説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】抵抗発熱体層を用いた定着装置において、電源電圧が異なっても、定着品質を劣化させることなく、同じ発熱電力で発熱することが可能な定着装置を提供する。
【解決手段】ジュール発熱する加熱回転体51の周面に通紙し、未定着画像を熱定着させる定着装置5であって、加熱回転体51は、筒状の第一絶縁層514と、厚み方向に間隔をあけて上下2層に分離された分離領域と、2層が合流する合流領域とを有し、下層と、合流領域とで外周面全体を被覆し、合流領域は、第一絶縁層514の一方の端部の全周に形成され、下層は他方の端部上から、上層は、他方の端部近傍から、それぞれ第一絶縁層514の全周において合流領域へ延びている抵抗発熱体層515と、2層間に介在する第二絶縁層516と、下層の端部上に形成された給電電極511と、上層の端部上に形成された給電電極512と、合流領域上に形成された給電電極513と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機等の画像形成装置が備える定着装置に関し、特に異なる電源電圧に対応可能な、抵抗発熱体層を発熱体として用いた定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ、複写機等の画像形成装置の定着装置として、通電によりジュール発熱する抵抗発熱体層を発熱体とする定着装置が利用されるようになってきている。この抵抗発熱体層は、耐熱性樹脂等の絶縁性材料中に金属等の導電性材料を分散させて構成される。当該定着装置においては、抵抗発熱体層に直接給電することによって発熱体が発熱するので、当該定着装置の熱効率を高くすることができ、ウォームアップ時間を短縮化することができる。
【0003】
このような抵抗発熱体層を利用した定着装置においては、電源電圧が異なると発熱体の発熱電力が変わり、それに応じて発熱量も変化する。例えば、日本では、電源電圧は、100Vが標準であるのに対し、欧州では、電源電圧は、200Vが標準である。従って、同一の定着装置を日本と欧州とで使用した場合、発熱量が異なり、熱定着性能に差が生じてしまうという問題が生じる。
【0004】
この差を解消するため、100V用と200V用の定着装置をそれぞれ別構成とすることも可能であるが、製造コストがかかり、又、製品管理も煩雑になるという問題が生じる。
又、電源電圧を変圧するトランスを定着装置に装備することも可能であるが、トランスは一般的に重量が重く、高価であるため、定着装置が重量化されてしまうとともに、製造コストがかかるという問題が生じる。
【0005】
特許文献1には、円筒体の内周面又は外周面に形成した抵抗発熱体層を通電加熱して円筒体を所望温度に加熱設定する定着装置(定着用クイックヒートローラー)であって、抵抗発熱体層が2本の半円筒状抵抗発熱体層を対向配置して形成され、2本の半円筒状抵抗発熱体層の長手方向側縁の間にはスリットが配置されて両半円筒状抵抗発熱体層が相互に絶縁されている高低圧電源両用型の定着装置が開示されている。
【0006】
上記の定着装置では、スリットで相互に絶縁された2本の半円筒状抵抗発熱体層が対向配置されているので、この2本の抵抗発熱体層を直列にも並列にも接続でき、各国の電源電圧に対応できる。具体的には、利用可能な電源電圧に応じて抵抗発熱体層の接続を直列又は並列に切り換えることにより、定着装置を同じ発熱電力で発熱させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001―125415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されている定着装置では、発熱体を形成する円筒体の一部分にスリットが設けられているため、当該部分は、発熱せず、円筒体の周面の内、抵抗発熱体層が設けられた発熱部分とスリットが設けられた非発熱部分との間に温度差が生じ得る。このため、トナー像の熱定着温度に温度ムラが生じ、それにより定着品質が劣化する可能性がある。
【0009】
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、抵抗発熱体層を発熱体とする定着装置において、電源電圧が異なっても、定着品質を劣化させることなく、同じ消費電力で発熱することが可能な定着装置及び当該定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る定着装置は、給電によりジュール発熱する筒状回転体の周面に記録シートを通紙し、記録シート上の未定着画像を熱定着させる定着装置であって、前記筒状回転体は、外周面が絶縁性で筒状の絶縁回転体と、厚み方向に間隔をあけて2層に分離された分離領域と、当該2層が合流する合流領域とを有し、前記2層の内の下層と、前記合流領域とによって前記外周面全体を被覆し、前記合流領域は、前記絶縁回転体の回転軸方向の一方の端部の全周に形成され、前記2層の内、下層は他方の端部上から、また、上層は、当該他方の端部近傍から、それぞれ前記絶縁回転体の全周において前記合流領域へ延びている抵抗発熱体層と、前記2層間に介在し、前記2層を電気的に絶縁する絶縁層と、前記他方の端部側の前記下層の端部上に形成された第一給電電極と、前記端部近傍の前記上層の端部上に形成された第二給電電極と、前記合流領域上に形成された第三給電電極と、を有し、前記第一、第三給電電極間と、前記第二、第三給電電極間とで電気抵抗が略同一になっており、第一及び第二給電電極間のみ通電させることにより、前記2層を直列に接続し、第一及び第三給電電極間と、第二及び第三給電電極間とを通電させることにより、前記2層を並列に接続することが可能なことを特徴とする。
