説明

定電流電源装置

【課題】軽負荷時であっても定電流制御を行うことができる定電流電源装置を提供すること。
【解決手段】定電流電源装置1は、トランスT、ダイオードD1、スイッチ素子Q1、および制御部21を備える。制御部21は、トランスTの第1の1次巻線T1に流れる電流に応じて、スイッチ素子Q1を制御する。スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、発光ダイオードLED1〜LEDn、トランスTの第1の1次巻線T1、トランスTの第2の1次巻線T2、およびスイッチ素子Q1に電流が流れ、トランスTの第1の1次巻線T1にエネルギーが蓄えられる。一方、スイッチ素子Q1がオフ状態である期間では、スイッチ素子Q1がオン状態である期間にトランスTの第1の1次巻線T1に蓄えられたエネルギーにより、トランスTの第1の1次巻線T1、ダイオードD1、および発光ダイオードLED1〜LEDnに電流が流れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、定電流を出力する電源として、定電流電源装置がある。この定電流電源装置は、例えば、発光ダイオードを点灯させるために用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
[定電流電源装置100の構成]
図6は、従来例に係る定電流電源装置100の回路図である。定電流電源装置100は、点P1から入力される直流電力を用いて、直列接続された複数の発光ダイオードLED1〜LEDn(nは、n≧3を満たす整数)に定電流を供給する。この定電流電源装置100は、1次巻線T11および2次巻線T12を有するトランスTTと、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q11と、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q12と、抵抗R11、R12、R13、R14、R15と、キャパシタC11、C12と、ツェナーダイオードZD11と、を備える。
【0004】
点P1には、発光ダイオードLED1のカソードと、トランスTTの1次巻線T11の一端と、抵抗R11を介してスイッチ素子Q11のゲートと、が接続される。トランスTTの1次巻線T11の他端には、発光ダイオードLEDnのアノードと、スイッチ素子Q11のドレインと、が接続され、スイッチ素子Q11のソースには、点P2が接続される。点P2には、トランスTTの2次巻線T12の他端が接続される。
【0005】
トランスTTの2次巻線T12の一端には、抵抗R13およびキャパシタC11を介して、スイッチ素子Q11のゲートが接続されるとともに、ツェナーダイオードZD11のカソードと、抵抗R15の一端と、が接続される。ツェナーダイオードZD11のアノードと、抵抗R15の他端とには、抵抗R14を介して、スイッチ素子Q12のベースが接続される。スイッチ素子Q12のベースには、キャパシタC12を介して、点P2が接続される。また、スイッチ素子Q12のエミッタには、点P2が接続され、スイッチ素子Q12のコレクタには、スイッチ素子Q11のゲートが接続される。スイッチ素子Q11のゲートには、抵抗R12を介して、点P2が接続される。
【0006】
[定電流電源装置100の動作]
以上の構成を備える定電流電源装置100は、以下のように動作することで、定電流制御を行う。具体的には、点P1に直流電圧が印加されると、この直流電圧は、直列接続された抵抗R11と抵抗R12とで分圧され、スイッチ素子Q11のゲートに印加される。ここで、このゲートに印加される電圧は、スイッチ素子Q11のしきい値電圧以上であるものとすると、スイッチ素子Q11は、オン状態になる。
【0007】
スイッチ素子Q11がオン状態になると、点P1に入力された直流電流が、トランスTTの1次巻線T11の一端から他端と、オン状態のスイッチ素子Q11と、を介して、点P2に流れる。すると、トランスTTの1次巻線T11の一端から他端に電流が流れることにより、トランスTTの1次巻線T11にエネルギーが蓄積されることとなる。
【0008】
また、トランスTTの1次巻線T11の一端から他端に電流が流れると、トランスTTの2次巻線T12の他端から一端に向かって電流を流そうとする起電力が、トランスTTの2次巻線T12に生じる。この起電力により、抵抗R15および抵抗R14を介してキャパシタC12に電荷が蓄積され、キャパシタC12の端子間電圧がスイッチ素子Q12のベースに印加される。そして、キャパシタC12の端子間電圧がスイッチ素子Q12のしきい値電圧以上になると、スイッチ素子Q12がオン状態になる。
【0009】
スイッチ素子Q12がオン状態になると、スイッチ素子Q11のゲートとソースとが導通し、スイッチ素子Q11がオフ状態になる。すると、スイッチ素子Q11がオン状態であった期間にトランスTTの1次巻線T11に蓄えられたエネルギーにより、発光ダイオードLED1〜LEDnに電流が流れ、これら発光ダイオードLED1〜LEDnが点灯する。
【0010】
また、スイッチ素子Q12がオン状態になると、キャパシタC12に蓄積された電荷は、スイッチ素子Q12のベース電流として放電されるので、キャパシタC12の端子間電圧は、時間が経過するに従って低下する。そして、キャパシタC12の端子間電圧がスイッチ素子Q12のしきい値電圧未満になると、スイッチ素子Q12がオフ状態になる。
【0011】
スイッチ素子Q12がオフ状態になると、上述と同様に、再度、スイッチ素子Q11のゲートに、抵抗R11と抵抗R12とで分圧された電圧が印加され、スイッチ素子Q11がオン状態になる。
【0012】
