる。この様な作用をフォーゲル型コンフリクト試験における抗コンフリクト作用と呼び、人における抗不安作用を示している。
【0004】
特開2002−68969号公報(特許文献2)には、フェネチルアルコール及び/又はシトロネロールを有効成分とすることを特徴とする抗不安、緊張緩和、精神安定剤。ローズオイルを有効成分とすることを特徴とする抗不安、緊張緩和、精神安定剤。香料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗不安、緊張緩和、精神安定剤について開示されている。この出願発明のフェネチルアルコールとシトロネロールはバラの花から得られた精油に含まれる主要成分である。充分に訓練をするとマウスは電気ショックを恐れるために、レバー押し行動を行わなくなる。しかし、抗不安作用を有する薬物を与えると、そのマウスは電気ショックにかまわずにレバー押しを行うようになる。薬物のこの様な作用をゲラー型コンフリクト試験における抗コンフリクト作用と呼び、人における抗不安作用を示唆している。フォーゲル型コンフリクト試験では、絶水を施したマウスに水を飲むと電気ショックを与えることにより葛藤(コンフリクト)状態を設定する。抗不安作用を有する薬物を与えるとそのマウスは電気ショックにかまわずに水を飲むようになる。この様な作用をフォーゲル型コンフリクト試験における抗コンフリクト作用と呼び、人における抗不安作用を示している。
【0005】
香料の主な種類とその性質については、おおまかに分類すると、1.柑橘系果物の香りは果皮に多く含まれており、それを絞り出した後で精油を分離します。圧搾法で得られる香料を精油(エッセンシャルオイル)と呼ばれるもの。2.熱に弱い植物を除くほとんどの花や樹皮、種子などの香料植物から香料を採取する際に使われる蒸留法で得られる精油(エッセンシャルオイル)と呼ばれるもの。3.エタノールに長時間浸漬して揺さぶり熟成させることでチンクチャーと呼ばれる物質にするもの。3.CH系溶剤、とくに石油エーテルに香りを移し、(この段階でコンクリートと呼ばれます) さらにそこからエタノールに香りを移し、エタノールを除去して香気成分を取り出すアブソリュートと呼ばれるもの。但し、樹脂系の香料の場合はレジンと呼ばれる。主として長谷川香料株式会社らの商品説明用資料によれば、以下のようなものが公知になっている。
【0006】
1.アプリコット、日本名で「あんず」と呼ばれるバラ科の落葉性高木で、中国華北地方の原産です。果実は核果で有毛、みぞがあり、白粉を吹き、成熟すると淡黄色または橙黄色になります。アプリコットの核仁は杏仁と呼ばれ、漢方では鎮咳去痰薬として配合されている。杏仁にはアミグダリン約3%、脂肪油30〜50%が含まれており、圧搾して得られる杏仁油は化粧品の原料となり、しぼりかすを蒸留して得られる杏仁水は鎮咳薬にされる。果肉の香気成分は、リナロール、ゲラニオール、ネロールなどのアルコール類、ベンズアルデヒド、パラサイメンなどがメイン成分で、他にはγ―ブチロラクトン、γ―デカラクトンなどのラクトン類、エチルラウレート、エチルミリステート、イソブチリックアシッドなどのエステル、酸類も検出される。
【0007】
2.ペピーノ、
ペピーノは果物のニューフェイスとして注目されているナス科の植物の果実である。原産はコロンビア、ペルーなどの温暖なアンデス山地で、南米では「ペピノ」、「メロンペアー」、「メロンシュラップ」という名で広く知られている。ニュージーランドに渡って改良が加えられて今日のペピーノができた。種子が少なく、果汁をたっぷり含んだ淡いクリーム色の柔らかな果肉はフレッシュなメロンのような香りと、トロピカルフルーツを淡白にしたような香りを合わせもっている。 ペピーノの主香気成分はメロンと同様、青臭い香りのシス-6-ノネノールである。一方、トロピカル系のフルーティーな香りは、3-メチル-2-ブテニルエステルと3-メチル-3-ブテニルエステルによるものとされている。
【0008】
3.スイカ、スイカは、4000年以前から栽培されている長い歴史のあるウリ科の果実である。果肉部の香気成分はアルデハイド類、アルコール類、ケトン類などで、得にスイカのみずみずしさに寄与している成分はC-9のアルコールおよびアルデハイドで、具体的には3, 6-ノナジエナール、3-ノネナールと言われている。スイカフレーバーはメロンフレーバーなどに比べ利用範囲が狭いため、一部の冷菓、チューイングガムなどにしか用いられていない。
【0009】
4.ペアー、ペアーは、バラ科ナシ属に含まれる温帯性果樹で、世界の温帯の広い地域で栽培されている。いわゆるペアーと呼ばれるものは西洋ナシのことで、原産地はヨーロッパ中部や南東部、および小アジアからイラン北部にかけての地帯である。ペアーは、甘く上品な香り高いフルーツですが、バートレット種から重要香気成分として、エチル及びメチル トランス-2,シス-4-デカジエノエートやその他高級脂肪酸のエステルがいくつか見いだされている。
【0010】
5.グレープ、グレープは世界の大多数の国で栽培され、果物類の全生産量の半分に達するといわれている。グレープの香りの成分としては、エチル
アセテート、メチル アンスラニレートなどのエステル類をはじめ、リナロール、ヘキサノール、フラネオールなどがあげられます。これらの組み合わせにより、巨峰、マスカットなどの特徴のある香りが作り出される。
【0011】
6.メロン、メロンはウリ科に属する一年生のつる草植物である。独特のみずみずしい香りとグリーン香に特徴があり、重要な成分としてはcis-6-ノネナール、3,6-ノナジエン-1-オール、trans-2-cis-6-ノナジエナール、cis-3-ヘキセノールがあげられ、他にも酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、酪酸エステル類などの多種の香気成分が報告されている。メロンの多くはそのままデザートとして食されていますが、マスクメロンは特に果汁が豊富で甘味が強く好まれている。天然香料としてメロンは商業的に生産されないので、メロンフレーバーは人工的に調合のものが利用されている。
【0012】
7.モモ、モモは品種として一般に知られているだけでも23種類に及でいる。果実の香気成分として確認されている物質は、86成分に達し主にエステル類、ラクトン類、アルデヒド類ですが、未熟の時は、エステル類が多く成熟すると共に、ラクトン類が増加することが知られている。他の果実に比べ、炭素数6〜10のラクトン類の存在が特徴的である。調合上では、γ-ウンデカラクトンを通常「ピーチアルデヒド」と呼んでいる。その他では、酢酸ヘキシル、酢酸トランス-2-ヘキセニル、ベンツアルデヒド等が比較的多く存在している。
【0013】
8.リンゴ、リンゴの香気成分の中心は、新鮮な青さと甘さを演出するヘキサノール、ヘキサナール、トランス-2-ヘキセナール等の炭素数が6個の化合物である。エチルブチレート、ブチルアセテート、ブチルブチレート等のエステル類は甘さと完熟感を与える。芳香の強いデリシャス系の品種は、このエステル類の比率が高く、国光や紅玉ではイソブチルアルコール、ブタノール等のアルコール類が多くなっている。また、酸類も甘さとまとまりに重要な役割を占めている。最近の研究ではエストラゴールが芳香にかなり貢献しているという報告もある。
【0014】