【0011】
前記下層は、第一及び第二給電電極が厚み方向に互いに重なり合わないように配置できるように、前記上層よりも回転軸方向の長さが長くなるように構成されることとすることができる。さらに、前記2層間の間隔は、均一であることとすることができる。
又、前記筒状回転体が所定の向きに配置された場合に、第一給電電極に接触し、前記所定の向きと回転軸方向において反対の向きに配置された場合に、第三給電電極に接触するように配置された第一給電部材と、前記筒状回転体が前記所定の向きに配置された場合に、第二給電電極に接触し、前記反対の向きに配置された場合に、第一給電部材と回転軸方向に所定の間隔をあけて第三給電電極に接触するように配置された第二給電部材と、前記筒状回転体が前記所定の向きに配置された場合に、第三給電電極に接触し、前記反対の向きに配置された場合に、第一及び第二給電電極に接触するように配置された第三給電部材と、給電部材に給電する給電部と、を備え、前記給電部は、第一給電部材と第二給電部材とを接続する第一給電路と、第一給電部材と第三給電部材とを接続する第二給電路と、両給電路を選択的に切替えて前記2層の直列接続と並列接続とを切替える切替スイッチと、を有することとすることができる。
【0012】
さらに、前記筒状回転体が前記所定の向きに配置された場合に、前記切替スイッチを介して給電路を第一給電路に切り替え、前記筒状回転体が前記反対の向きに配置された場合に、前記切替スイッチを介して給電路を第二給電路に切替える給電路切替手段を備えることとすることができる。
又、本発明の一形態に係る画像形成装置は、前記定着装置を備える構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成を備えることにより、以下の効果が得られる。抵抗発熱体層の分離領域の2層が、絶縁回転体の回転軸方向の一方の端部から他方の端部に到るまでの領域において、その全周において形成されているので、筒状回転体における、通紙領域に対応する周面全体を発熱させることができ、当該周面上に非発熱の部分が発生しないようにすることができる。その結果、トナー像の熱定着温度に温度ムラが生じないようにし、電源電圧が異なっても定着品質を劣化させないようにすることができる。
【0014】
又、分離領域の2層の抵抗発熱体層間に絶縁層が介在することにより、電気的に分離された2層の各端部上に第一及び第二電極が形成され、両層の合流領域の端部上に第三電極が形成され、第一、第三給電電極間と、第二、第三給電電極間とで電気抵抗が略同一になるように構成されているので、各給電電極への通電形式を変えることにより、分離された2層の電気的な接続を直列と並列に切替えることができる。その結果、利用可能な電源電圧(100V用電源電圧、200V用電源電圧)に応じて抵抗発熱体層の接続を直列又は並列に切り換えることにより、定着装置を同じ発熱電力で発熱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】プリンタ1の構成を示す図である。
【図2】定着装置5の構成を示す斜視図である。
【図3】給電部54に接続された加熱回転体51の詳細な構造を示す回転軸方向の断面図である。
【図4】図3の接続形式で接続された場合の等価回路図を示す。
【図5】加熱回転体51の向きを、図2における加熱回転体51の向きと回転軸方向において反対むきにして配置した状態で、加熱回転体51と給電部54を接続した場合における、定着装置5の構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示す状態で加熱回転体51を給電部54と接続した場合における、図3に対応する図を示す。
【図7】図6の接続形式で接続された場合の等価回路図を示す。
【図8】給電部の変形例を示す図である。
【図9】給電部の別の変形例を示す図である。
【図10】加熱回転体51の向きを、図3における向きと同じ向きにして配置した場合における、切替スイッチが変形された給電部(符号54Cで示す給電部)と加熱回転体51との電気的接続形式の変形例を示す。
【図11】加熱回転体51の向きを、図10における向きと回転軸方向において反対向きにして配置した場合における、切替スイッチが変形された給電部54Cと加熱回転体51との電気的接続形式の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態)
以下、本発明に係る一形態の画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した場合を例にして説明する。
[1]プリンタの構成
先ず、本実施の形態に係るプリンタ1の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るプリンタ1の構成を示す図である。同図に示すように、このプリンタ1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、制御部60を備えている。
【0017】
