定性反応用試験片
【課題】
目視で容易に生理学的複合反応の検出を判定することを可能とする安価な試験片の開発が求められる。
【解決手段】
本発明は、医療現場において使用されうる試験片に関する。具体的には、基材と、該基材に設けた検出領域および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域内は、少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、ならびに/もしくは生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域とが隣接した試験片およびその製造方法を提供する。
本発明の試験片は、固定化された生理活性物質の数が多数に至る場合、測定者の解析の負担を要することなく生理学的複合反応の検出を可能とし、医療現場における迅速な対応を可能とすることができ、かつ、その製造も安価である。
目視で容易に生理学的複合反応の検出を判定することを可能とする安価な試験片の開発が求められる。
【解決手段】
本発明は、医療現場において使用されうる試験片に関する。具体的には、基材と、該基材に設けた検出領域および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域内は、少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、ならびに/もしくは生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域とが隣接した試験片およびその製造方法を提供する。
本発明の試験片は、固定化された生理活性物質の数が多数に至る場合、測定者の解析の負担を要することなく生理学的複合反応の検出を可能とし、医療現場における迅速な対応を可能とすることができ、かつ、その製造も安価である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療現場において使用されうる試験片に関する。具体的には、基材と、該基材に設けた検出領域および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、および/または生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域とが隣接した試験片およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゲノムシークエンシングの進展により各生物のゲノムの全塩基配列が明らかにされつつある中、この結果を有効に利用する技術が望まれている。
核酸マイクロアレイは複数の遺伝子を同時に解析できる技術であり、塩基配列決定法のみではなく、遺伝子の発現量や多型などを効率よく調べる方法として開発され、テーラーメイド医療、菌類などの生物学的分類の特定および疾病の診断などへの応用が展開されている。
【0003】
一般に、テーラーメイド医療、ならびに生物学的分類または変異体の同定に用いられうる核酸マイクロアレイは、特定の塩基配列を定性的に検出する程度で十分であり、試験紙のような,安価な使い捨て用のものが求められている。
例えば、特許文献1にはHCV(C型肝炎ウイルス)単離物の同定方法に用いる核酸マイクロアレイとして、ラインプローブアッセイ(LiPA:Line Probe Assay、イノジェネティクス社商標)法が開示されている。このアッセイは、ポリアミド膜片上に平行線として核酸プローブが固定されたものであり、迅速なDNAの検出を可能とする。
【0004】
また、核酸マイクロアレイに固定化する核酸プローブは、野生型の遺伝子から10〜40bpの長さで設計されるため、固定化されうる核酸プローブの種類(スポットまたはラインの数)が多く、その数は多くて約100種類にも及ぶ。つまり、上記の核酸マイクロアレイなどを用いたハイブリダイズの有無の判定は、測定者が、ハイブリダイズされたスポットまたはライン数を数える必要があり、その作業は煩雑であった。
【0005】
かかる問題を解決する手段として、リソグラフィー技術により基板に凹凸を設け、凸部に核酸プローブを固定した核酸マイクロアレイが挙げられる(特許文献2)。これらのマイクロアレイは、核酸プローブの位置が明確であるため、凸部の発色または発光の有無からハイブリダイズの有無を容易に判定することができる。
しかしながら、テーラーメイド医療または一部の診断に用いられうる核酸マイクロアレイは、試験片のような使い捨て用であることが要求されるため、リソグラフィー技術は製造コストの点で問題がある。さらに、プローブの数と凸部の数が同数となるように基材を設計および製造する必要があり、より高価な製品となってしまう。
【0006】
一方、特許文献3では、核酸プローブが固定化されたスポットの周囲にマーカーを設けた技術が開示されている。この核酸マイクロアレイは、インクジェット法を用いて製造されるため、リソグラフィー技術により製造された核酸マイクロアレイと比較すると製造コストの面で安価である。
しかしながら、スポットに周囲にマーカーを設けたとしても、核酸プローブの数が多くなればなるほど視覚的な錯覚をおこしやすくなり、多数のスポットから未反応のスポットを探すことは容易ではない。
【0007】
さらに、特許文献2または3に開示された核酸マイクロアレイは、高密度に集積されたアレイであり、目視で直接判定することを目的としていない。検出は、蛍光標識を発色させた後、スキャナなどの専門の機械を用いて検出を行うため、専門の機械を導入する必要があり、医療機関の負担を要する。
【0008】
【特許文献1】特表平7−503143号公報
【特許文献2】特開2004−264289号公報
【特許文献3】特開2000−270896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、目視で容易に生理学的複合反応の検出を判定することが可能とする安価な試験片の開発が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
[1] 基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、
少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、
および/または該生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域が隣接
した試験片、
[2] 生理活性物質が、核酸、抗原、抗体、リガンドまたはレセプターである[1]に記載の試験片、
[3] 生理活性物質が、核酸である[1]に記載の試験片、
[4] 検出物質が、RI標識物質、蛍光標識物質、発色または発光基質の触媒となる酵素、もしくはこれらの物質と結合可能なリンカー物質である[1]に記載の試験片、
[5] 検出物質が、発色基質の触媒となる酵素または該発色基質の触媒となる酵素と結合可能なリンカー物質である[1]に記載の試験片、
[6] さらに、基材に検出領域を表示する表示手段を備えた[1]に記載の試験片、
[7] 試験片が、定性反応用である[1]に記載の試験片、
[8] 基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域が、
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域のみ
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域のみ
からなる試験片、
[9] 少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域が、
検出領域内で縦縞に配設されてなる[8]に記載の試験片、
[10] 基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域内は、
少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、
および/または生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域が隣接
することを特徴とする試験片の製造方法、
[11] 基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域が、
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域のみ
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域のみ
からなることを特徴とする試験片の製造方法、
および、[12] 少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域、
もしくは、少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域を、
検出領域内で縦縞に配設することを特徴とする[11]に記載の試験片の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の試験片は、目視により容易に生理学的複合反応の検出を可能とするため、測定者の解析の負担がなく、医療現場における迅速な対応を可能とすることができる。また、リソグラフィー技術を用いないため、製造コストを大幅に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の試験片とは、少なくとも2種類以上の生理活性物質が基材の検出領域内のそれぞれ異なる領域で固定され、少なくとも2種類以上の生理学的複合反応を同時に行い、目視で容易に判定することを可能とするものをいう。また、得られた結果から疾病の診断、微生物の生物学的分類または変異体の同定ならびに個人の体質に関連する情報などを得るためのものをいう。
【0013】
上記微生物の生物学的分類または変異体の同定とは、特に限定されるものではないが、例えば、患者に感染したHCV(C型肝炎ウイルス)の種類または結核菌の持つ治療薬剤の耐性の同定などが挙げられる。
【0014】
