説明

定量切り出し装置用ホッパースカート装置

【課題】原料による摩耗を極力抑制できるとともに、ベルトが破断するおそれを小さくすることができる定量切り出し装置用ホッパースカート装置を提供する。
【解決手段】定量切り出し装置用ホッパースカート装置5は、定量切り出し装置1のホッパー2の下部に設けられた、ベルトコンベア3の外側から原料aが落下するのを防止するスカート部4に取り付けられる。当該ホッパースカート装置5は、上下方向及びベルトコンベア3の搬送方向に延び、スカート部4の外側面にベルトコンベア3のベルト3bに対して隙間δが開くように取り付けられた取付板51と、取付板51の下端からスカート部4の内側に斜め上方に延びるとともにベルトコンベア3の搬送方向に延びる傾斜板52とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量切り出し装置のホッパーから切り出された原料がベルトコンベアの外側から落下するのを防止する定量切り出し装置用ホッパースカート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所において、製銑地区における石炭(原料)は、例えば、図4に示すように、輸送される。図4は、製銑地区の原料輸送ラインの一例の模式図である。
図4において、石炭aは、石炭ヤードからローダー100により切り出され、ベルトコンベア110を介して定量切り出し装置(CFW)120まで搬送される。
定量切り出し装置120は、複数のホッパー121を備え、各々のホッパー121には、銘柄の異なる石炭aが搬送されるようになっている。そして、各々のホッパー121から切り出された石炭aは、各ホッパー121の下方に設置されている各フィーダーコンベア(ベルトコンベア)122上に落下する。そして、各フィーダーコンベア122上に落下した石炭aは、各フィーダーコンベア122によって搬送されてスケールコンベア(ベルトコンベア)123上に落下し、該スケールコンベア123によって搬送される。
【0003】
次いで、石炭aは、スケールコンベア123からその石炭aの粒度を調整するための砕炭機130のベルトコンベア131上に搬送され、砕炭機130で砕かれた後、下流側のベルトコンベア132を経てコークス炉140へ搬送される。
このような石炭aの輸送工程において、ベルトコンベア110,122,123,131,132から石炭aが落下すると、環境防災に大きな影響を与えることになる。特に、定量切り出し装置120において、各々のホッパー121から石炭aをフィーダーコンベア122上に切り出す際に、フィーダーコンベア122の外側に石炭aがこぼれ出すおそれがある。
【0004】
そこで、従来においては、図5に示すように、定量切り出し装置120において、各ホッパー121の下部のスカート部125とフィーダーコンベア122との隙間をホッパースカート装置126で覆うようにしている。また、フィーダーコンベア122とスケールコンベア123のテール部に飛散防止シュート124を取り付け、石炭aの飛散を防止するようにしている。
【0005】
図6は、従来のホッパースカート装置を有する定量切り出し装置を模式的に示すもので、図5に示した定量切り出し装置120の、フィーダーコンベア122の進行方向に対して直角方向に切断した断面図である。
図6に示すように、定量切り出し装置120において、ホッパー121の下部に設けられたスカート部125の両側に1対の取付手段127により1対のホッパースカート装置126が取り付けられている。そして、各ホッパースカート装置126は、フィーダーコンベア122の搬送方向に延びる平板で構成されている。各ホッパースカート装置126は、その下端部がフィーダーコンベア122のベルト122bの上面に接するように、スカート部125の外側面に取り付けられている。図6において、符号122aはキャリアロールである。
【0006】
しかしながら、図6に示すホッパースカート装置126においては、平板で構成されるホッパースカート装置126の剛性が小さい場合には、石炭aの落下の衝撃力により既にスカート部125に堆積している石炭aがホッパースカート装置126を押し広げてフィーダーコンベア122から落下する現象(落炭)が発生する場合がある。
