説明

定着装置、画像形成装置、定着方法及び画像形成方法

【課題】トナーの軟化不足で定着不良が発生するのを抑制できる定着装置及び定着方法、画像形成装置、並びに、画像形成方法を提供する。
【解決手段】第一回転体と第二回転体とを有し第一回転体と第二回転体とを圧接させて第一圧接部を形成し、第一圧接部で記録媒体を挟み込んで記録媒体上のトナーを加圧する第一加圧手段と、第一圧接部よりも記録媒体搬送方向上流側または第一圧接部で記録媒体上のトナーを加熱する加熱手段とを備え、樹脂、及び、前記樹脂を軟化させる常温で固体状の可塑剤を内包したカプセルを少なくとも含有したトナーを用いて記録媒体上に形成されたトナー像を、記録媒体に定着させる定着装置において、第一加圧手段よりも記録媒体搬送方向下流側に設けられ、第三回転体と第四回転体とを有し第三回転体と第四回転体とを圧接させて第二圧接部を形成し、第二圧接部で記録媒体を挟み込んで記録媒体上のトナーを加圧する第二加圧手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられる定着装置及び定着方法、前記定着装置を備えた画像形成装置、並びに、前記定着方法を用いた画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。画像形成装置には種々の方式があるが、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置としては、被定着媒体である記録媒体上のトナーを120[℃]〜160[℃]で加熱して軟化あるいは溶融させ、軟化等させたトナーを加圧し記録媒体にトナーをアンカリングすることによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く普及している(特許文献1など)。
【0003】
このような熱定着方式を採用した電子写真方式の画像形成装置における消費電力の半分以上は、熱定着方式の定着装置においてトナーを加熱処理のために消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、消費電力を抑えて省エネルギー化を図れる画像形成装置が望まれている。このため、従来の画像形成装置における消費電力の半分以上を消費する定着装置での省エネルギー化が求められている。従来の熱定着方式の定着装置では加熱処理に多くの電力を消費していたため、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させる定着方式が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、特願2011−113897号(以下、先願という)において、熱可塑性エラストマーを含有する樹脂、及び、前記樹脂を軟化する常温で固体の可塑剤を内包したカプセルを少なくとも含有したトナーを用いて、記録媒体上にトナー像を形成する画像形成装置を提案している。この先願の画像形成装置では、定着装置に搬送された記録媒体上のトナー像が、内部に加熱手段であるヒータが設けられた加熱ローラと加圧ローラとで形成される圧接部であるニップ部を通過したときに加熱されつつ加圧される。このとき、ニップ部でのトナー像の加熱温度は、カプセルに内包された可塑剤の融点温度以上であり、省エネルギー化の観点から40[℃]〜50[℃]としている。前記カプセルに内包した可塑剤は、ヒータによって融点温度まで加熱され溶解し、加圧されることにより破壊されたカプセルからカプセル近傍の樹脂に拡散していく。このように可塑剤が樹脂に拡散することで、可塑剤の軟化作用により樹脂に含有された熱可塑性エラストマーの物理的架橋が崩れて樹脂が一気に軟化し、それに伴ってトナーが軟化する。そして、このように軟化したトナーがニップ部で加圧され記録媒体にアンカリングすることにより、記録媒体にトナー像が定着される。これにより、熱だけで樹脂を軟化させる場合よりも定着装置で記録媒体にトナー像を定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させることができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0005】
しかしながら、ニップ部でカプセルが破壊され溶融された可塑剤が樹脂に拡散するのには時間を要する。そのため、可塑剤が樹脂に十分に拡散する前にニップ部でトナーが加圧されても、トナーの軟化不足により定着不良が発生するといった問題が生じる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、トナーの軟化不足で定着不良が発生するのを抑制できる定着装置及び定着方法、前記定着装置を備えた画像形成装置、並びに、前記定着方法を用いた画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、第一回転体と第二回転体とを有し該第一回転体と該第二回転体とを圧接させて第一圧接部を形成し、該第一圧接部で記録媒体を挟み込んで該記録媒体上のトナーを加圧する第一加圧手段と、前記第一圧接部よりも記録媒体搬送方向上流側または該第一圧接部で前記記録媒体上のトナーを加熱する加熱手段とを備え、樹脂、及び、該樹脂を軟化させる常温で固体状の可塑剤を内包したカプセルを少なくとも含有したトナーを用いて記録媒体上に形成されたトナー像を、該記録媒体に定着させる定着装置において、前記第一加圧手段よりも記録媒体搬送方向下流側に設けられ、第三回転体と第四回転体とを有し該第三回転体と該第四回転体とを圧接させて第二圧接部を形成し、該第二圧接部で前記記録媒体を挟み込んで該記録媒体上に形成された前記トナーを加圧する第二加圧手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、記録媒体の搬送に伴って第一圧接部から第二圧接部にトナーが至るまでの間、第一加圧手段により第一圧接部で加圧されて破壊されたカプセルから加熱手段により加熱されて溶融した可塑剤が、樹脂に拡散する時間を稼ぐことができる。これにより、第一圧接部よりも可塑剤が樹脂に拡散しトナーが十分に軟化してから、第二加圧手段によって第二圧接部でトナーを加圧しトナーを記録媒体にアンカリングさせてトナー像を記録媒体に定着させることができる。よって、第一圧接部よりも軟化した状態のトナーを第二圧接部で加圧することができる分、トナーの軟化不足で記録媒体へのトナーのアンカリングが不十分となり定着不良が生じるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、トナーの軟化不足で定着不良が発生するのを抑制できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る定着装置の概略構成図。
【図2】実施形態の画像形成装置の一例を示す概略図。
【図3】実施形態の画像形成装置の他例を示す概略図。
【図4】物理的刺激として熱と圧力を与えた場合の本発明のトナー状態を表すグラフ。
【図5】カプセルに内包された可塑剤をトナーに添加した場合における定着工程から排紙におけるトナーの状態変化を表すグラフ。
【図6】(a)トナー保存時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤の状態を示す概念図、(b)定着時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤の状態を示す概念図、(c)排紙時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤の状態を示す概念図。
【図7】カプセルを含有したトナーの概略断面図。
【図8】非接触加熱方式の定着装置の概略構成図。
【図9】内部加熱方式のベルト方式の定着装置の概略構成図。
【図10】加熱ローラとそれに対向した2つの加圧ローラを含むベルト方式の定着装置の概略構成図。
【図11】電磁誘導加熱手段を有する定着装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を適用した画像形成装置の実施形態について説明する。
図2に示す画像形成装置100は、静電潜像担持体としての感光体ドラム10と、帯電手段としての帯電ローラ20と、露光手段としての露光装置による露光Lと、現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニング手段としてのクリーニングブレード60と、除電手段としての除電ランプ70とを備えている。
【0012】
中間転写体50は無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、図中矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍に中間転写体用クリーニング装置90が配置されており、また、記録媒体95に可視像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、この中間転写体50上の可視像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、中間転写体50の回転方向において、感光体ドラム10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と記録媒体95との接触部との間に配置されている。
【0013】
現像装置40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、この現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えている。イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えている。マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えている。シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラにより回転可能に張架され、一部が感光体ドラム10と接触している。
【0014】
図2に示す画像形成装置100においては、まず、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置(不図示)が感光体ドラム10上に像様に露光Lを行い、静電潜像を形成する。感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像を形成する。可視像が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に記録媒体95上に転写(二次転写)される。その結果、記録媒体95上には転写像が形成される。なお、感光体ドラム10上の残存トナーは、クリーニングブレード60により除去され、感光体ドラム10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
【0015】
本実施形態の画像形成装置により本実施形態の画像形成方法を実施する他の態様について、図3を参照しながら説明する。
【0016】
図3に示すタンデム型画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。このタンデム型カラー画像形成装置は、複写機本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
【0017】
複写機本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図3中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング手段である中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの4つの画像形成ユニット18が対向して並置されたタンデム型画像形成部120が配置されている。
