説明

定着装置

【課題】 ニップ内の空気の膨張や水蒸気の発生によるトナー像の乱れを防止しながら、トナー像を定着可能な所謂ベルトニップ方式の定着装置を提供する。
【解決手段】 エンドレスベルト55を介して加熱定着ロール41に圧接力を付与し、当該圧接力が付与された位置がニップ開始位置Aとなるように構成される圧力補助ロール51が、エンドレスベルト55の内側且つ圧力ロール52のエンドレスベルト55回転方向V’上流に配置され、エンドレスベルト55を張架する2以上の張架ロール53,54のうち、圧力補助ロール51のエンドレスベルト55回転方向V’上流1つ目に位置する張架ロール54が、ニップ開始位置Aにおける加熱定着ロール41表面の接線Cに対して加熱定着ロール41表面から離れる方向への、ニップ開始位置A近傍の圧力補助ロール51の弾性体表面を変形させるテンションをエンドレスベルト55に与えるように構成されてなる定着装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真方式を利用した画像形成装置において、未定着トナー像を加熱定着するための定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式を利用した画像形成装置において、未定着トナー像を加熱定着するために、加熱ロールと加圧ロールとから構成される2ロール方式の定着装置が用いられている。当該方式の定着装置は、簡便かつ低コストで小型化が容易であることから多用されている。しかし、加熱定着に有効なニップ幅を広く取ることができず、近年要求されている高速化には対応できないものであった。
【0003】
これに対して、ニップ幅を広めに取ることができ、高速化に対応する定着装置として、ベルトニップ方式が採用されている。図4に、従来のベルトニップ方式の定着装置の概略構成図を示す。図4において、符号101は回転可能に配置された加熱定着ロールである。この加熱定着ロール101は、アルミニウムなどの熱伝導率の高い金属で形成された円筒状のコア103を有し、その表面に弾性体からなる被覆層104を形成したものである。被覆層104は、コア103の表面に直接被覆されたHTV(High Temperature Vulcanization)シリコーンゴムからなる下地層120と、その外側に被覆されたRTV(Room Temperature Vulcanization)シリコーンゴムからなるトップコート層121とを積層したものである。
【0004】
コア103の内部には、加熱源としてハロゲンランプ105が配置されている。また、加熱定着ロール101の表面には温度センサ106が配置され、この表面の温度を計測する。そして、温度センサ106の計測信号により、図示しない温度コントローラが作動してハロゲンランプ105の点滅が制御されて、加熱定着ロール101の表面が所定の温度に調節されるようになっている。
【0005】
さらにこの定着装置においては、圧力ロール125が、圧縮コイルスプリング126によって加熱定着ロール101に対して押圧されている。また、加熱定着ロール101に向けて圧力補助ロール129が押圧されている。そして、圧力ロール125および圧力補助ロール129の周囲には、ロール122,123,124が配置されており、ロール122,123,124、圧力ロール125、圧力補助ロール129の周囲にはエンドレスベルト115が巻回されている。
【0006】
圧力ロール125および圧力補助ロール129が加熱定着ロール101に対して圧接させられていることによって、エンドレスベルト115は加熱定着ロール101に接触して、加熱定着ロール101とエンドレスベルト115との間が、シート107を通過させるためのニップ(ベルトニップ)となる。そして加熱定着ロール101およびエンドレスベルト115が、矢印に示すように回転すると共に、シート107が回転する加熱定着ロール101とエンドレスベルト115との間に搬送され、このシート107がニップを通過する際に、ニップに作用する圧力とハロゲンランプ105から加熱定着ロール101を通じて与えられる熱とにより未定着のトナー108がシート107表面に定着されるようになっている。
【0007】
このようなベルトニップ方式の構成を採用することにより、シート107がニップ幅(図示の例では圧力ロール125と圧力補助ロール129で押さえられているベルトの長さ)に対応する時間加熱されるようになるので、加熱定着ロール101と圧力ロール125のみを圧接させてエンドレスベルト115を使用しない場合に比べると、シート107の搬送速度を大きくしても十分な定着時間を確保することが可能になるという利点がある。また、同じ搬送速度であれば、ベルトニップ方式の方が、エンドレスベルト115を使用しない方式よりも加熱時間が長くなり、より多量の熱をトナーに与えることができるため、ベルトニップ方式は特に多層のトナーを所望の色に発色させるカラー複写機の定着に適している。
【0008】
しかしながら、前述のベルトニップ方式の定着装置には、次のような問題があった。