プリンタ1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続され、外部の端末装置(不図示)や図示しない操作パネルから印刷指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像を形成することにより、記録シートへの印刷処理を実行する。
以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成要素の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。
【0018】
画像プロセス部3は、作像部3Y、3M、3C、3K、露光部10、中間転写ベルト11、2次転写ローラ45などを有している。
作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様の構成であるため、以下、主として作像部3Yの構成について説明する。
作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、1次転写ローラ34Y、および感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナ35Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。
【0019】
現像器33Yは、感光体ドラム31Yに対向し、感光体ドラム31Yに帯電トナーを搬送する。
中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラ12と従動ローラ13に張架されて矢印C方向に周回駆動される。露光部10は、レーザダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザ光Lを発し、作像部3Y、3M、3C、3Kの各感光体ドラムを露光走査する。
【0020】
この露光走査により、帯電器32Yにより帯電された感光体ドラム31Y上に静電潜像が形成される。作像部3M、3C、3Kの各感光体ドラム上にも同様にして静電潜像が形成される。
各感光体ドラム上に形成された静電潜像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの
各現像器により現像されて各感光体ドラム上に対応する色のトナー像が形成され
る。
【0021】
形成されたトナー像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各1次転写ローラにより、中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わされるように、中間転写ベルト11上にタイミングをずらして順次1次転写された後、2次転写ローラ45による静電力の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に2次転写される。トナー像が2次転写された記録シートは、さらに定着装置5に搬送され、記録シート上のトナー像(未定着画像)が、定着装置5において加熱及び加圧されて記録シート上に熱定着された後、排出ローラ71により排紙トレイ72に排出される。
【0022】
給紙部4は、記録シート(図1の符号Sで表す)を収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ42と、繰り出された記録シートを2次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ44などを備えている。給紙カセットは、1つに限定されず、複数であってもよい。
【0023】
記録シートとしては、大きさや厚さの異なる用紙(普通紙、厚紙)やOHPシートなどのフィルムシートを利用できる。給紙カセットが複数ある場合には、異なる大きさ又は厚さ又は材質の記録シートを複数の給紙カセットに収納することとしてもよい。
繰り出しローラ42、タイミングローラ44等の各ローラは、搬送モータ(不図示)を動力源とし、歯車ギヤやベルトなどの動力伝達機構(不図示)を介して回転駆動される。この搬送モータとしては、例えば、高精度の回転速度の制御が可能なステッピングモータが使用される。
【0024】
記録シートは、中間転写ベルト11上のトナー像の移動タイミングに合わせて
給紙部4から2次転写位置46に搬送され、2次転写ローラ45により中間転写
ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に2次転写される。
[2]定着装置の構成
図2は、定着装置5の構成を示す斜視図である。同図に示すように、定着装置5は、加熱回転体51と、定着ローラ52と、加圧ローラ53と、給電部54と給電ブラシ55、56、57を有する。加熱回転体51は、無端状のベルトからなる筒状の回転体であり、その両端部に給電用の電極511、512、513が設けられている。各電極には給電ブラシ55、56、57を介して給電が行われる。
【0025】
図3は、給電部54に接続された加熱回転体51の詳細な構造を示す回転軸方向の断面図である。同図に示すように、加熱回転体51は、第一絶縁層514と、第一絶縁層514の外周面上に形成され、2層に分離された分離領域と、当該2層が合流する合流領域(図3の右端部領域)とを有する抵抗発熱体層515と、分離された2層間に介在し、分離領域において2層を電気的に分離する第二絶縁層516と、両端部を除く領域において抵抗発熱体層515(主として、分離領域の上の層)を被覆する弾性層517、及び弾性層517を被覆する離型層518から構成される。