以上の動作を繰り返すことにより、定電流電源装置100は、スイッチ素子Q11のオン幅を制御して、発光ダイオードLED1〜LEDnに定電流を供給し、これら発光ダイオードLED1〜LEDnを点灯させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−116572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、上述の定電流電源装置100にとって、直列接続された複数の発光ダイオードLED1〜LEDnの数が少なくなったり、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれの立上がり電圧が低くなったりすることは、負荷が軽くなるということである。定電流電源装置100は、負荷が軽くなっても定電流を出力し続けるために、負荷が軽くなるに従って、スイッチ素子Q11のオン幅を狭くして、スイッチ素子Q11のデューティ比を小さくする。ところが、スイッチ素子Q11のオン幅を狭くするに従って、上述のように定電流制御を行うのが困難となる。
【0015】
上述の課題を鑑み、本発明は、軽負荷時であっても定電流制御を行うことができる定電流電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1)本発明は、負荷の入力端に定電流を供給する定電流電源装置であって、タップを有し、前記負荷の出力端に直列接続された出力チョークと、前記出力チョークと直列接続されたスイッチ素子と、一端には前記タップが接続され、他端には前記負荷の入力端が接続され、当該一端から当該他端に向かって電流を流す整流素子と、前記スイッチ素子を制御する制御手段と、を備え、前記出力チョークは、前記負荷の出力端と前記タップとを接続する第1チョークと、前記タップと前記スイッチ素子とを接続する第2チョークと、を備え、前記制御手段は、前記第1チョークに流れる電流に応じて、前記スイッチ素子を制御することを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0017】
この発明によれば、負荷の入力端に定電流を供給する定電流電源装置に、タップを有する出力チョーク、スイッチ素子、整流素子、および制御手段を設けた。また、出力チョークに、負荷の出力端とタップとを接続する第1チョークと、タップとスイッチ素子とを接続する第2チョークと、を設けた。また、一端から他端に向かって電流を流す整流素子について、一端にはタップを接続し、他端には負荷の入力端を接続した。そして、制御手段により、第1チョークに流れる電流に応じて、スイッチ素子を制御することとした。
【0018】
このため、スイッチ素子がオン状態である期間では、負荷、第1チョーク、第2チョーク、スイッチ素子の順に電流が流れ、負荷に電流が供給されるとともに、第1チョークに電流が流れることにより、第1チョークにエネルギーが蓄積されることとなる。一方、スイッチ素子がオフ状態である期間では、スイッチ素子がオン状態である期間に第1チョークに蓄積されたエネルギーにより、第1チョーク、整流素子、負荷の順に電流が流れ、負荷に電流が供給される。以上によれば、スイッチ素子がオフ状態である期間では、第1チョークには電流が流れるが、第2チョークには電流が流れない。ところが、スイッチ素子がオン状態である期間では、第1チョークだけでなく、第2チョークにも電流が流れる。すなわち、スイッチ素子がオン状態である期間では、スイッチ素子がオフ状態である期間と比べて、電流が流れる経路のインダクタンスが大きくなる。
【0019】
電流が流れる経路のインダクタンスが大きくなると、第1チョークに流れる電流の単位時間あたりの増加率が低下する。このため、第2チョークが設けられていない場合と比べて、制御手段によりスイッチ素子をターンオフさせるタイミングが遅くなり、スイッチ素子のオン幅が広くなる。
【0020】
したがって、負荷が軽くなるに従ってスイッチ素子のオン幅を狭くしても、第2チョークが設けられていない場合と比べて、スイッチ素子のオン幅を広く確保することができる。よって、軽負荷時であっても、定電流制御を行うことができる。
【0021】
(2)本発明は、(1)の定電流電源装置について、前記第1チョークで構成される第1の1次巻線、前記第2チョークで構成される第2の1次巻線、および2次巻線を有するトランスを備え、前記制御手段は、前記2次巻線に生じる起電力に応じて充電されるキャパシタを有し、当該キャパシタの端子間電圧が予め定められたしきい値未満の場合には、前記スイッチ素子をオン状態にし、当該キャパシタの端子間電圧が当該しきい値以上の場合には、当該スイッチ素子をオフ状態にすることを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0022】
この発明によれば、定電流電源装置に、第1チョークで構成される第1の1次巻線、第2チョークで構成される第2の1次巻線、および2次巻線を有するトランスを設けた。そして、制御手段に、2次巻線に生じる起電力に応じて充電されるキャパシタを設け、この制御手段により、キャパシタの端子間電圧が予め定められたしきい値未満の場合には、スイッチ素子をオン状態にし、キャパシタの端子間電圧が上述のしきい値以上の場合には、スイッチ素子をオフ状態にすることとした。
【0023】
このため、第1チョークで構成される第1の1次巻線に流れる電流に応じて、2次巻線に起電力が生じ、キャパシタの端子間電圧が変化する。そして、キャパシタの端子間電圧に応じて、スイッチ素子が制御される。以上によれば、第1チョークで構成される第1の1次巻線に流れる電流に応じてスイッチ素子を制御することができ、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0024】