また、上記個人の体質に関連する情報とは、特に限定されるものではないが、例えば、個人の将来的な骨密度の変化の予測、ならびに、治療薬剤の感受性、耐性または副作用が生じる可能性の予測などが挙げられる。
【0015】
上記生理学的複合反応とは、生体由来の物質同士の複合体形成に基づく反応をいい、例えば、DNA−DNAハイブリダイゼーション、DNA−RNAハイブリダイゼーション、DNA−PNA(ペプチド核酸)ハイブリダイゼーション、抗原−抗体反応およびリガンド−レセプター反応などが挙げられる。
【0016】
したがって、本発明の試験片に固定されうる生理活性物質とは、複合体形成を可能とする物質であればよく、例えば、核酸、抗原、抗体、リガンドおよびレセプターなどが挙げられる。中でもテーラーメイド医療への展開としては、核酸が主に用いられる。以降の説明は、使用頻度の観点を考慮して核酸の検出に用いるためのものを中心とするが、核酸以外の物質にも準用できるものであり、必ずしも限定されるものではない。
【0017】
上記核酸とは、一本鎖または二本鎖のDNA、RNAおよびPNAが挙げられる。中でも製造コストおよび使用頻度の観点から一本鎖のDNAが好ましい。これら試験片に固定されうる核酸は、一般的に核酸プローブと称されるものであり、核酸が一本鎖のDNAである場合は、DNAプローブと称されるものである。
【0018】
上記核酸プローブの製造は、特に限定されるものではなく、例えば、DNAプローブの場合、合成されたDNA(オリゴヌクレオチド)またはmRNAから逆転写されたcDNAであってもよい。前記オリゴヌクレオチドの合成は、市販の核酸の自動合成機などで合成することができる。
【0019】
また、上記核酸は、目的対象の核酸の特定の塩基配列とハイブリダイズ可能な塩基配列を有するように設計される。前記特定の塩基配列とは、本発明の試験片の使用目的により当業者が適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、例えば、上記微生物の生物学的分類に相関するゲノムDNAの野生型およびその変異型を含む塩基配列をいう。
【0020】
さらに、上記核酸の塩基配列は、上記特定の塩基配列とハイブリダイズすることが可能な範囲内であれば、前記特定の塩基配列の完全相補的な塩基配列から塩基の挿入、変異および欠失された塩基配列であってもよい。しかしながら、例えば、一塩基レベルの変異を検出することを目的とした場合、反応精度の観点から、完全相補的な塩基配列であることが好ましい。
【0021】
また、上記核酸プローブの重合度は、検出する特定の塩基配列の種類によって異なるため、特に限定されるものではないが、例えば、生物から抽出されたゲノムDNA一塩基レベルの変異を検出する場合は、検出する時の温度にもよるが、検出精度の観点から約10〜30塩基、好ましくは約12〜26塩基である。
【0022】
本発明の試験片に固定化される生理活性物質は、試験片の使用目的にもよるが、少なくとも2種類以上であればよい。
【0023】
例えば、ある2種類以上の公知の変異が存在する野生型の遺伝子を検出する場合、野生型の特定の塩基配列とハイブリダイズし、公知の変異を有する塩基配列とはハイブリダイズしない塩基配列を有する核酸プローブをそれぞれ設計することができる。
【0024】
また、例えば、ある未知の変異が多数存在しうる野生型遺伝子を検出する場合、野生型の特定の塩基配列とハイブリダイズし、何らかの変異を有する塩基配列とはハイブリダイズしないような塩基配列を有する核酸プローブを設計することができる。この時、核酸プローブの長さを10〜30塩基、好ましくは12〜26塩基程度に設計すれば、一塩基レベルの変異を検出することができる。つまり、野生型遺伝子の重合度が長ければ長いほど、核酸プローブの種類も多くなる。さらに、隣接するプローブ同士が約4−7塩基程重なるように上流又は下流から順に設計すれば、少なくとも重複した部分に未知の変異が存在したとしても、どちらかのプローブで検知することができるため、その検出精度が向上して好ましいが、設計される核酸プローブの種類はさらに多くなる。
【0025】
このように本発明の試験片に固定化する生理活性物質の種類は、当業者が適宜設定されるものであるので、2種類以上であれば特に限定されるものではない。
【0026】
上記未知の変異が多数存在しうる野生型遺伝子を検出する例としては、例えば、結核菌の野生型のpncA遺伝子の検出などが挙げられる。前記結核菌のpncA遺伝子は、結核菌のピラジナミドの薬剤耐性に相関すると言われており、pncA遺伝子におけるピラジアミダーゼをコードする塩基は、580塩基である。したがって、核酸プローブの種類は、例えば、全ての核酸プローブの重合度を30塩基に統一し、隣接する核酸プローブと4塩基重複するように設計した場合、少なくとも22種類以上である。このようなプローブの設計は、あくまで一実施形態にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
上記2種類以上の生理活性物質は、基材に備えた検出領域内のそれぞれ異なる領域で固定される。
【0028】
上記基材としては、上記生理活性物質を固定しうる材料であればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびニトロセルロースなどの有機材料、ガラスおよびシリカなどの無機材料、ならびに、金、銀および胴などの金属材料などが挙げられる。中でも成形加工性が容易である観点から、有機材料が好ましく、さらに好ましくは、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチルおよびポリアミドであるが、これに限定されるものではない。
【0029】
さらに、基材として有機材料を選択する場合、発色による検出が明確に判断することができる観点から、白色を呈した材料が好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
上記基材は、例えば、基板、容器、フィルムおよびチューブなどが挙げられる。中でも取り扱いが容易である観点から、長方形状のフィルムまたは基板が好ましい。また、基材の大きさなどは、検出を容易にする観点から、検出する面はある程度の面積が必要である。例えば、基材が長方形状のフィルムまたは基板である場合、上表面の面積は、取り扱いが容易である観点から、約40〜1000mm2、好ましくは約60〜300mm2である。
【0031】
上記基材は、当業者により状況に応じて製造することができるものであるため、特に限定されるものではない。例えば、押出成形、射出成形、溶融成形および圧縮成形などが挙げられ、中でも製造コストおよび容易性の観点から、押出成形が好ましい。
【0032】
上記検出領域とは、少なくとも全ての生理活性物質が固定された領域であり、生理学的複合反応の検出において、作業者が生理学的複合反応の有無を判定するために注目するべき基材表面上の定められた位置に設けられた閉じた領域をいう。前記検出領域は、基材上のどの位置に定めることができる。特に目視判定が容易である観点から、検出領域全てが同一表面上であることが好ましい。検出領域の面積は、基材全表面積を100%とした時の前記検出領域が占める面積比率の観点から設定することもできる。例えば、約10〜90%、好ましくは約25〜75%である。つまり、基材に検出領域ではない部分を設けることにより、測定者がその部分に触れて持ち運びや測定などの作業をすることができるため、取り扱い性が向上するため好ましい。
【0033】
また、上記検出領域の数は、特に限定されるものではなく、複数存在してもよいが、目視での目視判定が容易である観点から、1つであることが好ましい。
【0034】
本発明の試験片の検出領域内は、少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、および/または生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域とが隣接している。本発明における隣接とは、2種類の生理活性物質同士および/または生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域が略接触している状態をいう。しかしながら、検出において誤認が生じない程度であれば、多少のズレがあってもよい。例えば、0.01〜0.5mm程度離れていても目視判定において誤認をするケースは少ない。
【0035】
また、上記生理活性物質は、検出領域内のそれぞれ異なる領域で固定される。つまり、例えば、N種類(Nは2以上の自然数)の生理活性物質が存在する時、上記生理活性物質固定領域は、少なくともN種類存在する。
【0036】
本発明における検出物質とは、目視での判定を可能とする物質または上記目視での判定を可能とする物質と結合可能なリンカー物質をいう。目視での判定を可能とする物質とは、例えば、RI標識(RI標識法を可能とする物質)、可視光を発光する蛍光物質(蛍光標識法を可能とする物質)および発色反応を可能とする酵素(酵素発色法を可能とする物質)などが挙げられる。中でも、専用の装置を必要とせず、かつ目視での判定が容易である観点から、酵素発色法を可能とする酵素が好ましい。上記酵素としては、例えば、アルカリホスファターゼおよびペルオキシダーゼなどが挙げられる。
【0037】
また、上記リンカー物質とは、上記目視での判定を可能とする物質と結合可能な物質をいい、例えば、共有結合、イオン結合、水素結合、ジスルフィド結合および配位結合などの化学的結合ならびに本発明における生理学的複合反応に影響を及ぼさない抗原−抗体結合などの生化学的結合を可能とする物質をいう。中でも本発明の試験片は主にDNAの検出に用いられ、入手が容易であり、核酸の検出においてビオチン修飾核酸およびストレプトアビジン修飾アルカリホスファターゼを用いたNBT/BCIP法が一般的に用いられている観点から、アビジン−ビオチン結合が好ましい。
【0038】
上記検出物質の好ましい例は、核酸の検出法で一般的に用いられており、かつ基材への固定が容易である観点から、アルカリホスファターゼであるが、これに限定されるものではない。
【0039】
