説明

官能化されたアルキル基を含むモノアルキル−ヒドラジンの連続的合成方法

本発明は、官能化されたアルキル基を含むモノアルキル−ヒドラジンの連続的合成方法に関する。本発明の方法は、無水アミンをモノクロラミンと反応させることにより合成されたモノアルキル−ヒドラジンを含む溶液を、無水水酸化ナトリウムの添加により、有機相と水相とに分離する工程を含んでなることを特徴とする。本発明は、モノアルキル−ヒドラジンに対して、二および三置換された形態が存在しない、完璧な選択性を得るのに使用できる。本発明により、未反応の出発アミンは回収され、追加の処理を全く行わずに、直接再使用される。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、官能化されたアルキル基を含むモノアルキル−ヒドラジンの連続的合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明において「モノアルキルヒドラジン」とは、式NH−NH−R(式中、Rは官能化されたアルキル基を表す、すなわち炭素−炭素(アリルヒドラジンの場合)または炭素−窒素不飽和、ヒドロキシル基(2−ヒドロキシエチルヒドラジンの場合)、アルコキシ基(2−メトキシエチルヒドラジンの場合)、またはフェノキシ基(Ph−O−CH−CH−NH−NHの場合)、カルボン酸基、第3級アミン官能基((Me)N−CH−CH−NH−NHの場合)またはフェニル基(Ph−CH−NH−NHの場合)からなる群から選択された少なくとも一個の官能基を含んでなる)で表されるヒドラジンを意味する。
【0003】
モノアルキルヒドラジン、とりわけアリルヒドラジンは、医薬の製造に中間体として使用されることが多い化合物である。
【0004】
現在、科学文献中に記載されている唯一の合成方法は、ヒドラジン水和物(N)およびニトロソアミンを必要とする。アリルヒドラジンを合成する特別な場合、第一の方法は、モル比7に相当する、アリルブロミド1.28モルをヒドラジン一水和物8.96モルに徐々に加えることからなる。加えている間、温度は40℃未満に維持しなければならない。次いで、反応混合物を還流しながら1時間70℃に加熱する。エーテルで抽出し、蒸留した後、モノアリルヒドラジン(CH=CHCHNHNH)57%、ジアリルヒドラジン(CH=CHCHNNH)11%およびトリアリルヒドラジンからなる混合物が得られる。この比をより高くすると、モノアリルヒドラジンが減少し、ジアリルヒドラジンに有利になる((CH=CHCHNNHの収率34.6%)。アリル化の難点は、モノ−、ジ−、およびトリ−アリルヒドラジン/水/N混合物中のアリルヒドラジンの非選択性および分離のレベルにある(Loffe B.V. et al., Zh. Org. Khim (1967) 3(6), 938-8)。高純度の化合物を得るための、様々な方法を必要とする一連の特許(特許文献1〜4)が提出されている。
【0005】
アリルヒドラジンを合成するための第二の方法は、アリルヒドラジンの低温(5℃)ニトロソ化(nitrosation)と、それに続く、ニトロソ化された誘導体(1−ニトロソアリルアミン)のエーテル化された媒体中における化学的水素化(LiAlH)からなる。この反応の収率は、42%を超えない。しかし、第一工程から生じる生成物は、その毒性(この化合物は発癌性の高い化合物である)のために、非常に注意して取り扱う必要があり、その工業的製造に問題がある。その上、LiAlHの使用には、痕跡量の水も存在してはならず、水を通さない反応器および無水溶剤(ジエチルエーテル)が必要であり、これは、反応混合物が引火する危険性を増大させる。
【0006】
さらに、各種ヒドラジンの製造には、アンモニアと次亜塩素酸ナトリウム溶液との反応によりモノクロラミンを合成し、形成されたモノクロラミンをアミンと反応させ、対応するヒドラジンを得る、いわゆるラッシヒ反応が必要になることがある。この方法は、2つの異なった工程を必要とし、第一工程をモノクロラミン合成に必要な低温で行い、ヒドラジンが合成される第二工程を高温で行うので、実行がかなり困難である。さらに、モノクロラミンは、二次的な分解反応を回避するために、中間体溶液中で大過剰のアミンの存在下になければならず、従って、この方法は、非常に大量の溶液を処理することが常に必要である。しかしながら、この方法は、すべてのアルキルヒドラジン製造に応用できる訳ではなく、特に一置換されたアルキルヒドラジンの製造には適用できない。その上、合成溶液の処理には、水、次いでアミンの抽出が必要であり、コストの掛かる操作が必要である。
【特許文献1】特開平5−256100
【特許文献2】特開平5−261194
【特許文献3】特開平7−118218
【特許文献4】特開平7−112963