すなわち、トナー108として、現在主流となっている熱融着式のトナーを利用した場合には、シート107を必ず加熱してトナー108をシート107に融着させなければならないが、この加熱の際には暖まったシート107の繊維の間隙やトナー粒子の間隙から空気が熱膨張したり水蒸気が蒸発してくる。このような空気や水蒸気は、シート107がニップ内で加熱されることにより発生し、シート107がニップを通過するまでニップ内、具体的にはシート107と加熱定着ロール101またはエンドレスベルト115との間に気泡となって介在し、シート107がニップを通過し終えると同時に外部に排出される。
【0009】
図5に、ニップ領域内の加熱定着ロール101の周方向位置によるニップ圧分布(圧力プロファイル)を示す。図5に示されるように、このニップ領域内では、圧力ロール125による押圧部と圧力補助ロール129による押圧部との間に、圧接力の小さい領域が広く存在しており、この領域に気泡が介在すると、加熱定着ロール101とエンドレスベルト115との間にギャップが生じることがある。このようなギャップが生じると、ニップ内にあるシート107上のトナー108がまだ全て定着していない状態では、未定着のトナー108が、気泡が動き回ることによって移動してしまうことがある。このため、トナー画像のズレや乱れが発生するという問題点がある。
【0010】
これは、図6に示される定着装置のように、圧力補助ロール129’を大径化し、且つ、弾性層厚みを大きく、硬度を下げることにより、加熱定着ロールに当てつけた時の圧力補助ロール129’によるニップ圧が作用している領域(押圧部)の幅を大きくすることで改善される。図6に示される定着装置におけるニップ領域内のニップ圧分布(圧力プロファイル)を図7に示す。図6に示されるような構成を採ることにより、ベルトニップ領域の押圧部を、周方向に幅広く形成することが可能となり、ニップ内で加圧力が小さくなる部分を少なくすることが出来る。従って、シートやトナー粒子間に含まれる空気や水蒸気の熱膨張による画像ズレを抑制することが出来る。
【0011】
一方、圧力補助ロールの代わりに、加熱定着ロールの外形を反転させた形状を持つ弾性パッドを用いても、同様の効果が得られる。しかし、パッドを用いた構成では、高速定着に対応するために押圧力を大きくすると、エンドレスベルト115とパッドとの摺動抵抗が増大することにより、定着時におけるトナー108が加熱定着ロール101から受ける剪断力が大きくなることによる画像のニジミやズレなどが発生したり、加熱定着ロール101の回転に必要なトルクが大きくなることによるモータなどの装置の大型化を招いたり等の不具合がある。このため、より高速度の定着装置を得るためには、パッドよりもロール状の圧力補助部材を用いることが望まれる。
【0012】
しかしながら、前述のベルトニップ方式の定着装置には、以下のような問題がある。すなわち、圧力ロール125による押圧部と圧力補助ロール129による押圧部との間の圧接力の小さい領域を小さくするために、圧力補助ロール129と圧力ロール125との軸間距離を近付ける必要がある。そのためには、圧力補助ロールの弾性層厚みをなるべく大きくする必要がある。しかし、装置のレイアウト上、圧力補助ロールの外径を無制限に大きく出来ないことから、その芯金の直径が全体のロール外径に対して相対的に小さくせざるを得ない(すなわち、小径の芯金に厚膜の弾性層を形成した圧力補助ロールとせざるを得ない。)。このような圧力補助ロールのニップ圧のプロファイルは、ニップ両端部の圧力が小さくなってしまう。
【0013】
図8に、芯金が同径で大小2つの圧力補助ロールを例示し、それらにより形成されるニップの圧力プロファイルを示す。図8に示されように、最大の加圧力の値を一致させた時の大小両径の圧力補助ロールの圧力プロファイルを比較した場合、大径ロールAのニップの入口/出口付近は、(1)ロール外形が円弧形状であり、ニップ入口/出口付近の変形が中央部の変形よりも小さい、(2)芯金から距離が大きいニップ入口/出口付近ではゴムの変形が大きいため、芯金からの押圧力が逃げる、という理由により、加圧力が小さくなる。
これにより、シート107とトナー108とが接触し、シートやトナー粒子間に含まれる空気や水蒸気の熱膨張が開始された時点における加圧力が小さいため、半溶融状態のトナー(この時点ではシートとトナーは十分に接着していない)が移動し、画像ズレや乱れなどが発生するという問題点がある。
【0014】
【特許文献1】特開平08−166734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この発明は、上記課題を考慮してなされたものであり、その目的は、所謂ベルトニップ方式の定着装置において、ニップ(ベルトニップ)内の空気の膨張や水蒸気の発生によるトナー像の乱れを防止しながら、トナー像を定着することができる定着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を達成するため、本発明の定着装置は、表面近傍に弾性体層を有し、回転可能に支持された加熱定着ロールと、
外周面が前記加熱定着ロールに接触して回転し、トナー像を担持した記録シートが前記加熱定着ロールとの間に挟み込まれるニップを形成する無端状のエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトの内側に配置され、前記エンドレスベルトを介して前記加熱定着ロールの表面を押圧する圧力ロールと、