上記生理活性物質固定領域および検出物質固定領域の形状およびその配置は、検出領域内で何も固定されていない領域が存在しなければ特に限定されるものではなく、いわゆるジグソーパズルのような形態をとる。その形状としては、例えば、三角形、菱形、長方形および正六角形などが挙げられ、各領域全てが同一の形状であっても、異なる形状であってもよいが、検出領域内全てが生理活性物質固定領域で埋まるように設計する。中でも製造が容易である観点から長方形(帯状)であり、その配置は縦縞(ストライプ)状で配列されていることが好ましい。これらの実施態様については、図1〜4を参照することができる。
【0040】
また、上記検出領域の数が1つである場合、前記検出領域は、上記生理活性物質固定領域および/または上記検出領域によって全て占められることになる。換言すれば、あたかも上記生理活性物質固定領域および/または上記検出領域をパズル片としたジグソーパズルのような形態をとる。
【0041】
また、上記生理活性物質固定領域および検出物質固定領域の各領域の面積は、上記検出領域の面積および上記生理活性物質固定領域の数に依存するが、目視判定を容易とする観点から、約3〜150mm2、好ましくは約6〜100mm2である。特に長方形(帯状)の形状の領域を、縦縞(ストライプ)状で配列する場合、帯の幅を約1〜15mm、好ましくは約2〜10mmである。
【0042】
上記生理活性物質および検出物質は、基材表面上の検出領域内に固定される。上記核酸プローブおよび検出物質の固定は、物理的または化学的処理により固定化することができる。
【0043】
上記物理的な処理による固定化としては、上記生理活性物質または検出物質の溶液を基材にスポッティングする方法であれば特に限定されるものではない。このようなスポッティングの方法としては、ディスペンサなどを用いた押出し法およびインクジェット法などが挙げられる。製造コストの観点からは押出し法が、固定化の精度の観点からはインクジェット法が好ましく、特に限定されるものではない。
【0044】
また、生理活性物質が核酸である場合、このような物理的な処理により固定化する場合は、上記核酸プローブに無関係な塩基配列を付加すれば、UV照射により基材に固定化率が向上して好ましい。前記核酸プローブに無関係な塩基配列とは、ポリアデニン、ポリシトシン、ポリチミンおよびポリグアニンなどが挙げられるが、固定化率が最も高い観点からポリチミンが好ましい。
【0045】
また、核酸プローブは親水性高分子であるため、基材に何らかの処理を行ってもよい。例えば、
(A) ポリリジンなどのポリカチオン性の高分子を基材表面に被覆する方法
(B) 基材がガラスなどの無機材料である場合、アミノエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤などで処理する方法
(C) 基材が金などの金属材料である場合は、2−アミノエタンチオールなどのアミノ基を有するチオールもしくはジスルフィド化合物などで担体表面を処理する方法
などが挙げられる。
【0046】
一方で、共有結合による化学に固定化する方法としては、核酸プローブの末端に基材と共有結合形成可能な官能基を修飾する方法、もしくは、核酸プローブの末端および基材にそれぞれ共有結合可能な官能基を修飾する方法などが挙げられる。例えば、
(a) 基材が、ガラスおよびシリコンなどの無機材料の場合、核酸検出用プローブの末端にトリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのシランカップリング反応が可能な官能基を修飾し、シランカップリング反応により固定化する方法
(b) 基材が、ガラス、シリコンなどの無機材料の場合、上記無機材料基材上に、アミノエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤で処理することにより、基材の表面をシランケップリング結合によりアミノ化する。一方で、核酸プローブの末端にカルボン酸を修飾する。そして、基材のアミノ基と核酸プローブのカルボン酸のアミノカップリング反応によりアミド結合を形成させて固定化する方法
などが挙げられる。
また、基材が金、銀などの金属材料の場合であっても、当業者は、前記シランカップリング結合を、金属−チオールまたは金属−ジスルフィド結合に置きかえることによって固定化することができる。
【0047】
以上の固定化方法の中でも、核酸の固定化に関しては、製造が用意である観点から、上記核酸プローブの末端にポリチミンを付加し、UV照射により固定化する方法が好ましい。
【0048】
本発明では、作業者が生理活性物質の固定位置を認識することを容易にする観点から、上記検出領域を特定する手段として表示手段を設けることが好ましい。上記表示手段は、基材の材料との相性にもよるが、例えば、基材との接触角の小さい疎水性のインク、シール、ならびに、基材を成形する際に凸状物または凹溝を設ける方法などが挙げられ、目視判定が容易である観点から、疎水性のインクが好ましいが、これに限定されるものではない。また、必ずしも表示手段のみで上記検出領域を表現する必要はなく、例えば、本発明の試験片の端部を併用して表現してもよい。この表示手段により、作業者は、生理活性物質の固定位置を把握することができ、核酸の検出を容易に行うことができる。
【0049】
以上のことから、本発明の試験片の最も好ましい例としては、図1に示すような長方形状のフィルムの短辺方向に平行にストライプ状に生理活性物質固定領域が配設された試験片である。
【0050】
上記の好ましい形態の試験片をより効率的に作成する方法としては、例えば図5に示すように、フィルムが巻き取られたロールからフィルムを引き出し、引き出し方向に上記生理活性物質および/または検出物質の溶液を押出し法またはインクジェット法などで連続的に塗布・固定化する。次に、引き出し方向と直交する方向に短冊状に切断することにより本発明の試験片を大量に生産する方法が挙げられる。例えば、押出し法により製造する場合、24ゲージの針を有するディスペンサから吐出溶液を約0.5〜1.0μl/minとし、塗布速度約2.5〜8.5mm/secとした場合、ストライプの幅は約1〜2mmとなる。また、表示手段は、生理活性物質および/または検出物質の溶液を塗布する前もしくは後のいずれの段階で設けてもよい。これらの設定は当業者が適宜設定できるものであり、特に限定されるものではない。
【0051】
また、例えば図6に示す方法なども挙げられる。具体的には、一定間隔毎に検出物質の溶液を塗布・固定化した後、乾燥する。その後、残りの領域に生理活性物質の溶液を塗布する。次に、引き出し方向と直交する方向に短冊状に切断することにより本発明の試験片を大量に生産する方法が挙げられる。この方法によれば、大きく2工程で生理活性物質の固定が完了するので、図5の方法よりも製造コストが安価となり好ましい。
【0052】
以下に本発明の試験片の使用方法を、核酸の検出方法について図を用いて説明するが、以下に説明する使用方法の例は、当業者により適宜設定できるものであり、特に限定されるものではない。
【0053】
図1は、本発明の試験片の一実施態様である。長方形状のフィルム1上に、前記長方形の短辺方向と平行にストライプ状にDNAプローブをそれぞれ固定化されており、検出領域2内において、全てのDNAプローブを固定化した領域3は密集している。この試験片の製造方法は、例えば、図5または6の製造方法を採用することができる。
【0054】
次に、本発明の試験片に接触させる目的のサンプルを調製する。まず、動物の生体試料からゲノムDNAを抽出する。生体試料とは、血液、唾液または毛髪などが挙げられ、好ましくは、血球細胞、表皮細胞および粘膜細胞などの各種ヒト細胞である。生体試料からDNAを抽出する方法は、公知の方法で行うことができ、例えばフェノール抽出法、グアニジンチオシナネート抽出法およびバナジルリボヌクレオシド複合抽出法などが挙げられる。
【0055】
次に、好ましくは、上記抽出されたゲノムDNAから検出すべき特定の塩基配列を増幅する。核酸を増幅する手法としては、例えば、PCR法、LAMP法およびICAN法などが挙げられる。中でも試薬のコストの観点から、PCR法が好ましい。
【0056】
上記PCR法は、例えば、(1)2本鎖ゲノムDNAを約92〜95℃、約30秒〜1分間の反応条件で熱処理することにより1本鎖にする変性工程、前記1本鎖DNAのそれぞれに約50〜65℃を約20秒〜1分間の反応条件で、(2)少なくとも2種類の増幅プライマーを結合させることによりPCRの反応開始点となる2本鎖部分を作製するアニール工程、(3)約70〜75℃を約20秒〜5分間の反応条件でDNAポリメラーゼを用いて反応させる鎖伸張工程の(1)〜(3)の工程を通常の方法により20〜40回繰り返すことで核酸を増幅することができる。
【0057】
また、上記PCR法に用いられるプライマー対は、上記抽出されたゲノムDNAとハイブリダイズすることができ、上記特定の塩基配列を含む核酸を増幅しうる塩基配列を有し、その重合度は約15〜40塩基程度のものであればよい。前記プライマーは、上記核酸プローブと同様自動合成機などで合成することができる。
【0058】
さらに、上記プライマーの末端に上記検出物質を修飾することにより、核酸の検出をさらに容易にすることができて好ましい。上記検出物質としては、上記で説明したものと同様、例えば、RI標識(RI標識法を可能とする物質)、可視光を発光する蛍光物質(蛍光標識法を可能とする物質)および発色反応を可能とする酵素(酵素発色法を可能とする物質)ならびにこれらの物質と結合可能なリンカー物質などが挙げられる。ここで、リンカー物質を修飾する場合は、別途で前記リンカー物質と結合する検出物質自体を用意する必要がある。例えば、リンカー物質としてビオチンを修飾した場合は、ストレプトアビジン修飾アルカリホスファターゼを別途で用意する必要がある。また、これらプライマー末端に修飾する物質は、検出反応を統一化させ、検出を容易にする観点から、上記基材に固定化する検出物質と同様の物質を用いることが好ましい。
【0059】
次に増幅された核酸を、本発明の試験片と接触させ、ハイブリダイズ反応を行う。前期ハイブリダイズ反応の条件は、基材に固定化されたDNAプローブの熱変性温度による。例えば、前記DNAプローブの熱変性温度が、約55.0〜75.0℃程度である場合、約61.5〜62.5℃が一般的である。
【0060】