また、ホッパースカート装置126はベルト122bに接触しているため、ベルト122bが摩耗し、破断してしまうことがある。
【0007】
そこで、かかる問題を解決すべく、図7に示すホッパースカート装置224を有する定量切り出し装置220が提案されている(特許文献1参照)。図7は、従来の他の例のホッパースカート装置を有する定量切り出し装置を模式的に示すもので、当該定量切り出し装置の、フィーダーコンベアの進行方向に対して直角方向に切断した断面図である。
図7に示す定量切り出し装置220は、石炭(原料)aを切り出すホッパー221と、ホッパー221の下方に設置され、ホッパー221から切り出された石炭aを搬送するフィーダーコンベア(ベルトコンベア)222とを備えている。そして、ホッパー221の下部に設けられたスカート部223には、1対の取付手段227により1対のホッパースカート装置224が取り付けられている。
【0008】
各ホッパースカート装置224は、スカート部223に取付手段227により取り付けられる円筒パイプ固定部材226と、円筒パイプ固定部材226の下端部に溶接等により固定された鋼製の円筒パイプ225とを備えている。円筒パイプ225は、フィーダーコンベア222の搬送方向に延びる円筒状のパイプ形状で、フィーダーコンベア222のベルト222bに接するようにスカート部223に取り付けられる。また、円筒パイプ225には、上方から落下する石炭aにより外側に押し広げようとする力が働くので、円筒パイプ225の肩部と円筒パイプ固定部材226との間に補強材226aを外側より取り付けている。
【0009】
また、取付手段227は、スカート部223の外側に固定された固定用部材228を備えている。円筒パイプ225のスカート部223への取り付けに際しては、固定用ボルト229を固定用部材228の上にあるナット231を通して固定用部材228に挿通し、固定用ボルト229に2個のナット230で円筒パイプ固定用部材226を固定する。これにより、円筒パイプ固定用部材226及び円筒パイプ225の上下方向の位置決めを行う。そして、コッターピース232にコッターピン233を打ち込み、円筒パイプ固定用部材226をスカート部223に固定する。
【0010】
このように、図7に示すホッパースカート装置224においては、ホッパースカート装置224に円筒パイプ225を用いることにより、ホッパースカート装置224の剛性を高めるとともに、ベルト222bとの接触面積を少なくしてベルト222bの破断を極力回避するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−238230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、この従来の図7に示したホッパースカート装置224にあっては、以下の問題点があった。
即ち、図7に示すように、上方から落下する石炭aが円筒パイプ225の肩部を擦り、これによって円筒パイプ225が摩耗してしまうという問題があった。
【0013】
また、円筒パイプ225が、フィーダーコンベア222のベルト222bに接するようにスカート部223に取り付けられるので、未だベルト222bが摩耗し、破断してしまうことがあった。更に、円筒パイプ225とベルト222bとの隙間に石炭aが噛み込み、ベルト222bに傷がついて破断してしまうことがあった。
従って、本発明は上述の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、原料による摩耗を極力抑制できるとともに、ベルトが破断するおそれを小さくすることができる定量切り出し装置用ホッパースカート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る定量切り出し装置用ホッパースカート装置は、原料を切り出すホッパーと、該ホッパーの下方に設置され、前記ホッパーから切り出された原料を搬送するベルトコンベアと、前記ホッパーの下部に設けられ、前記ベルトコンベアの外側から前記原料が落下するのを防止するスカート部とを備えた定量切り出し装置に用いられるホッパースカート装置であって、上下方向及び前記ベルトコンベアの搬送方向に延び、前記スカート部の外側面に前記ベルトコンベアのベルトに対して隙間が開くように取り付けられた取付板と、該取付板の下端から前記スカート部の内側に斜め上方に延びるとともに前記ベルトコンベアの搬送方向に延びる傾斜板とを備えたことを特徴としている。