【0018】
タンデム型画像形成部120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型画像形成部120が配置された側とは反対側には、二次転写手段22が配置されている。二次転写手段22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体95と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写手段22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、定着ベルト26と加圧ローラ27を有している。
【0019】
なお、二次転写手段22及び定着装置25の近傍に、記録媒体95の両面に画像形成を行うために記録媒体95を反転させるための反転装置28が配置されている。
【0020】
次に、タンデム型画像形成部120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0021】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第一走行体33及び第二走行体34が走行する。このとき、第一走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第二走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの画像情報とされる。
【0022】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型画像形成部120における各画像形成ユニット18(ブラック用画像形成ユニット、イエロー用画像形成ユニット、マゼンタ用画像形成ユニット、及びシアン用画像形成ユニット)にそれぞれ伝達され、各画像形成ユニットにおいて、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。
【0023】
すなわち、タンデム型画像形成部120における各画像形成ユニット18(ブラック用画像形成ユニット、イエロー用画像形成ユニット、マゼンタ用画像形成ユニット及びシアン用画像形成ユニット)は、図3に示すように、それぞれ、感光体ドラム10(ブラック用感光体ドラム10K、イエロー用感光体ドラム10Y、マゼンタ用感光体ドラム10M、及びシアン用感光体ドラム10C)と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電装置160と、各カラー画像情報に基づいて各感光体ドラム10の表面を露光光Lで露光し、各感光体ドラム10上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像装置61と、トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング装置63と、除電装置64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。
【0024】
こうして形成されたブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像は、支持ローラ14、支持ローラ15及び支持ローラ16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体ドラム10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体ドラム10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体ドラム10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体ドラム10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。
【0025】
そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0026】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録媒体95を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上の記録媒体95を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0027】
なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録媒体95の紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
【0028】
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写手段22との間に記録媒体95を送出させ、二次転写手段22により合成カラー画像(カラー転写像)を記録媒体95上に転写(二次転写)することにより、記録媒体95上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
【0029】
カラー画像が転写され形成された記録媒体95は、二次転写手段22により搬送されて、定着装置25へと送出され、この定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が記録媒体95上に定着される。
【0030】
その後、記録媒体95は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えて反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0031】
[定着工程及び定着手段]
定着工程は、記録媒体95に転写された可視像を定着させる工程であり、各色のトナーに対して記録媒体95に転写する毎に行っても良いし、各色のトナーに対してこれを積奏した状態で一度に同時で行っても良い。
【0032】
定着工程は、定着手段により行うことができる。定着手段としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材とその定着部材を加熱する熱源とを有する定着手段が好ましい。
【0033】
定着部材としては、加圧力を受けつつ互いに接触してニップ部を形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0034】
例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せなどが挙げられる。中でも、加熱手段としてい用いる場合はウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、無端状ベルトとローラとの組合せや誘導加熱などによる定着部材の表面からの加熱方法を用いるのが好ましい。
【0035】
前記定着部材が無端状ベルトである場合、無端状ベルトは、熱容量の小さい材料で形成されるのが好ましく、例えば、基体上にオフセット防止層が設けられてなる態様などが挙げられる。
【0036】
前記基体を形成する材料としては、例えば、ニッケル、ポリイミドなどが挙げられる。前記オフセット防止層を形成する材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素系樹脂などが挙げられる。
【0037】
一方、前記定着部材がローラである場合、そのローラの芯金は、高い圧力による変形(たわみ)を防止するため非弾性部材で形成されるのが好ましい。前記非弾性部材としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、アルミニウム、鉄、ステンレス、真鍮等の高熱伝導率体が好ましい。
【0038】
また、前記ローラは、その表面がオフセット防止層で被覆されていることが好ましい。前記オフセット防止層を形成する材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、RTV(Room Temperature Vulcanization)シリコーンゴム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
【0039】
ニップ部は、少なくとも2つの定着部材の構成要素(例えば、無端状ベルトとローラ、ローラとローラ)が互いに当接して形成される。
【0040】
ニップ部の面圧としては、トナーに含有されるカプセルを破壊可能な面圧であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5[MPa]以下が好ましく、1[MPa]以下がより好ましい。ニップ部の面圧を高くするほどローラの耐久性を高める必要があるため、定着装置が重量化及び大型化してしまう。
【0041】
ニップ部でのトナー(記録媒体95に形成されたトナー画像)の加熱温度は、カプセルに内包された可塑剤の融点温度以上が好ましく、消費エネルギーの観点から40[℃]〜50[℃]となる温度が好ましい。このようなトナーの加熱温度を得るためには、紙等の記録媒体95への熱損失や伝熱ロスなどを考慮し、定着部材の表面温度として100[℃]以下が好ましく、50[℃]〜70[℃]がより好ましい。
【0042】
トナー画像を加熱する加熱手段としては、非接触加熱方式や接触加熱方式がある。非接触加熱方式では、記録媒体95の搬送経路中に加熱手段を構成する。例えば、ハロゲンランプ、フラッシュ等による加熱方式、または超音波やマイクロ波、温風等が挙げられるが、トナー温度を可塑剤の融点まで加熱することが可能であれば特に限定はしない。
【0043】
接触加熱方式としては、ローラや無端状ベルトなどの定着部材の外周面を加熱手段で加熱して、定着部材の外周面と記録媒体95上のトナーとをニップ部で接触させることにより、定着部材の熱をトナーへ伝熱してトナーを加熱する。
【0044】
また、接触加熱方式は、定着部材の内部や内周面側から定着部材の外周面を加熱する内部加熱方式と、定着部材の外部から定着部材の外周面を直接加熱する外部加熱方式とに大別される。なお、内部加熱方式と外部加熱方式とを組み合わせたものを用いることも可能である。
【0045】
内部加熱方式の加熱手段として、例えば、定着部材の内部に熱源を設けるものが挙げられる。前記熱源としては、例えばヒータやハロゲンランプ等の熱源が挙げられる。
【0046】
外部加熱方式の加熱手段としては、例えば、定着部材のトナーと接触する外周面の少なくとも一部と対向する位置に熱源を設けるものが挙げられる。前記熱源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハロゲンランプや電磁誘導加熱装置などが挙げられる。
【0047】
電磁誘導加熱装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁場を発生する手段と、電磁誘導により発熱する手段とを有するものなどが好ましい。
【0048】
電磁誘導加熱装置としては、例えば、定着部材である加熱ローラなどへ近接するように配置される誘導コイルと、この誘導コイルが設けられている遮蔽層と、この遮蔽層の誘導コイルが設けられている面の反対側に設けられている絶縁層とからなるものが好ましい。このとき、加熱ローラとしては、磁性体からなるものやヒートパイプであるものなどが好ましい。
【0049】
誘導コイルは、加熱ローラの、加熱ローラと前記定着部材(例えば、加圧ローラや無端状ベルトなど)との接触部位との反対側において、少なくとも半円筒部分を包む状態にて配置されるのが好ましい。
【0050】
[本実施形態で用いるトナーについて]
(トナー)