前記エンドレスベルトの内側且つ前記圧力ロールのエンドレスベルト回転方向上流に配置され、その表面が前記加熱定着ロール表面より低硬度の弾性体からなり、前記エンドレスベルトを介して前記加熱定着ロールに圧接力を付与し、当該圧接力が付与された位置が前記ニップの開始位置となるように構成される圧力補助ロールと、
前記エンドレスベルトの内側で、前記圧力ロールのエンドレスベルト回転方向下流且つ前記圧力補助ロールのエンドレスベルト回転方向上流に配置され、前記加熱定着ロールに圧接力を付与せず前記エンドレスベルトを張架する2以上の張架ロールと、
を含み、前記2以上の張架ロールのうち、前記圧力補助ロールのエンドレスベルト回転方向上流1つ目に位置する張架ロールが、前記ニップ開始位置における加熱定着ロール表面の接線に対して該加熱定着ロール表面から離れる方向への、前記ニップ開始位置近傍の前記圧力補助ロールの弾性体表面を変形させるテンションを前記エンドレスベルトに与えるように構成されてなることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、前記ニップ開始位置において、前記エンドレスベルトに前記加熱定着ロール表面から離れる方向へのテンションを与えているため、前記ニップ開始位置近傍の前記圧力補助ロールの弾性体表面が前記加熱定着ロール表面から離れる方向に変形する。
【0018】
これにより、圧力補助ロールのプロセス方向(エンドレスベルト回転方向)の加圧プロファイルも変化し、圧力開始位置がニップ中央部に移動する。一方、ニップ中央付近においては、エンドレスベルトの上記テンションにより発生するロール表面を変形させる力よりも、前記加熱ロールに対する圧力補助ロールの圧接力の方が遙かに大きいため、ニップ中央部付近の圧力プロファイルは変化しない。これらの関係より、ニップ入口近傍の圧力補助ロールの加圧力の立ち上がりが急峻になり、ニップ入口における低加圧部分が小さくなる。この作用によって、半溶融状態のトナーの移動が規制され、画像ズレなどの発生が防止される。
【0019】
また、本発明の構成は、圧力補助ロールに関する改善であるため、対向する部材の形態によらず効果を発揮する。すなわち、加熱定着ロールとエンドレスベルトの組み合わせだけではなく、加熱定着ロールに張架されたエンドレスベルトと、そのエンドレスベルトとニップを形成するエンドレスベルトを有する、所謂2ベルト構成であっても、同様の効果が発揮される。以下、前者(ロール−ベルトニップ方式)の定着装置を第1の本発明と称し、後者(ベルト−ベルトニップ方式)の定着装置を第2の本発明と称する。
【0020】
詳しくは、第2の本発明の定着装置は、回転可能に支持された加熱ロールと、
表面付近に弾性体層を有し前記加熱ロールを含む複数のロールに張架され、前記加熱ロールの回転によって回転する無端状の定着ベルトと、
該定着ベルトにおける前記加熱ロールが内周面に当接する部位の外周面に、外周面が接触して回転し、トナー像を担持した記録シートが前記定着ベルトとの間に挟み込まれるニップを形成するエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトの内側に配置され、前記エンドレスベルトおよび前記定着ベルトを介して前記加熱ロールの表面を押圧する圧力ロールと、
前記エンドレスベルトの内側且つ前記圧力ロールのエンドレスベルト回転方向上流に配置され、その表面が前記加熱ロール表面より低硬度の弾性体からなり、前記エンドレスベルトおよび前記定着ベルトを介して前記加熱ロールに圧接力を付与し、当該圧接力が付与された位置が前記ニップの開始位置となるように構成される圧力補助ロールと、
前記エンドレスベルトの内側で、前記圧力ロールのエンドレスベルト回転方向下流且つ前記圧力補助ロールのエンドレスベルト回転方向上流に配置され、前記加熱ロールに圧接力を付与せず前記エンドレスベルトを張架する2以上の張架ロールと、
を含み、前記2以上の張架ロールのうち、前記圧力補助ロールのエンドレスベルト回転方向上流1つ目に位置する張架ロールが、前記ニップ開始位置における加熱ロール表面の接線に対して該加熱ロール表面から離れる方向への、前記ニップ開始位置近傍の前記圧力補助ロールの弾性体表面を変形させるテンションを前記エンドレスベルトに与えるように構成されてなることを特徴とする。
【0021】
本発明(以下、単に「本発明」という場合には、第1の本発明と第2の本発明の双方を指すものとする。)において、前記加熱定着ロール(第1の本発明の場合)あるいは前記加熱ロール(第2の本発明の場合)表面の接線と、前記エンドレスベルトの前記張架ロールによりテンションが掛けられた領域との成す角としては、10°〜60°の範囲であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の定着装置によれば、ニップ(ベルトニップ)開始位置における加熱定着ロール表面の接線に対して該加熱定着ロール表面から離れる方向への、前記ニップ開始位置近傍の圧力補助ロールの弾性体表面を変形させるテンションをエンドレスベルトに与えるように構成されているため、圧力補助ロールの押圧力の立ち上がりが急峻となり、加熱開始時にニップ内の空気の膨張や水蒸気による記録シートやトナー粒子間から生ずる基体によりトナー画像の乱されるのを抑制することができる。したがって、未定着のトナー画像を乱されることなく定着することができる。
