説明

実質的に円筒形の移動部品を備える弁体を有する充填弁

【課題】粒子を含有する水溶液の計量送達のためによく適した充填弁を提供すること。
【解決手段】粒子を含有する液体媒体の流れの計量送達のための充填弁であって:入口開口部および出口開口部を備える流れチャンバを有する弁ハウジング;該出口開口部を開閉するための、該流れチャンバに収容される起動可能な弁体;該弁体を開位置と閉位置との間で移動させるための起動手段を備え;該弁体の壁部分は、該閉位置において該弁ハウジングに提供された座に密封様式で押し付けられ、該弁体は、その底端部にて実質的に円筒形の移動部品を備え、そして該弁ハウジングは、その底端部にて該流れチャンバに隣接する実質的に円筒形の流出管を備え、該移動部品は、該移動部品が該閉位置において該流出管の長さの少なくとも4分の3にわたって該流出管を満たすような様式で、該流出管内に移動可能に精密にフィットし、そして該流出管の長さ対直径の比が1より大きい、充填弁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体粒子を含有する液体媒体の流れの、計量送達のための充填弁に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの種類の充填弁が、先行技術から公知である。多くの場合において、これらの弁は、媒体供給部に接続された流れチャンバを有する、弁ハウジングを備える。この流れチャンバ内に、起動可能な弁体が、このチャンバの底部に提供された出口開口部の開閉のために、収容される。この閉位置において、この弁体の外周壁部分は、この弁ハウジングに提供された座に、密封様式で押し付けられる。
【0003】
本出願人によって現在使用されている、この型の充填弁に関して、パイプセクションが、この弁ハウジングの底部に提供されている。このことの目的は、充填サイクル後にこのパイプセクションに残っている、あらゆる媒体からの滴下を、毛管作用の結果として防ぐことである。
【0004】
しかし、この場合、必要に応じて粒子を含有している水溶液に関して、この毛管作用が不十分であり、そして上記設計にもかかわらず滴下が起こることが、欠点である。
【0005】
さらに、例えば、特許文献1は、低粘度の製品が充填され得る充填弁を開示する。滴下を防止する目的で、その弁体の底部は、この場合において、段状の端部を備え、この端部の直径は、下向きの方向に減少している。
【0006】
しかし、この場合、粒子を含有する水溶液で容器が満たされる場合に、これらの粒子が詰まり得、その結果、この液体が思わぬ角度で吹き出し得、そして/または噴出し得ることが、欠点である。
【0007】
さらに、容器を充填するための充填機械が、特許文献2から公知である。この公知の充填機解は、タンクを備え、このタンクは、入口開口部を介して、計量チャンバと連絡している。この計量チャンバは、ピストン/シリンダアセンブリを備える計量機構を備える。この計量チャンバは、出口開口部を有する。このアセンブリは、この入口開口部および出口開口部を開閉するために設計されており、そしてこの目的で、2つの弁要素を備え、これらの弁要素は、この入口開口部が開位置にある場合に、この出口開口部が閉じ、そしてこの出口開口部が開位置にある場合に、この入口開口部が閉じるような様式で、互いに接続されている。このことの目的は、この計量チャンバの出口開口部が開位置にあり、そしてこの充填機械の作用が中断される場合に、このタンクからこの計量チャンバへの漏出を防止することである。1つの実施形態において、この出口開口部は、特定の長さの出口管を備え、この出口管は、閉位置にある場合に、閉鎖要素の移動部品で完全に満たされる。
【0008】
特許文献3は、流体の計量送達のための充填弁を開示し、この充填弁において、出口は、流体の型に適合される。例えば、発泡性の流体に対しては、流れ低下手段およびジェットを妨害する一連のふるいを備える、幅が広い排出ノズルが提供される。この実施形態は、粒子を含有する液体製品を容器に充填するためには、適切ではない。より濃厚な、より粘性の製品に関しては、供給が妨害される場合に製品の流れを遮断する、閉鎖要素が使用される。
【0009】