9.イチゴ、イチゴはバラ科で、その学名(フラガリア属)にもあるように香りの良い果物(フラグラント=芳香の意味)であるが、その香りは非常に変化しやすく、いたみも早いので、新鮮な朝づみイチゴがもてはやされる。香気成分はこれまでに三百種以上が分析されていますが、新鮮なイチゴの香気には、酢酸エチル、酪酸メチル、酢酸ブチル、カプロン酸メチルなどのエステル類をはじめとし、アルコール類、酢酸などが重要であるといわれている。また独特の甘い香りに関与する成分として、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノンやラクトン類が知られている。香料のタイプには、ナチュラルタイプ、ジャムタイプ、かき氷イチゴシロップのようなファンシータイプなどがあり、冷菓、乳飲料、菓子などに広く使用されている。
【0015】
10.ユズ、ユズはミカン科の耐寒性の強い常緑小高木で、果肉は柔軟多汁で多酸である。生果と果汁での出荷がほとんどで、わずかに果皮から溶剤抽出によってオイルが生産されている。ユズは調理用柑橘として、その爽快な酸味と快い独特の香気で日本人の食生活に親しまれている。食品香料としては調合香料が使用され、また果汁と併用して食品のフレーバーを増強している。香気はリモネンが主成分ですが、リナロールのほか微量のチモール、ペリラアルデヒドなどが重要な成分となっている。
【0016】
11.温州みかん、温州みかんはジャパニーズタンジェリンともいわれ、バレンシア、ネーブルなどのオレンジに比べると味、香りはやや及ばないが、その分しつこさがなくシンプルで、極めて日本的な味といえる。 温州みかんは果皮中には精油が少なく(約0.04%)積極的にその採取はなされない。精油成分はオレンジと同様97〜98%がテルペン系炭化水素でそのうちそのうち90〜93パーセントがd−リモネンです。特徴的な微量成分としては、テルペン系アルコールのリナロール、脂肪族アルデヒドのデカナールなどがあげられる。
【0017】
12.ライム、ライムは、サワーライムとスイートライムに大別され、後者はサワーライムとレモンの交配種と考えられている。果汁100g中には、レモン同様にクエン酸が約6g含まれ、酸味剤としても用いられます。ビタミンCも約30mg含まれており、帆船全盛時代には、船員たちのビタミンC補給源として積み込まれた。ライム油は、飲料、冷菓、製菓用香料として重要で、圧搾油と蒸留油があり、後者が90%以上を占めている。香気は、前者がレモン的であるのに対し、後者がウッディなのですが、それは蒸留の際に油の成分に化学的変化が起こり、圧搾油にはない成分が生じるためと考えられている。特徴となる香気成分はターピネオール、シネオールなどで、その他の成分と調和しライム独特のシャープな香りを形成している。
【0018】
13.グレープフルーツ、グレープフルーツは、グレープフルーツは生果だけでなく、ジュースや缶詰にも利用され、その生産量は全柑橘の10%をも占めるようになった。グレープフルーツの香気の特徴はヌートカトンで、果実中には約200ppm含まれています。その他の香気としては、シトラール、リナロール、炭素数8〜10のアルデヒド、バレンセン、その他のエステルが挙げられる。また、独特のさわやかな苦みはナリンジンという物質に由来し、果実中に0.03〜0.1%含まれている。
【0019】
14.バレンシアオレンジ、世界の柑橘生産量の約70%を占めるバレンシアオレンジは、オレンジオイルは、果皮の圧搾、または果実全体を圧搾し果汁を得る時に分離して採油される。その香気成分は、d-リモネンが90パーセント以上を占めますが、特徴を示す重要成分は、分子の中に酸素を含む化合物です。炭素数8-12のアルデヒド類はフレッシュな果皮感を、シネンサールは甘い果汁感を、酢酸エチル、酪酸ブチルなどのエステル類は甘い熟した感じがかもし出される。
【0020】
15.レモン、レモンオイルはフレッシュで爽やかな香気をもっているため、とても人気が高く、特にフレーバー用としては、オレンジと並ぶ定番で、飲料用フレーバー等によく使われる。 レモンの香りの特徴を出す香気成分はシトラールですが、その他アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類などとの調和によって、レモン特有の香りがかもし出される。
【0021】
16.イランイラン、イランイランは、香料は水蒸気蒸留で得られるオイルが主で、最初に得られるエキストラと呼ばれるオイルはエステル類が多くまれエーテル類、フェノール類も比較的多いため香料的価値が最も高く、次いでファースト、セカンド、サードの順で留出し、エキストラとは逆にセスキテルペン類などの含有量が次第に多くなり香気が弱くなる。サードは主に石鹸用などに用いられる。香気成分は産地やグレードによっても異なりますが、ベンジルアセテート、p-メチルアニソール、リナロール、メチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、などが報告されている。
【0022】
17.オレンジフラワー
、オレンジフラワーアブソリュートはミカン科のビターオレンジの花から得られる。ビターオレンジの木から得られる香料は花を溶剤抽出して得られるオレンジフラワーアブソリュート、水蒸気蒸留でネロリオイル、枝葉からは水蒸気蒸留でぺチグレンビガラードオイル、果皮を圧搾しビターオレンジオイルといくつもの重要なものが得られる。オレンジフラワーアブソリュートはローズ、ジャスミンに次ぐ重要な花精油の1つで、ダークブラウンの粘性のある液体です。非常に強いフローラルで重厚なオレンジの花様の持続性の強い香りで、オーデコロンや高級フレグランスなどに幅広く変調剤として使用される。ネロリオイルは強いオレンジの花様の香気の無色の液体で最初にオーデコロンに使われた古典的な花精油である。香気成分はリナロール、リナリルアセテート、ゲラニオール、ネロリドール、ネロール、インドールなどで、アブソリュートにはβ−フェニルエチルアルコール、オイゲノール、シトロネリルアセテート、ジャスモンなども含まれている。
【0023】
18.キンモクセイ(オスマンサス)、キンモクセイは特に東洋人に好まれる香りといわれ、中国にはこの花で香りをつけた桂花茶・桂花酒などがありますが、欧米ではなじみが薄く、香料としての利用は少ない。香料は中国広東省、広西省でオスマンサスアブソリュートを産しますが、高価で供給量も少ないため、高価なフレグランスなどに少量使われます。その一方で、キンモクセイの花の香りは、比較的単純な処方でその香りの特徴が出せることから、調合香料のキンモクセイの香りが、日本でキンモクセイといえばトイレの消臭剤と言われるほどに芳香剤分野で普及した。花の香気成分としては、β−イオノン、リナロール、γ−デカラクトン、リナロールオキサイド、cis−3−ヘキセノールなどが主なものとして挙げられる。
【0024】
19.キズイセン(ジョンキル) 、キズイセンはヒガンバナ科に属し、花の香りはナルシサスよりも繊細で華やかでありスイセンの中で最も強い香りである。香料は花を石油エーテル抽出してコンクリートを得、これからアブソリュートを得る。ジョンキルアブソリュートはダークブラウンからオレンジ色をした粘性のある液体で、チュベローズと良く似た濃厚な香りする。
香気成分としてはメチルベンゾエート、ベンジルベンゾエートやメチルシンナメートをはじめとするシンナミックアシッドのエステル、リナロール、メチルアンスラニレート、インドールなどが報告されている。
【0025】
