説明

定植面の構造

【課題】植物の光合成促進作用と害虫忌避作用を、効果の高いものにすることができる定植面の構造を提供する。
【解決手段】定植面1が、定植部の中心cがわから離れる方向に向けて山と谷とを繰り返す角波状の凹凸面に形成され、中心cがわに向けて斜め下方に傾斜する内向き斜面部3…が、鏡面系反射面からなり、上方から射し込む光が、中心cがわに向けて鏡面系反射をして定植植物の光合成促進作用が行われるようになされていると共に、中心cがわから離れる方向に向けて斜め下方に傾斜する外向き斜面部4…が、拡散系反射面からなり、上方から射し込む光が、中心cがわとは反対のがわに向けて拡散系反射をして害虫忌避作用を行うようになされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定植面の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物栽培時の地温上昇の抑制や害虫忌避にシルバーマルチフィルムを用いることは、従来より行われている。このフィルムによれば、反射光が植物の光合成を促進するし、光に拡散系の反射を行わせて害虫を忌避する作用も行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−070339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなフィルムで行われる光の反射は、拡散系の反射であるため、植物の光合成促進という面からは必ずしも充分とはいえないし、害虫忌避作用についても、より高い効果を求められることがある。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、植物の光合成促進作用と害虫忌避作用を、効果の高いものにすることができる定植面の構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、定植部の中心がわから離れる方向に向けて山と谷とを繰り返す角波状の凹凸面に形成され、
前記中心がわに向けて斜め下方に傾斜する内向き斜面部が、鏡面系反射面からなり、上方から射し込む光が、前記中心がわに向けて鏡面系反射をして定植植物の光合成促進作用が行われるようになされていると共に、
前記中心がわから離れる方向に向けて斜め下方に傾斜する外向き斜面部が、拡散系反射面からなり、上方から射し込む光が、前記中心がわとは反対のがわに向けて拡散系反射をして害虫忌避作用を行うようになされていることを特徴とする定植面の構造によって解決される(第1発明)。
【0007】
この構造では、鏡面系反射面が備えられているので、該反射面での光の鏡面系反射によって、拡散系反射面だけの場合よりも、植物の光合成促進効果を高いものにすることができると共に、該鏡面系反射面と併せて、拡散系反射面も備えられているので、拡散系反射面での光の拡散系反射によって、害虫を忌避することができる。
【0008】
しかも、定植面は、定植部の中心がわから離れる方向に向けて山と谷とを繰り返す角波状の凹凸面に形成され、該中心がわに向けて斜め下方に傾斜する内向き斜面部が、鏡面系反射面からなり、中心がわから離れる方向に向けて斜め下方に傾斜する外向き斜面部が、拡散系反射面からなる構成としているので、
鏡面系反射面で鏡面系反射をした光が、植物に対する方向へ、メリハリを付けて強く効果的に照射されて、定植植物の光合成促進作用を効果の高いものにすることができると共に、
拡散系反射面で拡散系反射をした光が、植物に対する方向以外の方向へ、メリハリを付けて強く効果的に照射されて、害虫忌避作用を効果の高いものにすることができる。
【0009】
第1発明の定植面の構造は、上方に天井面が存在し、該天井面がわに光源が備えられているところに設けられているとよい(第2発明)。この場合は、天井面によって上方からの害虫の侵入が阻止されると共に、天井面がわの光源から発せられる光によって側方から引き寄せられてくる害虫が、拡散系反射面からなる上記の外向き斜面部での光の拡散系反射によって効果的に忌避されて、効果の非常に高い害虫忌避作用を実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の定植面の構造は、以上のとおりのものであるから、植物の光合成促進作用と害虫忌避作用を、効果の高いものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態の定植面構造を示すもので、図(イ)は断面正面図、図(ロ)は図(イ)の要部拡大図である。
【図2】図(イ)は内向き斜面部での光の反射の態様を示す断面正面図、図(ロ)は外向き斜面部での光の反射の態様を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に示す実施形態の定植面1は、野菜類等の植物2を二列配置で図面の面と直行する方向に直線状に定植していくのに用いられるもので、植物2,2の植え付けられる定植部の中心cがわから離れる方向に向けて山と谷とを繰り返す角波状の凹凸面に形成されている。
【0014】
そして、前記中心cがわに向けて斜め下方に傾斜する各内向き斜面部3…が鏡面系反射面からなり、前記中心cがわから離れる方向に向けて斜め下方に傾斜する各外向き斜面部4…が拡散系反射面からなっている。
