説明

室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物

【課題】高い難燃性を有する室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供する。
【解決手段】(A)末端が水酸基で封鎖された23℃における粘度が0.02〜1000Pa・sであるポリオルガノシロキサン100重量部に対して、(B)難燃性付与充填剤1〜200重量部、(C)RSi(OR4−a(式中、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基、aは平均値として0≦a≦0.2)で示されるシラン化合物の部分加水分解縮合物0.1〜10重量部、(D)RSi(OR4−b(式中、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基、bは平均値として0.8≦b≦1.2)で示されるシラン化合物の部分加水分解縮合物0.1〜10重量部、(E)硬化触媒0.001〜10重量部および(F)白金化合物(白金元素として)1〜1000ppmを配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に係り、さらに詳しくは、湿気の存在しない密封条件下では安定であって、空気中の水分と接触することにより、室温で硬化してゴム状弾性体を生じる室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に関する。特に、本発明は、優れた難燃性を有する室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
室温で硬化してゴム状弾性体を生成するポリオルガノシロキサン組成物の中で、空気中の水分と接触することにより硬化反応が生起するタイプの室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、それらのなかでもとりわけ1成分型のものは、使用直前に本体(ベースポリマー)や架橋剤、触媒等を秤量したり、混合したりする煩雑さがなく、配合上のミスを生じることがないうえに、接着性に優れているので、電気・電子工業用の弾性接着剤やコーティング材等として、また建築用シーリング材等として、広く用いられている。
【0003】
一般に、このような組成物は、分子鎖末端が水酸基で閉塞されたシラノール基末端ポリジオルガノシロキサンに、アルコキシシランのような分子中に2個を超える加水分解性基を有する架橋剤等を配合したものであり、硬化の際に、架橋剤の種類に応じて酢酸等のカルボン酸、有機アミン、アミド、有機ヒドロキシルアミン、オキシム化合物、アルコール、アセトン等を放出する。特に、接着剤、コーティング材等の目的で室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させてゴム状弾性体とする場合には、脱オキシム型、脱アセトン型、脱アルコール型のものが用いられることが多い。
【0004】
ところで、近年、電化製品をはじめあらゆる分野で、製品の安全性が重要視されており、難燃性をはじめとし耐熱性のさらなる向上が望まれている。このような状況の中で、難燃性を有するシール材およびコーティング材への要求が高まっており、難燃性を付与するための多種の材料が見出されている。すなわち、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、二酸化ケイ素のような充填剤や白金化合物のような貴金属化合物、トリアゾール、カルボン酸アミド、塩化アンモニウム塩のような少量添加物等が、シリコーンゴムに難燃性を付与するための材料として報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭52−37965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような室温硬化性シリコーンゴムにおいては、架橋剤や硬化触媒等の影響から未だ十分な難燃性を得るまでには至っていないのが実情である。すなわち、例えば、架橋剤として使用されているシランは揮発性が高いため、硬化物中に残存すると難燃性を低下させるという問題があった。また、硬化性が低いため、硬化時間が短いと十分な難燃性が得られない場合があった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたもので、硬化性が良好で、従来に比べ高い難燃性を有する室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記した従来技術の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、難燃性を付与するための充填剤とともに、特定の2種のシラン化合物の部分加水分解縮合物を併用することにより、十分な難燃性を有する室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(A)分子鎖末端が水酸基で封鎖された23℃における粘度が0.02〜1000Pa・sであるポリオルガノシロキサン100重量部に対して、
(B)難燃性付与充填剤1〜200重量部、
(C)一般式(1):
Si(OR4−a …(1)
(式中、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基、aは平均値として0≦a≦0.2の数である。)で示されるシラン化合物の部分加水分解縮合物0.1〜10重量部、
(D)一般式(2):
Si(OR4−b …(2)
(式中、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基、bは平均値として0.8≦b≦1.2の数である。)で示されるシラン化合物の部分加水分解縮合物0.1〜10重量部、
(E)硬化触媒0.001〜10重量部、および
(F)白金化合物(白金元素として)1〜1000ppm
を含有することを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、硬化性が良好で、かつ、配合成分が硬化物中に残存することがあっても揮発性が小さいため、十分な難燃性を備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の(A)成分であるポリオルガノシロキサンは、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されており、代表的には、下記一般式(3)で表される実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンである。