(3)本発明は、(2)の定電流電源装置について、前記制御手段は、前記2次巻線と前記キャパシタとを接続する補正手段と、前記キャパシタの端子間電圧が前記しきい値未満の場合には、オフ状態になり、当該キャパシタの端子間電圧が当該しきい値以上の場合には、オン状態になる特定スイッチ素子と、を備え、前記スイッチ素子は、前記特定スイッチ素子がオン状態になるとオフ状態になり、前記補正手段は、前記特定スイッチ素子の温度特性に応じた温度特性を有し、当該補正手段の抵抗値は、前記特定スイッチ素子の温度に応じて変化することを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0025】
ここで、キャパシタの端子間電圧が予め定められたしきい値未満の場合にはオフ状態になり、キャパシタの端子間電圧が上述のしきい値以上の場合にはオン状態になる特定スイッチ素子を制御手段に設け、特定スイッチ素子がオン状態になると、上述のスイッチ素子がオフ状態になるものとする。すると、スイッチ素子がターンオフするタイミングは、特定スイッチ素子がターンオンするタイミングに応じて変化することとなる。特定スイッチ素子がターンオンするタイミングは、特定スイッチ素子の温度特性に応じて変化してしまうため、特定スイッチ素子の温度が変化すると、スイッチ素子のターンオフするタイミングが変化してしまい、スイッチ素子のオン幅にばらつきが生じてしまう。
【0026】
そこで、この発明によれば、制御手段に、2次巻線とキャパシタとを接続する補正手段を設け、この補正手段は、特定スイッチ素子の温度特性に応じた温度特性を有するものとした。そして、補正手段の抵抗値は、特定スイッチ素子の温度に応じて変化するものとした。
【0027】
具体的には、例えば、特定スイッチ素子の温度が上昇するに従って、特定スイッチ素子のターンオンするタイミングが遅くなる場合には、補正手段の抵抗値は、特定スイッチ素子の温度が上昇するに従って小さくなるものとする。これによれば、特定スイッチ素子の温度が上昇すると、補正手段の抵抗値が小さくなるので、キャパシタの端子間電圧の単位時間あたりの上昇率が高くなる。このため、特定スイッチ素子の温度が上昇することにより特定スイッチ素子のターンオンするタイミングが遅くなろうとしても、キャパシタの端子間電圧の単位時間あたりの上昇率が高くなるので、特定スイッチ素子のターンオンするタイミングが遅くなるのを抑制できる。
【0028】
また、例えば、特定スイッチ素子の温度が上昇するに従って、特定スイッチ素子のターンオンするタイミングが早くなる場合には、補正手段の抵抗値は、特定スイッチ素子の温度が上昇するに従って大きくなるものとする。これによれば、特定スイッチ素子の温度が上昇すると、補正手段の抵抗値が大きくなるので、キャパシタの端子間電圧の単位時間あたりの上昇率が低くなる。このため、特定スイッチ素子の温度が上昇することにより特定スイッチ素子のターンオンするタイミングが早くなろうとしても、キャパシタの端子間電圧の単位時間あたりの上昇率が低くなるので、特定スイッチ素子のターンオンするタイミングが早くなるのを抑制できる。
【0029】
以上によれば、特定スイッチ素子の温度が変化しても、スイッチ素子のターンオフするタイミングが変化するのを抑制し、スイッチ素子のオン幅にばらつきが生じるのを抑制することができるので、高精度な定電流制御を行うことができる。
【0030】
(4)本発明は、(1)の定電流電源装置について、前記スイッチ素子の入力端子または出力端子に直列接続された抵抗を備え、前記制御手段は、前記抵抗に流れる電流に応じて前記スイッチ素子を制御することを特徴とする定電流電源装置を提案している。
【0031】
この発明によれば、定電流電源装置に、スイッチ素子の入力端子または出力端子に直列接続された抵抗を設け、制御手段により、抵抗に流れる電流に応じてスイッチ素子を制御することとした。
【0032】
このため、抵抗に流れる電流は、第1チョークに流れる電流に応じて変化する。したがって、第1チョークに流れる電流に応じてスイッチ素子を制御することができ、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、軽負荷時であっても、定電流制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図2】前記定電流電源装置のタイミングチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置の回路図である。
【図5】前記定電流電源装置のタイミングチャートである。
【図6】従来例に係る定電流電源装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0036】
<第1実施形態>
[定電流電源装置1の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1の回路図である。定電流電源装置1は、交流電源Vinから供給される交流電力を用いて、直列接続された複数の発光ダイオードLED1〜LEDnに定電流を供給する。この定電流電源装置1は、図6に示した従来例に係る定電流電源装置100とは、トランスTの1次側にタップAが設けられている点で、大きく異なる。
【0037】
定電流電源装置1は、トランスTと、整流部11と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q1と、整流素子としてのダイオードD1と、キャパシタC1と、制御手段としての制御部21と、を備える。トランスTは、タップAを介して直列接続された第1の1次巻線T1および第2の1次巻線T2と、2次巻線T3と、を備える。制御部21は、NPN型トランジスタで構成されるスイッチ素子Q2と、抵抗R1、R2、R3と、キャパシタC2、C3と、ツェナーダイオードZD1と、を備える。