20.スイセン(ナルシサス)、スイセンはヒガンバナ科の球根植物で、およそ20種ほど存在しますが、香料上重要なものはクチベニスイセン、フサザキスイセン、キズイセンの3種である。香気は強いバイオレットリーフ様のグリンノートでやや土臭さがあり、カーネーションやヒアシンスを思い起こさせる強いグリーンな香りがある。香気成分としては、シンナミックアルデヒド、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、オイゲノール、などが報告されている。ナルシサスアブソリュートはジャスミンの花などの香りとよく調和するため、フローラルな香りに重厚な印象を与える素材として、香粧品香料に用いられる。
【0026】
21.カーネーション 、英名でカーネーション、仏名はウイエと呼ばれる強い芳香を持つ多年生の植物で、ナデシコ科に属する。古くから栽培され親しまれている花で、幸福のシンボルとして母の日や復活祭などの行事に欠かせない花である。カ―ネーション香料は石油エーテルで抽出したコンクリートからアブソリュートを得る方法がとられますが、収油率0.03%と低く高価なため生産量が減少している。カーネーションの花は濃厚でスパイシ−なクローブ様の香りがします。香気成分としては、オイゲノール、フェニルエチルアルコール、ベンジルベンゾエート、ベンジルサリシレート、シンナミルアルコール、シトロネロールなどがみいだされている。
【0027】
22.ミモザ 、ミモザは和名でフサアカシアと呼ばれるオーストラリア、およびタスマニア原産のマメ科の常緑高木である。香料は花のついた小枝を石油エーテル処理し、得られたコンクリートをアルコールで再処理、アブソリュートを得ます。ミモザアブソリュートは少し青臭いフローラル〜ウッディーで濃厚な香りである。ライラックやミュゲ(スズラン)、バイオレットタイプの調合に効果的で、また、調合した合成香料の香りを調和させるブレンダーとしての効果や、保留剤としての効果も優秀である。石鹸やリップスティック、クリーム、パウダー用香料としても使われる。香気成分としては、アニスアルデヒドなどが報告されている。
【0028】
23.ラベンダー、ラベンダーはシソ科に属する小潅木で地中海沿岸地帯が原産地とされている。香気成分は、リナリルアセテート、リナロールを柱にカンファー、キャリオフィレン、ターピネオール、γ―ターピネン、など多数の成分が報告されています。ラバンジンはリナロールが最も多く、次いでリナリルアセテート。また、カンファーの含有量が多く、ラベンダーよりシャープな香りである。ラベンダーは古くからオーデコロンに使われ、特に男性用化粧品には欠かせない存在である。
【0029】

24.ライラック、英名をライラック、仏名をリラと呼ぶモクセイ科の植物で、古くから文学や絵画の世界にも数多く登場し、親しまれている花である。ライラックの芳香は知られており、香調としてもバラ、ジャスミンについで重要な地位を占めていますが、その花精油の香気が生花の香気とかなり異なるため、ほとんど生産されていない。花の香気成分としては、主成分のライラックアルコールの他に、α−ピネン、オシメン、メチルベンジルエーテル、ヒドロキノンジメチルエーテル、cis-3-ヘキセノール、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒドなどが報告されている。
【0030】
25.スズラン、ユリ科の多年草のスズラン属には、日本のスズラン、大型のアメリカスズラン、ヨーロッパ原産のドイツスズランの3種がある。香気成分としてはリナロール、シトロネロール、ゲラニオール、シンナミックアルコール、フェニルプロピルアルコール、フェニルエチルアルコール、cis−3−ヘキセノールなどがありますが、スズランを特徴づける香気成分は見出されていない。スズランの香りはミュゲノートと呼ばれ、フレグランス製品の香りを構成する最も重要な花香の一つですが、その花精油は高価で収油率も低いため、産業上の利用はほとんど行われず、昔から香料界ではスズランの香りを合成香料の調合によって創っている。基本的には、ヒドロキシシトロネラール、リナロール、ターピネオール、シトロネロール、ロジノールをベースとし、その他にシクラメンアルデヒド、リラール、リリアール、ミュゲアルデヒドなどが用いられる。
【0031】
26.ジャスミン、ジャスミンはローズとともに最も好まれ多用されてきている香料素材である。原産はインド北部とされ、モクセイ科オウバイ属の常緑潅木で、世界各地で100種以上が栽培されています。香料用にはスペインジャスミンと呼ばれる種類が栽培され、フランス、エジプト、モロッコ、インド、中国などで香料の抽出が行われています。ジャスミンの香りは、花を石油エーテル、主にヘキサンで抽出して得られたコンクリートをエタノールで脱ワックスし、アブソリュートの形で使用される。香気成分として主なものは、ベンジルアセテート、ベンジルベンゾエート、リナロール、フィトール類などですが、特徴的なものはメチルジャスモネート、シスジャスモン、インドールなどです。ちなみに、中国でジャスミンティ−の香り付けに利用されているものは、茉莉花(マツリカ)という熱帯性の種類で、こちらはジャスモン類を全く含まないくちなしの花に似たグリーンフローラルな香りである。
【0032】
27.バラ、バラはバラ科、バラ属に属し、主な香気成分はフェニルエチルアルコール、ゲラニオール、シトロネロールなどです。ダマスクローズからは主に水蒸気蒸留でローズ・オイルを得ます。透明な淡黄色の液体で、フレッシュでこくのある甘さがあり、軽く立つ香りである。主な香気成分はシトロネロール、ネロール、リナロール、フェニルエチルアルコールなどです。他に特徴的な成分としてローズオキサイド、ダマセノンなどがある。
【0033】
28.ザクロ、ザクロは根皮や果皮にはペレチェリンと呼ばれるアルカロイドが含まれており、条虫駆除薬としての効果をもっている。
【0034】
29.チェリー、チェリーはバラ科サクラ亜属に属する落葉高木の果実で、日本名では“さくらんぼ”と呼ばれている。チェリーフレーバーは、一般的に西洋チェリーがベンズアルデヒドを中心としたパンチのある香りで、国産のものは果肉感のあるみずみずしい香りである。香気成分としてはベンズアルデヒドが特徴的で、ほかでは脂肪酸エステル類、ヘキセノール類、ヘキセナール類が主である。
【0035】
30.イリス、イリスはアヤメ科アヤメ属の草本で日本ではカキツバタ、アヤメ、ハナショウブ等が知られていますがこれらは観賞用で、香料用には地中海沿岸地方原産のムラサキイリス、ニオイイリス、シボリイリスの3種が栽培されている。香料は根茎から採る。3年生育した根茎を洗浄、剥皮、天日乾燥後、2〜3年間貯蔵すると、収穫直後の青臭い馬鈴薯のような香りがイリス特有の強いバイオレット様の香気に熟成される。これを粉砕、溶剤抽出してレジノイドを得、さらにエタノール処理をすると溶解性の高いアブソリュートレジノイドイリスが得られる。また、水蒸気蒸留で、常温で固体のイリスコンクリートが得られ、これをアルカリ処理して得たものをイリスアブソリュートといい、最も高価な天然香料の1つで香気的にも蒸留品の方が好まれている。
【0036】
