説明

実効肺容量を推定する方法および装置

機能的残気量または実効肺容量を非侵襲的に測定または推定する方法は、被験者の口のところでまたは被験者の口の近くで二酸化炭素および流量の測定値を得ることを含む。そのような測定値は、基準呼吸の間に、ならびに被験者の実効換気量の変化が誘発される間およびその直後に取得される。得られた測定値は、呼息される二酸化炭素レベルが正常に戻るのに要する時間を決定するために評価され、これは事実上、被験者の肺からの二酸化炭素の「洗い出し」を評価することとなる。逆に、二酸化炭素および流量の測定値は、二酸化炭素が、被験者の実効換気量の変化に続いて、被験者の肺に「流入(wash in)」する、または被験者の肺内でピークレベルに達するのに要する時間を測定するために評価することができる。また、そのような効果的な方法に対する装置についても開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年10月25日に出願された出願継続中の米国特許出願第10/973,815号への優先権を主張するものであり、その出願は、現在では2005年10月18日に発行された米国特許第6,955,651号となっている、2002年4月11日に出願された出願第10/121,219号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は一般に、機能的残気量(FRC)、すなわち呼息後に被験者の肺内に残留するガスの容量を、またはより大まかには、肺組織内に拡散したガスを含めた被験者の実効肺容量(ELV)を測定する技法に関する。特に、本発明は、非侵襲的にFRCまたはELVを決定する技法に関する。
【背景技術】
【0003】
機能的残気量(FRC)とは、呼息後、すなわち息を吐き終えたときに被験者の肺内に残存する、二酸化炭素(CO)を含むガスの量である。健康な個人において、FRCは通常、肺容量の約40%をなし、一般に約1.8リットルから約3.4リットルに達する。FRCは、被験者の肺の肺胞における二酸化炭素の量が大きく呼吸間で変化するのを緩和するものであり、その変化は、COの分圧(pACO2)の形でまたはCO2を含むガスの一部分(fACO2)として測定することができる。正常な1回換気量では、pACO2とfACO2は一般に、約2mmHgまたは約0.25%のみそれぞれ変動する。
【0004】
多数の著者が主張するところでは、COは、(1)ガス容積(VまたはFRC)、(2)肺組織、ならびに(3)肺内にその時々に存在する肺血液という、3つの異なる区分で肺に貯蔵される。肺組織と肺血液の区分はしばしば、それらの等価なガス容積として(すなわち、それらの実効貯蔵容量でスケーリングされて)表現され、VtisおよびVbloodと示される。FRCは肺胞内のガス(COを含む)の体積を表すにすぎないが、実効肺容量(ELV)は、FRCを含むだけでなく、呼息の終わりに被験者の肺の組織内に依然として拡散しているガスをも含み、したがって、3つすべての区分におけるガスを表す。
【0005】
ELVは一般に、FRCよりもわずかに容量が大きいが、これらの用語は、次の説明において簡略化のために区別なく使用されることがある。
【0006】
各区分は、異なる速度でCOの変動と平衡を保つ。Gedeon,A.ら著の「Pulmonary blood flow(cardiac output)and the effective lung volume determined from a short breath hold using the differential Fick method」、J.CLIN.MONIT.17:313−321(2002)(以下「Gedeon 2002」)が教示するところでは、Vは、呼吸終期のCO(分圧について測定する場合はpetCO2、COを含むガスの部分として測定する場合はfetCO2)の変動とは即座に平衡化し、pACO2および動脈血(caCO2)内のCO含量の変動とは徐々に(例えば約10秒から約20秒で)平衡化し、一方で、VtisとVbloodは、pACO2とcaCO2が変化するときにはより少ない時間で平衡化する。
【0007】
被験者の胸壁および肺と肺の弾性的反跳との関係が、FRCを、したがってELVを決定する。肺気腫、喘息、および他の拘束性疾患を含む、肺の弾性的反跳を変化させる肺疾患は、FRCに影響を及ぼす。したがって、FRCの測定値は、そのような状態を正確に診断する上で有用となりうる。FRCの測定値はまた、呼吸不全および低酸素血症の診断と治療を行う上でも有用である。
【0008】
肺の閉鎖容量未満のFRCを有する肺において、気道は、被験者の呼息が終了する前に閉じ始め、その結果、pAO2が低下すると共に、換気、すなわち口を通じた肺内外へのガスの移動と、潅流、すなわち肺の肺胞と肺胞を囲む肺毛細管との間のガス/血液の障壁を越えるガスの移動との間に不一致が生じる。これは当技術分野においてV/Q不一致または
【0009】
【数1】

【0010】
不一致として知られている。
FRCの測定に現在利用可能な技法には、全身のプレチスモグラフィー、窒素洗い出し法、ヘリウム希釈法が挙げられる。これらの方法のすべては、扱いが困難な機器を必要とし、したがって、既に機器で混雑した集中治療の環境で使用するには適さないことがある。
【0011】
Gedeon 2002ではELVを測定する非侵襲的技法が提案されている。具体的には、その技法は、被験者の
【0012】
【数2】

【0013】
およびfetCO2を測定すること、被験者に3秒間息をこらえさせること、ならびに
【0014】
【数3】

【0015】
およびfetCO2を再測定することを含む。息こらえ以降の最初の呼吸では、fetCO2が上昇し、また、息こらえの持続時間およびそれに続く呼吸にわたって計算される
【0016】
【数4】

【0017】
が低下する。ELVのCO貯蔵部によって緩和されることから、
【0018】
【数5】

【0019】
(すなわち、肺毛細管の血液から肺の肺胞内へと移動するCO)が息こらえの間に変化しないと仮定して、Gedeonが主張するところでは、
【0020】
【数6】

【0021】
の減少は、COが肺のCO貯蔵部へと向かう結果であることに間違いはない。
【0022】
【数7】

【0023】
上式で、
【0024】
【数8】

【0025】
および
【0026】
【数9】

【0027】
はそれぞれ、息こらえ法の前後に得られた測定値を示す。
この関係式に加えて、Gedeonは、被験者の肺毛細管の血流量(PCBFまたは、次の式を簡潔にする場合には
【0028】
【数10】