また、本発明のうち請求項2に係る定量切り出し装置用ホッパースカート装置は、請求項1記載の定量切り出し装置用ホッパースカート装置において、前記傾斜板は、前記取付板とのなす角度が40°〜70°で前記取付板から延びることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のうち請求項1に係る定量切り出し装置用ホッパースカート装置によれば、上下方向及びベルトコンベアの搬送方向に延び、スカート部の外側面に取り付けられた取付板と、取付板の下端からスカート部の内側に斜め上方に延びるとともにベルトコンベアの搬送方向に延びる傾斜板とを備えので、ホッパーの上方から落下した原料のうちスカート部近傍のものは取付板からスカート部の内側に斜め上方に延びる傾斜板上に溜まることになる。この溜まった原料が存在することにより、続いて落下してくる原料が傾斜板上に溜まった原料の上部を流れ、傾斜板に直接当たらずに、ベルトコンベアのベルト上に落下する。このため、原料によるホッパースカート装置の摩耗を極力抑制することができる。
【0016】
また、傾斜板とベルトコンベアのベルトとの間に空隙ができる。落下してくる原料がベルトコンベアのベルト上に落下するときには、この空隙に原料が入り込まず、ホッパースカート装置とベルトとの隙間に原料が噛み込むことはない。このため、ベルトが噛み込んだ原料によって傷がついて破断してしまうおそれを小さくすることができる。
更に、取付板はベルトコンベアのベルトに対して隙間が開くように取り付けられているので、ホッパースカート装置を構成する取付板がベルトに接触することはなく、ホッパースカート装置の接触によるベルトの摩耗を防止でき、これに起因するベルトの破断を回避することができる。
【0017】
また、本発明のうち請求項2に係る定量切り出し装置用ホッパースカート装置によれば、請求項1記載の定量切り出し装置用ホッパースカート装置において、前記傾斜板は、前記取付板とのなす角度が40°〜70°で前記取付板から延びるので、原料によるホッパースカート装置の摩耗を好適に抑制できるとともに、ベルトの破断をより効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るホッパースカート装置を有する定量切り出し装置を模式的に示すもので、当該定量切り出し装置の、フィーダーコンベアの進行方向に対して直角方向に切断した断面図である。
【図2】図1の矢印Xで示す部分の詳細図であり、(A)は傾斜板上に石炭が溜まっている様子を、(B)は傾斜板の下側に空隙ができる様子を示している。
【図3】図1に示すホッパースカート装置を模式的に示した図である。
【図4】製銑地区の原料輸送ラインの一例の模式図である。
【図5】従来のホッパースカート装置を有する定量切り出し装置の斜視図である。
【図6】従来のホッパースカート装置を有する定量切り出し装置を模式的に示すもので、図5に示した定量切り出し装置の、フィーダーコンベアの進行方向に対して直角方向に切断した断面図である。
【図7】従来の他の例のホッパースカート装置を有する定量切り出し装置を模式的に示すもので、当該定量切り出し装置の、フィーダーコンベアの進行方向に対して直角方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るホッパースカート装置を有する定量切り出し装置を模式的に示すもので、当該定量切り出し装置の、フィーダーコンベアの進行方向に対して直角方向に切断した断面図である。
図1は、定量切り出し装置を構成する複数のホッパー(図4参照)のうち1つのホッパー2の部分の定量切り出し装置1を示している。
【0020】
定量切り出し装置1は、石炭(原料)aを切り出すホッパー2と、ホッパー2の下方に設置され、ホッパー2から切り出された石炭aを搬送するフィーダーコンベア(ベルトコンベア)3と、ホッパー2の下部に設けられ、フィーダーコンベア3の外側(図1における左右両側)から石炭aの落下を防止するスカート部4とを備えている。フィーダーコンベア3は、複数のキャリアロール3aとこれらキャリアロール3aに巻回されるベルト3bとを有する。そして、ホッパー2の下部に設けられたスカート部4には、1対の取付手段6により1対のホッパースカート装置5が取り付けられている。