【0038】
整流部11の2つの入力端子には、交流電源Vinの両端が接続される。整流部11の第1の出力端子には、ダイオードD1のカソードと、キャパシタC1の一方の電極と、発光ダイオードLED1のアノードと、が接続される。発光ダイオードLEDnのカソードには、キャパシタC1の他方の電極と、トランスTの第1の1次巻線T1の一端と、が接続される。トランスTの第1の1次巻線T1の他端には、タップAを介して、ダイオードD1のアノードと、トランスTの第2の1次巻線T2の一端と、が接続される。
【0039】
トランスTの第2の1次巻線T2の他端には、スイッチ素子Q1のドレインが接続されるとともに、抵抗R1を介してスイッチ素子Q1のゲートが接続される。スイッチ素子Q1のゲートには、ツェナーダイオードZD1のカソードと、スイッチ素子Q2のコレクタと、が接続されるとともに、抵抗R2を介して、整流部11の第2の出力端子が接続される。また、スイッチ素子Q1のゲートには、キャパシタC3を介してトランスTの2次巻線T3の一端が接続される。このトランスTの2次巻線T3の一端には、抵抗R3を介してスイッチ素子Q2のベースが接続される。スイッチ素子Q2のベースには、キャパシタC2を介して、整流部11の第2の出力端子が接続される。整流部11の第2の出力端子には、トランスTの2次巻線T3の他端と、スイッチ素子Q2のエミッタと、ツェナーダイオードZD1のアノードと、スイッチ素子Q1のソースと、が接続される。
【0040】
[定電流電源装置1の動作]
以上の構成を備える定電流電源装置1は、以下のように動作することで、定電流制御を行う。具体的には、交流電源Vinから供給された交流電力を整流部11により整流して、第1の出力端子から、第2の出力端子を基準とした直流電力を出力する。整流部11の第1の出力端子から出力される直流電圧は、発光ダイオードLED1〜LEDnと、トランスTの第1の1次巻線T1と、トランスTの第2の1次巻線T2と、を介して抵抗R1、R2に印加され、これら抵抗R1と抵抗R2とで分圧された後、スイッチ素子Q1のゲートに印加される。ここで、このゲートに印加される電圧は、スイッチ素子Q1のしきい値電圧以上であるものとすると、スイッチ素子Q1は、オン状態になる。
【0041】
スイッチ素子Q1がオン状態になると、整流部11の第1の出力端子から出力される直流電流が、発光ダイオードLED1〜LEDnと、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端と、トランスTの第2の1次巻線T2の一端から他端と、オン状態のスイッチ素子Q1と、を介して、整流部11の第2の出力端子に流れる。これによれば、発光ダイオードLED1〜LEDnに電流が流れるので、これら発光ダイオードLED1〜LEDnが点灯する。また、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端に電流が流れることで、トランスTの第1の1次巻線T1にエネルギーが蓄積されることとなる。
【0042】
また、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端と、トランスTの第2の1次巻線T2の一端から他端と、に電流が流れると、トランスTの2次巻線T3の他端から一端に向かって電流を流そうとする起電力が、トランスTの2次巻線T3に生じる。この起電力により、抵抗R3を介してキャパシタC2に電荷が蓄積され、キャパシタC2の端子間電圧がスイッチ素子Q2のベースに印加される。そして、キャパシタC2の端子間電圧がスイッチ素子Q2のしきい値電圧以上になると、スイッチ素子Q2がオン状態になる。
【0043】
スイッチ素子Q2がオン状態になると、スイッチ素子Q1のゲートとソースとが導通し、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。すると、スイッチ素子Q1がオン状態であった期間にトランスTの第1の1次巻線T1に蓄えられたエネルギーにより、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端、ダイオードD1、発光ダイオードLED1〜LEDnの順に電流が流れ、発光ダイオードLED1〜LEDnが点灯する。
【0044】
また、スイッチ素子Q2がオン状態になると、キャパシタC2に蓄積された電荷は、スイッチ素子Q2のベース電流として放電されるので、キャパシタC2の端子間電圧は、時間が経過するに従って低下する。そして、キャパシタC2の端子間電圧がスイッチ素子Q2のしきい値電圧未満になると、スイッチ素子Q2がオフ状態になる。
【0045】
スイッチ素子Q2がオフ状態になると、上述と同様に、再度、スイッチ素子Q1のゲートに、抵抗R1と抵抗R2とで分圧された電圧が印加され、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
【0046】
以上の動作を繰り返すことにより、定電流電源装置1は、スイッチ素子Q1のオン幅を制御して、発光ダイオードLED1〜LEDnに定電流を供給し、これら発光ダイオードLED1〜LEDnを点灯させる。
【0047】
なお、発光ダイオードLED1〜LEDnに流れる電流は、キャパシタC1により平滑化される。また、スイッチ素子Q1のゲートに印加される電圧が、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧以上になろうとすると、ツェナーダイオードZD1がオン状態になるので、スイッチ素子Q1のゲート電圧は、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧より高くはならない。また、整流部11の第1の出力端子から出力される直流電流は、キャパシタC3により除去されるので、トランスTの2次巻線T3には流れない。