【0029】
)を被験者のELVに関連付ける式を展開した。これらの式のうちの2つは、息こらえ前の状態を息こらえ後の状態と、ならびに息こらえ前の状態を回復の状態と比較するものである。これらの式の双方を満たすELVとPCBFのデータ組みのうちのELVが、被験者の実際のELVであるとみなされる。
【0030】
Gedeon 2002の技法は、息こらえはpACO2の変化を生じるが、息こらえによって「COの流入は大きくは影響されない(ことがある)」という仮定に基づいているため、この技法は不正確なデータを与えると考えられている。この仮定はFickの式と矛盾するものであり、Fickの式においては、
【0031】
【数11】

【0032】
はpACO2と共に線形に変化し、一方でPCBFおよび静脈血におけるCOの量(cVCO2または、Gedeon2002が呼ぶところではpven)は依然として一定である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
以上を考慮すると、事実上すべての医療環境において正確に非侵襲的にFRCまたはELVを測定する技法が必要とされることは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、非侵襲的にFRCまたはELVを測定または推定する方法、ならびにFRCおよびELVの測定値を最小の侵襲性で取得する装置およびシステムを含む。
【0035】
本発明の教示に従ってFRCまたはELVを非侵襲的に測定または推定する方法の一例として、二酸化炭素量および流量の測定値を、被験者の口のところでまたは被験者の口の近くで得ることができる。そのような測定値は、基準呼吸、すなわち「正常な」呼吸の間に、ならびに被験者の実効換気の変化が誘発される間およびその直後に取得される。例えば、測定値は再呼吸法の間にまたはその直後に得ることができ、その再呼吸法において、被験者は、正常量を上回るCOを含んだガスを吸息する。再呼吸の例に続けて、得られた測定値は、呼息されるCOレベルが正常に戻るのに要する時間を測定するために評価され、これは事実上、被験者の肺からのCOの「洗い出し」を評価することである。逆に、CO量および流量の測定値は、COが、再呼吸の後に、被験者の肺に「流入」する、または被験者の肺内でピークレベルに達するのに要する時間を測定するために評価することができる。当然ながら、他の技法を用いて被験者の実効換気における摂動または変化を生じさせる(すなわち、装置、個人、またはそれらの組合せに関連する死積により、全換気は無効換気よりも少ない)場合も、COまたは目的とする他のガスの量を測定することができる。そのような測定値を評価することによって、被験者のELVをほぼ非侵襲的に測定または推定することができる。
【0036】
本発明の教示を組み込んだ(例えばプログラムして)非侵襲的ELV推定装置は、被験者からのCO量および流量のデータを評価し、ELVを計算するような形でデータを処理するように構成されている(例えばプログラムされている)。本発明のシステムは、そのような装置ならびにCO量および流量のセンサーを含んでおり、そのCO量および流量のセンサーは、CO量および流量の測定値を可能な限り非侵襲的な方式(場合によっては気管内チューブは例外とする)で取得し、測定したCO量および流量のレベルを代表するデータを非侵襲的ELV推定装置に伝える。
【0037】
本発明の他の特徴および利点は、次の説明、添付の図面、および添付の特許請求の範囲を検討することにより、当業者に明らかとなろう。
【0038】
図において、本発明のさまざまな例示的態様を示すことにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明は、被験者のFRCまたはELVをほぼ非侵襲的に測定する方法を含む。本発明の方法において、FRCまたはELVは、二酸化炭素などの呼吸ガス、および呼吸流量を評価することによって決定することができる。呼吸ガスおよび流量の信号は、さまざまなパラメータを決定するために用いることができ、また、被験者の肺の数学的モデルと共に、FRCまたはELVを決定するために用いることができる。次の説明は、1つまたは複数の例示的アルゴリズムを導出する方式の考察、ならびに、そのような導出を支持する推論を含み、被験者のFRCまたはELVの非侵襲的測定を大幅に促進する。
【0040】
本発明の教示に従って、FRCおよびELVは、被験者の呼吸器および循環器の、または血流力学的な性能がほぼ非侵襲的な方式で測定されている間に測定することができる。被験者の循環器の性能の例示的な尺度には、肺毛細管の血流量および心拍出量があるが、これらに限定はされない。
【0041】
二酸化炭素のFickの式は、肺毛細管の血流量および心拍出量の双方の決定に、長きにわたって用いられてきた。二酸化炭素のFickの式の一形式は以下の通りである。
【0042】
PCBF=VCO/(cVCO2−cACO2) (1)
上式で、PCBFは肺毛細管の血流量を表し、VCOは二酸化炭素の排出量であり、cvCO2は、監視される個人の静脈血の二酸化炭素含量であり、cACO2は、監視される個人の肺胞(すなわち肺毛細管)の血液の二酸化炭素含量である。
【0043】
VCOを測定する最も正確な方法は、肺の肺胞を囲む肺毛細管内の血液から肺胞へのCOの流量、すなわち二酸化炭素排出量
【0044】
【数12】

【0045】
を直接測定することであろう。VCOがこの方法で測定できる場合、式(1)は以下のようになる。
【0046】
【数13】

【0047】
肺胞における血液内のCOの含量(cACO2)が動脈血におけるCOの含量(caCO2)とほぼ同じである場合、心拍出量
【0048】
【数14】

【0049】
は式(2)におけるPCBFと置き換えることができる。
【0050】
【数15】

【0051】
の計算のために式(2)を再度整理すると、以下のようになる。
【0052】
【数16】

【0053】
留意すべきことに、式(3)は、2次元(x、y)座標系における直線の標準的な式:y=mx+bの形式を取る。個人の実効換気量が変化する間およびその前またはその後のさまざまな時点で取られたcACO2信号(x軸)に対して、
【0054】
【数17】

【0055】
信号(y軸)を2次元座標系にプロットすると、プロットした点を通って延びる直線の傾き(m)は−PCBFとなり、PCBFcvCO2は切片(b)となることが分かる。
【0056】
式(2)および(3)は、二酸化炭素が肺胞の血液を去る、すなわち肺胞の血液から除去される速度
【0057】
【数18】