【0023】
本発明の構成は、主として圧力補助ロールに関する改善であるため、対向する部材の形態によらず効果を発揮する。すなわち、加熱定着ロールとエンドレスベルトとの組み合わせからなる所謂ロール−ベルトニップ方式の定着装置のみならず、加熱ロールに張架された定着ベルトと、該ニップ定着ベルトに当接してニップを形成するエンドレスベルトとの組み合わせからなるベルト−ベルトニップ方式の定着装置であっても、同様の効果が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、好ましい実施形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
<第1の実施形態>
先ず、本発明の例示的一態様である第1の実施形態の定着装置について、図面を用いて説明する。本実施形態の定着装置は、第1の本発明の一例である。
【0025】
図1は、本実施形態の定着装置を模式的に示す概略構成図である。この定着装置では、圧力ロール52および2本の支持ロール(張架ロール)53,54の3つのロールにより無端状のエンドレスベルト55が張架されており、圧力ロール52が、加熱源としてのハロゲンランプ45を内蔵した加熱定着ロール41にエンドレスベルト55を圧接するように構成されている。
【0026】
そして、加熱定着ロール41とエンドレスベルト55との間に、表面に未定着のトナー48からなる像(トナー像)が形成されたシート(記録シート)47が挿通される(挟み込まれる)ニップ(図中、矢示A−B間の領域。以下「ニップA−B」と称し、Aを「ニップ開始位置」、Bを「ニップ終了位置」とそれぞれ称する。)が形成される。加熱定着ロール41は矢印V方向に回転駆動し、これに連れてエンドレスベルト55も矢印V’方向(搬送方向、プロセス方向)に従動回転する。
【0027】
また、エンドレスベルト55の内側であって、圧力ロール52と支持ロール54との間には、その表面が加熱定着ロール41表面より低硬度の弾性体からなり、エンドレスベルト55を介して加熱定着ロール41に圧接力を付与する圧力補助ロール51が配設されている。圧力補助ロール51により圧接力が付与された位置の、搬送方向(矢印V’方向)上流端が、ニップ開始位置Aとなり、圧力ロール52により圧接力が付与された位置の、搬送方向(矢印V’方向)下流端が、ニップ終了位置Bとなる。
【0028】
支持ロール54は、ニップ開始位置Aから支持ロール54までの間に張られたエンドレスベルト55を、ニップ開始位置Aにおける加熱定着ロール41表面の接線(図1における一点鎖線C)に対して加熱定着ロール41表面から離れる方向(図1における下方向)にテンション(以下、「特定テンション」という場合がある。)がかけられるように配され、かつ、エンドレスベルト55を張架する。すると、ニップ開始位置A近傍の圧力補助ロール51の弾性体表面が変形して、エンドレスベルト55の特定テンションに連れて引っ張られた状態となる。
【0029】
上記作用を、図2を用いて説明する。ここで、図2は、特定テンションの有無ごとの、本実施形態における圧力補助ロール51によるニップ圧の圧力プロファイルと圧力補助ロール51の外形とを模式的に示す説明図である。
エンドレスベルト55に加熱定着ロール41から離れる方向のテンション(特定テンション)を与えることにより、圧力補助ロール51は加熱定着ロール41表面から離れる方向に変形する(図2中の実線参照)。これにより、圧力補助ロール51のプロセス方向の加圧プロファイルも変化し、ニップ開始位置Aがニップ中央部に移動する。
【0030】
一方、ニップ中央付近においては、エンドレスベルト55の特定テンションにより発生する圧力補助ロール51表面を変形させる力よりも、特定テンションがかかっていない場合においても生じている通常の圧接によるニップ圧の方が遙かに大きいため、ニップ中央部付近の圧力プロファイルはほとんど変化しない。
これらの関係より、ニップ入口近傍の圧力補助ロール51のニップ圧の立ち上がりが急峻になり、ニップ入口における低加圧部分が小さくなる。この作用によって、トナー48からなる像(トナー像)が形成されたシート47が当該ニップに挿通される際に、半溶融状態のトナーの移動が規制され、画像ズレなどの発生が防止される。
【0031】
以下、本実施形態の定着装置のさらに詳細な仕様について説明する。
支持ロール54は、ニップ開始位置Aにおける加熱定着ロール41表面の接線(図1における一点鎖線C)と、ニップ開始位置Aから支持ロール54までの間のエンドレスベルト55との成す角(図1における角α)が、15[゜]または30[゜]となる位置に固定されるようになっている。なお、後述するように当該定着装置は、上記成す角αを0[゜]に固定することもできるように構成されている。
【0032】
この成す角αについては、本実施形態では15゜および30゜を採用しているが、本発明においてはこれらに限定されるわけではなく、圧力補助ロールの外形や表面硬度、エンドレスベルトの張力、用いるトナーや記録シートの材質等により最適な条件を適宜設定すればよい。具体的には、おおよそ10°〜60°の範囲内から選択されることが好ましく、20°〜50°の範囲内から選択されることがより好ましく、30°〜40°の範囲内から選択されることがさらに好ましい。