【発明の開示】
【0007】
ここで本発明者らは、モノアルキルヒドラジン、とりわけアリルヒドラジンの新規な合成方法を見出した。この方法は、連続的に行い、ラッシヒ法の交換に基づき、低温におけるアンモニアに対する次亜塩素酸ナトリウムの作用によりクロラミンを製造し、次いで、このようにして製造されたクロラミンをアルキルアミンに、均質または不均質媒体中で作用させ、次いでアミンを循環使用し、形成されたヒドラジンを抽出することからなる。出発アミンは、循環使用することができる。
【0008】
本発明により、アルキルヒドラジンを得るための簡単で経済的な方法が得られる。
【0009】
従って、本発明の目的は、
下記式:
NH−NH−R (I)
(式中、Rは、独立して、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、少なくとも一個のイミン官能基(−C=N−)を含むC1〜C5直鎖状アルキル基またはラジカルOH、C1〜C6アルコキシ、C=NH、C≡N、フェノキシ、COOH、COO−C1〜C6アルキル、フェニルまたはNR(ここで、RおよびRは、それぞれ独立してC1〜C6アルキル基を表すか、またはC2〜C6の環を形成する)を含んでなる群から選択された少なくとも一個の官能基を含むC1〜C6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を表す)
のモノアルキルヒドラジンを連続的に製造する方法であって、
a)好適な反応器中で、アルカリ性媒体中、温度25〜45℃で、モノクロラミンを、下記式:
NH−R (II)
(式中、Rは前記式Iと同じ意味を表す)
の無水アミンと反応させて、前記式(I)のモノアルキルヒドラジンを合成し、次いで
b)前記工程a)で得た溶液を、分離媒体の温度がこれらの化合物の沸点を超えないように冷却しながら、無水水酸化ナトリウムを加えて、有機相と水相とに分離し、そして
c)得られた前記有機相から前記式(I)のモノアルキルヒドラジンを単離する、前記a)〜c)の連続的な工程、
を含んでなる、方法である。
【0010】
工程a)の際、モノクロラミンおよび式(II)の無水アミンは、同時に導入するのが有利である。
【0011】
工程a)における式(I)のモノアルキルヒドラジンの合成は適切な反応器中で、均質媒体または不均質媒体中で行い、その反応器は、攪拌している管状反応器が有利であろう。管状反応器により、発生期のモノアルキルヒドラジンとモノクロラミンの接触を回避し、これら2種類の試薬間の酸化−還元反応を回避することができる。反応最前線は管に沿って移動し、モノアルキルヒドラジンは、反応器の底部に注入されるモノクロラミンと接触したままにはならない。
【0012】
本発明の有利な変形では、工程a)の反応媒体中にあるヒドロキシルイオンの濃度が、0.3〜0.8モル/lである。
【0013】
本発明の有利な変形では、式(II)の無水アミン/モノクロラミンのモル比は18〜30である。反応時間は変えることができ、反応を行う温度および試薬の濃度比によって異なる。例えば、モノアリルヒドラジンの場合、特定の濃度比範囲および25℃で、反応時間は2〜10分間のオーダーにある。
【0014】
本発明の有利な変形では、工程a)の前に、水酸化ナトリウム溶液をミキサー中に、ミキサー中の水酸化ナトリウムの重量濃度が2%〜6%になるように加えることにより、モノクロラミンをアルカリ処理する。ミキサーは、温度−10〜5℃に維持するのが有利である。
【0015】
従って、本発明のこの変形では、モノクロラミンと式(II)の無水アミンとの反応を、水酸化ナトリウム水溶液の存在下で温度25〜45℃で行う。工程a)が反応器から出る時、すなわち反応の終了時には、水酸化ナトリウムの濃度は0.3モル/l未満である。ソーダ濃度は、塩析により反応混合物が分離する危険性があるので、高過ぎてはならない。塩析が起きる場合、栓流反応器を使用する必要があろう。
【0016】
モノアルキルヒドラジン合成反応の際、塩酸も形成される。モノクロラミンのアルカリ処理、すなわち強塩基、例えばソーダ、の添加により、形成された酸を中和することができ、混合時のアミンの局所的なプロトン化を回避し、従って、二または三置換されたアルキルヒドラジンの形成を引き起こすことがある、置換されたモノクロラミンの形成を回避することができる。加える強塩基の量は、形成された酸のすべてを中和するのに十分でなければならない。その上、ヒドラジンの形成速度は、媒体のアルカリ度と共に増加するが、これは、分解反応、例えばクロラミンによる発生期ヒドラジンの酸化、には当てはまらない。
【0017】
