説明

完全制御型植物工場システム

【課題】自然エネルギーのみを利用した冷房と除湿を行う完全制御型植物工場システムの提供。
【解決手段】外気を遮断する外壁14と、空気を吸引するための排気ダクト2及び空気を供給するための入気ダクト6並びに植物生育棚を設けた植物工場11と、植物工場の排気ダクト及び入気ダクトとそれぞれ連通する往路ダクト3及び復路ダクト5を設けた熱交換室12と、熱交換室の往路ダクト及び復路ダクトと連通する氷室ダクト4を設けかつ雪氷を収容した氷室13と、排気ダクトから入気ダクトまで空気を送流させるための送風機と、熱交換室の往路ダクト及び復路ダクト並びに氷室の氷室ダクトの内部で生じた結露水を排出するドレン8と、を備えた植物工場とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と遮断された人工的な環境下で植物の育生を行う完全制御型植物工場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
植物工場は、地域に適した作物を露地や温室で栽培する従来の農業ではなく、気候及び季節に関係なく、通年、建物内にて生産する新しい農法である。植物工場には、幾つかのタイプがあり、例えば、太陽光利用型、人工光利用型、両者併用型などがある。
【0003】
完全制御型植物工場では、埃や虫が入らないように外気を完全に遮断し、栽培する作物の生育にとって最適な光の量、栽培養液及び温度・湿度・CO濃度などの環境を人工的に構築している。葉物野菜であれば、年間8〜9回収穫でき、効率的である。また、市街地でも立地でき、殺虫剤及び農薬を使用しないという利点もある。
【0004】
現在、世界の食糧の需要と供給は、アフリカ等の一部を除いてバランスが保たれているが、穀物輸出国の在庫は、年々減少してきている。10年後には人口増加に加え、地球温暖化、異常気象、砂漠化により、世界の食糧は不足すると言われている。
【0005】
特許文献1に記載された植物栽培装置は、送風機により植物栽培空間と照明器具との間で空気を循環させ、照明器具の上流部に加湿器を設けている。これにより、照明器具の熱により加湿器からの水を気化することで、照明器具を冷却するとともに、循環する空気の加湿を行い、植物栽培に適した70%程度の湿度を維持している。
【0006】
太陽光に替わる人工的な光束源として、初期には高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ等が用いられていたが、特許文献2に記載された完全制御型有機栽培式植物工場では、太陽光を完全に遮断した建物内で発光ダイオード(LED)を光源として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−245651号公報
【特許文献2】特開平10−178901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
今日、我が国の食料自給率は40%である。食料不足が予測される将来に向け、自給率の向上は、食料防衛からも緊急課題といえる。完全制御型植物工場は、自給率を改善する有力な食料生産方法の一つであるが、最も大きな課題は、光束源と温湿度調整のための電力消費が大きいことである。特に、その電力の多くは、冷房と除湿のための電気空調機に費やされている。
【0009】
温度管理においては、暖房よりも冷房が問題である。最適温度より低いときに必要な暖房については、発熱型の光束源(蛍光管等)を用いることにより、寒冷地であっても十分対応でき、その場合、光束源と暖房を兼用することで電気代を節減できる。
一方、最適温度より高いときに必要な冷房については、発熱型の光束源を非発熱型の光束源(LED)に替えた程度では、夏季などの外気温上昇の影響に対応することは不可能である。従って、冷房は必須である。
【0010】
また、湿度管理においては、植物栽培に適した湿度は約70〜76%程度とされている。植物工場では、水耕栽培又はミスト(水噴霧)栽培を行うため、除湿を行わなければ湿度過多となり、適切な湿度を維持することができない。従って、除湿も必須である。
【0011】
以上の現状に鑑み、本発明は、自然エネルギーのみを利用して冷房と除湿を行う完全制御型植物工場システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するべく、本発明は、以下の構成を提供する。なお、括弧内の数字は、後述する実施例を示した図面中の符号であり、参考のために付する。