各ホッパースカート装置5は、図2(A),(B)に示すように、スカート部4の外側面に取り付けられる取付板51と、取付板51から延びる傾斜板52とを備えている。
【0021】
取付板51は、上下方向及びフィーダーコンベア3の搬送方向に延びる矩形平板状部材で構成され、スカート部4の外側面にベルトコンベア3のベルト3bに対して隙間δが開くように取り付けられる。隙間δは、原料である石炭aの粒径が銘柄によってばらつき最大40〜50mm、最小3〜4mmで平均約20mmであるところ、その平均粒径の1/2である約10mm程度が好ましい。取付板51の上端には外側に折り曲げられた取付部51aを有する。取付板51は、金属板を曲げ加工もしくは2枚の金属板を溶接することによって形成される。
【0022】
また、傾斜板52は、取付板51の下端からスカート部4の内側に斜め上方に延びるとともにベルトコンベア3の搬送方向に延びる矩形平板状部材である。傾斜板52の長さLは、傾斜板52が上方から落下してくる石炭aによって摩耗することを考慮し、約100mm程度であることが好ましい。傾斜板52は、金属板を曲げ加工もしくは金属板を溶接することによって形成される。
【0023】
傾斜板52は、取付板51とのなす角度θ(図3参照)が鋭角となるように取付板51から延びればよいが、後述するように、角度θが40°〜70°で取付板51から延びるのが好適であり、角度θが50°で取付板51から延びるのが最も好ましい。
ホッパースカート装置5は、取付板51及び傾斜板52を溶接によって固定することにより製造される。但し、ホッパースカート装置5は、金属板を曲げ加工することによって取付板51及び傾斜板52を一体に形成してもよい。
【0024】
また、取付手段6は、図2(A),(B)に示すように、スカート部4の外側面に溶接等により固定されたL字形の金属製の固定部材61を備えている。固定部材61には、固定ボルト62を挿通するための貫通孔(図示せず)が形成されている。また、取付板51の取付部51aにも、固定ボルト62を挿通するための貫通孔(図示せず)が形成されている。取付板51をスカート部4の外側面に取り付けるには、頭部63を有する固定ボルト62を、固定部材61の貫通孔及びスカート部4の外側面に沿うように配置される取付板51の貫通孔に挿通し、その固定ボルト62に取付板51の取付部51aの下方からナット64を締め付けて取付板51の上下方向における位置決めを行う。そして、コッターピース65にコッターピン66を打ち込むことにより、取付板51はスカート部4の外側面に取り付けられる。
なお、ナット64の締め付け位置を調整することにより、取付板51の上下方向位置の調整、すなわち隙間δの大きさを調整することができる。例えば、使用する銘柄の石炭の粒径が小さい場合には隙間δを小さくしてもよい。
【0025】
次に、本実施形態に係るホッパースカート装置5の作用について図1及び図2を参照して説明する。
定量切り出し装置1の各々のホッパー2に銘柄の異なる石炭aが搬送されてくると、石炭aは、ホッパー2の上方からスカート部4を経てフィーダーコンベア3のベルト3b上へ落下する。そして、ホッパー2内には徐々に石炭aが堆積されていく。そして、石炭aは、各々のホッパー2から切り出されて各ホッパー2の下方に設置されている各フィーダーコンベア3のベルト3b上に落下する。
【0026】
ここで、ホッパー2の上方から落下した石炭aのうちスカート部4近傍のものは、図2(A)に示すように、取付板51からスカート部4の内側に斜め上方に延びる傾斜板52上に溜まることになる。この溜まった石炭aが存在することにより、続いて落下してくる石炭aが傾斜板52上に溜まった石炭aの上部を流れ、傾斜板52に直接当たらずに、図2(B)に示すように、フィーダーコンベア3のベルト3b上に落下する。従って、取付板51からスカート部4の内側に斜め上方に延びる傾斜板52を設けることにより、原料である石炭aによるスカート装置5の摩耗を極力抑制することができる。