本実施形態で用いるトナーは、樹脂、着色剤、及びカプセルを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0051】
前記樹脂は、熱可塑性エラストマーを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の成分を含む。前記カプセルは、前記熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤を内包し、所定の圧力により破壊されるカプセルである。
【0052】
従来のトナーを用いた画像形成装置では、一般に、定着部(定着手段)で、トナーを軟化させる温度以上に加熱しながら圧力をかけて紙などの記録媒体にトナーを定着させる。その加熱温度は、一般には、120[℃]〜160[℃]である。この定着方式における加熱に要する消費電力は、画像形成装置の消費電力の多くを占める。そのため、常温に近い加熱温度(トナーの温度として、概ね40[℃]〜50[℃])で紙などの記録媒体にトナーを定着できれば、従来の画像形成装置に比べ、消費電力を50[%]以上削減することができる。
【0053】
一方で、トナースペント及びトナーフィミングは、画像形成装置機内でトナー同士又はトナーと機械類との摩擦による摩擦熱でトナー温度が上がり、トナーが軟化することで発生する。その摩擦熱によるトナーの温度上昇は、印刷速度により異なるが、概ね50[℃]前後と考えられる。
【0054】
消費電力を大幅に削減するために定着温度を常温に近づけると、定着温度と画像形成装置機内でのトナーの摩擦熱による温度とが重なり、従来のトナーでは、常温に近い定着(低温定着;例えば、60[℃]以下)とトナースペント防止及びトナーフィミング防止とを両立することができない。
【0055】
そこで、本願発明者らは、トナーへ2つの物理的刺激を与え、それらの2つの物理的刺激がある閾値を超えて初めてトナーの軟化が起こるようにトナーに工夫をすることで、上記の両立、即ち常温に近い定着とトナースペント防止及びトナーフィミング防止とを図ることにたどり着いた。前記2つの物理的刺激は、1つは熱で、もう1つは圧力である。
【0056】
図4に、物理的刺激として熱と圧力を与えた場合の本発明のトナー状態を表すグラフを示す。図4に示すように、刺激1を熱(温度)、刺激2を圧力(加圧力)とすると、現像部でトナーにかかる圧力(刺激2、加圧力1)が閾値以下であれば、加熱温度が、例えば、50[℃]になっても、トナースペント及びトナーフィルミングが発生するほどにトナーは、軟化しない。一方、加熱温度が50[℃]で、定着部でトナーにかかる圧力(刺激2、加圧力2)が、閾値を超えていれば、トナーは、定着部において定着に必要な程度に軟化する。このように、現像部と定着部が同じ温度になっていても、もう1つの物理的刺激である圧力により、定着部でのみ軟化するようにトナーに工夫ができれば、常温に近い定着(低温定着)とトナースペント防止及びトナーフィミング防止とを両立することができる。
【0057】
そこで、本願発明者らは、定着部での圧力に閾値を設ける方法として、トナー中に分散された、樹脂を軟化させる可塑剤を閉じ込めたカプセルを破壊する圧力を閾値とすることに思い至った。定着部において、前記閾値を超えた圧力が、樹脂を軟化させる可塑剤を閉じ込めたカプセルに付与されると、前記カプセルが破壊され、前記カプセルから漏出した可塑剤がトナー中に浸透拡散して樹脂が軟化される。従来は、熱でトナー中の樹脂を軟化させるのに対して、この技術的思想は、トナー中に含まれる、可塑剤を内包するカプセルを、圧力で破壊し、その可塑剤により樹脂を軟化させる点において、従来と考え方が大きく異なる。
【0058】
ただし、単にトナー中に結着樹脂とカプセルに内包された可塑剤とを含有させ、その可塑剤によりトナーを軟化させるだけでは、新たな問題点がある。それは、以下のとおりである。
【0059】
図5は、カプセルに内包された可塑剤をトナーに添加した場合における定着工程から排紙におけるトナーの状態変化を表すグラフである。
図5に示すように、例えば、定着部においては、0.1秒間以内に定着部の加圧手段によりトナーが軟化及び変形した後、0.3秒間程度で、印刷紙(記録媒体95)は、機内の排紙手段を通過する。排紙手段を通過する時点では、トナーはある程度硬化しておく必要がある。なぜなら、排紙手段に軟化したトナーが固着するためである。しかし、通常、可塑剤で軟化したトナーは、可塑剤が除去されない限りは、軟化状態を維持し、硬化することがない。このため、排紙手段に軟化したトナーが固着し、紙ジャム及び画像はがれを発生させる恐れがあり、装置として信頼性が悪くなりかねない。
【0060】
そこで、本願発明者らは、樹脂に熱可塑性エラストマーを含有させ、熱可塑性エラストマーを軟化させることに思い至った。
【0061】
図6(a)、図6(b)、図6(c)に、トナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤の状態を示す。
図6(a)は、トナー保存時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤の状態を示す概念図である。図6(b)は、定着時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤の状態を示す概念図である。図6(c)は、排紙時におけるトナー中の熱可塑性エラストマーと可塑剤の状態を示す概念図である。
【0062】
図6(a)、図6(b)、図6(c)における熱可塑性エラストマーは、硬いハードセグメントとゴム状弾性を示すソフトセグメントとを有するブロック共重合体である。熱可塑性エラストマーは、ハードセグメント同士が分子間力により物理的架橋を形成することで流動性がなく、ソフトセグメントの弾性によりゴム状特性を示す。
【0063】
図6(a)、図6(b)、図6(c)における可塑剤は、常温で固体であり、熱可塑性エラストマーの少なくともハードセグメントに対して可塑性を有する。
【0064】
ここで、物理的架橋とは、ハードセグメント同士が分子間力により集まって分子運動を拘束する状態を意味する。
【0065】
トナー保存時には、図6(a)に示すように、トナー中の熱可塑性エラストマーは、弾性変形をするが、ハードセグメントによる物理的架橋により、流動性がなく、塑性変形はしない。また、カプセルは、破壊されず、可塑剤の漏出はない。現像部においても同様である。
【0066】
定着時には、トナーは、加熱されると共に、閾値を超えた圧力が付与される。そうすると、図6(b)に示すように、カプセルが破壊されて可塑剤が漏出し、漏出した可塑剤の軟化作用により熱可塑性エラストマーのハードセグメント同士の物理的架橋が崩れ、熱可塑性エラストマーは、一気に軟化する。それに伴ってトナーが軟化する。
【0067】
通常の熱可塑性樹脂は、樹脂分子同士のいたるところで分子間力により相互作用しており、その相互作用を緩めるために、可塑剤が多めに必要で、かつ軟化応答が遅い。
【0068】
一方、熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントのみで物理的架橋を形成し、ソフトセグメントは、もともと柔らかい状態にある。そのため可塑剤は、ハードセグメント部のみ物理的架橋を緩めればよい。したがって、熱可塑性エラストマーを用いると、可塑剤濃度低減が可能で、かつ軟化応答を速めることができる。
【0069】
このため、本実施形態のような応答時間を確保する定着方式であれば熱可塑性樹脂でも定着可能ではあるが、熱可塑性エラストマーを使用することでより安定した軟化、定着を確保にさらに好適である。
【0070】
定着部で軟化されたトナーは、排紙時には、自然冷却される。その際、図6(c)に示すように、トナー中の常温で固体の可塑剤は、流動性を失い、ハードセグメントから外れる。そうすると、可塑剤と熱可塑性エラストマーは、相分離する。この現象により、軟化していた可塑性エラストマーは、物理的架橋を形成し、トナーは、再び硬化する。
【0071】
本願発明者らは、熱可塑性エラストマーは、通常の熱可塑性樹脂と異なり、ハードセグメント同士が物理的架橋を形成しやすい性質があることが特徴で、可塑剤が固化するにつれて、ハードセグメント同士が再結合しやすく、硬化が一般的な樹脂よりも促進することを見出した。
【0072】
また、可塑剤が常温で固体の場合、可塑剤を含有する前の樹脂の硬さか、それ以上の硬さになる利点がある。
【0073】
<樹脂>
前記樹脂は、熱可塑性エラストマーを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の樹脂を含む。
【0074】
[熱可塑性エラストマー]
熱可塑性エラストマーは、常温ではゴム弾性体としての挙動をとり、温度上昇によって塑性変形をする樹脂である。ここで、常温とは、熱したり冷やしたりせずに達成される温度であり、JIS Z8703にて定義されている、5[℃]〜35[℃]であることが好ましい。
【0075】
熱可塑性エラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ハードセグメントとソフトセグメントとを有することが好ましい。
【0076】
熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するブロック共重合体が好ましく、A−B−Aトリブロック共重合体(ただし、Aは、ハードセグメントを表し、Bは、ソフトセグメントを表す。)がより好ましい。
【0077】
ここで、ハードセグメントとは、加硫ゴムの架橋点に相当して塑性変形を防止する分子運動拘束成分を意味し、ソフトセグメントとは、ゴム弾性を示す柔軟性成分を意味する。
【0078】
熱可塑性エラストマーにおけるハードセグメントとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
【0079】
熱可塑性エラストマーにおけるソフトセグメントとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、ポエーテル、ポリエステル、ポリアルキルアクリレート、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0080】
なお、ポリエステル及びポリ塩化ビニルは、その具体的組成により、ハードセグメントにもなるし、ソフトセグメントにもなる。
【0081】
ハードセグメントとソフトセグメントとの質量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ハードセグメント:ソフトセグメントが、1:9〜6:4が好ましい。前記質量比が、1:9よりもハードセグメントの割合が低いと、常時、トナーに粘着性が出ることがあり、6:4よりもハードセグメントの割合が高いと、硬くなりすぎて、定着に必要な軟化が確保できなくなることがある。
【0082】
熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えば、ハードセグメントがポリスチレンでソフトセグメントがポリブタジエンであるSBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)や、ハードセグメントがポリスチレンでソフトセグメントが水添ポリブタジエンであるSEBS(スチレン−水添ブタジエン−スチレン)、ハードセグメントがポリスチレンでソフトセグメントがポリイソプレンであるSEPS(スチレン−イソプレン−スチレン)、ハードセグメントがポリウレタンでソフトセグメントがポリエーテルであるTPU(ポリウレタン−ポリエーテル−ポリウレタン)、ハードセグメントがポリエチレンでソフトセグメントがポリ酢酸ビニルであるEVA(エチレン−酢酸ビニル−エチレン)、ハードセグメントがポリ塩化ビニルでソフトセグメントがポリ塩化ビニルであるTPVCなどが挙げられる。
【0083】