特許文献4は、垂直な流れチャンバを有する充填弁を開示し、この垂直な流れチャンバは、その底部において、中心からずれた位置に、円筒形の流出管を備える。その弁体は、この流出管内でスライド可能な、円筒形の移動部品を備える。その弁ハウジングは、この弁体のための座を有さず、このことは、閉位置において、計量されるべき媒体に対して圧力が付与されないことを示す。この公知の充填弁は、プランジャー充填型のものであり、このプランジャー内に、最初に、この媒体が吸入され、次いで、押し出される。
【0010】
特許文献5もまた、プランジャー充填型の充填弁を開示し、この充填弁において、媒体は、2つのスリーブの互いに対する相対運動によって、吸引される。これらのスリーブは、この媒体のための貯蔵タンク内に、直接位置決めされる。
【0011】
特許文献6から、連通管の原理に従って機能する充填弁が公知である。
【0012】
特許文献7は、(起動手段を有さない)弁体が、注ぎ口が開位置にある場合に、液体の流れの力によって上昇し、そしてその結果、流出管が開放される、充填弁を開示する。閉位置において、液体の流れは存在せず、そして弁体自体の重量に起因して、この弁体は、この流出管内に沈む。
【特許文献1】欧州特許第1000898号明細書
【特許文献2】米国特許第3349973号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0850838号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0534913号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第19918430号明細書
【特許文献6】米国特許第2770397号明細書
【特許文献7】仏国特許出願公開第664686号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上述の欠点を少なくとも部分的に排除し、そして/または使用可能な代用品を提供することである。具体的には、本発明の目的は、粒子を含有する水溶液の計量送達のためによく適しており、そして充填弁の入口がこの充填弁への溶液(特に、加圧された溶液)の供給ラインと絶えず開放連絡している場合でさえも、滴下が最小までさらに低下される、信頼性のある充填弁を提供することである。本発明の別の目的は、固体流体を含有する液体媒体の流れの間に、(思わぬ角度で)吹き出ることおよび/または噴出することの危険性を低下させ、そして滴下の危険性を低下させる、一見両立しない下位目的を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、請求項1による充填弁によって達成される。この場合、この充填弁は、入口開口部および出口開口部を備える流れチャンバを有する、弁ハウジングを備える。起動可能な弁体が、この出口開口部の開閉のために、この流体チャンバ内に収容される。この目的で、この弁体を開位置と閉位置との間で移動させるための起動手段が、提供される。この閉位置において、この弁体の外周壁部分は、この弁ハウジングに提供された座に、密封様式で押し付けられる。この弁体は、その底端部において、実質的に円筒形の移動部品を備え、一方で、この弁ハウジングは、その底端部において、この流れチャンバに隣接する、実質的に円筒形の流出管を備える。この流出管は、この媒体の流れを所望の方向に流出させることを補助する。この流出管は、円筒形の形状を有し、この形状は、衛生の観点から、好ましい。この移動部品は、この流出管内に移動可能に(例えば、スライド可能に)精密にフィットし、そして閉位置にて、この流出管の長さの少なくとも4分の3にわたってこの流出管を満たすように設計される。従って、この弁体が閉位置に移動する場合、この移動部品は、言わば、この流出管を、その長さの少なくとも4分の3を空にする。本発明によれば、長さ対直径の比は、1より大きい。このことは、一方で、噴出を排除し、そして他方で、毛管作用が存在する場合には、わずかな役割しか果たさせずに、滴下を防止し、そしてこの移動部品は、単純な設計のものであり得る。試験により、この充填弁は、粒子を含有する液体媒体(特に、果肉粒子および/または果実の塊を含有する果汁)の流れの計量送達に、非常によく適していることが示された。この場合、これらの果実の塊は、9×9×9mmにまで大きい寸法さえも有し得る。驚くべきことに、閉位置においてさえも、流出開口部の密封が、弁ハウジングの座に押し付けられる弁体の外周壁部分によって達成されるが、流出管の長さは、閉鎖の際の滴下の機会を最小にするため、および分配の間の噴出を防止するために、その直径より大きい必要があることが見出された。このことは、圧力下で計量される、粒子を含有する液体媒体の流れに対して、特に事実である。