本発明による完全制御型植物工場システムは、
外気を遮断する外壁(14)と、
空気を吸引するための排気ダクト(2)及び空気を供給するための入気ダクト(6)並びに植物生育棚(11A)を設けた植物工場(11)と、
前記植物工場(11)の排気ダクト(2)及び入気ダクト(6)とそれぞれ連通する往路ダクト(3)及び復路ダクト(5)を設けた熱交換室(12)と、
前記熱交換室(12)の往路ダクト(3)及び復路ダクト(5)と連通する氷室ダクト(4)を設けかつ雪氷(13A)を収容した氷室(13)と、
前記排気ダクトから前記入気ダクトまで空気を送流させるための送風機(22,66)と、
前記熱交換室(12)の往路ダクト(3)及び復路ダクト(5)並びに前記氷室(13)の氷室ダクト(4)の内部で生じた結露水を排出するドレン(8)と、を備え、
前記植物工場の前記排気ダクトにより吸引された空気は、前記熱交換室の往路ダクト及び前記氷室の氷室ダクトを通過する間に減温された後、前記熱交換室の復路ダクトを通過する間に加温され、かつ、この通過する間に前記結露水を生じ除湿されて前記植物工場の入気ダクトにより供給される。
【0013】
上記システムの好適例では、前記ドレン(8)から排出された結露水を回収するドレン回収槽(9)を備えている。
【0014】
上記システムの好適例では、前記植物工場(11)の排気ダクトにより吸気される空気の温度及び湿度の設定値、又は、前記入気ダクト(6)により供給される空気の温度及び湿度の設定値を、前記送風機(22,62)の風量により変更可能である。
【0015】
上記システムの好適例では、前記植物工場(11)の排気ダクトにより吸気される空気の温度及び湿度の設定値、又は、前記入気ダクト(6)により供給される空気の温度及び湿度の設定値を、前記熱交換室(12)の往路ダクト(3)及び復路ダクト(5)並びに前記氷室(13)の氷室ダクト(4)のうち少なくとも1つのダクトの長さにより変更可能である。
【0016】
上記システムの好適例では、前記熱交換室(12)の往路ダクト(3)及び復路ダクト(5)並びに前記氷室(13)の氷室ダクト(4)のうち少なくとも1つのダクトが、その外周から突出する複数のフィン(F)を備えている。
【0017】
上記システムの好適例では、前記植物工場(11)の排気ダクトにより吸気される空気の温度及び湿度の設定値、又は、前記入気ダクト(6)により供給される空気の温度及び湿度の設定値を、前記複数のフィン(F)の数又は大きさの加減により変更可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明による完全制御型植物工場システムは、外気を遮断した密閉された植物工場の空調、特に冷房と除湿を、雪氷の融解潜熱のみを利用して行うことが特徴である。植物工場の空気を排気ダクトにより吸気し、熱交換室及び氷室を循環させて自然に減温除湿した後に、植物工場へ送り入気ダクトにより供給される。排気ダクトより吸気される空気の温度及び湿度は、例えば、26℃及び76%であり、これらの温度及び湿度は、植物工場の最適な温度と湿度に相当する。そして、入気ダクトより供給される空気の温度及び湿度は、例えば、18℃及び52%であり、これらの温度及び湿度は、植物工場を上記の最適な温度と湿度に維持するために適切な調節用の温度及び湿度に相当する。
【0019】
氷室の温度及び湿度は、0℃及び100%であるが、氷室と植物工場との間に熱交換室を設けたことにより、植物工場の温度及び湿度を制御するために適切な温度と湿度をもった空気に変換することができる。この循環過程において空気から除湿された水分は、結露水としてドレンから排出される。
【0020】
本システムは、氷室に十分な雪氷が収容されている限り、長期間に亘って稼働させ続けることができる。その稼働中は、温度と湿度が平衡状態にある植物工場の空気の一部が排出されると同時に、減温除湿された新鮮な空気が供給されるという循環が行われ、この結果、植物工場の温度と湿度の最適状態を維持することができる。
【0021】
このシステムにおいて冷房及び除湿に必要とする電力は、高々、送風機の駆動に要する程度であり、従来の冷房及び除湿の機能を備えた空調機を用いるシステムに比べて格段に電力消費を低減することができる。また、氷室に収容する雪氷として冬季の降雪や結氷を利用することにより、自然のエネルギーのみで本システムを稼働することができる。
【0022】
ドレンから排出された結露水をドレン回収槽に回収することにより、栽培養液として再利用できる。
【0023】