熱可塑性エラストマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂に対して50[質量%]〜95[質量%]が好ましく、50[質量%]〜80[質量%]がより好ましい。前記含有量が、50[質量%]未満であると、定着後のトナー層にタック感が発生し、印刷紙などの記録媒体95を重ねたときにブロッキングを生じることがあり、95[質量%]を超えると、定着時に、印刷紙のパルプ繊維に樹脂がからみつきにくくなり、紙へのアンカリングが弱くなり、定着不良を生じることがある。前記含有量が、前記好ましい範囲内であると、ブロッキング及び定着不良を生じることなく、画像形成ができる点で有利である。
【0084】
[その他の樹脂]
その他の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記可塑剤により軟化される樹脂が好ましい。前記その他の樹脂が、前記可塑剤により軟化されることにより、印刷紙のパルプ繊維に樹脂がからみつきやすくなり、紙へのアンカリングが強くなり、定着性に優れる。
【0085】
また、前記その他の樹脂としては、熱可塑性エラストマーと相溶性の良い樹脂が好ましい。熱可塑性エラストマーと相溶性の良い樹脂としては、例えば、熱可塑性エラストマーがハードセグメントとソフトセグメントとを有する場合、ハードセグメントと類似の構造を有する樹脂などが挙げられる。
【0086】
前記その他の樹脂としては、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等の単独又は2種類以上からなる重合体;ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
【0087】
前記重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリブチルアクリレートなどが挙げられる。
【0088】
また、前記その他の樹脂としては、変性ポリエステル樹脂が挙げられる。前記変性ポリエステル樹脂とは、樹脂中に酸、アルコールのモノマーユニットに含まれる官能基とエステル結合以外の結合基が存在したり、また樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合したりしたポリエステル樹脂をいう。
【0089】
前記変性ポリエステル樹脂としては、例えば、活性水素基含有化合物と、化合物の活性水素基と反応可能な官能基を有するポリエステル樹脂とを反応させ前記ポリエステル樹脂を伸長反応、架橋反応等させたもの(ウレア変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂など)が挙げられる。
【0090】
前記活性水素基含有化合物としては、例えば、アミン類などが挙げられる。前記アミン類としては、例えば、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0091】
<着色剤>
着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、公知の染料及び顔料を選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0092】
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。前記マスターバッチと共に混練される樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0093】
<カプセル>
カプセルは、熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤を内包している。カプセルは、所定の圧力により破壊されるカプセルである。前記所定の圧力とは、定着時の圧力であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5[MPa]を超えることが好まし好ましい。前記圧力の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3[MPa]以下が好ましく、1[MPa]以下がより好ましい。前記所定の圧力とは、画像形成装置の定着手段のニップ部における設定圧力である。
【0094】
定着部(定着手段)の圧力(ニップ圧)と現像部等の機内でトナーにかかる圧力に差があればあるほど、トナーの耐久性は上がる。しかしながら、定着部の圧力を高くしすぎる(例えば、5[MPa]以上)と定着部の機械構成を堅牢にする必要があり、定着部が大型化及び重量化してしまう。一般的なオフィス内で使用するデスクトップタイプ及びフロアタイプの複写機やプリンタを想定した場合の定着部の大きさ及び重さを重視すると、定着部にかけられる圧力は、通常5[MPa]以下であり、1[MPa]以下が好ましい。一方、画像形成装置機内でトナーに摩擦が生じる場合の圧力は、0.3[MPa]以下と推定される。したがって、前記カプセルは、0.3[MPa]程度では破壊されず、1[MPa]以下の圧力で破壊されるカプセルが好ましい。
【0095】
カプセルは、シェル(外殻)を有する。カプセルの粒径とシェルの厚みは、カプセルの破壊強度に大きな影響を与える。本願発明者らは、シェルが樹脂部材である場合、カプセルの粒径が1[mm]以下の範囲では、カプセルの粒径とシェルの厚みの比率が、カプセルの破壊に影響を与えることを見出した。定着部におけるカプセルの破壊に必要な圧力を1[MPa]程度とした場合、カプセルの粒径とシェルの厚みの比率(カプセルの粒径:シェルの厚み)は、20:1〜5:1が好ましい。
【0096】
カプセルの粒径の下限は、シェルの厚みの強度限界に影響を与える。カプセルのシェルの厚みが数分子鎖オーダーの場合、カプセルの強度が保てず、分子鎖間距離を0.3nm程度と仮定すると10分子鎖以上は必要と考えられる。そうすると、シェルの厚みとの比率の関係から、1[MPa]の圧力で前記カプセルを破壊するためのカプセルの粒径は、60[nm]以上が好ましい。
【0097】
また、カプセルの粒径の上限は、定着に必要なトナー中の前記熱可塑性エラストマーに対する前記可塑剤の濃度と前記カプセル破壊後の前記可塑剤の樹脂中への浸透性に影響する。
【0098】
前記可塑剤の含有量は、前記熱可塑性エラストマー100質量部に対して、5質量部〜30質量部が好ましく、10質量部〜20質量部がより好ましい。なお、前記カプセルのシェルが薄い場合には、前記カプセルの質量と前記可塑剤の質量を同一視できる。
【0099】
定着部のニップ部での加圧時間は、印刷速度及び加圧ニップ幅により異なるが、従来の一つのニップ構成では10[ms]〜40[ms]程度である。
【0100】
この短時間でトナーを軟化するにはカプセル破壊後に前記可塑剤が前記樹脂中に均一拡散する必要がある。したがって、トナー中の樹脂内部での前記カプセル同士が離れすぎていると、前記可塑剤が前記樹脂中に浸透しきれず、トナーが十分な軟化状態とならず定着不良となる。
【0101】
前記可塑剤の前記樹脂への浸透は、拡散係数で決まり、おおよそ拡散係数が1×10−12〜1×10−13程度であると、ニップ時間が10[ms]〜40[ms]の範囲内に浸透可能な距離は100[nm]〜300[nm]程度である。即ちトナー樹脂中で可塑剤カプセル同士は100[nm]〜300[nm]の距離となるように分散させることが好ましい。
【0102】
以上のことから、前記可塑剤が前記熱可塑性エラストマー100質量部に対して、10質量部〜20質量部の範囲で、前記カプセル同士が100[nm]〜300[nm]の距離となるようするには、前記カプセルの粒径は、400[nm]が上限となる。即ち、カプセルの粒径は、60[nm]〜400[nm]が好ましい。
【0103】
しかし、カプセルをトナー内で均一分散した場合であり、よりトナーを軟化状態で確実に加圧するには浸透拡散の時間を確保する本実施例の定着構成が好ましく、トナー作成や可塑剤の選択範囲が広がり安価な材料を選択できる効果がある。
【0104】
カプセルの粒径は、例えば、TEM(透過型電子顕微鏡)又はSEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、その平均値により求めることができる。また、カプセルを分散した液を、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子社製)を用いた動的光散乱法により測定することができる。
【0105】
カプセルのシェル(外殻)は、前記所定の圧力により破壊されるシェルであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0106】
シェルの材質としては、例えば、無機物、樹脂などが挙げられる。前記樹脂としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ナイロン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。また、シェルは、トナーの製造時に用いる溶剤に対して溶解しないことが好ましい。
【0107】
[可塑剤]
可塑剤は、熱可塑性エラストマーを軟化する可塑剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。可塑剤は、前記熱可塑性エラストマーの前記ハードセグメントに対して相溶性を示す可塑剤が好ましい。
【0108】
ここでの「相溶性を示す」とは、液体状態の前記可塑剤と前記熱可塑性エラストマーを接触した状態で接触面が膨潤する又は粘着性が発現する状態である、又は前記熱可塑性エラストマー100質量部に対して前記可塑剤を30質量部混練した場合に、貯蔵弾性率が1×10[Pa]以下となる状態である。
【0109】
可塑剤は、常温で固体の可塑剤であることが好ましい。可塑剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30[℃]〜60[℃]が好ましい。融点が、前記好ましい範囲内であると、融解に必要な熱量が少なくなり、省エネルギー化の点で有利である。
【0110】
可塑剤としては、具体的には、例えば、n−アルカン類、二塩基酸ジアルキル類、脂肪酸ジアルコキシアルキル類、脂肪酸ジアルコキシアルコキシアルキル類、長鎖有機酸、フタル酸ジシクロヘキシル、4−ブトキシフタロニトリル、塩素化パラフィン、リン酸トリフェニルなどが挙げられる。
【0111】
これらの可塑剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、常温で液体の可塑剤と固体の可塑剤を混合し、常温でベースト状となる程度の可塑剤も好ましい。
【0112】
常温で液体の前記n−アルカン類としては、例えば、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカンなどが挙げられる。
【0113】
常温で固体の前記n−アルカン類としては、例えば、n−オクタデカン、n−ヘプタデカン、n−ノナデカン、融点が40[℃]〜50[℃]のパラフィンなどが挙げられる。
【0114】
常温で液体の前記二塩基酸ジアルキル類としては、例えば、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジメチル、フタル酸ジオクチルなどが挙げられる。
【0115】
常温で液体の前記脂肪酸ジアルコキシアルキル類としては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジメトキシエチルなどが挙げられる。
【0116】
常温で液体の前記脂肪酸ジアルコキシアルコキシアルキル類としては、例えば、コハク酸ジエトキシエトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエトキシエチルなどが挙げられる。
【0117】
常温で固体の前記長鎖有機酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、これらの混合物などが挙げられる。