31.マリーゴールド、マリーゴールド(タジェット)はメキシコ原産のキク科の植物で、野生化したものや観賞用など多くの品種・変種があり、その中ではアフリカンマリーゴールド(Tagetes erectra L.)とフレンチマリーゴールド(Tagetes patula L.)が栽培種としてよく知られている。香料はTagetes granduliferaやTagetes minuta L.という種類のマリーゴールドの花、葉、茎を水蒸気蒸留してオイルを得る。オイルは濃い黄色、又はオレンジ色の液体ですが長期間空気に触れたり、日光に当てると固化するため、遮光された密閉容器に保存される。アブソリュートは花を石油エーテルなどの溶媒で抽出する。多くの香料成分の中でマリーゴールドの香りを特徴づけるものはタゲトン、ジヒドロタゲトン、3-メチル-5-(2-メチルプロピル)-2-フランカルバルデハイドなどです。タジェットオイルは他の天然香料や合成香料と調合するとフルーティーなハーブ様の香気やタバコ様の香りを与えるため、タバコ香料や香粧品香料として使用される。
【0037】
32.ザクロ、ザクロはペルシャ(イラン)あたりが原産地といわれる、ザクロ科の樹高5〜10メートルの落葉小高木である。7〜8月にかけて濃いオレンジ色の花をつけ、果実は9〜10月に黄赤色に熟します。外種皮は多汁で甘味と酸味がありますが、特徴的な香りはない。生食用のほかジュースの原料にされます。グレナデン・シロップはカクテルに重用される。根皮や果皮にはペレチェリンと呼ばれるアルカロイドが含まれており、条虫駆除薬としての効果をもっている。ザクロフレーバーの調香にはメチルフェニルカルビノール、α―イオノン、γ―ウンデカラクトンなどが使われる。
【0038】
33.エニシダ、エニシダは英名をブルームといい、言葉の通りその小枝で作られた箒に由来している。フランスではジェネと呼び、グラース近郊の山々は6月から7月にかけて野生のジェネの黄金色の花でいっぱいになり、甘く強い香りが漂う。香料は花を溶剤抽出しその後、アルコール処理し、ブルームアブソリュートを得る。アブソリュートは半固体状、または粘度の高い液体で、香りは甘さが強く、花粉様でコクがあり、少し干し草様の部分もある香りである。香気成分としては、リナロール、リナリルアセテート、1-オクテン-3-オール、フェニルエチルアルコール、メチルアンスラニレート、ゲラニオール等が報告されている。
【0039】
34.ユリ(リリー)、ユリは美しい姿と優れた香気により古くから人々に親しまれてきた花である。ユリは世界的に広く知られ、強い芳香を持っていますが、香料の産業的な利用はあまりない。南フランスでマドンナリリーから石油エーテル抽出によるアブソリュートが生産されるが、高価で生産量が極めて少ないため、通常は他の花精油や合成香料を使った、調合された「リリーベース」が使用される。マドンナリリーアブソリュートの香気成分としては、p-クレゾール、リナロール、α-ターピネオール、フェニルエチルアセテート、フェニルエチルシンナメート等が報告されている。
【0040】
35.クチナシ(ガーデニア)」クチナシは、優れた香気のために花から香料を得る試みが多くなされましたが、溶剤抽出も収率が低いため、市販品が市場に出回ることはほとんどない。香料素材としてはガーデニア香の調合品が広く使用され、重要である。香気成分としてはベンジルアセテート、リナロール、リナリルアセテート、ターピネオール、メチルアンスラニレート。グリーンノートに関与するシス−3−ヘキセノールとそのエステル類。甘いフローラルノートのシス−ジャスミンラクトン等報告されている。
【0041】
36.スイカズラ(ハニーサックル)、スイカズラは、日本では北海道南部から沖縄までの各地に分布し、山野の日当たりの良い所に生える蔓性の低木で、スイカズラ科に属する。香料は花を溶剤抽出後、アルコール処理し、黄緑色のアブソリュートを得ます。しかしアブソリュートの香りは元の花と比べると弱く劣っている為、むしろハニーサックル調の調合香料のほうが重要である。花の香気成分としては、リナロール、リナロールオキサイド、シス−3−ヘキセノール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、ジャスミンラクトン、シス−ジャスモン、メチルジャスモネート、インドール、ネロリドール等が報告されている。
また、スイカズラは生薬として用いられます。花蕾を乾燥したものが金銀花と呼ばれ、解熱、解毒剤として用いられる。
【0042】
37.ヒヤシンス、
ヒヤシンスはユリ科に属し、原産地は地中海に面したシリア、トルコ、ギリシャあたりと考えられている。摘み取る花を溶剤抽出し、ヒヤシンスの香料を得ていました。このヒヤシンス・アブソリュートは強い甘さのあるグリーンフローラル的な香りですが、高価で現在は調合香料に置き換わり、アブソリュートはあまり使われなくなっている。
香気成分としは、フェニルエチルアルコール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、シンナミルアルコール、シンナミルアセテート、ベンズアルデヒドなどが報告されている。
【0043】
38.フジ(ウィステリア)、 フジはマメ科のフジ属に分類される、つる性落葉樹である。東南アジアや北米が原産で、日本には、ノダフジ、ヤマフジがある。工業的に香料を採取することは行われていない。香気成分として報告されているもので主なものは、1−フェニル−2,3−ブタンジオール、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、アニスアルデヒド、アネトール、3−ヒドロキシ−4−フェニル−2−ブタノンなどです。
【0044】
39.スミレ(バイオレット)、スミレは、スミレ科で種類が多く、日本に約60種、世界の温帯地方に約500種ほどが知られている。葉を溶剤抽出して得る、バイオレットリーフアブソリュートは一般にパルマ種より病虫害に強いビクトリア種の葉が使用されます。暗緑色の粘稠な液体で力強い緑葉様の香気を持ち、調合に使用するとブーケ中のスミレを想い起こさせる。香気成分としては、トランス-2,シス-6-ノナジエナール、トランス-2,シス-6-ノナジエノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、オイゲノールなどが知られている。
【0045】
40.ジンチョウゲ(ダフネ)、ジンチョウゲはジンチョウゲ科の中国原産の常緑低木です。日本には、最初は根を薬用にするために室町時代に渡来しましたが、3〜4月に咲く花の芳香が好まれ、現在は庭木や公園などでよく見かけられる。香気成分の分析は多くの人々によって行われ、120を超える成分が報告されている。主なもの、特徴的なものでは、リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、ネロリドール、ベンジルアセテート、シトロネリルアセテート、アセトフェノン、β―イオノン、ローズオキサイド、インドール、などが報告されている。
【0046】
41.ヘリオトーフ゜、ヘリオトープはムラサキ科キダチルリソウ属の常緑低木で高さは50〜70cmになる。原産地はペルー又はエクアドルといわれ、明治時代に日本にもたらされた。花からアブソリュートをとり香水用香料として使用されていた。20世紀初期では、ヘリオトロープ香料は石鹸用香料として重要で、又、ヘリオトロープ調合香料もクリームやパウダーなどに利用されていた。しかし、収率も悪く、揮発性が高く分解しやすいことから、今では香料としての採油ない。香気成分としては、ヘリオトロピン、バニリン、シンナミルアルコール、アセチルイソオイゲノール、アニシックアルコールなどが報告されている。
【0047】
42.カボチャ、