【0026】
ここで、抵抗発熱体層515の分離領域は、少なくとも加熱回転体51の外周面上の記録シートが通紙される最大領域をカバーできるように形成される。さらに、抵抗発熱体層514の分離領域の下層及び上層の各端部領域上には、それぞれ電極511、512が形成されている。又、抵抗発熱体層514の合流領域の端部領域上には、電極513が形成されている。
【0027】
図3では、給電部54から給電ブラシ55、56に給電が行われ、抵抗発熱体層515の分離領域の2層が、電気的に直列に接続される。図4は、図3の接続形式で接続された場合の等価回路図を示す。図4の符号515は、それぞれ、分離領域の抵抗発熱体層515を表し、符合54は、給電部を表す。
図5は、加熱回転体51の向きを、図2における加熱回転体51の向きと回転軸方向において反対向きにして配置した状態で、加熱回転体51と給電部54を接続した場合における、定着装置5の構成を示す斜視図である。図6は、図5に示す状態で加熱回転体51を給電部54と接続した場合における、図3に対応する図を示す。
【0028】
図5、図6に示すように、給電部54から給電ブラシ55、57に給電が行われると、図6に示すように、抵抗発熱体層515の分離領域の2層が、電気的に並列に接続される。図7は、図6の接続形式で接続された場合の等価回路図を示す。図7の符号515は、それぞれ、分離領域の抵抗発熱体層515を表し、符合54は、給電部を表す。
このように、抵抗発熱体層515の構造を、加熱回転体51の周面(第一絶縁層514の外周面)全体を被覆しつつ、その分離領域において電気的に分離されるように、第二絶縁層516を挟んで厚み方向に2層に分離された構造とし、分離された2層の各端部上に電極511、512を、その合流領域の端部上に電極513を形成することにより、以下に示す効果が得られる。
【0029】
(1)加熱回転体51の周面全体を発熱させることができ、周面上に非発熱の部分が発生しないようにすることができる。その結果、トナー像の熱定着温度に温度ムラが生じないようにし、電源電圧が異なっても定着品質を劣化させないようにすることができる。
(2)給電部54と加熱回転体51との接続形式を変えることにより、抵抗発熱体層515の分離領域の2層の電気的な接続を直列と並列に切替えることができる。その結果として利用可能な電源電圧(100V用電源電圧、200V用電源電圧)に応じて抵抗発熱体層の接続を直列又は並列に切り換えることにより、定着装置を同じ発熱電力で発熱させることができる。具体的には、抵抗発熱体層515の分離領域の2層の断面積及び回転軸方向の長さを調整することにより、両層の抵抗がほぼ同一となるように構成する。そして、給電部54と加熱回転体51との接続形式を変えることにより、電源電圧として200Vが使用される場合には、電気的に直列接続となるように両層を接続し、電源電圧として100Vが使用される場合には、電気的に並列接続となるように両層を接続する。
【0030】
各層に係る抵抗値をRΩとして両者の場合について、抵抗発熱体層514における発熱電力を計算すると、電源電圧が200Vの場合の発熱電力は、200/2R、すなわち、20000/R、電源電圧が100Vの場合の発熱電力は、各層につき、100/R、両層合わせると、20000/Rとなり、両者の発熱電力は、等しく、同じ発熱電力で発熱させることができる。
【0031】
図3の説明に戻って、電極511〜513は、導電性の材料から構成される。電極の材料としては、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、真鍮、リン青銅等の金属を用いることができる。第一絶縁層514は、加熱回転体51の強度を補強するための層であり、絶縁層の材料として例えば、ポリイミド樹脂を用いることができる。
【0032】
抵抗発熱体層515は、給電部54と電気的に接続され、給電部54から給電を受けることにより、ジュール熱を発生する層である。抵抗発熱体層515は、耐熱性樹脂等の絶縁性材料中に導電性材料を分散させて構成される。抵抗発熱体層515の電気抵抗値(又は体積抵抗率)は、導電性材料の量を調整することにより、所定の電気抵抗値(又は体積抵抗率)に調整される。
【0033】
耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリエチレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリエステル-イミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリ-p-キシリレノン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂などを用いることができる。抵抗発熱体層515に用いる耐熱性樹脂として、耐熱性、絶縁性及び機械的強度等に優れた特性を示すポリイミド樹脂を用いるのが望ましい。
【0034】