【0058】
に基づいている。血液から肺胞へのCOの流量、すなわち二酸化炭素排出量(
【0059】
【数19】

【0060】
)を、再呼吸または被験者の実効換気量の他の変化の間に測定しかつcACO2に対してプロットすることができる場合、遷移期のデータ点を含めて、各呼吸からのデータは、式(3)で規定される直線上に位置する。
【0061】
不都合にも、
【0062】
【数20】

【0063】
は直接肺胞では測定されない。これは、直接的でない方式で、すなわち被験者の口のところでまたは被験者の口の近くで測定される。被験者の口のところでまたは被験者の口の近くで発する二酸化炭素信号は通常、そのような測定を容易にするために、呼吸流量信号と共に取得され処理される。留意すべきことに、Kuckらの米国特許公表のUS2002/0183643A1(以下「Kuck」)が教示するところでは、被験者が呼息するときに被験者の口のところで取られたCOの測定値は、血液が被験者の肺の肺胞を通過するときに血液から発せられるCOの量と、必ずしも十分には相関しない。より具体的には、被験者の呼吸器系から呼息または除去され、最終的に被験者の口のところまたは被験者の口の近くで測定される
【0064】
【数21】

【0065】
は、同じ呼吸の間に血液から被験者の肺へ排出されたCOの量(流量としてみなすと
【0066】
【数22】

【0067】
)によるものであるが、このCOの量と十分には相関しない。Kuckが説明するところでは、そのような非相関性は、被験者の肺のCO貯蔵部によって、特にCO貯蔵部の緩衝能力によって生じる。
【0068】
より具体的には、
【0069】
【数23】

【0070】
は、
【0071】
【数24】

【0072】
と、被験者の肺のELV内外に流れたCOとの双方を含み、このELVはCO貯蔵部
【0073】
【数25】

【0074】
を含む。したがって、以下の通りである。
【0075】
【数26】

【0076】
被験者の肺のCO貯蔵部は緩衝部として機能して、増加したCOの一部を吸収し、
【0077】
【数27】

【0078】
の変化よりも漸次的に
【0079】
【数28】

【0080】
を変化させる。
個人の肺のCO貯蔵部は、図1に示す肺の簡潔なモデルなど、肺のモデルを使用して評価することができ、その図1のモデルにおいては、単一の肺胞100および対応する肺毛細管102が肺を表す。血流が肺毛細管102を介して流れる方向は、矢印103で表される。個人の口は、参照符号106で表されている。図1のモデルにおいて、肺の二酸化炭素貯蔵部は、簡略化の目的で、肺胞(V)の物理的なガス容積104を含むものとして示されている。当技術分野で知られているように、Vは1回換気量(V)に関連し、さらには肺の機能的残気量(VFRC)にも関連する。肺のCO貯蔵部(すなわちFRC)への図示した寄与体に加えて、COは、肺胞組織および肺の他の組織など(まとめるとELV)、他の貯蔵部内に分布することもある。図1に示す肺モデルはまた、
【0081】
【数29】

【0082】
不一致と血液の入れ替わり(すなわち、肺動脈および肺毛細管を流れない、またはPCBFでない心拍出量の部分)を省略している。モデル化の目的で、肺胞内での空気の混合(吸気、血液から脱するCO、CO貯蔵部の内外へのCOの流れ、および肺胞内のガスを含む)は即座に生じると仮定されている。個人の肺のCO貯蔵部の実効容量は、本書において「V」として示される。
【0083】
CO貯蔵部の効果は、直接得た
【0084】
【数30】

【0085】
の測定値に基づいて正確な
【0086】
【数31】

【0087】
を得るために、評価することができる。例えば、図1に示すような肺のモデルは、呼吸ごとを基準として評価することができる。単なる一例であるが、呼吸(n)は、図2に示すように、1つの吸気の終わりから次の吸気の終わりまでの期間として表すことができる。さらに、図2は、呼吸が推移する間の被験者の気道(例えば肺)におけるCO貯蔵部の実効容量の一例を示す。
【0088】
CO貯蔵部の実効容量が呼吸間で変化しない場合、ある呼吸から次の呼吸までにCO貯蔵部の内外へ流れるCOの量は、肺胞のCO部分(fCO)(すなわち、肺胞におけるCOを含むガスの部分)の変化、すなわち、ある呼吸(fCO(n))のfCOとその前の呼吸fCO(n−1)のfCOとの間の差異として表すことができる。したがって、ある呼吸(n)に対するCO貯蔵部の容量(
【0089】
【数32】

【0090】
)は、CO貯蔵部が位置する実効容量(V)を、直前の呼吸(n−1)から現在の呼吸(n)までのfCOの変化で乗じ、さらに被験者の呼吸数(RR)で乗じることによって決定することができる。式(4)は以下のようになる。
【0091】
【数33】

【0092】
式(5)は、「正常な」呼吸(例えば非再呼吸)から被験者の実効換気の変化(例えば、再呼吸または実効換気量における他の変化)へ推移する間に得られる
【0093】
【数34】

【0094】
から
【0095】
【数35】

【0096】
の測定値を推定するのに特に有用である。
【0097】
【数36】

【0098】
の推定値は本書において
【0099】
【数37】

【0100】
と示し、この推定値は式(5)における
【0101】
【数38】

【0102】
の代わりとすることができる。
【0103】
【数39】

【0104】
およびRRは直接測定することができるが、肺胞のCO部分(fACO2)およびVは直接測定することができない。しかしながら、fACO2はpACO2に比例し、このpACO2はpetCO2に比例し、そしてこのpetCO2は直接測定できる(例えばカプノメータを使用することによって)ことが知られている。したがって、petCO2の測定値を使用して、当技術分野において知られるように、呼吸ごとにfACO2の値を得ることができる。
【0105】
は、例えば、式(5)から
【0106】
【数40】

【0107】
の間の線形な相関関係を用い、
【0108】
【数41】

【0109】
すなわち推定される実効肺胞容量を、V、すなわち実際の実効肺胞容量の代わりとし、さらにcACO2を指標として用いる(式(3)参照)ことよって、適応的に推定することができる。
【0110】
【数42】