【0048】
図2は、定電流電源装置1のタイミングチャートである。VT3は、トランスTの2次巻線T3の一端の電圧を示し、VC2は、キャパシタC2の端子間電圧を示す。VGSQ1は、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧を示し、IT1は、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端に流れる電流を示す。IDSQ1は、スイッチ素子Q1のドレイン電流を示し、ID1は、ダイオードD1に流れる電流を示す。IC1は、キャパシタC1に流れる電流を示し、ILEDは、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに流れる電流を示す。また、ゲート−ソース間電圧VGSQ1がVGHの場合、スイッチ素子Q1がオン状態となり、ゲート−ソース間電圧VGSQ1が「0」の場合、スイッチ素子Q1がオフ状態となるものとする。
【0049】
時刻t1〜t2までの期間では、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGSQ1がVGHであり、スイッチ素子Q1がオン状態である。
【0050】
このため、時刻t1〜t2までの期間では、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端に流れる電流IT1と、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDSQ1と、キャパシタC1に流れる電流IC1とは、時間が経過するに従って増加し、トランスTの第1の1次巻線T1にエネルギーが蓄えられる。一方、ダイオードD1には電流が流れないので、ダイオードD1に流れる電流ID1は、「0」である。
【0051】
また、時刻t1〜t2までの期間では、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端に流れる電流IT1が、上述のように時間が経過するに従って増加しているため、トランスTの2次巻線T3の一端の電圧VT3は、「0」より大きいV1となる。このため、トランスTの2次巻線T3の一端に抵抗R3を介して接続されたキャパシタC2が充電され、キャパシタC2の端子間電圧VC2は、時間が経過するに従って上昇する。そして、時刻t2において、スイッチ素子Q2がオン状態になり、その結果、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。
【0052】
スイッチ素子Q2がオン状態になると、上述のように、キャパシタC2の端子間電圧VC2は、時間が経過するに従って低下する。そして、時刻t3において、スイッチ素子Q2がオフ状態になり、その結果、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
【0053】
時刻t2〜t3までの期間では、上述のように、スイッチ素子Q1がオフ状態である。このため、上述のように、時刻t1〜t2までの期間においてトランスTの第1の1次巻線T1に蓄えられたエネルギーにより、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端、ダイオードD1、発光ダイオードLED1〜LEDnの順に電流が流れる。トランスTの第1の1次巻線T1に蓄えられたエネルギーは、上述の電流が流れるに従って減少し、上述の電流は、トランスTの第1の1次巻線T1に蓄えられたエネルギーが減少するに従って減少する。このため、時刻t2〜t3までの期間では、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端に流れる電流IT1と、ダイオードD1に流れる電流ID1と、キャパシタC1に流れる電流IC1とは、時間が経過するに従って減少する。
【0054】
また、時刻t2〜t3までの期間では、上述のように、スイッチ素子Q1がオフ状態であるため、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDSQ1は、「0」である。また、時刻t2〜t3までの期間では、トランスTの2次巻線T3の一端の電圧VT3は、「0」より小さいV2となる。
【0055】
以上の定電流電源装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0056】
スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、発光ダイオードLED1〜LEDn、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端、トランスTの第2の1次巻線T2の一端から他端、スイッチ素子Q1の順に電流が流れ、発光ダイオードLED1〜LEDnに電流が供給されるとともに、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端に電流が流れることにより、トランスTの第1の1次巻線T1にエネルギーが蓄積されることとなる。一方、スイッチ素子Q1がオフ状態である期間では、スイッチ素子Q1がオン状態である期間にトランスTの第1の1次巻線T1に蓄積されたエネルギーにより、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端、ダイオードD1、発光ダイオードLED1〜LEDnの順に電流が流れ、発光ダイオードLED1〜LEDnに電流が供給される。