【0015】
好ましい実施形態において、この流出管は、6mmの最小長さ、より好ましくは、12mmの最小長さを有する。6mmの最小長さは、上記比を条件として、粒子を含有する媒体の流れを使用する際の、噴出の機会を減少させる。
【0016】
さらなる実施形態において、この流出管の長さ対直径の比は、1より大きく、より具体的には、1.5より大きく、有利には、およそ1.8〜2.0である。
【0017】
有利な変形物において、上記起動手段は、弁体を開位置と閉位置との間で上下に移動させるために設計されるのみでなく、これらの手段はまた、閉位置において、この弁体の回転運動を引き起こすように設計される。従って、媒体の流れ中の粒子が、解放され得る。果汁中に存在する粒子のような、繊維質の粒子が、考慮され得る。これらの粒子は、弁体と弁ハウジングとの間に詰まり得、そしてそうでなければ、滴下などを引き起こし得る。連続的な回転に加えて、この回転運動はまた、この弁体の長手方向軸の周りでの往復回転を包含し得る。
【0018】
さらなる実施形態は、従属クレームに規定される。具体的には、上記充填弁は、加圧された媒体の計量のために設計され、ここで、この充填弁の閉位置と開位置との両方において、流れチャンバと媒体供給部との間に開放連絡が存在する。この媒体の加圧された供給を可能にする目的で、ポンプなどが、この媒体供給部において、この媒体の貯蔵タンクとこの流れチャンバの入口との間に提供され得る。流れチャンバ内で絶えず加圧される媒体を用いて、この充填弁を作動させることは、入口において、入口弁が存在する必要がないという利点を有する。さらに、この弁の汚染の危険性が低下する。なぜなら、より少数の部品が、この媒体の流れに接触するからである。
【0019】
第二の局面によれば、本発明は、請求項13に規定されるような本発明による充填弁の使用に関する。液体媒体の流れの粘度は、有利には、1mPas〜100mPasの範囲である。1mPasの粘度において、この媒体の流れは、噴出の危険が最も高い、低粘度の製品である。100mPasより高い粘度において、その製品は、非常に粘性であるので、毛管作用の結果として、排出管内にくっついたままになる。
【0020】
さらなる局面によれば、本発明は、粒子を含有する液体媒体の流れで容器を満たすための、充填デバイスに関し、このデバイスは、本発明による充填弁を備え、この充填弁の中で、流れチャンバが、この流れチャンバへの媒体の加圧された供給のために、入口開口部を介して、圧力供給源と連絡する。本発明のこの局面によれば、この充填デバイスは、媒体(例えば、繊維を含有する果汁)の流れの、タンクから流れチャンバへの加圧供給のための圧力供給源を備える。さらに好ましい実施形態において、この供給部は、この弁体の閉位置と開位置との両方において、この流れチャンバと開口連絡したままである。従って、入口開口部を周期的に開閉させるための第二の弁体が、この充填弁には存在しない。この充填デバイスは、ここで、体積または重量によって計量する際に使用され得、ここで、この流れチャンバ内の、容器に満たされるべき媒体は、持続的な圧力下にある。
【0021】
本発明により、以下が提供される:
(項目1)
粒子を含有する液体媒体の流れの計量送達のための充填弁(1)であって、以下:
入口開口部(26)および出口開口部(7)を備える流れチャンバ(3)を有する弁ハウジング(2;31);
該出口開口部を開閉するための、該流れチャンバ(3)に収容される起動可能な弁体(4;30);
該弁体を開位置と閉位置との間で移動させるための起動手段(5)、
を備え;
該弁体(4;30)の壁部分は、該閉位置において、該弁ハウジング(2;31)に提供された座(13)に密封様式で押し付けられ、
該弁体(4)は、その底端部にて、実質的に円筒形の移動部品(4c)を備え、そして該弁ハウジング(2;31)は、その底端部にて、該流れチャンバ(3)に隣接する実質的に円筒形の流出管(10;32)を備え、
該移動部品(4c)は、該移動部品(4c)が、該閉位置において、該流出管の長さの少なくとも4分の3にわたって該流出管(12;32)を満たすような様式で、該流出管(10;32)内に移動可能に精密にフィットし、そして