【0111】
がより正確にVを反映するにつれて、個人の実効換気量が変化する過程にわたる、cACO2(これは、petCO2測定値にも比例し、当技術分野で既知の方法でpetCO2から決定することができる)に対する
【0112】
【数43】

【0113】
のプロットのデータ点は、個人の実際の肺毛細管の血流量または心拍出量を表す1本の直線に、より接近する。その結果、
【0114】
【数44】

【0115】
の理想値は、プロットされたデータ(
【0116】
【数45】

【0117】
に対するcACO2)同士の最良の線形適合をもたらす値、したがって、最大化された相関係数、すなわちr値として決定することができる。単なる一例であるが、当技術分野で既知の種類の適応的、反復的、または探索アルゴリズムを用いて、相関係数すなわちrが最大となる
【0118】
【数46】

【0119】
を決定することができる。図3のグラフは、rが最大となる
【0120】
【数47】

【0121】
値の例を示す。
正確に
【0122】
【数48】

【0123】
が推定されると、被験者の肺のFRC(VFRC)またはELV(VELV)の実効容量もまた推定または決定することができる。この点について、式(5)は、次のように書き直して、
【0124】
【数49】

【0125】
をVの推定値として使用することを反映させることができる。
【0126】
【数50】

【0127】
以上の手法(特に、式(6)の使用))は、被験者が機械的に換気されている(すなわち人工呼吸器をつけている)ときに効果的となり、この場合、個人の呼吸の呼吸数および1回換気量(V)は通常ほぼ安定し、それによって「きれいな」fACO2信号が得られる。
【0128】
自発的なまたは混合した(すなわち、機械式かつ自発式の)換気の間は、式(6)を用いる場合、fACO2信号に生じうるあらゆるノイズをも除去することが望ましいことがあるが、これは、そのようなノイズによって、
【0129】
【数51】

【0130】
【数52】

【0131】
の推定値が不正確になることがあるからである。したがって、式(6)よりもノイズの影響を受けにくいアルゴリズムもまた、以下に説明するように、
【0132】
【数53】

【0133】
の推定に有用となることがある。
肺毛細管の血流量および心拍出量はある呼吸から次の呼吸まで変化しないと仮定すると、二酸化炭素のFickの式は(式(2))は、連続する2回の呼吸に対して以下のように書き換えることができる。
【0134】
【数54】

【0135】
さらに、cvCO2はある呼吸からその次の呼吸まで変化しないと仮定すると、式(7)は次のように簡略化することができる。
【0136】
【数55】

【0137】
当技術分野で知られているように、CO解離曲線、すなわちCO分子が赤血球のヘモグロビン分子から解離する速度を示す標準曲線の傾き(sCO2)と、気圧(pbaro)とをさらに考慮する場合、被験者の肺胞におけるガスのCO部分の測定値(fACO2)は、式(8)のcACO2の測定値の代わりに用いることができる。したがって、式(8)は次のように書き直すことができる。
【0138】
【数56】

【0139】
この式をCO部分の差異(fACO2(n)−fACO2(n−1))について解くと、次式が得られる。
【0140】
【数57】

【0141】
式(10)を式(6)に代入すると、次式となる。
【0142】
【数58】

【0143】
ここで、この式を
【0144】
【数59】

【0145】
について解いて、
【0146】
【数60】

【0147】
の正確な測定値を得ることができる。
【0148】
【数61】

【0149】
構造的に、この結果は、次式の形の1次の単極ローパスフィルターを表している。
【0150】
【数62】

【0151】
上式で、αは変換係数であり、次式で表すことができる。
【0152】
【数63】

【0153】
式(14)におけるRRは、被験者の呼吸数であり、1分間当たりの呼吸数で測定される。
【0154】
【数64】

【0155】
は、呼吸(n)の間における被験者の肺のCO貯蔵部の推定値であり、被験者の肺のFRCまたはELVの容量(それぞれVFRCおよびVELV)にほぼ等しい。sCO2は、標準的な二酸化炭素解離曲線の傾きである。pbaroは気圧である。PCBFは被験者の肺毛細管の血流量であり、αまたは
【0156】
【数65】

【0157】
の決定には、既知である必要はない。
PCBFを知ることは、αの計算に必ずしも必要ではないが、これは、αの決定に必要となるのは、petCO2またはcCO2値に対してプロットされた
【0158】
【数66】

【0159】
値を通る直線の線形性または直線性が評価されることであり、PCBFに等しい直線の傾きが評価されることではないからである。その点において、式(13)および(14)の変換係数(α)は反復的に決定することができるが、これは、初期のα値を用い、次いで漸次的にそのα値を増加および/または減少させて、petCO2またはcCO2値に対する
【0160】
【数67】

【0161】
値のプロットに最大の線形性をもたらす(開ループとは異なる)、別の言い方では、
【0162】
【数68】

【0163】
値とpetCO2またはcCO2値との間の最適な相関係数(r)を与えるα値を決定することによるものである。最適なα値を決定する他の方法には、当技術分野で知られているように、限定はしないが、機械的探索と、大域的探索と、傾斜探索(例えば傾斜下降探索アルゴリズムの使用)と、最小平均二乗アルゴリズムの使用と、他の所定の式または所定の式の組の使用と、真に適応性のあるフィルタリング技法の使用と、最適なα値を決定するための他の技法の使用とがある。
【0164】
最適な変換係数(α)(式(14))を式(13)において使用すると、被験者の肺の比較的正確で簡潔な数学的モデルが得られる。式(13)のアルゴリズムは、肺の二酸化炭素貯蔵部の内外に流れるCOの量を、「呼吸間」を基準として計算するために使用することができる。
【0165】
式(14)の
【0166】
【数69】

【0167】
はELVに等しく、また流量は容量に変換することができ、その結果、RRが除去され、以下のようにαをより簡潔に表すことができる。
【0168】
【数70】