そして、基材に固定化されたDNAプローブとハイブリダイズ反応を検出する。例えば、上記プライマーの末端にRI標識をした場合は、オートラジオグラフィーにより検出することができる。可視光を発光する蛍光物質を修飾した場合は、それぞれの蛍光標識に適した励起波長の光を照射し、その発光(可視光)を目視で確認することができる。さらに、発色反応を可能とする酵素標識の場合、各酵素の基質を添加して発色させることにより目視で確認することができる。上記検出方法の中でも、測定が容易である観点から、酵素を用いた発色(酵素発色法)が好ましい。
【0061】
上記酵素発色法に用いる場合、プライマーに修飾する物質としては、例えば、アルカリホスファターゼが挙げられ、前記アルカリホスファターゼの基質としてp−ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸p−トルイジン塩(BCIP)の併用が挙げられる。その発色の程度は、目視、CCDカメラおよびデンシトメーターなどより判定することができるが、特段の事情がない限り目視判定で十分である。
【0062】
以上のようにして本発明の試験片を用いて核酸を検出した場合、上記特定の塩基配列に変異が存在しない場合は、検出領域の全てが発光または発色する。一方、上記特定の塩基配列に変異が存在する場合は、1つでも発光または発色されない部分が生じる。従って、検出部分を見ることにより瞬時に目的の核酸の塩基配列に変異が存在するか否かを判断することができる。例えば、本発明の試験片を結核菌のpncA遺伝子の変異検出用として製造した場合、pncA遺伝子のひとつでも変異が存在すれば、検出の際に前記検出領域の一部が発光または発色しないため、前記結核菌がピラジアミダーゼ耐性を有することを瞬時に判断することができる。このことにより、ピラジアミダーゼ以外の治療薬を選択することができ、患者への負担は大きく軽減される。
【実施例】
【0063】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
実施例1:試験片の製造
DNAプローブ
DNAプローブとしては、配列番号1および2に示されるDNAプローブを合成して用いた。配列番号1および2のDNAプローブは、結核菌のpncA野生型遺伝子にそれぞれ異なる位置でハイブリダイズすることができる配列を有する。これらのDNAプローブに5’末端をターミナルトランスフェラーゼ(New England Biolab社製)を用いて、ポリチミンの付加を行った。具体的には、ターミナルトランスフェラーゼ(20unit/μl)を4μl、デオキシチミジン三リン酸(10pmol/μl)を10μl、配列番号1および2のDNAプローブ(50mM)を4μl、製品添付のNEBuffer4を5μl、および製品添付のカコジル酸緩衝液を5μl含んだ精製水50μlを調製した後、37℃で4時間反応させ、製品添付の20×SSC緩衝液50μlを加えることで、ポリチミン付加された核酸プローブ(平均約400bp長)2pmol/μlをそれぞれ得た。
【0065】
配列番号1:atgatcaacg cccgcatac
配列番号2:gtcgttctgc acgtcgac
【0066】
リンカー物質
リンカー物質として配列番号3に示した塩基配列を有し、かつ5’末端にビオチンを
修飾したDNAを用いた。基材に塗布するための溶液を、濃度0.1pmol/μlとなるように調製した。尚、このDNAは後述するリバースプライマーとしても用いる。
【0067】
配列番号3:caacagttca tcccggttc
【0068】
試験片の製造
上記DNAプローブを固定化する基材として、ポリアミド膜を選択した。このポリアミド膜上(10mm×300mm)に、上記2種類のDNAプローブおよびリンカー物質の溶液を、24ゲージの針を有するディスペンサ(武蔵工業社製)を用いて、図5の手法に沿って300mmの辺と平行方向に連続的に塗布した。具体的には、
(i)リンカー物質
(ii)配列番号1のDNAプローブ
(iii)リンカー物質
(ii)配列番号2のDNAプローブ
(iii)リンカー物質
の順に連続的に塗布した。
また、塗布条件は、吐出速度約0.7μl/sec、塗布速度約2.5mm/secとした。約25℃で乾燥後、312nmの紫外線を2分間照射することにより、DNAプローブをポリアミド膜上に固定化した。固定化後、10×SSC溶液で洗浄することで、未吸着のDNAプローブを除去した。次に検出領域の両端に疎水性のインクで印をつけることにより表示手段を設け、5mm毎に切断することにより本発明の試験片を得た。得られた試験片におけるDNAプローブが固定された領域の幅は約2mmであった。その模式図を図7に示す。
【0069】
実験例1:核酸の検出
検体のゲノムDNAの抽出
表1に示す試料1〜3の結核菌のゲノムDNAを、フェノール抽出法により抽出した。表1は、pncA遺伝子における変異の位置を示すものである。ここで、上記配列番号1のプローブDNAは、試料2に、上記配列番号2のプローブDNAは試料3にそれぞれ対応する。
【0070】
【表1】
【0071】
検体のゲノムDNAの増幅
配列番号4に示す塩基配列を有するフォワードプライマー、配列番号3に示す塩基配列を有し、かつ5’末端にビオチンを結合させたリバースプライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ(ロシュ・ダイアグノスティクス社製)を用いたPCR法により、pncA遺伝子を含む塩基配列の増幅を行った。増幅反応は、変性過程を95℃、1分、アニール過程を55℃、1分、鎖伸長過程を72℃、1分の1サイクルを30サイクル行った。
【0072】
配列番号4:ggcgtcatgg accctatatc
配列番号3:caacagttca tcccggttc
【0073】
核酸の検出
増幅したDNA溶液10μLに、水酸化ナトリウム(20%)(10μL)を加えてよく攪拌した。5分間放置して、増幅したDNAを1本鎖に変性させた。変性DNAを含む溶液に、10% ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(1mL)を加え、実施例1の試験片を浸漬させ、反応温度62℃で30分間振とうしてハイブリダイゼーションを行った。その後、アルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジンを加え、さらにp−ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸 p−トルイジン塩(BCIP)を加えて、各プローブと結合した試料に結合したアルカリホスファターゼによる発色反応を行った。
【0074】
その結果を図8に示す。基材を見れば瞬時にハイブリダイズ反応の有無を容易に判定できることは明らかであった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の試験片は、固定化された生理活性物質の数が多数に至る場合、測定者の解析の負担を要することなく生理学的複合反応の検出を可能とし、医療現場における迅速な対応を可能とすることができ、かつ、その製造も安価である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の試験片の一実施態様である。
【図2】本発明の試験片の図1とは異なる一実施態様である。
【図3】本発明の試験片の図1および2とは異なる一実施態様である。
【図4】本発明の試験片の図1、2および3とは異なる一実施態様である。
【図5】本発明の試験片の製造方法の一実施態様である。
【図6】本発明の試験片の製造方法の図5とは異なる一実施態様である。
【図7】実施例1で製造された試験片の模式図である。
【図8】実験例1の結果である。
【符号の説明】
【0077】
1 基材
2 検出領域
3 生理活性物質固定領域
31 配列番号1の塩基配列を有するDNAプローブ
32 配列番号2の塩基配列を有するDNAプローブ
4 検出物質固定領域
41 リンカー物質
5 表示手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療現場において使用されうる試験片に関する。具体的には、基材と、該基材に設けた検出領域および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、および/または生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域とが隣接した試験片およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゲノムシークエンシングの進展により各生物のゲノムの全塩基配列が明らかにされつつある中、この結果を有効に利用する技術が望まれている。
核酸マイクロアレイは複数の遺伝子を同時に解析できる技術であり、塩基配列決定法のみではなく、遺伝子の発現量や多型などを効率よく調べる方法として開発され、テーラーメイド医療、菌類などの生物学的分類の特定および疾病の診断などへの応用が展開されている。
【0003】
一般に、テーラーメイド医療、ならびに生物学的分類または変異体の同定に用いられうる核酸マイクロアレイは、特定の塩基配列を定性的に検出する程度で十分であり、試験紙のような,安価な使い捨て用のものが求められている。
例えば、特許文献1にはHCV(C型肝炎ウイルス)単離物の同定方法に用いる核酸マイクロアレイとして、ラインプローブアッセイ(LiPA:Line Probe Assay、イノジェネティクス社商標)法が開示されている。このアッセイは、ポリアミド膜片上に平行線として核酸プローブが固定されたものであり、迅速なDNAの検出を可能とする。
【0004】
また、核酸マイクロアレイに固定化する核酸プローブは、野生型の遺伝子から10〜40bpの長さで設計されるため、固定化されうる核酸プローブの種類(スポットまたはラインの数)が多く、その数は多くて約100種類にも及ぶ。つまり、上記の核酸マイクロアレイなどを用いたハイブリダイズの有無の判定は、測定者が、ハイブリダイズされたスポットまたはライン数を数える必要があり、その作業は煩雑であった。
【0005】