【0033】
成す角αが10°未満では、特定テンションによる圧力補助ロールの外形変形が十分となら無い可能性がある。一方、成す角αが60°を超えると、特定のテンションによる圧力補助ロールの外形変形の作用が、ニップ開始位置よりも圧力補助ロール回転方向上流にかかってしまい、ニップ開始位置に適切な圧力プロファイルを与えることが困難になる可能性がある。
【0034】
エンドレスベルト55は、厚さ75μm、幅300mmのポリイミド基材層の外周面側に、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)がスプレーコートされ、厚さ40μmの離型層が形成されてなる。このエンドレスベルト55は、圧力ロール52および支持ロール53,54の周囲に約98N(約10kgf)の張力で巻回されている。圧力ロール52および支持ロール53,54はステンレス製であり、その直径は、順に23mm,18mm,18mmである。
【0035】
圧力ロール52は、加熱定着ロール41の回転方向における圧力補助ロール51の下流側に設けられており、コイルスプリング57によって加熱定着ロール41に約490N(約50kgf)の荷重で押圧されている。これにより、加熱定着ロール41の弾性層(下地層43aおよびトップコート層43b)に局部的に変形を生じさせるようになっている。この圧力ロール52および圧力補助ロール51によって、エンドレスベルト55が加熱定着ロール41に巻き付くように圧接されており、これらの配置により、加熱定着ロール41へのエンドレスベルト55の巻付角度は約50[゜]となっており、ニップA−Bの幅(ニップ幅)は30mmとなる。
【0036】
圧力補助ロール51は、外径がφ35[mm]で、ステンレス製芯金に弾性層が形成されてなるものである。該ステンレス製芯金の直径はφ10[mm]で、軸方向長さが330[mm]であり、前記弾性層は発泡シリコーンゴム製で、ゴム硬度は25[゜](ASKER−C)である。圧力補助ロール51の接触荷重は約588N(60kgf)に設定されており、接触面のニップ幅が17mmであることから、圧力補助ロール51の平均接触圧力は、10.5N(1.07kgf/cm2)となっている。
【0037】
加熱定着ロール41は、内部に円筒状のコア42を有しており、モータ46によって矢印V方向(周方向)に回転駆動されるものである。このコア42は、アルミニウム製で外径62mm、長さ350mmの円筒状のものである。コア42の表面には、下地層43aとして硬度35°(JIS−A)のHTVシリコーンゴムが厚さ1.5mmで直接被覆され、さらにその上にトップコート層43bとしてPFAが厚さ30μmで鏡面に近い状態に表面コートされている。なお、コア42としてはアルミニウムでなくても熱伝導率の高い金属製のものを使用することができる。
【0038】
コア42の内部には、加熱源として出力1500Wのハロゲンランプ45が配置されている。また、加熱定着ロール41の表面には温度センサ50が配置され、この表面の温度を計測する。そして、温度センサ50の計測信号により、図示しない温度コントローラによってハロゲンランプ45がフィードバック制御されて、加熱定着ロール41の表面が160℃に調節されるようになっている。
加熱定着ロール41は、モータ46により周速度V=270mm/secで矢印V方向に回転しており、この回転によりエンドレスベルト55も速度270mm/secで矢印V’方向に従動回転するようになっている。
【0039】
次に、本実施形態の定着装置の動作について説明する。本実施形態の定着装置では、図1の右側(プロセス方向上流)において、図示しない転写装置によりシート47の表面にトナー48の像が転写され、ニップA−Bに向けてこのシート47が搬送されてくる。シート47は、ニップA−Bにおける圧力補助ロール51が配置されている位置、すなわちニップ開始位置Aに進入する。そして、ニップA−Bに作用する圧力とハロゲンランプ45によって加熱定着ロール41を通じて与えられる熱により、トナー48の像がシート47表面に定着される。
【0040】
ここで、特定テンションかかけられず、圧力補助ロール51によるニップ開始位置A近傍の押圧力が小さい場合は、ニップ進入直後に、シート47の繊維間およびトナー48の粒子間に含まれている空気や水蒸気が膨張ないし蒸発して、シート47と加熱定着ロール41との間に滲みだしてくる。そして、この空気や水蒸気が未定着のトナー48を移動させ、画像ズレとなる。
【0041】
しかし、本実施形態の定着装置では、図2を用いて説明したとおり、圧力補助ロール51の接触直後から急峻に圧力プロファイルが立ち上がり、すぐに高い押圧力でエンドレスベルト55を加熱定着ロール41に押し付けた状態になる。そのため、シート47やトナー48から空気や水蒸気が膨張して滲み出すのを抑制することができる。したがって、未定着のトナー48の移動を防止することができる。
【0042】
これと同時に、圧力補助ロール51の接触面で大きな面積にわたって、エンドレスベルト55と加熱定着ロール41との間に作用する圧接力を与えることができるので、ニップA−B間を通過するシート47表面のトナー48をエンドレスベルト55と加熱定着ロール41とで確実に押さえて定着させることが可能である。このようにして、トナー像の乱れを防止しながら、トナー像を定着させることができる。すなわち、定着された画像に像ズレなどの乱れが生じるのを防止することが可能である。