各ダクトの外周から突出する複数のフィンを設けることにより、ダクト内の空気と各室内の空気との間の熱交換効率を高めることができる。
【0024】
排気ダクトより吸気される空気の温度及び湿度の設定値、又は、入気ダクトより供給される空気の温度及び湿度の設定値を、必要に応じて最適となるように変更できる。具体的には、送風機の風量、熱交換室及び氷室に設置された各ダクトの長さ、又は、各ダクトの外周から突出する複数のフィンの数を調整することにより行うことができる。通常は、初期に設定すれば、それ以後はメンテナンスフリーで稼働させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による完全制御型植物工場システムの主要部を示した一部切り欠き斜視図である。
【図2】図1に示した完全制御型植物工場システムにおける植物工場の部分の概略的な横断面図である。
【図3】図1に示した完全制御型植物工場システムの概略的な縦断面図である。
【図4】ドレンによる結露水の回収の様子を説明する図である。
【図5】熱交換室の往路ダクト及び復路ダクト並びに氷室の氷室ダクトの好適例を示す斜視図である。
【図6】本発明の完全制御型植物工場システムの効果を説明する湿り空気線図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に示した実施例を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による完全制御型植物工場システム1の主要部を示した一部切り欠き斜視図である。本システム1は、外気を遮断する密閉された外壁14の内部に構築される。外壁14は、図示の例では、半円筒を横置した形状の建物を形成しているが、この形状に限られない。外壁14は、コンクリート製、鋼製、プラスチック製等の任意の材料から構築できるが、いずれの場合も断熱性の高い構造とし、適宜断熱材を用いてもよい。外壁14の内部は、長手方向に3つの区画に分けられ、各区画は、断熱性のある隔壁15、16により区切られている。3つの区画は、植物工場11、熱交換室12及び氷室13である。
【0027】
第1の区画は、植物を生育するための植物工場11である。植物工場11は、本システムの中で最も広い区画であり、図1ではその一部のみを示すが、半円筒形状で軸方向に長く延びている。床上には、植物生育棚及び栽培養液の供給設備等(図示を省略)が適宜設置される。天頂部近傍には、軸方向に水平に延びる排気ダクト2及び入気ダクト6が設置されている。排気ダクト2及び入気ダクト6の一方の端部は、熱交換室12との隔壁15を貫通して熱交換室12内のダクトに連通している。排気ダクト2及び入気ダクト6の他方の端部は、閉じられている。排気ダクト2は、植物工場11内の空気を吸引するためのものであり、ダクト下面には、複数の吸引口21が所定の間隔で下向きに設けられている。入気ダクト6は、植物工場11内に空気を供給するためのものであり、ダクトの両側面には、それぞれ複数の供給口51が所定の間隔で水平に設けられている。
【0028】
第2の区画は、植物工場11から吸引した空気と、氷室13で冷却された空気との熱交換を行うための熱交換室12である。熱交換室12内には、往路ダクト3と復路ダクト5が設けられている。ここで、「往路」及び「復路」とは、植物工場11を空気の流れの始点として視た場合の呼称である。
【0029】
往路ダクト3の一方の端部は、植物工場11との隔壁15を貫通して排気ダクト2と連通し、熱交換室12内においては天頂部近傍から床近傍まで一旦下降して再び天頂部近傍まで上昇し、他方の端部は、氷室13との隔壁16を貫通して氷室13内のダクトと連通している。
【0030】
また、復路ダクト5は、2本のダクトからなり、それらの一方の端部は、氷室13との隔壁16を貫通して氷室13内のダクトと連通し、熱交換室12内においては2本のダクトが天頂部近傍から床近傍まで一旦下降して再び天頂部近傍まで上昇し、天頂部近傍にて2本のダクトが1本のダクトに統合し、植物工場11との隔壁15を貫通して入気ダクト6と連通している。
【0031】
第3の区画は、雪氷を収容した氷室13である。ここで、「雪氷」には、雪のみを使用する場合、氷のみを使用する場合又は双方を使用する場合のいずれも含む。また、雪及び氷は、自然の降雪や結氷であっても、人工的な雪又は氷であってもよいが、省エネルギーの観点からは、自然のものを利用することがより好ましい。
【0032】
氷室13には、氷室ダクト4が設けられている。氷室ダクト4の一方の端部は、天頂部近傍にて熱交換室12との隔壁16を貫通して熱交換室12内の往路ダクト3と連通し、そして天頂部近傍にて2本のダクトに分岐してそれぞれ床近傍まで下降し、隔壁16を貫通して熱交換室12内の2本の往路ダクト5と連通している。