かかる問題を解決する手段として、リソグラフィー技術により基板に凹凸を設け、凸部に核酸プローブを固定した核酸マイクロアレイが挙げられる(特許文献2)。これらのマイクロアレイは、核酸プローブの位置が明確であるため、凸部の発色または発光の有無からハイブリダイズの有無を容易に判定することができる。
しかしながら、テーラーメイド医療または一部の診断に用いられうる核酸マイクロアレイは、試験片のような使い捨て用であることが要求されるため、リソグラフィー技術は製造コストの点で問題がある。さらに、プローブの数と凸部の数が同数となるように基材を設計および製造する必要があり、より高価な製品となってしまう。
【0006】
一方、特許文献3では、核酸プローブが固定化されたスポットの周囲にマーカーを設けた技術が開示されている。この核酸マイクロアレイは、インクジェット法を用いて製造されるため、リソグラフィー技術により製造された核酸マイクロアレイと比較すると製造コストの面で安価である。
しかしながら、スポットに周囲にマーカーを設けたとしても、核酸プローブの数が多くなればなるほど視覚的な錯覚をおこしやすくなり、多数のスポットから未反応のスポットを探すことは容易ではない。
【0007】
さらに、特許文献2または3に開示された核酸マイクロアレイは、高密度に集積されたアレイであり、目視で直接判定することを目的としていない。検出は、蛍光標識を発色させた後、スキャナなどの専門の機械を用いて検出を行うため、専門の機械を導入する必要があり、医療機関の負担を要する。
【0008】
【特許文献1】特表平7−503143号公報
【特許文献2】特開2004−264289号公報
【特許文献3】特開2000−270896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、目視で容易に生理学的複合反応の検出を判定することが可能とする安価な試験片の開発が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
[1] 基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、
少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、
および/または該生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域が隣接
した試験片、
[2] 生理活性物質が、核酸、抗原、抗体、リガンドまたはレセプターである[1]に記載の試験片、
[3] 生理活性物質が、核酸である[1]に記載の試験片、
[4] 検出物質が、RI標識物質、蛍光標識物質、発色または発光基質の触媒となる酵素、もしくはこれらの物質と結合可能なリンカー物質である[1]に記載の試験片、
[5] 検出物質が、発色基質の触媒となる酵素または該発色基質の触媒となる酵素と結合可能なリンカー物質である[1]に記載の試験片、
[6] さらに、基材に検出領域を表示する表示手段を備えた[1]に記載の試験片、
[7] 試験片が、定性反応用である[1]に記載の試験片、
[8] 基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域が、
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域のみ
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域のみ
からなる試験片、
[9] 少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域が、
検出領域内で縦縞に配設されてなる[8]に記載の試験片、
[10] 基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域内は、
少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、
および/または生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域が隣接
することを特徴とする試験片の製造方法、
[11] 基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域が、
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域のみ
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域のみ
からなることを特徴とする試験片の製造方法、
および、[12] 少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域、
もしくは、少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域を、
検出領域内で縦縞に配設することを特徴とする[11]に記載の試験片の製造方法
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の試験片は、目視により容易に生理学的複合反応の検出を可能とするため、測定者の解析の負担がなく、医療現場における迅速な対応を可能とすることができる。また、リソグラフィー技術を用いないため、製造コストを大幅に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の試験片とは、少なくとも2種類以上の生理活性物質が基材の検出領域内のそれぞれ異なる領域で固定され、少なくとも2種類以上の生理学的複合反応を同時に行い、目視で容易に判定することを可能とするものをいう。また、得られた結果から疾病の診断、微生物の生物学的分類または変異体の同定ならびに個人の体質に関連する情報などを得るためのものをいう。
【0013】
上記微生物の生物学的分類または変異体の同定とは、特に限定されるものではないが、例えば、患者に感染したHCV(C型肝炎ウイルス)の種類または結核菌の持つ治療薬剤の耐性の同定などが挙げられる。
【0014】
また、上記個人の体質に関連する情報とは、特に限定されるものではないが、例えば、個人の将来的な骨密度の変化の予測、ならびに、治療薬剤の感受性、耐性または副作用が生じる可能性の予測などが挙げられる。
【0015】
上記生理学的複合反応とは、生体由来の物質同士の複合体形成に基づく反応をいい、例えば、DNA−DNAハイブリダイゼーション、DNA−RNAハイブリダイゼーション、DNA−PNA(ペプチド核酸)ハイブリダイゼーション、抗原−抗体反応およびリガンド−レセプター反応などが挙げられる。
【0016】
したがって、本発明の試験片に固定されうる生理活性物質とは、複合体形成を可能とする物質であればよく、例えば、核酸、抗原、抗体、リガンドおよびレセプターなどが挙げられる。中でもテーラーメイド医療への展開としては、核酸が主に用いられる。以降の説明は、使用頻度の観点を考慮して核酸の検出に用いるためのものを中心とするが、核酸以外の物質にも準用できるものであり、必ずしも限定されるものではない。
【0017】
上記核酸とは、一本鎖または二本鎖のDNA、RNAおよびPNAが挙げられる。中でも製造コストおよび使用頻度の観点から一本鎖のDNAが好ましい。これら試験片に固定されうる核酸は、一般的に核酸プローブと称されるものであり、核酸が一本鎖のDNAである場合は、DNAプローブと称されるものである。
【0018】
上記核酸プローブの製造は、特に限定されるものではなく、例えば、DNAプローブの場合、合成されたDNA(オリゴヌクレオチド)またはmRNAから逆転写されたcDNAであってもよい。前記オリゴヌクレオチドの合成は、市販の核酸の自動合成機などで合成することができる。
【0019】
また、上記核酸は、目的対象の核酸の特定の塩基配列とハイブリダイズ可能な塩基配列を有するように設計される。前記特定の塩基配列とは、本発明の試験片の使用目的により当業者が適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、例えば、上記微生物の生物学的分類に相関するゲノムDNAの野生型およびその変異型を含む塩基配列をいう。
【0020】
さらに、上記核酸の塩基配列は、上記特定の塩基配列とハイブリダイズすることが可能な範囲内であれば、前記特定の塩基配列の完全相補的な塩基配列から塩基の挿入、変異および欠失された塩基配列であってもよい。しかしながら、例えば、一塩基レベルの変異を検出することを目的とした場合、反応精度の観点から、完全相補的な塩基配列であることが好ましい。
【0021】
また、上記核酸プローブの重合度は、検出する特定の塩基配列の種類によって異なるため、特に限定されるものではないが、例えば、生物から抽出されたゲノムDNA一塩基レベルの変異を検出する場合は、検出する時の温度にもよるが、検出精度の観点から約10〜30塩基、好ましくは約12〜26塩基である。
【0022】
本発明の試験片に固定化される生理活性物質は、試験片の使用目的にもよるが、少なくとも2種類以上であればよい。
【0023】
例えば、ある2種類以上の公知の変異が存在する野生型の遺伝子を検出する場合、野生型の特定の塩基配列とハイブリダイズし、公知の変異を有する塩基配列とはハイブリダイズしない塩基配列を有する核酸プローブをそれぞれ設計することができる。
【0024】
また、例えば、ある未知の変異が多数存在しうる野生型遺伝子を検出する場合、野生型の特定の塩基配列とハイブリダイズし、何らかの変異を有する塩基配列とはハイブリダイズしないような塩基配列を有する核酸プローブを設計することができる。この時、核酸プローブの長さを10〜30塩基、好ましくは12〜26塩基程度に設計すれば、一塩基レベルの変異を検出することができる。つまり、野生型遺伝子の重合度が長ければ長いほど、核酸プローブの種類も多くなる。さらに、隣接するプローブ同士が約4−7塩基程重なるように上流又は下流から順に設計すれば、少なくとも重複した部分に未知の変異が存在したとしても、どちらかのプローブで検知することができるため、その検出精度が向上して好ましいが、設計される核酸プローブの種類はさらに多くなる。
【0025】
このように本発明の試験片に固定化する生理活性物質の種類は、当業者が適宜設定されるものであるので、2種類以上であれば特に限定されるものではない。