以上によれば、スイッチ素子Q1がオフ状態である期間では、トランスTの第1の1次巻線T1には電流が流れるが、トランスTの第2の1次巻線T2には電流が流れない。ところが、スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、トランスTの第1の1次巻線T1だけでなく、トランスTの第2の1次巻線T2にも電流が流れる。すなわち、スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、スイッチ素子Q1がオフ状態である期間と比べて、発光ダイオードLED1〜LEDnに流れる電流が流れる経路のインダクタンスは、大きくなる。
【0057】
発光ダイオードLED1〜LEDnに流れる電流が流れる経路のインダクタンスが大きくなると、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端に流れる電流IT1の単位時間あたりの増加率が低下する。これはすなわち、図2の時刻t1〜t2までの期間における、トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端に流れる電流IT1の傾きが緩やかになるということである。
【0058】
トランスTの第1の1次巻線T1の一端から他端に流れる電流IT1の単位時間あたりの増加率が低下すると、トランスTの2次巻線T3の他端から一端に向かって電流を流そうとする起電力が小さくなるので、キャパシタC2の端子間電圧VC2の単位時間あたりの上昇率が低下する。このため、トランスTにタップAが設けられておらず、トランスTの第1の1次巻線T1にトランスTに第2の1次巻線T2が直列接続されていない場合と比べて、スイッチ素子Q2のターンオンするタイミングが遅くなる。これによれば、スイッチ素子Q1のターンオフするタイミングが遅くなるので、その結果、スイッチ素子Q1のオン幅が広くなる。
【0059】
したがって、負荷が軽くなるに従ってスイッチ素子Q1のオン幅を狭くしても、トランスTの第1の1次巻線T1にトランスTに第2の1次巻線T2が直列接続されていない場合と比べて、スイッチ素子Q1のオン幅を広く確保することができる。よって、軽負荷時であっても、定電流制御を行うことができる。
【0060】
また、ツェナーダイオードZD1のカソードがスイッチ素子Q1のゲートに接続され、ツェナーダイオードZD1のアノードがスイッチ素子Q1のソースに接続されている。このため、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGSQ1が、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧より高くなるのが防止される。したがって、スイッチ素子Q1のゲート耐圧よりツェナー電圧が低いツェナーダイオードを、ツェナーダイオードZD1として用いることで、スイッチ素子Q1のゲートを保護できる。
【0061】
<第2実施形態>
[定電流電源装置1Aの構成]
図3は、本発明の第2実施形態に係る定電流電源装置1Aの回路図である。定電流電源装置1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1とは、制御部21の代わりに制御部21Aを備える点が異なる。なお、定電流電源装置1Aにおいて、定電流電源装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
制御部21Aは、制御部21とは、抵抗R3の代わりに補正部31を備える点で異なる。
【0063】
ここで、本実施形態では、スイッチ素子Q2の温度が上昇するに従って、スイッチ素子Q2のベース−エミッタ間電圧が低下し、スイッチ素子Q2のコレクタ電流が増加するものとする。
【0064】
補正部31は、正の温度特性を有する温度センサで構成され、補正部31の抵抗値は、スイッチ素子Q2の温度が上昇するに従って大きくなる。
【0065】
以上の定電流電源装置1Aによれば、上述の定電流電源装置1が奏することのできる効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0066】
スイッチ素子Q2の温度が上昇するに従って、スイッチ素子Q2のベース−エミッタ間電圧が低下し、スイッチ素子Q2のコレクタ電流が増加する場合、スイッチ素子Q2がターンオンするタイミングは、スイッチ素子Q2の温度が上昇するに従って早くなろうとする。ところが、補正部31の抵抗値は、スイッチ素子Q2の温度が上昇するに従って大きくなるので、スイッチ素子Q2の温度が上昇するに従って、キャパシタC2の端子間電圧の単位時間あたりの上昇率が低くなる。したがって、キャパシタC2の端子間電圧がスイッチ素子Q2のしきい値電圧に等しくなるまでの時間は、長くなる。よって、スイッチ素子Q2の温度が変化しても、スイッチ素子Q2のターンオンするタイミングが変化するのを抑制し、スイッチ素子Q1のオン幅にばらつきが生じるのを抑制することができるので、高精度な定電流制御を行うことができる。
【0067】
<第3実施形態>
[定電流電源装置1Bの構成]
図4は、本発明の第3実施形態に係る定電流電源装置1Bの回路図である。定電流電源装置1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る定電流電源装置1とは、トランスTおよび制御部21の代わりに、出力チョークLおよび制御部21Bを備える点が異なる。なお、定電流電源装置1Bにおいて、定電流電源装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