【化1】

【0012】
式(3)中、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基のようなアルキル基;シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基のようなアラルキル基、さらにこれらの炭化水素基の水素原子の一部がハロゲン原子等の他の原子または基で置換された、例えばクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン化アルキル基;3−シアノプロピル基のようなシアノアルキル基等の置換炭化水素基が例示される。これらのうち、合成が容易で、(A)成分が分子量の割に低い粘度を有し、硬化前の組成物に良好な押出し性を与えることと、硬化後の組成物に良好な物理的性質を与えることから、全有機基の85%以上がメチル基であることが好ましく、実質的にすべての有機基がメチル基であることがより好ましい。
【0013】
一方、特に、耐熱性、耐放射線性、耐寒性または透明性を付与する場合は、Rの一部として必要量のアリール基を、耐油性、耐溶剤性を付与する場合は、Rの一部として3,3,3−トリフルオロプロピル基や3−シアノプロピル基を、また塗装適性を有する表面を付与する場合は、Rの一部として長鎖アルキル基やアラルキル基を、それぞれメチル基と併用するなど、目的に応じて任意に選択することができる。
【0014】
また、(A)成分であるポリオルガノシロキサンは、23℃における粘度が0.02〜1000Pa・sであり、したがって、式(3)中のnは、(A)成分の23℃における粘度が前記範囲になる数(整数)である。(A)成分の23℃における粘度が0.02Pa・s未満では、硬化後のゴム状弾性体の伸びが不十分となり、逆に1000Pa・sを超えると、吐出性等の作業性および流動特性が低下する。(A)成分の特に好ましい粘度は、硬化前および硬化後の組成物に要求される性質を調和させることから、0.1〜100Pa・sの範囲である。
【0015】
このようなポリオルガノシロキサンは、例えば、オクタメチルシロキサンのような環状ジオルガノシロキサン低量体を、水の存在下に酸性触媒またはアルカリ性触媒によって開環重合または開環共重合させることにより得ることができる。
【0016】
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の(B)成分である難燃性付与充填剤は、組成物および組成物の硬化により得られるゴム状弾性体に難燃性を付与するとともに、硬化物に対して高い機械的強度を付与する。このような難燃性付与充填剤としては、例えば、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素(石英粉)、酸化セリウムおよびその表面が処理されたもの等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。難燃性を付与する効果の点からは、なかでも炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム等が好ましく、流動特性の観点からは、炭酸亜鉛の使用が特に好ましい。
【0017】
この(B)成分の難燃性付与充填剤の配合量は、(A)成分100重量部に対して1〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部である。1重量部未満では、難燃性が十分に付与されず、逆に200重量部を超えると、硬化後の機械的特性や流動特性が低下する。
【0018】
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の(C)成分は、次述する(D)成分とともに、上記(A)成分の架橋剤として作用する成分であり、一般式(1):
Si(OR4−a …(1)
で示されるシラン化合物の部分加水分解縮合物である。
【0019】
式(1)中、RおよびRは互いに同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基のようなアルキル基;シクロヘキシル基のようなシクロアルキル基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基のようなアラルキル基、さらにこれらの炭化水素基の水素原子の一部がハロゲン原子等の他の原子または基で置換された、例えばクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン化アルキル基;3−シアノプロピル基のようなシアノアルキル基等の置換炭化水素基が例示される。また、aは平均値として0≦a≦0.2の数であり、好ましくは0≦a≦0.1の数である。
【0020】
この(C)成分の部分加水分解縮合物は、1分子中のSi数が3〜20であることが好ましく、4〜15であるとより好ましい。Si数が3未満では、十分な難燃性が得られず、また、20を超えると、硬化性や硬化後の機械的特性が低下する。
【0021】
(C)成分のシラン化合物の部分加水分解縮合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】
(C)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部であり、0.1重量部未満では、架橋が十分に行われず、硬度の低い硬化物しか得られないばかりでなく、架橋剤を配合した組成物の保存安定性が不良となる。逆に、10重量部を超えると、硬化の際の収縮率が大きくなり、硬化後の弾性等の物性が低下する。さらに、硬化性の観点から、(C)成分の配合量は、(A)成分であるポリオルガノシロキサンの水酸基1モルに対し、(C)成分中のOR基が2〜15モルとなる範囲が好ましく、3〜10モルとなる範囲がより好ましい。
【0023】
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の(D)成分は、一般式(2):
Si(OR4−b …(2)
で示されるシラン化合物の部分加水分解縮合物である。
【0024】
式(2)中、RおよびRは互いに同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基であり、前記した(C)成分のRおよびRと同様の基が例示される。また、bは平均値として0.8≦b≦1.2の数であり、好ましくは0.9≦b≦1.1の数である。