該流出管(10;32)の長さ対直径の比が、1より大きい、
充填弁。
(項目2)
前記流出管(10;32)の最小長さが、6mmである、項目1に記載の充填弁。
(項目3)
前記流出管(10;32)の最小長さが、12mmである、項目2に記載の充填弁。
(項目4)
前記流出管(10;32)の長さ対直径の比が、1.5より大きい、項目1〜3のいずれか1項に記載の充填弁。
(項目5)
前記閉位置において、前記弁体(4;30)が、前記弁ハウジング(2;31)に提供される前記座(13;34)に密封様式で押し付けられる、項目1〜4のいずれか1項に記載の充填弁。
(項目6)
前記起動手段(5)がまた、前記閉位置において、前記弁体(4;30)の回転移動を引き起こすように設計されている、項目1〜5のいずれか1項に記載の充填弁。
(項目7)
前記弁座(34)が、前記流出管(32)の底部に提供されている、項目1〜6のいずれか1項に記載の充填弁。
(項目8)
前記弁座(13)が、前記流出管(10)の頂部に提供されている、項目1〜6のいずれか1項に記載の充填弁。
(項目9)
前記流出管(10;32)が、前記移動部品(4c)より最大5mm長い、項目1〜8のいずれか1項に記載の充填弁。
(項目10)
前記移動部品(4c)が、前記閉位置において、前記流出管(10;32)を実質的に完全に満たす、項目1〜9のいずれか1項に記載の充填弁。
(項目11)
前記流れチャンバ(3)が、前記入口開口部(26)を介して、前記媒体を該流れチャンバ(3)に加圧供給するための媒体供給部(25)と連絡している、項目1〜10のいずれか1項に記載の充填弁。
(項目12)
前記媒体供給部(25)が、前記弁体(4;30)の前記閉位置と前記開位置との両方において、前記流れチャンバ(3)と開口連絡している、項目1〜11のいずれか1項に記載の充填弁。
(項目13)
粒子を含有する液体媒体、特に、果肉粒子および/または果実の塊を含有する果汁の流れの、容器への計量送達のための、項目1〜12のいずれか1項に記載の充填弁(1)の使用。
(項目14)
前記流れチャンバ(3)が、前記入口開口部(26)を介して、前記媒体を該流れチャンバ(3)に加圧供給するための媒体供給部(25)と連絡している、項目13に記載の使用。
(項目15)
前記媒体供給部(25)が、前記弁体(4;30)の前記閉位置と前記開位置との両方において、前記流れチャンバ(3)と開口流体連絡している、項目14に記載の使用。
(項目16)
前記媒体が、1mPas〜100mPasの範囲の粘度を有する、項目13〜15のいずれか1項に記載の使用。
(項目17)
粒子を含有する液体媒体の流れを容器に充填するための充填デバイスであって、該デバイスは、項目1〜12のいずれか1項に記載の充填弁(1)を備え、前記流れチャンバ(3)は、前記入口開口部(26)を介して、該媒体を該流れチャンバ(3)に加圧供給するための媒体供給部(25)と連絡しており、該媒体供給部は、該媒体の貯蔵タンクと連絡している、充填デバイス。
(項目18)
前記媒体供給部(25)が、前記弁体(4;30)の前記閉位置と前記開位置との両方において、前記流れチャンバ(3)と開口連絡している、項目17に記載の充填デバイス。
【0022】
粒子を含有する液体媒体の流れの計量送達のための充填弁(1)は、入口開口部(26)および出口開口部(7)を備える流れチャンバ(3)を有する弁ハウジング(2)、この出口開口部を開閉するための弁体(4)、ならびに弁体(4)を開位置と閉位置との間で移動させるための起動手段(5)を備える。この閉位置において、弁体(4)は、この弁ハウジング内の座(13)に密封様式で押し付けられる。
【0023】
弁体(4)は、その底端部にて、実質的に円筒形の移動部品(4c)を備え、そして弁ハウジング(2)は、その底端部にて、実質的に円筒形の流出管(10)を規定する。ここで、この移動部品が、閉位置にて、この流出管の長さの少なくとも4分の3にわたって流出管(10)を満たすような様式で、移動部品(4c)が、流出管(10)内にスライド可能に精密にフィットする。この流出管の長さ対直径の比は、1より大きい。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、上述の欠点が少なくとも部分的に排除され、そして/または使用可能な代用品が提供される。具体的には、本発明により、粒子を含有する水溶液の計量送達のためによく適しており、そして充填弁の入口がこの充填弁への溶液(特に、加圧された溶液)の供給ラインと絶えず開放連絡している場合でさえも、滴下が最小までさらに低下される、信頼性のある充填弁が提供される。さらに、本発明により、固体流体を含有する液体媒体の流れの間に、(思わぬ角度で)吹き出ることおよび/または噴出することの危険性を低下させ、そして滴下の危険性を低下させる、一見両立しない下位目的が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、添付の図面を参照して、さらに詳細に説明される。