導電性材料としては、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)等の金属、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノコイル等を用いることができ、2種類以上の導電性材料(例えば、カーボンナノ材料と金属)を用いることとしてもよい。この場合、金属は、特に針状やフレーク状の銀(Ag)やニッケル(Ni)が好ましく、粒径は0.01〜10μmが良い。これにより、カーボンナノ材料と線状に絡み合うことで均一な電気抵抗を有する抵抗発熱体層515を成型することができる。金属が粒状や粉末状や塊状の場合、抵抗発熱体層515中に混在するカーボンナノ材料と絡み合わず、カーボンナノ材料と点接触することになるため、均一な電気抵抗を有する抵抗発熱体層515が得られにくくなる。
【0035】
抵抗発熱体層515の厚さは、任意であるが、5〜100μm程度が望ましい。抵抗発熱体層515の電気抵抗値は、1.0×10−6〜1.0×10−2Ω・m程度の範囲に設定することができるが、当該電気抵抗値は、1.0×10−5〜5.0×10−3Ω・mの範囲内であることが望ましい。
第二絶縁層516は、抵抗発熱体層515の分離領域の2層間に介在して、2層間が絶縁されるようにするための層であり、絶縁層の材料としては例えば、ポリイミド樹脂を用いることができる。
【0036】
弾性層517は、記録シート上のトナー像に均一かつ柔軟に熱を伝えるための層である。弾性層517を設けることにより、トナー像が押しつぶされたり、トナー像が不均一に溶融されたりするのを防止し、画像ノイズの発生を防止することができる。弾性層517の材料としては、耐熱性と弾性とを有し、絶縁性のゴム材や樹脂材を用いる。例えば、シリコーンゴムを用いることができる。
【0037】
弾性層517の厚さは、10〜800μm、さらに望ましくは100〜300μmの範囲内のものとする。弾性層517の厚さが10μm未満では厚み方向の十分な弾力性を得ることが難しい。又、この厚さが800μmを超えていると、抵抗発熱体層515で発生した熱を加熱回転体51の外周面まで到達させることが難しく、伝熱効率が悪いので好ましくない。
【0038】
離型層518は、加熱回転体51の最外層をなし,加熱回転体51と記録シートとの離型性を高めるための層である。離型層518の材料としては、定着温度での使用に耐えられるとともにトナーに対する離型性に優れたものを使用することができる。例えば、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PTFE(四フッ化エチレン)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化エチレン共重合体)、PFEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)等のフッ素樹脂を使用することができる。離型層518の厚さは5〜100μm、望ましくは10〜50μmの範囲内のものとするのがよい。
【0039】
図2の説明に戻って、定着ローラ52と加圧ローラ53は、芯金522、532の軸方向両端部521、531が図示しないフレームの軸受部に回転自在に軸支される。加圧ローラ53は、不図示の駆動モータからの駆動力が伝達されることにより回転駆動される。この加圧ローラ53の回転に伴って加熱回転体51と定着ローラ52が従動回転する。
定着ローラ52は、長尺で円筒状の芯金522の周囲を断熱層523で被覆されてなり、加熱回転体51の周回経路の内側に配されている。芯金522は、定着ローラ52を支持する部材であり、耐熱性と強度を有する材料から構成される。芯金522の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。
【0040】
断熱層523は、加熱回転体51が発熱した熱を芯金522に逃がさないようにするための層である。断熱層523の材料としては、熱伝導率が低く、耐熱性及び弾性を有するゴム材や樹脂材のスポンジ体(断熱構造体)を用いるのが望ましい。加熱回転体51のたわみを許容し、ニップ幅を広くすることができるからである。断熱層523を、ソリッド体とスポンジ体との2層構造にしてもよい。シリコンスポンジ材を断熱層523として用いる場合には、その厚さを1〜10mmとするのが望ましい。さらに望ましくは、2〜7mmとするのがよい。
【0041】
加圧ローラ53は、円筒状の芯金532の周囲に、弾性層533を介して離型層534が積層されてなり、加熱回転体51の周回経路外側に配置され、加熱回転体51の外側から加熱回転体51を介して定着ローラ52を押圧して、加熱回転体51の外周面との間に周方向に所定幅を有する定着ニップが形成される。芯金532は、加圧ローラ53を支持する部材であり、耐熱性と強度を有する材料から構成される。芯金532の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。
【0042】
弾性層533は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体で、厚さ1〜20mmの範囲内の耐熱性の高い材料で構成される。離型層534は、離型層518と同様に、加圧ローラ53と記録シートとの離型性を高めるための層であり、離型層518と同様の材料及び厚さで構成することができる。