【0026】
上記未知の変異が多数存在しうる野生型遺伝子を検出する例としては、例えば、結核菌の野生型のpncA遺伝子の検出などが挙げられる。前記結核菌のpncA遺伝子は、結核菌のピラジナミドの薬剤耐性に相関すると言われており、pncA遺伝子におけるピラジアミダーゼをコードする塩基は、580塩基である。したがって、核酸プローブの種類は、例えば、全ての核酸プローブの重合度を30塩基に統一し、隣接する核酸プローブと4塩基重複するように設計した場合、少なくとも22種類以上である。このようなプローブの設計は、あくまで一実施形態にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
上記2種類以上の生理活性物質は、基材に備えた検出領域内のそれぞれ異なる領域で固定される。
【0028】
上記基材としては、上記生理活性物質を固定しうる材料であればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートおよびニトロセルロースなどの有機材料、ガラスおよびシリカなどの無機材料、ならびに、金、銀および胴などの金属材料などが挙げられる。中でも成形加工性が容易である観点から、有機材料が好ましく、さらに好ましくは、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチルおよびポリアミドであるが、これに限定されるものではない。
【0029】
さらに、基材として有機材料を選択する場合、発色による検出が明確に判断することができる観点から、白色を呈した材料が好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
上記基材は、例えば、基板、容器、フィルムおよびチューブなどが挙げられる。中でも取り扱いが容易である観点から、長方形状のフィルムまたは基板が好ましい。また、基材の大きさなどは、検出を容易にする観点から、検出する面はある程度の面積が必要である。例えば、基材が長方形状のフィルムまたは基板である場合、上表面の面積は、取り扱いが容易である観点から、約40〜1000mm2、好ましくは約60〜300mm2である。
【0031】
上記基材は、当業者により状況に応じて製造することができるものであるため、特に限定されるものではない。例えば、押出成形、射出成形、溶融成形および圧縮成形などが挙げられ、中でも製造コストおよび容易性の観点から、押出成形が好ましい。
【0032】
上記検出領域とは、少なくとも全ての生理活性物質が固定された領域であり、生理学的複合反応の検出において、作業者が生理学的複合反応の有無を判定するために注目するべき基材表面上の定められた位置に設けられた閉じた領域をいう。前記検出領域は、基材上のどの位置に定めることができる。特に目視判定が容易である観点から、検出領域全てが同一表面上であることが好ましい。検出領域の面積は、基材全表面積を100%とした時の前記検出領域が占める面積比率の観点から設定することもできる。例えば、約10〜90%、好ましくは約25〜75%である。つまり、基材に検出領域ではない部分を設けることにより、測定者がその部分に触れて持ち運びや測定などの作業をすることができるため、取り扱い性が向上するため好ましい。
【0033】
また、上記検出領域の数は、特に限定されるものではなく、複数存在してもよいが、目視での目視判定が容易である観点から、1つであることが好ましい。
【0034】
本発明の試験片の検出領域内は、少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、および/または生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域とが隣接している。本発明における隣接とは、2種類の生理活性物質同士および/または生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域が略接触している状態をいう。しかしながら、検出において誤認が生じない程度であれば、多少のズレがあってもよい。例えば、0.01〜0.5mm程度離れていても目視判定において誤認をするケースは少ない。
【0035】
また、上記生理活性物質は、検出領域内のそれぞれ異なる領域で固定される。つまり、例えば、N種類(Nは2以上の自然数)の生理活性物質が存在する時、上記生理活性物質固定領域は、少なくともN種類存在する。
【0036】
本発明における検出物質とは、目視での判定を可能とする物質または上記目視での判定を可能とする物質と結合可能なリンカー物質をいう。目視での判定を可能とする物質とは、例えば、RI標識(RI標識法を可能とする物質)、可視光を発光する蛍光物質(蛍光標識法を可能とする物質)および発色反応を可能とする酵素(酵素発色法を可能とする物質)などが挙げられる。中でも、専用の装置を必要とせず、かつ目視での判定が容易である観点から、酵素発色法を可能とする酵素が好ましい。上記酵素としては、例えば、アルカリホスファターゼおよびペルオキシダーゼなどが挙げられる。
【0037】
また、上記リンカー物質とは、上記目視での判定を可能とする物質と結合可能な物質をいい、例えば、共有結合、イオン結合、水素結合、ジスルフィド結合および配位結合などの化学的結合ならびに本発明における生理学的複合反応に影響を及ぼさない抗原−抗体結合などの生化学的結合を可能とする物質をいう。中でも本発明の試験片は主にDNAの検出に用いられ、入手が容易であり、核酸の検出においてビオチン修飾核酸およびストレプトアビジン修飾アルカリホスファターゼを用いたNBT/BCIP法が一般的に用いられている観点から、アビジン−ビオチン結合が好ましい。
【0038】
上記検出物質の好ましい例は、核酸の検出法で一般的に用いられており、かつ基材への固定が容易である観点から、アルカリホスファターゼであるが、これに限定されるものではない。
【0039】
上記生理活性物質固定領域および検出物質固定領域の形状およびその配置は、検出領域内で何も固定されていない領域が存在しなければ特に限定されるものではなく、いわゆるジグソーパズルのような形態をとる。その形状としては、例えば、三角形、菱形、長方形および正六角形などが挙げられ、各領域全てが同一の形状であっても、異なる形状であってもよいが、検出領域内全てが生理活性物質固定領域で埋まるように設計する。中でも製造が容易である観点から長方形(帯状)であり、その配置は縦縞(ストライプ)状で配列されていることが好ましい。これらの実施態様については、図1〜4を参照することができる。
【0040】
また、上記検出領域の数が1つである場合、前記検出領域は、上記生理活性物質固定領域および/または上記検出領域によって全て占められることになる。換言すれば、あたかも上記生理活性物質固定領域および/または上記検出領域をパズル片としたジグソーパズルのような形態をとる。
【0041】
また、上記生理活性物質固定領域および検出物質固定領域の各領域の面積は、上記検出領域の面積および上記生理活性物質固定領域の数に依存するが、目視判定を容易とする観点から、約3〜150mm2、好ましくは約6〜100mm2である。特に長方形(帯状)の形状の領域を、縦縞(ストライプ)状で配列する場合、帯の幅を約1〜15mm、好ましくは約2〜10mmである。
【0042】
上記生理活性物質および検出物質は、基材表面上の検出領域内に固定される。上記核酸プローブおよび検出物質の固定は、物理的または化学的処理により固定化することができる。
【0043】
上記物理的な処理による固定化としては、上記生理活性物質または検出物質の溶液を基材にスポッティングする方法であれば特に限定されるものではない。このようなスポッティングの方法としては、ディスペンサなどを用いた押出し法およびインクジェット法などが挙げられる。製造コストの観点からは押出し法が、固定化の精度の観点からはインクジェット法が好ましく、特に限定されるものではない。
【0044】
また、生理活性物質が核酸である場合、このような物理的な処理により固定化する場合は、上記核酸プローブに無関係な塩基配列を付加すれば、UV照射により基材に固定化率が向上して好ましい。前記核酸プローブに無関係な塩基配列とは、ポリアデニン、ポリシトシン、ポリチミンおよびポリグアニンなどが挙げられるが、固定化率が最も高い観点からポリチミンが好ましい。
【0045】
また、核酸プローブは親水性高分子であるため、基材に何らかの処理を行ってもよい。例えば、
(A) ポリリジンなどのポリカチオン性の高分子を基材表面に被覆する方法
(B) 基材がガラスなどの無機材料である場合、アミノエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤などで処理する方法
(C) 基材が金などの金属材料である場合は、2−アミノエタンチオールなどのアミノ基を有するチオールもしくはジスルフィド化合物などで担体表面を処理する方法
などが挙げられる。
【0046】
一方で、共有結合による化学に固定化する方法としては、核酸プローブの末端に基材と共有結合形成可能な官能基を修飾する方法、もしくは、核酸プローブの末端および基材にそれぞれ共有結合可能な官能基を修飾する方法などが挙げられる。例えば、
(a) 基材が、ガラスおよびシリコンなどの無機材料の場合、核酸検出用プローブの末端にトリメトキシシラン、トリエトキシシランなどのシランカップリング反応が可能な官能基を修飾し、シランカップリング反応により固定化する方法
(b) 基材が、ガラス、シリコンなどの無機材料の場合、上記無機材料基材上に、アミノエトキシシランなどのアミノ基を有するシランカップリング剤で処理することにより、基材の表面をシランケップリング結合によりアミノ化する。一方で、核酸プローブの末端にカルボン酸を修飾する。そして、基材のアミノ基と核酸プローブのカルボン酸のアミノカップリング反応によりアミド結合を形成させて固定化する方法
などが挙げられる。
また、基材が金、銀などの金属材料の場合であっても、当業者は、前記シランカップリング結合を、金属−チオールまたは金属−ジスルフィド結合に置きかえることによって固定化することができる。
【0047】
以上の固定化方法の中でも、核酸の固定化に関しては、製造が用意である観点から、上記核酸プローブの末端にポリチミンを付加し、UV照射により固定化する方法が好ましい。