【0026】
図1において、充填弁は、参照番号1によって、その全体が示される。充填弁1は、いくつかの部品からなる弁ハウジング2を備える。弁ハウジング2の壁部分は、流れチャンバ3を規定する。流れチャンバ3は、細長い弁体4を収容し、この弁体は、起動手段5によって、弁ハウジング2に対して上下に、開位置と閉位置との間で移動し得る。図1は、閉位置を示し、この閉位置において、流れチャンバ3の底部に提供される出口開口部7は、弁体4によって密封される。流れチャンバ3は、さらに、入口開口部(図1には示さない)を備え、この入口開口部は、液体タンク(図示せず)から流れチャンバ3への、粒子を含有する液体の加圧供給のための、圧力供給部(同様に、図示せず)に隣接する。
【0027】
弁体4は、棒型の初期部品4aを備え、この初期部品は、太い中央部品4bと合わさり、この中央部品は、次に、円筒形の移動部品4cと合わさる。
【0028】
弁ハウジング2は、その底端部において、円筒形の出口管10を規定し、この出口管は、その頂端部において、流れチャンバ3に隣接し、そしてその底端部において、出口開口部7を形成する。
【0029】
移動部品4cは、流出管10内にスライド可能に精密にフィットし、移動部品4cの長さは、流出管10の長さに実質的に対応する。このことにより、移動部品4cが、閉位置にある場合に、流出管10を完全に満たすことを確実にする。
【0030】
実質的に半径方向に延びる周囲壁部分12は、中央部品4bと移動部品4cとの間に位置し、この周囲壁部分12は、弁体4の閉位置において、密封様式で座13を軸方向に押し付け、この座は、弁ハウジング2内で、流れチャンバ3から流出管10への通過の位置に位置する。
【0031】
流出管10は、12mmより大きい長さを有する。さらに、この場合、流出管10の長さ対直径の比は、1より大きい。流出管10のこの最小の長さと、最小の長さと直径との間の比は、流体に、弁体4の開位置における所望の流出方向を与え、一方で、噴出を防止し、また閉位置において、滴下を排除する。
【0032】
使用の際に、弁体4が開位置にある場合、すなわち、移動部品4cが流出管10からいくらかの距離だけ上方にある場合、媒体は、底部において、出口開口部7を介して、弁ハウジング2から排出される。所望の容量の媒体が、このように、出口開口部7を介して充填弁1から排出されるとすぐに、起動手段5が、弁体4を下方に移動させる。この場合、流出管10は、弁体4の移動部品4cによって、空にされる。弁体4の下方への行程の終了時に、上記周囲壁部分12は、少なくとも部分的に、座13を半径方向に密封様式で押し付ける。一方で、この状況はまた、移動部品4cが流出管10を完全に空にした場合にももたらされる。
【0033】
起動手段5は、弁体4を上下に移動させるために設計されるのみでなく、弁ハウジング2に対して弁体4を回転させることがまた可能である。閉位置において、起動手段5を適切に駆動することにより、弁体4を回転させること、または回転運動を実施させることによって、閉鎖プロセスの間に、弁体4と弁ハウジング2との間に詰まった媒体の流れ中に存在する任意の粒子が、依然として解放され得、従って、弁ハウジング2内での弁体4の良好な密封をもはや妨げず、そして滴下などを引き起こさない。
【0034】