【0025】
この(D)成分の部分加水分解縮合物は、1分子中のSi数が3〜20であることが好ましく、4〜15であるとより好ましい。Si数が3未満では、十分な難燃性が得られず、また、20を超えると、硬化性や硬化後の機械的特性が低下する。
【0026】
(D)成分のシラン化合物の部分加水分解縮合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0027】
(D)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部であり、0.1重量部未満では、架橋が十分に行われず、硬度の低い硬化物しか得られない。逆に、10重量部を超えると、硬化の際の収縮率が大きくなり、硬化後の弾性等の物性が低下する。さらに、硬化性の観点から、(D)成分の配合量は、(C)成分中のOR基1モルに対し、(D)成分中のOR基が0.1〜5モルとなる範囲が好ましく、0.2〜3モルとなる範囲がより好ましい。
【0028】
上記のような(C)成分および(D)成分を架橋剤として使用することにより、組成物の硬化性を高めることができるとともに、(C)成分および(D)成分自体、揮発性が非常に小さいために、硬化物中に残留することがあっても、組成物の難燃性を低下させることはなく、組成物の難燃性を十分に発現させることができる。
【0029】
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の(E)成分である硬化触媒は、(A)成分の水酸基と(C)成分および(D)成分の加水分解性基、すなわち、OR基およびOR基との縮合反応を促進する触媒である。このような(E)成分としては、鉄オクトエート、マンガンオクトエート、亜鉛オクトエート、スズナフテート、スズカプリレート、スズオレートのようなカルボン酸金属塩;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレート、ジフェニルスズジアセテート、酸化ジブチルスズ、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジオクチルスズジラウレートのような有機スズ化合物;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、1、3−プロポキシチタンビス(エチルアセチルアセテート)のようなアルコキシチタン類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、トリエトキシアルミニウムのような有機アルミニウム;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムアセチルアセトネート、トリブトキシジルコニウムステアレートのような有機ジルコニウム化合物等が例示される。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。微量の存在で大きな触媒能を持つことから、なかでも、有機スズ化合物、アルコキシチタン類が好ましく、特に有機スズ化合物が好ましい。
【0030】
この(E)成分の硬化触媒の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。0.001重量部未満では、硬化触媒として十分に作用せず、硬化に長い時間がかかるばかりでなく、特に空気との接触面から遠いゴム層の深部における硬化が不十分となる。逆に10重量部を超えると、その配合量に見合う効果がなく、無意味であるばかりか非経済的である。
【0031】
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の(F)成分である白金化合物は、組成物および組成物の硬化により得られるゴム状弾性体の難燃性をさらに向上させる。このような白金化合物としては、例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金とオレフィンとの錯体、白金とケトン類との錯体、白金とビニルシロキサンとの錯体、白金とニトリル化合物との錯体、リン酸もしくは亜リン酸化合物と白金との錯体等が例示される。これらの白金化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
【0032】
この(F)成分の白金化合物の配合量は、白金元素として(A)成分100重量部に対して1〜1000ppm、より好ましくは5〜100ppmである。1ppm未満では、難燃性を十分に向上させることができず、逆に1000ppmを超えると、これ以上の効果が得られないばかりでなく不経済である。
【0033】
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物には、以上の各成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に一般に配合されている、乾式シリカ、湿式シリカ、石英粉末等の無機充填剤、顔料、チクソトロピー性付与剤、押出作業性を改良するための粘度調整剤、紫外線吸収剤、防かび剤、耐熱性向上剤、接着向上剤等の各種添加剤を、必要に応じて配合することができる。
【0034】
本発明の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、上記(A)〜(F)成分および必要に応じて配合される各種成分を、湿気を遮断した状態で混合することにより得られる。得られた組成物は、密閉容器中でそのまま保存し、使用時に空気中の水分に曝すことによってはじめて硬化する、いわゆる1包装型室温硬化性組成物として使用することができる。また、本発明の組成物を、例えば架橋剤と硬化触媒を分けた組成物として調製し、適宜2〜3個の別々の容器に分けて保存し、使用時にこれらを混合する、いわゆる多包装型室温硬化性組成物として使用することもできる。
【0035】
本発明により得られる室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、湿気の存在しない密封条件下では安定であり、空気中の水分と接触することにより、室温で硬化してゴム状弾性体を生じる。特に本発明によれば、従来品より優れた難燃性を有する室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を得ることができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。なお、実施例中、「部」とあるのはいずれも「重量部」を表し、粘度等の物性値は全て23℃、相対湿度50%での値を示す。