野菜として一般に食用にされるカボチャは、ウリ科カボチャ属に属する、つる性の草本です。植物分類学上では3種類に分ける事ができ、またそれぞれに品種があり和名、英名さらに俗称も加わって混乱していますが、3種とも、雌雄異花で、夏に黄色の花をつける。カボチャは香料の用途としては原料の使用はなく、生食せずに調理用として用いられます。欧米ではパンプキンパイをはじめとするセイボリーあるいはデザートによく使われる。
【0048】
43.キャヘツ、キャベツは地中海沿岸地方原産のアブラナ科アブラナ属の結球性葉菜であり、世界的に最も広く栽培・利用されている野菜の一つである。キャベツの香気成分については、生、調理、乾燥された状態から、これまでに約160成分が報告されている。独特の甘い香りは、イソチオシアネートという硫黄化合物の一種です。ニンニクの独特の匂いやワサビのツンとした香りも硫黄化合物が作り出していて、キャベツの香気にも硫黄化合物が重要な役割を果たしている。前駆体としてグルコシノレートがあり、ミロシナーゼによりイソチオシアネート類などの香気成分へ変換される。
【0049】
44.キウイフルーツ、キウイフルーツは、別名チャイニーズグズベリー、ヤンタオ、モンキーピーチなどと呼ばれる中国原産の亜熱帯性果物である。香気成分としては、エチル n-ブチレート、エチルベンゾエート、メチルベンゾエート、エチルカプロエートなどのエステル類とトランス-2-ヘキセノール、シス-3-ヘキセノールなどのアルコール類が知られている。また、特異な成分としてベーターダマセノンが少量含まれている。全体として、青い匂いが特徴的な果物である。
【0050】
45.パッションフルーツ、パッションフルーツは、トケイソウ科トケイソウ属の一種でクダモノトケイなどとも呼ばれている。香気成分は、エチルブチレート、エチルカプロエートなどの各種エステル類をはじめエチルベーターメチルチオプロピネート、メチオニルアセテートなどの含硫化合物が非常に重要な成分です。ケトン類のベーターイオノンなども知られている。
用途としては、果実を割ってそのまま食べてもよいが種が多くて食べにくいので、普通はジュースにして飲用される。この他にジャム、ゼリー、キャンディーの原料、洋酒や菓子の香りづけに用いられ、ビタミンCも含んでいる。
【0051】
46.バナナ、バナナは、マレーシアが原産といわれていますが、現在では広く熱帯各地で栽培されています。バナナ特有の甘い果実様を与える香気成分としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのアミルエステルがあげられる。また、微量でも、完熟感を与える特徴的香気成分として、オイゲノール、オイゲノールメチルエーテル、エレミシンなどのフェノールエーテル類があげられる。
【0052】
47.パイナップル、パイナップルの原産地は熱帯アメリカ(中米及びブラジル北部)を中心とする地方で、日本には1845年にオランダ船によってもたらされました。ハワイでは1500年代に難破船の積荷のパイナップルが海辺に打ち上げられ、住民によって栽培されるようになったといわれている。非常に特徴のあるジューシーな風味で、いかにも南国産といったよい香りがする。香気成分としてはカプロン酸のメチル、エチルエステルが非常に多く、含硫化合物としては、3-メチルチオプロピオン酸メチル及びエチルエステルが知られており、微量ではあるが非常に重要な成分である。また、2.5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)フラノンは、熟した感じの香気成分として知られている。
【0053】
48.ドリアン、ドリアンは東南アジアの果物を代表するもので、果物の王様ともいわれ比較的高価な果物ですが、削った鉛筆を思わせる円錘形のトゲに覆われた外観と強烈なにおいには、圧倒されてしまう。シンガポールのホテルや飛行機では持ち込みを禁止されるほどです。香気は、タクアン、玉ねぎ様の部分とフルーティーな部分に分かれる。フルーティーな部分としては、酪酸エチル、2-メチル酪酸エチル、カプロン酸エチルなどが、玉ねぎ様の部分としてはメチルエチルトリサルファイド、エタンチオール、ジエチルジサルファイドなどの硫黄化合物が独特の香りを創り出している。
【0054】
49.ラズベリー、ラズベリーは、ヨーロッパキイチゴが果実の色からレッドラズベリーともいわれ代表的な種類として知られており、ほかに果実の色が黒紫色のブラックベリーやパープルラズベリーなどがあります。香気成分については、これまで約210成分が報告されており、ラズベリー香気にはカルボニル類が寄与しています。特にα-イロン、β-ヨノン、ラズベリーケトン[=4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン]がキャラクターインパクト成分とされています。新鮮な野生種の香気は、栽培種と比べ強く好ましい香りであることが知られている。食品香料に使用されるのはラズベリー香の調合香料が主であり、飲料、冷菓、乳製品、製菓、ジャム、フルーツソース類、洋酒カクテルなどに用いられています。香粧品香料には調合香料のフルーツノートとして使用される。
【0055】
50.ジュニパーベリー、ジュニパーはヒノキ科ネズミサシ属の一種で、樹高約3mになる常緑樹である。この植物の、直径6〜9mmの松かさに似た果実をジュニパーベリーという。ヨーロッパ、アジア、北アメリカなどに広く野生し、形態も環境によって様々で数多くの品種があります。ジュニパーベリーオイルは、無色か淡黄色を呈し、香気成分はα−ピネン、ミルセン、リモネン等のモノテルペン類が全体の50〜70%を占め、その他にカリオフィレン等のセスキテルペン類と微量のターピネオール、ボルニルアセテート等の含酸素化合物が含まれている。テルペンの香気が強く松ヤニの芳香と苦味をもつことから、ジンの香味づけとして古くから用いられている。このオイルには薬効もあり、利尿、健胃効果に優れ、実をワインに浸したものは食欲増進に役立つといわれている。
【0056】
51.ブルーベリー、ブルーベリーは、ツツジ科、スノキ属の低木果樹で、6月上旬から7月下旬にかけて、一センチほどの丸い美しい紫色の果実をつける。ポピュラーな果物として、生食の他に、ジャム、ヨーグルト、タルト、肉料理のソースなどに利用されている。
香気成分は、トランス-2-ヘキセナール、トランス-2-ヘキセノール、シス-3-ヘキセノールなどのグリーン系の香りと、リナロール、ゲラニオールなどのフローラルな香り、それに酢酸などが主なものである。
【0057】
52.キュウリ、キュウリはウリ科の一年草で、原産地は今もなお野生のキュウリが多く存在するインド西北部、ヒマラヤ山麓地方との説が有力とされている。キュウリの香りの特徴は何と言ってもその青さである。その香気の主な成分は2,6-ノナジエノールと2,6-ノナジエナールです。その他にもノナノール、ノナナールなど炭素の鎖が9個つながった化合物のアルコールやアルデヒドがキュウリの香りを形づくっている。
【0058】
53.グァバ、グァバは、熱帯アメリカが原産で、熱帯から亜熱帯の広い範囲で栽培されている。主要香気成分としては、シンナミルアセテートなど桂皮酸の誘導体、ヘキサノール、ベンツアルデヒド、リナロールなどで、またフローラルな香りも有していますがこれはβ-イオノンに起因しているものです。トロピカルフルーツとしては含硫化合物をあまり含んでいない。
【0059】