図2は、変形物を示し、この図において、同じ部品は、同じ参照番号によって示される。ここでの重要な差異は、移動部品21がもはや排出管22ではないことである。図2はまた、閉位置を示し、ここで、最小の空いた空間のみが、長さの差の結果として、移動部品21の底部において、排出管22に残る。移動部品21の端部は、この場合、円錐形の設計である。この長さの差は、移動部品21が、流出管22の長さの少なくとも4分の3になるようなさである。さらに、流出管22の長さは、この場合にもまた、少なくとも12mmであり、具体的には、約18mmであるが、一方で、出口開口部7の直径は、この場合にもまた、流出管22の長さ対直径の比が1より大きくなるように、選択される。具体的には、図2において、この比は、約1.4である。排出管22の底部に空いたままである最小の空間の長さは、この場合、0mmと5mmとの間であり、より具体的には、この長さは、約3mmである。
【0035】
さらに、図2は、圧力供給部25を示し、この圧力供給部の一端は、流れチャンバ3の入口開口部26内に延び、そして弁体4の全ての位置において、流れチャンバ3と開放連絡したままである。他端は、タンク(図示せず)と連絡している。
【0036】
最後に、図2の変形物に関して、弁体4の中央部品4bが、案内フィン28を備えることもまた、重要である。これらのフィンは、流れチャンバ3内で弁体4を中心に合わせる役に立つ。
【0037】
図3は、充填弁の底部の、移動部品の位置におけるさらなる変形物を示す。この場合、棒型の弁体30が提供され、この弁体の底端部は、円筒形の移動部品を形成する。さらに、弁ハウジング31が提供され、このハウジングは、その底端部にて、円筒形の流出管32を規定する。流出管32は、弁ハウジング31の壁部分34によって、底部に規定され、この壁部分34は、半径方向内向きに突出し、そして座を形成し、閉位置において、この座に対して、弁体30の底端部35が、密封様式で押し付けられる。従って、弁体30の移動部品が、閉位置において流出管を少なくとも4分の3まで満たすために、流出管32内にスライド可能に精密にフィットしている充填弁もまた、提供される。
【0038】
図4は、さらなる変形物を示し、弁体30は、その底端部にて、狭い端部分36を備え、この端部分は、閉位置において、弁ハウジングの底部を越えて延びる。このことは、有利なことに、流出管の底端部にさらなる空いた空間が残されないことを確実にし、その結果、この流出管は、閉鎖運動の間に完全に空にされる。
【0039】
多くの変形物が、示される実施形態に加えて、可能である。従って、この充填弁の種々の構成要素は、異なる設計のものであり得、そして/または異なる相対的割合で構築され得る。
【0040】
従って、開位置において、精密に計量され得る媒体の非常に安定な、方向付けられた流れを排出し得、一方で、閉位置において、滴下を効率的に防止し得る、充填弁が提供される。この充填弁は、有利には、単純な設計のものであり、そして製造が安価である。最後に、この充填弁は、その単純な設計に起因して、清浄化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明による充填弁の第一の実施形態の断面図を示す。
【図2】図2は、図1の第二の実施形態による図を示す。
【図3】図3は、充填弁の変形物の底端部の部分図を示す。
【図4】図4は、図3のさらなる変形物による部分図を示す。
【符号の説明】
【0042】
1 充填弁
2 弁ハウジング
3 流れチャンバ
4 弁体
5 起動手段
7 出口開口部
10 流出管
13 座
26 入口開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含有する液体媒体の流れの計量送達のための充填弁(1)であって、以下:
入口開口部(26)および出口開口部(7)を備える流れチャンバ(3)を有する弁ハウジング(2;31);
該出口開口部を開閉するための、該流れチャンバ(3)に収容される起動可能な弁体(4;30);
該弁体を開位置と閉位置との間で移動させるための起動手段(5)、
を備え;
該弁体(4;30)の壁部分は、該閉位置において、該弁ハウジング(2;31)に提供された座(13)に密封様式で押し付けられ、
該弁体(4)は、その底端部にて、実質的に円筒形の移動部品(4c)を備え、そして該弁ハウジング(2;31)は、その底端部にて、該流れチャンバ(3)に隣接する実質的に円筒形の流出管(10;32)を備え、
該移動部品(4c)は、該移動部品(4c)が、該閉位置において、該流出管の長さの少なくとも4分の3にわたって該流出管(12;32)を満たすような様式で、該流出管(10;32)内に移動可能に精密にフィットし、そして
該流出管(10;32)の長さ対直径の比が、1より大きい、
充填弁。
【請求項2】