【0169】
ここでQは、流量ではなく容量として測定される。式(15)がΔfACO2(すなわち、fACO2(n)−fACO2(n−1))で乗じられた場合、この式は、被験者の実効換気量の変化(例えば、再呼吸または他の実効換気量の変化)によるCOの量の全体的な変化に対する、ELVに貯蔵されたCOの相対的な量を計算するものとして考えることができる。
【0170】
PCBF/RRが、被験者の実効換気量が変化する(例えば、再呼吸または実効換気量の他の変化)前およびその間に得られたデータから計算される場合、式(15)は以下のように書き直すことができる。
【0171】
【数71】

【0172】
式(16)は以下のように再度整理して、ELV
【0173】
【数72】

【0174】
について解くことができる。
【0175】
【数73】

【0176】
データが収集されるときに被験者が呼吸し続けるかどうかにかかわらず、式(17)は、被験者の実効換気量に実質的にいくぶんかの変化(例えば、再呼吸、呼吸数の変化、呼吸量の変化など)が生じたときに、ほぼ非侵襲的にELVを測定するために用いることができ、「正常な」呼吸の間に得られたデータは、実効換気量の変化が生じてから得られたデータと比較される。
【0177】
最適なα値を決定する他の技法もまた、本発明の範囲に含まれる。
式(6)は、肺内に貯蔵されたCOの量
【0178】
【数74】

【0179】
が呼吸間で変化する可能性、またはその尤度さえも考慮していない。式(6)のより高度な変形型はこの可能性を考慮する。
【0180】
【数75】

【0181】
したがって、他の態様において、本発明は、VCO2STORESにおける起こりうる変化に対してELVを補正し、そのELV補正値をCO形式のフィックの微分方程式と結合するアルゴリズムの使用を含む。
【0182】
【数76】

【0183】
上式で、
【0184】
【数77】

【0185】
は、被験者の肺から排出された二酸化炭素の平均呼吸間容量であり、流量ではなく、これは、直前の呼吸および被験者の換気の有効な変化(例えば、再呼吸または実効換気における他の変化)の間に、口のところで測定されるものである。式(19)のELV値は1回換気量(V)を含む。FRCをより厳密に推定するためには、吸気の1回換気量を、式(19)で用いるために推定されたELVから減じなければならない。留意すべきことに、正確な結果は、各呼吸の
【0186】
【数78】

【0187】
が呼気から吸気まで計算されるときに、
【0188】
【数79】

【0189】
として得られる。
1回換気量は一般に、呼吸間で大幅には変化しない。したがって、式(18)の式V(n)−V(n−1)は、以降のELV決定の確度に実質的に影響を及ぼすことなく式(19)から省略されている。任意選択ではあるが、式(19)の変形型では、ある呼吸からその次の呼吸までの1回換気量の変化を考慮してもよいが、これは、そうすることによって、
【0190】
【数80】

【0191】
の計算の確度を、したがって以降のELV推定の確度を改善することができるからである。
【0192】
【数81】

【0193】
およびpetCO2が一周期内で良好な安定状態に達する場合、それらを用いて式(19)のPCBFを計算することが可能となることもある。これが可能となるのは、ELVは、安定状態の値からPCBFを推定することに影響を及ぼさないからである(代数的に、fACO2(n)−fACO2(n−1)項は安定状態で消滅する)。
【0194】
式(19)は、以下のようにELV
【0195】
【数82】

【0196】
について解くことができる。
【0197】
【数83】

【0198】
さらに、1つのCO解離曲線の傾きsCO2(例えば、その周期のpetCO2値全体に対する平均値)を使用できると仮定される場合、その傾きsCO2は約され、式は以下のように簡略化される。
【0199】
【数84】

【0200】
上式で、preおよびduringの値はそれぞれの安定状態を表す。別法として、PCBFは、他のある方法によって、その方法が侵襲的(例えば熱希釈)であるか非侵襲的(例えば電気的生体インピーダンス)であるかにかかわらず決定することができる。
【0201】
式(21)の部分は、本発明の少なくとも2つの実施形態において用いることができ、そのうちの1つは、ELVを決定するために式(21)の第1の部分を用いることを含む。より具体的には、被験者の実効換気量の変化によりpACO2が変化していても(例えば、再呼吸または実効換気量の他の変化)
【0202】
【数85】

【0203】
は一定であると仮定することができる場合、ELVは以下の通りに決定することができる。
【0204】
【数86】

【0205】
式(22)は、被験者の実効換気量の変化(例えば、再呼吸、呼吸数の変化、呼吸量の変化など)が生じたとき、ならびに被験者が引き続き呼吸する間に(すなわち、息こらえを必要とする、あるいは別の方法で一時的に呼吸を停止する操作の間以外に)、ELVの評価に使用することができる。式(22)を使用してELVを決定する際、「正常な」呼吸の間に取得されたデータは、実効換気量の変化が生じた後に取得されたデータと比較することができる。一例であって限定するものではないが、呼吸(n−1)は正常な呼吸を表す一方で、(n)は実効換気量の変化が発生した最初の呼吸を表すことができる。
【0206】
これらの実施形態の2つ目は、式(21)の第1の部分(すなわち式(22))、ならびに式(21)の第2の部分、
【0207】
【数87】

【0208】
を、またはそのより広義の変形、
【0209】
【数88】

【0210】
を用いる。
このようにして、式(22)のELV計算は、ある呼吸の間のpACO2の変化、または絶えず変化するpACO2の変化を補正するように修正することができる。具体的には、式(23)におけるVCOの変化とpACO2の変化との比、ならびに式(24)における
【0211】
【数89】

【0212】
の比は、血液を去るCOがCO貯蔵部に追加されるとき口を通じてCO貯蔵部を去るCOの量を示す直線の傾きを、すなわち、血流からのCOがCO貯蔵部に流入するときpetCO2の変化がpACO2の変化を表す「感度」を表し、この感度はCO貯蔵部の緩衝能力の指標となる。
【0213】
【数90】