給電部54は、給電用の電源541と、切替スイッチ542を有し、切替スイッチ542を用いて給電ブラシ55〜57への給電路を切り替える。切替スイッチ542が、図2に示す接続状態になっている場合には、給電ブラシ55、56に給電する給電路が形成され、図3に示すように、抵抗発熱体層515の分離領域の2層が電気的に直列に接続される。一方、切替スイッチ542が、図5に示す接続状態になっている場合には、給電ブラシ55、57に給電する給電路が形成され、図6に示すように、抵抗発熱体層515の分離領域の2層が電気的に並列に接続される。
【0043】
[3]加熱回転体の製造方法
本実施の形態に係る加熱回転体51は、以下に示す(1)〜(10)の工程を経て製造される。
(1)円筒状金型の表面へ第一絶縁層514の前駆体を塗布する工程
円筒状の金型の表面に離型剤を塗布して型離れを良くした後、ポリイミド前駆体溶液を第一絶縁層514の前駆体として塗布する。円筒状の金型としては、例えば、アルミニウム製のものを用いることができる。離型剤としては、例えば、シリコーンを用いることができる。ポリイミド前駆体溶液は、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを有機溶媒中で、約90℃以下で反応させることにより得られる。
【0044】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等を用いることができる。
又、芳香族ジアミンとしては、パラフェニレンジアミン(PPD)、メタフェニレンジアミン(MPDA)、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニル等を用いることができる。
(2)第一絶縁層514の成形工程
塗布されたポリイミド前駆体溶液を加熱して第一絶縁層514を成形する。ポリイミド前駆体溶液の加熱は、ポリイミド前駆体が半硬化状態になるように加熱する。例えば、約100℃のオーブンで1時間程度加熱する。
(3)抵抗発熱体層515の前駆体を成形された第一絶縁層514の外周面に塗布する工程
ポリイミド前駆体溶液中に導電性材料を混合することにより、抵抗発熱体層515の前駆体溶液を調製し、成形された第一絶縁層514の一方の端部をマスク(以下、「マスク1」という。)をした状態で成形された第一絶縁層514の外周面に塗布する。ポリイミド前駆体溶液は、(1)の場合と同様にして得られる。抵抗発熱体層515の前駆体溶液は、ポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の固形重量に対して、導電性材料の重量が50〜300重量%となるように、各構成成分が混合されて調製される。導電性材料の重量は、定着装置5の発熱量が500〜1500Wの範囲内になるように、抵抗発熱体層515の電気抵抗値を調整するため、上記範囲に設定されている。
(4)分離領域の抵抗発熱体層515の成形工程
塗布された抵抗発熱体層515の前駆体溶液を、(2)の場合と同様に、ポリイミド前駆体が半硬化状態になるように加熱して分離領域の抵抗発熱体層515の下層を成形する。
【0045】
さらに、成形された分離領域の抵抗発熱体層515の下層の端部((3)でマスク1をした側と反対側の端部)にマスク(以下、「マスク2」という。)をした状態で、当該下層の外周面上にポリイミド前駆体溶液を塗布し、(2)と同様にして第二絶縁層516を成形する。そして、成形された第二絶縁層516の端部(マスク2をした側の端部)にマスク(以下、「マスク3」という。)をした状態でその外周面上に(3)と同様にして、抵抗発熱体層515の前駆体溶液を塗布し、(4)と同様に、ポリイミド前駆体が半硬化状態になるように加熱して分離領域の抵抗発熱体層515の上層を成形し、成形した分離領域の抵抗発熱体層515の上層の端部(マスク2をした側の端部)にマスク(以下、「マスク4」という。)をする。
(5)合流領域の抵抗発熱体層515の成形工程
(3)で使用した第一絶縁層514の端部上のマスク1を除去し、成形された分離領域の抵抗発熱体層515の上層にマスク(以下、「マスク5」という。)をした状態で、(3)と同様にして、抵抗発熱体層515の前駆体溶液を、成形された分離領域の抵抗発熱体層515の高さ(成形された分離領域の抵抗発熱体層515の上下両層の厚みと、成形された第二絶縁層の厚みとを加えた厚み)と同じ高さになるように塗布し、(4)と同様に、ポリイミド前駆体が半硬化状態になるように加熱して合流領域の抵抗発熱体層515を成形し、成形した合流領域の抵抗発熱体層515の端部(マスク2をした側と反対側の端部)にマスク(以下、「マスク6」という。)をする。
(6)ポリイミド前駆体のイミド化工程
(2)、(4)、(5)の工程で成形された各層中のポリイミド前駆体を加熱し、ポリイミド前駆体のイミド化を完了させる。ポリイミド前駆体の加熱は、例えば、約350℃で1時間程度加熱することにより、行う。これにより、各層のイミド化がほぼ同時に完了し、各層間の接着性を高めることができる。
(7)弾性層517の前駆体を抵抗発熱体層515の外面に塗布する工程
(4)の工程で、成形された分離領域の抵抗発熱体層515の上層に設けたマスク5を除去し、(4)、(5)の工程で成形した、分離領域及び合流領域の抵抗発熱体層515の外周面上にプライマーを塗布して乾燥した後、さらに、シリコーンゴム前駆体溶液を塗布する。プライマーとしては、例えば、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製の「XP81−405」を用いることができる。