アルカリ処理してあるのが有利であるモノクロラミン、および式(II)の無水アミンは、反応器中に同時に導入するのが有利である。式(II)の無水アミンおよびモノクロラミンの添加流量は、複素環式アミンとモノクロラミンのモル濃度比が18〜30になるのが有利である。モノアリルヒドラジン合成の場合、合成反応は、均質媒体中で行う。
【0018】
工程b)の際、加える無水水酸化ナトリウムの量は、水酸化ナトリウムの重量濃度が10%〜35%、好ましくは30%になるのが有利である。これらの条件下で、媒体は2相に分離し、その一方の軽い相(有機相)には、有機分子、特にモノアルキルヒドラジンおよび初期アミン、のほとんどすべてが濃縮されている。この水酸化ナトリウムによる処理により、アミンおよびモノアルキルヒドラジンの有機的性格(炭素原子の数)に応じて、反応媒体中に存在する水の少なくとも70〜80重量%、有利な場合には約85重量%、を分離により排除し、下側相(水相)中で塩と共に形成されたアンモニアを抽出することができる。含水量は、炭素原子の数と共に減少し、反対に、親水性官能基が存在する場合には増加する。
【0019】
アリルヒドラジン合成の場合、例えば、工程b)の分離媒体の温度は、80℃を超えてはならない。
【0020】
工程cは、下記の連続的な工程、すなわち
i)工程bで得られた有機相の蒸留により、未反応の式IIの無水アミンおよび式Iのモノアルキルヒドラジンの濃縮溶液を分離する工程、次いで
ii)必要であれば、上記式Iのモノアルキルヒドラジンの濃縮溶液を精製する工程
を含んでなるのが有利である。
【0021】
大気圧で行うのが有利である蒸留により、カラムのヘッドで、式(II)の未反応初期無水アミンの全部を、上記アミンの沸点と等しいか、またはそれより僅かに高い蒸留温度で、より高い沸点を有するモノアルキルヒドラジンの形成を引き起こさずに、回収することができる。
【0022】
工程i)に続いて回収された上記アミンは、工程a)の反応器中に再注入するのが有利である。上記アミンは、追加の処理を行うことなく、モノアルキルヒドラジンが形成される工程a)の反応器中に再注入することができる。式(I)のモノアルキルヒドラジンの濃縮溶液は、必要であれば、大気圧で行うのが有利である蒸留により、精製することができる。最終的補正と呼ばれるこの蒸留により、カラムのヘッドで、95%を超える、有利な場合には99%を超えるモノアルキルヒドラジンを得ることができる。上記の蒸留は、場合により、無水水酸化ナトリウムを、水酸化ナトリウムの重量濃度が30%〜50%になるように加えて有機相と水相を分離する工程の後に行う。この分離工程により、工程i)の後に得られる濃縮されたモノアルキルヒドラジン溶液中になお存在することがある水を排除することができる。
【0023】
工程a)において導入されたモノクロラミンは、下記の一連の工程、すなわち
α)場合により、塩素滴定度が100°〜120°である次亜塩素酸塩溶液を希釈することにより、塩素滴定度が36°〜100°である次亜塩素酸ナトリウム水溶液を調製する工程、次いで
β)僅かにアルカリ性の媒体中、温度−15〜−7℃で、水酸化アンモニウムの溶液および塩化アンモニウムの溶液を、工程αで得た次亜塩素酸ナトリウム水溶液と反応させ、上記のモノクロラミンを形成する工程
を含んでなる方法により、調製するのが有利である。
【0024】
本発明では、「僅かにアルカリ性の媒体」の表記は、pH値が約10±1である媒体を意味する。
【0025】
水酸化アンモニウム溶液および塩化アンモニウム溶液と次亜塩素酸ナトリウム水溶液のモル比は、2.5〜3であるのが有利である。
【0026】
塩化アンモニウムと水酸化アンモニウムのモル比は0.1〜1.75であるのが有利であり、約0.65であるのがより有利である。
【0027】
工程αで使用する塩素化された試薬が、100〜120°塩素滴定の高濃度次亜塩素酸塩溶液の希釈により得られる場合、この希釈により、塩化ナトリウム含有量を40%減少させる利点が得られる。この環境に好ましい処理により、漂白剤溶液を、結晶化の危険性無しに、−15℃に冷却することができる。
【0028】
本発明の目的であるこの方法により、モノアルキルヒドラジンのレベルにおける、その二および三置換された形態が存在しない完璧な選択性が得られ、これは、アルキル化を使用する処理と比較して大きな独創性の一つである。本発明の合成方法は、二または三置換された生成物に決してつながらないと考えることができる。事実、置換されていないアミン試薬、特にモノクロラミン、は、そのNH基を、SN2求核置換により、式(II)のアミンに与える。従って、得られる一置換されたアルキルヒドラジンは、前駆物質アミンと同じ程度の置換を維持する。この方法は、実行が容易であり、HO−N混合物の存在下におけるモノアルキルヒドラジンを単離するための、これまでの様々な、複雑な処理を回避する。
【0029】