【0214】
は、petCO2が口のところでまたは口の近くで測定されるとき、スケーリングすべきpACO2の変化の大きさの指標となる。
【0215】
式(24)における1/RRは、実効換気の変化(例えば再呼吸)の開始と測定されたpACO2が肺胞を去る時間との間の時間間隔を表す、異なる値で置き換えることができる。一般に、そのような値は1/RRよりも小さくなる。
【0216】
データが収集されるときに被験者が呼吸し続けるかどうかにかかわらず、式(23)と(24)の組合せは、被験者の実効換気量に実質的にいくぶんかの変化が生じたとき、ほぼ非侵襲的にELVを決定するために使用することができる。より具体的には、「正常な」呼吸の間に取得されたデータは、実効換気量の変化が生じた後に取得されたデータと比較することができる。
【0217】
ここで図4に戻ると、本発明の教示を組み込んだ例示的な診断システム11が概略的に示されている。診断システム1は、とりわけ、個人Iの気道Aと連通する気道52、ならびに気道52にそって配置された流量計72および二酸化炭素センサー74を有する。流量計72および二酸化炭素センサー74は、対応する監視装置73および75に信号を伝え、その監視装置73および75は、呼吸モニター80のプロセッサ82(例えば、Respironicsの分社である米コネティカット州WallingfordのNovametrix Medical Systemsから入手可能なNICO(登録商標)のプロセッサおよび呼吸監視装置))と電気的に通信する。プロセッサ82は、流量計72と二酸化炭素センサー74から送られた信号に基づいて、少なくともVCOとpetCO2を決定するようにプログラムされている。さらに、プロセッサ82は、流量計72と二酸化炭素センサー74のうちの一方または双方からの信号または計算されたパラメータ(例えばVCOとpetCO2)を上述のアルゴリズム(すなわち、式(1)から(24)のうちの1つまたは複数)で使用して、ほぼ非侵襲的でかつ正確に個人IのELVを容易に決定するようにプログラムすることができる。あるいは、そのような計算を手動で行うことができる。
【0218】
本発明の教示を組み込んだ方法において、VCOおよびpetCO2の値は、個人Iの実効換気量の変化が影響を受けた、基準または第1の換気状態、または第2の換気状態のいずれの間にも取得される。あるいは、そのような値を、第1および第2の状態の間の推移の間に取得し、次いで、第1および第2の状態の間に取得された値と比較することができる。
【0219】
第1の換気状態は、実質的に「正常な」呼吸状態下で影響を受けることがある。あるいは、基準換気状態は、選択された他の呼吸状態の第1の組のもとで定義することができる。第2の換気状態は、測定可能な変化を分時拍出量にもたらす程度で、第1の換気状態の間に存在するものとは異なる呼吸状態を達成するように、1つまたは複数の呼吸制御パラメータが操作されたときに発生する。
【0220】
第2の換気状態は、例えば、吸気圧力、1回換気量、流量または時間などの制限変数の値を、第1の換気状態の間におけるその制限変数の値から変更することによって発生させることができる。他の例示的方法において、実効換気量の変化は、周期変数のしきい値を、第1の換気状態の間におけるその周期変数のしきい値レベルから変更することによって発生させることができる。さらなる例示的方法において、実効換気量の変化は、吸気圧力または流速などの誘発変数のしきい値誘発値を変更することによって発生させることができる。さらなる方法において、実効換気量の変化は、通常の呼吸よりも深い「ため息のような呼吸(sigh breaths)」を少なくとも3回連続して個人に行わせることによって発生させることができる。実効換気量の変化はまた、不安定な、すなわち「騒がしい」呼吸の期間を含むことがある。
【0221】
得られたVCOおよびpetCO2の値は、ほぼ非侵襲的にかつ正確に個人IのELVを決定するために、式(1)から(24)のうちの1つまたは複数と共に処理される。
【実施例】
【0222】
極めて長い気管内挿入管を、初期の正位置から、麻酔した豚の気管支紋理内へのわずかな距離に(時刻15時26分)、21分後に(時刻15時47分)さらに気管支紋理内の位置に増分的に前進させることによって、さまざまな実効RFC値が達成された。肺の一部分のみを換気することにより、実効FRCは、気管内挿入管の前進につれて減少した。
【0223】
ELVが、式(18)を使用して、さまざまな呼吸に対して計算された。十分なfACO2(n)−fACO2(n−1)しきい値が存在したとき、ならびに特定の呼吸の間(例えば、第2の呼吸は再呼吸へのものであり、第1の呼吸は回復のものであるなど)に計算されたELV値は有効とみなされ、データ点として図5のグラフに含められた。留意すべきことに、プロットしたデータ点は、ELVから吸気の1回換気量を引いたものを表す。正常な呼吸から再呼吸へと遷移する間に取得されたデータから計算されたELV値は、菱形の点として示されている。再呼吸から回復へと遷移する間に取得されたデータから計算されたELV値は、正方形として示されている。2組のデータを通じて延びる直線同士が接近していることから、ELV値が、したがってそれらを算出したアルゴリズム(式(22および23))が、妥当なELV値を与えることが示唆される。留意すべきことに、2組のELV計算値のトレンドは、予想の通り、気管内挿入管が豚の肺内へとさらに前進されたときには減少する。これらのトレンド、ならびにそれらの大きさは、その根底にあるVCO信号50およびpetCO2信号51によって確認される。さらに、ELV推定値は、petCO2の著しい変化が認められたときにも(15時50分より後のpetCO2のトレンドを参照)、依然として比較的安定であった。
【0224】
以上の説明は多数の詳細を含んでいるが、それらは本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の好ましい実施形態のいくつかを例示するものとみなされるべきである。同様に、本発明の趣旨または範囲を逸脱しない、本発明の他の実施形態を考案することができる。異なる実施形態の特徴は、組み合わせて用いることができる。したがって、本発明の範囲は、以上の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲およびその法的な均等物によってのみ示されかつ限定される。本明細書において開示する本発明に対する、特許請求の範囲の趣旨および範疇に含まれるすべての追加、除外および修正は、特許請求の範囲に含まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】個人の肺胞の概略図であり、さまざまな呼吸および血液ガスパラメータを測定できる場所を示している。
【図2】一連の呼吸周期または呼吸の間における、個人の気道の二酸化炭素貯蔵部内のガス体積(V)を示すグラフである。
【図3】cACO2のデータ点に対する変換された
【0226】
【数91】