【0033】
上記の排気ダクト2、往路ダクト3、氷室ダクト4、復路ダクト5及び入気ダクト6は、3つの区画に亘って空気を循環させるためのダクトである。これらのダクト内に空気を送流させるために、適宜の送風機が設けられる。例えば、排気ダクト2及び入気ダクト6内に設けたインラインファン22、66である。図1中では、各ダクト内の空気の流れを矢印で示している。
【0034】
熱交換室12の往路ダクト3及び復路ダクト5並びに氷室13の氷室ダクト4は、それぞれ管内で生じた結露水を排出するために、各ダクトの最下位置にドレン8が設けられている。図示しないが、ドレン8と、ドレン回収槽9とは、適宜の手段で連結されている。ドレン回収槽9に溜まった水は、栽培養液用に利用される。
【0035】
植物工場11の排気ダクト2により吸引された空気は、熱交換室12の往路ダクト3を通過する間に減温され、そして氷室13の氷室ダクト4を通過する間にさらに減温された後、再び熱交換室12に入り復路ダクト5を通過する間に加温され、かつ、これらの熱交換室12及び氷室13を通過する間に結露水を生じ除湿される。このようにして、減温除湿された空気が、植物工場11の入気ダクト6により供給される。
【0036】
図2は、図1に示した完全制御型植物工場システム1における植物工場11の部分の概略的な横断面図である。図3は、図1に示した完全制御型植物工場システム1の概略的な縦断面図である。図2に例示するように、2列の植物生育棚11A、11Bが左右対称に配置されており、矢印で示すように空気の流れが形成される。入気ダクト6の入気口61から左右に吹き出した空気は、円筒形の外壁14の内面に沿って下降し、床に当たって円を描くように植物生育棚11A、11Bを通過して中央付近で再び上昇し、排気ダクト2の排気口21に吸い込まれる。
【0037】
図3に示すように、氷室13には、例えば、ステンレス製又はプラスチック製のコンテナ等を積載し、各コンテナに氷雪13Aが収容されている。
【0038】
図4は、ドレン8による結露水の回収の様子を説明する図である。熱交換室の往路ダクト3及び復路ダクト5並びに氷室の氷室ダクト5を流れる空気は、その温度変化により結露を生じる可能性がある。従って、これらのダクト3、4、5の最下位置BLにドレン8を取付け、適宜の送水管91により結露水をドレン回収槽9まで導く。送水管91及びドレン回収槽9を最下位置BLより下方に設置することにより、ポンプ等を使用しなくとも結露水を溜めることができる。
【0039】
図5は、熱交換室の往路ダクト3及び復路ダクト5並びに氷室の氷室ダクト5の好適例を示す斜視図である。円筒状のダクトの外周から複数のフィンFが、所定の間隔で突出している。フィンFは、平板環状である。これによりダクトの表面積を増して熱交換効率を向上させることができる。ダクトの一定の長さに取り付けるフィンFの数を加減することにより、熱交換効率を制御することができる。従って、植物工場11の排気ダクトにより吸気される空気の温度及び湿度の設定値、又は、入気ダクト6により供給される空気の温度及び湿度の設定値を、いずれかのダクトのフィンFの数を加減することにより変更可能である。あるいは、1つのフィンFの大きさ(表面積)を拡大縮小することによっても変更可能である
【0040】
また、各ダクト内の空気と熱交換室12内又は氷室13内の空気との熱交換効率は、各ダクトの長さによって、又は、送風機の風量によっても制御することができる。従って、植物工場11の排気ダクトにより吸気される空気の温度及び湿度の設定値、又は、入気ダクト6により供給される空気の温度及び湿度の設定値を、いずれかのダクトの長さ、又は、送風機の風量によって変更可能である。
【0041】
植物工場11の最適な温度及び湿度(すなわち排気ダクト2により吸気される空気の温度及び湿度)の設定値、又は、入気ダクト6により供給される空気の温度及び湿度(すなわち調節用の空気の温度及び湿度)の設定値は、通常は、初期にセットしておけば、その後は、ほぼメンテナンスフリーで使用できる。夏季又は冬季といった季節毎に、あるいは、栽培植物の種類を変えるときに、最適に調節すればよい。
【0042】