制御部21Bは、制御回路41および抵抗R4を備える。抵抗R4の一端には、スイッチ素子Q1のソースが接続され、抵抗R4の他端には、整流部11の第2の出力端子が接続される。制御回路41は、スイッチ素子Q1のゲートと、抵抗R4の一端および他端と、に接続される。
【0069】
出力チョークLは、タップAを介して直列接続された第1チョークL1および第2チョークL2を備える。第1チョークL1の一端には、発光ダイオードLEDnのカソードと、キャパシタC1の他方の電極と、が接続され、第1チョークL1の他端には、タップAを介して、ダイオードD1のアノードと、第2チョークL2の一端と、が接続される。第2チョークL2の他端には、スイッチ素子Q1のドレインが接続される。
【0070】
[定電流電源装置1Bの動作]
以上の構成を備える定電流電源装置1Bは、以下のように動作することで、定電流制御を行う。具体的には、制御回路41は、スイッチ素子Q1がオフ状態である時間を計測するタイマ(図示省略)を内蔵しており、このタイマによる計測結果が所定時間になると、スイッチ素子Q1のゲートに予め定められた電圧を印加して、スイッチ素子Q1をオン状態にする。
【0071】
スイッチ素子Q1がオン状態になると、整流部11の第1の出力端子から出力される直流電流が、発光ダイオードLED1〜LEDnと、第1チョークL1の一端から他端と、第2チョークL2の一端から他端と、オン状態のスイッチ素子Q1と、抵抗R4と、を介して、整流部11の第2の出力端子に流れる。これによれば、発光ダイオードLED1〜LEDnに電流が流れるので、これら発光ダイオードLED1〜LEDnが点灯する。また、第1チョークL1の一端から他端に電流が流れることで、第1チョークL1にエネルギーが蓄積されることとなる。
【0072】
また、抵抗R4に電流が流れるので、抵抗R4の両端には電位差が生じる。制御回路41は、キャパシタ(図示省略)を内蔵しており、このキャパシタを、抵抗R4の両端の電位差により充電する。これによれば、上述のキャパシタの端子間電圧は、スイッチ素子Q1がオン状態である期間において、時間が経過するに従って上昇する。そして、上述のキャパシタの端子間電圧が予め定められた値まで上昇すると、制御回路41は、スイッチ素子Q1のゲートに予め定められた電圧を印加して、スイッチ素子Q1をオフ状態にする。
【0073】
スイッチ素子Q1がオフ状態になると、スイッチ素子Q1がオン状態であった期間に第1チョークL1に蓄えられたエネルギーにより、第1チョークL1の一端から他端、ダイオードD1、発光ダイオードLED1〜LEDnの順に電流が流れ、発光ダイオードLED1〜LEDnが点灯する。そして、上述と同様に、スイッチ素子Q1がオフ状態である時間を上述のタイマにより計測し、計測結果が所定時間になると、スイッチ素子Q1のゲートに予め定められた電圧を印加して、スイッチ素子Q1をオン状態にする。
【0074】
以上の動作を繰り返すことにより、定電流電源装置1Bは、スイッチ素子Q1のオン幅を制御して、発光ダイオードLED1〜LEDnに定電流を供給し、これら発光ダイオードLED1〜LEDnを点灯させる。
【0075】
図5は、定電流電源装置1Bのタイミングチャートである。VGSQ1は、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧を示し、IL1は、第1チョークL1の一端から他端に流れる電流を示す。IDSQ1は、スイッチ素子Q1のドレイン電流を示し、ID1は、ダイオードD1に流れる電流を示す。IC1は、キャパシタC1に流れる電流を示し、ILEDは、発光ダイオードLED1〜LEDnのそれぞれに流れる電流を示す。また、ゲート−ソース間電圧VGSQ1がVGHの場合、スイッチ素子Q1がオン状態となり、ゲート−ソース間電圧VGSQ1が「0」の場合、スイッチ素子Q1がオフ状態となるものとする。
【0076】
時刻t11〜t12までの期間では、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGSQ1がVGHであり、スイッチ素子Q1がオン状態である。
【0077】
このため、時刻t11〜t12までの期間では、第1チョークL1の一端から他端に流れる電流IL1と、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDSQ1とは、時間が経過するに従って増加し、第1チョークL1にエネルギーが蓄えられる。一方、キャパシタC1に流れる電流IC1は、時間が経過するに従って減少する。また、ダイオードD1には電流が流れないので、ダイオードD1に流れる電流ID1は、「0」である。
【0078】
時刻t12において、制御回路41により、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGSQ1がVGLとなり、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。そして、時刻t12から所定時間が経過した後の時刻t13において、制御回路41により、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧VGSQ1がVGHとなり、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
【0079】