【0043】
―評価試験―
以上の条件で画像出力を行い、画像ズレの発生を確認する試験を行った。テスト条件は、画像ズレが起こりやすいストレス条件とした。具体的には、用紙はA4サイズの王子製紙(株)製OKトップコートN(127.9[g/m2])とし、高温高湿条件(30[℃]、85[%])で8時間調湿したものを用いた。
【0044】
この用紙に、画像ズレの目視検知が最も容易なサイアン単色のベタ画像(濃度100[%])をトナー48の像として転写し、その未定着トナー画像を上記定着装置で定着したときの画像ズレの有無を目視/ルーペで判断した。
このとき、既述の成す角αが、15[゜]および30[゜]となるように支持ロール54を固定した本発明の態様に当たる実施例(前者が実施例1、後者が実施例2)と、0[゜]となるように支持ロール54を固定した比較例(比較例1)との計3水準で試験を行った。用紙を50[枚]通紙した時の画像ズレの発生頻度を下記表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
上記表1の結果からわかるように、成す角αが0゜である比較例1では、多くのサンプルに画像ズレが確認されたが、成す角αが15゜である実施例1ではこれが激減し、成す角αが30゜である実施例2では画像ズレの発生が認められなかった。このことから、第1の本発明の構成は画像ズレに効果があることが確認され、特に本実施形態の構成においては、成す角αを30゜とすることが適切であることがわかる。
【0047】
<第2の実施形態>
次に、本発明の他の例示的一態様である第2の実施形態の定着装置について、図面を用いて説明する。本実施形態の定着装置は、第2の本発明の一例である。
図3は、本実施形態の定着装置を模式的に示す概略構成図である。なお、本実施形態においては、第1の実施形態と同様の構成を多く含むため、図3において同一の機能を示す部材には、図1と同一の符号を付して、その詳細な説明は割愛することにする。
【0048】
本実施形態の定着装置においても、第1の実施形態同様、圧力ロール52および2本の支持ロール(張架ロール)53,54の3つのロールにより無端状のエンドレスベルト55が張架されているが、圧力ロール52が圧接する相手側の構成が、第1の実施形態とは異なっている。
【0049】
すなわち、圧力ロール52が、第1の実施形態における加熱定着ロール41に類似した、加熱源としてのハロゲンランプ45を内蔵する加熱ロール41’に圧接するように構成されているが、両者間にエンドレスベルト55のみならず定着ベルト60も介在しており、このエンドレスベルト55と定着ベルト60との間に、表面に未定着のトナー48の像が形成されたシート47が挿通されるニップ(図中、矢示A’−B’間の領域。以下「ニップA’−B’」と称し、A’を「ニップ開始位置」、B’を「ニップ終了位置」とそれぞれ称する。)が形成される。
【0050】
加熱ロール41’は、第1の実施形態における加熱定着ロール41におけるトップコート層43bが形成されていない構造である。そして当該トップコート層43bを下地層43aから引き剥がし、そのまま周長を長くして無端ベルト状に成形した様な構造のものが、本実施形態における定着ベルト60に当たる。勿論、これは定着ベルト60を概念的に捉えた説明であり、このように製造したものが定着ベルト60であることを意味するものではない。
定着ベルト60は、その内周に当接する加熱ロール41’および第2外部加熱ロール59に架け渡され、かつ外周から第1外部加熱ロール58が当接し押圧することで、張架されている。
【0051】
支持ロール54は、ニップ開始位置A’から支持ロール54までの間に張られたエンドレスベルト55を、ニップ開始位置A’における加熱ロール41’表面の接線(図3における一点鎖線C’)に対して加熱ロール41’表面から離れる方向(図3における下方向)に特定テンションがかけられるように配され、かつ、エンドレスベルト55を張架する。すると、ニップ開始位置A’近傍の圧力補助ロール51の弾性体表面が変形して、エンドレスベルト55の特定テンションに連れて引っ張られた状態となる。
上記作用については、第1の実施形態において図2を用いて説明した通りであるため、詳細な説明は省略する。
【0052】
以下、本実施形態の定着装置のさらに詳細な仕様について説明する。なお、以下に説明が無いものについては、第1の実施形態と同一である。
支持ロール54は、ニップ開始位置A’における加熱ロール41’表面の接線(図3における一点鎖線C’)と、ニップ開始位置A’から支持ロール54までの間のエンドレスベルト55との成す角(図3における角β)が、30[゜]となる位置に固定されている。当該成す角βの考え方、好ましい範囲等は第1の実施形態における成す角αと同様である。
【0053】
エンドレスベルト55は、圧力ロール52および支持ロール53,54の周囲に約147N(約15kgf)の張力で巻回されている。圧力ロール52および支持ロール53,54はステンレス製であり、その直径は、順に40mm,25mm,25mmである。