54.ライチ、ライチは、別名「れいし」と呼ばれ、唐の玄宗皇帝の妃・楊貴妃が好んで食したといわれる果物です。果肉は白色透明な柔らかい肉質で、ジューシーで程良い酸味と特有の香りがある。原産地は中国南部と言われ、今日では中国の代表的な果物となっている。ライチの香気成分は、エチルアセテート、イソアミルアルコール、シトロネロール、アセチルメチルカルビノール、酢酸などが主成分となっていて、その他、アルコール類やエステル類、微量の硫黄化合物が相まって、あの独特な香気を有しているものと考えられている。
【0060】
55.スターフルーツ、スターフルーツはカタバミ科に属する熱帯性果樹で、主に熱帯・亜熱帯アジアで広く栽培されており、特に台湾、中国、フィリピンではポピュラーな果物として親しまれている。果実の利用は主に生食ですが、シュウ酸味が強い。その他の用途としてはゼリーやジャム、塩漬けなどに加工したり、果汁は清涼飲料として用いられている。 スターフルーツの香気成分はアントラニル酸エチル、安息香酸エチル、桂皮酸エチル、N-メチルアントラニル酸エチル、カプロン酸エチル、ノナナールなどが主体で、芳香族エステルの含有率が高いという特徴がある。
【0061】
56.ハパイヤ、パパイヤは、チチウリ科に属する多年生草木で、中央および南アメリカが原産地となっているが、現在では、熱帯、亜熱帯地方で広く栽培されている。また果皮には蛋白分解酵素のパパインを含む乳液層があり、この酵素は、缶詰肉、医薬品などに広く利用されている。 パパイヤの香気成分では、リナロールなどのアルコール類が比較的多く、次いでオキサイド類、ラクトン類、カプロン酸などがあげられます。またパパイヤ特有の香りとして、最近では、イソチオチアン酸のエステルが知られている。しかし、フレーバーとして実際組み立てる場合は、かなり癖が強いこともあって、パイナップル、ピーチ、グレープフルーツ等を隠し味として用いることが多い。用途としては、果汁入り飲料、冷菓、フルーツヨーグルト、菓子などに用いられている。
【0062】
57.キウイフルーツ、 キウイフルーツは、別名チャイニーズグズベリー、ヤンタオ、モンキーピーチなどと呼ばれる中国原産の亜熱帯性果物である。香気成分としては、エチル n-ブチレート、エチルベンゾエート、メチルベンゾエート、エチルカプロエートなどのエステル類とトランス-2-ヘキセノール、シス-3-ヘキセノールなどのアルコール類が知られています。また、特異な成分としてベーターダマセノンが少量含まれている。全体として、青い匂いが特徴的な果物である。
【0063】
58.パッションフルーツ、パッションフルーツは、トケイソウ科トケイソウ属の一種でクダモノトケイなどとも呼ばれている。風味は非常に強い酸味があるが、香りはすばらしい。香気成分は、エチルブチレート、エチルカプロエートなどの各種エステル類をはじめエチルベーターメチルチオプロピネート、メチオニルアセテートなどの含硫化合物が非常に重要な成分である。ケトン類のベーターイオノンなども知られている。
用途としては、果実を割ってそのまま食べてもよいが種が多くて食べにくいので、普通はジュースにして飲用される。この他にジャム、ゼリー、キャンディーの原料、洋酒や菓子の香りづけに用いられ、ビタミンCも含んでいる。
【0064】
59.サツマイモ、サツマイモはヒルガオ科の多年生の作物で、原産地はメキシコを中心とする中央アメリカである。サツマイモの香気には、バターなどの乳製品にも含まれるジアセチル、焦げた砂糖のような甘い匂いのフルフラールの他、アセチルフラン、5-メチル-2-フルアルデハイド、フェニルアセトアルデハイド、β-イオノンなどが含まれている。
【0065】
60.マツタケ、マツタケは他のキノコ類と同様、樹木の根に寄生する菌根菌と呼ばれる種類の菌である。マツタケの香気成分としては60以上の成分が報告されていますが、最も大きく寄与しているのは1-オクテン-3-オール(別名マツタケオール)とメチルシンナメート(桂皮酸メチル)です。1-オクテン-3-オールはキノコ一般の他に、ビール、エビ、熱した枝豆などにも含まれている。
【0066】
61.トマト、トマトは漢字で「赤茄子」とも書くように、ナス科の植物です。原産地については様々な説がありますが、南米のアンデス高原が原産地で、そこからメキシコ、スペイン、ヨーロッパと広まったという説が一番有力だとされている。新鮮なトマトの青い匂いには、さわやかな青葉のような香りを持つシス-3-へキセナールをはじめ、ヘキセナール、トランス-2-ヘキセナールなどのグリーンノートが含まれています。また、非常に微量ですが、土様の匂いを持つ2-イソブチルチアゾールという窒素と硫黄を含んだ化合物も含まれている。 一方、ピューレ、ソース、ケチャップなどの加工されたトマトの香りには、煮たアスパラガスやコーン、大根、日本茶、青海苔などにも含まれるジメチルサルファイドという硫黄化合物や、リナロールが寄与している。リナロールはトマトと大変相性の良いバジルにも含まれている芳香物質である。
【0067】
62.ワサビ、ワサビはアブラナ科の多年生草本です。その学名Wasabia Japonica Matsum.(ワサビア・ジャポニカ)が示すとおり、日本原産の植物です。全国各地の冷涼な渓谷の、絶えず清水が湧き、流れるような場所に自生している。ワサビ特有の鼻にツーンと抜けるような辛味の主成分は「アリルからし油」とも呼ばれるアリルイソチオシアネートである。この辛味成分はワサビをすりおろさないと出てこない。ワサビをすりおろした時、根や葉の細胞に含まれるカラシ油配糖体のシニグリンという物質がミロシナーゼという酵素の働きで加水分解されることで生成するからである。このアリルイソチオシアネートには優れた抗菌性があり、食中毒の予防に大変効果的である。
【0068】
63.シソ、シソは、シソ科シソ属に分類される一年草で、原産地はヒマラヤ・中国・ミャンマー地方一帯だとされています。天ぷら、刺身、吸い物、梅干しなどの代表的な日本食にも広く使われており、我々日本人にとって最も馴染み深い食品の一つである。シソの独特の香り成分は、ペリルアルデヒドやリモネン、カリオフィレンなどです。なかでも成分の半分以上を占めるペリルアルデヒドはシソアルデヒドとも呼ばれ、強い抗菌作用・防腐効果がある。
【0069】
64.タマネギ、タマネギは中央アジアまたは西南アジア原産の、ユリ科ネギ属の二年草の植物です。高さ50cm〜100cmに達する緑色の円筒形の茎、その下部に2〜3の緑色の葉、10cm程度の径を持つ楕円球の地下茎、白色の球状をした花、そして黒色の種子を持っています。我々が食べているのは、地下茎の周囲に生じた葉の葉鞘部分が肥厚したものである。タマネギの特徴としては、刻んだときの催涙性があげられますが、これはS-1-プロペニルシステインスルフォキサイドがアリイナーゼ(酵素)によって分解されることで生じた、チオプロパナールS-オキシドによるものである。
【0070】
65. シイタケ、シイタケはヒラタケ科マツオウジ属のキノコである。シイタケ特有の香りにはレンチオニンという香気成分が含まれています。これは、生シイタケに含まれるレンチニン酸が乾燥、水戻しの過程で前駆体から香気成分へと酵素的に変化することによって生成されます。レンチオニンは低い温度で水戻しした方がより多く生成されるため、シイタケの香りをより楽しむためには、お湯ではなく水で戻すことがコツである。
【0071】
66.ピーマン、ピーマンは熱帯アメリカ原産のナス科の植物です。トウガラシの一変種で、辛味の少ない甘味種をさらに品種改良したものになる。
ピーマンの青い匂いの主成分である2-イソブチル-3-メトキシピラジン(別名ピーマンピラジン)には、血液をサラサラにし、脳梗塞や心筋梗塞、不整脈、狭心症などを予防する効果がある。この成分は普段捨ててしまいがちな種やワタの部分に一番多く含まれています。ちなみに赤ピーマンは青臭さが少ない分、血液をサラサラにする効果は低くなる。