【0048】
本発明では、作業者が生理活性物質の固定位置を認識することを容易にする観点から、上記検出領域を特定する手段として表示手段を設けることが好ましい。上記表示手段は、基材の材料との相性にもよるが、例えば、基材との接触角の小さい疎水性のインク、シール、ならびに、基材を成形する際に凸状物または凹溝を設ける方法などが挙げられ、目視判定が容易である観点から、疎水性のインクが好ましいが、これに限定されるものではない。また、必ずしも表示手段のみで上記検出領域を表現する必要はなく、例えば、本発明の試験片の端部を併用して表現してもよい。この表示手段により、作業者は、生理活性物質の固定位置を把握することができ、核酸の検出を容易に行うことができる。
【0049】
以上のことから、本発明の試験片の最も好ましい例としては、図1に示すような長方形状のフィルムの短辺方向に平行にストライプ状に生理活性物質固定領域が配設された試験片である。
【0050】
上記の好ましい形態の試験片をより効率的に作成する方法としては、例えば図5に示すように、フィルムが巻き取られたロールからフィルムを引き出し、引き出し方向に上記生理活性物質および/または検出物質の溶液を押出し法またはインクジェット法などで連続的に塗布・固定化する。次に、引き出し方向と直交する方向に短冊状に切断することにより本発明の試験片を大量に生産する方法が挙げられる。例えば、押出し法により製造する場合、24ゲージの針を有するディスペンサから吐出溶液を約0.5〜1.0μl/minとし、塗布速度約2.5〜8.5mm/secとした場合、ストライプの幅は約1〜2mmとなる。また、表示手段は、生理活性物質および/または検出物質の溶液を塗布する前もしくは後のいずれの段階で設けてもよい。これらの設定は当業者が適宜設定できるものであり、特に限定されるものではない。
【0051】
また、例えば図6に示す方法なども挙げられる。具体的には、一定間隔毎に検出物質の溶液を塗布・固定化した後、乾燥する。その後、残りの領域に生理活性物質の溶液を塗布する。次に、引き出し方向と直交する方向に短冊状に切断することにより本発明の試験片を大量に生産する方法が挙げられる。この方法によれば、大きく2工程で生理活性物質の固定が完了するので、図5の方法よりも製造コストが安価となり好ましい。
【0052】
以下に本発明の試験片の使用方法を、核酸の検出方法について図を用いて説明するが、以下に説明する使用方法の例は、当業者により適宜設定できるものであり、特に限定されるものではない。
【0053】
図1は、本発明の試験片の一実施態様である。長方形状のフィルム1上に、前記長方形の短辺方向と平行にストライプ状にDNAプローブをそれぞれ固定化されており、検出領域2内において、全てのDNAプローブを固定化した領域3は密集している。この試験片の製造方法は、例えば、図5または6の製造方法を採用することができる。
【0054】
次に、本発明の試験片に接触させる目的のサンプルを調製する。まず、動物の生体試料からゲノムDNAを抽出する。生体試料とは、血液、唾液または毛髪などが挙げられ、好ましくは、血球細胞、表皮細胞および粘膜細胞などの各種ヒト細胞である。生体試料からDNAを抽出する方法は、公知の方法で行うことができ、例えばフェノール抽出法、グアニジンチオシナネート抽出法およびバナジルリボヌクレオシド複合抽出法などが挙げられる。
【0055】
次に、好ましくは、上記抽出されたゲノムDNAから検出すべき特定の塩基配列を増幅する。核酸を増幅する手法としては、例えば、PCR法、LAMP法およびICAN法などが挙げられる。中でも試薬のコストの観点から、PCR法が好ましい。
【0056】
上記PCR法は、例えば、(1)2本鎖ゲノムDNAを約92〜95℃、約30秒〜1分間の反応条件で熱処理することにより1本鎖にする変性工程、前記1本鎖DNAのそれぞれに約50〜65℃を約20秒〜1分間の反応条件で、(2)少なくとも2種類の増幅プライマーを結合させることによりPCRの反応開始点となる2本鎖部分を作製するアニール工程、(3)約70〜75℃を約20秒〜5分間の反応条件でDNAポリメラーゼを用いて反応させる鎖伸張工程の(1)〜(3)の工程を通常の方法により20〜40回繰り返すことで核酸を増幅することができる。
【0057】
また、上記PCR法に用いられるプライマー対は、上記抽出されたゲノムDNAとハイブリダイズすることができ、上記特定の塩基配列を含む核酸を増幅しうる塩基配列を有し、その重合度は約15〜40塩基程度のものであればよい。前記プライマーは、上記核酸プローブと同様自動合成機などで合成することができる。
【0058】
さらに、上記プライマーの末端に上記検出物質を修飾することにより、核酸の検出をさらに容易にすることができて好ましい。上記検出物質としては、上記で説明したものと同様、例えば、RI標識(RI標識法を可能とする物質)、可視光を発光する蛍光物質(蛍光標識法を可能とする物質)および発色反応を可能とする酵素(酵素発色法を可能とする物質)ならびにこれらの物質と結合可能なリンカー物質などが挙げられる。ここで、リンカー物質を修飾する場合は、別途で前記リンカー物質と結合する検出物質自体を用意する必要がある。例えば、リンカー物質としてビオチンを修飾した場合は、ストレプトアビジン修飾アルカリホスファターゼを別途で用意する必要がある。また、これらプライマー末端に修飾する物質は、検出反応を統一化させ、検出を容易にする観点から、上記基材に固定化する検出物質と同様の物質を用いることが好ましい。
【0059】
次に増幅された核酸を、本発明の試験片と接触させ、ハイブリダイズ反応を行う。前期ハイブリダイズ反応の条件は、基材に固定化されたDNAプローブの熱変性温度による。例えば、前記DNAプローブの熱変性温度が、約55.0〜75.0℃程度である場合、約61.5〜62.5℃が一般的である。
【0060】
そして、基材に固定化されたDNAプローブとハイブリダイズ反応を検出する。例えば、上記プライマーの末端にRI標識をした場合は、オートラジオグラフィーにより検出することができる。可視光を発光する蛍光物質を修飾した場合は、それぞれの蛍光標識に適した励起波長の光を照射し、その発光(可視光)を目視で確認することができる。さらに、発色反応を可能とする酵素標識の場合、各酵素の基質を添加して発色させることにより目視で確認することができる。上記検出方法の中でも、測定が容易である観点から、酵素を用いた発色(酵素発色法)が好ましい。
【0061】
上記酵素発色法に用いる場合、プライマーに修飾する物質としては、例えば、アルカリホスファターゼが挙げられ、前記アルカリホスファターゼの基質としてp−ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸p−トルイジン塩(BCIP)の併用が挙げられる。その発色の程度は、目視、CCDカメラおよびデンシトメーターなどより判定することができるが、特段の事情がない限り目視判定で十分である。
【0062】
以上のようにして本発明の試験片を用いて核酸を検出した場合、上記特定の塩基配列に変異が存在しない場合は、検出領域の全てが発光または発色する。一方、上記特定の塩基配列に変異が存在する場合は、1つでも発光または発色されない部分が生じる。従って、検出部分を見ることにより瞬時に目的の核酸の塩基配列に変異が存在するか否かを判断することができる。例えば、本発明の試験片を結核菌のpncA遺伝子の変異検出用として製造した場合、pncA遺伝子のひとつでも変異が存在すれば、検出の際に前記検出領域の一部が発光または発色しないため、前記結核菌がピラジアミダーゼ耐性を有することを瞬時に判断することができる。このことにより、ピラジアミダーゼ以外の治療薬を選択することができ、患者への負担は大きく軽減される。
【実施例】
【0063】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
実施例1:試験片の製造
DNAプローブ
DNAプローブとしては、配列番号1および2に示されるDNAプローブを合成して用いた。配列番号1および2のDNAプローブは、結核菌のpncA野生型遺伝子にそれぞれ異なる位置でハイブリダイズすることができる配列を有する。これらのDNAプローブに5’末端をターミナルトランスフェラーゼ(New England Biolab社製)を用いて、ポリチミンの付加を行った。具体的には、ターミナルトランスフェラーゼ(20unit/μl)を4μl、デオキシチミジン三リン酸(10pmol/μl)を10μl、配列番号1および2のDNAプローブ(50mM)を4μl、製品添付のNEBuffer4を5μl、および製品添付のカコジル酸緩衝液を5μl含んだ精製水50μlを調製した後、37℃で4時間反応させ、製品添付の20×SSC緩衝液50μlを加えることで、ポリチミン付加された核酸プローブ(平均約400bp長)2pmol/μlをそれぞれ得た。
【0065】
配列番号1:atgatcaacg cccgcatac
配列番号2:gtcgttctgc acgtcgac
【0066】
リンカー物質
リンカー物質として配列番号3に示した塩基配列を有し、かつ5’末端にビオチンを
修飾したDNAを用いた。基材に塗布するための溶液を、濃度0.1pmol/μlとなるように調製した。尚、このDNAは後述するリバースプライマーとしても用いる。
【0067】
配列番号3:caacagttca tcccggttc
【0068】
試験片の製造
上記DNAプローブを固定化する基材として、ポリアミド膜を選択した。このポリアミド膜上(10mm×300mm)に、上記2種類のDNAプローブおよびリンカー物質の溶液を、24ゲージの針を有するディスペンサ(武蔵工業社製)を用いて、図5の手法に沿って300mmの辺と平行方向に連続的に塗布した。具体的には、
(i)リンカー物質
(ii)配列番号1のDNAプローブ
(iii)リンカー物質
(ii)配列番号2のDNAプローブ
(iii)リンカー物質
の順に連続的に塗布した。
また、塗布条件は、吐出速度約0.7μl/sec、塗布速度約2.5mm/secとした。約25℃で乾燥後、312nmの紫外線を2分間照射することにより、DNAプローブをポリアミド膜上に固定化した。固定化後、10×SSC溶液で洗浄することで、未吸着のDNAプローブを除去した。次に検出領域の両端に疎水性のインクで印をつけることにより表示手段を設け、5mm毎に切断することにより本発明の試験片を得た。得られた試験片におけるDNAプローブが固定された領域の幅は約2mmであった。その模式図を図7に示す。