【0027】
また、図2(B)に示すように、取付板51から斜め上方に延びる傾斜板52とベルト3bとの間に空隙53ができる。落下してくる石炭aがフィーダーコンベア3のベルト3b上に落下するときには、この空隙53に石炭aが入り込まず、ホッパースカート装置5とベルト3bとの隙間に石炭aが噛み込むことはない。このため、ベルト3bが噛み込んだ石炭aによって傷がついて破断してしまうおそれを小さくすることができる。
【0028】
そして、取付板51から斜め上方に延びる傾斜板52とベルト3bとの間に空隙53ができることにより、石炭aはベルトコンベア3のベルト3bの外側に落下することはない。
更に、ホッパースカート装置5において、取付板51はフィーダーコンベア3のベルト3bに対して隙間δが開くように取り付けられているので、ホッパースカート装置5を構成する取付板51がベルト3bに接触することはなく、ホッパースカート装置5の接触によるベルト3bの摩耗を防止でき、これに起因するベルト3bの破断を回避することができる。
【0029】
なお、傾斜板52を取付板51からスカート部4の内側に斜め下方に延びるようにすると、落下してくる石炭aが傾斜板52に直接あたって傾斜板52が摩耗してしまうおそれがある。また、この場合、傾斜板52とベルト3bとの間に空隙ができるが、傾斜板52の先端とベルト3bとの間の距離が小さくなるため、その斜板52の先端とベルト3bとの間に石炭aが噛み込んでしまい、ベルト3bが破断に繋がるおそれがある。また、傾斜板52が取付板51の下端からスカート部4の内側に水平方向に延びていると、上方から落下してくる石炭aが傾斜板52に非常に衝突し易く、かつ、傾斜板52の下の空隙53が狭すぎて石炭aが噛み込みやすい。従って、傾斜板52を取付板51からスカート部4の内側に斜め上方に延びるようにした。
【0030】
各フィーダーコンベア3のベルト3b上に落下した石炭aは、各フィーダーコンベア3よって搬送されてスケールコンベア(図4の符号123)上に落下し、該スケールコンベアによって砕炭機(図4の符号130)に搬送され、砕炭機で砕かれた後、コークス炉(図4の符号140)に搬送される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
【0031】
例えば、取付板51とフィーダーコンベア3のベルト3bとの隙間δは、約10mm程度に限らず、原料である石炭aの粒径によって適宜決定し得る。
また、傾斜板52の長さLは、約100mm程度である必要はなく、ホッパー2や石炭aの粒径等により適宜決定される。
更に、ホッパースカート装置5をスカート部4の外側面に取り付ける取付手段6は、ホッパースカート装置5をスカート部4の外側面に取り付けできる構造であれば、図2に示した構造に限らない。
【実施例】
【0032】
図3において、傾斜板52を、取付板51とのなす角度θをどのくらい大きさにして取付板51から延ばすのが好適であるかをテストした。図3は、図1に示すホッパースカート装置を模式的に示した図である。なお、図3において、符号Aは傾斜板52の水平方向の長さ、符号Bは傾斜板52の垂直方向の高さ、符号Dは原料である石炭の平均粒径である。
【0033】
テストに際しては、前記角度θを30°、40°、50°、70°、及び90°にして、1カ月間、石炭の切り出しを行った場合の、「落炭の有無」、「スカート装置における傾斜板の摩耗の有無」、「ホッパースカート装置とベルトとの隙間に対して石炭噛み込みによるベルトの傷の有無」及び「総合評価」を調査した。
テスト結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1において、落炭の有無については、落炭がない場合を○、落炭はあるが量が少ない場合を△、落炭量が多い場合を×、傾斜板の摩耗の有無については、摩耗がない場合を○、摩耗はあるが少ない場合を△、摩耗量が多い場合を×、ベルトの傷の有無については、傷がない場合を○、傷はあるが少ない場合を△、傷が多い場合を×、総合評価においては、最も好適である場合を◎、好適である場合を○、可である場合を△、不可である場合を×とした。