【0015】
また、本実施形態では、定植面1の上方に天井面5が備えられ、該天井面5のがわに光源、好ましくは、紫外線を含む光を発する光源6,6が備えられており、
該光源6,6から発せられる光が、図2(イ)に示すように、前記各内向き斜面部3…に鏡面系反射をすることで、その鏡面系反射光は、中心cがわ、即ち、定植植物2,2の存在するがわに向かわせられ、定植植物2,2の光合成促進作用が行われるようになされており、
また、前記光源6,6から発せられる光が、図2(ロ)に示すように、前記各外向き斜面部4…に拡散系反射をすることで、その拡散系反射光は、中心cがわとは反対のがわ、即ち、外がわに向かわされ、害虫忌避作用が行われるようになされている。忌避の対象となる害虫は、例えば、アブラムシ類、アザミウマ類、コナジラミ類などである。
【0016】
上記の構造によれば、このように、定植面1に、鏡面系反射面3…が備えられているので、該反射面での光の鏡面系反射ないしは高効率反射によって、拡散系反射面だけの場合よりも、定植植物2の光合成促進効果を高いものにすることができると共に、該鏡面系反射面3…と併せて、拡散系反射面4…も備えられているので、拡散系反射面4…での光の拡散系反射ないしは乱反射によって、害虫を忌避することができる。
【0017】
しかも、単にそれだけではなく、定植面1は、植物2,2の定植された定植部の中心cがわから離れる方向に向けて山と谷とを繰り返す角波状の凹凸面に形成され、該中心cがわに向けて斜め下方に傾斜する内向き斜面部3…が鏡面系反射面からなり、中心cがわから離れる方向に向けて斜め下方に傾斜する外向き斜面部4が拡散系反射面からなる構成としているので、
鏡面系反射面3…で鏡面系反射をした光が、植物2に対する方向へメリハリを付けて強く効果的に照射されて、定植植物2の光合成促進作用を効果の高いものにすることができ、
拡散系反射面4…で拡散系反射をした光が、植物2に対する方向以外の方向へメリハリを付けて強く効果的に照射されて、害虫忌避作用を効果の高いものにすることができる。
【0018】
特に、本実施形態では、上方に天井面5が存在し、該天井面5がわに光源6,6が備えられているところに設けられているので、天井面5によって上方からの害虫の侵入が阻止されると共に、天井面5がわの光源6,6から発せられる光によって側方から引き寄せられてくる害虫が、拡散系反射面からなる上記の外向き斜面部4…での光の拡散系反射によって効果的に忌避されて、効果の非常に高い害虫忌避作用を実現することができる。
【0019】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、植物2を二列配置で図面の面と直行する方向に直線状に定植していくための定植面1に適用し、該定植面1を、列と直行する水平方向に山谷を繰り返す角波状の凹凸面に形成した場合を示したが、そのような定植面1に限らず、その他、例えば、円状配置に定植するための定植面に適用し、該定植面を、円の中心がわから半径線方向外方に向けて山谷を繰り返す角波状、即ち、山谷が同心円状に半径線方向外方に向けて繰り返す角波状の凹凸面に形成したものなどであってもよい。
【0020】
また、上記構造の実施形態では、本発明の定植面構造を、上方に天井面5が存在し、該天井面5がわに光源6が備えられているところに設けて構成した場合を示したが、天井面5と光源6を省略し、屋外において太陽光を利用した定植面構造に構成してもよい。その場合であっても、鏡面系反射面3…で鏡面系反射をした光が、植物2,2に対する方向へ、メリハリを付けて強く効果的に照射されて、定植植物2,2の光合成促進作用を効果の高いものにすることができると共に、拡散系反射面4…で拡散系反射をした光が、植物に対する方向以外の方向、特に側方へ、メリハリを付けて強く効果的に照射されて、害虫忌避作用を効果の高いものにすることができる。
【符号の説明】
【0021】
1…定植面
2…植物
3…内向き斜面部(鏡面系反射面)
4…外向き斜面部(拡散系反射面)
5…天井面
6…光源
c…中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定植部の中心がわから離れる方向に向けて山と谷とを繰り返す角波状の凹凸面に形成され、
前記中心がわに向けて斜め下方に傾斜する内向き斜面部が、鏡面系反射面からなり、上方から射し込む光が、前記中心がわに向けて鏡面系反射をして定植植物の光合成促進作用が行われるようになされていると共に、
前記中心がわから離れる方向に向けて斜め下方に傾斜する外向き斜面部が、拡散系反射面からなり、上方から射し込む光が、前記中心がわとは反対のがわに向けて拡散系反射をして害虫忌避作用を行うようになされていることを特徴とする定植面の構造。
【請求項2】
上方に天井面が存在し、該天井面がわに光源が備えられているところに設けられている請求項1に記載の定植面の構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−29572(P2012−29572A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169200(P2010−169200)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】