【0227】
のデータ点のプロットであり、プロットされた点は互いにほぼ直線状である。
【図4】本発明の教示を組み込んだ監視システムの一例の概略図である。
【図5】本発明の教示に従って行われた2組のELV計算の相関関係を示す線グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の実効肺容量をほぼ非侵襲的に推定する方法であって、
被験者の実効換気量の変化を発生させるステップと、
実効肺容量を決定するステップであって、前記実効肺容量への二酸化炭素の流量を補正するために、口のところで測定された二酸化炭素放出量に対して用いられたとき、前記被験者の前記口のところでまたは口の近くで測定された二酸化炭素放出量と、前記被験者の肺胞から発せられた気体内の二酸化炭素の濃度とのほぼ線形な関係を生じるステップを含む方法。
【請求項2】
決定するステップは、
前記二酸化炭素放出量と前記二酸化炭素の濃度とのほぼ線形な関係を生じる線形フィルター係数を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記実効肺容量を決定するステップは、前記二酸化炭素放出量と前記二酸化炭素濃度との最適な相関性をもたらす実効肺容量を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記実効肺容量を決定するステップは、以下のアルゴリズムを用いるステップを含み、
【数1】

上式で、
【数2】

は前記実効肺容量を表し、かつαは前記二酸化炭素放出量と前記二酸化炭素濃度との最適な相関性を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
発生させるステップは再呼吸するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
被験者の実効肺容量をほぼ非侵襲的に推定する方法であって、
被験者の実効換気量の変化を、前記被験者が呼吸を継続する間に発生させるステップと、
基準呼吸から、前記実効換気量の変化が発生させられる呼吸までの、前記被験者の肺の肺胞内に存在するガスにおける二酸化炭素の濃度の変化を考慮するステップと、
基準呼吸から、前記実効換気量の変化が達成される呼吸までの、二酸化炭素放出量の変化を考慮するステップとを含む方法。
【請求項7】
前記濃度の変化を考慮するステップと、前記二酸化炭素放出量の変化を考慮するステップは、以下のアルゴリズムを用いるステップを含み、
【数3】

上式で、
【数4】

は前記実効肺容量を表し、fACO2(n)およびfACO2(n−1)は連続する呼吸の間の前記二酸化炭素の濃度を表し、その連続する呼吸のうちの1つのみは実効換気量の変化が発生させられたときに生じるものであり、VCO2PREは、基準呼吸の間に前記被験者の口のところでまたは前記被験者の口の近くで測定された前記二酸化炭素放出量を表し、VCO(n)は、呼吸(n)に対して測定された前記二酸化炭素放出量を表す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
発生させるステップは再呼吸させるステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
被験者の実効肺容量をほぼ非侵襲的に推定する方法であって、
被験者の実効換気量の変化を発生させるステップと、
基準呼吸から、実効換気量の前記変化が発生させられる呼吸までの、前記被験者の肺の肺胞内に存在するガスにおける二酸化炭素の量の変化を考慮するステップと、
基準呼吸から、前記実効換気量の変化が発生させられる呼吸までの、二酸化炭素放出量の変化を考慮するステップと、
呼吸の間に発生する、前記肺胞内に存在するガスにおける前記二酸化炭素の量の変化を補正するステップとを含む方法。
【請求項10】
補正するステップは、
発生させられた前記実効換気量の変化の結果として血液から肺に送られる前記二酸化炭素の変化を考慮するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
補正するステップは、
基準呼吸から、前記実効換気量の変化が発生させられる呼吸までの、前記肺胞内の前記二酸化炭素の量の変化の大きさを考慮するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
発生させるステップは再呼吸させるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
発生させるステップは息こらえさせるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記二酸化炭素の濃度の変化を考慮するステップ、前記二酸化炭素放出量の変化を考慮するステップ、および前記二酸化炭素の量の変化を補正するステップは、以下のアルゴリズムを用いるステップを含み、
【数5】

上式で、
【数6】

は前記実効肺容量を表し、fACO2(n)およびfACO2(n−1)は連続する呼吸の間の前記二酸化炭素の濃度を表し、その連続する呼吸のうちの1つのみは実効換気量の変化が発生させられたときに生じるものであり、VCO2PREは、基準呼吸の間に前記被験者の前記口のところでまたは前記被験者の前記口の近くで測定された前記二酸化炭素放出量を表し、VCO(n)は、呼吸(n)に対して測定された前記二酸化炭素放出量を表し、VCO2DURは、前記実効換気量の変化が発生させられたときに前記口のところでまたは前記口の近くで測定された前記二酸化炭素放出量を表し、pACO2PREは基準呼吸の間の前記被験者の肺の肺胞内の二酸化炭素の分圧を表し、pACO2(n)は呼吸(n)の間の前記肺胞内の二酸化炭素の分圧を表す、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記二酸化炭素の濃度の変化を考慮するステップ、前記二酸化炭素放出量の変化を考慮するステップ、および前記二酸化炭素の量の変化を補正するステップは、以下のアルゴリズムを用いるステップを含み、
【数7】