【0046】
又、シリコーンゴム前駆体溶液としては、例えば、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製の「XP81−A6361」を用いることができる。
(8)弾性層517の成形工程
塗布されたシリコーンゴム前駆体溶液を加熱して一次加硫を行い、弾性層517を成形する。一次加硫は、シリコーンゴム前駆体溶液を、例えば、約150℃のオーブンで10分程度加熱することにより行われる。
(9)離型層518で弾性層517の外面を被覆する工程
弾性層517との接着性をよくするために離型層518の内面にシリコーンゴム前駆体の付加型液状シリコーンゴムを塗布した後、当該離型層518で弾性層517を被覆する。付加型シリコーンゴムとしては、例えば、モメンティブ・パーフォーマンス・マテリアルズ社製の「XE15−B7354−40K×2S」を用いることができる。又、離型層518としては、例えば、PFAチューブを用いることができる。
(10)電極511、512、513の成形工程
残っているマスク2、マスク3、マスク4、マスク6を全て除去し、分離領域の抵抗発熱体層515の下層の端部に電極511を成形し、分離領域の抵抗発熱体層515の上層の端部に電極512を成形し、合流領域の抵抗発熱体層515の端部に電極513を成形する。電極の成形は、例えば、導電性テープを貼り付けたり、導電性ペーストを成形した後、加熱処理を行ったりすることにより、行うことができる。
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
【0047】
(1)本実施の形態では、加熱回転体51の配置方向を変えることで、抵抗発熱体層515の分離領域の2層の電気的な接続を直列と並列に切替えることとしたが、加熱回転体51の配置方向は変えずに給電路が異なる給電部を用いて、抵抗発熱体層515の分離領域の2層の電気的な接続を直列と並列に切替えることとしてもよい。具体的には、図8に示すように、加熱回転体51の給電ブラシ55、56に給電する給電路を有する給電部54Aを用いて、加熱回転体51に給電し、抵抗発熱体層515の分離領域の2層を電気的に直列に接続し、図9に示すように、加熱回転体51の給電ブラシ55〜57に給電する給電路を有する給電部54Bを用いて、加熱回転体51に給電し、抵抗発熱体層515の分離領域の2層を電気的に並列に接続することとしてもよい。
【0048】
(2)本実施の形態の説明で、給電部54の切替スイッチ542の切替方法については、言及しなかったが、当該スイッチの切替は、手動で行ってもよいし、制御部60が、予め定着装置のバージョン情報(100V用バージョンか、200V用バージョンかを示す情報)を記憶しておき、定着装置5の起動時に当該バージョン情報を参照して、当該スイッチの切替を行う(200V用バージョンの場合には、抵抗発熱体層515の分離領域の2層の電気的な接続が直列になるように切替え、100V用バージョンの場合には、当該接続が並列になるように切替える。)こととしてもよい。
【0049】
又、加熱回転体51の回転軸方向の何れかにマークを付けておき、当該マークをセンサで検出することにより、加熱回転体51の配置方向を検出し、検出した配置方向に応じて制御部60が、切替スイッチ542の切替を行うこととしてもよい。
さらに、加熱回転体51の両端部に図10、11に示すように、スイッチをオンにするための突起部519、520を形成し、実施の形態の給電部54の切替スイッチ542をその接続形式が変わらないように、2つのオン・オフ形式のスイッチに分離する構成とし、加熱回転体51の配置方向に応じて、突起部を介してスイッチのオン・オフを切替えて接続形式を切替えることとしてもよい。
【0050】
図10は、加熱回転体51の向きを、図3における向きと同じ向きにして配置した場合における、切替スイッチが変形された給電部(符号54Cで示す給電部)と加熱回転体51との電気的接続形式の変形例を示す。同図に示すように、突起部520により対応するスイッチ542Aがオンされ、これにより、給電部54Cから給電ブラシ55、56に給電が行われ、抵抗発熱体層514の分離領域の2層が、電気的に直列に接続される。
【0051】
図11は、加熱回転体51の向きを、図10における向きと回転軸方向において反対向きにして配置した場合における、切替スイッチが変形された給電部54Cと加熱回転体51との電気的接続形式の変形例を示す。同図に示すように、突起部519により対応するスイッチ542Bがオンされ、これにより、給電部54Cから給電ブラシ55、57に給電が行われ、抵抗発熱体層514の分離領域の2層が、電気的に並列に接続される。
【0052】
(3)本実施の形態においては、電源電圧が100V、200Vの場合について説明したが、電源電圧は、国によって多少のばらつきがある。従って、そのような場合には、給電部54に可変抵抗を設け、給電電圧が100V又は200Vになるように調整することとすればよい。
(4)本実施の形態では、加熱回転体51の給電電極との接続を、給電ブラシを介して行うこととしたが、他の給電部材、例えば、給電ローラを介して行うこととしてもよい。
【0053】