すると、時刻t12〜t13までの期間では、上述のように、時刻t11〜t12までの期間において第1チョークL1に蓄えられたエネルギーにより、第1チョークL1の一端から他端、ダイオードD1、発光ダイオードLED1〜LEDnの順に電流が流れる。第1チョークL1に蓄えられたエネルギーは、上述の電流が流れるに従って減少し、上述の電流は、第1チョークL1に蓄えられたエネルギーが減少するに従って減少する。このため、時刻t12〜t13までの期間では、第1チョークL1の一端から他端に流れる電流IL1は、時間が経過するに従って減少する。また、ダイオードD1に流れる電流ID1は、時刻t12において「0」より大きい所定値になった後、時間が経過するに従って減少する。一方、キャパシタC1に流れる電流IC1は、時間が経過するに従って増加する。また、スイッチ素子Q1には電流が流れないので、スイッチ素子Q1のドレイン電流IDSQ1は、「0」である。
【0080】
以上の定電流電源装置1Bによれば、上述の定電流電源装置1が奏することのできる効果と同様の効果を奏することができる。
【0081】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0082】
例えば、上述の第1実施形態において、発光ダイオードLED1〜LEDnに供給する定電流値は、トランスTや抵抗R3やキャパシタC2やスイッチ素子Q2の特性ばらつきに応じて、ばらつきが生じてしまう。そこで、上述の第1実施形態に係る抵抗R3を、可変抵抗やトリミング抵抗で構成してもよい。これによれば、抵抗R3の抵抗値を調整することで、発光ダイオードLED1〜LEDnに供給する定電流値にばらつきが生じてしまうのを抑制できる。
【0083】
また、上述の各実施形態では、交流電源Vinから供給された交流電力を用いて、発光ダイオードLED1〜LEDnに定電流を供給したが、これに限らず、直流電源から供給された直流電力を用いて、発光ダイオードLED1〜LEDnに定電流を供給してもよい。
【0084】
また、上述の各実施形態では、負荷として発光ダイオードLED1〜LEDnを用いたが、これに限らず、負荷として、例えばモータを用いてもよい。
【0085】
また、上述の各実施形態では、タップAと発光ダイオードLED1のアノードとの間にダイオードD1を設け、ダイオードD1のアノードをタップAに接続し、ダイオードD1のカソードを発光ダイオードLED1のアノードに接続したが、これに限らない。例えば、タップAと発光ダイオードLED1のアノードとの間にトランジスタやサイリスタを設け、スイッチ素子Q1がオフ状態である期間に、タップAから発光ダイオードLED1のアノードに向かって電流を流すこととしてもよい。
【0086】
また、上述の第3実施形態では、抵抗R4を、スイッチ素子Q1のソースと整流部11の第2の出力端子との間に設けたが、これに限らず、スイッチ素子Q1のドレインと第2チョークL2との間に設けてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1、1A、1B、100;定電流電源装置
11;整流部
21、21A、21B;制御部
31;補正部
41;制御回路
A;タップ
C1〜C3、C11、C12;キャパシタ
D1;ダイオード
L1;第1チョーク
L2;第2チョーク
LED1〜LEDn;発光ダイオード
Q1、Q2、Q11、Q12;スイッチ素子
R1〜R4、R11〜R15;抵抗
T、TT;トランス
T1;第1の1次巻線
T2;第2の1次巻線
T3;2次巻線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷の入力端に定電流を供給する定電流電源装置であって、
タップを有し、前記負荷の出力端に直列接続された出力チョークと、
前記出力チョークと直列接続されたスイッチ素子と、
一端には前記タップが接続され、他端には前記負荷の入力端が接続され、当該一端から当該他端に向かって電流を流す整流素子と、
前記スイッチ素子を制御する制御手段と、を備え、
前記出力チョークは、前記負荷の出力端と前記タップとを接続する第1チョークと、前記タップと前記スイッチ素子とを接続する第2チョークと、を備え、
前記制御手段は、前記第1チョークに流れる電流に応じて、前記スイッチ素子を制御することを特徴とする定電流電源装置。
【請求項2】
前記第1チョークで構成される第1の1次巻線、前記第2チョークで構成される第2の1次巻線、および2次巻線を有するトランスを備え、
前記制御手段は、前記2次巻線に生じる起電力に応じて充電されるキャパシタを有し、当該キャパシタの端子間電圧が予め定められたしきい値未満の場合には、前記スイッチ素子をオン状態にし、当該キャパシタの端子間電圧が当該しきい値以上の場合には、当該スイッチ素子をオフ状態にすることを特徴とする請求項1に記載の定電流電源装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記2次巻線と前記キャパシタとを接続する補正手段と、
前記キャパシタの端子間電圧が前記しきい値未満の場合には、オフ状態になり、当該キャパシタの端子間電圧が当該しきい値以上の場合には、オン状態になる特定スイッチ素子と、を備え、
前記スイッチ素子は、前記特定スイッチ素子がオン状態になるとオフ状態になり、
前記補正手段は、前記特定スイッチ素子の温度特性に応じた温度特性を有し、当該補正手段の抵抗値は、前記特定スイッチ素子の温度に応じて変化することを特徴とする請求項2に記載の定電流電源装置。
【請求項4】
前記スイッチ素子の入力端子または出力端子に直列接続された抵抗を備え、
前記制御手段は、前記抵抗に流れる電流に応じて前記スイッチ素子を制御することを特徴とする請求項1に記載の定電流電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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