図6は、本発明の完全制御型植物工場システム1の効果を説明する湿り空気線図である。一例として、植物工場11の最適な温度及び湿度を26℃及び76%とする(a点)。排気ダクト2により吸気された空気は、熱交換室12を経て減温され、氷室13でさらに減温される。氷室13内は、氷と水が共存する0℃の状態であり相対湿度100%である(b点)。そして、再び熱交換室12へ送出される。熱交換室12において空気の温度及び湿度は、18℃及び52%となる(c点)。この空気が、入気ダクト6により植物工場11に供給される。このようにして、低湿度の冷気を常時供給することにより、植物工場11の温度及び湿度を最適な平衡状態に維持することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 完全制御型植物工場システム
2 排気ダクト
21 排気口
22 排気用インライン送風機
3 往路ダクト
4 氷室ダクト
5 復路ダクト
6 入気ダクト
61 入気口
62 入気用インライン送風機
8 ドレン
9 ドレン回収槽
11 植物工場
11A、11B 植物生育棚
12 熱交換室
13 氷室
13A 氷雪
15、16 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を遮断する外壁(14)と、
空気を吸引するための排気ダクト(2)及び空気を供給するための入気ダクト(6)並びに植物生育棚(11A)を設けた植物工場(11)と、
前記植物工場(11)の排気ダクト(2)及び入気ダクト(6)とそれぞれ連通する往路ダクト(3)及び復路ダクト(5)を設けた熱交換室(12)と、
前記熱交換室(12)の往路ダクト(3)及び復路ダクト(5)と連通する氷室ダクト(4)を設けかつ雪氷(13A)を収容した氷室(13)と、
前記排気ダクトから前記入気ダクトまで空気を送流させるための送風機(22,66)と、
前記熱交換室(12)の往路ダクト(3)及び復路ダクト(5)並びに前記氷室(13)の氷室ダクト(4)の内部で生じた結露水を排出するドレン(8)と、を備え、
前記植物工場の前記排気ダクトにより吸引された空気は、前記熱交換室の往路ダクト及び前記氷室の氷室ダクトを通過する間に減温された後、前記熱交換室の復路ダクトを通過する間に加温され、かつ、この通過する間に前記結露水を生じ除湿されて前記植物工場の入気ダクトにより供給されることを特徴とする完全制御型植物工場システム。
【請求項2】
前記ドレン(8)から排出された結露水を回収するドレン回収槽(9)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の完全制御型植物工場システム。
【請求項3】
前記植物工場(11)の排気ダクトにより吸気される空気の温度及び湿度の設定値、又は、前記入気ダクト(6)により供給される空気の温度及び湿度の設定値を、前記送風機(22,62)の風量により変更可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の完全制御型植物工場システム。
【請求項4】
前記植物工場(11)の排気ダクトにより吸気される空気の温度及び湿度の設定値、又は、前記入気ダクト(6)により供給される空気の温度及び湿度の設定値を、前記熱交換室(12)の往路ダクト(3)及び復路ダクト(5)並びに前記氷室(13)の氷室ダクト(4)のうち少なくとも1つのダクトの長さにより変更可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の完全制御型植物工場システム。
【請求項5】
前記熱交換室(12)の往路ダクト(3)及び復路ダクト(5)並びに前記氷室(13)の氷室ダクト(4)のうち少なくとも1つのダクトが、その外周から突出する複数のフィン(F)を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の完全制御型植物工場システム。
【請求項6】
前記植物工場(11)の排気ダクトにより吸気される空気の温度及び湿度の設定値、又は、前記入気ダクト(6)により供給される空気の温度及び湿度の設定値を、前記複数のフィン(F)の数又は大きさの加減により変更可能であることを特徴とする請求項5に記載の完全制御型植物工場システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−147384(P2011−147384A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10752(P2010−10752)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(390019529)株式会社土谷特殊農機具製作所 (8)
【Fターム(参考)】