【0118】
前記n−アルカン類は、ハードセグメントであるエチレンに構造が類似していることから、前記熱可塑性エラストマーとしてのEVAの可塑剤に適している。
【0119】
前記二塩基酸ジアルキル類、前記脂肪酸ジアルコキシアルキル類、前記脂肪酸ジアルコキシアルコキシアルキル類、前記長鎖有機酸、前記フタル酸ジシクロヘキシル、前記4−ブトキシフタロニトリル、前記塩素化パラフィン、及び前記リン酸トリフェニルは、ハードセグメントがスチレンであるSBS、SEBS、SEPBなどの熱可塑性エラストマーの可塑剤に適している。
【0120】
可塑剤として、常温で固体の可塑剤を用いることで、カプセルの強度を高くすることができる効果がある。
【0121】
一般的に、樹脂のような可とう性を有するシェルにより形成されるカプセルは、破壊に強く、内部が気体のように圧縮性をもつ部材の場合には、20[MPa]程度の高加圧でも破壊できない。
【0122】
しかし、内部に液体が充填されており、非圧縮性であると、加圧によりカプセルが変形するに従い、内圧が一気に上昇し、カプセル内部から液体が押し出ようとする力が働き1PMa以下の圧力で簡単にカプセルが破壊することがある。このように液体を閉じ込めたカプセルは、比較的弱い圧力で破壊されやすい。
【0123】
一方、カプセル内が固体であれば、加圧による変形そのものを抑えるため内圧が上昇せずカプセルが割れにくくなる。即ち、画像形成装置機内で、現像部等で固体可塑剤の融点よりも低い温度条件下で、トナーに圧力がかかっても内包する可塑剤カプセルの破壊を防止でき保存安定性を高くすることができる。
【0124】
可塑剤の含有量は、前述のとおり、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、5質量部〜30質量部が好ましく、10質量部〜20質量部がより好ましい。
【0125】
[カプセルの製造方法]
カプセルの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、いわゆる一般的に知られているマイクロカプセル製法により製造できる。前記マイクロカプセル製法としては、例えば、界面重合法、in−situ重合法などの油相と水相のエマルジョン系で2相間の界面でシェルを形成する方法;液中乾燥法、コアセベーション法などのように油相と水相のエマルジョンにおける蒸発及び凝集を利用してシェルを形成する方法;光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などによりシェルを形成する方法;マイクロ流路を用いて直接連続相に分散相を注ぎ込み微粒子化する方法など挙げられる。
【0126】
<その他の成分>
その他の成分としては、例えば、無機微粒子、磁性体、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、金属石鹸などが挙げられる。
【0127】
[無機微粒子]
無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。また、これらの表面に疎水化処理を施すことにより、結着樹脂への分散性が向上する効果があり好ましい。
【0128】
トナーの内部に適切な特性の無機微粒子が存在することで、トナー成分である前記結着樹脂、前記着色剤、ワックスの微分散を達成できる。これは、前記無機微粒子が存在することにより、これらトナー成分にフィラー効果による混合シェアがかかり、均一混合できるためである。
【0129】
無機微粒子の平均一次粒径(以下、平均粒径という)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10[nm]〜1000[nm]が好ましく、50[nm]〜600[nm]がより好ましい。前記平均一次粒径が、10[nm]未満であると、無機微粒子の凝集が生じやすく、トナーの体積固有抵抗値の低下、及びトナー成分の分散悪化が生じることがある。一方、前記平均一次粒径が、1000[nm]を超えると、フィラー効果による分散効果が得られないことがある。また、前記無機微粒子は、外添剤として用いることもできる。
【0130】
[磁性体]
磁性体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金;これらの混合物などが挙げられる。
【0131】
磁性体の具体例としては、例えば、Fe、γ−Fe、ZnFe、YFe12、CdFe、GdFe12、CuFe、PbFe12O、NiFe、NdFeO、BaFe1219、MgFe、MnFe、LaFeO、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも特に、Fe、γ−Feの微粉末が好ましい。
【0132】
また、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。
【0133】
異種元素としては、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、スズ、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウムなどが挙げられる。これらの中でも、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ジルコニウムが好ましい。
【0134】
異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、表面に酸化物又は水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されているのが好ましい。
【0135】
異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整、又は各々の元素の塩を添加しpH調整することにより、粒子表面に析出することができる。
【0136】
磁性体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、磁性体10質量部〜200質量部が好ましく、20質量部〜150質量部がより好ましい。
【0137】
磁性体の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1[μm]〜2[μm]が好ましく、0.1[μm]〜0.5[μm]がより好ましい。
【0138】
個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザーなどで測定することにより求めることができる。
【0139】
磁性体の磁気特性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20エルステッド〜150エルステッド、飽和磁化50[emu/g]〜200[emu/g]、残留磁化2[emu/g]〜20[emu/g]のものが好ましい。磁性体は、着色剤としても使用することができる。
【0140】
[帯電制御剤]
帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、公知のものを選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
【0141】
帯電制御剤は、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製);銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
【0142】
帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。
【0143】
帯電制御剤は、マスターバッチ、結着樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、勿論、有機溶剤に直接溶解又は分散する際に加えてもよい。また、トナー母体粒子調製後にその表面に固定化させてもよい。
【0144】
[外添剤]
外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えば、チタニア、アルミナ、酸化スズ、酸化アンチモンなど)又はこれらの疎水化物、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア微粒子、疎水化されたチタニア微粒子が好ましい。
【0145】
シリカ微粒子としては、例えば、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)などが挙げられる。
【0146】
チタニア微粒子としては、例えば、P−25(日本アエロジル株式会社製);STT−30、STT−65C−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−140(富士チタン工業株式会社製);MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。
【0147】
疎水化されたチタニア微粒子としては、例えばT−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれも、テイカ株式会社製);IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
【0148】
疎水化されたシリカ微粒子、前記疎水化されたチタニア微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子は、親水性の微粒子を疎水化処理剤で処理(疎水化処理)して得ることができる。
【0149】
疎水化処理剤としては、例えば、ジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
【0150】
また、無機微粒子にシリコーンオイルを処理(必要に応じて熱を加えて処理)したシリコーンオイル処理無機微粒子も好ましい。
【0151】
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
【0152】
前記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0153】
前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1[nm]〜100[nm]が好ましく、3[nm]〜70[nm]がより好ましい。前記平均粒径が、1[nm]未満であると、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくいことがあり、100[nm]を超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけてしまうことがある。
【0154】
前記外添剤として樹脂微粒子を用いることもできる。前記樹脂微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の縮重合系;熱硬化性樹脂による重合体粒子などが挙げられる。このような樹脂微粒子を機微粒子と併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。
【0155】
前記樹脂微粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01[質量%]〜5[質量%]が好ましく、0.1[質量%]〜2[質量%]がより好ましい。
【0156】
前記外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1[質量%]〜5[質量%]が好ましく、0.3[質量%]〜3[質量%]がより好ましい。
【0157】
[流動性向上剤]
流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することが可能なものであり、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0158】