【0069】
実験例1:核酸の検出
検体のゲノムDNAの抽出
表1に示す試料1〜3の結核菌のゲノムDNAを、フェノール抽出法により抽出した。表1は、pncA遺伝子における変異の位置を示すものである。ここで、上記配列番号1のプローブDNAは、試料2に、上記配列番号2のプローブDNAは試料3にそれぞれ対応する。
【0070】
【表1】
【0071】
検体のゲノムDNAの増幅
配列番号4に示す塩基配列を有するフォワードプライマー、配列番号3に示す塩基配列を有し、かつ5’末端にビオチンを結合させたリバースプライマーおよびTaq DNAポリメラーゼ(ロシュ・ダイアグノスティクス社製)を用いたPCR法により、pncA遺伝子を含む塩基配列の増幅を行った。増幅反応は、変性過程を95℃、1分、アニール過程を55℃、1分、鎖伸長過程を72℃、1分の1サイクルを30サイクル行った。
【0072】
配列番号4:ggcgtcatgg accctatatc
配列番号3:caacagttca tcccggttc
【0073】
核酸の検出
増幅したDNA溶液10μLに、水酸化ナトリウム(20%)(10μL)を加えてよく攪拌した。5分間放置して、増幅したDNAを1本鎖に変性させた。変性DNAを含む溶液に、10% ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(1mL)を加え、実施例1の試験片を浸漬させ、反応温度62℃で30分間振とうしてハイブリダイゼーションを行った。その後、アルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジンを加え、さらにp−ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸 p−トルイジン塩(BCIP)を加えて、各プローブと結合した試料に結合したアルカリホスファターゼによる発色反応を行った。
【0074】
その結果を図8に示す。基材を見れば瞬時にハイブリダイズ反応の有無を容易に判定できることは明らかであった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の試験片は、固定化された生理活性物質の数が多数に至る場合、測定者の解析の負担を要することなく生理学的複合反応の検出を可能とし、医療現場における迅速な対応を可能とすることができ、かつ、その製造も安価である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の試験片の一実施態様である。
【図2】本発明の試験片の図1とは異なる一実施態様である。
【図3】本発明の試験片の図1および2とは異なる一実施態様である。
【図4】本発明の試験片の図1、2および3とは異なる一実施態様である。
【図5】本発明の試験片の製造方法の一実施態様である。
【図6】本発明の試験片の製造方法の図5とは異なる一実施態様である。
【図7】実施例1で製造された試験片の模式図である。
【図8】実験例1の結果である。
【符号の説明】
【0077】
1 基材
2 検出領域
3 生理活性物質固定領域
31 配列番号1の塩基配列を有するDNAプローブ
32 配列番号2の塩基配列を有するDNAプローブ
4 検出物質固定領域
41 リンカー物質
5 表示手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、
少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、
および/または該生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域が隣接
した試験片。
【請求項2】
生理活性物質が、核酸、抗原、抗体、リガンドまたはレセプターである請求項1に記載の試験片。
【請求項3】
生理活性物質が、核酸である請求項1に記載の試験片。
【請求項4】
検出物質が、RI標識物質、蛍光標識物質、発色または発光基質の触媒となる酵素、もしくはこれらの物質と結合可能なリンカー物質である請求項1に記載の試験片。
【請求項5】
検出物質が、発色基質の触媒となる酵素または該発色基質の触媒となる酵素と結合可能なリンカー物質である請求項1に記載の試験片。
【請求項6】
さらに、基材に検出領域を表示する表示手段を備えた請求項1に記載の試験片。
【請求項7】
試験片が、定性反応用である請求項1に記載の試験片。
【請求項8】
基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域が、
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域のみ
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域のみ
からなる試験片。
【請求項9】
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域が、
検出領域内で縦縞に配設されてなる請求項8に記載の試験片。
【請求項10】
基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域内は、
少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、
および/または生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域が隣接
することを特徴とする試験片の製造方法。
【請求項11】
基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域が、
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域のみ
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域のみ
からなることを特徴とする試験片の製造方法。
【請求項12】
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域、
もしくは、少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域を、
検出領域内で縦縞に配設することを特徴とする請求項11に記載の試験片の製造方法。
【請求項1】
基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、
少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、
および/または該生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域が隣接
した試験片。
【請求項2】
生理活性物質が、核酸、抗原、抗体、リガンドまたはレセプターである請求項1に記載の試験片。
【請求項3】
生理活性物質が、核酸である請求項1に記載の試験片。
【請求項4】
検出物質が、RI標識物質、蛍光標識物質、発色または発光基質の触媒となる酵素、もしくはこれらの物質と結合可能なリンカー物質である請求項1に記載の試験片。
【請求項5】
検出物質が、発色基質の触媒となる酵素または該発色基質の触媒となる酵素と結合可能なリンカー物質である請求項1に記載の試験片。
【請求項6】
さらに、基材に検出領域を表示する表示手段を備えた請求項1に記載の試験片。
【請求項7】
試験片が、定性反応用である請求項1に記載の試験片。
【請求項8】
基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域が、
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域のみ
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域のみ
からなる試験片。
【請求項9】
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域が、
検出領域内で縦縞に配設されてなる請求項8に記載の試験片。
【請求項10】
基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域内は、
少なくとも異なる2種類の生理活性物質固定領域同士が隣接、
および/または生理活性物質固定領域と、検出物質が固定された検出物質固定領域が隣接
することを特徴とする試験片の製造方法。
【請求項11】
基材と、該基材に設けた検出領域
および該検出領域内に配設された少なくとも2種類以上の生理活性物質がそれぞれ固定された生理活性物質固定領域を含む試験片であって、該検出領域が、
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域のみ
もしくは少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域のみ
からなることを特徴とする試験片の製造方法。
【請求項12】
少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域、
もしくは、少なくとも2種類以上の生理活性物質固定領域および検出物質が固定された検出物質固定領域を、
検出領域内で縦縞に配設することを特徴とする請求項11に記載の試験片の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2007−64927(P2007−64927A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254815(P2005−254815)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】
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