表1を参照すると、前記角度θが40°以下である場合には、落炭があった。この理由は、傾斜板52の垂直方向の高さBが高く、かつ傾斜板52の水平方向の長さAが短く、B/Aが大きいため、石炭が傾斜板52の下の空隙53に入り込んで空隙53を通過してやや落下しやすいからである。
【0036】
また、前記角度θが70°以上の場合には、傾斜板52に摩耗があった。この理由は、傾斜板52の水平方向の長さAが長く、上方から落下してくる石炭がやや衝突し易いからである。
更に、前記角度θが30°の場合及び90°の場合には、ベルト3bに傷があった。この理由は、前記角度θが30°の場合には、傾斜板52の垂直方向の高さBが高く、B/Dが大きいため、石炭が傾斜板52の下の空隙53に入り込んで傾斜板52とベルト3b間に噛み込まれるからである。また、前記角度θが90°の場合には、傾斜板52の垂直方向の高さBが低く、B/Dが小さいので、傾斜板52の下の空隙53が狭すぎて傾斜板52とベルト3b間に石炭が噛み込まれ易いからである。
【0037】
以上のように、角度θが40°〜70°の場合が好適であり、特に角度θが50°の場合は最も好適であることがわかった。また、角度θが30°の場合には、好適ではないが傾斜板52の配置角度としては可能であることがわかった。
一方、角度θが90°の場合には、傾斜板52が取付板51の下端からスカート部4の内側に水平方向に延びるものであり、傾斜板52の配置角度としては不可能であることがわかった。
【符号の説明】
【0038】
1 定量切り出し装置
2 ホッパー
3 フィーダーコンベア(ベルトコンベア)
3a キャリアロール
3b ベルト
4 スカート部
5 ホッパースカート装置
6 取付手段
51 取付板
51a 取付部
52 傾斜板
53 空隙
61 固定部材
62 固定ボルト
63 頭部
64 ナット
65 コッターピース
66 コッターピン
100 ローダー
110 ベルトコンベア
120 定量切り出し装置
121 ホッパー
122 フィーダーコンベア
122a キャリアロール
122b ベルト
123 スケールコンベア
124 飛散防止シュート
125 スカート部
126 ホッパースカート装置
127 取付手段
130 砕炭機
131 ベルトコンベア
132 ベルトコンベア
140 コークス炉
220 定量切り出し装置
221 ホッパー
222 フィーダーコンベア
222a キャリアロール
222b ベルト
223 スカート部
224 ホッパースカート装置
225 円筒パイプ
226 円筒パイプ固定部材
226a 補強材
227 取付手段
228 固定用部材
229 固定用ボルト
230 ナット
231 ナット
232 コッターピース
233 コッターピン
a 石炭(原料)
L 傾斜板の長さ
δ 隙間
A 傾斜板の水平方向の長さ
B 傾斜板の垂直方向の高さ
D 石炭の平均粒径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を切り出すホッパーと、該ホッパーの下方に設置され、前記ホッパーから切り出された原料を搬送するベルトコンベアと、前記ホッパーの下部に設けられ、前記ベルトコンベアの外側から前記原料が落下するのを防止するスカート部とを備えた定量切り出し装置に用いられるホッパースカート装置であって、
上下方向及び前記ベルトコンベアの搬送方向に延び、前記スカート部の外側面に前記ベルトコンベアのベルトに対して隙間が開くように取り付けられた取付板と、該取付板の下端から前記スカート部の内側に斜め上方に延びるとともに前記ベルトコンベアの搬送方向に延びる傾斜板とを備えたことを特徴とする定量切り出し装置用ホッパースカート装置。
【請求項2】
前記傾斜板は、前記取付板とのなす角度が40°〜70°で前記取付板から延びることを特徴とする請求項1記載の定量切り出し装置用ホッパースカート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−91922(P2012−91922A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242594(P2010−242594)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】