[クリーニング性向上剤]
クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体及び中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加される。
【0159】
クリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01[μm]〜1[μm]のものがより好ましい。
【0160】
次に、本実施形態で用いる、カプセルを含有したトナーの一例について説明する。
図7は、カプセルを含有したトナーの概略断面図である。トナー201は、熱可塑性エラストマーを含む結着樹脂202と、着色剤203と、可塑剤207を内包するカプセル204と、帯電制御剤205と、外添剤206とを有している。
【0161】
<トナーの製造方法>
トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕法、重合法、溶解懸濁法、噴霧造粒法などが挙げられる。これらの中でも、溶解懸濁法が好ましい。
【0162】
[粉砕法]
粉砕法は、例えば、トナー材料を溶融し、混練した後、粉砕し、分級等することにより、トナー粒子を得る方法である。
【0163】
トナー材料の溶融、混練では、トナー材料を混合し、混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、例えば、一軸の連続混練機、二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機などが挙げられる。例えば、株式会社神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械株式会社製TEM型押出機、有限会社ケイシーケイ製二軸押出機、株式会社池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、カプセルを破壊しない条件で行うことが好ましい。カプセルを破壊しない条件としては、例えば、トナー材料に、結着樹脂を溶解する溶剤を含有する方法が挙げられる。そうすることで、トナー材料を柔らかい状態にすることができる。
【0164】
粉砕では、混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターとの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
【0165】
トナーは、熱可塑性エラストマーを含有しているため、通常の粉砕条件では砕けない場合がある。その場合には、冷凍粉砕することが好ましい。前記冷凍粉砕としては、例えば、低温環境(例えば、0[℃]以下)で粉砕する方法が挙げられる。
【0166】
分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
【0167】
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナーを製造する。前記粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5[μm]〜20[μm]が挙げられる。
【0168】
粉砕法の場合、トナーの平均円形度を高くする目的で、得られたトナー母体粒子に対し、機械的衝撃力を与えて形状を制御してもよい。この場合、前記機械的衝撃力は、例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョンなどの装置を用いてトナー母体粒子に付与することができる。
【0169】
[溶解懸濁法]
溶解懸濁法としては、例えば、前記結着樹脂を溶媒中に溶解させた溶液(油相)を水系媒体(水相)中に添加することにより懸濁液を調製する工程と、懸濁液から溶媒を除去する工程を有する方法などが挙げられる。このとき、結着樹脂と共に、添加剤を溶媒中に溶解乃至分散させることができる。
【0170】
溶解懸濁法においては、前記結着樹脂を溶解しつつ、前記カプセルの前記シェルを溶解しない溶媒を用いることが好ましい。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0171】
[構成例1]
図1は構成例1に係る定着装置25の概略構成図である。
不図示の現像工程や転写工程でトナー画像が形成された記録媒体95は、図中矢印方向に搬送されて定着装置25に送られる。定着装置25には、ハロゲンヒータ515を内包した加熱ローラ511と、加熱ローラ511の下方で加熱ローラ511に対向して配置された加圧ローラ512とが設けられている。そして、不図示のばねで加圧ローラ512を加熱ローラ511に向けて付勢することで、加熱ローラ511と加圧ローラ512とが接触し第一の加圧手段としてニップ部N1を形成する。
【0172】
加熱ローラ511の表面温度は、内包するハロゲンヒータ515のON/OFFを不図示の制御部で制御することで所定温度に制御される。
【0173】
定着装置25に搬送された記録媒体95上のトナー画像は、加熱ローラ511と加圧ローラ512とで形成されるニップ部N1を通過したときに加熱されつつ加圧される。このとき、トナー画像中のカプセルに内包した可塑剤は融点温度まで加熱され溶解し、加圧されることにより破壊されたカプセルから溶解した可塑剤がカプセル近傍の樹脂に浸透拡散していく。
【0174】
ここで、カプセルの破壊から可塑剤が樹脂に拡散する時間に応じて、トナーの軟化状態が異なる。このため、構成例1に係る定着装置25では、ニップ部N1でカプセルが破壊されてから可塑剤が拡散してトナーが十分な軟化状態となる経過時間Ktの位置に、記録媒体95上のトナー画像を加圧する第二の加圧手段を配置している
【0175】
加熱ローラ511と加圧ローラ512とからなるローラ対よりも記録媒体搬送方向下流側には、定着ローラ513や加圧ローラ514や不図示のバネなどが設けられている。加圧ローラ514は、定着ローラ513の下方で定着ローラ513に対向して配置されており、不図示のバネで加圧ローラ512を定着ローラ513に向けて付勢することで、定着ローラ513と加圧ローラ514とが接触し第二の加圧手段としてニップ部N2を形成する。
【0176】
トナー画像は記録媒体95の搬送にともなって、ニップ部N1を通過した後に所定時間を経過する位置(経過時間Ktの位置)にあるニップ部N2へ搬送され、軟化状態のトナーがニップ部N2で加圧されることでトナー画像が記録媒体95に定着される。
【0177】
このように、本構成例においては、記録媒体95の搬送に伴ってニップ部N1からニップ部N2にトナーが至るまでの間、加熱ローラ511と加圧ローラ512によりニップ部N1で加圧されて破壊されたカプセルからハロゲンヒータ515により加熱されて溶融した可塑剤が、樹脂に拡散する時間を稼ぐことができる。これにより、ニップ部N1よりも可塑剤が樹脂に拡散しトナーが十分に軟化してから、定着ローラ513と加圧ローラ514とによってニップ部N2でトナーを加圧し記録媒体95にアンカリングさせてトナー画像を記録媒体95に定着させることができる。よって、ニップ部N1よりも軟化した状態のトナーをニップ部N2で加圧することができる分、トナーの軟化不足で記録媒体95へのトナーのアンカリングが不十分となり定着不良が生じるのを抑制することができる。
【0178】
なお、本構成例においては、ニップ部N1でのトナーの加熱温度が40[℃]〜50[℃]となるように熱損失や伝達ロスを考慮して、加熱ローラ511の表面温度を100[℃]としている。また、ニップ部N1ではニップ時間(ローラ対の回転により搬送されてニップ入口からニップ出口まで移動するのにかかる時間)を10[ms]とし加圧力(面圧)を1[MPa]としている。一方、ニップ部N2ではニップ時間を30[ms]とし加圧力(面圧)0.3[MPa]としている。このように設定することで、良好な定着画像を得ることができた。
【0179】
[構成例2]
図8(a)は、加熱手段として非接触加熱方式を採用した定着装置の一例を示したものである。
【0180】
不図示の現像工程や転写工程でトナー画像が形成された記録媒体95は、図中矢印方向に搬送されて定着装置25に送られる。
【0181】
定着装置25には、第一定着ローラ521と、第一定着ローラ521の下方で第一定着ローラ521に対向して配置された加圧ローラ522とが設けられている。また、第一定着ローラ521と加圧ローラ522とからなるローラ対よりも記録媒体搬送方向下流側には、第二定着ローラ523と加圧ローラ524とからなるローラ対が設けられている。加圧ローラ524は、第二定着ローラ523の下方で第二定着ローラ523に対向して配置されている。
【0182】
また、不図示のばねで加圧ローラ522を第一定着ローラ521に向けて付勢することで、第一定着ローラ521と加圧ローラ522とが接触し第一の加圧手段としてニップ部N1を形成する。一方、不図示のバネで加圧ローラ524を第二定着ローラ523に向けて付勢することで、第二定着ローラ523と加圧ローラ524とが接触し第二の加圧手段としてニップ部N2を形成する。
【0183】
本構成例の定着装置においては、記録媒体95上のトナー画像を加熱する加熱手段である加熱装置525が、ニップ部N1よりも記録媒体搬送方向上流側にある搬送経路を搬送されている記録媒体95と対向する位置に設けられている。加熱装置としては、例えば、ハロゲンランプ、フラッシュ等の光による加熱方式や、超音波やマイクロ波、温風等による加熱方式などを採用したものが挙げられるが、トナー温度を可塑剤の融点まで加熱することが可能であれば特に限定しない。
【0184】
定着装置25に搬送された記録媒体95上のトナー画像は、まず、第一定着ローラ521と加圧ローラ522とで形成されたニップ部N1よりも記録媒体搬送方向上流側にある加熱装置525によって加熱され、トナー画像中のカプセルに内包した可塑剤が融点温度まで加熱され溶解される。次に、記録媒体95上のトナー画像がニップ部N1を通過したときに加圧される。このとき、ニップ部N1で加圧されることにより破壊されたカプセルから溶解した可塑剤がカプセル近傍の樹脂に浸透拡散していく。その後、第二定着ローラ523と加圧ローラ524とで形成されたニップ部N2にトナー画像が送られる。これにより、可塑剤が十分に浸透拡散して軟化状態のトナーが、ニップ部N2で加圧されることで記録媒体95にアンカリングしトナー画像が記録媒体95に定着される。
【0185】
なお、ニップ部N1よりも記録媒体搬送方向上流側にある搬送経路を搬送されている記録媒体95と対向する位置に設ける非接触方式の加熱手段としては、図8(b)に示すようなマイクロ波や高周波などを用いた誘電加熱方式の加熱装置526を設けても良い。
【0186】
[構成例3]
図9は、加熱手段として接触加熱方式且つ内部加熱方式を採用したベルト定着装置を用いた一例を示す。
【0187】
不図示の現像工程や転写工程でトナー画像が形成された記録媒体95は、図中矢印方向に搬送されて定着装置25に送られる。
【0188】
定着装置25には、ハロゲンランプ535を内包した加熱ローラ531と、加熱ローラ531の下方で加熱ローラ531に対向して配置された加圧ローラ532とが設けられている。また、加熱ローラ531と加圧ローラ532とからなるローラ対よりも記録媒体搬送方向下流側には、定着ローラ533と加圧ローラ534とからなるローラ対が設けられている。加圧ローラ534は、定着ローラ533の下方で定着ローラ513に対向して配置されている。
【0189】
さらに、加熱ローラ531と定着ローラ533とによって回転可能に張架された加熱ベルト536や、加圧ローラ532と加圧ローラ534とによって回転可能に張架された搬送ベルト537が設けられている。定着装置25に搬送された記録媒体95は、加熱ベルト536と搬送ベルト537とによって挟まれた状態で、加熱ベルト536や搬送ベルト537が回転することにより搬送される。