上式で、
【数8】

は前記実効肺容量を表し、fACO2(n)およびfACO2(n−1)は連続する呼吸の間の二酸化炭素の濃度を表し、その連続する呼吸のうちの1つのみは実効換気量の変化が達成されたときに生じるものであり、VCO2PREは、基準呼吸の間に前記被験者の前記口のところでまたは前記被験者の前記口の近くで測定された前記二酸化炭素放出量を表し、VCO(n)は、呼吸(n)に対して測定された前記二酸化炭素放出量を表し、PCBFは前記被験者の肺毛細管の血流量を表し、sCO2は標準的な二酸化炭素解離曲線の傾きを表し、RRは前記被験者の呼吸数を表し、pACO2PREは基準呼吸の間の前記被験者の肺の前記肺胞内の二酸化炭素の分圧を表し、pACO2(n)は呼吸(n)の間の前記肺胞内の二酸化炭素の分圧を表す、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
被験者の実効肺容量をほぼ非侵襲的に推定する装置であって、
被験者の実効換気量の変化を発生させる手段と、
実効肺容量を決定する手段であって、前記実効肺容量への二酸化炭素の流量を補正するために、口のところで測定された二酸化炭素放出量に対して用いられたとき、前記被験者の前記口のところでまたは口の近くで測定された前記二酸化炭素放出量と、前記被験者の肺の肺胞から発せられた気体内の二酸化炭素の濃度とのほぼ線形な関係を生じる手段とを含む装置。
【請求項17】
決定する手段は、
前記二酸化炭素放出量と前記二酸化炭素の濃度とのほぼ線形な関係を生じる線形フィルター係数を選択する手段を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記実効肺容量を決定するステップは、前記二酸化炭素放出量と前記二酸化炭素濃度との最適な相関性をもたらす前記実効肺容量を選択する手段を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記実効肺容量を決定する手段は、以下のアルゴリズムを用いる手段を含み、
【数9】

上式で、
【数10】

は前記実効肺容量を表し、かつαは前記二酸化炭素放出量と前記二酸化炭素濃度との最適な相関性を表す、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
発生させる手段は再呼吸を発生させる手段を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項21】
被験者の実効肺容量をほぼ非侵襲的に推定する装置であって、
被験者の実効換気量の変化を、前記被験者が呼吸を継続する間に発生させる手段と、
基準呼吸から、前記実効換気量の変化が発生させられる呼吸までの、前記被験者の肺の肺胞内に存在するガスにおける前記二酸化炭素の濃度の変化を考慮するステップと、
基準呼吸から、前記実効換気量の変化が発生させられる呼吸までの、二酸化炭素放出量の変化を考慮する手段とを含む装置。
【請求項22】
前記濃度の変化を考慮し、前記二酸化炭素放出量の前記変化を考慮する手段は、以下のアルゴリズムを用いる手段を含み、
【数11】

上式で、
【数12】

は前記実効肺容量を表し、fACO2(n)およびfACO2(n−1)は連続する呼吸の間の前記二酸化炭素の濃度を表し、その連続する呼吸のうちの1つのみは実効換気量の変化が発生させられたときに生じるものであり、VCO2PREは、基準呼吸の間に前記被験者の口のところでまたは前記被験者の口の近くで測定された前記二酸化炭素放出量を表し、VCO(n)は、呼吸(n)に対して測定された前記二酸化炭素放出量を表す、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
発生させる手段は再呼吸させる手段を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
被験者の実効肺容量をほぼ非侵襲的に推定する装置であって、
被験者の実効換気量の変化を発生させる手段と、
基準呼吸から、前記実効換気量の変化が発生させられる呼吸までの、前記被験者の肺の肺胞内に存在するガスにおける前記二酸化炭素の量の変化を考慮するステップと、
基準呼吸から、前記実効換気量の変化が発生させられる呼吸までの、二酸化炭素放出量の変化を考慮する手段と、
呼吸の間に発生する、前記肺胞内に存在するガスにおける前記二酸化炭素の量の変化を補正する手段とを含む装置。
【請求項25】
補正する手段は、
発生させられた前記実効換気量の変化の結果として血液から肺に送られる前記二酸化炭素量の変化を考慮する手段を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
補正する手段は、
基準呼吸から、前記実効換気量の変化が発生させられる呼吸までの、前記肺胞内の前記二酸化炭素の量の変化の大きさを考慮する手段をさらに含む、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
発生させる手段は再呼吸させる手段を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
発生させる手段は息こらえを発生させる手段を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項29】
前記二酸化炭素の濃度の変化を考慮する手段、前記二酸化炭素放出量の変化を考慮する手段、および前記二酸化炭素の量の変化を補正する手段は、以下のアルゴリズムを用いる手段を含み、
【数13】

上式で、
【数14】

は前記実効肺容量を表し、fACO2(n)およびfACO2(n−1)は連続する呼吸の間の前記二酸化炭素の濃度を表し、その連続する呼吸のうちの1つのみは実効換気量の変化が発生させられたときに生じるものであり、VCO2PREは、基準呼吸の間に前記被験者の前記口のところでまたは前記被験者の前記口の近くで測定された前記二酸化炭素放出量を表し、VCO(n)は、呼吸(n)に対して測定された前記二酸化炭素放出量を表し、VCO2DURは、前記実効換気量の変化が発生させられたときに前記口のところでまたは前記口の近くで測定された前記二酸化炭素放出量を表し、pACO2PREは基準呼吸の間の前記被験者の肺の肺胞内の二酸化炭素の分圧を表し、pACO2(n)は呼吸(n)の間の前記肺胞内の二酸化炭素の分圧を表す、請求項24に記載の装置。
【請求項30】
前記二酸化炭素の濃度の変化を考慮する手段、前記二酸化炭素放出量の変化を考慮する手段、および前記二酸化炭素の量の変化を補正する手段は、以下のアルゴリズムを用いる手段を含み、
【数15】

上式で、
【数16】

は前記実効肺容量を表し、fACO2(n)およびfACO2(n−1)は連続する呼吸の間の二酸化炭素の濃度を表し、その連続する呼吸のうちの1つのみは実効換気量の変化が達成されたときに生じるものであり、VCO2PREは、基準呼吸の間に前記被験者の前記口のところでまたは前記被験者の前記口の近くで測定された前記二酸化炭素放出量を表し、VCO(n)は、呼吸(n)に対して測定された前記二酸化炭素放出量を表し、PCBFは前記被験者の肺毛細管の血流量を表し、sCO2は標準的な二酸化炭素解離曲線の傾きを表し、RRは前記被験者の呼吸数を表し、pACO2PREは基準呼吸の間の前記被験者の肺の前記肺胞内の二酸化炭素の分圧を表し、pACO2(n)は呼吸(n)の間の前記肺胞内の二酸化炭素の分圧を表す、請求項24に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−517655(P2008−517655A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538028(P2007−538028)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/037735
【国際公開番号】WO2006/047212
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)
【Fターム(参考)】