従って、本発明の方法により、毒性の中間体を全く形成することなく、モノアルキルヒドラジンの連続合成が可能になるのみならず、上記のヒドラジンを比較的低いコストで得ることができる。
【実施例】
【0030】
実施例により、添付の図面を参照しながら本発明をより詳細に説明するが、この例は本発明を制限するものではない。
【0031】
モノアルキルヒドラジンの連続的合成
指定する量はすべて、一つの単位系に対応し、注入する次亜塩素酸塩1リットルに関連する。
【0032】
高濃度次亜塩素酸塩溶液(100〜120°塩素滴定、希釈後は[NaOCl]=2.14モル/lおよび[NaCl]=0.85モル/l)の50%希釈により調製した次亜塩素酸ナトリウム溶液1リットル、およびアンモニア濃度3.60モル/lおよび塩化アンモニウム濃度2.38モル/lを有する溶液1リットルをそれぞれ、攪拌している反応器(R1)中に流量5ml/分(これは48°塩素滴定溶液6g/分およびNH3+NHClアンモニア混合物5.05g/分である)で連続的に導入する。
【0033】
反応器中の温度は、−8〜−11℃に維持し、反応混合物のpHは約10である。R1から取り出した後、濃度が1モル/lを超えるモノクロラミン溶液が得られるが、これは次亜塩素酸ナトリウムに関して100%に近い収率に相当する。
【0034】
R1から取り出した後、上で得たモノクロラミン溶液(2リットル)を、水酸化ナトリウムの濃縮溶液(30重量%で0.39リットル)を、−9〜−11℃の低温に維持した二重壁ミキサー(M)中に連続的に導入することにより、アルカリ処理する。磁気攪拌により均質性を確保する。
【0035】
モノアリルヒドラジンの合成は、攪拌管状反応器(R2)を使用して行う。ミキサーMの容器から出るアルカリ処理したモノクロラミン(2.39リットル)、および無水アリルヒドラジン(3.25リットル、これは、その密度0.760により2.46kgである)を、計量ポンプを使用して反応器の底部に同時に導入する。無水アリルヒドラジンの流量は16.46ml/分であり、反応の一部は均質媒体中、35℃で行う。R2から出る時のNaOHの最終濃度は0.3モル/lである。
【0036】
本方法の特徴は、水酸化ナトリウムを均質反応液体(5.6kg)に、好ましくは重量濃度30%〜40%で、温度が45℃を超えないように冷却しながら加えることである。これらの条件下で、2つの相が得られ、その一方の軽い相(約2kg)は、有機物質のすべて、すなわちモノアリルヒドラジンおよび過剰のアリルアミン、を含む。従って、この処理により、合成溶液中に存在する水の80〜85重量%を除去することができる。
【0037】
次いで、モノアリルヒドラジンを得るには、2つの連続工程が必要である。
・相を大気圧で蒸留することにより、未反応アリルアミンを回収する工程。無水アミン約1.7kgが温度52℃で回収され(蒸留カラムCD1)、これは、処理をせずに反応器R2に再注入される。
・水酸化ナトリウム(40%〜50%)の添加により分離した後、カラム(蒸留カラムCD2)の底部で得た溶液の精製工程。精製前、軽い相はモノアリルヒドラジン濃度が少なくとも95%である。
【0038】
精製後、純度が99%を超えるモノアリルヒドラジンが得られる。消費されたアリルアミンに対するモノアリルヒドラジンの収率は80%を超える。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の方法を図式的に示す図である。
【符号の説明】
【0040】
R1 反応器1
M ミキサー
R2 反応器2
CD1 蒸留カラム1
CD2 蒸留カラム2
1 無水アリルヒドラジン
2 アリルヒドラジン
3 水+NH+NaCl+NaOH溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
NH−NH−R (I)
(式中、Rは、独立して、C2〜C6アルケニル基、C2〜C6アルキニル基、少なくとも一個のイミン官能基(−C=N−)を含むC1〜C5直鎖状アルキル基またはラジカルOH、C1〜C6アルコキシ、C=NH、C≡N、フェノキシ、COOH、COO−C1〜C6アルキル、フェニルまたはNR(ここで、RおよびRは、それぞれ独立してC1〜C6アルキル基を表すか、またはC2〜C6の環を形成する)を含んでなる群から選択された少なくとも一個の官能基を含むC1〜C6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を表す)
のモノアルキルヒドラジンを連続的に製造する方法であって、
a)好適な反応器中で、アルカリ性媒体中、温度25〜45℃で、モノクロラミンを、下記式:
NH−R (II)
(式中、Rは前記式(I)と同じ意味を表す。)