【0190】
本構成例においては、不図示のばねで加圧ローラ532を加熱ローラ531に向けて付勢することで、加熱ベルト536と搬送ベルト537とを介して加熱ローラ531と加圧ローラ532とが接触し第一の加圧手段としてニップ部N1を形成する。また、不図示のバネで加圧ローラ534を定着ローラ533に向けて付勢することで、加熱ベルト536と搬送ベルト537とを介して定着ローラ533と加圧ローラ534とが接触し第二の加圧手段としてニップ部N2を形成する。
【0191】
加熱ベルト536は加熱ローラ531を介してハロゲンランプ535により加熱され、加熱ベルト536の表面温度は、ハロゲンランプ535のON/OFFを不図示の制御部で制御することで所定温度に制御される。
【0192】
定着装置25に搬送された記録媒体95上のトナー画像は、加熱ベルト536と搬送ベルト537とを介して加熱ローラ511と加圧ローラ512とで形成されるニップ部N1を通過したときに加熱されつつ加圧される。このとき、トナー画像中のカプセルに内包した可塑剤は融点温度まで加熱され溶解し、加圧されることにより破壊されたカプセルから溶解した可塑剤がカプセル近傍の樹脂に浸透拡散していく。
【0193】
また、本構成例においても、ニップ部N1でカプセルが破壊されてから可塑剤が拡散してトナーが十分な軟化状態となる経過時間Ktの位置に、ニップ部N2が位置するように構成されている。
【0194】
そして、加熱ベルト536と搬送ベルト537とによる記録媒体95の搬送にともなってトナー画像は、ニップ部N1を通過した後に所定時間を経過する位置(経過時間Ktの位置)にあるニップ部N2へ搬送され、軟化状態のトナーがニップ部N2で加圧されることで記録媒体95にアンカリングしトナー画像が記録媒体95に定着される。
【0195】
ここでは、ニップ部N1の面圧は、トナーに内包されたカプセルを破壊できる圧力に設定してある。一方、ニップ部N2の面圧は、カプセルを破壊する必要もなくトナーが熱や可塑剤によって軟化している状態のため、ニップ部N1の面圧よりも小さな圧力に設定している。なお、ニップ部N2の面圧を上げるとトナーの変形時間を短縮することはできるが、定着ローラ533や加圧ローラ534などの構成部材の寿命や小型化を考慮するとニップ部N2の面圧は低圧が好ましい。また、これにより、定着ローラ533や加圧ローラ534などの部品コストの削減を図ることもできる。
【0196】
ニップ部N1においては、加圧ローラ532への両端荷重(総荷重)を構成する加熱ローラ531がたわみ等の変形させない荷重範囲で加圧力を大きくするため、ニップ部N1のニップ幅を狭くする構成としている。なお、本構成例では、加熱ローラ531と加圧ローラ532ともに芯金のみの構成とした。一方、ニップ部N2のニップ幅はニップ部N1のニップ幅よりも広くしており、軟化したトナーをニップ部N2で加圧して変形させるための必要時間を確保できるようにしている。
【0197】
また、記録媒体95は加熱ベルト536と搬送ベルト537とに挟まれてニップ部N1からニップ部N2へと搬送されるので、搬送中も加熱ベルト536から熱を受けてトナーが加熱されるため、ニップ部N1からニップ部N2に移動しているトナーの温度低下を抑制することができる。これにより、トナーがニップ部N1からニップ部N2に移動する間、可塑剤の融点温度を確保することができ、樹脂への浸透拡散による軟化時間を維持することができる。
【0198】
さらに、ニップ部N1とニップ部N2との間で加熱ベルト536からの熱がトナーに作用するため、トナーが加熱される時間を長くできるため、加熱ベルト536の表面温度を低く設定することができる。これにより、加熱ベルト536の表面温度を所定温度まで昇温させるのにかかる時間である立ち上がり時間の短縮や、省エネルギー化を図ることができる。
【0199】
本構成例においては、ニップ部N1でのトナーの加熱温度が40[℃]〜50[℃]となるように熱損失や伝達ロスを考慮して、加熱ベルト536の表面温度を70[℃]としている。また、ニップ部N1ではニップ時間(加熱ベルト536や搬送ベルト537の回転により搬送されてニップ入口からニップ出口まで移動するのにかかる時間)を10[ms]とし加圧力(面圧)を1[MPa]としている。一方、ニップ部N2ではニップ時間を30[ms]とし加圧力(面圧)0.3[MPa]としている。また、加熱ベルト536や搬送ベルト537の回転により搬送されてニップN1とニップN2との中心間を移動するのにかかる移動時間(経過時間Kt)を150[ms]としている。このように設定することで、良好な定着画像を得ることができた。
【0200】
[構成例4]
図10に、加熱手段として接触加熱方式且つ内部加熱方式を採用したベルト定着装置を用いた他例を示す。
【0201】
定着装置25には、ハロゲンランプ544を内包した加熱ローラ541と、加熱ローラ541の下方で加熱ローラ541に対向して配置された加圧ローラ542及び加圧ローラ543とが設けられている。なお、加圧ローラ542は加圧ローラ543よりも記録媒体搬送方向上流側に位置している。
【0202】
また、加圧ローラ542と加圧ローラ543とによって回転可能に張架された搬送ベルト545が設けられており、搬送ベルト545は加熱ローラ541の回転に連れまわって回転する。そして、定着装置25に搬送された記録媒体95は、加熱ローラ541と搬送ベルト545とによって挟まれた状態で、加熱ローラ541や搬送ベルト545が回転することにより搬送される。
【0203】
本構成例においては、不図示のばねで加圧ローラ542を加熱ローラ541に向けて付勢することで、搬送ベルト545を介して加熱ローラ541と加圧ローラ542とが接触し第一の加圧手段としてニップ部N1を形成する。また、不図示のバネで加圧ローラ543を加熱ローラ541に向けて付勢することで、搬送ベルト545を介して加熱ローラ541と加圧ローラ543とが接触し第二の加圧手段としてニップ部N2を形成する。
【0204】
加熱ローラ541の表面温度は、内包するハロゲンランプ544のON/OFFを不図示の制御部で制御することで所定温度に制御される。
【0205】
定着装置25に搬送された記録媒体95上のトナー画像は、まず、搬送ベルト545を介して加熱ローラ541と加圧ローラ542とで形成されたニップ部N1を通過したときに加熱されつつ加圧される。このとき、トナー画像中のカプセルに内包した可塑剤は融点温度まで加熱され溶解し、加圧されることにより破壊されたカプセルから溶解した可塑剤がカプセル近傍の樹脂に浸透拡散していく。その後、加熱ローラ541の外周面にトナー画像が接触した状態で記録媒体95が搬送されて、搬送ベルト545を介して加熱ローラ541と加圧ローラ543とで形成されたニップ部N2にトナー画像が送られる。これにより、可塑剤が十分に浸透拡散して軟化状態のトナーが、ニップ部N2で加圧されることで記録媒体95にアンカリングしトナー画像が記録媒体95に定着される。
【0206】
また、ニップ部N1とニップ部N2との間で加熱ローラ541の外周面にトナー画像が接触した状態で記録媒体95が搬送され、加熱ローラ541の外周面にトナー画像が接触したままニップ部N2で加圧されるので、トナーが加熱される時間を長くでき、加熱ローラ541の表面温度を低く設定することができる。これにより、加熱ローラ541の表面温度を所定温度まで昇温させるのにかかる時間である立ち上がり時間の短縮や、省エネルギー化を図ることができる。
【0207】
[構成例5]
図11は、加熱手段として接触加熱方式且つ外部加熱方式を採用したベルト定着装置を用いた一例を示す。
【0208】
不図示の現像工程や転写工程でトナー画像が形成された記録媒体95は、図中矢印方向に搬送されて定着装置25に送られる。
【0209】
定着装置25には、加熱ローラ551と、加熱ローラ551の下方で加熱ローラ551に対向して配置された加圧ローラ552とが設けられている。また、加熱ローラ551と加圧ローラ552とからなるローラ対よりも記録媒体搬送方向下流側には、定着ローラ553と加圧ローラ554とからなるローラ対が設けられている。加圧ローラ554は、定着ローラ553の下方で定着ローラ553に対向して配置されている。
【0210】
さらに、加熱ローラ551と定着ローラ553とによって回転可能に張架された加熱ベルト555や、加圧ローラ552と加圧ローラ554とによって回転可能に張架された搬送ベルト556が設けられている。定着装置25に搬送された記録媒体95は、加熱ベルト555と搬送ベルト556とによって挟まれた状態で、加熱ベルト555や搬送ベルト556が回転することにより搬送される。
【0211】
本構成例においては、不図示のばねで加圧ローラ552を加熱ローラ551に向けて付勢することで、加熱ベルト555と搬送ベルト556とを介して加熱ローラ551と加圧ローラ552とが接触し第一の加圧手段としてニップ部N1を形成する。また、不図示のバネで加圧ローラ554を定着ローラ553に向けて付勢することで、加熱ベルト555と搬送ベルト556とを介して定着ローラ553と加圧ローラ554とが接触し第二の加圧手段としてニップ部N2を形成する。
【0212】
本構成例においては、加熱ベルト555を加熱する熱源として、加熱ベルト555の一部を挟んで加熱ローラ551と対向する位置に加熱ベルト555とは非接触で電磁誘導加熱装置(IH)600を設けている。
【0213】
加熱ベルト555は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル又はこれら金属の合金等の磁性金属部材を有し、表面に離型材料を用いている。また、加熱ベルト555の肉厚は0.3[mm]〜1.0[mm]であり、低熱容量で昇温の速い構成となっている。
【0214】
電磁誘導加熱装置600は、磁界発生手段である励磁コイル601と、この励磁コイル601が巻き回されたコイルガイド板602とを有している。コイルガイド板602は加熱ベルト555を介して加熱ローラ551の外周面に近接配置された半円筒形状をしている。励磁コイル601は、長い一本の励磁コイル線材をコイルガイド板602に沿って加熱ローラ551の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル601は、発振回路が周波数可変の駆動電源(不図示)に接続されている。励磁コイル601の加熱ローラ551とは反対側の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア603が、励磁コイルコア支持部材604に固定されて励磁コイル601に近接配置されている。
【0215】
本構成例においては、電磁誘導加熱装置600により外部から主として低熱容量の加熱ベルト555を加熱するので、昇温時間の短縮が可能であり、その分、省エネルギー化を図ることができる。
【0216】
このように、電磁誘導加熱装置600をトナー画像を加熱するのに用いる加熱手段として接触加熱方式を採用した場合の熱源に、電磁誘導加熱装置600などの電磁誘導加熱手段を用いるのが有効である。
【0217】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
加熱ローラ511などの第一回転体と加圧ローラ512などの第二回転体とを有し第一回転体と第二回転体とを圧接させてニップ部N1などの第一圧接部を形成し、第一圧接部で記録媒体を挟み込んで記録媒体上のトナーを加圧する第一加圧手段と、第一圧接部よりも記録媒体搬送方向上流側または第一圧接部で記録媒体上のトナーを加熱するハロゲンヒータ515などの加熱手段とを備え、樹脂、及び、前記樹脂を軟化させる常温で固体状の可塑剤を内包したカプセルを少なくとも含有したトナーを用いて記録媒体上に形成されたトナー像を、記録媒体に定着させる定着装置25などの定着装置において、第一加圧手段よりも記録媒体搬送方向下流側に設けられ、定着ローラ513などの第三回転体と加圧ローラ514などの第四回転体とを有し第三回転体と第四回転体とを圧接させてニップ部N2などの第二圧接部を形成し、第二圧接部で記録媒体を挟み込んで記録媒体上のトナーを加圧する第二加圧手段とを備えた。これよれば、上記実施形態について説明したように、省エネルギー化を図りつつ、トナーの軟化不足で定着不良が発生するのを抑制できる。