ピーマンの香りには他にリナロールやシス-3-ヘキセノール(別名青葉アルコール)、2,6-ノナジエナールなどが寄与している。
【0072】
67.シャンギク、シュンギクは地中海沿岸地方が原産地のキク科の植物で、日本では鍋料理などに欠かせない野菜ですが、食用にしているのは東アジアのみで、ヨーロッパでは食べずに観賞用として好まれている。シュンギクの茎葉の香気成分として、α-ピネン、カンフェン、β-ピネン、p-サイメン、β-ミルセン、β-ファルネセン、ベンズアルデヒド、ベンジルアルコール、リナロールなどが報告されている。
【0073】
68.セロリー、セロリーはセリ科の2年草である。香料は種子を水蒸気蒸留して得られるセロリーシードオイルが主で、黄色又は緑褐色の液体で、強くスパイシーなセロリー特有の香りがすめ。セロリーシードオイルの主な香気成分は、リモネン、セリネン、ミルセン、α―ピネン、β―ピネン、ブチルフタライド、ペンチルベンゼンなどで、特徴的なものはジヒドロフタライド類である。その中でも特にセダノライドがセロリシードらしさに関与している。香料の用途としては、食品には、カレーやソース類、または肉類の加工食品に広く使われ、またリキュールの構成原料にもなっている。
【0074】
69.チュベリーローズ、チュベローズはメキシコ原産のヒガンバナ科のPolyanthes tuberosa L.という植物で、香料用は南フランス、モロッコ、台湾、エジプト、インド等で栽培される。和名の「月下香」の名が示す通り、月夜の晩に咲いた香りが最高といわれる。チュベローズの花は開花しながら徐々に香りを出し、摘み取り後も香りを出し続ける性質を持つ為、開花途中の花を夜明け頃から摘み取る。香料は古くから用いられるアンフルラージュ法、または石油エーテル法で抽出する。チュベローズは香りもよく、香料素材としての価値も十分にありますが、栽培や抽出も容易ではない為、生産量が減っている。香料成分としてはゲラニオール、ネロール、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、メチルベンゾエート、メチルアンスラニレート、ユーゲノール、ブチリックアシッド等。また、特徴的な成分としてジャスミンラクトン等の、ラクトン類が報告されている。
【0075】
70.エニシダ(ブルーム)、エニシダは英名をブルームといい、言葉の通りその小枝で作られた箒に由来している。フランスではジェネと呼び、グラース近郊の山々は6月から7月にかけて野生のジェネの黄金色の花でいっぱいになり、甘く強い香りが漂う。香料は花を溶剤抽出しその後、アルコール処理し、ブルームアブソリュートを得る。アブソリュートは半固体状、または粘度の高い液体で、香りは甘さが強く、花粉様でコクがあり、少し干し草様の部分もある香りである。香気成分としては、リナロール、リナリルアセテート、1-オクテン-3-オール、フェニルエチルアルコール、メチルアンスラニレート、ゲラニオール等が報告されている。
【0076】
71.ジンジャー(ショウガ)、ジンジャーは、ショウガ科に属する多年生草本で、原産地は熱帯アジアといわれ、日本には約2600年ほど前に渡来した。産地によりその風味は微妙に異なり、インド産やオーストラリア産は強烈なレモン様香気、日本や中国産は穏やかな芳香性でレモン様、ジャマイカ産は繊細な芳香性とスパイシー、アフリカ産は強烈な土臭さと荒々しさ、ナイジェリア産は芳香性とショウノウ的香気がある。香辛料原料としてのジンジャーは加工食品に広く利用され、用途により二つの時期に収穫される。一つはまだ葉が青々とし、根茎が若くやわらかいときで、茎部をそのまま薬味として使ったり、砂糖漬けなどにする。もう一つは、茎葉が枯れたのち、根茎を掘り起こし洗浄して熱湯に漬け、日にあてて乾燥させ、医薬用のほか商業ベースで取り扱う。香料原料として、オイル、オレオレジン、エキストラクトのほかいろいろな形態があり、飲料や畜肉製品、菓子類に用いられている。乾燥ショウガの粉末を砂糖液に漬けて室温で数日間抽出し、固形分をろ過し除去すると、黄褐色をした透明なジンジャーエキストラクトができます。家庭でも簡単に製造できる方法で、好みの濃度に夏場なら氷水で、冬場なら熱湯で希釈して飲料を作ることができる。
揮発性成分について報告されているものは200以上にのぼり、主にテルペノイドがその多くを占めている。最近のAEDAによる検索により重要成分としてリナロール、ゲラニオール、ゲラニアール、ボルネオール、イソボルネオール、ネラール、1,8-シネオールがあげられている。
【0077】
72.ニンジン、ニンジンはセリ科の一年生もしくは越年性草本で原産地はヨーロッパとも中央アジアともいわれているが、現在では世界中の様々な地域で栽培されている。香料として使用量が多いのはニンジンの種からとれるキャロットシードオイルだが、葉茎からはキャロットハーブオイル、根からはキャロットルートオイルが得られる。キャロットシードオイルはパチョリ様のウッディノートとイリス様の香りを感じさせ、はじめのうちは甘くフレッシュな感じを与えますが次第に重い土のようなスパイシーな香りとなる。食品香料では菓子、リキュール、スープなどに使われる。香気成分はいずれの部分からの精油についても詳細な分析が行われていますが、キャロットシードオイルとしては、α-ピネン、リナロール、酢酸ベンジル、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、2-sec-ブチル-3-メトキシピラジンなどの化合物が見出されている。
【0078】
要するに、香料の原料は多様であり、その製法も用途に応じて多様である。柑橘系では、最初の処理としては、圧搾法(果皮)が一般的であり、花を原料とするものは、溶媒抽出法が一般的である。また、樹木や木の実を原料とするものも、溶媒抽出やを行う。その後必要に応じ水蒸気蒸留等の処理を行ない留液を得る。
【0079】
上記のように、香料の種類や成分は、ほとんど公知になっているが、精神の安定化を促進し、安らかな眠りを促すような作用効果については、これまであまり研究・調査されてこなかった。その理由の一つとして、人の精神的な問題については、個人的なプライバシーに関するものであり、調査研究がやりにくいという点も考えられる。
【特許文献1】特開2004−123655号公報
【特許文献2】特開2002−68969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0080】
本発明は、高度情報化社会、高齢化社会、実力主義社会、成果主義等々、弱者にとっては、日本の深刻なる社会情勢と、うつ病という、場合によっては、自殺という悲劇的な状況に至るのを未然に回避する為に、前兆的症状である、なんとなく不安感を感じるという症状を少しでも改善し、安眠をうながす飲料、低アルコール飲料を提供しようとするものである。ここで、飲料とは、茶系飲料、炭酸系飲料、果汁含有飲料、スポーツドリンク、乳性飲料類等のいわゆる清涼飲料全般を意味し、低アルコール飲料とは、アルコール含有量1%以上、10%未満のものであつて、具体的には、チューハイ、サワー、その他雑種等を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0081】