圧力ロール52は、コイルスプリング57によって加熱ロール41’に約980N(約100kgf)の荷重で押圧されている。加熱ロール41’へのエンドレスベルト55の巻付角度は約50[゜]となっており、ニップA’−B’の幅(ニップ幅)は45mmとなる。
【0054】
圧力補助ロール51は、外径がφ50[mm]で、ステンレス製芯金に弾性層が形成されてなるものである。該ステンレス製芯金の直径はφ13[mm]で、軸方向長さが390[mm]であり、前記弾性層は発泡シリコーンゴム製で、ゴム硬度は25[゜](ASKER−C)である。圧力補助ロール51の接触荷重は約980N(100kgf)に設定されており、接触面のニップ幅が25mmであることから、圧力補助ロール51の平均接触圧力は、10.1N(1.03kgf/cm2)となっている。
【0055】
加熱ロール41’は、内部に円筒状のコア42を有しており、モータ46によって矢印V方向(周方向に回転駆動されるものである。このコア42は、アルミニウム製で外径96mm、長さ390mmの円筒状のものである。コア42の表面には、下地層43aとして硬度35°(JIS−A)のHTVシリコーンゴムが厚さ2mmで直接被覆されている。なお、コア42としてはアルミニウムでなくても熱伝導率の高い金属製のものを使用できる。
コア42の内部には、加熱源として出力1000wのハロゲンランプ45が配置されている。
【0056】
定着ベルト60は、既述の如く、加熱ロール41’、第1外部加熱ロール58および第2外部加熱ロール59によって張架されており、厚さ75μm、幅300mmのポリイミド基材層の外周面に、厚さ200μmのシリコーンゴム製の弾性層(硬度20[゜](JIS−A))および厚さ30μmのPFA製の離型層が形成されている。この定着ベルト60は、約98N(約10kgf)の張力で巻回されている。
【0057】
第1外部加熱ロール58、第2外部加熱ロール59の内部には、加熱源として出力1000wのハロゲンランプ45’および45”が配置されている。また、第1外部加熱ロール58、第2外部加熱ロール59の表面には温度センサ50’および50”が配置され、この表面の温度を計測する。そして、温度センサ50’および50”の計測信号により、図示しない温度コントローラによってハロゲンランプ45’および45”がそれぞれフィードバック制御されて、第1外部加熱ロール58、第2外部加熱ロール59の表面が170℃に調節されるようになっている。
【0058】
加熱ロール41’が、モータ46により周速度V=300mm/secで矢印V方向に回転しており、この回転により定着ベルト60およびエンドレスベルト55も速度300mm/secで矢印V方向および矢印V’方向に従動回転するようになっている。
【0059】
―評価試験〜実施例3―
以上の条件で画像出力を行い、画像ズレの発生を確認する試験を行った。テスト条件は、像ズレが起こりやすいストレス条件とした。具体的には、用紙はA4サイズの王子製紙(株)製OKトップコートN(127.9[g/m2])とし、高温高湿条件(30[℃]×85[%])で8時間調湿したものを用いた。
この用紙に、画像ズレの目視検知が最も容易なサイアン単色のベタ画像(濃度100[%])をトナー48の像として転写し、その未定着トナー画像を上記定着装置で定着したときの画像ズレの有無を目視/ルーペで判断した。用紙を50[枚]通紙した時の像ズレの発生頻度を、下記表2に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
上記表2の結果からわかるように、ベルト−ベルトニップ方式の構成であっても、本発明の構成を適用することにより、画像ズレの発生が防止されることがわかる。したがって、第1の本発明の構成は画像ズレに効果があることが確認された。
【0062】
以上、本発明を2つの実施形態を挙げて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、当業者は公知の知見により、適宜変更を加えることができ、本発明の構成を具備する限りいずれも本発明の範疇に含まれる。
【0063】
例えば、本実施形態においてエンドレスベルト周内の張架ロール(支持ロール)は、2個の例を挙げているが、本発明においては2個に限定されるものではなく、2個以上のいずれの個数でも構わない。第2の実施形態における外部加熱ロールの個数についても2個に限定されず、1個以上のあらゆる個数であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1の本発明の例示的一態様である第1の実施形態の定着装置を模式的に示す概略構成図である。
【図2】図1の定着装置における特定テンションの有無ごとの、本実施形態における圧力補助ロールによるニップ圧の圧力プロファイルと圧力補助ロールの外形とを模式的に示す説明図である。
【図3】第2の本発明の例示的一態様である第2の実施形態の定着装置を模式的に示す概略構成図である。
【図4】従来のベルトニップ方式の定着装置の概略構成図である。
【図5】図4の定着装置におけるニップ領域内の加熱定着ロールの周方向位置によるニップ圧分布を示すグラフ(圧力プロファイル)である。
【図6】図4の定着装置における圧力補助ロールを改良した定着装置の概略構成図である。