(態様B)
(態様A)において、第一圧接部での圧力をF1とし第二圧接部での圧力をF2としたときF1≧F2の関係を満たす。これによれば、上記実施形態について説明したように、過剰な部材強度に要する部品コストを低減させることができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、第二圧接部の記録媒体搬送方向の幅が、第一圧接部の記録媒体搬送方向の幅以上である。これによれば、上記実施形態について説明したように、軟化したトナーを第二加圧手段で加圧して変形させるための必要時間を確保することができる。
(態様D)
(態様A)、(態様B)または(態様C)において、加熱手段は第二回転体を加熱し第二回転体を介して第一圧接部でトナーを加熱する。これによれば、上記実施形態について説明したように、接触加熱のためトナーへの熱伝達の効率がよく確実にトナーを加熱することができる。
(態様E)
(態様D)において、第二回転体は第四回転体を兼ねており、第一回転体と第二回転体とが圧接して第一圧接部を形成し、第一圧接部よりも記録媒体搬送方向下流側で第三回転体と第二回転体とが圧接して第二圧接部を形成する。これによれば、上記実施形態について説明したように、第二回転体の設定温度を低く設定できる。
(態様F)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)または(態様E)において、上記樹脂は少なくとも熱可塑性エラストマーを含有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、可塑剤でハードセグメント部を軟化するため軟化応答が速くなり、確実に軟化状態でトナーを記録媒体へ定着することができる。
(態様G)
像担持体と、像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、樹脂、及び、前記樹脂を軟化させる常温で固体状の可塑剤を内包したカプセルを少なくとも含有したトナーを用いて潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、トナー像を像担持体上から記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着手段とを備えた画像形成装置において、前記定着手段として、(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)または(態様F)の定着装置を備える。これによれば、上記実施形態について説明したように、省エネルギー化を図りつつ、トナーの軟化不足で定着不良が発生するのを抑制し良好な画像形成を行うことができる。
(態様H)
樹脂、及び、前記樹脂を軟化させる常温で固体状の可塑剤を内包したカプセルを少なくとも含有したトナーを用いて記録媒体上に形成されたトナー像を、記録媒体に定着させる定着方法において、記録媒体上のトナーを加熱する加熱工程と、第一回転体を第二回転体に圧接させて形成された第一圧接部に記録媒体を挟み込んで記録媒体上のトナーを加圧する第一加圧工程と、第一加圧工程から所定時間経過後、第三回転体を第四回転体に圧接させて形成された第二圧接部に記録媒体を挟み込んで記録媒体上のトナーを加圧する第二加圧工程とを有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、省エネルギー化を図りつつ、トナーの軟化不足で定着不良が発生するのを抑制できる。
(態様I)
像担持体上に潜像を形成する潜像形成工程と、樹脂、及び、前記樹脂を軟化させる常温で固体状の可塑剤を内包したカプセルを少なくとも含有したトナーを用いて潜像を現像しトナー像を形成する現像工程と、トナー像を像担持体上から記録媒体上に転写する転写工程と、記録媒体上に転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着工程とを有する画像形成方法において、前記定着工程で(態様H)の定着方法を用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、省エネルギー化を図りつつ、トナーの軟化不足で定着不良が発生するのを抑制し良好な画像形成を行うことができる。
【符号の説明】
【0218】
10 感光体ドラム
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成ユニット
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 反転装置
32 コンタクトガラス
33 第一走行体
34 第二走行体
35 結像レンズ
36 センサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42 現像剤収容部
43 現像剤供給ローラ
44 現像ローラ
45 現像ユニット
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 給紙路
54 トレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニングブレード
61 現像装置
62 転写帯電器
63 クリーニング装置
64 除電装置
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 中間転写体用クリーニング装置
95 記録媒体
100 画像形成装置
120 タンデム型画像形成部
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写機本体
160 帯電装置
200 給紙テーブル
201 トナー
202 結着樹脂
203 着色剤
204 カプセル
205 帯電制御剤
206 外添剤
207 可塑剤
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
511 加熱ローラ
512 加圧ローラ
513 定着ローラ
514 加圧ローラ
515 ハロゲンヒータ
521 第一定着ローラ
522 加圧ローラ
523 第二定着ローラ
524 加圧ローラ
531 加熱ローラ
532 加圧ローラ
533 定着ローラ
534 加圧ローラ
535 ハロゲンランプ
536 加熱ベルト
537 搬送ベルト
541 加熱ローラ
542 加圧ローラ
543 加圧ローラ
544 ハロゲンランプ
545 搬送ベルト
551 加熱ローラ
552 加圧ローラ
553 定着ローラ
554 加圧ローラ
555 加熱ベルト
556 搬送ベルト
600 電磁誘導加熱装置
601 励磁コイル
602 コイルガイド板
603 励磁コイルコア
604 励磁コイルコア支持部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0219】
【特許文献1】特開平8−006426号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一回転体と第二回転体とを有し該第一回転体と該第二回転体とを圧接させて第一圧接部を形成し、該第一圧接部で記録媒体を挟み込んで該記録媒体上のトナーを加圧する第一加圧手段と、
前記第一圧接部よりも記録媒体搬送方向上流側または該第一圧接部で前記記録媒体上のトナーを加熱する加熱手段とを備え、
樹脂、及び、該樹脂を軟化させる常温で固体状の可塑剤を内包したカプセルを少なくとも含有したトナーを用いて記録媒体上に形成されたトナー像を、該記録媒体に定着させる定着装置において、
前記第一加圧手段よりも記録媒体搬送方向下流側に設けられ、第三回転体と第四回転体とを有し該第三回転体と該第四回転体とを圧接させて第二圧接部を形成し、該第二圧接部で前記記録媒体を挟み込んで該記録媒体上の前記トナーを加圧する第二加圧手段とを備えたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1の定着装置において、
上記第一圧接部での圧力をF1とし上記第二圧接部での圧力をF2としたときF1≧F2の関係を満たすことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項1または2の定着装置において、
上記第二圧接部の記録媒体搬送方向の幅が、上記第一圧接部の記録媒体搬送方向の幅以上であることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の定着装置において、
上記加熱手段は上記第一回転体を加熱し該第一回転体を介して上記第一圧接部で上記トナーを加熱することを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項4の定着装置において、
上記第一回転体は上記第三回転体を兼ねており、
上記第一回転体と上記第二回転体とが圧接して上記第一圧接部を形成し、該第一圧接部よりも記録媒体搬送方向下流側で上記第一回転体と該第四回転体とが圧接して上記第二圧接部を形成することを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の定着装置において、
上記樹脂は少なくとも熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする定着装置。
【請求項7】
像担持体と、
像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、
樹脂、及び、該樹脂を軟化させる常温で固体状の可塑剤を内包したカプセルを少なくとも含有したトナーを用いて前記潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を前記像担持体上から記録媒体上に転写する転写手段と、
前記記録媒体上に転写されたトナー像を該記録媒体に定着させる定着手段とを備えた画像形成装置において、
前記定着手段として、請求項1、2、3、4、5または6の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
樹脂、及び、該樹脂を軟化させる常温で固体状の可塑剤を内包したカプセルを少なくとも含有したトナーを用いて記録媒体上に形成されたトナー像を、該記録媒体に定着させる定着方法において、
前記記録媒体上の前記トナーを加熱する加熱工程と、
第一回転体と第二回転体とを圧接させて形成された第一圧接部に前記記録媒体を挟み込んで該記録媒体上の前記トナーを加圧する第一加圧工程と、
前記第一加圧工程から所定時間経過後、第三回転体と第四回転体とを圧接させて形成された第二圧接部に前記記録媒体を挟み込んで該記録媒体上の前記トナーを加圧する第二加圧工程とを有することを特徴とする定着方法。
【請求項9】
像担持体上に潜像を形成する潜像形成工程と、
樹脂、及び、該樹脂を軟化させる常温で固体状の可塑剤を内包したカプセルを少なくとも含有したトナーを用いて前記潜像を現像しトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を前記像担持体上から記録媒体上に転写する転写工程と、
前記記録媒体上に転写されたトナー像を該記録媒体に定着させる定着工程とを有する画像形成方法において、
前記定着工程で請求項8の定着方法を用いることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−41186(P2013−41186A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179184(P2011−179184)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】