の無水アミンと反応させて、前記式(I)のモノアルキルヒドラジンを合成し、次いで
b)前記工程a)で得た溶液を、分離媒体の温度がこれらの化合物の沸点を超えないように冷却しながら、無水水酸化ナトリウムを加えて、有機相と水相とに分離し、そして
c)得られた前記有機相から前記式(I)のモノアルキルヒドラジンを単離する、前記a)〜c)の連続的な工程、
を含んでなる、方法。
【請求項2】
前記工程a)において、前記式(II)の無水アミン/モノクロラミンのモル比が18〜30である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程a)で使用する前記好適な反応器が、攪拌管状反応器である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程a)の前に、水酸化ナトリウム溶液を、水酸化ナトリウムの重量濃度が2%〜6%になるように加えて、モノクロラミンをミキサー中でアルカリ処理する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ミキサーを温度−10〜5℃に維持する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記工程b)の際に、無水水酸化ナトリウムを、水酸化ナトリウムの重量濃度が10%〜35%になるような量で加える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記工程c)が、
i)前記工程b)で得られた前記有機相の蒸留により、未反応の前記式(II)の無水アミンと前記式(I)のモノアルキルヒドラジンの濃縮溶液とを分離し、次いで
ii)必要に応じて前記式(I)のモノアルキルヒドラジンの濃縮溶液を精製する、前記i)とii)との連続的な工程、
を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記工程i)に続いて回収された前記未反応の式(II)の無水アミンが、前記工程a)の前記反応器中に再注入される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記式(I)のモノアルキルヒドラジンの濃縮溶液が蒸留により精製され、前記蒸留が、場合により、無水水酸化ナトリウムを、水酸化ナトリウムの重量濃度が30%〜50%になるように加えて有機相と水相とを分離する工程の後に行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記モノクロラミンが、
α)場合により、塩素滴定度が100°〜120°である次亜塩素酸ナトリウム溶液を希釈して、塩素滴定度が36°〜100°である次亜塩素酸ナトリウム水溶液を調製し、次いで
β)僅かにアルカリ性の媒体中、温度−15〜−7℃で、水酸化アンモニウムの溶液および塩化アンモニウムの溶液を、前記工程α)で得られた前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液と反応させて、モノクロラミンを形成する、前記α)とβ)との連続的な工程、
を含んでなる方法により調製される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記水酸化アンモニウム溶液および塩化アンモニウム溶液と、前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液とのモル比が、2.5〜3であるのが有利である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記塩化アンモニウムと前記水酸化アンモニウムとのモル比が0.1〜1.75であり、約0.65であるのが有利である、請求項10または11に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−514722(P2007−514722A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544501(P2006−544501)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003286
【国際公開番号】WO2005/058801
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(599109353)
【出願人】(594016872)サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) (83)
【出願人】(596096180)ユニベルシテ・クロード・ベルナール・リヨン・プルミエ (16)
【Fターム(参考)】