【図7】図6の定着装置におけるニップ領域内のニップ圧分布を示すグラフ(圧力プロファイル)である。
【図8】大小2つの圧力補助ロールの正面図と、それらにより形成されるニップのニップ圧分布を示すグラフ(圧力プロファイル)とを併記したものである。
【符号の説明】
【0065】
41,101 加熱定着ロール、 41’ 加熱ロール、 42,103 コア、 43a,120 下地層、 43b,121 トップコート層、 45,45’,45”,105 ハロゲンランプ、 46 モータ、 47,107 シート(記録シート)、 48,108 トナー、 50,106 温度センサ、 51,129 圧力補助ロール、 52,125 圧力ロール、 53,54 支持ロール(張架ロール)、 55,115 エンドレスベルト、 57 コイルスプリング、 58 第1外部加熱ロール、 59 第2外部加熱ロール、 60 定着ベルト、 104 被覆層、 122,123,124 ロール、 126 圧縮コイルスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面近傍に弾性体層を有し、回転可能に支持された加熱定着ロールと、
外周面が前記加熱定着ロールに接触して回転し、トナー像を担持した記録シートが前記加熱定着ロールとの間に挟み込まれるニップを形成する無端状のエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトの内側に配置され、前記エンドレスベルトを介して前記加熱定着ロールの表面を押圧する圧力ロールと、
前記エンドレスベルトの内側且つ前記圧力ロールのエンドレスベルト回転方向上流に配置され、その表面が前記加熱定着ロール表面より低硬度の弾性体からなり、前記エンドレスベルトを介して前記加熱定着ロールに圧接力を付与し、当該圧接力が付与された位置が前記ニップの開始位置となるように構成される圧力補助ロールと、
前記エンドレスベルトの内側で、前記圧力ロールのエンドレスベルト回転方向下流且つ前記圧力補助ロールのエンドレスベルト回転方向上流に配置され、前記加熱定着ロールに圧接力を付与せず前記エンドレスベルトを張架する2以上の張架ロールと、
を含み、前記2以上の張架ロールのうち、前記圧力補助ロールのエンドレスベルト回転方向上流1つ目に位置する張架ロールが、前記ニップ開始位置における加熱定着ロール表面の接線に対して該加熱定着ロール表面から離れる方向への、前記ニップ開始位置近傍の前記圧力補助ロールの弾性体表面を変形させるテンションを前記エンドレスベルトに与えるように構成されてなることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記加熱定着ロール表面の接線と、前記エンドレスベルトの前記張架ロールによりテンションが掛けられた領域との成す角が、10°〜60°の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
回転可能に支持された加熱ロールと、
表面付近に弾性体層を有し前記加熱ロールを含む複数のロールに張架され、前記加熱ロールの回転によって回転する無端状の定着ベルトと、
該定着ベルトにおける前記加熱ロールが内周面に当接する部位の外周面に、外周面が接触して回転し、トナー像を担持した記録シートが前記定着ベルトとの間に挟み込まれるニップを形成するエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトの内側に配置され、前記エンドレスベルトおよび前記定着ベルトを介して前記加熱ロールの表面を押圧する圧力ロールと、
前記エンドレスベルトの内側且つ前記圧力ロールのエンドレスベルト回転方向上流に配置され、その表面が前記加熱ロール表面より低硬度の弾性体からなり、前記エンドレスベルトおよび前記定着ベルトを介して前記加熱ロールに圧接力を付与し、当該圧接力が付与された位置が前記ニップの開始位置となるように構成される圧力補助ロールと、
前記エンドレスベルトの内側で、前記圧力ロールのエンドレスベルト回転方向下流且つ前記圧力補助ロールのエンドレスベルト回転方向上流に配置され、前記加熱ロールに圧接力を付与せず前記エンドレスベルトを張架する2以上の張架ロールと、
を含み、前記2以上の張架ロールのうち、前記圧力補助ロールのエンドレスベルト回転方向上流1つ目に位置する張架ロールが、前記ニップ開始位置における加熱ロール表面の接線に対して該加熱ロール表面から離れる方向への、前記ニップ開始位置近傍の前記圧力補助ロールの弾性体表面を変形させるテンションを前記エンドレスベルトに与えるように構成されてなることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
前記加熱ロール表面の接線と、前記エンドレスベルトの前記張架ロールによりテンションが掛けられた領域との成す角が、10°〜60°の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−267860(P2006−267860A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88554(P2005−88554)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】