本発明者は、上記目的を達成すべく、鋭意研究した結果、飲料あるいは低アルコール飲料に、不安感を和らげ、安眠をうながす作用が期待できる香料に注目し、適切な香料を選択し、香料を含有した飲料あるいは低アルコール飲料を提供するに至った。香料は、1.アプリコット、2.ペアー、3.ユズ、4.ラベンター、5.ジャスミン、6.バラ、7.ジュニパーベリー、8.ピーマン、9.ジンシャーについて、検討した。
【0082】
すなわち、本発明は、下記の構成を要旨とする飲料、低アルコール飲料、並びに、それを飲用することにより、精神状態を安定化し、安らかな眠りを促す飲料に関するものである。
(1)香料を含有しており、安らかな眠りを促すことを特徴とする、飲料または低アルコール飲料。
(2)香料が、アプリコット、ペアー、ユズ、ラベンター、ジャスミン、バラ、ジュニパーベリー、ジンシャー由来のものであることを特徴とする、飲料または低アルコール飲料。
(3)飲料または低アルコール飲料が、紅茶であることを特徴とする、飲料。
【発明の効果】
【0083】
本発明によれば、精神状態を安定化し、安らかな眠りを促す飲料あるいは低アルコール飲料を提供でき、これらを適量、就寝前に飲むことにより、うつ病に至るのを未然に防ぐには、まず最も多い前兆的症状である、なんとなく不安感を感じるという症状を少しでも改善することができ、うつ病の前兆で精神の不安定な状態を回避することができ、うつ病になることを予防できる。これは、現代の日本社会において、うつ病による自殺者およびうつ病とは認知されなかった自殺者が少なくとも1万人以上発生していることを考えると、この製品がもたらす社会的役割は非常に大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0084】
原料から香料を製造する方法は多様ではあるが、以下のような方法にて行った。まずそれぞれの原料の適部100gを粉砕し、水800gを添加し、60℃にて2時間撹拌抽出を行った。冷却後、固液分離し抽出液700gを得た。抽出液を合成吸着剤(ダイヤイオンHP-20(三菱化学(株))に通液した。水にて洗浄後、95%エタノール500mlを通液し、95%エタノール脱着液約400gを得た。脱着液を水蒸気蒸留し、10gの留液を得た。この香料(留液)を、飲料1L当り、0.05g〜1.0g含有することが望ましい。香料として、アプリコット、ペアー、ユズ、ラベンター、ジャスミン、バラ、ジュニパーベリー、ジンシャーのいずれか由来のものを用いることが望ましい。これら、飲料を就寝前に100ml〜500ml飲用することが望ましい。
【実施例】
【0085】
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0086】
1〜9(1.アプリコット、2.ペアー、3.ユズ、4.ラベンター、5.ジャスミン、6.バラ、7.ジュニパーベリー、8.ピーマン、9.ジンシャー)について、上記製造方法により得た香料を、香料無添加の市販リプトン紅茶ティーバック一袋に対し1Lのホット紅茶抽出液を作成し、香料(留液)を0.1g添加し、試料とした。
【0087】
それぞれの香料を含有する飲料について、なんとなく不安感を感じ、うまく眠りにつけない感じているパネル5名を選び、香料を含有しない飲料と香料を含有する飲料を、一日交替で交互に200mlずつ就寝前に飲用することを20日間繰り返し、10日間の睡眠時間を推計した。睡眠時間の計算は、目覚めの時刻は比較的明確であるが、眠りに入った時刻は、やや不明確であるので、パネルにより推定し、申告してもらった時刻により推計した。なお、睡眠途中で目が覚めた場合は、その時間を睡眠時間から差し引いた。数字は、5名のパネルの10日分の睡眠時間の一日当りの平均値である。ホット紅茶についての調査テータを表1に示す(試験1)。
【0088】
表1
[紅茶飲料]
香料添加なし 香料添加あり
・・・・・・・・・・・・・・・・飲料の飲用時睡眠時間 飲料の飲用時睡眠時間
1.アプリコット 5時間32分 6時間02分
2.ペアー 5時間29分 6時間09分
3.ユズ 5時間28分 6時間11分
4.ラベンター 5時間33分 6時間23分
5.ジャスミン 5時間28分 6時間18分
6.バラ 5時間19分 6時間25分
7.ジュニパーベリー 5時間17分 6時間19分
8.ピーマン 5時間31分 5時間41分
9.ジンジャー 5時間26分 6時間10分
8.を除く香料を添加した紅茶を飲んだ人の感想を整理すると、精神が落ち着くという表現が多かった。
【0089】
次に、低アルコール入りホット紅茶(アルコール含量5重量%)についての調査データを表2に示す(試験2)。
【0090】
表2
[低アルコール入り紅茶飲料]
香料添加なし 香料添加あり
・・・・・・・・・・・・・・飲料の飲用時睡眠時間 飲料の飲用時睡眠時間
1.アプリコット 5時間32分 6時間02分
2.ペアー 5時間29分 6時間09分
3.ユズ 5時間28分 6時間11分
4.ラベンター 5時間33分 6時間23分
5.ジャスミン 5時間28分 6時間18分
6.バラ 5時間19分 6時間25分
7.ジュニパーベリー 5時間17分 6時間19分
8.ピーマン 5時間31分 5時間41分
9.ジンジャー 5時間26分 6時間10分
8.を除く香料を添加した紅茶を飲んだ人の感想を整理すると、精神が落ち着くという表現が多かった。
【0091】
次に、バラ留液を1.0.03g、2.0.05g、3.0.1g、4.0.5g、5.1g、を1Lのホット紅茶抽出液に添加して、試験1と同様に調査した。
【0092】
表3
[紅茶飲料]
香料添加なし 香料添加あり
・・・・・・・・・・・・・飲料の飲用時睡眠時間 飲料の飲用時睡眠時間
1.バラ留液 0.03g 5時間27分 5時間46分
2.バラ留液 0.05g 5時間24分 5時間58分
3.バラ留液 0.1 g 5時間31分 6時間08分
4.バラ留液 0.5 g 5時間33分 6時間13分
5.バラ留液 1.0 g 5時間29分 6時間18分
0.05g以上添加すれば、効果に大きな差異はないことがわかる。
【0093】
<結果> 表1〜表3により、アプリコット、ペアー、ユズ、ラベンター、ジャスミン、バラ、ジュニパーベリー、ジンシャーの本製法による香料を1L当り、0.05g〜1.0g含有する含有する飲料または低アルコール飲料を、就寝前に200ml程度飲用することにより、精神状態を安定化し、安らかな眠りを促される可能性があることがわかった。
















【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料を含有しており、安眠を促す作用を有することを特徴とする、飲料または低アルコール飲料。
【請求項2】
香料が、アプリコット、ペアー、ユズ、ラベンター、ジャスミン、バラ、ジュニパーベリー、ジンシャー由来のものであることを特徴とする、請求項1記載の飲料または低アルコール飲料。
【請求項3】
飲料または低アルコール飲料が、紅茶であることを特徴とする、請求項1または2記載の飲料。








































【公開番号】特開2006−34177(P2006−34177A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219374(P2004−219374)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(304033502)
【Fターム(参考)】