(5)本実施の形態では、ベルト加熱方式の定着装置を用いることとしたが、本実施の形態による効果は、抵抗発熱体層を利用した定着装置であれば、ベルト加熱方式以外の定着装置においても実現することができる。例えば、本実施の形態に係る加熱回転体51の各層の構成を、定着ローラに直接設けることとし、定着装置を定着ローラと加圧ローラとで構成することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、プリンタ、複写機等の画像形成装置が備える定着装置に関し、特に抵抗発熱体層を発熱体として用いた定着装置において、当該定着装置を異なる電源電圧に対して対応可能とする技術として利用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 プリンタ
3 画像プロセス部
3Y〜3K 作像部
4 給紙部
5 定着装置
10 露光部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
31Y 感光体ドラム
32Y 帯電器
33Y 現像器
34Y 1次転写ローラ
35Y クリーナ
41 給紙カセット
42 繰り出しローラ
43 搬送路
44 タイミングローラ
45 2次転写ローラ
46 2次転写位置
51 加熱回転体
52 定着ローラ
53 加圧ローラ
54 給電部
55〜57 給電ブラシ
60 制御部
71 排出ローラ
72 排紙トレイ
511〜513 給電電極
514 第一絶縁層
515 抵抗発熱体層
516 第二絶縁層
517、533 弾性層
518、534 離型層
521、531 芯金端部
522、532 芯金
523 断熱層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電によりジュール発熱する筒状回転体の周面に記録シートを通紙し、記録シート上の未定着画像を熱定着させる定着装置であって、
前記筒状回転体は、
外周面が絶縁性で筒状の絶縁回転体と、
厚み方向に間隔をあけて2層に分離された分離領域と、当該2層が合流する合流領域とを有し、前記2層の内の下層と、前記合流領域とによって前記外周面全体を被覆し、前記合流領域は、前記絶縁回転体の回転軸方向の一方の端部の全周に形成され、前記2層の内、下層は他方の端部上から、また、上層は、当該他方の端部近傍から、それぞれ前記絶縁回転体の全周において前記合流領域へ延びている抵抗発熱体層と、
前記2層間に介在し、前記2層を電気的に絶縁する絶縁層と、
前記他方の端部側の前記下層の端部上に形成された第一給電電極と、
前記端部近傍の前記上層の端部上に形成された第二給電電極と、
前記合流領域上に形成された第三給電電極と、を有し、
前記第一、第三給電電極間と、前記第二、第三給電電極間とで電気抵抗が略同一になっており、
第一及び第二給電電極間のみ通電させることにより、前記2層を直列に接続し、第一及び第三給電電極間と、第二及び第三給電電極間とを通電させることにより、前記2層を並列に接続する
ことが可能なことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記下層は、第一及び第二給電電極が厚み方向に互いに重なり合わないように配置できるように、前記上層よりも回転軸方向の長さが長くなるように構成される
ことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記2層間の間隔は、均一である
ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記筒状回転体が所定の向きに配置された場合に、第一給電電極に接触し、前記所定の向きと回転軸方向において反対の向きに配置された場合に、第三給電電極に接触するように配置された第一給電部材と、
前記筒状回転体が前記所定の向きに配置された場合に、第二給電電極に接触し、前記反対の向きに配置された場合に、第一給電部材と回転軸方向に所定の間隔をあけて第三給電電極に接触するように配置された第二給電部材と、
前記筒状回転体が前記所定の向きに配置された場合に、第三給電電極に接触し、
前記反対の向きに配置された場合に、第一及び第二給電電極に接触するように配置された第三給電部材と、
給電部材に給電する給電部と、
を備え、
前記給電部は、
第一給電部材と第二給電部材とを接続する第一給電路と、
第一給電部材と第三給電部材とを接続する第二給電路と、
両給電路を選択的に切替えて前記2層の直列接続と並列接続とを切替える切替スイッチと、
を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記筒状回転体が前記所定の向きに配置された場合に、前記切替スイッチを介して給電路を第一給電路に切り替え、前記筒状回転体が前記反対の向きに配置された場合に、前記切替スイッチを介して給電路を第二給電路に切替える給電路切替手段
を備えることを特徴とする請求項4記載の定着装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の定着装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−3054(P2012−3054A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138195(P2010−138195)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】