【0037】
実施例1
分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘度:1Pa・s、水酸基量0.08mmol/g)100部に、炭酸亜鉛50部、塩化白金酸(白金元素として)50ppm、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.1部、式:Si(OCで示されるシランの部分加水分解縮合物(Si数5)4部および式:CHSi(OCで示されるシランの部分加水分解縮合物(Si数5)6部を添加し、湿気遮断下で均一に混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
【0038】
実施例2
分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘度:1Pa・s、水酸基量0.08mmol/g)100部に、炭酸亜鉛50部、塩化白金酸(白金元素として)50ppm、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.1部、式:Si(OCで示されるシランの部分加水分解縮合物(Si数7)6部および式:CHSi(OCで示されるシランの部分加水分解縮合物(Si数8)3部を添加し、湿気遮断下で均一に混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
【0039】
比較例1
分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘度:1Pa・s、水酸基量0.08mmol/g)100部に、炭酸亜鉛50部、塩化白金酸(白金元素として)50ppm、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.1部、式:Si(OCで示されるシラン6部および式:CHSi(OCで示されるシラン3部を添加し、湿気遮断下で均一に混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
【0040】
比較例2
分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘度:1Pa・s、水酸基量0.08mmol/g)100部に、炭酸亜鉛50部、塩化白金酸(白金元素として)50ppm、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.1部、式:Si(OCで示されるシランの部分加水分解縮合物(Si数5)4部および式:CHSi(OCで示されるシラン6部を添加し、湿気遮断下で均一に混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
【0041】
比較例3
分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(粘度:1Pa・s、水酸基量0.08mmol/g)100部に、炭酸亜鉛50部、塩化白金酸(白金元素として)50ppm、ジ−n−ブチルスズジラウレート0.1部および式:Si(OCで示されるシランの部分加水分解縮合物(Si数5)10部を添加し、湿気遮断下で均一に混合し、ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
【0042】
上記各実施例および各比較例で調製し密封して保存したポリオルガノシロキサン組成物について、下記に示す方法で各種特性を評価した。結果を表1に示す。
[硬化性]
23℃、50%RHの雰囲気下、組成物を金型に厚さ6mmに流し込み、2時間、4時間および8時間後の性状(硬化状態)を調べた。
[難燃性]
組成物を金型に流し込み、23℃、50%RHの雰囲気中に3日間放置して厚さ2mmの硬化物を得、UL94Vに基づく燃焼試験を行った。
【0043】
【表1】

【0044】
表1から明らかなように、実施例1および2で調製されたポリオルガノシロキサン組成物は、比較例1〜3で得られたポリオルガノシロキサン組成物に比べ、硬化性に優れるとともに、高い難燃性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子鎖両末端が水酸基で封鎖された23℃における粘度が0.02〜1000Pa・sであるポリオルガノシロキサン100重量部に対して、
(B)難燃性付与充填剤1〜200重量部、
(C)一般式(1):
Si(OR4−a …(1)
(式中、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基、aは平均値として0≦a≦0.2の数である。)で示されるシラン化合物の部分加水分解縮合物0.1〜10重量部、
(D)一般式(2):
Si(OR4−b …(2)
(式中、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい置換または非置換の1価の炭化水素基、bは平均値として0.8≦b≦1.2の数である。)で示されるシラン化合物の部分加水分解縮合物0.1〜10重量部、
(E)硬化触媒0.001〜10重量部、および
(F)白金化合物(白金元素として)1〜1000ppm
を含有することを特徴とする室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項2】
前記(A)成分中の水酸基1モルに対して、前記(C)成分中のOR基が2〜15モルであることを特徴とする請求項1記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項3】
前記(C)成分中のOR基1モルに対して、前記(D)成分中のOR基が0.1〜5モルであることを特徴とする請求項1または2記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項4】
前記(B)成分は、炭酸亜鉛を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。

【公開番号】特開2006−160939(P2006−160939A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−356495(P2004−356495)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000221111)ジーイー東芝シリコーン株式会社 (257)
【Fターム(参考)】