前記流出管(10;32)の最小長さが、6mmである、請求項1に記載の充填弁。
【請求項3】
前記流出管(10;32)の最小長さが、12mmである、請求項2に記載の充填弁。
【請求項4】
前記流出管(10;32)の長さ対直径の比が、1.5より大きい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の充填弁。
【請求項5】
前記閉位置において、前記弁体(4;30)が、前記弁ハウジング(2;31)に提供される前記座(13;34)に密封様式で押し付けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の充填弁。
【請求項6】
前記起動手段(5)がまた、前記閉位置において、前記弁体(4;30)の回転移動を引き起こすように設計されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の充填弁。
【請求項7】
前記弁座(34)が、前記流出管(32)の底部に提供されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の充填弁。
【請求項8】
前記弁座(13)が、前記流出管(10)の頂部に提供されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の充填弁。
【請求項9】
前記流出管(10;32)が、前記移動部品(4c)より最大5mm長い、請求項1〜8のいずれか1項に記載の充填弁。
【請求項10】
前記移動部品(4c)が、前記閉位置において、前記流出管(10;32)を実質的に完全に満たす、請求項1〜9のいずれか1項に記載の充填弁。
【請求項11】
前記流れチャンバ(3)が、前記入口開口部(26)を介して、前記媒体を該流れチャンバ(3)に加圧供給するための媒体供給部(25)と連絡している、請求項1〜10のいずれか1項に記載の充填弁。
【請求項12】
前記媒体供給部(25)が、前記弁体(4;30)の前記閉位置と前記開位置との両方において、前記流れチャンバ(3)と開口連絡している、請求項1〜11のいずれか1項に記載の充填弁。
【請求項13】
粒子を含有する液体媒体、特に、果肉粒子および/または果実の塊を含有する果汁の流れの、容器への計量送達のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の充填弁(1)の使用。
【請求項14】
前記流れチャンバ(3)が、前記入口開口部(26)を介して、前記媒体を該流れチャンバ(3)に加圧供給するための媒体供給部(25)と連絡している、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記媒体供給部(25)が、前記弁体(4;30)の前記閉位置と前記開位置との両方において、前記流れチャンバ(3)と開口流体連絡している、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記媒体が、1mPas〜100mPasの範囲の粘度を有する、請求項13〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
粒子を含有する液体媒体の流れを容器に充填するための充填デバイスであって、該デバイスは、請求項1〜12のいずれか1項に記載の充填弁(1)を備え、前記流れチャンバ(3)は、前記入口開口部(26)を介して、該媒体を該流れチャンバ(3)に加圧供給するための媒体供給部(25)と連絡しており、該媒体供給部は、該媒体の貯蔵タンクと連絡している、充填デバイス。
【請求項18】
前記媒体供給部(25)が、前記弁体(4;30)の前記閉位置と前記開位置との両方において、前記流れチャンバ(3)と開口連絡している、請求項17に記載の充填デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−240745(P2006−240745A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57031(P2006−57031)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(502187287)ストーク フード アンド デアリー システムズ ベー.フェー. (1)
【Fターム(参考)】